JP2003138075A - 有機過酸化物含有ポリプロピレン系樹脂組成物及びこれを用いた成形体 - Google Patents
有機過酸化物含有ポリプロピレン系樹脂組成物及びこれを用いた成形体Info
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Abstract
ポリマーの造粒工程における溶融粘度を調製するために
有機過酸化物の添加造粒操作等を安定して実施できる有
機過酸化物含有ポリプロピレン系樹脂組成物及びそれを
用いたマスターバッチ等の提供。 【解決手段】 メタロセン触媒によって重合され、MF
Rが0.5〜1000g/10分、Q値が1.5〜4.
0、Tmが110〜135℃、α−オレフィン含有量が
1〜18モル%の有するプロピレン・α−オレフィンラ
ンダム共重合体100重量部に有機過酸化物0.01〜
20重量部を配合した樹脂組成物であって、そのMFR
−1と真空定温乾燥処理を行った後のMFR−2の比、
MFR−2/MFR−1が0.2以下であることを特徴
とする有機過酸化物含有ポリプロピレン系樹脂組成物。
Description
ポリプロピレン系樹脂組成物及びそれを用いた成形体に
関し、特に高濃度で未反応の有機過酸化物を含有するポ
リプロピレン系樹脂組成物及びそれを用いた成形体に関
する。
溶融粘度を調製する手法として、重合後に有機過酸化物
を配合して加熱処理することによりその酸化分解により
重合体の分子量をコントロールする方法が一般的に行わ
れている。特に、プロピレン系重合体を用い、溶融紡糸
工程を伴う繊維の成形や不織布の成形加工を行う場合
は、プロピレン系樹脂の溶融粘度が低いものが成形しや
すく好適であるため、有機過酸化物による流動性調整が
行われている。また、射出成形においても、製品形状に
より樹脂の流れ性を良好にする必要が有る場合は、同様
に有機過酸化物による流動性調整が行われている。
ポリプロピレンの製造プラントで重合されたパウダー状
のポリマーに酸化防止剤等の添加剤と有機過酸化物を添
加し、押出機にて造粒することにより、溶融粘度を調製
したポリマーペレットを得る方法が用いられている。プ
ロピレン重合体の溶融粘度を大幅に低くする場合、製造
プラントで造粒を実施しようとすると、有機過酸化物を
添加した後の押出機による造粒工程において、溶融粘度
が低すぎることによるカッティング不良が生じ、安定し
たペレット形状を得ることが非常に困難であるという問
題があり、逆に、溶融粘度を微調整する場合は、製造プ
ラントで造粒を実施しようとすると、有機過酸化物の添
加量が僅かに振れるだけでも溶融粘度が大きく振れ、微
調整が困難となってしまうという問題があった。
が広範囲にわたって可能にするために、高濃度の有機過
酸化物を含有するプロピレン系重合体のマスターバッチ
を製造しようとすると、溶融混練する際に過酸化物が反
応してしまい、所望する高濃度の有機過酸化物を含有す
るプロピレン系重合体のマスターバッチが得られないと
いう問題があった。
に鑑み、ポリプロピレンの製造プラントで重合されたポ
リマーの造粒工程において、溶融粘度を調製するための
有機過酸化物を添加して造粒を行っても、安定した造粒
操作を実現し、高濃度の有機過酸化物を含有するポリプ
ロピレン系樹脂組成物及びこれからなるマスターバッチ
を提供することを目的とする。
題を解決するため鋭意検討した結果、メタロセン触媒を
用いて重合した特定のプロピレン・α−オレフィン共重
合体に有機過酸化物を配合して低温度で造粒することに
より、高濃度で有機過酸化物を未反応のまま残存させた
ペレットを得ることが可能であり、当該ペレットをマス
ターバッチとして使用することにより、成形加工の段階
で溶融粘度の調製が広範囲にわたって可能となることを
見出し、本発明に至ったものである。
メタロセン触媒によって重合され、下記特性(1)〜
(4)を有するプロピレン・α−オレフィンランダム共
重合体100重量部に有機過酸化物0.01〜20重量
部を配合した樹脂組成物であって、樹脂組成物のMFR
−1と該樹脂組成物の真空定温乾燥処理を行った後のM
FR−2の比(MFR−2/MFR−1)が0.2以下
であることを特徴とする有機過酸化物含有ポリプロピレ
ン系樹脂組成物が提供される。 特性(1):MFRが0.5〜1000g/10分 特性(2):Q値が1.5〜4.0 特性(3):Tmが110〜135℃ 特性(4):α−オレフィン含有量が1〜18モル% (但し、真空定温乾燥処理は、真空度5Tor、温度8
0℃で24時間乾燥後、温度120℃で5時間乾燥する
