JP2003137698A - Iii−v族半導体材料 - Google Patents

Iii−v族半導体材料

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JP2003137698A
JP2003137698A JP2001329166A JP2001329166A JP2003137698A JP 2003137698 A JP2003137698 A JP 2003137698A JP 2001329166 A JP2001329166 A JP 2001329166A JP 2001329166 A JP2001329166 A JP 2001329166A JP 2003137698 A JP2003137698 A JP 2003137698A
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iii
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oxygen
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Saburo Shimizu
三郎 清水
Saki Sonoda
早紀 園田
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Ulvac Inc
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    • H01F1/01Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
    • H01F1/40Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials of magnetic semiconductor materials, e.g. CdCr2S4
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Abstract

(57)【要約】 【課題】常温で強磁性を示すIII−V族希薄磁性半導体
を提供する。 【解決手段】GaNに、Mnと酸素を、それぞれ0.5
〜15at%の範囲と1×1018〜3×1020個cm-3
以下の範囲で含有させる。Mnが浅いアクセプタレベル
を形成し、GaNがp型を示す。このGaNは室温にお
いて強磁性を示す。酸素に替えてシリコンを含有させた
り、又は酸素と共にシリコンを含有させてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、希薄磁性半導体を
成長させる技術にかかり、特にGaやIn等のIII族金
属を主成分とし、磁性金属としてMnを主成分として含
むIII族窒化物希薄磁性半導体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年では、金属多層膜における巨大磁気
抵抗効果を利用した素子が実用に供されており、磁気セ
ンサや磁気ランダムアクセスメモリの研究も盛んに行わ
れている。更に、磁性体と半導体の複合構造や、希薄磁
性半導体などの新材料のエレクトロニクスへの応用も研
究されている。ここで、希薄磁性半導体とは、非磁性半
導体と磁性原子の混晶半導体であって、通常、磁性原子
の濃度20at%以下のものを指している。
【0003】希薄磁性半導体としては、強磁性を示す物
質として、既にGaAs:Mn,InAs:Mn、Cd
Te:Mnなどが実現されており、GaAs:Mnにお
いては、これをp層としてn−GaAsとの接合で発光
ダイオードが作製されている。この発光ダイオードをG
aAs:Mn層のキュリー温度以下にして電流を流し、
発光させると、その発光がスピン偏極電流に基づく円偏
光成分をもつことが確認されている。これは、スピン偏
極した電流がpn接合に流れたことを示している(H.ohn
o et al.,NATURE vol.402,1999)。
【0004】しかし、現在までに報告されている閃亜鉛
鉱型III‐V族希薄磁性半導体のキュリー温度は100
K以下である。
【0005】これに対し、ワイドギャップ半導体である
GaNを母材とした場合には、Mn,V,Crを磁性不
純物として含ませると強磁性を発現し、そのキュリー温
度は室温を超えるという予測がなされている。特に、M
nを添加した場合には、得られたGaN:Mn膜がp型
を示すと室温において強磁性になるという予測がある
