JP2003138347A - フェライト系ステンレス鋼板及びその製造方法 - Google Patents

フェライト系ステンレス鋼板及びその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 深絞り性、リジング性および耐肌荒れ性に優
れたフェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法を
提案する。 【解決手段】 C:0.01mass%以下、Cr:11〜23mass
%、Ni:2.0mass%以下、Al:1.0mass%以下、N:0.04
mass%以下、Nb:0.8mass%以下および/またはTi:1.0
mass%以下、18≦Nb/(C+N)+2(Ti/(C+N))≦60
を含むフェライト系ステンレス鋼板の製造方法におい
て、最終冷延前鋼板を、再結晶率95%以上、結晶粒径40
μm以下、{111}集積度2.0超えとし、冷間圧延を、全圧
下率75%以上で行い、仕上焼鈍を、焼鈍後の結晶粒径を
50μm以下とする温度で行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、深絞り性とともに
リジング性、耐肌荒れ性に優れたフェライト系ステンレ
ス鋼板およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】フェライト系ステンレス鋼板は、普通鋼
に比べて耐熱性や耐食性に優れると共に、Niを含有しな
いためオーステナイト系ステンレス鋼に比べるとコスト
的に有利で、応力腐食割れ(SCC)が発生しないという
利点を有している。このため、従来から種々の産業分野
で利用されてきた。
【0003】しかし、従来のフェライト系ステンレス鋼
板は、例えば板厚0.8mmにおける伸び値は30%程度、r
値は1.5以下であり、同じ板厚の普通鋼の高張力鋼板や
オーステナイト系ステンレス鋼板の特性に比べ成形性に
劣る欠点があった。このため、自動車強度部材などの複
雑な成形加工が要求される用途には、その利用が大幅に
制限されてきた。ここで、自動車強度部材用途とは、例
えばリインフォース、サイドメンバー、アーム、ビーム
材等を指す。
【0004】これらの部材には、従来、成形加工性が良
好な軟鋼板表面にめっきを施した合金化溶融亜鉛めっき
鋼板等が広く用いられてきた。そこで、これら部材に、
フェライト系ステンレス鋼板を適用できれば、その優れ
た耐食性を生かし、めっき工程や塗装工程の省略もしく
は塗装目付量の低下が可能になるため、トータルコスト
で比較すると安価な材料となる。また、ステンレス鋼板
は、母材の耐食性に優れていることから、腐食に起因し
た塗膜剥離等の心配や電着塗装が回り込まない部位にお
ける腐食の心配も少ない。しかもステンレス鋼板は、リ
サイクルが容易であることから、地球環境という観点か
らも大きな利益がもたらされる。
【0005】このような背景から、これまでにもフェラ
イト系ステンレス鋼板の加工性を高めるための試みがな
され、研究成果がいくつか報告されている。例えば、特
開平3-264652号公報には、NbおよびTiを複合添加したフ
ェライト系ステンレス鋼の製造条件を適正化し、{111}
集積度(X線回折強度比(222)/(200))が5以上の集合組
織を得て加工性を改善する技術が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
深絞り用フェライト系ステンレス鋼板では、r値は2.0
程度までしか得られない。このため、複雑な形状への成
形加工が必要な用途では、金型調整や潤滑コートの利用
等の工夫で対応していたが、素材そのものの成形性の向
上が望まれていた。また、深絞り性と肌荒れやリジング
性とのバランスも十分考慮されていたとは言い難い。す
なわち、深絞り成形を行った際に鋼板表面に発生する凹
凸(リシング)や肌荒れは、成形加工性の低下に大きな影
響を及ぼすが、これらの特性と深絞り性を兼ね備えた鋼
板の検討は今まで行われていなかった。ここで、リジン
グとは、冷間加工を受けた際に圧延方向(L方向)に平行
に表れる板幅方向に凹凸を有する波状の表面欠陥であ
り、また肌荒れとは、冷間加工を受けた際に表面に生じ
る結晶粒の凹凸に起因したオレンジピール(Orange Pea
l)を指す。
【0007】本発明の目的は、深絞り性(r値)とリジン
グ性、耐肌荒れ性に優れたフェライト系ステンレス鋼板
およびその製造方法を提案することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記問題点
を解決し、自動車強度部材等の深絞り用途に適用するた
めに必要な、フェライト系ステンレス鋼板の深絞り性、
リシング性および耐肌荒れ性について詳細に調査した。
その結果、最終冷延前焼鈍板の結晶粒微細化、{111}集
積度向上のほか、冷延条件や仕上焼鈍温度の適正化によ
り、上記特性のいずれをも満たした鋼板の製造が可能で
あることを見出した。
【0009】とくに、最終冷延前焼鈍板は、未再結晶組
織が5%以上残存しない範囲で微細(結晶粒径40μm以下)
な組織ほど良く、{111}集積度が2.0超えとすることに加
え、冷間圧延を全圧下率75%以上とし、仕上焼鈍を、焼
鈍後の平均結晶粒径を50μm以下とする温度で行うこと
により、r値>2.0でかつリシング性、肌荒れ性をも兼
ね備えた深絞り性に優れたフェライト系ステンレス鋼板
が得られることを見出した。
【0010】すなわち本発明は、C:0.01mass%以下、
Si:1.0mass%以下、Mn:1.5mass%以下、Cr:11〜23mas
s%、Ni:2.0mass%以下、P:0.06mass%以下、S:0.
