JP2003137856A - 光学活性なエリスロ−3−アミノ−2−ヒドロキシ−4−フェニル酪酸またはその中間体の製造方法 - Google Patents

光学活性なエリスロ−3−アミノ−2−ヒドロキシ−4−フェニル酪酸またはその中間体の製造方法

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JP2003137856A
JP2003137856A JP2001330408A JP2001330408A JP2003137856A JP 2003137856 A JP2003137856 A JP 2003137856A JP 2001330408 A JP2001330408 A JP 2001330408A JP 2001330408 A JP2001330408 A JP 2001330408A JP 2003137856 A JP2003137856 A JP 2003137856A
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English (en)
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Masaya Ikenaka
雅也 生中
Atsushi Matsumoto
淳 松本
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Nagase and Co Ltd
Original Assignee
Nagase and Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 新規化合物であるシリル誘導体を経由して、
エリスロ選択性が向上した(2S,3S)−3−アミノ
−2−ヒドロキシ−4−フェニル酪酸およびその中間体
を効率的かつ安全に製造する方法を提供する。 【解決手段】 エリスロ選択性を決定的にする新規化合
物(2S,3S)−3−(N−保護アミノ)−1−(ア
ルコキシジアルキルシラニル)−4−フェニルブタン−
2−オールを使用し、2,2,6,6−テトラメチルピ
ペリジン−1−オキシルと亜塩素酸塩および次亜塩素酸
塩を用いて、生成した水酸基の立体配置を変えることな
く、末端水酸基をカルボキシル基に誘導することによ
り、(2S,3S)−(3−N−保護アミノ)−2−ヒ
ドロキシ−4−フェニル酪酸が製造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学活性なエリス
ロ−3−アミノ−2−ヒドロキシ−4−フェニル酪酸ま
たはその中間体の製造方法に関し、より詳細には、医薬
品(例えば、HIVプロテアーゼ阻害剤の合成中間体)
として有用な化合物である(2S,3S)−3−アミノ
−2−ヒドロキシ−4−フェニル酪酸およびその中間体
を、効率的かつ安全に製造し得る方法に関する。
【0002】
【従来技術】光学活性なエリスロ−3−アミノ−2−ヒ
ドロキシ−4−フェニル酪酸およびその誘導体を製造す
る方法としては、例えばTMSCNを用いたエリスロ選
択的シアン化水素付加の方法(Tetrahedoro
n Lett.1988,29,3295−3298)
が知られている。しかし、この方法は、使用されるTM
SCNが高価でありかつ毒性の高いために、工業的には
未だ不充分であると言わざるを得ない。
【0003】また、L−フェニールアラニンから誘導し
たα−アミノ−α’,α’−ジハロケトン誘導体の加水
分解による方法(特開平10−59909)が知られて
いる。しかし、この方法は原料であるα−アミノ−
α’,α’−ジハロケトン誘導体の調製が煩雑な上、加
水分解におけるエリスロ選択性が高くないので、生成物
を分別することが不可欠である。
【0004】さらに、不斉触媒を用いたニトロアルドー
ル反応(TetrahedronLett.1994,
35,6123−6126)による方法も知られてい
る。しかし、この方法では、不斉触媒が高価な上、反応
に長時間を要するなど必ずしも工業的な製造に向いてい
るものではない。
【0005】したがって、より合理的かつ工業的な光学
活性なエリスロ−3−アミノ−2−ヒドロキシ−4−フ
ェニルブタン酸誘導体を製造するための方法が所望され
ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題の
解決を課題とするものであり、その目的とするところ
は、新規化合物であるシリル誘導体を経由して、エリス
ロ選択性が向上した(2S,3S)−3−アミノ−2−
ヒドロキシ−4−フェニル酪酸およびその中間体を効率
的かつ安全に製造する方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、以下の式
(I)で表される、(2S,3S)−(3−N−保護ア
ミノ)−2−ヒドロキシ−4−フェニル酪酸:
【0008】
【化13】
【0009】(ここで、Rは、1個〜8個の炭素原子を
有する、置換されていてもよいアルコキシ基または置換
されていてもよいアラルキルオキシ基である)の製造方
法であって、以下の式(II)で示される化合物:
【0010】
【化14】
【0011】(ここで、Rは、1個〜8個の炭素原子を
有する、置換されていてもよいアルコキシ基または置換
されていてもよいアラルキルオキシ基である)を、2,
2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルと
次亜塩素酸塩との存在下にて、亜塩素酸塩で酸化する工
程;を包含する、方法である。
【0012】好適な実施態様では、上記式(II)で表
される化合物は、以下の式(III)で表される化合
物:
【0013】
【化15】
【0014】に、以下の式(IV)または(V)で表さ
れる化合物:
【0015】