乾燥処理である。また、MFRはJIS−K6921に
よる230℃、21.18Nでのメルトフローレート、
Q値はGPCにより測定した重量平均分子量Mwと数平
均分子量Mnとの比(Mw/Mn)、Tmは示差走査熱
量計(DSC)によって得られる融解曲線のピーク温度
をそれぞれ示す。)
過酸化物が、160℃における半減期が1分以上の有機
過酸化物であることを特徴とする第1の発明に記載の有
機過酸化物含有ポリプロピレン系樹脂組成物が提供され
る。
押出が、160℃以下の温度で制御されることを特徴と
する第1又は2の発明に記載の有機過酸化物含有ポリプ
ロピレン系樹脂組成物が提供される。
〜3のいずれかの発明に記載の有機過酸化物含有ポリプ
ロピレン系樹脂組成物からなることを特徴とするマスタ
ーバッチが提供される。
の発明に記載のマスターバッチを用いて、成形すること
を特徴とする成形体が提供される。
〜3のいずれかの発明に記載の有機過酸化物含有ポリプ
ロピレン系樹脂組成物からなることを特徴とする成形体
が提供される。
体が、繊維又は不織布であることを特徴とする第5又は
6の発明に記載の成形体が提供される。
布が、メルトブローン法により成形された不織布である
ことを特徴とする第7の発明に記載の成形体が提供され
る。
体が、射出成形品であることを特徴とする第5又は6の
発明に記載の成形体が提供される。
本発明で用いるプロピレン・α−オレフィンランダム共
重合体はメタロセン触媒を使用して重合した共重合体で
ある。メタロセン触媒は、チタン、ジルコニウム、ハフ
ニウム等の周期律表第4〜6族遷移金属と、シクロペン
タジエニル基あるいはシクロペンタジエニル誘導体基と
の錯体を使用することができる。
エニル誘導体基としては、ペンタメチルシクロペンタジ
エニル等のアルキル置換体基、あるいは2以上の置換基
が結合して飽和もしくは不飽和の環状置換基を構成した
基を使用することができ、代表的にはインデニル基、フ
ルオレニル基、アズレニル基、あるいはこれらの部分水
素添加物を挙げることができる。また、複数のシクロペ
ンタジエニル基がアルキレン基、シリレン基、ゲルミレ
ン基等で結合したものも好ましく用いられる。
合物を好ましく挙げることができる。(1)メチレンビ
ス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(2)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジ
メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリ
ド、(3)イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)
(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウ
ムジクロリド、(4)エチレン(シクロペンタジエニ
ル)(3,5−ジメチルペンタジエニル)ジルコニウム
ジクロリド、(5)メチレンビス(インデニル)ジルコ
ニウムジクロリド、(6)エチレンビス(2−メチルイ
ンデニル)ジルコニウムジクロリド、(7)エチレン
1,2−ビス(4−フェニルインデニル)ジルコニウム
ジクロリド、(8)エチレン(シクロペンタジエニル)
(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(9)ジメ
チルシリレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチル
シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1
0)ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウム
ジクロリド、(11)ジメチルシリレンビス(4,5,
6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロ
リド、(12)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニ
ル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(1
3)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(オク
タヒドロフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(1