03mass%以下、Al:1.0mass%以下、N:0.04mass%以
下、Nb:0.8mass%以下および/またはTi:1.0mass%以
下、ただし、これらは下記(1)式を満足するように含有
し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、再結晶率95
%以上でかつ、平均結晶粒径が40μm以下、{111}集積度
が2.0以上であることを特徴とするフェライト系ステン
レス鋼板である。 記 18≦Nb/(C+N)+2(Ti/(C+N))≦60 ……(1) ここで、C,N,NbおよびTiは各元素の含有量(mass
%)
【0011】なお本発明は、上記成分組成に加えてさら
に、Moを0.1〜3.0mass%かつ下記(2)式を満足するよう
に含有することが好ましい。また、Bを0.0005〜0.01ma
ss%含有することが好ましい。 記 (Cr+3.3Mo)≧14mass% ……(2)
【0012】本発明はまた、上記鋼板が、平均結晶粒径
50μm以下であるフェライト系ステンレス鋼板であるこ
とが好ましい。さらに、上記鋼板は、平均r値≧2.0で
あることが好ましい。
【0013】また、本発明は、上記組成からなるフェラ
イト系ステンレス鋼板の製造方法において、熱延板焼鈍
後の鋼板の再結晶率95%以上とし、かつ最終冷延前鋼板
の再結晶率95%以上、平均結晶粒径が40μm以下、{111}
集積度が2.0以上となる条件で、全圧下率75%以上とす
る冷間圧延を行い、その後、平均結晶粒径を50μm以下
とする仕上焼鈍を行うことを特徴とする深絞り性、リジ
ング性および耐肌荒れ性に優れたフェライト系ステンレ
ス鋼板の製造方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】まず、本発明において、成分組成
を上記範囲に限定した理由について説明する。 C:0.01mass%以下 Cは、固溶状態で存在すると鋼の加工性を低下させる。
Cはまた、炭化物を形成して主に粒界に析出し、耐二次
加工脆性や粒界の耐食性を低下させる。C量が0.01mass
%を超えると、加工性、耐食性への悪影響が顕著となる
ため、0.01mass%以下に制限する。しかし、過度のC低
減は、精練コスト上昇を招くので、0.002mass%超え0.0
08mass%以下の含有量が望ましい。
【0015】Si:1.0mass%以下 Siは、耐酸化性、耐食性の向上に有効な元素であり、と
くに大気環境での耐食性を向上させる。その効果を発揮
させるためには、0.2mass%以上の添加が好ましい。し
かしながら、1.0mass%を超えて含有すると鋼を脆化さ
せ、溶接部の耐二次加工脆性をも劣化させるので、1.0m
ass%を上限とする。好ましくは、0.1〜0.6mass%の範
囲に限定する。
【0016】Mn:1.5mass%以下 Mnは、耐酸化性を向上するのに有効な元素であるが、過
剰に含有すると鋼を脆化させ、溶接部の耐二次加工脆性
を劣化させるので、1.5mass%以下に限定する。好まし
くは、0.1〜1.0mass%の範囲に限定する。
【0017】Cr:11〜23mass% Crは、耐食性の向上に有効な元素であり、十分な耐食性
を得るためには11mass%以上含有している必要がある。
また溶接部の耐食性の観点からは、16mass%以上の含有
が好ましい。一方、Crは加工性を低下させる元素であ
り、特に23mass%を超えて含有するとその影響が顕著と
なるので、23mass%を上限とする。
【0018】Ni:2.0mass%以下 Niは、ステンレス鋼の耐食性を向上させるので、2.0mas
s%以下の範囲で含有させることができる。しかし、2.0
mass%を超えて多量に含有すると,鋼が硬質化し、ま
た、応力腐食割れの懸念が生ずる。したがって、その含
有量は2.0mass%を上限とする。好ましくは、0.1〜0.8m
ass%の範囲に限定する。
【0019】P:0.06mass%以下 Pは、粒界に偏析しやすく、Bを含有した場合、その粒
界強化作用を低減させ、溶接部の耐二次加工脆性を劣化
させる。また、耐食性や高温疲労特性も劣化させるの
で、できる限り低い方が望ましい。このため0.06mass%
を上限とする。好ましくは0.03mass%以下である。しか
し、過度の低下は精練コスト上昇を招く。
【0020】S:0.03mass%以下 Sは、耐食性を劣化させるので、少ないことが望ましい
が、過度の低減は製鋼コストの上昇を招くため、その含
有量は0.03mass%以下とする。好ましくは0.003〜0.008
mass%である。
【0021】Al:1.0mass%以下 Alは、製鋼における脱酸剤として必要である。しかし、
過度の添加は介在物生成のために、表面外観、耐食性お
よび加工性を劣化させるので、1.0mass%以下に制限す
る。好ましくは、0.001〜0.6mass%の範囲に限定する。
【0022】N:0.04mass%以下 Nは、粒界を強化し勒性を向上させる元素であるが、0.
