JP2003137482A - エレベータ調速機 - Google Patents

エレベータ調速機

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JP2003137482A JP2002293974A JP2002293974A JP2003137482A JP 2003137482 A JP2003137482 A JP 2003137482A JP 2002293974 A JP2002293974 A JP 2002293974A JP 2002293974 A JP2002293974 A JP 2002293974A JP 2003137482 A JP2003137482 A JP 2003137482A
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    • B66HOISTING; LIFTING; HAULING
    • B66BELEVATORS; ESCALATORS OR MOVING WALKWAYS
    • B66B5/00Applications of checking, fault-correcting, or safety devices in elevators
    • B66B5/02Applications of checking, fault-correcting, or safety devices in elevators responsive to abnormal operating conditions
    • B66B5/04Applications of checking, fault-correcting, or safety devices in elevators responsive to abnormal operating conditions for detecting excessive speed
    • B66B5/044Mechanical overspeed governors

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  • Mechanical Engineering (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 誤動作が少なく、速度が異常に上がった場合
には確実かつ正確に安定して動作させることができるエ
レベータ調速機を得ることにある。 【解決手段】 導体18の近傍に設けられ該導体18を
通る磁路を有する第一の磁気回路16a,16bと、か
ご12の走行に伴い導体18中に発生する渦電流によっ
て第一の磁気回路16a,16bに作用する力を該磁気
回路のかご12の走行方向の変位に変換する変換装置1
4,15,16,17とを備え、変換装置14,15,
16,17は、かご12の危険速度近傍で、速度変化率
以上の変位変化率を有するように構成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、人や荷物を昇降
させるエレベータを安全に運転するためのエレベータ調
速機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図77(1)は、例えば特開平5−14
7852号公報に開示された従来のエレベータ調速機を
示す平面図、図77(2)は図77(1)の正面図であ
る。図において、12はエレベータのかご、13はかご
12の上に設けられた基台、14は2対の平行リンクで
構成されたアーム、15はアーム14を回動自在に支持
するために基台13に設けられた支点、16はアーム1
4の一端に回動自在に取り付けられた、かご12の速度
を検出するためのピックアップ、16aは対向して設け
られた2個の磁石、16bは磁石16aを固着したヨー
ク、17はアーム14の他端にピックアップ16と釣り
合うように設けられたバランスウエイト、18はかご1
2の脇に固定して設けられたガイドレール等の導体で、
ピックアップ16の磁石16aから出た磁束は、この導
体18の中央からかご12の側に突出した板状部分及び
ヨーク16bを通って第一の磁気回路を形成している。
また、19はアーム14の回動によるバランスウエイト
17の変位に対して抗力を与えるための弾性ばねで、ア
ーム14、支点15、ピックアップ16、バランスウエ
イト17及び弾性ばね19は、かご12の走行に伴い導
体18中に発生する渦電流によって磁石16aに作用す
る力を磁石16aのかご12の走行方向の変位に変換す
る変換装置を構成している。20はバランスウエイト1
7の変位により作動するかご停止用スイッチ20aと図
示しない非常止め操作機構とを備えた制動装置である。
【0003】次に動作について説明する。磁石16aと
ヨーク16bとによって構成された磁気回路は、磁石1
6aの間に存在する導体18の板状部分の面に対して垂
直な磁場を作っている。かご12が昇降し、この磁場が
該板状部分中に移動すると、導体18中に磁場の変化を
打ち消すような渦電流が発生し、ピックアップ16に
は、かご12の速度に対応した大きさで、かご12の移
動に抗するかご12の走行方向の反対の向きの力(抗
力)が発生する。この力は、アーム14と弾性ばね19
とにより、ピックアップ16及びバランスウエイト17
の上下方向の変位に変換される(図78参照)。
【0004】そして、かご12の下降速度が所定値を超
えた第一過速度(通常の走行速度である定格速度の1.
3倍程度)になると、ピックアップ16はこの速度に対
応した上向きの力を受け、バランスウエイト17を下向
きに変位させる。そして、この変位により制動装置20
に備えられたかご停止用スイッチ20aが働いてエレベ
ータ駆動装置の電源を遮断し、かご12を停止させる。
かご12が、何らかの原因で第二過速度(通常は定格速
度の1.4倍程度)に達した場合でも、この速度に対応
してバランスウエイト17がさらに変位し、制動装置2
0に備えられた非常止め操作機構によってかご12に設
けられた非常止め装置(図示せず)が動作してかご12
が急停止する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来のエレベータ調速
機は以上のように構成されているので、磁場が導体18
中を移動すると、導体18中に磁場の変化を打ち消すよ
うな渦電流が発生し、ピックアップ16には、かご12
の速度に対応した大きさでかご12の移動に抗する向き
の力(抗力)が発生するが、一般的に金属導体で発生す
る渦電流の物理的性質により、速度V対ピックアップ1
6の発生力fの関係は、図79に示すように、低速度で
発生力fの変化率が大きく、速度Vが上がるにつれ発生
力fの変化率が小さくなるという課題があった。すなわ
ち、かご12の速度が、正常な走行速度である定格速度
V0(この時のバランスウエイト17の変位はP0)、
第一過速度V1(この時のバランスウエイト17の変位
はP1)、第二過速度V2(この時のバランスウエイト
17の変位はP2)と上昇するにつれ、発生力f0、f
1、f2の相互間の差が小さくなり、危険性は増大して
いるにもかかわらず、制動装置20を動作させる力の差
が小さく、制動装置20の動作点の設定位置も難しくな
るため誤動作が起き易く、動作速度のばらつきも大きく
なり安全性が低下するという課題があった。
【0006】また、ピックアップ16の変位Zに対する
弾性ばね19のばね力F2の特性は、通常、図80に示
すように線形関係にあるので、かご12の速度Vに対す
るピックアップ16の変位の特性は、図81に示すよう
に、通常運転状態でのかご12の移動範囲での変位の変