4)メチルフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−
4,5−ベンゾ(インデニル)]ジルコニウムジクロリ
ド、(15)ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル
−4,5−ベンゾインデニル)]ジルコニウムジクロリ
ド、(16)ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル
−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、(1
7)ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−
(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコ
ニウムジクロリド、(18)ジメチルシリレンビス[1
−(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−
アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、(19)ジメ
チルシリレンビス[1−(2−エチル−4−ナフチル−
4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、(2
0)ジフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4−
(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコ
ニウムジクロリド、(21)ジメチルシリレンビス[1
−(2−メチル−4−(フェニルインデニル))]ジル
コニウムジクロリド、(22)ジメチルシリレンビス
[1−(2−エチル−4−(フェニルインデニル))]
ジルコニウムジクロリド、(23)ジメチルシリレンビ
ス[1−(2−エチル−4−ナフチル−4H−アズレニ
ル)]ジルコニウムジクロリド、(24)ジメチルゲル
ミレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
(25)ジメチルゲルミレン(シクロペンタジエニル)
(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド。
物などの他の第4、5、6族遷移金属化合物についても
上記と同様の化合物が挙げられる。本発明の触媒成分お
よび触媒については、これらの化合物を併用してもよ
い。
るいは両方が臭素、ヨウ素、水素、メチルフェニル、ベ
ンジル、アルコキシ、ジメチルアミド、ジエチルアミド
等に代わった化合物も例示することができる。さらに、
上記のジルコニウムの代わりに、チタン、ハフニウム等
に代わった化合物も例示することができる。
物、メタロセン化合物と反応してメタロセン化合物成分
をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物もし
くはルイス酸、固体酸、あるいは、イオン交換性層状珪
酸塩からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物が
用いられる。また、必要に応じてこれら化合物と共に有
機アルミニウム化合物を添加することができる。
ルアルモキサン、エチルアルモキサン、プロピルアルモ
キサン、ブチルアルモキサン、イソブチルアルモキサ
ン、メチルエチルアルモキサン、メチルブチルアルモキ
サン、メチルイソブチルアルモキサン等が例示される。
また、トリアルキルアルミニウムとアルキルボロン酸と
の反応物を使用することもできる。例えば、トリメチル
アルミニウムとメチルボロン酸の2:1の反応物、トリ
イソブチルアルミニウムとメチルボロン酸の2:1反応
物、トリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニ
ウムとメチルボロン酸の1:1:1反応物、トリエチル
アルミニウムとブチルボロン酸の2:1反応物などであ
る。
リロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナ
イト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、
ベントナイト、テニオライト等のスメクタイト族、バー
ミキュライト族、雲母族などの珪酸酸塩が用いられる。
これらのケイ酸塩は化学処理を施したものであることが
好ましい。ここで化学処理とは、表面に付着している不