04mass%を超えて含有すると、窒化物となって粒界に析
出し、耐食性に悪影響を及ぼすようになるので、上限を
0.04mass%とする。
【0023】Nb:0.8mass%以下および/またはTi:1.0
mass%以下、 18≦Nb/(C+N)+2(Ti/(C+N))≦60 Nb,Tiは、固溶C,Nを化合物として固定することによ
り、耐食性改善およびr値を向上させる効果を有してお
り、単独もしくは複合で添加することが必要である。上
記の効果を得るためには、それぞれ0.01mass%以上を含
有させることが望ましい。一方、Nb含有量が0.8mass%
を超えると靭性の低下を、また、Ti含有量が1.0mass%
を超えると外観および靭性の低化を招くため、これらの
値をそれぞれ上限とする。また、鋼中のC,Nを炭窒化
物として固定し、一層優れた加工性を確保するには、18
≦Nb/(C+N)+2(Ti/(C+N))≦60とすることが必
要となる。ここで、C,N,Nb,Tiは、各元素の含有量
(mass%)である。Nb/(C+N)+2(Ti/(C+N))が18
未満となると、鋼中のC,Nを炭窒化物として充分に固
定できないため、加工性、耐食性が著しく低下する。一
方、60を超えると、炭窒化物の析出量が増加して、加工
性が低下する。
【0024】Mo:3.0mass%以下 Moは、耐食性、特に耐穴あき性の向上に有効な元素であ
る。この効果を得るためには、0.1mass%以上の添加が
望ましい。しかし、3.0mass%を超えて含有すると、熱
処理時に析出物を生じ、加工性の劣化を招く。よって、
Mo含有量は3.0mass%以下、好ましくは0.1〜2.0mass%
とする。
【0025】Cr+3.3Mo:14以上 Cr+3.3Mo(但し、Cr,Moは各元素の含有量(mass%))
は、孔食指数(Pitting Index)としてステンレス鋼の耐
食性を表す指標として一般に用いられている。自動車強
度部材に用いて十分な耐食性を得るためには、Cr+3.3M
oを14以上とすることが必要である。ただし、このCr+
3.3Moが30を超えると、鋼板が硬質化して加工性を損な
うので30以下とするのが好ましい。
【0026】B:0.0005〜0.01mass% Bは、粒界に偏析し、粒界強度を強化し、二次加工脆性
を改善する効果を有する。また、鋼の靭性劣化を招くTi
Nの析出を、BNの形成により抑制する効果もある。こ
れらの効果を得るためには、0.0005mass%以上の添加が
必要である。しかし、0.01mass%を超える添加は、熱間
加工性を害するため、0.01mass%以下に制限する。
【0027】上記各成分の他は、Feおよび不可避的不純
物である。ただし、粒界脆性改善のため、Coを0.3mass
%以下、また、機械的特性改善のため、Zr:0.5mass%
以下、Ca:0.1mass%以下、Ta:0.3mass%以下、W:0.