【化16】
【0016】(ここで、Rは、1個〜8個の炭素原子を
有する、置換されていてもよいアルコキシ基または置換
されていてもよいアラルキルオキシ基であり、そしてX
はハロゲン原子である)を反応させることにより得られ
る化合物である。
【0017】さらに好適な実施態様では、上記式(II
I)で表される化合物は、以下の式(VI)で表される
化合物:
【0018】
【化17】
【0019】(ここで、Yは脱離可能な保護基である)
の窒素保護基を脱離することにより得られる化合物であ
る。
【0020】さらに好適な実施態様では、上記(VI)
で表される化合物は、以下の式(VII)で表される化
合物:
【0021】
【化18】
【0022】(ここで、RおよびRは、それぞれ独
立して、1個〜5個の炭素原子を有する直鎖または分岐
鎖状のアルキル基であり、そしてYは脱離可能な保護基
である)を塩基の存在下にて酸化することにより得られ
る化合物である。
【0023】さらに好適な実施態様では、上記式(VI
I)で表される化合物は、以下の式(VIII)で表さ
れる化合物:
【0024】
【化19】
【0025】(ここで、Yは脱離可能な保護基である)
に、アルコキシジアルキルシリルメチルマグネシウムハ
ライドを反応させることにより得られる化合物である。
【0026】本発明はまた、以下の式(VII)で表さ
れる化合物:
【0027】
【化20】
【0028】(ここで、RおよびRは、それぞれ独
立して、1個〜5個の炭素原子を有する直鎖または分岐
鎖状のアルキル基であり、そしてYは脱離可能な保護基
である)である。
【0029】本発明はまた、以下の式(VII)で表さ
れる化合物:
【0030】
【化21】
【0031】(ここで、RおよびRは、それぞれ独
立して、1個〜5個の炭素原子を有する直鎖または分岐
鎖状のアルキル基であり、そしてYは脱離可能な保護基
である)の製造方法であって、以下の式(VIII)で
表される化合物:
【0032】
【化22】
【0033】(ここで、Yは脱離可能な保護基である)
に、アルコキシジアルキルシリルメチルマグネシウムハ
ライドを反応させる工程;を包含する、方法である。
【0034】本発明はまた、以下の式(VI)で表され
る化合物:
【0035】
【化23】
【0036】(ここで、Yは脱離可能な保護基である)
の製造方法であって、以下の式(VII)で表される化
合物:
【0037】
【化24】
【0038】(ここで、RおよびRは、それぞれ独
立して、1個〜5個の炭素原子を有する直鎖または分岐
鎖状のアルキル基であり、そしてYは脱離可能な保護基
である)を塩基の存在下にて酸化する工程;を包含す
る、方法である。
【0039】本発明はまた、上記式(VIII)を用い
て得られる、上記式(VII)の化合物を酸化的処理し
て得られる化合物の窒素保護基を脱離することを特徴と
する、(2S,3S)−3−アミノ−4−フェニルブタ
ン−1,2−ジオールの製造方法である。
【0040】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳述する。
【0041】本発明により製造される(2S,3S)−
(3−N−保護アミノ)−2−ヒドロキシ−4−フェニ
ル酪酸は、以下の式(I)で表される:
【0042】
【化25】
【0043】ここで、Rは、1個〜8個の炭素原子を有
する、置換されていてもよいアルコキシ基または置換さ
れていてもよいアラルキルオキシ基である。上記Rに該
当するアルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキ
シ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、およびtert
−ブトキシ基が挙げられる。上記Rに該当するアラルキ
ルオキシ基の例としては、ベンジルオキシ基、p−ニト
ロベンジルオキシ基、およびフェネチルオキシ基が挙げ
られる。
【0044】上記式(I)で表される化合物は、以下の
式(II)で示される化合物:
【0045】
【化26】
【0046】(ここで、Rは、1個〜8個の炭素原子を
有する、置換されていてもよいアルコキシ基または置換
されていてもよいアラルキルオキシ基である)を、2,
2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル
(以下、TEMPOと省略する)と次亜塩素酸塩との存
在下にて、亜塩素酸塩と酸化することにより製造され
る。なお、式(II)におけるRのアルコキシ基および
アラルキルオキシ基の例は上記式(I)の場合と同様で
ある。
【0047】本発明に用いられるTEMPOの量は、上
記式(II)で表される化合物100モルに対して、好
ましくは触媒量であり、より好ましくは2モル%〜50
モル%であり、さらにより好ましくは2モル%〜10モ
ル%である。
【0048】本発明に用いられる次亜塩素酸塩は、例え
ば、次亜塩素酸アルカリであり、より具体的な例として
は、次亜塩素酸ナトリウムおよび次亜塩素酸カリウムが
挙げられる。本発明に用いられる次亜塩素酸塩の量は、
上記式(II)で表される化合物100モルに対して、
好ましくは触媒量であり、より好ましくは1モル%〜1
0モル%であり、さらにより好ましくは1モル%〜6モ
ル%である。
【0049】上記TEMPOと次亜塩素酸塩との混合比
は特に限定されない。TEMPOおよび次亜塩素酸塩の
両方とも、上記好ましい範囲内で当業者により任意に選
択され得る。
【0050】本発明において、上記式(II)で表され
る化合物の酸化剤として使用される亜塩素酸塩は、例え
ば、亜塩素酸アルカリである。このような亜塩素酸塩の
例としては、亜塩素酸ナトリウムおよび亜塩素酸カリウ
ムが挙げられる。本発明に用いられる亜塩素酸塩の量
は、上記式(II)で表される化合物1当量に対して、