純物を除去する表面処理と層状ケイ酸塩の結晶構造、化
学組成に影響を与える処理のいずれをも用いることがで
きる。具体的には、(イ)酸処理、(ロ)アルカリ処
理、(ハ)塩類処理、(ニ)有機物処理等が挙げられ
る。これらの処理は、表面の不純物を取り除く、層間の
陽イオンを交換する、結晶構造中のAl、Fe、Mg等
の陽イオンを溶出させ、その結果、イオン複合体、分子
複合体、有機誘導体等を形成し、表面積や層間距離、固
体酸性度等を変えることができる。これらの処理は単独
で行ってもよいし、2つ以上の処理を組み合わせてもよ
い。
リエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、
ジエチルアルミニウムクロリド等の有機アルミニウム化
合物が使用してもよい。
使用してプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体
を得る。α−オレフィンとしては、プロピレンを除く炭
素数2〜20のα−オレフィンがあげられ、例えばエチ
レン、ブテン−1、ペンテン−1、3−メチル−1−ブ
テン、ヘキセン−1、3−メチル−1−ペンテン、4−
メチル−1−ペンテン、ヘプテン−1、オクテン−1、
ノネン−1、デセン−1、ドデセン−1、テトラデセン
−1、ヘキサデセン−1、オクタデセン−1、エイコセ
ン−1等を例示できる。プロピレンと共重合されるα−
オレフィンは、一種類でも二種類以上併用してもよい。
このうちエチレン、ブテン−1が好適であり、特にエチ
レンが好適である。
不活性溶媒を用いたスラリー法、実質的に溶媒を用いな
い気相法や溶液法、あるいは重合モノマーを溶媒とする
バルク重合法等が挙げられる。
ンランダム共重合体は、前述のメタロセン触媒で重合さ
れた共重合体であって、次の特性(1)〜(4)を有し
ている必要がある。以下、各特性について説明する。
18Nでのメルトフローレートを表わす。本発明のプロ
ピレン・α−オレフィンランダム共重合体のMFRは、
0.5〜1000g/10分であり、好ましくは5〜8
00g/10分、より好ましくは15〜500g/10
分、さらに好ましくは30〜200g/10分である。
MFRが0.5未満の場合は、低温造粒時の圧力上昇及
びせん断による発熱が著しいといった弊害が生じる。逆
に、1000g/10分を超える場合は、溶融粘度が低
すぎることから押出機による造粒ペレット化が困難にな
るといった弊害が生じる。ポリマー自体のMFRを調節
するには、例えば、重合温度、触媒量、分子量調節剤と
しての水素の供給量など適宜調節することができる。
平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)を表す。本発明の
プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体のQ値
は、1.5〜4.0であり、好ましくは1.8〜3.7
であり、より好ましくは2.0〜3.5である。Q値が
4.0を超えると、溶融押出をする際に、押出機内にお
いてせん断発熱が生じやすくなり、押し出し機内の温度
が高くなるため好ましくない。逆に1.5未満である
と、現状メタロセン触媒系でも製造が困難なものであ
る。プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体のQ
値を調整する方法は、2種以上のメタロセン触媒成分の
併用した触媒系や2種以上のメタロセン錯体を併用した
触媒系を用いて重合する、または重合時に2段以上の多
段重合を行うことによりQ値を広く制御することができ
る。逆にQ値を狭く調整するためには、プロピレン・α
−オレフィンランダム共重合体を重合後、有機過酸化物
を使用し溶融混練することにより調整することができ
る。
こなう。 装置 :Waters社製HLC/GPC 150C カラム温度:135℃ 溶媒 :o−ジクロロベンゼン 流量 :1.0ml/min カラム :東ソー株式会社製 GMHHR−H(S)HT 60cm×1 注入量 :0.15ml(濾過処理無し) 溶液濃度 :5mg/3.4ml 試料調整 :o−ジクロロベンゼンを用い、5mg/3.4mlの溶液に調整 し140℃で1〜3時間溶解させる。 検量線 :ポリスチレン標準サンプルを使用。 検量線次数:1次 PP分子量:PS×0.639
解曲線のピーク温度を表す。本発明のプロピレン・α−
オレフィンランダム共重合体のTmは、110〜135
℃である。Tmが135℃を超えると、樹脂組成物を1
60℃以下で均一に造粒することが困難となる。一方、