化率が大きい。よって、かご12の通常運転でアーム1
4が常に大きく回転運動するので、制動装置20の誤動
作の原因になりやすく、回転支持部である支点15の寿
命が短くなるという課題があった。
【0007】さらに、従来のエレベータ調速機では、か
ご12の移動時→乗客の乗り込み時の偏荷重等によりか
ご12が横方向に触れた場合には、ピックアップ16の
磁束の通る隙間(空隙部)の距離が変化し、ピックアッ
プ16での発生力が変動するため、バランスウエイト1
7の変位も変動し、かご12の動作速度の検出が不安定
になり、制動装置20が誤動作することがあるという課
題があった。
【0008】さらに、従来のエレベータ調速機では、か
ご12の移動時や乗客の乗り込み時の振動を改善するた
めの検出をすることができないという課題もあった。
【0009】さらに、従来のエレベータ調速機は、かご
12の上に置かれていて、重くて、機構部が多く、スペ
ースを取るため、駆動効率が悪く、搭載しにくいという
課題があった。
【0010】さらに、従来のエレベータ調速機では、か
ご12の走行速度のみを検出しているので、かご12が
危険速度ではない速度で走行してはいるが、制御不能と
なり、トップピット部に突入したときには危険を検出で
きず、非常止めが動作しないので危険であるなどの課題
があった。
【0011】この発明は上記のような課題を解決するた
めになされたもので、渦電流による力を利用した方式に
おいても、安全装置の誤動作が少なく、安定した動作が
でき、速度が異常に上がった場合には確実かつ正確に安
定して動作させることができるエレベータ調速機を得る
ことを目的とする。
【0012】また、この発明は、かごの走行速度を正確
に検出でき、かつ安価で寿命の長いエレベータ調速機を
得ることを目的とする。
【0013】さらに、この発明は、かご走行の定格速度
での磁気回路部の変位を十分に抑制し、異常速度での磁
気回路部の変位を十分に拡大できるエレベータ調速機を
得ることを目的とする。
【0014】さらに、この発明は、かごの走行速度を危
険速度に近い領域で正確に検出することが可能なエレベ
ータ調速機を得ることを目的とする。
【0015】さらに、この発明は、誤動作が少なく寿命
も長くでき、安全性が高く、より小さな磁石で磁気回路
を構成できるエレベータ調速機を得ることを目的とす
る。
【0016】さらに、この発明は、制動装置を安定して
動作させることができ、エレベータ運行の安全性を高め
ることができるエレベータ調速機を得ることを目的とす
る。
【0017】さらに、この発明は、制動装置の動作点の
設定が容易で、誤動作が少なく、かごの危険速度が正確
かつ確実に検出でき、制動装置を安定動作させることが
できるエレベータ調速機を得ることを目的とする。
【0018】さらに、この発明は、ピックアップの変位
と合成ばね力との関係を任意に設計することができるエ
レベータ調速機を得ることを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】この発明に係るエレベー
タ調速機は、かごの走行に伴って導体中に発生する渦電
流で第一の磁気回路に作用する力をかご走行方向への第
一の磁気回路の変位に変換する変換装置が、かごの危険
速度近傍で速度変化率以上の変位変化率を有するように
構成したものである。
【0020】この発明に係るエレベータ調速機の変換装
置は、かご又は釣り合い錘上で第一の磁気回路の近傍に
設けられて該第一の磁気回路の変位が小さいとき及び変
位していないときはその変位を抑制する方向に磁力を作
用させる第二の磁気回路を備えたものである。
【0021】この発明に係るエレベータ調速機の変換装
置は、第一の磁気回路の変位が小さいとき及び変位して
いないときに該第一の磁気回路の磁束の一部が通る磁路
を形成して該磁束の一部が導体を通らないようにし、上
記第一の磁気回路の変位が大きいときに該第一の磁気回
路から離脱するヨークを備えたものである。
【0022】この発明に係るエレベータ調速機の変換装
置は、第一の磁気回路を構成する磁石又はヨークをその
一端に保持し、かご又は釣り合い錘上に設けられた支点
に支持されて上記かごの走行方向に回動する回動体と、
上記かご又は釣り合い錘上で上記第一の磁気回路の近傍
に設けられ該第一の磁気回路の変位が小さいとき及び変
位していないときに該第一の磁気回路の構成要素を形成
し、該第一の磁気回路の変位が大きくなると該第一の磁
気回路の構成要素から離脱するヨーク又は磁石とを備え
たものである。
【0023】この発明に係るエレベータ調速機の変換装
置は、上記第一の磁気回路を構成する磁石若しくはヨー
ク又はその双方をその一端に保持し、上記かご又は釣り
合い錘上に設けられた支点に支持されて上記かごの走行
方向に回動する回動体と、該回動体の他の部分にその一
部が設けられ上記かご又は釣り合い錘上にその他の部分
が設けられ、該回動体の回動を抑制する方向に磁力を作
用させる第二の磁気回路とを備えたものである。
【0024】この発明に係るエレベータ調速機の変換装
置は、上記かご又は釣り合い錘上で上記第一の磁気回路
の近傍に設けられ、該第一の磁気回路が変位しない状態
で該第一の磁気回路の磁石又は該磁石を保持するヨーク
を吸着保持し、上記かごの走行速度が上記所定の速度に
達したときに上記第一の磁気回路に作用する力より大き
な力が該第一の磁気回路に作用したときに上記保持を解
除して該第一の磁気回路を変位せしめる第三の磁気回路
を備えたものである。
【0025】この発明に係るエレベータ調速機の変換装
置は、上記かご又は釣り合い錘上で上記第一の磁気回路
の近傍に設けられ、該第一の磁気回路の変位が上記かご
の走行速度が上記所定の速度に達したときの該第一の磁
気回路の変位より大きくなると該変位を助長するように
磁力を作用させる第四の磁気回路を備えたものである。
【0026】この発明に係るエレベータ調速機の変換装
置は、上記第一の磁気回路を構成する磁石若しくはヨー
ク又はその双方をその一端に保持し、上記かご又は釣り
合い錘上に設けられた支点に支持されて上記かごの走行
方向に回動する回動体を備え、該回動体の他の部分にそ
の一部が設けられ上記かご又は釣り合い錘上にその他の
部分が設けられ、該回動体の回動を抑制する方向に磁力
を作用させる第四の磁気回路を備えたものである。
【0027】この発明に係るエレベータ調速機の変換装
置は、上記第一の磁気回路の上記かごの走行方向の変位
が小さいとき及び変位していないときに該第一の磁気回
路の磁束が通り難く、該第一の磁気回路の上記かごの走
行方向の変位が大きくなるにつれて該第一の磁気回路の
磁束が通り易い形状の磁石又はヨークを該第一の磁気回
路中に備えているものである。
【0028】この発明に係るエレベータ調速機の第一の
磁気回路は、該第一の磁気回路が上記かごの走行方向に
変位していないときに、上記導体中を通る第一の磁路
と、上記かご又は釣り合い錘に固定されたヨーク又は磁
石を通り上記導体中を通らない第二の磁路とを有してい
るものである。
【0029】この発明に係るエレベータ調速機の変換装
置は、上記第一の磁気回路を構成する磁石若しくはヨー
ク又はその双方をその一端に保持し、上記かご又は釣り
合い錘に設けられた支点に支持され上記かごの走行方向
に回動する回動体を備え、該回動体の回動面が上記かご
の走行方向に対して傾斜しているものである。
【0030】この発明に係るエレベータ調速機の変換装
置は、上記第一の磁気回路を構成する磁石若しくはヨー
ク又はその双方をその一端に保持し、上記かご又は釣り
合い錘上に設けられた支点に支持されて上記かごの走行
方向に回動する回動体と、該回動体の他の部分にその一
部が設けられ上記かご又は釣り合い錘上にその他の部分
が設けられ、該回動体の回動を抑制する方向に磁力を作