3mass%以下、Cu:1mass%以下およびSn:0.3mass%以
下を含有していても、本発明の各特性に格別の影響を及
ぼさない。
【0028】次に、本発明に係る仕上焼鈍後のステンレ
ス鋼板の特性を限定した理由について説明する。 (1)平均r値≧2.0 本発明のステンレス鋼板を、自動車用外板や補強部材等
の複雑形状に適用するためには、優れた深絞り性を有す
る必要がある。このためには、平均r値は高いほど好ま
しく、仕上焼鈍後の鋼板の平均r値は2.0以上に制限す
る。好ましくは2.4以上である。
【0029】(2)平均結晶粒径:50μm以下 仕上焼鈍後の最終冷延板の平均結晶粒径は、成形性(特
にr値)に影響を及ぼし、一般に、結晶粒が大きいほど
{111}組織が発達し、r値は高い。このため、仕上焼鈍
温度を高温として粒成長を促進することも可能である。
しかし、結晶粒の過度の粗大化は、逆に成形加工後の肌
荒れや成形性等に悪影響を及ぼす。すなわち、結晶粒径
が50μmを超えて大きくなると、加工後の製品表面に、
オレンジピールと呼ばれる肌荒れが生じて、外観の悪化
を招くだけでなく、肌荒れに起因して、著しい耐食性の
劣化や成形限界の低下を引き起こす。このため、最終冷
延板の平均結晶粒径は50μm以下、好ましくは40μm以下
に制限する。なお、上記結晶粒径は、JIS G 0552に準拠
して測定したものであり、圧延方向(L方向)断面の板厚
1/2,1/4,1/6位置において、各々4点ずつ測定した値
の平均値(n数12)である。
【0030】次に、上記仕上焼鈍後の鋼板の特性を得る
ために、最終冷延前鋼板が具備すべき特性について説明
する。なお、ここで言う最終冷延前鋼板とは、冷延工程
で中間焼鈍を行わない1回冷延法では、熱延焼鈍後の鋼
板のことであり、中間焼鈍を行う2回冷延法では、文字
通り、中間焼鈍後の最終冷延前の鋼板を意味するが、熱
延焼鈍後の鋼板も下記の特性を満たすことが好ましい。
【0031】(1)再結晶率:95%以上 最終冷延前鋼板の組織は、製品板(仕上焼鈍後の鋼板)の
リジング性やr値に大きな影響を及ぼし、特に未再結晶
のバンド状組織が5%以上残存すると、リジング性やr
値が著しく低下する。このため、最終焼鈍前の鋼板の再
結晶率は95%以上とする。
【0032】(2)平均結晶粒径:40μm以下 最終冷延前鋼板の結晶粒径は、微細なほど仕上焼鈍後鋼
板の{111}集積度を高めるには有利である。すなわち、
最終冷延前鋼板の結晶粒径と仕上焼鈍後鋼板のr値との
間には相関があり、結晶粒が微細なほど平均r値は高く
なり、△rは小さくなる傾向がある。この理由は、結晶
粒界は、圧延による歪みの整合性をはかるために多重す
べりが起こって均一な変形組織となるため、{111}再結
晶粒の核生成サイトになりやすい。したがって、結晶粒
の微細化は、相対的に結晶粒界の比率が増大することに
なり、{111}集合組織の発達が促進されるためと考えら
れる。また最終冷延前鋼板の粒径が大きくなると、仕上
焼鈍後鋼板の結晶粒も粗大化するため、リジング、肌荒
れが顕著になる。以上のことから、最終冷延前鋼板の結
晶粒径は、熱延板焼鈍板であれ中間焼鈍板であれ、その
上限を40μmとする。
【0033】(3)最終冷延前鋼板の{111}集積度>2.0 最終冷延前鋼板において、{111}集合組織(γ−fiber)主
体の集合組織を形成することができれば、その後の最終
冷間圧延では、γ−fiberは、γ−fiber近傍での方位変
化を起こすだけである。このため、γ−fiber主体の鋼
板では、仕上焼鈍での再結晶で、より強い{111}集合組
織が形成されることになる。したがって、熱延板焼鈍板
および中間焼鈍後の鋼板の{111}集積度は高いほど望ま
しく、仕上焼鈍後の鋼板の平均r値2.0以上を確保する
ためには、{111}集積度>2.0とする必要がある。特に、
平均r値2.4以上を得るためには、{111}集積度2.5以上
とすることが好ましい。
【0034】なお、最終冷延前鋼板の時効指数を測定し
た場合、20.0MPa以下であることが、r値向上には好ま
しい。ここで、上記時効指数とは、最終冷延前鋼板に7.