(T.Dietl et al.,Science287,1019(2000))。
【0006】しかし、これまでRF励起窒索プラズマを
用いてGaN:Mnの成長が試みられているが、室温に
おいて強磁性を発現するに至っていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来技術
の不都合を解決するために創作されたものであり、その
目的は、室温で動作可能な希薄磁性半導体を提供するこ
とにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1記載の発明は、III族元素としてガリウム
を主成分とし、V族元素として窒素を主成分とするIII
−V族希薄磁性半導体であって、マンガンを0.5at
%以上15at%以下の範囲で含有し、酸素原子を1×
1018個cm-3以上3×1020個cm-3以下の濃度範囲
で含有するIII−V族希薄磁性半導体である。請求項2
記載の発明は、III族元素としてガリウムを主成分と
し、V族元素として窒素を主成分とするIII−V族希薄
磁性半導体であって、マンガンを0.5at%以上15
at%以下の範囲で含有し、シリコン原子を1×1018
個cm-3以上9×1019個cm-3以下の濃度範囲で含有
するIII−V族希薄磁性半導体である。請求項3記載の
発明は、III族元素としてガリウムを主成分とし、V族
元素として窒素を主成分とするIII−V族希薄磁性半導
体であって、マンガンを0.5at%以上15at%以
下の範囲で含有し、酸素原子とシリコン原子を、合計の
量が、1×1018個cm-3以上3×1020個cm-3以下
の濃度範囲で含有するIII−V族希薄磁性半導体であ
る。
【0009】通常、III族元素としてガリウムを主成分
とし、V族元素として窒素を主成分とするIII族窒化物
半導体は、ノンドープではn型の電気伝導を示す。
【0010】III族元素としてガリウムを主成分とし、
V族元素として窒素を主成分とするIII−V族化物半導
体(III族窒化物半導体)の作成において、磁性元素であ
るマンガンを成長中のIII−V族化物半導体に単独で添
加すると、添加されたマンガンはIII−V族化物半導体
中で深いアクセプターレベルを形成するため、添加され
たマンガンは残留不純物である電子をトラップする。そ
の結果、得られたIII−V族化物半導体は室温において
強磁性を示すことなく高抵抗膜となってしまう。
【0011】それに対し、本発明方法は、真空雰囲気中
で成長途中のIII−V族化物半導体結晶に磁性元素であ
るマンガンと、n型ドーパントである酸素又はシリコン
のいずれか一方又は両方を添加している。そして、マン
ガンを含有し、且つ、酸素又はシリコンのいずれか一方
又は両方を含有するIII−V族化物半導体結晶を得てい
る。添加物の濃度は下記の通りである。
【0012】(1)マンガンの含有量……0.5at%以
上15at%以下の範囲 (2)酸素濃度……1×1018cm-3個以上3×1020cm
-3個以下の範囲 (3)シリコン濃度……1×1018cm-3個以上9×10
19cm-3個以下の範囲 (4)酸素原子とシリコン原子の合計の濃度……1×10
18cm-3個以上3×102 0cm-3個以下
【0013】その結果、本発明のIII−V族化物半導体
結晶は、マンガンを単独で添加した場合よりもアクセプ
ターレベルが浅くなり、室温において強磁性を示すp型
のIII−V族化物半導体結晶(GaN:Mn)が得られ
る。
【0014】
【発明の実施の形態】先ず、本発明の第一の実施例を説
明する。図1の符号10は、本発明のIII−V族半導体
材料の一例であるIII−V族希薄磁性半導体を製造でき
る成膜装置(分子線エピタキシー(MBE)装置)を示して
いる。
【0015】この成膜装置10は真空槽11を有してお
り、その底壁側には、第1、第2の蒸発源14、15が
配置されており、壁面には、酸素ガス導入ノズル12
と、アンモニアガス導入ノズル13とが取り付けられて
いる。真空槽11の天井側には、ヒータ17が配置され
ている。
【0016】第1、第2の蒸発源14、15の内部に
は、Gaを主成分とする第1の金属材料36と、Mnを
主成分とする第2の金属材料37とがそれぞれ配置され
ている。
【0017】まず、真空槽11内部を真空雰囲気にし、
真空雰囲気を維持しながらサファイアから成る成膜対象
の基板21を、真空槽11の底壁側に向けてヒータ17
の近傍に配置し、その状態で、ヒータ17に通電して発
熱させ、基板21を昇温させる。
【0018】基板21が950℃に達し、その温度で1