好ましくは1当量〜2.5当量であり、より好ましくは
1.5当量〜2.0当量である。
【0051】上記亜塩素酸塩による式(II)で表され
る化合物の酸化は溶媒中で行われることが好ましい。使
用され得る溶媒の例としては、水;脂肪族炭化水素(例
えばペンタン、ヘキサンおよびオクタン);芳香族炭化
水素(例えばベンゼン、トルエンおよびキシレン);エ
ーテル(例えばエチルエーテル、イソプロピルエーテ
ル、テトラヒドロフランおよびジオキサン);ならびに
アセトニトリル;が挙げられ、単独でまたは適宜混合し
て使用され得る。本発明においては、上記酸化反応を順
調に進行させる点から、水とアセトニトリルとの混合溶
媒を使用することが好ましい。なお、この混合溶媒を使
用する場合の水とアセトニトリルとの混合比は、特に限
定されないが、好ましくは1:2(容量比)〜2:1
(容量比)である。
【0052】上記式(II)で表される化合物とTEM
POとの反応においては、予め反応系のpHを調整して
おくことが好ましい。好ましい反応系のpHは6〜7で
ある。このようなpHの調整には、リン酸緩衝液が使用
され得る。さらに、反応系の温度も調節されていること
が好ましい。調節される反応温度は、好ましくは室温〜
60℃であり、より好ましくは30℃〜40℃である。
また、反応時間は特に限定されない。
【0053】ここで、上記式(II)で表される化合物
とTEMPOとの反応においては、意外にも、原料化合
物(式(II)の化合物)に存在する水酸基のうち、一
級水酸基のみが選択的に反応に関与する。そして、これ
を結合している炭素原子がカルボン酸に変わり、二級水
酸基の立体配置を変えることなく目的化合物を提供す
る。
【0054】上記反応後、反応混合物は当業者に周知の
手法で分離され、目的の上記式(I)で表される(2
S,3S)−(3−N−保護アミノ)−2−ヒドロキシ
−4−フェニル酪酸を得ることができる。このようにし
て、式(I)で表される(2S,3S)−(3−N−保
護アミノ)−2−ヒドロキシ−4−フェニル酪酸が効率
良く製造される。
【0055】次いで、上記式(I)で表される化合物の
製造に使用される上記式(II)の化合物について説明
する。
【0056】上記式(II)で表される化合物は、例え
ば、以下の方法を用いて製造される:まず、以下の式
(III)で表される化合物:
【0057】
【化27】
【0058】((2S,3S)−3−アミノ−4−フェ
ニルブタン−1,2−ジオール)と、以下の式(IV)
または(V)で表される化合物:
【0059】
【化28】
【0060】(ここで、Rは、1個〜8個の炭素原子を
有する、置換されていてもよいアルコキシ基または置換
されていてもよいアラルキルオキシ基であり、そしてX
はハロゲン原子である)とが反応させられる。
【0061】式(IV)および(V)において、Rで表
されるアルコキシ基およびアラルキルオキシ基の例は上
記式(I)の場合と同様である。また、Xの例として
は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子
が挙げられる。
【0062】式(IV)で表される化合物(RCOX)
の例としては、特に限定されないが、エトキシカルボニ
ルクロリド、プロポキシカルボニルクロリド、ブトキシ
カルボニルクロリド、tert−ブトキシカルボニルク
ロリド、エトキシカルボニルブロミド、プロポキシカル
ボニルブロミド、ブトキシカルボニルブロミド、ter
t−ブトキシカルボニルブロミド、ベンジルオキシカル
ボニルクロリド、アニシルオキシカルボニルクロリド、
p−ニトロベンジルオキシカルボニルクロリド、フェネ
チルオキシカルボニルクロリド、ベンジルオキシカルボ
ニルブロミドおよびフェネチルオキシカルボニルブロミ
ドが挙げられる。
【0063】他方、式(V)で表される化合物((RC
O)O)の例としては、特に限定されないが、ピロカ
ルボン酸ジエチルエステル、ピロカルボン酸ジプロピル
エステル、ピロカルボン酸ジブチルエステル、ピロカル
ボン酸ジtert−ブチルエステル、ピロカルボン酸ジ
ベンジルエステル、およびピロカルボン酸ジフェネチル
エステルが挙げられる。
【0064】上記反応における、式(III)で表され
る化合物1モルに対して、式(IV)または(V)で表
される化合物は、好ましくは1モル〜1.5モルの範囲
で使用される。
【0065】上記反応は、適切な溶媒中、好ましくは5
℃〜80℃、より好ましくは室温にて行われる。適切な
溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、オクタンなどの脂
肪族炭化水素;エチルエーテル、イソプロピルエーテ
ル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル;
ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;
メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノ
ールなどのアルコール;トリクロロメタン、テトラクロ
ロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタンなどのハ
ロゲン化炭化水素;それらの組合わせなどが挙げられ
る。反応時間は特に限定されない。
【0066】上記反応後、反応混合物は当業者に周知の
手法で分離され、目的の上記式(II)で表される化合
物を得ることができる。
【0067】次いで、上記式(II)で表される化合物
の製造に使用される式(III)の化合物について説明
する。
【0068】式(III)で表される化合物は、例え
ば、以下の方法を用いて製造される:まず、以下の式
(VI)で表される化合物:
【0069】
【化29】