5%予歪を付与した時の強度(変形応力)と、その鋼板に
さらに100℃×30分の時効処理を施した後の降伏応力の
差で定義した値である。この時効指数は、鋼中の固溶C
量と相関があり、固溶C量が多いほど時効指数が大きく
なる。前述したように、ステンレス鋼板においては、固
溶Cは加工性を劣化させる。すなわち、鋼中の固溶C
は、{111}集合組織の形成を阻害するとともに、時効に
より材質を劣化させる。このメカニズムには、回復再結
晶時に影響を及ぼすという説と回復再結晶時に影響を及
ぼすという説の2つの説が考えられている。したがっ
て、最終冷延前の鋼板中の固溶Cは低いほど好ましく、
平均r値2.0以上を目標とする本発明においては、上記
の時効指数を20.0MPa以下に制限することが必要であ
る。
【0035】次に、本発明のステンレス鋼板の製造条件
について説明する。本発明の鋼板は、製鋼、熱間圧延
(スラブ加熱、粗圧延、仕上圧延)、熱延板焼鈍、酸洗、
1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延および仕
上焼鈍の各工程を経て製造される。平均r値2.0以上で
かつリジング性、肌荒れ性に優れた鋼板を得るために
は、上記各製造工程の製造条件を、以下に説明するよう
に適切に調整する必要がある。
【0036】a.スラブ加熱温度 スラブ加熱温度が低すぎると、所定の条件での熱間粗圧
延が困難となり、一方、加熱温度が高すぎると、熱延板
の板厚方向の集合組織が不均一になるとともに、Ti42
2析出物が再溶解し、最終冷延前の鋼板中の固溶Cが
増大する。このためスラブ加熱温度は1000〜1200℃の範
囲とするのがよい。さらに、好ましい温度範囲は1050〜
1150℃である。
【0037】b.熱間粗圧延 熱間粗圧延(以下、「粗圧延」と略記する)の少なくとも
1パスを、圧延温度850〜1100℃、圧下率35%以上で行
うことが好ましい。粗圧延の圧延温度が850℃未満で
は、再結晶が進みにくく、主にスラブ中の柱状組織に起
因した粗大な(100)コロニーの残存により、仕上焼鈍後
の加工性が劣り、また圧延ロールへの負荷が大きくな
り、ロール寿命が短くなる。一方、1100℃を超えると、
フェライト結晶粒が粗大化し、{111}核発生サイトとな
る粒界面積が減少し、仕上焼鈍後の鋼板のr値低下を招
くことになる。したがって、粗圧延の圧延温度は850〜1
100℃とするのが好ましい。より好ましい温度範囲は900
〜1050℃である。また、粗圧延の圧下率が35%未満で
は、板厚方向の中心部に、バンド状の未再結晶組織が大
量に残存し、深絞り性を劣化させる。逆に、粗圧延の1
パス当たりの圧下率が60%を超えると、圧延時にロール
と鋼板の焼き付けを起こしたり、圧延ロールへの噛み込
み不良を生じる危険がある。このため、圧下率は40〜60
%の範囲が好ましい。
【0038】なお、鋼の高温強度が低い材料では、粗圧
延時に鋼板表面に強い剪断歪みが生じて、板厚中心部に
未再結晶組織が残ったり、ロールと鋼板の焼き付きを生
じることがある。このような場合には、必要に応じて、
摩擦係数0.3以下になるような潤滑を施してもよい。上
述した圧延温度と圧下率の条件を満たす粗圧延を、少な
くとも1パス行うことにより深絞り性が向上する。この
1パスは、粗圧延のどのパスで行ってもよいが、圧延機
の能力から、最終パスで行うのが最も好ましい。
【0039】c.熱間仕上圧延 粗圧延に続く熱間仕上圧延(以下、「仕上圧延」と略記
する)では、少なくとも1パスを、圧延温度650〜900
℃、圧下率20〜40%で行うことが好ましい。圧延温度が
650℃未満では、変形抵抗が大きくなって20%以上の圧
下率を確保することが難しくなるとともに、ロール負荷
が大きくなる。一方、仕上圧延温度が900℃を超える
と、圧延歪みの蓄積が小さくなり、次工程以降における
深絞り性向上効果を得にくくなる。このため、仕上圧延
温度は650〜900℃、好ましくは700〜800℃の範囲で行う
のがよい。
【0040】また、仕上圧延における650〜900℃での圧
下率が20%未満では、r値の低下やリジングの原因にな
る(100)//ND、(110)//NDコロニー(横田ら、川崎製
鉄技報、30(1998)2,p115)が大きく残存してしまう。一
方、40%を超えると、噛み込み不良や鋼板の形状不良を
引き起こし、鋼の表面性状の劣化を招く。よって、仕上
圧延においては、圧下率20〜40%の圧延を少なくとも1
パス以上行うのがよい。より好ましい範囲は25〜35%で
ある。上述した圧延温度と圧下率の条件を満たす仕上圧
延を、少なくとも1パス行うことにより深絞り性は改善
される。その1パスは、どのパスで行ってもよいが、圧
延機の能力から、最終パスで行うことが好ましい。
【0041】d.熱延板焼鈍 冷延工程として1回冷延法を採用する場合には、熱延板
焼鈍が、最終冷延前の焼鈍に該当する。この場合の熱延
板焼鈍は、焼鈍後の鋼板の再結晶率が95%以上かつ平均
結晶粒径40μm以下が得られる条件が好ましい。この理
由は、熱延焼鈍板に未再結晶のバンド状組織が5%以上