110℃未満であると、最終製品としたときに、剛性や
耐熱性といった面で弊害が生じる。Tmを調整するには
重合反応系へ供給するα−オレフィンの量を制御するこ
とにより容易に調整することができる。
マー社製の示差走査熱量計(DSC)を用い、サンプル
量10mgを採り、200℃で5分間保持した後、40
℃まで10℃/分の降温速度で結晶化させ、更に10℃
/分の昇温速度で融解させたときに描かれる曲線のピー
ク位置を、融解ピーク温度Tm(℃)とする。
重合体中のα−オレフィン(コモノマー)含有量は、1
〜18モル%であり、好ましくは2〜10モル%であ
り、より好ましくは3〜8モル%である。特に、コモノ
マーがエチレンの場合は、1〜12モル%が好ましい。
コモノマー含有量が1モル%未満であると、融点が高く
なってしまい、低温造粒が困難となる。一方、18モル
%を超えると、融点が低くなりすぎることから、最終製
品としたときに、剛性や耐熱性といった面で弊害が生じ
る。ポリマー中のα−オレフィン含有量は重合反応系へ
供給するα−オレフィンの量を制御することにより容易
に調節することができる。なお、本発明において、α−
オレフィン含有量は、フーリエ変換赤外分光光度計によ
り定量されるものである。
て、配合する有機過酸化物は、その160℃における半
減期が1分以上であるものが好ましい。これに該当する
有機過酸化物としては、例えば、2.5−ジメチル−
2.5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジクミ
ルパーオキサイド、1.3−ビス−(t−ブチルパーオ
キシイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルパーオ
キサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2.5−ジ
メチル−2.5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン
−3、クメンヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロ
パーオキサイド等が挙げられる。160℃における半減
期が1分未満であると、低温造粒においても押出機内で
有機過酸化物がプロピレン系樹脂を分子切断し、分解し
てしまうため、未反応のまま造粒ペレット中に残存させ
ることができない。
−オレフィンランダム共重合体100重量部に対し、
0.01〜20重量部にする必要がある。好ましくは
0.08〜15重量部、さらに好ましくは0.10〜1
0重量部、特に好ましくは0.50〜8重量部である。
有機過酸化物の配合量が、0.01重量部未満である
と、添加量が少ないため、残存有機過酸化物量としても
少なく、マスターバッチ等として使用するには適当でな
い。一方、20重量部を超えると、有機過酸化物の濃度
が高くなりすぎることにより、製造上の危険性が生じ、
好ましくない。
ダム共重合体と有機過酸化物を含有するポリプロピレン
系樹脂組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲
で、各種添加剤、例えば、耐熱安定剤、酸化防止剤、耐
候安定剤、紫外線吸収剤、結晶造核剤、銅害防止剤、帯
電防止剤、スリップ剤、抗ブロッキング剤、防曇剤、着
色剤、充填剤、エラストマー、石油樹脂などを配合する
ことができる。
160℃以下の造粒温度で調製されることが好ましい。
これは、造粒温度が160℃を超えた場合、有機過酸化
物が当該樹脂と反応し、分子切断が促進されてしまうた
め、未反応のまま残存させておくことが困難なためであ
る。
物においては、樹脂組成物のMFR−1と、該樹脂組成
物の真空定温乾燥処理を行った後のMFR−2の比(M
FR−2/MFR−1)が0.2以下であることが好ま
しい。ここで、各々のMFRは、JIS−K6921に
よる230℃、21.18Nで測定したメルトフローレ
ートの値を表わす。MFR−1は、本発明のポリプロピ
レン系樹脂組成物のペレットのMFRであり、またMF
R−2は、該樹脂組成物のペレットを真空定温乾燥処理
した後のペレットのMFRの値である。なお本発明の真
空定温乾燥処理は、真空定温乾燥機を用い、真空度5T
orr以下、温度80℃で24時間乾燥した後、温度を
120℃まで上げ5時間乾燥する処理である。MFR−
2/MFR−1が0.2を超えると、ポリプロピレン系
樹脂組成物中に残存有機過酸化物の量が少ないことを示
しており、その後の成形加工時に溶融粘度の低いものが