【0070】(ここで、Yは脱離可能な保護基である)
の窒素保護基を脱離することにより得られる。Yの脱離
可能な保護基の例としては、ベンジル基、アニシル基、
p−ニトロベンジル基、o−メチルベンジル基、m−メ
チルベンジル基およびp−メチルベンジル基が挙げられ
る。
【0071】上記窒素保護基の脱離は、例えば、上記式
(VI)で表される化合物を、適切な溶媒中、接触還元
触媒の存在下にて、好ましくは室温で水素添加すること
によって行われる。
【0072】使用され得る溶媒の例としては、ペンタ
ン、ヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;エチル
エーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサンなどのエーテル;メタノール、エタノー
ル、プロパノール、イソプロパノールなどのアルコー
ル;それらの組合わせなどが挙げられる。アルコールが
好ましく、メタノールが特に好ましい。
【0073】使用され得る接触還元触媒としては、パラ
ジウム−炭素、水酸化パラジウム、ラネーニッケルなど
が挙げられる。使用される接触還元触媒の量は、基質
(すなわち、上記式(VI)で表される化合物100重
量部に対して、好ましくは1重量部〜50重量部、より
好ましくは、5重量部〜10重量部である反応時間は特
に限定されない。
【0074】これにより、上記式(VI)の化合物内の
窒素保護基は脱離される。反応後、反応混合物は当業者
に周知の手法で分離され、目的の上記式(III)で表
される化合物を得ることができる。なお、得られた式
(III)で表される化合物は、本発明における上記酪
酸の中間体を製造するための原料のほかに、種々のHI
Vプロテアーゼ阻害剤、例えば、特開平9−71572
号公報に記載されるようなカルバミン酸テトラヒドロフ
リルエステル誘導体の原料としても利用可能である。
【0075】次いで、上記式(III)で表される化合
物の製造に使用される式(VI)の化合物について説明
する。
【0076】式(VI)で表される化合物は、例えば、
以下の方法を用いて製造される:まず、以下の式(VI
I)で表される化合物:
【0077】
【化30】
【0078】(ここで、RおよびRは、それぞれ独
立して、1個〜5個の炭素原子を有する直鎖または分岐
鎖状のアルキル基であり、そしてYは脱離可能な保護基
である)を塩基の存在下にて酸化することにより得られ
る。上記RおよびRの具体例としては、メチル基、
エチル基、プロピル基、ブチル基、およびイソプロピル
基が挙げられる。脱離可能な保護基であるYの例は上記
と同様である。
【0079】上記酸化は、好ましくは、式(VII)で
表される化合物を適切な溶媒中、塩基および酸化剤と反
応させて、酸化的処理を行うことにより行われる。
【0080】使用され得る塩基としては、炭酸水素ナト
リウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリ
ウムなどが挙げられる。使用される塩基の量は、特に限
定されないが、上記式(VII)で表される化合物1当
量に対し、好ましくは1当量〜2当量である。
【0081】使用され得る酸化剤としては、過酸化水素
水などが挙げられる。使用される酸化剤の量は、特に限
定されないが、上記式(VII)で表される化合物1当
量に対し、好ましくは5当量〜10当量である。
【0082】使用され得る溶媒の例としては、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブ
タノールなどのアルコール;エチルエーテル、イソプロ
ピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの
エーテル;アセトン、メチルエチルケトンなどのケト
ン;および酢酸エチルエステル、酢酸ブチルエステルな
どのエステル;が挙げられる。これら溶媒は、単独でま
たは混合してのいずれの形態で使用されてもよい。特に
テトラヒドロフランとメタノールとの1:1(容量比)
でなる混合溶媒が好ましい。
【0083】実際の反応においては、反応温度を調節す
ることが好ましい。好ましい反応温度は室温〜80℃で
あり、より好ましくは70℃〜80℃である。反応時間
は特に限定されない。
【0084】これにより、上記式(VII)の化合物は
酸化される。反応後、反応混合物は当業者に周知の手法
で分離され、目的の上記式(VI)で表される化合物を
得ることができる。
【0085】次いで、上記式(VI)で表される化合物
の製造に使用される式(VII)の化合物について説明
する。
【0086】式(VII)で表される化合物は、例え
ば、以下の方法を用いて製造される:まず、以下の式
(VIII)で表される化合物:
【0087】
【化31】
【0088】(ここで、Yは脱離可能な保護基である)
と、アルコキシジアルキルシリルメチルマグネシウムハ
ライドとの反応が行われる。式(VIII)におけるY
の具体例は上記と同様である。
【0089】上記式(VIII)で表される化合物は光
学活性なフェニルプロパナール誘導体であり、Tetr
ahedron,1996,51,6397−6410
に従って調製することができる。
【0090】アルコキシジアルキルシリルメチルハライ
ドの例としては、メトキシジメチルシリルメチルクロリ
ド、エトキシジメチルシリルメチルクロリド、プロポキ
シジメチルシリルメチルクロリド、ブトキシジメチルシ
リルメチルクロリド、イソプロポキシジメチルシリルク
ロリド、メトキシジエチルシリルメチルクロリド、エト
キシジエチルシリルメチルクロリド、プロポキシジエチ
ルシリルメチルクロリド、ブトキシジエチルシリルメチ
ルクロリド、イソプロポキシジエチルシリルメチルクロ
リド、メトキシジメチルシリルメチルブロミド、エトキ
シジメチルシリルメチルブロミド、プロポキシジメチル