5分間維持すると、基板21の表面が清浄化される。
【0019】清浄化の終了後、500℃まで降温させ、
アンモニアガス導入ノズル13からアンモニアガスを噴
出させ、真空槽11内にアンモニアガスを導入する。
【0020】アンモニアガスの導入とともに、第1の蒸
発源14内に配置された第1の金属材料36を加熱し、
Gaを主成分とする金属分子線(Gaを主成分とする金
属材料36の蒸気)を発生させて基板21表面にGaN
層を成膜し、次いで、600℃で15分加熱して単結晶
化し、図2(a)に示すように、基板21上にバッファ層
22を形成した。
【0021】成膜条件は、アンモニアガスの流量5〜1
00sccm、第1の蒸発源の温度850〜950℃の
範囲であり、形成したバッファ層22の厚さは0.1〜
1μmであった。
【0022】次に、基板21を620℃に昇温させ、ア
ンモニアガス導入ノズル13によってバッファ層22表
面にアンモニアガスを直接吹き付け、熱分解させるとと
もに、第1、第2の蒸発源14、15内の第1、第2の
金属材料36、37を加熱し、Gaを主成分とする分子
線と、Mnを主成分とするとをバッファ層22表面に向
けて照射するとともに、酸素ガス導入ノズル12から酸
素ガスを吹き付けて酸素のドーピングを行い、図2(b)
に示すように、バッファ層22表面にGaN:Mnの薄
膜から成るIII−V族希薄磁性半導体23を形成した。
【0023】このIII−V族希薄磁性半導体23中で
は、添加された酸素はキャリアとして電子を放出するた
め、酸素はn型のドーパントになる。
【0024】比較例とし、上記III−V族希薄磁性半導
体23とは別に、第2の蒸発源15からはMn蒸気を発
生させず、第1の蒸発源14の温度を900℃としてG
a蒸気を発生させ、アンモニアガスの流量を5sccm
に設定し、酸素を添加しながらGaN膜を成長させた場
合の、GaN膜中の酸素流量とキャリア濃度の関係を測
定した。図3は、その関係を示すグラフである。
【0025】図3から分かるように、酸素流量の増加と
ともに電子濃度が増加している。この電子濃度は、SI
MS(Secondary Ion Mass Spectroscopy)を用いて測定
した酸素濃度とほぼ一致した。
【0026】また、第1の蒸発源14の温度900℃と
し、アンモニアガスの流量を5sccmに設定し、第2
の蒸発源15の温度を475〜630℃で変化させMn
濃度0.5, 3, 7, 15at%のGaN:Mn膜から
成る本発明のIII−V族希薄磁性半導体23をバッファ
層22上に形成した。このIII−V族希薄磁性半導体2
3について酸素濃度とキャリア濃度の関係を測定した。
【0027】図4はその関係を示すグラフである。この
膜中のMn濃度はEPMA(Electron Probe Micro Ana
lyzer)で測定し、酸素濃度はSIMS(Secondary Ion M
assSpectroscopy)によって測定した。
【0028】0.5〜15at%の各Mn濃度の希薄磁
性半導体薄膜でも、酸素濃度が低いときは高抵抗膜で導
電型の判定は困難であるが、酸素濃度の増加とともにp
型を示すようになり、さらに酸素濃度を増加させると再
びn型になった。これは酸素ドーピングによる電子濃度
の増加とともに、Mnアクセプター準位が浅くなり、ホ
ール濃度が増加するためと考えられる。このことから、
Mnとともに酸素を添加するとp型のGaN:Mn膜が
得られることが明らかになった。
【0029】GaN:Mn膜の導電型がp型を示すMn
濃度を求めるため、第1の蒸発源14の温度を850〜
950℃の範囲、第2の蒸発源15の温度を475〜6
30℃の範囲、アンモニアガスの流量を5〜100sc
cmの範囲、酸素ガスの流量を0.001〜0.2sc
cmの範囲で変化させて、膜厚0.1〜1μmの酸素ド
ープGaN:Mn膜を成長させた。
【0030】図5のグラフにキャリヤ濃度とMn濃度の
関係を示す。符号Lで示す斜線部分の領域がp型を示す
領域である。このとき、アンモニアガス流量依存性は観
察されなかった。
【0031】次に、得られたp型のGaN:Mn膜に対
し、室温でSQUIDを用いて磁気測定を行ったとこ
ろ、すべて強磁性を示した。図6のグラフの符号Aは、
Mn濃度7%の試料のM−H曲線であり、符号Bは、
0.5%の試料のM−H曲線である。
【0032】次に、本発明の第二の実施例について説明
する。この第二の実施例では、RF励起の窒素プラズマ
を窒素源とした分子線エピタキシー(MBE)法によって
下記のようにGaN:Mn膜を作製する。
【0033】図7の符号40は、第二の実施例に用いる