得られず、またマスターバッチ等として使用するにも適
当でない。なお、MFR−1は、230℃でMFRを測
定しているため、測定時にポリプロピレン系樹脂組成物
中に残存する有機過酸化物が分解してポリプロピレン重
合体を分子切断し、高流動化したもの、すなわち、低溶
融粘度化したもののMFR値を示している。一方、真空
定温乾燥処理を行った後のMFR−2とは、反応前の有
機過酸化物を除去した後、230℃でMFRを測定して
いるため、測定時には有機過酸化物の影響はほとんど受
けず、有機過酸化物含有ポリプロピレン系組成物におけ
る樹脂部分そのもののMFR値を指している。
系樹脂組成物は、未反応の有機過酸化物を高濃度で含有
する樹脂組成物であるので、単体あるいはマスターバッ
チとして他のポリプロピレン系樹脂と併用することによ
り、成形加工時時に溶融粘度を調製することが可能な樹
脂組成物である。したがって、成形加工時に高流動性が
要求される分野である、繊維又は不織布の成形、特に低
い溶融粘度の樹脂を必要とするメルトブローン成形によ
る不織布、さらに、射出成形などの射出成形品に好適な
材料として用いることができる。
系樹脂組成物をマスターバッチとして使用する場合、そ
の添加量は3〜15重量%、好ましくは、5〜10重量
%であり、基材とするポリプロピレン系樹脂が97〜8
5重量%、好ましくは95〜90重量%である。マスタ
ーバッチとしての添加量が3重量%未満であると、樹脂
全体の溶融粘度を低減する効果が、不十分であり、15
重量%を超えると、基材とするポリプロピレン系樹脂の
特性を損なう傾向があるので好ましくない。
するが、本発明はその要旨を超えない限り下記の実施例
に限定されるものではない。物性等の測定は下記の通り
である。また、実施例、比較例で用いたプロピレン・α
−オレフィンランダム共重合体の製造方法を重合例に示
した。
属書に準拠し測定した(条件:温度/230℃、荷重2
1.18N)。ただし、MFRが200g/10分以上
については、オリフィス径が1mmのものを使用し、上
記附属書に準拠し測定し、測定値を20倍したものを、
MFR値とした。本発明のポリプロピレン系樹脂組成物
のペレットのMFRの測定値をMFR−1とした。該樹
脂組成物のペレットを真空定温乾燥処理した後のペレッ
トのMFRの測定値をMFR−2とした。なお本発明の
真空定温乾燥処理は、真空定温乾燥機(ヤマト科学
(株)製Vacuum Drying Oven DP
41)を用い、真空度5Torr以下、温度80℃で2
4時間乾燥した後、温度を120℃まで上げ5時間乾燥
した。
マトグラフィ(GPC)により測定した重量平均分子量
Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)をQ値と
した。測定条件は前述のとおりである。 検量線 :表1のポリスチレン標準サンプルを使用し
た。
測定した。
れたスメクタイト族ケイ酸塩(水沢化学社製ベンクレイ
SL)20g、ヘプタン200mLを仕込み、トリノル
マルオクチルアルミニウム50mmolで処理後ヘプタ
ンで洗浄し、スラリー1とした。また別のフラスコ(容
積200mL)中に、ヘプタン90mL、〔(r)−ジ
クロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル
−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]
ジルコニウム〕0.3mmol、トリイソブチルアルミ
ニウム1.5mmolを仕込みスラリー2とした。スラ
リー2を、上記スラリー1に加えて、室温で60分攪拌
した。その後ヘプタンを210mL追加し、このスラリ
ーを1Lオートクレーブに導入した。オートクレーブの
内部温度を40℃にしたのちプロピレンを10g/時の
速度でフィードし4時間40℃を保ちつつ予備重合、1
時間残重合を、行い予備重合触媒83gを得た。
ム共重合体の製造 内容積270Lの反応器に液状プロピレン、エチレン、
水素、およびトリイソブチルアルミニウム(TIBA)
のヘキサン希釈溶液を連続的に供給し、内温を62℃に
保持した。プロピレンの供給量は、38kg/hrであ
り、エチレンの供給量は1.1kg/hrであり、水素
の供給量は0.40g/hrであり、TIBAの供給量
は18g/hrであった。前記予備重合触媒を流動パラ
フィンによりスラリー状とし、0.84g/hrでフィ
ードした。その結果、11.7kg/hrのプロピレン
・エチレンランダム共重合体Iを得た。得られたプロピ
レン・エチレンランダム共重合体Iは、MFR=46.