シリルメチルブロミド、ブトキシジメチルシリルメチル
ブロミド、イソプロポキシジメチルシリルメチルブロミ
ド、メトキシジエチルシリルメチルブロミド、エトキシ
ジエチルシリルメチルブロミド、プロポキシジエチルシ
リルメチルブロミド、ブトキシジエチルシリルメチルブ
ロミドおよびイソプロポキシジエチルシリルメチルブロ
ミドが挙げられる。
【0091】この反応におけるアルコキシジアルキルシ
リルメチルハライドの使用量は、特に限定されないが、
上記式(VIII)で表される化合物1モルに対して、
好ましくは1.1モル〜2モルである。
【0092】式(VIII)で表される化合物に対し、
上記アルコキシジアルキルシリルメチルハライドは、金
属マグネシウムを用いて当業者に周知の手法で得られる
グリニヤ試薬の形態で反応させることが好ましい。この
ようなグリニヤ試薬による反応により、立体配置が(2
S,3S)である上記(VII)の化合物を得ることが
できる。このグリニヤ試薬による付加反応は、ほぼ完璧
なエリスロ選択性である。したがって、得られる生成物
の中に、使用目的を阻害する以上の量の他方の異性体を
含まないので、分別のための操作が不要となる。上記グ
リニヤ試薬の使用量は、上記式(VIII)の化合物1
当量に対して、好ましくは1.1当量〜10当量、より
好ましくは1.1当量〜2.0当量である。
【0093】上記反応はまた溶媒中で行われることが好
ましく、使用され得る溶媒としては、メチルtert−
ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチルエーテ
ル、ジオキサン、イソプロピルエーテルなどが挙げられ
る。反応温度も調節されることが好ましく、好ましくは
−50℃〜室温の範囲、より好ましくは−5℃〜5℃の
範囲に調節される。反応時間は特に限定されない。
【0094】反応後、反応混合物は当業者に周知の手法
で分離され、目的の上記式(VII)で表される化合物
を得ることができる。なお、上記より明らかなように、
得られた式(VII)の化合物が、本発明の一連でのキ
ーとなる重要な化合物である。すなわち、式(VII)
で表される化合物の立体配置が、一連の本発明の製造方
法で得られる化合物の立体配置を決定するからである。
【0095】このようにして、式(VII)で表される
新規なシリル誘導体を経由して、エリスロ選択性が向上
した(2S,3S)−3−アミノ−2−ヒドロキシ−4
−フェニル酪酸を効率的に製造することができる。また
この一連の方法を行う際、従来のような毒性の問題を含
む物質を使用しないため、各化合物をより安全に製造す
ることができる。
【0096】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はそれら実施例に限定されるもので
はない。
【0097】<参考例1> (2S)−(N,N−ジベンジルアミノ)−3−フェニ
ルプロパナール(2)の合成
【0098】
【化32】
【0099】(2S)−(N,N−ジベンジルアミノ)
−3−フェニル−プロパン−1−オール (1)(5.
03g、0.015mol:Aldrich製)をEt
N(7.5 mL、0.054mol)に溶解した。
混合物を、5℃〜10℃にまで冷却し、そしてSO
Py錯体(9.5g、0.059mol)のDMSO
(40mL)溶液を5℃〜17℃に保ちながら滴下し
た。反応の進行をTLC[Merck Kieselg
el 60,0.25mm thick, art1.
05714.;n−ヘキサン−EtOAc(4:1)]
で確認しながら、室温で1時間撹拌した。反応液を氷冷
し、冷水(40mL)を5℃〜15℃に保持しながら、
加えた。副生成物のジメチルスルフィドについてはN
ガスを吹き込むことにより除いた。反応液をEtOAc
(50mL)で抽出し、EtOAc層を、5%クエン酸
(50mL)および飽和食塩水(50mL)で洗浄し、
乾燥(MgSO)後、35℃〜40℃の間の温度下に
て減圧濃縮し、標題化合物(2)を微黄色オイルとして
得た(収量5.50g(定量的))。
【0100】得られた微黄色オイル(標題化合物
(2))の分析結果は以下の通りであった:
【0101】400MHz H−NMR δ(CDC
)9.71(s,1H),7.40−7.05
(m,15H),3.82および3.67(AB−sy
stem,JAB=14.0Hz,4H),3.56
(t,J=6.8Hz,1H)3.14および2.94
(ABX−system ,JAB=14.0 Hz,
=7.6Hz,JBX=6.4Hz,2H)pp
m TLC[Merck Kieselgel 60,
0.25mm thick,art 1.0571
4.;n−ヘキサン−EtOAc(4:1)] 化合物(2)のR値:0.70。
【0102】この微黄色オイルを精製することなく、次
の工程に用いた。
【0103】<実施例1> (2S,3S)−3−(N,N−ジベンジルアミノ)−
1−(イソプロポキシジメチルシラニル)−4−フェニ
ルブタン−2−オール(3)の合成
【0104】
【化33】
【0105】300mLの3つ口フラスコ(滴下ロート
およびNライン接続の冷却管を備える)に、削状Mg
(0.67g、0.028mol−atm)を加え、N
下、ドライヤーで乾燥させた。容器を室温まで冷却
後、N下にて、(イソプロポキシジメチルシリル)メ
チルクロリド(4.63g、0.028mol)のTH
F溶液40mLのうち5mLを滴下し、さらに1,2−
ジブロモエタン50μLを加えた。混合物を室温で撹拌
し、反応が始まった後、残りの上記THF溶液を、穏や
かな発熱反応を保ちながら、約30分かけて滴下した。
滴下終了後、銀灰色の混合液を30分間還流し、0℃に
冷却した。
【0106】参考例1で得られた(2S)−(N,N−
ジベンジルアミノ)−3−フェニルプロパナール(2)