用させる第五の磁気回路とを備え、上記第一の磁気回路
が、該第一の磁気回路の上記かごの走行方向の変位が小
さいとき及び変位していないときに該第一の磁気回路の
磁束が通り難く、該第一の磁気回路の上記かごの走行方
向の変位が大きくなるにつれて該第一の磁気回路の磁束
が通り易い形状の磁石又はヨークを該第一の磁気回路中
に備えているものである。
【0031】この発明に係るエレベータ調速機の変換装
置は、上記第一の磁気回路を構成する磁石若しくはヨー
ク又はその双方をその一端に保持し、上記かご又は釣り
合い錘に設けられた支点に支持され上記かごの走行方向
に回動する回動体を備え、該回動体は、その他端にばね
定数の高いばねと初期圧縮されたばね定数の低い弱いば
ねとを直列に組み合わせて該他端の変位を制限するばね
を有するものである。
【0032】
【発明の実施の形態】実施の形態1.以下、この発明の
実施の形態を説明する。なお、以下の実施の形態の説明
において、当該実施の形態の説明に先立って説明した実
施の形態の構成要素と同一又は想到する構成要素には同
一の参照番号ないし参照符号を付し、当該構成要素につ
いての説明を省略する。
【0033】図1において、12はエレベータのかご、
13はかご12の上に設けられた基台、14は2対の平
行リンクで構成されたアーム(回動体)、15はアーム
14を回動自在に支持するために基台13に設けられた
支点、16はアーム14の一端に回動自在に取り付けら
れた、かご12の速度を検出するためのピックアップ、
16aは対向して設けられた2個の磁石、16bは磁石
16aを固着したヨーク、17はアーム14の他端にピ
ックアップ16と釣り合うように設けられたバランスウ
エイト、18はかご12の脇に固定して設けられたガイ
ドレール等の導体で、ピックアップ16の磁石16aか
ら出た磁束は、この導体18の中央からかご12の側に
突出した板状部分及びヨーク16bを通って第一の磁気
回路を形成している。また、19はアーム14の回動に
よるバランスウエイト17の変位に対して抗力を与える
ための弾性ばねで、アーム14、支点15、ピックアッ
プ16、バランスウエイト17及び弾性ばね19は、か
ご12の走行に伴い導体18中に発生する渦電流によっ
て磁石16aに作用する力を磁石16aのかご12の走
行方向の変位に変換する変換装置を構成している。20
はバランスウエイト17の変位により作動するかご停止
用スイッチ20aと図示しない非常止め操作機構とを備
えた制動装置、25はピックアップ16を平衡状態に戻
す力を発生する磁気ばね(第二の磁気回路)で、25a
は磁石、25bはヨーク、25cは磁石25aとヨーク
25bとをかご12に固定するための基台で、磁石25
a、ヨーク25b、ヨーク16bとにより磁気ばね25
の磁路(第二の磁気回路)を構成している。図1に示す
ように、ピックアップ16と磁気ばね25とは隙間を保
って分離されており、アーム14が水平の時にピックア
ップ16と磁気バネ25とが最も近接している。磁気ば
ね25は基台25cと連結しており、かご12が動いて
ヨーク16bが支点15を中心に回転しても磁気ばね2
5は回転しないように構成されているので、図2に示す
ように、かご12が移動してアーム14が回転し、斜め
になった場合にはヨーク16と磁気ばね25とが離れ
る。
【0034】21は非常止めを動作させるための連結棒
で、かご12が過速度を超えて危険な状態になったとき
に、アーム14と弾性ばね19とにより、ピックアップ
16及びバランスウエイト17が上または下向きに大き
く変位し、かご停止用スイッチ20a及び連結棒21に
連接した非常止め機構が動作してかご12を急停止させ
る。
【0035】次に、動作について説明する。磁石16a
とヨーク16bによる磁場が導体18中を移動すると、
ピックアップ16には、かご12の速度に対応した大き
さで、かご12の移動に抗する向きの力(抗力)が発生
する。この力は、アーム14と弾性ばね19により、ピ
ックアップ16及びバランスウエイト17の上下方向の
変位に変換される。この原理は従来のエレベータ調速機
の原理と同じである。
【0036】上述のように、このような渦電流を利用し
た方式では、低速度時に発生する抗力が大きく、定格速
度内での走行でもアーム14が大きく回転するため、外
乱や設定誤差等により誤って過速度と判定し、安全装置
が誤動作する可能性があるという課題があった。
【0037】そこで実施の形態1では、アーム14が水
平に近いときにはアーム14を水平に保つ方向に強い力
が働くような非線形ばねである磁気ばね25を備えるこ
とにより、低速度時はアーム14の回転が小さく、アー
ム14がある程度回転するとばね力が小さくなり、アー
ム14の回転が大きくなるようにすることにより、誤動
作が少なく寿命が長くなるように構成した。すなわち、
実施の形態1では、ピックアップ16の後方にピックア
ップ16を引き付ける力を発生する磁気ばね25を設け
ることにより以下のような特性を有する非線形ばねを構
成している。
【0038】磁気の物理的性質により、図3に示すよう
に、磁気ばね25の磁気ばね力F1はわずかな変位によ
り大きく変化し、その後変位が大きくなるにつれ変化率
が小さくなる。また、弾性ばね19の弾性ばね力F2
は、通常、図示の如く、変位に対し線形である。実施の
形態1ではこれらのばね力F1とF2とが合成され、図
4に示すような非線形ばねが構成される。この非線形ば
ねは、変位が小さな時には大きな力が発生するが(ばね
定数が大きい)、ある程度の大きさ以上の変位になると
あまり力が増えない(ばね定数が小さい)。
【0039】かご12の速度に対するピックアップ16
に発生する発生力は図79に示す如くであるので、図4
の磁気ばね25と弾性ばね19により構成される非線形
ばねにより、かご12の速度対ピックアップ16の変位
の関係は図5に示すようになる。速度が上がると、ピッ
クアップ16の渦電流による抗力が上がっていくが、こ
の力が、図4のばね力Fsを超える速度Vsまでは磁気
ばね25による大きな磁気力でアーム14が回転しない
ように保持されており、ピックアップ16の変位もP0
と小さい。速度が定格速度V0を超えると、ピックアッ
プ16に発生する発生力が合成ばね力F1+F2を上回
るようになり、ピックアップ16が変位して、図3に示
すように磁気ばね力F1が小さくなるので、図4に示す
ように合成ばね力が小さくなり、ピックアップ16及び
バランスウエイト17は、弾性ばね19の力で保持でき
る図4のPsの位置まで一気に変位する。この後は弾性
ばね19のばね力F2により支配される変位を行う。
【0040】ここで、合成ばね力F1+F2の1次ピー
ク値であるばね力Fsを図79の定格速度での発生力f
0の値より大きくし、第一過速度(すなわち第一危険速
度)V1での発生力f1の値よりも小さくすると、通常
の定格運転では変位が小さく異常が起きたときに大きな
変位が得られるというメリットが有る。また、第一過速
度V1と第二過速度(すなわち第二危険速度)V2との
間に立ち上がり点を設けると、非常止めを確実に動作さ
せることができるというメリットが有る。
【0041】以上より、この実施の形態1においては、
定格速度内でのピックアップ16の変位P0が従来例に
比べ小さくでき、第一過速度V1、第二過速度V2での
変位の差が大きく取れているので、誤動作の確率が少な
くなる。
【0042】実施の形態2.実施の形態1では、アーム
14は平行リンクとして構成したが、この実施の形態2
では、図6に示すように、ピックアップ16とバランス
ウエイト17を1本のリンクのみを用いて連結してアー
ム14を構成してある。このように構成することによ
り、アーム14の構成が簡単になり、部品点数を少なく