0g/10分、エチレン含量=5.0mol%、Tm=
125.6℃、Q値=2.7であった。
を1.6kg/hr、水素の供給量を0.2g/hr、
予備重合触媒を流動パラフィンによりスラリー状とした
フィード量を0.75g/hrに変更した以外は、重合
例1と同様にして重合を行った。その結果、11.9k
g/hrのプロピレン・エチレンランダム共重合IIを
得た。得られたプロピレン・エチレンランダム共重合体
IIは、MFR=18.0g/10分、エチレン含量=
6.3mol%、Tm=120.0℃、Q値=2.8で
あった。
レンで十分に置換した後、脱水・脱酸素処理したn−ヘ
プタン60Lを導入し、ジエチルアルミニウムクロリド
16g、三塩化チタン触媒(エム・アンド・エム社製)
4.1gを50℃でプロピレン雰囲気下で導入した。更
に気相水素濃度を6.0容量%に保ちながら、50℃の
温度で、プロピレン5.7kg/時及びエチレン0.2
8kg/時の速度で4時間フィードした後、更に1時間
重合を継続した。その結果、12kgのプロピレン・エ
チレンランダム共重合体IIIを得た。得られたプロピ
レン・エチレンランダム共重合体IIIは、MFR=
6.4g/10分、エチレン含量=5.9mol%、T
m=140℃、Q値=4.4であった。
プロピレン・エチレンランダム共重合体I〜IIIの各
物性を表2にまとめた。表2から明らかな通り、重合体
I〜IIは、特性(1)〜(4)を有する本発明のプロ
ピレン・エチレンランダム共重合体であり、重合体II
Iは本発明外の共重合体である。
て、酸化防止剤として1、3、5−トリス[(4−te
rt−ブチル−3−ヒドロキシ−2、6−キシリル)メ
チル]−1、3、5−トリアジン−2、4、6(1H、
3H、5H)−トリオン(サイテック製、商品名サイア
ノックス1790)を0.04重量部、トリス−(2,
4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(チバ・ス
ペシャルティ・ケミカルズ製、商品名イルガホス16
8)を0.05重量部、及び中和剤としてステアリン酸
カルシウム(日東化成工業製、商品名Ca−St)を
0.05重量部、有機過酸化物として2.5−ジメチル
−2.5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(商品
名:カヤヘキサAD 化薬アクゾ社製)を実施例1及び
3では0.4重量部、実施例2及び4では1.6重量部
配合し、ヘンシェルミキサーで500rpm、3分間高
速混合した後、φ50mm単軸押出機(ユニオンプラス
チック社製)を使用し、押出温度160℃(実施例1及
び2)、150℃(実施例3及び4)の条件で溶融、混
練、冷却、カットしてペレット状のプロピレン共重合体
組成物を調製した。得られた樹脂組成物ペレットのMF
R−1及びMFR−2を測定した。その結果を表3に示
す。
てプロピレン共重合体組成物の調製を行なおうとした
が、当該押出温度では押出機内で均一に融解せず、混練
ムラが生じ、ペレット化が困難であった。
以外は実施例1と同様にしてプロピレン共重合体組成物
の調製を行った。得られた樹脂組成物ペレットのMFR
−1及びMFR−2を測定した。その結果を表3に示
す。
点が高いプロピレン系樹脂では、160℃の低温条件で
は均一に溶融させて造粒することが困難であり(比較例
1)、180℃で造粒すると押出機中で有機過酸化物が
作用してしまうため、有機過酸化物を未反応のままペレ
ット中に残存させることが困難であった(比較例2)。
使用し、メルトブローン成形により不織布の製造を行っ
た。ベースの樹脂はMFR60g/10分のポリプロピ
レン単独重合体(SA06;日本ポリケム社製)を用
い、マスターバッチ濃度を10重量%として、両者をド
ライブレンドし、下記のメルトブローン条件で不織布を
成形し、繊度0.3デシテックス、目付量40g/m2
の不織布を得た。
孔;720個、ノズル径;0.3mm 紡糸条件:紡糸温度;270℃、空気温度;250℃、
空気流量;70Nm3/hr 繊維補集条件:エジェクター−コンベア距離;200m
m、コンベアー速度;3.2m/min
測定したところ、520g/10分まで上昇しており、
実施例2で調製した樹脂組成物が溶融粘度を好適に低下