(5.50g、0.015mol)をTHF(30m
L)に溶解し、0℃で約30分かけて滴下した。反応の
進行をTLC[Merck Kieselgel 6
0,0.25mm thick,art 1.0571
4.; n−ヘキサン−EtOAc(4:1)]で確認
しながら、0℃で30分間撹拌した。さらに、0℃で1
0%塩化アンモニウム水溶液(80mL)を加え、反応
液を加水分解した。次いで、酢酸エチルエステル(70
mL)を加えて抽出し、有機層を食塩水(50mL)で
洗浄し、乾燥(NaSO)した後、室温で減圧濃縮
して、標題化合物(3)を微黄色オイルとして得た(収
量7.6g(定量的))。
【0107】得られた微黄色オイル(標題化合物
(3))の分析結果は以下の通りであった:
【0108】400MHz H−NMR δ(CDC
) 7.25−7.05(m,15H),4.12
−4.05(m,1H),3.98−3.90(m,1
H),3.70−3.50 (m,4H),3.00−
2.70(m,4H),1.08(dd,J=6.4H
z,9.6Hz,6H),0.83−0.78(m,2
H),0.11−0.04(m,6H)ppm IRνmax(KBr)3492,2970,280
2,1740,1603,1495, 1454,13
69,1252,1122,1018,841,744
cm−1 TLC[Merck Kieselgel 60,0.
25 mm thick,art 1.05714.;
n−ヘキサン−EtOAc(4:1)] 化合物(3)のR値:0.60。
【0109】<実施例2> (2S,3S)−3−(N,N−ジベンジルアミノ)−
4−フェニルブタンー1,2−ジオール(4)の合成
【0110】
【化34】
【0111】300mLの3ツ口フラスコ(温度計およ
び冷却管を備える)に、実施例1で得られた粗製の化合
物(3)(7.6g、0.015mol)、MeOH
(40mL)、THF(40mL)およびNaHCO
(1.6g、0.019mol)を加えた。次いで、3
0%過酸化水素水(12.0ml)を室温で加えた後、
70℃まで昇温し、反応の進行をTLC[Merck
Kieselgel60,0.25mm thick,
art 1.05714.;n−ヘキサン−EtOAc
(4:1)]で確認しながら、70℃で2時間30分間
撹拌した。その後、10%Na水溶液(15
0mL)を10℃から25℃の間で注意深く滴下して、
さらに30分撹拌し、過剰の過酸化水素を分解した。反
応混合物にEtOAc(150mL)を加え抽出し、E
tOAc層を食塩水(50mL×2回)で洗浄し、乾燥
(NaSO)した後、室温で減圧濃縮して、標題化
合物(4)を微黄色オイルとして得た(収量6.3g
(定量的))。
【0112】得られた微黄色オイル(標題化合物
(4))の分析結果は以下の通りであった:
【0113】400MHz H−NMR δ(CDC
)7.31−7.15(m,15H),3.86−
3.80(m,1H),3.77(d,J=13.6H
z,2H),3.68−3.58(m,2H),3.5
4(d,J=13.6Hz,2H),3.15(dd,
J=6.4Hz,13.2Hz,1H),3.06−
2.92(m,2H)ppm IRνmax(KBr)3396,3061,302
6,2928,1950,877,1809,173
8,1602,1495,1454,1373,124
4,1028,974,906,876,744,69
8,611,509cm−1 TLC[Merck Kieselgel 60,0.
25mm thick,art 1.05714.;n
−ヘキサン−EtOAc(1:1)] 化合物(4)のR値:0.40。化合物(3)のR
値:0.80。
【0114】この微黄色オイルを精製することなく、次
の工程に用いた。
【0115】<実施例3> (2S,3S)−3−アミノ−4−フェニル−ブタン−
1,2−ジオール(5)の合成
【0116】
【化35】
【0117】実施例2で得られた粗製の化合物(4)
(4.70g)を、EtOH(50mL)に溶解し、5
%Pd/C (Ktype,N.E.Chemcat
Corporation;水分含量:55.58%;
0.92g)を加えた。混合物を初期の水素圧4.0
kg/cmで50℃にて撹拌した。1時間後、TLC
[Merck Kieselgel 60,0.25m
m thick,art1.05714.;n−ヘキサ
ン−EtOAc(1: 1)]で確認しながら、6.5
時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却した後、触媒
を濾別し、EtOH(20mL)で洗浄した。次いで、
濾液と洗液とを集めて濃縮した。さらに、残渣にEtO
H(15mL)およびヘキサン(40mL)を加え、析
出した沈殿を濾取して、白色結晶を得た(収量1.50
g)。
【0118】この白色結晶のうち、MeOHに不溶分を
濾過することにより除去して、標題化合物(5)白色結
晶として得た(収量1.14g)。参考例1に使用した
化合物(1)からの収率は55.6%であった。
【0119】得られた白色結晶(標題化合物(5))の
分析結果は以下の通りであった:
【0120】400MHz H−NMR δ(CD
OD) 7.30−7.18(m,5H),3.75−
3.60(m,2H),3.58−3.52(m,1
H),3.08−2.98 (m,2H),2.58−
2.42(m,1H)ppm IRνmax(KBr)3305,3081,291
6,2703,1608,1493, 1454,14
36,1377,1078,1043,958,90
6,878,844,750,700,649,59
2,511cm−1 融点mp110−113℃ [α] 25−35.2(c0.95,MeOH) TLC[Merck Kieselgel 60,0.