でき、安価にできる。
【0043】実施の形態3.実施の形態1では導体18
を挟むようにその両側に磁石16aを設けているが、こ
の実施の形態3では、図7に示すように、導体18の片
側のみに磁石16aが設けられている。このようにする
ことにより、ピックアップ16の磁気回路の構成が簡単
になり、部品点数を少なくでき、安価にできる。また、
ピックアップ16が軽量になるので、その動的な応答が
速くなる。
【0044】実施の形態4.実施の形態1ではバランス
ウエイト17を設けた構成にしているが、実施の形態4
では、図8に示すように、アーム14、基台13及びバ
ランスウエイト17を設けずに、ピックアップ16を弾
性ばね19を介してかご12上に搭載し、ピックアップ
16の背後に磁気ばね25を設けるとともに、かご停止
用スイッチ20aはピックアップ16の動きを直接検出
するようにしてもよい。このようにすることにより、装
置が小型で、かつ、軽量化が図れ、安価に得ることがで
きる。
【0045】実施の形態5.実施の形態5においては、
図9に示すように、実施の形態4と同様にアーム14、
基台13及びバランスウエイト17を省略し、その上、
磁石16aも導体18の片側のみに設けている。このよ
うに構成することにより、装置が更に小型、軽量化で
き、安価にできる。
【0046】実施の形態6.実施の形態1ではピックア
ップ16の背面にアーム14の回転面と直交するように
磁化された磁石25aを設けていたが、実施の形態6に
おいては、図10に示すように、アーム14の回転面と
平行な方向に磁化された磁石25aを設けている。この
ように構成すると、磁気ばね25部の磁気抵抗が小さく
なり、磁束が通り易くなるので、小さな磁石25aを用
いても大きな磁気ばね効果が得られる。これにより、磁
気ばね25を安価に構成することができ、かつ周辺への
漏れ磁束を少なくできるので周辺への磁気的影響を軽減
することができる。
【0047】実施の形態7.実施の形態7においては、
図11に示すように、磁気ばね25のヨーク25bのみ
をピックアップ16の中に設けている。
【0048】次に動作について説明する。この実施の形
態7の構成では、アーム14の変位が小さくかご12と
ほぼ平行状態にある間は、ピックアップ16のヨーク1
6bを通る磁束の一部が磁気ばね25のヨーク25bに
分岐され第二の磁気回路を形成する。これにより、ピッ
クアップ16のヨーク16bと磁気ばね25のヨーク2
5bとの間に磁気的吸引力が作用する。一方、アーム1
4が大きく変位してピックアップ16の磁気回路中にヨ
ーク25bが存在しなくなると、ヨーク16bとヨーク
25bとの間に磁気的吸引力は作用しなくなる。従っ
て、ヨーク25bは磁気ばねの作用をなし、これによ
り、磁気ばね25部の部品点数を削減でき、小型かつ安
価に磁気ばね25を構成することができる。
【0049】実施の形態8.実施の形態8においては、
図12、図13に示すように、ピックアップ16により
形成される磁気回路の導体18を通る磁束の一部を利用
するように、ヨーク25bが該磁気回路の対向する磁石
16a間の空間の一部に配置されている(図12は導体
18に単に隣接せしめた例、図13は導体18を囲むよ
うに隣接せしめた例を示す)。
【0050】次に動作について説明する。実施の形態8
においては、実施の形態7の磁気ばねの効果に加えて、
アーム14の変位が小さい状態では磁石16a間に発生
する磁束の一部がヨーク25bに分岐され、導体18に
供給されないため、ピックアップ16の発生力は小さく
なり、アーム14の変位が大きい状態では、ヨーク25
bが第一の磁気回路中から離脱して、磁石16a間に発
生する全ての磁束が導体18中を通るので、ピックアッ
プ16の発生力は強くなる。これにより大きな磁気ばね
効果が得られる。
【0051】実施の形態9.実施の形態9においても、
アーム14が水平に近いときにアーム14を水平に保っ
た方向に強い力が働くような非線形磁気ばねが形成され
る。図14(1)は実施の形態9の平面図、図14
(2)は図14(1)の正面図であり、これらの図に示
すように、ピックアップ16は導体18と対向して空間
を存して両側に配置された磁石16aと、この2つの磁
石16aの磁束の通路を確保するためのヨーク16b及
び16cとから構成されている。ヨーク16bはアーム
14と連結されており、ヨーク16cはヨーク16bと
は切り離されて基台25cに取り付けられている。
【0052】次に動作について説明する。図14に示す
ように、実施の形態9のヨーク16bと16cとは隙間
を保って分離されているので、アーム14が回転しても
ヨーク16cは変位せずに磁石16aとヨーク16bの
みが変位する。ヨーク16cとヨーク16bとの間には
磁束が通るので、互いに引き寄せ合う磁気的吸引力が働
き、アーム14の水平時には相互間の距離が最も小さい
ので、磁気的吸引力が強く、アーム14が回動するにつ
れて、ヨーク16bとヨーク16cとの間の距離が大き
くなって、相互間の磁気的吸引力は小さくなる。これに
より、かご12の低速走行時にばね定数が高く、高速走
行時にばね定数が低くなる非線形磁気ばねが構成され
る。この実施の形態9の構成は、上述の他の実施の形態
の構成に比べ部品点数が少なく、回転部の構成が簡単、
軽量にでき、かご12の低速走行時にアーム14の回転
変位が小さいという効果も得られる。
【0053】実施の形態10.実施の形態10において
も、アーム14が水平に近いときにはアーム14を水平
に保つ方向に強い力が働くような非線形磁気ばねが形成
される。図15に示すように、実施の形態10において
は、磁気ばね25の力を発生させる第二の磁気回路をピ
ックアップ16の反対側(カウンター側)に設け、バラ
ンスウエイト17としても用いている。図15におい
て、25dは互いに対向して設けられたカウンター磁石
で、25eはカウンター磁石25dを保持してカウンタ
ー磁気回路を形成するカウンターヨーク、25fはサブ
磁気回路を構成する2個の磁石、25gは磁石25fを
保持するサブヨークで、基台25cに取り付けられてい
る。サブ磁気回路はカウンター磁気回路と共に第二の磁
気回路を形成し、カウンター磁気回路とサブ磁気回路が
引き合うように構成されている。すなわち、サブ磁気回
路とカウンター磁気回路の互いに対向する磁極が異なる
磁極であるように配置されている。
【0054】次に動作について説明する。実施の形態1
0において、アーム14が回転するとサブ磁気回路は変
位せずにカウンター磁気回路が変位するので引き寄せ合
う吸引力の磁気力が働き、アーム14の水平時にサブ磁
気回路とカウンター磁気回路の対向する磁石間の距離が
最も近いので吸引力が最も強く、前述のように距離の変
化に応じて磁力は大きく変化する。この結果、かご12
の低速走行時にばね定数が高く、高速走行時にはばね定
数が低くなり非線形磁気ばねが構成される。この実施の
形態10の構成では、カウンター側に磁気ばねを設けて
いるので、接触事故などを起こし易いピックアップ部の
構成を簡単にすることができ、生産が容易で事故の少な
い構成にできる。また、ピックアップ部にピックアップ
機能以外の機能を設けないので、ピックアップ部もカウ
ンター部も色々な構成をとりやすく、更に、バランスウ
エイト17と磁気ばねとを兼用しているので、部品点数
が少なく、回転部の構成が簡単、軽量であるという効果
が得られる。
【0055】実施の形態11.実施の形態11において
も、アーム14が水平に近いときにはアーム14を水平
に保つ方向に強い力が働くような非線形磁気ばねが形成
される。図16において、25hはピックアップ16の
ヨーク16bを上下から挟持するように対向して設けら
れた、アーム14に対して垂直方向の辺の方が水平方向