させるマスターバッチとして働いていることが確認され
た。
ン系樹脂組成物は、未反応の有機過酸化物を高濃度で含
有する樹脂組成物であるので、単体あるいはマスターバ
ッチとして他のポリプロピレン樹脂と併用することによ
り、成形加工時時に溶融粘度を調製することが可能な有
用な樹脂組成物として用いることができる。
Claims (9)
- 【請求項1】 メタロセン触媒によって重合され、下記
特性(1)〜(4)を有するプロピレン・α−オレフィ
ンランダム共重合体100重量部に有機過酸化物0.0
1〜20重量部を配合した樹脂組成物であって、樹脂組
成物のMFR−1と該樹脂組成物の真空定温乾燥処理を
行った後のMFR−2の比(MFR−2/MFR−1)
が0.2以下であることを特徴とする有機過酸化物含有
ポリプロピレン系樹脂組成物。 特性(1):MFRが0.5〜1000g/10分 特性(2):Q値が1.5〜4.0 特性(3):Tmが110〜135℃ 特性(4):α−オレフィン含有量が1〜18モル% (但し、真空定温乾燥処理は、真空度5Torr以下、
温度80℃で24時間乾燥後、温度120℃で5時間乾
燥する乾燥処理である。また、MFRはJIS−K69
21による230℃、21.18Nでのメルトフローレ
ート、Q値はGPCにより測定した重量平均分子量Mw
と数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)、Tmは示差
走査熱量計(DSC)によって得られる融解曲線のピー
ク温度をそれぞれ示す。) - 【請求項2】 有機過酸化物が、160℃における半減
期が1分以上の有機過酸化物であることを特徴とする請
求項1に記載の有機過酸化物含有ポリプロピレン系樹脂
組成物。 - 【請求項3】 溶融押出が、160℃以下の温度で制御
されることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機過
酸化物含有ポリプロピレン系樹脂組成物。 - 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の有
機過酸化物含有ポリプロピレン系樹脂組成物からなるこ
とを特徴とするマスターバッチ。 - 【請求項5】 請求項4に記載のマスターバッチを用い
て、成形することを特徴とする成形体。 - 【請求項6】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の有
機過酸化物含有ポリプロピレン系樹脂組成物からなるこ
とを特徴とする成形体。 - 【請求項7】 成形体が、繊維又は不織布であることを
特徴とする請求項5又は6に記載の成形体。 - 【請求項8】 不織布が、メルトブローン法により成形
された不織布であることを特徴とする請求項7に記載の
成形体。 - 【請求項9】 成形体が、射出成形品であることを特徴
とする請求項5又は6に記載の成形体。
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WO2010074394A3 (ko) * | 2008-12-26 | 2010-08-12 | 호남석유화학 주식회사 | 용융장력이 우수한 폴리프로필렌 수지 조성물 및 그 제조방법 |
WO2014069911A1 (ko) * | 2012-11-05 | 2014-05-08 | 주식회사 만텍 | 과산화물 마스터배치 생산 기술 및 이를 이용한 폴리프로필렌 개질 방법 |
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WO2024062853A1 (ja) * | 2022-09-22 | 2024-03-28 | 東レ株式会社 | 長繊維不織布およびその製造方法、ならびに、積層体、フィルター、防護服、マスク |
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- 2001-10-30 JP JP2001333182A patent/JP4210448B2/ja not_active Expired - Lifetime
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