残存すると、仕上焼鈍後の鋼板のr値や、特にリジング
の低下が著しいからである。適正な焼鈍温度は成分によ
り異なるが、750〜1100℃の温度範囲が好ましい。上限
を制限したのは、焼鈍温度が高くなると、結晶粒が粗大
化するとともに、固溶Cを固定した炭化物(NbC,Ti
C,M3C,M73他)が再溶解し、鋼中の固溶C量が増
大し、仕上焼鈍後鋼板のr値の低下を招く。また、熱延
焼鈍板の結晶粒が粗大化すると、仕上焼鈍後鋼板の粒径
も大きくなり、成形後に肌荒れが生じて成形限界の低下
や耐食性の低下を引き起こすからである。したがって、
未再結晶組織が5%未満でありかつ結晶粒径が40μm以
下、好ましくは未再結晶組織が0%かつ結晶粒径35μm
以下が得られる条件とするのがよい。なお、2回以上の
冷延法の場合には、熱延板焼鈍は、最終冷延前焼鈍に該
当しないが、熱延焼鈍板の特性が、仕上焼鈍後の鋼板特
性にも影響するため、上記の条件に適合させることが好
ましい。
【0042】e.冷間圧延 冷間圧延は、1回冷延法または中間焼鈍を挟んだ2回以
上の冷延法とする。また、全圧下率は、1回冷延法、2
回以上の冷延法の場合とも75%以上とする。全圧下率の
増大は、仕上焼鈍板の{111}集積度を向上し、r値向上
に有効である。仕上焼鈍後の鋼板が平均r値2.0以上を
満たすためには、全圧下率は75%以上が必要であり、好
ましくは80〜90%未満とするのがよい。なお、2回以上
の冷延法の場合、(1回目冷延の圧下率)/(最終冷延の
圧下率)で表される圧下比は、最終冷延前鋼板の粒径や
中間焼鈍板および仕上焼鈍板中の{111}集合組織と密接
な関係があり、高r値化を達成するには、この圧下比
を、0.7〜1.3とするのが好ましい。より好ましくは0.8
〜1.1の範囲として冷間圧延するのがよい。また、2回
以上の冷延法を行う時には、各冷延はいずれも圧下率50
%以上とし、それぞれの圧下率の差は30%以下とするの
が望ましい。これは圧下率が50%未満でも、圧下率差が
30%超えでも、{111}集積量が低くなりr値が低下する
ためである。
【0043】さらに、本発明における冷間圧延は、被圧
延材表面の剪断変形を低減し、(222)/(200)を高め
て、r値の向上に有効に寄与するため、ロール径と圧延
方向の影響を考慮することが望ましい。すなわち、ロー
ル径100〜200mmφのリバース圧延に比べ、300mmφ以上
のロール径を有する1方向圧延のタンデム圧延を用いる
ことは、表面の剪断変形を低減して{111}を増加し、r
値を高めるうえで効果的である。なお、より高r値を安
定して得るためには、線圧(圧延荷重/板幅)を増大さ
せて板厚方向に均一に歪みを与えるとよい。そのために
は、熱延温度の低下、高合金化、熱延速度の増加を任意
に組み合わせることも有効である。
【0044】f.中間焼鈍 冷延工程として2回以上の冷延法を採用する場合には、
冷間圧延に挟まれた中間焼鈍が最終冷延前焼鈍に該当す
る。最終の仕上焼鈍板を微細結晶粒かつ高r値化するた
めには、熱延板焼鈍の場合と同様の理由で、中間焼鈍後
のフェライト結晶粒の微細化と固溶Cの低減が重要なポ
イントとなる。このため、中間焼鈍温度は最終冷延前の
結晶粒径40μm以下を満たし、かつ未再結晶組織が5%以
上残存しない温度範囲で低温ほどよい。これらのことか
ら、中間焼鈍温度は750〜1000℃とするのが好ましい。
より好ましくは熱延板焼鈍温度より50℃以上低い温度と
するのがよい。
【0045】g.仕上焼鈍 仕上焼鈍における焼鈍温度は、高温であるほど結晶粒が
大きくなり、{111}集積度が向上し、高r値化が達成さ
れる。これは、{111}結晶粒が他の結晶方位の粒を蚕食
して粒成長するからである。しかし、最終冷延前の鋼板
に未再結晶組織が残存する場合には、r値向上に有効な
{111}結晶方位の優先成長が起こらず、リジングの低下
も著しい。すなわち未再結晶組織が残存すると、平均r
値2.0以上を達成できないばかりか、鋼板板厚方向中央
にバンド状組織が残存し、深絞り性、加工性を著しく阻
害する。したがって、仕上焼鈍で、高r値を得るために
は、その前の最終冷延前鋼板の特性管理が重要である。
なお、上述したように、r値向上のためには、高温焼鈍
により{111}粒の優先成長を促進することが有効である
が、結晶粒が過度に大きくなると、加工後の肌荒れ(オ
レンジピール)が生じて、成形限界の低下と耐食性の劣
化をもたらす。このため、仕上焼鈍温度は、焼鈍後の結
晶粒径50μm以下を確保できる範囲で高温ほど良い。但
し、二次加工脆性が問題となる用途では、40μm以下に
微細化することが好ましい。具体的には、850〜1050℃
の温度範囲で仕上焼鈍するのが好ましい。
【0046】なお、以上説明した本発明の鋼板を溶接す
る場合には、TIG、MIGを始めとするアーク溶接、
電縫溶接、レーザー溶接など、通常の溶接方法はすべて
適用可能である。
【0047】
【実施例】(実施例1)表1に示した成分組成を有する
15種類の鋼スラブを、転炉−連続鋳造法で製造し、1150
℃に加熱したのち熱間圧延し、5.0mmの熱延鋼板とし