の辺よりも長い長方形形状をした1組の磁石、25iは
磁石25hに固着されたヨーク、25jは基台25cに
固着され、ヨーク16bの突出部を囲むようにアーム1
4と平行方向にヨーク16bの突出部の上下に延在する
腕を有し、該腕上にヨーク25iを吸着してヨーク25
iを介して磁石25hを保持する磁石ホルダーである。
磁石25h、ヨーク25i及び磁石ホルダ25jは第三
の磁気回路を構成する。
【0056】次に動作について説明する。磁石25i
は、アーム14の水平状態(静止状態)でヨーク16b
の上下の面にそれぞれ吸着している。図17に示すよう
に、かご12が下方に移動していてかごの速度が上が
り、ヨーク25iと磁石ホルダー25jとの間の吸着力
及びヨーク16bと下方の磁石25hとの間の吸着力よ
り大きな発生力がピックアップ16に作用したときに、
ピックアップ16が上方の磁石25h及びヨーク25i
を載置したまま上昇し、一方、下方の磁石25hとヨー
ク25iとはヨーク25iが磁石ホルダー25jにより
上方への動きを制限されているため磁石ホルダー25j
に吸着された状態で残される。逆に、図18に示すよう
に、かご12が上方に移動するときには、ヨーク25i
と磁石ホルダー25jとの間の吸着力及びヨーク16b
と上方の磁石25hとの間の吸着力より大きな発生力が
ピックアップ16に作用したときに、ピックアップ16
が下方の磁石25h及びヨーク25iを載置したまま下
降し、一方、上方の磁石25hとヨーク25iとはヨー
ク25iが磁石ホルダー25jにより下方への動きを制
限されているため磁石ホルダー25jに吸着された状態
で残される。
【0057】この様にして形成された磁気ばね25のば
ね力F1と弾性ばね19のばね力F2のピックアップ1
6の変位に対する特性を図19に示し、磁気ばね25と
弾性ばね19の合成されたばね力のピックアップ16の
変位に対する特性を図20に、かご12の走行速度に対
するこの実施の形態11のピックアップ16の変位量の
特性を図21に示す。上述した実施の形態1〜10の構
成では、水平状態(静止状態)から移動しはじめるとき
ばね力は0であったが、この実施の形態11の構成で
は、水平状態(静止状態)で磁石25hがヨーク16b
に吸着しているため、かご12が上、または下に移動し
ようとしたときに最初からプリロードとしてのばね力F
sが働いている。よって、例えば、かご12が定格速度
で下方向に移動したときはピックアップ16が上方向に
移動しようとする発生力が働くが、この力に抗する磁石
25hの吸引力が作用して、アーム14が回転せずに水
平状態を保つようにしており、ばね力Fsを超える発生
力が発生する速度Vsを超えると磁石25hの吸引力よ
りも渦電流による発生力の方が大きくなり、アーム14
が回転し始め、変位Psの位置まで変位するように構成
している。ピックアップ16が移動し、アーム14が回
転すると、図17、18に示すように、磁石25hの一
方がピックアップ16から離れ、吸引力が急激に小さく
なり、弾性ばね19によるばね力F2のみに抗して変位
するので大きな変位が得られる。
【0058】この実施の形態によれば、かご12の速度
の低いときはアーム14は全く回転しないので、誤動作
が少なくでき、寿命も長くできる。また、アーム14が
最初に回転し始める速度Vsを定格速度を超えた値に設
定すると、通常はアーム14が全く動かないので、より
長い寿命と安全性を確保できる。さらに、この実施の形
態の構成では、吸引力を得るための磁石25hがピック
アップ16の移動方向と同じ方向にあるため、吸引力が
効果的に得られ、小さな磁気回路で大きな効果が得ら
れ、また、吸引力を得るための磁石25hがピックアッ
プ16にアーム14の水平状態で吸着した状態で構成し
ているので、小さな磁力で大きな吸引力が得られ、より
小さな磁石で構成できる効果もある。
【0059】なお、この実施の形態の構成では、磁石2
5hをヨーク16bにアーム14の水平状態で密着させ
て吸着させているが、隙間のある非接触状態でもよく、
また、磁石25hを用いてピックアップ16と磁気ばね
25とを吸着しているが、ピックアップ16の漏れ磁束
を利用して、磁石25hを用いずにヨークだけで吸引力
を得る構成でもよく、この場合ヨーク25iのみがピッ
クアップ16のヨーク16bの近傍に設置されることと
なる。さらに、磁石25h及びヨーク25i又はそのい
ずれかのみをヨーク16bの上下のいずれか一方の側の
みに設けるようにしてもよい。
【0060】実施の形態12.実施の形態12において
は、図22に示すように、アーム14を設けずに、ピッ
クアップ16を直接弾性ばね19で支持する方式に磁石
25h、ヨーク25i、磁石ホルダー25jによる実施
の形態11と同じ構成の磁気ばね25が設けられてい
る。この様に構成することにより、部品点数が削減で
き、装置が小型、軽量化でき、安価にできる。
【0061】実施の形態13.実施の形態13において
は、図23に示すように、導体18の片側のみに磁石1
6aを設けたピックアップ16の片側のみのヨーク16
b上に、上述の実施の形態11と同様に、磁石25h、
ヨーク25i、磁石ホルダー25jを設けて磁気ばね2
5を構成している。この様に構成することにより、部品
点数が更に削減でき、装置が更に小型、軽量化でき、安
価にできる。
【0062】これまでの全ての実施の形態の構成におい
て、磁気ばね25はアーム14の途中に設置しても、ア
ーム14のそれ以外のどの点であってもよく、またアー
ム14の水平位置、または、静止状態から変位すると水
平位置または静止状態での位置に戻そうとする力が発生
する構成ならば他の構成の磁気回路構成でもよい。
【0063】実施の形態14.図24に示すように、実
施の形態14においては、ピックアップ16と磁気ばね
(第四の磁気回路)25の磁石25hとは上下方向に所
定の隙間を保って分離されており、ピックアップ16が
移動するとアーム14が上方又は下方に回転し、図25
(1)(かご12が下方に走行する場合)及び図25
(2)(かご12が上方に走行する場合)に示すよう
に、ピックアップ16と磁石25hとが近接する。磁石
25hは、ヨーク25i、磁石ホルダー25jを介して
基台25cと連結しており、かご12が動いてヨーク1
6bが支点15を中心に回転しても、磁気ばね25は回
転しない。図24に示すように、ピックアップ16がか
ご12に対して相対的に移動しておらず、アーム14が
水平のときにヨーク16bと磁石25hとが最も離れて
おり、相互間の磁気的吸引力が小さくなるように構成さ
れている。
【0064】次に動作について説明する。上述のよう
に、渦電流を利用したエレベータ調速機においては、か
ご12の高速走行時のピックアップ16の発生力が小さ
く、危険速度でのピックアップ16の変位の変化率が小
さいので、非常止め機構の作動速度が安定せず、非常止
め機構の作動点の設定が難しいという課題があった。実
施の形態14は、かご12が高速で走行し、危険速度に
達したときにピックアップ16の回転を助長する方向に
力が働くような非線形磁気ばねを設けることにより、こ
の課題を解決するものである。すなわち、アーム14が
ある程度回転すると磁気ばね25のばね定数が小さくな
り、アーム14の回転を助けることにより、エレベータ
調速機の誤動作が少なく安定した動作が得られる。この
実施の形態14では、図25に示すように、かご12の
下方への高速走行時(図25(1))又は上方への高速
走行時(図25(2))に、ピックアップ16が上方又
は下方に移動するとピックアップ16が磁石25hによ
り吸引され、その結果磁気ばね25のばね定数が小さく
なる。
【0065】図26において、F1はこの実施の形態1
4のピックアップ16の変位に対する磁気ばね25のば