25mm thick,art 1.05714.;n
−ヘキサン−EtOAc(1:1)] 化合物(5)のR値:0.05 MS(ESI)182[M+H]
【0121】<実施例4> (2S,3S)−(3−N−tert−ブトキシカルボ
ニルアミノ)−4−フェニルブタン−1,2−ジオール
(6)の合成
【0122】
【化36】
【0123】実施例3で得られた化合物(5)(0.5
0g、2.76mmol)をMeOH(15mL)に溶
解し、撹拌下、BocO(0.63g、2.9mmo
l)を室温にて加えた。TLC [Merck Kie
selgel 60,0.25mm thick,ar
t 1.05714.;n−ヘキサン−EtOAc
(1:1)]にて反応の進行を確認しながら、反応混合
物を室温にて2時間撹拌した。次いで、反応混合物を減
圧濃縮し、残渣にEtOAc(50mL)を加えた。こ
れを1N KHSO水溶液(30mL×2回)、飽和
食塩水(30mL×2回)で洗浄し、乾燥(MgS
)後、減圧濃縮して、標題化合物(6)を白色固体
として得た(収量0.90g(定量的))。
【0124】得られた白色固体(標題化合物(6))の
分析結果は以下の通りであった:
【0125】400MHz H−NMR δ(DMS
O−d6)7.30−7.10(m,5H),6.56
および6.10(d,J=9.2Hz,1H),4.8
0−4.70(m,1H),4.50−4.40(m,
1H),3.62−3.56(m ,1H),3.50
−3.30(m,3H),2.95(dd,J=3.2
Hz,13.6Hz,1H),2.58−2.52
(m,1H ),1.35−1.20(m,9H)pp
m IRνmax(KBr)3361,2981,293
0,1685,1605,1525,1444,136
5,1315,1269,1250,1175,104
0,1013,890,757,702,648cm
−1 TLC[Merck Kieselgel 60,0.
25mm thick,art 1.05714.;n
−ヘキサン−EtOAc(1:1)] 化合物(6)のR値:0.40。
【0126】<実施例5> (2S,3S)−(3−N−tert−ブトキシカルボ
ニルアミノ)−2−ヒドロキシ−4−フェニル酪酸の合
【0127】
【化37】
【0128】MeCN(5mL)とリン酸ナトリウム緩
衝液(5mL、pH6.7)との混合液に、室温にて実
施例4で得られた化合物(6)(0.30g、純分換算
で0.92mmol)、2,2,6,6−テトラメチル
ピペリジン−1−オキシル(TEMPO)(40mg、
0.26mmol)、 および亜塩素酸ナトリウム
(0.21g、80%、1.86mmol)を順に加
え、35℃まで加熱した。次いで、希釈した次亜塩素酸
ナトリウム水溶液(0.28%NaOCl、0.75m
L、3mol%)を加え、TLC[Merck Kie
selgel 60,0.25mm thick,ar
t 1.05714.;n−ヘキサン−EtOAc
(1:1)]で反応の進行を確認しながら、35℃で撹
拌を続けた。撹拌開始から6.5時間後、TEMPO
(20mg)および次亜塩素酸ナトリウム水溶液(0.
28%NaOCl、0.25mL、1mol%)を加え
た。さらに撹拌開始から31時間後、再びTEMPO
(20mg)および次亜塩素酸ナトリウム水溶液(0.
28%NaOCl、0.50mL、2mol%)を加え
た。またさらに撹拌開始から48時間後、原料の焼失が
確認され、室温まで放冷した。水(10mL)を加え、
2NのNaOH(2mL)でpHを8.0に調整した。
6%NaSO水溶液(10ml)を20℃以下で滴
下した。滴下後のpHは9.0であった。30分撹拌し
た後、メチルtert−ブチルエーテル(MTBT)
(20mL)を加え、分液したMTBE層を廃棄した。
【0129】他方の水層に、EtOAC(50mL)を
加え、水層に2NのHCl(3mL)を添加してpHを
3に調整した。有機層を分液し、水(20mL)、飽和
食塩水(30mL×2回)で洗浄し、乾燥(MgS
)した後、減圧濃縮して、粗製化合物を白色固体と
して得た(0.35g)。得られた粗生成物に、AcO
Et(2mL)およびn−ヘキサン(6mL)を加え、
15分間還流した(固体は完全には不溶であった)。5
℃まで徐々に冷却した後、5℃で30分間保持し、析出
した結晶を濾取した。次いで、この結晶を、n−ヘキサ
ン(10mL×1回)で洗浄し、50℃で一晩送風乾燥
して、標題化合物(7)を白色結晶として得た(収量
0.20g)。化合物(5)からの通算収率は74%で
あった。
【0130】得られた白色結晶(標題化合物(7))の
分析結果は以下の通りであった:
【0131】融点:147℃〜148℃ [α] 20 2.69(c1.00,MeOH) 400MHz H−NMR δ(DMSO−d6)1
2.8−12.4(br,1H),7.30−7.10
(m,5H),6.72および6.20(d,J=8.