た。この熱延鋼板を、850〜980℃で熱延板焼鈍し、酸洗
後、1回法では0.8mmに冷間圧延し、2回法では800〜93
0℃で中間焼鈍後、2回目の冷間圧延を行い、最終板厚
0.8mm(全圧下率84%)とした。これらの鋼板について、
熱延焼鈍板、中間焼鈍後鋼板(最終冷延前鋼板)および仕
上焼鈍後鋼板(製品板)の特性を調査した結果を表2に示
した。
【0048】なお表2中の平均r値、耐肌荒れ性および
リジング性の評価は、以下の方法で行った。(1)平均r
値:r値をJIS Z 2254に準拠して測定し、下記式により
平均r値を求めた。なお、r、rおよびrは、そ
れぞれ圧延方向、圧延方向に村して45°および圧延方向
に対して90°方向のr値である。 平均r値=(r+2r+r)/4 (2)耐肌荒れ性:鋼板の圧延方向からJIS 5号試験片を切
り出し、25%の引張歪みを加えて肌荒れを発生させた
後、引張方向に垂直な方向の表面粗度Raを測定し肌荒
れ度を評価した。測定は、JIS B 0601に準拠し、触針法
により試験片長手方向中央部を5点測定し、その平均値
を求めた。評価は、表面粗度Raが2.0μm以下を耐肌荒
れ性良好とした。 (3)リジング性:圧延方向から切り出したJIS 5号引張試
験片の両面を#600のエメリー研磨紙で湿式研磨し、その
後、20%の歪を付与し、粗度計を用いて、試験片表面に
生じた凹凸のうねり高さを測定した。測定位置は引張試
験片の中央部、測定方向は引張方向に直角方向とした。
そして、うねり高さが15μm以下をランクA、16〜30μm
をランクB、31〜45μmをランクC、46〜60μmをランク
D、61μm以上をランクEとする5段階に評価した。な
お、この評価がランクB以上であれば、成形限界曲線に
よる成形性評価から、実用上問題ないレベルと判断でき
る。しかし、ランクC以下になると、r値をいくら向上
させても成形限界が低下する。
【0049】表2から、本発明の成分組成を有する鋼1
〜12は、上記条件で製造した場合、最終冷延前の鋼板は
いずれも、再結晶率が100%、{111}集積度が2.0以上お
よび結晶粒径が40μm以下であり、さらに仕上焼鈍後の
鋼板も、平均r値が2.0以上でかつ肌荒れ性やリジング
性に優れた鋼板となる。これに対して、本発明の成分基
準を外れる鋼13〜15は、最終冷延前の再結晶率を100%
としても、{111}集積度2.0超えを得ることはできず、仕
上焼鈍後の鋼板の平均r値も2.0未満のものしか得られ
ない。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】(実施例2)表3は、表1の本発明の成分
範囲を満たす鋼6のスラブを、実施例1の製造条件をベ
ースにし、粗および仕上熱間圧延温度および圧下配分、
熱延板焼鈍温度、冷間圧延条件等を変化させ、鋼板特性
の変化を調査した結果である。No.16〜19は、冷延1回
法を採用した場合で、熱延板焼鈍の温度を変化させたと
きの特性変化のデータである。熱延焼鈍板の再結晶率が
95%以上であるNo.16,17では、仕上焼鈍後、r値、リ
ジング性、肌荒れ性との良好な特性が得られているが、
熱延板焼鈍温度が低く、再結晶率が95%未満となったN
o.18,19ではリジング性の低下が著しい。No.20〜24
は、冷延2回法で、中間焼鈍温度を変化させたときの特
性変化を示したものである。No.22〜24は、中間焼鈍を
高温で焼鈍した場合で、中間焼鈍後の結晶粒径が40μm
以上に粗大化した結果、リジング性が劣化する、あるい
は、固溶Cが増加して時効指数が大きくなり、平均r値
が劣化している。No.25〜30は、仕上焼鈍温度を変化さ
せたときの特性の変化を示したもので、仕上焼鈍温度を
高温で焼鈍したNo.28〜30の鋼板は、仕上焼鈍後の結晶
粒が粗大化したため、平均r値には影響は少ないが、肌
荒れ性あるいはリジング性の低下を招いている。No.31
〜33は、熱延板焼鈍、中間焼鈍条件を変化させ、最終冷
延前鋼板の{111}集積度を変化させたときの、最終冷延
板の特性を示したものである。{111}集積度が2.0以下で
あるNo.33は、平均r値が低い。No.34〜37は、熱延板焼
鈍および中間焼鈍条件を変化させた、最終冷延板の特性
を示したものである。この場合も、最終冷延前鋼板の{1
11}集積度が本発明の要求を満たさないNo.36,37では、
r値の劣化が大きい。No.38は、熱延板焼鈍および中間
焼鈍条件を変化させ、最終冷延前鋼板の再結晶率を90%
とした場合の最終冷延板の特性を示したものである。再
結晶率95%未満のNo.38鋼は、表面粗さは良好なもの
の、リジング性、r値が著しく悪い。
【0053】
【表3】
【0054】(実施例3)表1の本発明鋼6のスラブ
を、実施例1の製造条件に従い、5.0mmの熱延鋼板と
し、熱延板焼鈍を施した。その後、あるものは、冷延1
回法により、タンデム圧延機で全圧下率を40〜84%に変
化させて0.8〜3.0mmの板厚に圧延したのち、仕上焼鈍を
行った。また、あるものは、冷延2回法を採用し、タン
デム圧延とリバース圧延で、ロール径を変化させて、0.