ね力、F2は弾性ばね19のばね力である。図に示すよ
うに、磁気ばね25のばね力F1は、磁気の物理的特性
より、変位に対して非線形に変化し、弾性ばね19のば
ね力F2は、上述の如く、変位に対して通常線形に変化
する。この実施の形態14ではこれらのばね力が合成さ
れ、図27に示すような非線形ばねが構成される。この
図27に示す非線形ばねは、ピックアップ16の変位が
小さいうちはほぼ弾性ばね19のみが寄与し、ばね定数
が大きいが、ある程度変位が大きくなる(すなわちアー
ム14がある程度回転する)と磁気ばね25の寄与分が
大きくなり、ばね定数が小さくなる。
【0066】かご12の速度に応じてピックアップ16
に発生する発生力は図79に示す如くであるので、図2
7に示す特性を有するこの実施の形態の非線形ばねによ
り、かご12の速度対ピックアップ16の変位の関係が
図28に示すようになる。かご12の速度が上がるに従
って、ピックアップ16に作用する導体18中の渦電流
による発生力が上がっていくが、次第に磁気ばね25の
磁気力の影響が大きくなることにより、磁気ばね25と
弾性ばね19との合成ばねのばね定数が小さくなり、か
ご12の速度に対するピックアップ16の変位が大きく
なる。さらに、ピックアップ16の位置が第二過速度に
対応する変位Psを超えると合成ばねのばね定数が負に
なり、上記発生力の方が大きくなるので、ピックアップ
16は磁気ばね25に引き寄せられ、大きく変位する。
【0067】ここで、ピックアップ16の変位に対する
磁気ばね25のばね力の傾きが弾性ばね19のばね力の
傾きと同じになったときが合成ばね力のばね力の傾きが
0になる所(図27の変位Ps)である。磁気ばね25
のばね力が弾性ばね19のばね力の傾きを超えると、合
成ばねのばね力のばね定数が負となり、変位の増大によ
り、ばね力は減る事になるので、かご12の速度が減速
せずピックアップ16の発生力を維持するならば、アー
ム14は磁気ばね25の磁気力に引き寄せられ、急激に
変位する。そこで、この合成ばね力の傾きが0になる所
を定格速度を超えた第一危険速度、または、第二危険速
度の前に設定する事により、かご12が危険速度に近づ
くとピックアップ16の変位が大きく取れ、確実な危険
速度検出動作が得られる。ただし、変位が最大になった
時点でも合成ばね力を0よりも大きな正の値に設定する
と、かご12の速度が危険速度の近辺から低下したとき
に元の位置に復元し、あとの処理が容易になる(逆に、
合成ばね力を負に設定すると復元する事ができないが、
吸引力が強くでき非常止めの動作の確実性が向上す
る)。
【0068】これにより、高速時でのピックアップ16
の変位が従来例に比べ大きくでき、定格速度点、第一動
作点、第二動作点の変位差が従来例に比べ大きく取れて
いるので、非常止め動作の動作速度が安定し安全性が高
まる。
【0069】実施の形態15.図29に示すように、実
施の形態15においては、ピックアップ16の後側に磁
気ばね25が設けられている。この場合も、図30に示
すように、かご12が上下方向に(図30(1)はかご
12の下方向の走行時、図30(2)はかご12の上方
向の走行時)高速で走行したときに、ピックアップ16
が磁気ばね25の磁石25aに近接して、磁気ばね25
の磁気回路は、かご12の高速域でピックアップ16の
回転を助ける力が働く。このような構成により、実施の
形態14に比べ第四の磁気回路の高さを低くすることが
できる。
【0070】実施の形態16.図31に示すように、実
施の形態16においては、磁気ばね(第四の磁気回路)
25’をピックアップ16の反対側に配置したものであ
る。図31において、25d’は上下方向に所定の距離
を隔てて中間にバランスウエイト17を挟んで互いに対
向して設けられたカウンター磁石で、25e’はカウン
ター磁石25d’を保持するカウンターヨーク、25
f’はサブ磁気回路を構成するためにカウンター磁石2
5d’にそれぞれ異なる極性で対向してバランスウエイ
ト17の上面と下面にそれぞれ固着して設けられた2個
の磁石、25c’はカウンター磁石25d’を保持する
基台で、かご12の上面に取り付けられている。
【0071】磁石25f’で構成されるサブ磁気回路
は、カウンター磁石25d’と磁石25f’が異なる極
性で対向して設けられているので、カウンター磁気回路
と互いに吸引しあう。この吸引力は図31(2)に示す
ような、アーム14の水平位置で最も小さく、図32に
示すようにアーム14が大きく回転するにつれて大きく
なる。すなわち、磁気ばね25’の磁気回路により、か
ご12の高速域でピックアップ16の回転を助ける力が
働く。
【0072】実施の形態17.図33に示すように、実
施の形態17においては、磁気ばねを、アーム14の回
転量が少ないときに強い制動力をもたらすピックアップ
16の近傍に設けられた磁気ばね25と、アーム14の
回転量が大きくなるにつれて回転を助長するバランスウ
エイト17の近傍に設けられた磁気ばね25’とにより
構成している。
【0073】次に動作について説明する。この実施の形
態17の場合は、かご12が低速のときはピックアップ
16の変位が小さく、磁気ばね25の作用によりピック
アップ16の変位に対する大きな抵抗力が作用し、かご
12が高速になりピックアップ16の変位が大きくなる
と、磁気ばね25’の作用によりアーム14の回転を助
長するような力が作用するので、かご12の高速走行時
にピックアップ16の変位が大きくなり、より一層安全
性と確実性が向上する。低速で補正する手段と高速で補
正する手段との組み合わせはどのような組み合わせでも
よいが、この実施の形態17のように、磁力発生側とカ
ウンターウエイト側とに磁気ばねの構成を分離すると装
置の配置が分散でき、設計や組立調整が容易になる。
【0074】実施の形態18.図34に示すように、実
施の形態18においては、ピックアップ16の近傍に、
アーム14の回転量が少ないときに強い制動力をもたら
す磁気ばねと、アーム14の回転量が大きくなるにつれ
て回転を助長する磁気ばねとを設けている。この実施の
形態18の場合、装置が小型化でき、スペース的に有利
である。
【0075】実施の形態19.図35に示すように、実
施の形態19では、ピックアップ16は、導体18と対
向して両側に配置された磁石16aと、この2つの磁石
16aの磁束の通路を確保するためのヨーク16b、1
6cとから構成されている。ヨーク16cはアーム14
と連結されており、ヨーク16cは固着部16dを介し
て基台13に取り付けられている。図37に示すよう
に、ヨーク16bと16cとは隙間を保って分離されて
おり、導体18の長手方向(かご12の移動方向)をZ
軸、導体18の平面に垂直な方向をY軸とし、Z、Y軸
に垂直な方向をX軸とすると、ヨーク16cはヨーク1
6bと対面したY−Z平面内の表面が凹面になってい
る。この凹面は、アーム14が水平の時にヨーク16b
と16cとの間隔が最も広くなり、アーム14が水平の
時に凹面の中心がヨーク16bに対面するように構成さ
れており、アーム14が回転し、斜めになった場合には
ヨーク16bと16cとの間隔が狭くなる。ヨーク16
cは固着部16dを介して基台13に固着されており、
かご12が動いてヨーク16dが支点15を中心に回転
してもヨーク16cは回転しないように構成されている
(図36参照)。
【0076】次に動作について説明する。一般に、渦電
流を利用したかご速度検出方式では、導体18の両側の
空隙部30の磁束31(図37(1)を参照)の量にピ
ックアップ16に発生する抗力(かご12の移動に抗す
る発生力)の強さが比例し、磁束31の量は磁束の通り
やすさ(磁気抵抗の大きさ)で定まる。そこで実施の形態