成膜装置(MBE装置)を示している。この成膜装置40
は真空槽41を有しており、その底壁側には、第1、第
2の蒸発源44、45が配置されており、壁面には、R
Fプラズマ源43と、酸素ガス導入ノズル42とが配置
されている。
【0034】第1、第2の蒸発源44、45内には、そ
れぞれGaを主成分とする第1の金属材料66と、Mn
を主成分とする第2の金属材料67が配置されている。
【0035】真空槽41の天井側には、ヒータ47が配
置されており、そのヒータ47の近傍には、成膜対象で
あるサファイアから成る基板51が、成膜面を底壁側に
向けて配置されている。
【0036】その状態でヒータ47に通電して発熱さ
せ、基板51を950℃に加熱して清浄化した後、50
0℃まで降温させ、RFプラズマ源43から窒素プラズ
マを噴出させるとともに、第1の蒸発源44内の第1の
金属材料66を加熱し、Gaを主成分とする金属分子線
(Gaを主成分とする金属材料66の蒸気)を発生さ
せ、基板51の表面にGaN層を成膜し、次いで、60
0℃で15分加熱し、単結晶化し、図8(a)に示すよう
に、基板51上にバッファ層52を形成した。
【0037】成膜条件は、窒素ガス流量が0.5〜3s
ccm、RFプラズマ源43への投入電力が350W、
第1の蒸発源44の温度が850〜950℃の範囲であ
った。形成されたバッファ層の厚さは0.1〜1μmで
あった。
【0038】その後、基板51を620℃に昇温させ、
RFプラズマ源43によってバッファ層52表面に窒素
プラズマを照射するとともに、第1、第2の蒸発源4
4、45内の第1、第2の金属材料66、67を加熱
し、それぞれGaを主成分とする分子線とMnを主成分
とする分子線とをバッファ層52表面に向けて照射する
と共に、酸素ガス導入ノズル42から酸素ガスを吹き付
け、バッファ層52表面に、酸素がドープされたGa
N:Mn薄膜からなるIII−V族希薄磁性半導体53を
形成した。
【0039】上記成膜装置40により、窒素ガス流量を
3sccmとし、RFプラズマ源43への投入電力35
0Wとし、第1の蒸発源の温度900℃とし、第2の蒸
発源の温度を475〜630℃の範囲で変化させて第二
の実施例の希薄磁性半導体膜53(GaN:Mn膜)を成
長させた。そのIII−V族希薄磁性半導体53につい
て、キャリヤ濃度と酸素流量との関係を測定した。
【0040】Mn濃度0.5, 5, 10, 15at%の
4種類のGaN:Mn薄膜から成る希薄磁性半導体膜II
I−V族希薄磁性半導体53を測定対象とした。測定結
果を図9のグラフに示す。
【0041】膜中のMn濃度はEPMA(Electron Prob
e Micro Analyzer)で測定した値であり、酸素濃度はS
IMS(Secondary Ion Mass Spectroscopy)で測定した
値である。
【0042】酸素濃度が低いときは高抵抗膜であり、導
電型の判定は困難であるが、各Mn濃度のIII−V族希
薄磁性半導体53において、酸素濃度の増加とともにp
型を示すようになり、さらに酸素濃度を増加させると再
びn型になっている。
【0043】そこで、第1の蒸発源の温度を850〜9
50℃にし、第2の蒸発源の温度を475〜630℃に
し、窒素ガスの流量0.5〜3sccmにし、RFプラ
ズマ源43への投入電力を350Wにし、酸素ガスの流
量を0.001〜0.2sccmにして膜厚0.1〜1
μmの酸素がドープされたGaN:Mn膜から成るIII
−V族希薄磁性半導体53を各種形成し、p型領域とな
る範囲を調べた。
【0044】図10のグラフにMn濃度とキャリヤ濃度
の関係を示す。符号Mで示す斜線部分の領域がp型を示
す領域である。このとき、RFプラズマ源43に導入し
た窒素ガスの流量には依存しなかった。
【0045】上記のp型を示すGaN:Mn膜について
室温でSQUIDを用いて磁気測定を行ったところ強磁
性を示した。
【0046】次に、本発明の第三の実施例を説明する。
この第三の実施例では、RF励起の窒素プラズマを窒素
源とした分子線エピタキシー(MBE)法を用い、下記
のようにGaN:Mn膜を作製する。
【0047】図11の符号70は、第三の実施例に用い
る成膜装置(MBE装置)を示している。
【0048】この成膜装置70は真空槽71を有してお
り、その底壁側には、RFプラズマ源72と、第1、第
2、第3の蒸発源73、74,75とが配置されてい
る。
【0049】第1の蒸発源73内には、Gaを主成分と
する第1の金属材料77が配置されており、第2の蒸発
源74内には、Mnを主成分とする第2の金属材料78