8mmの板厚まで冷延し、仕上焼鈍を行った。これらの最
終冷延板の特性を、実施例1と同様に調査した結果を表
4に示した。
【0055】結果を、表4に示した。表4のNo.39〜44
は、冷延1回法における冷延圧下率の影響を示したデー
タである。圧下率の低下に伴いr値も低下しており、2.
0以上のr値を得るためには、全圧下率を75%以上確保
することが必要である。また、No.45〜50は、冷延2回
法で、圧延方向とロール径の影響を示したものである。
同じロール径では、リバース式の圧延より1方向圧延の
方が平均r値は向上すること、また同じ圧延方向では、
ロール径が大きいほど平均r値が向上する傾向が認めら
れる。
【0056】
【表4】
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
高r値のほか優れたリジング性、耐肌荒れ性を兼ね備え
た深絞り成形性に好適なフェライト系ステンレス鋼板を
得ることができる。このフェライト系ステンレス鋼板
は、自動車用外板や強度部材のほか家電、厨房、建材等
の強加工用途に適用可能であり、産業上に大きな功を奏
する。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22C 38/54 C22C 38/54 (72)発明者 加藤 康 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 Fターム(参考) 4E002 AA07 AD05 BC05 4K037 EA01 EA02 EA04 EA09 EA10 EA12 EA13 EA15 EA17 EA18 EA19 EA20 EA23 EA25 EA27 EA29 EA31 EA33 EA35 EB03 EB06 EB07 EB08 EB09 FA02 FB00 FB01 FC00 FF03 FG00 FG10 FH00 FH01 FJ07 JA02 JA06 JA07

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C:0.01mass%以下、Si:1.0mass%以
    下、Mn:1.5mass%以下、Cr:11〜23mass%、Ni:2.0mas
    s%以下、P:0.06mass%以下、S:0.03mass%以下、A
    l:1.0mass%以下、N:0.04mass%以下、Nb:0.8mass
    %以下および/またはTi:1.0mass%以下、ただし、こ
    れらは下記(1)式を満足するように含有し、残部がFe及
    び不可避的不純物からなり、再結晶率95%以上でかつ、
    平均結晶粒径が40μm以下、{111}集積度が2.0以上であ
    ることを特徴とするフェライト系ステンレス鋼板。 記 18≦Nb/(C+N)+2(Ti/(C+N))≦60 ……(1) ここで、C,N,NbおよびTiは各元素の含有量(mass
    %)
  2. 【請求項2】上記成分組成に加えてさらに、Moを0.1〜
    3.0mass%かつ下記(2)式を満足するように含有したこと
    を特徴とする請求項1に記載のフェライト系ステンレス
    鋼板。 記 (Cr+3.3Mo)≧14mass% ……(2)
  3. 【請求項3】上記成分組成に加えてさらに、Bを0.0005
    〜0.01mass%含有することを特徴とする請求項1または
    2に記載のフェライト系ステンレス鋼板。
  4. 【請求項4】平均結晶粒径が50μm以下であることを特
    徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のフェライ
    ト系ステンレス鋼板。
  5. 【請求項5】平均r値≧2.0であることを特徴とする請
    求項1〜4のいずれか1項に記載のフェライト系ステン
    レス鋼板。
  6. 【請求項6】請求項1〜3に記載の組成からなるフェラ
    イト系ステンレス鋼板の製造方法において、最終冷延前
    鋼板が再結晶率95%以上かつ平均結晶粒径が40μm以
    下、{111}集積度が2.0以上となる条件で、全圧下率75%
    以上とする冷間圧延を行い、その後、平均結晶粒径を50
    μm以下とする仕上焼鈍を行うことを特徴とする深絞り
    性、リジング性および耐肌荒れ性に優れたフェライト系
    ステンレス鋼板の製造方法。
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