19では、かご12の速度が低い時は磁束31が通り難
く(磁気回路の磁気抵抗が大きく)、速度が増すにつれ
て磁束31が通り易い(磁気抵抗が小さくなる)構成に
することにより、速度が増すにつれピックアップ16に
作用する磁束31の量が増えるように構成した。
【0077】図38、図39に示すように、実施の形態
19では磁石16aとヨーク16b、16cと導体18
とがそれぞれ空隙30を介して磁束の通る磁路を構成し
ている。例えば、導体18の両側の空隙の長さやヨーク
16bと16cとの空隙32の長さが長くなれば磁束は
通り難くなるので、空隙32を通る磁束33は少なくな
り、渦電流によりピックアップ16に発生する発生力も
小さくなる。逆に空隙32の長さが短くなれば磁束の量
は増え、渦電流の発生が多くなり、発生力も大きくな
る。実施の形態19では、アーム14が水平状態(ピッ
クアップ16がかご12に対して相対的に静止状態にあ
るとき)で磁束は図38(1)、(3)に示すように流
れており、ヨーク16cの凹面の腹のところを磁束が通
るため空隙32が大きく磁気抵抗が大きい。このため、
磁束は少ししかピックアップ16を通らない。かご12
の速度が増していってアーム14が回転すると、ヨーク
16bが、図39(2)に示すように、上昇し、磁路は
図39(1)、(3)に示すような磁路になる。この状
態になると、ヨーク16bと16cとの空隙32が小さ
くなり、磁気抵抗が小さくなるので、ピックアップ16
を磁束が通り易くなり、導体18の両側の空隙30での
磁束31が増えることになる。ピックアップ16の上下
方向の変位zに対する導体18の両側の空隙30の磁束
31の強さBの変化は、最もよく磁束の通る位置での磁
束の大きさを1とすると、例えば図40のようになる。
よって、実施の形態19ではアーム14が回転し、ピッ
クアップ16が上方又は下方に移動するに伴い磁束31
の強さBが強くなり、かご12の速度上昇に伴う発生力
の傾きの低下が補正される。
【0078】実施の形態19でのかご速度が上がった場
合の発生力の特性は、物理特性である図79の特性と図
40の特性とが重ね合わされ、図41に示すような特性
となる。図41より、図79の発生力f0、f1、f2
の相互間の間隔に比べ図41の発生力f0’、f1’、
f2’の相互間の間隔が広くなって、定格速度での発生
力と第一及び第二過速度での発生力の差を大きくするこ
とができる。よって、かご12の速度の変化に対するバ
ランスウエイト17の変位が高速域でも大きく改善され
る。これにより、安全装置のセット位置が容易で誤動作
が少なく動作速度の正確さと確実性が向上する。
【0079】この実施の形態19の構成では、空隙32
の大きさでピックアップ16の磁気抵抗を変化させてい
るので、大きな磁気抵抗の変化を得ることができる。
【0080】なお、ヨーク16cの形状は、アーム14
が水平のときにヨーク16bとの間隔が広くなり、アー
ム14が回転すると間隔が狭くなるような構成であれば
どのような形状でもよく、例えば、図42(1)に示す
ような斜めに切れ込んだ構成や、図42(2)に示すよ
うな階段状の構成、図42(3)に示すようにヨーク1
6bの位置に対応する水平部分にはヨーク16cが無
く、上下にヨーク16cを配置した構成でもよい。
【0081】また、保持用の弾性ばね19と磁気抵抗の
変化によるばね力とを以下に示すように設計すれば、更
に動作の確実性を高めることができる。すなわち、ま
ず、ピックアップ16の上下方向の変位zとピックアッ
プ16の磁気抵抗の変化による磁気ばねのばね力F1と
の関係は、アームが傾くと通る磁束が多くなり吸引力が
強くなるので、例えば図43のようになる。図43に示
すように、ピックアップ16の上下変位zとアーム14
を保持する弾性ばね力F2との関係は通常線形関係にあ
るので、アーム14を保持する弾性ばね力F2と磁気ば
ね力F1とが合成され図44に示すような非線形のばね
が形成される。この非線形ばねは、アーム14の水平位
置の近傍ではばね定数が大きく、アーム14が回転する
に伴いばね定数が下がり(傾きが小さくなり)、磁気ば
ね力F1と弾性ばね力F2の傾きが同じになった変位P
3でばね定数が0となり(傾きが0になり)、これ以降
は変位が大きくなるとばね定数が負になる(変位が大き
くなるにつれ、引き戻そうとする力が小さくなる。傾き
が負になる)。これにより、定格速度内では変位が小さ
く、過速度領域で大きな変位が得られる特性になり、前
述の渦電流による高速時の力感度の低下を、安全装置が
動作する位置において、より補正することができる。ま
た、このばねでは、図44の変位P3でばね定数が0と
なった後も、かご12の速度が上がり続けると、磁気ば
ねF1による引っ張り力の増加によりばね定数が下がる
ので、図45に示すように、ピックアップ16の変位が
急激に大きくなり、安全装置が高い確実性を持って動作
する。ここで、図45に示すように、磁気ばね力F1と
弾性ばね力F2の傾きが同じになる変位P3を第一過速
度と第二過速度の間に設定すると、最終の停止装置であ
る非常止めの動作位置を高く取ることができ、誤動作の
確率が低く、確実な非常止め動作をさせることができ
る。
【0082】実施の形態20.図46、図47に示すよ
うに、実施の形態20は、アーム14が水平の時と回転
した時とで導体18の両側の空隙部の磁束の量を変化さ
せる実施の形態19とは異なる構造を用いたものであ
る。ヨーク16bと16cとは隙間を保って分離してお
り、導体18の長手方向(かごの移動方向)をZ軸、導
体18の平面に垂直な方向をY軸とし、Z、Y軸に垂直
な方向をX軸とすると、ヨーク16cはZ−X面が凹球
面になっている。該凹球面は、図46に示すように、ア
ーム14が水平の時に凹球面の中心がヨーク16bの位
置にくるように構成されている。磁石16aとヨーク1
6b、16cと導体18とは、それぞれ空隙を介して磁
束の通る磁路を構成している。ヨーク16cは基台13
と連結しており、かご12が動いてヨーク16bが支点
15を中心に回転してもヨーク16cは回転しないよう
に構成されている。
【0083】次に動作について説明する。図46に示す
ように、アーム14が水平の時には、ヨーク16cのヨ
ーク16bに面した、磁束の流れる部分である面積S1
が小さく、図47に示すように、アーム14が回転すれ
ば、ヨーク16cの磁束の流れる面積が広がり、S2と
なる。ヨーク16cの磁束の流れる面積が小さければ磁
気抵抗が大きく、導体18の両側の空隙部30の磁束3
1の量が小さい。逆に、ヨーク16cの磁束の流れる面
積が大きくなれば磁束31は増える。従って、実施の形
態19と同じ効果が得られ、かご12の速度が上がって
いった場合の安全装置の動作の確実性が高い調速機を得
ることができる。また、この実施の形態では、磁束の通
る面積で磁気抵抗を変化させているので、上述の実施の
形態19に比べ設計が簡単である。なお、ヨーク16c
の形状は凹球面でなくても良く、磁束の通る面積が変化
する形状であれば他の形状でも良い。
【0084】実施の形態21.これまでの実施の形態の
構成では導体18の両側に磁石16aを配置している
が、図48に示すように、この実施の形態21では、こ
れまでの形態の基台の上の場所に磁石16aを配置し、
導体18の両側にヨーク16cを配置してある。この構
成法では磁石16aが1個で済むため、生産や組み立て
が簡単で低コスト化でき、また、磁石16aを導体18
と近接した位置に置かなくてもよいので、事故等でピッ
クアップ16と導体18とが接触した場合でも接触部が
ヨークであるので復元が容易である。この実施の形態で
は、磁石16aはヨーク16bと対面した磁束の通る面
に直交したY−Z面が凹球面になっているが、上述のよ