が配置されており、第3の蒸発源75内には、シリコン
79が配置されている。
【0050】真空槽71の天井側には、ヒータ77が配
置されており、まず、成膜対象であるサファイアから成
る基板81を、真空槽71の底壁側に向けてヒータ77
近傍に配置し、その状態で、ヒータ77に通電して発熱
させ、基板81を950℃に加熱して清浄化した後、5
00℃まで降温させてRFプラズマ源72から窒索プラ
ズマを噴出させるとともに、第1の蒸発源73内の第1
の金属材料77を加熱し、Gaを主成分とする金属分子
線(Gaを主成分とする金属材料77の蒸気)を発生さ
せて基板81表面に、GaN層を成膜し、次いで、この
GaN層を600℃で15分加熱し、単結晶化して図1
2(a)に示すように、バッファ層82を形成した。
【0051】成膜条件は、窒素ガスの流量0.5〜3s
ccm、RFプラズマ源72の投入電力350W、第1
の蒸発源77の温度850〜950℃の範囲であった。
形成したバッファ層の厚さは0.1〜1μmであった。
【0052】次いで、サファイア基板81を620℃に
昇温させ、RFプラズマ源72によってバッファ層82
表面に窒索プラズマを照射するとともに、第1、第2、
第3の蒸発源73、74、75内の第1、第2、第3の
金属材料77、78、79を加熱し、それぞれGaを主
成分とする分子線と、Mnを主成分とする分子線と、シ
リコンの分子線とをバッファ層82表面に向けて照射
し、バッファ層82表面にシリコンが添加されたGa
N:Mn薄膜から成るIII−V族希薄磁性半導体83を
形成した。
【0053】上記III−V族希薄磁性半導体23とは別
に、第2の蒸発源15からはMn蒸気を発生させず、窒
素ガス流量を3sccmとし、RFプラズマ源72への
投入電力を350Wとし、第1の蒸発源77の温度を9
00℃とし、第3の蒸発源79の温度を1100〜12
00℃の範囲で変化させて成長させたGaN膜中の電子
濃度を図13のグラフに示す。
【0054】シリコンの添加によりn型キャリヤである
電子濃度が増加することがわかる。また、電子濃度は、
SIMS(Secondary Ion Mass Spectroscopy)により測
定したシリコン濃度とほぼ一致していた。
【0055】次に、窒素ガス流量を3sccmとし、R
Fプラズマ源投入電力350Wとし、第1の蒸発源77
の温度を900℃とし、第2の蒸発源78の温度を47
5〜630℃の範囲で変化させ、第3の蒸発源79の温
度1100〜1200℃の範囲で変化させて成長させ、
バッファ層82上に希薄磁性半導体薄膜III−V族希薄
磁性半導体83(GaN:Mn膜)を形成した。このIII
−V族希薄磁性半導体83のシリコン濃度とキャリヤ濃
度の関係を図14に示す。ここでは、Mn濃度、0.
5, 5, 10, 15at%の4種類のGaN:Mn膜か
ら成るIII−V族希薄磁性半導体83を測定対象とし
た。
【0056】膜中のMn濃度はEPMA(Electron Prob
e Micro Analyzer)で測定した値であり、シリコン濃度
はSIMS(Secondary Ion Mass Spectroscopy)によっ
て測定した値である。
【0057】各Mn濃度のIII−V族希薄磁性半導体8
3において、シリコン添加量が少ないときには高抵抗膜
であって導電型の判定は困難であるが、添加量の増加と
ともにp型を示すようになった。
【0058】そこで、RFプラズマ源投入電力350W
に設定し、第1の蒸発源73の温度を850〜950℃
の範囲、第2の蒸発源74の温度を475〜630℃の
範囲、第3の蒸発源75の温度を1100〜1200℃
の範囲、窒索ガスの流量を0.5〜3sccmの範囲で
変化させ、膜厚0.1〜1μmのシリコンドープGa
N:Mn膜から成るIII−V族希薄磁性半導体83をバ
ッファ層82上に成長させ、p型領域となる範囲を調べ
た。
【0059】図15のグラフに、Mn濃度とキャリヤ濃
度の関係を示す。符号Nで示す斜線部分の領域がp型を
示す領域である。このとき、RFプラズマ源72に導入
する窒素ガスの流量には依存しなかった。
【0060】次に、p型を示すGaN:Mn膜について
室温SQUIDを用いてこれらの膜の磁気測定を行った
ところ強磁性を示した。
【0061】以上は、サファイアを基板として用いた例
を示したが、SiC, GaN, Si, GaAs等を基板
として用いてもよい。
【0062】また、上記実施例ではアンモニアガスを使
用したが、アンモニアガスに替えヒドラジンガスを使用
してもよい。
【0063】実施例1〜3では、MBEによってGa