8Hz,1H),5.80−5.20(br,1H),
4.00(d,J=4.8 Hz,1H),4.00−
3.80(m,1H),2.80−2.60(m,2
H),1.35−1.20(m,9H)ppm IRνmax(KBr)3402,3353,298
5,2938,1695,1518,1446,139
0,1288,1269,1250,1169,106
7,1051,1027,933,845,760,7
04,656,602,515cm−1 TLC[Merck Kieselgel 60,0.
25mm thick,art 1.05714.;n
−ヘキサン−EtOAc(1:1)] 化合物(7)のR値:0 TLC[Whatman KC18F Silica
gel 60 A,カタログNo:4803−800;
BuOH−HO−AcOH(4:1:1)] 化合物(7)のR値:0.80 MS(ESI)294[M−H]
【0132】
【発明の効果】本発明によれば、立体選択的に特徴付け
られる新規な中間体を経由することにより、分別を要し
ない立体選択的な(2S,3S)−(3−N−保護アミ
ノ)−2−ヒドロキシ−4−フェニル酪酸を効率的かつ
安全に製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07C 271/16 C07C 271/16 271/22 271/22 C07F 7/18 C07F 7/18 M // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 C07M 7:00 C07M 7:00 Fターム(参考) 4H006 AA02 AC46 AC56 AC80 AC81 BD70 BE36 BJ50 BN10 BU40 RA06 RB34 4H039 CA65 CC30 4H049 VN01 VP01 VQ35 VR23 VR41 VU36 VW02

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の式(I)で表される、(2S,3
    S)−(3−N−保護アミノ)−2−ヒドロキシ−4−
    フェニル酪酸: 【化1】 (ここで、Rは、1個〜8個の炭素原子を有する、置換
    されていてもよいアルコキシ基または置換されていても
    よいアラルキルオキシ基である)の製造方法であって、 以下の式(II)で示される化合物: 【化2】 (ここで、Rは、1個〜8個の炭素原子を有する、置換
    されていてもよいアルコキシ基または置換されていても
    よいアラルキルオキシ基である)を、2,2,6,6−
    テトラメチルピペリジン−1−オキシルと次亜塩素酸塩
    との存在下にて、亜塩素酸塩で酸化する工程;を包含す
    る、方法。
  2. 【請求項2】 前記式(II)で表される化合物が、以
    下の式(III)で表される化合物: 【化3】 に、以下の式(IV)または(V)で表される化合物: 【化4】 (ここで、Rは、1個〜8個の炭素原子を有する、置換
    されていてもよいアルコキシ基または置換されていても
    よいアラルキルオキシ基であり、そしてXはハロゲン原
    子である)を反応させることにより得られる化合物であ
    る、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記式(III)で表される化合物が、
    以下の式(VI)で表される化合物: 【化5】 (ここで、Yは脱離可能な保護基である)の窒素保護基
    を脱離することにより得られる化合物である、請求項2
    に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記(VI)で表される化合物が、以下
    の式(VII)で表される化合物: 【化6】 (ここで、RおよびRは、それぞれ独立して、1個
    〜5個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖状のアルキ
    ル基であり、そしてYは脱離可能な保護基である)を塩
    基の存在下にて酸化することにより得られる化合物であ
    る、請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記式(VII)で表される化合物が、
    以下の式(VIII)で表される化合物: 【化7】 (ここで、Yは脱離可能な保護基である)に、アルコキ
    シジアルキルシリルメチルマグネシウムハライドを反応
    させることにより得られる化合物である、請求項4に記
    載の方法。
  6. 【請求項6】 以下の式(VII)で表される化合物: 【化8】 ここで、RおよびRは、それぞれ独立して、1個〜
    5個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖状のアルキル
    基であり、そしてYは脱離可能な保護基である。
  7. 【請求項7】 以下の式(VII)で表される化合物: 【化9】 (ここで、RおよびRは、それぞれ独立して、1個
    〜5個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖状のアルキ
    ル基であり、そしてYは脱離可能な保護基である)の製
    造方法であって、 以下の式(VIII)で表される化合物: 【化10】 (ここで、Yは脱離可能な保護基である)に、アルコキ
    シジアルキルシリルメチルマグネシウムハライドを反応
    させる工程;を包含する、方法。
  8. 【請求項8】 以下の式(VI)で表される化合物: 【化11】 (ここで、Yは脱離可能な保護基である)の製造方法で
    あって、 以下の式(VII)で表される化合物: 【化12】 (ここで、RおよびRは、それぞれ独立して、1個
    〜5個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖状のアルキ
    ル基であり、そしてYは脱離可能な保護基である)を塩
    基の存在下にて酸化する工程;を包含する、方法。
  9. 【請求項9】 請求項7により得られる化合物を酸化的
    処理して得られる化合物の窒素保護基を脱離することを
    特徴とする、(2S,3S)−3−アミノ−4−フェニ
    ルブタン−1,2−ジオールの製造方法。
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