N:Mn薄膜を作成したが、有機金属気相成長法(MO
CVD)によって形成してもよい。
【0064】また、実施例1〜3では薄膜結晶を作成し
たが、チョクラルスキー法などにより希薄磁性半導体の
バルク単結晶を作成する場合にも本方法は有効である。
【0065】以上のようにして形成された本発明の希薄
磁性半導体は、所望のタイプの電子デバイス、光電子デ
バイス、アイソレーター、磁気ランダムアクセスメモリ
(MRAM)などに組み込むことができる。
【0066】得られた希薄磁性半導体薄膜は実用的なキ
ャリア濃度を持つp型を示すため、強磁性膜としてでは
なく、パイポーラトランジスタ、発光ダイオード、レー
ザ等のp型層として用いることも十分可能である。
【0067】
【発明の効果】本発明によれば、既存の希薄磁性半導体
薄膜では不可能であった室温強磁性を持ち、室温におい
て動作する希薄磁性半導体薄膜を構成要素とするデバイ
スの作製が可能になる。特に、MBEを使用し、本発明
の半導体材料を成長させた場合は、成長後の加熱処理な
どを行わなくても室温において強磁性を発現する希薄磁
性半導体薄膜が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施例のIII−V族希薄磁性半
導体の形成に用いた成膜装置
【図2】(a)、(b):第一の実施例のIII−V族希薄磁
性半導体の製造工程
【図3】マンガンを含有しない比較例のIII−V族希薄
磁性半導体の酸素流量とキャリア濃度の関係を示すグラ
【図4】第一の実施例のIII−V族希薄磁性半導体の酸
素流量とキャリア濃度の関係を示すグラフ
【図5】第一の実施例のIII−V族希薄磁性半導体のM
n濃度とキャリヤ濃度の関係を示すグラフ
【図6】そのIII−V族希薄磁性半導体のSQUIDに
よる磁気測定結果
【図7】本発明の第二の実施例のIII−V族希薄磁性半
導体の形成に用いた成膜装置
【図8】(a)、(b):第二の実施例のIII−V族希薄磁
性半導体の製造工程
【図9】第二の実施例のIII−V族希薄磁性半導体の酸
素流量とキャリア濃度の関係を示すグラフ
【図10】第二の実施例のIII−V族希薄磁性半導体の
マンガン濃度とキャリア濃度の関係を示すグラフ
【図11】本発明の第三の実施例のIII−V族希薄磁性
半導体の形成に用いた成膜装置
【図12】(a)、(b):第三の実施例のIII−V族希薄
磁性半導体の製造工程
【図13】第三の実施例のIII−V族希薄磁性半導体の
シリコンソースの温度と電子濃度の関係を示すグラフ
【図14】第三の実施例のIII−V族希薄磁性半導体の
シリコン濃度とキャリア濃度の関係を示すグラフ
【図15】第三の実施例のマンガン濃度とキャリヤ濃度
の関係を示すグラフ
【符号の説明】
23、53、83……III−V族希薄磁性半導体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G077 AA03 BE15 DA05 EB01 EF03 HA03 HA06 HA20 SC02 SC08 5E049 AA10 5F041 AA14 CA40 CA54 CA57 CA66 CA77 5F073 CA01 DA06 DA11 EA29

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】III族元素としてガリウムを主成分とし、
    V族元素として窒素を主成分とするIII−V族半導体材
    料であって、 マンガンを0.5at%以上15at%以下の範囲で含
    有し、 酸素原子を1×1018個cm-3以上3×1020個cm-3
    以下の濃度範囲で含有するIII−V族半導体材料。
  2. 【請求項2】III族元素としてガリウムを主成分とし、
    V族元素として窒素を主成分とするIII−V族半導体材
    料であって、 マンガンを0.5at%以上15at%以下の範囲で含
    有し、 シリコン原子を1×1018個cm-3以上9×1019個c
    -3以下の濃度範囲で含有するIII−V族半導体材料。
  3. 【請求項3】III族元素としてガリウムを主成分とし、
    V族元素として窒素を主成分とするIII−V族半導体材
    料であって、 マンガンを0.5at%以上15at%以下の範囲で含
    有し、 酸素原子とシリコン原子を、合計の量が、1×1018
    cm-3以上3×1020個cm-3以下の濃度範囲で含有す
    るIII−V族半導体材料。
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