うに、ヨーク16bと対面した磁束の通る面に直交した
Z−Y面が凹球面でも良く、アーム14が回転するとピ
ックアップ16中を通る磁束が多くなるような構成であ
れば他の形状でもよい。
【0085】なお、水平位置での磁気抵抗が高く、回転
した位置での磁気抵抗が低くて導体両側の磁束が多くな
る構成であれば、磁気回路は上述の実施の形態の構成に
は限らない。また、アーム14は平行リンクでなくても
よく、支点15から磁気回路を支える構成であればよ
い。
【0086】実施の形態22.図49に示すように、実
施の形態22では、実施の形態19のヨーク16cに、
磁石25a、ヨーク25b及び基台25cからなる磁気
ばね25を付け加えて構成している。
【0087】次に動作について説明する。この実施の形
態の構成では、かご12が低速走行をしているときは磁
気ばね25の磁気力により合成ばねのばね剛性を上げ、
ピックアップ16の変位が小さくなるように抑制してお
り、かご12が高速になると、ピックアップ16の磁気
回路の磁力が増加するとともに、磁束の流れやすい上下
方向に変位させようとする力も働くので、変位が大きく
なる。これにより、簡単な構成でより安全性を増す事が
できる。
【0088】実施の形態23.図50に示すように、実
施の形態23では、ヨーク16cが、導体18と対向し
て該導体18の両側に配置され、ヨーク16bに固着さ
れている。磁石16aはヨーク16bのバランスウエイ
ト17側の端部間に挟持されている。16eはヨーク1
6bの磁束の流れを途中から一部分岐するバイパスヨー
ク(第二の磁気回路)である。ヨーク16b、16c及
び磁石16aは一体的に結合されており、アーム14に
連結されている。バイパスヨーク16eはヨーク16c
と隙間を保って分離しており、基台16fに取り付けら
れている。かご12が高速で走行して、ヨーク16b、
16c及び磁石16aが支点15を中心に回転しても、
バイパスヨーク16eは、図51に示すように、基台1
6fに固定されているため、回転しない。
【0089】次に動作について説明する。図52に示す
ように、この実施の形態23においては、磁石16a→
ヨーク16b→ヨーク16c→導体18→ヨーク16c
→ヨーク16b→磁石16aという主磁気回路B1と、
磁石16a→ヨーク16b→バイパスヨーク16e→ヨ
ーク16b→磁石16aという副磁気回路B2とが存在
し、アーム14の水平時と回転時とで、磁束の流れる経
路を変化させることにより、アーム14が水平の時と回
転した時とでの導体18の両側の空隙部の磁束の量を変
化させる。
【0090】まず、アーム14が水平のときは、図52
に示すように、磁石16aのN極から出た磁束は主磁気
回路B1と副磁気回路B2の2つの磁路を通り磁石16
aのS極に帰ってくる。よって、導体18の両側の空隙
部には、磁石16aから出た磁束の一部しか通らない。
次ぎに、アーム14が回転すると、バイパスヨーク16
eがかご12上に残され、副磁気回路B2が構成できな
くなり、主磁気回路B1のみが形成される。つまり、磁
石16aから出た磁束は全て主磁気回路B1を通るの
で、導体18を通る磁束31が多くなる。従って、実施
の形態23においては、アーム14が水平の時には導体
18を通る磁束31が少なく、アーム14が回転すれば
導体18の両側の磁束31が増える。従って、かご12
の速度が上がっていった場合の安全装置の動作の確実性
が高いエレベータ調速機を得ることができる。
【0091】なお、バイパスヨーク16eをヨーク16
bの下に設け、副磁気回路B2を構成してもよい。バイ
パスヨーク16eは基台16fに取り付けられており、
アーム14が回転するとバイパスヨーク16eから磁石
16a、ヨーク16b、16cが離れる。よって、アー
ム14が回転していくと主磁気回路B1のみが形成され
るので、実施の形態23と同様な効果が得られる。同様
に、バイパスヨーク16eを磁石16aの後ろに設けて
もよい。また、両サイドのヨーク16bの一部を磁石1
6aとして構成してもよい。
【0092】なお、この実施の形態の構成では、アーム
14が水平のときに磁束が最も通りやすいので、水平位
置に留まろうとする磁気力が働く。そこで、この磁気力
を磁気ばねとして用い、実施の形態1で示したようにば
ね力の関係を設定すると、より一層誤動作が減少し、安
定性が向上する。
【0093】実施の形態24.この実施の形態24で
は、図54に示すように、導体18と対向して両側に配
置された磁石16aとこれらの磁石を固定し、磁束の通
路を確保するためのヨーク16b(図54では磁石16
aと一体的に描いてある)により、ピックアップ16を
構成している。ヨーク16bはアーム14と連結されて
おり、バランスウエイト17はアーム14の他端に質量
とアームの回転中心を軸とした左右の回転モーメントが
ピックアップと釣り合うように設けられている。アーム
14は基台13に取り付けられている。
【0094】導体18の長手方向(かご12の移動方
向)をZ軸、導体18の平面に垂直な方向をY軸とし、
Z、Y軸に垂直な方向をX軸とすると、アーム14の一
方の回転面がZ−X平面に対して角度+θyだけ下端部
が外側に傾き、アーム14のもう一方の回転面がZ−X
平面に対して角度−θyだけ下端部が外側に傾いて構成
されている(Y方向から見ると両アームの回転面が
「ハ」の字形になる)。
【0095】次に動作について説明する。図54(2)
に示すように、アーム14がX軸の回りに左回りに角度
−θxだけ回転すると磁石16aと導体18との距離が
狭くなり、逆に右回りに角度+θxだけ回転すると磁石
16aと導体18との距離が広くなる。従って、かご1
2が上昇すると前述の渦電流による力によりアーム14
が左回りに回転するので、磁石16a及び導体18間の
距離が狭くなり、導体18に作用する磁束の量が増加
し、渦電流による抗力が大きくなるため、これまでの実
施の形態と同様に、かご12の速度が上がった場合の抗
力の傾きの低下を補正することができる。
【0096】この実施の形態24の構成の利点は、磁束
の発生している空隙部の間隔が直接変化するので、ピッ
クアップ16で作用する磁束の量の大きな変化が得やす
いことと、ピックアップ16が上方向に回転する方が磁
束が通りやすいので、磁気力として上に回転しようとす
る力が磁気ばねとして利用できることである。図55に
示すように、アーム14が図55(1)に水平位置から
回転し、図55(2)に示すように、ピックアップ16
が−Z方向に変位すると、導体18と磁石16aの間隔
が(水平位置の間隔t1から間隔t2に)小さくなるの
で、図56に示すように作用する磁束の量が急激に増加
し、かご12の速度が危険速度まで上昇したときのピッ
クアップ16の変位の関係が図57に示すように大きく
補正される。従って、危険速度に達したときのピックア
ップ16の変位が大きく、安全装置の作動の確実性が向
上する。さらに、この実施の形態24の構成では、上述
したように、上方向に回転する方が磁束が通りやすいの
で、磁気力として上に回転しようとする力が磁気ばねと
して利用でき、ピックアップ16の上下方向に磁石25
hを配置する磁気ばね25を構成すれば、より一層誤動
作が少なくなり、動作が安定する。
【0097】また、ヨーク16bと導体18とで磁路を
形成しているので、導体18の両側の磁石16aからの
磁束を結ぶ磁路をヨーク16cで作らなくてもよく、部
品点数が少なく、構成が簡単である。
【0098】さらに、この実施の形態24の方式では、
導体18の片側だけに磁石16a、ヨーク16b及びア
ーム14を設けても機能するので、更に部品点数を減ら
し簡単な構成にする事もできる。なお、磁力が強くなる
ように、ヨーク16bと導体18を結ぶヨークを設けて
もよいし、両側の磁束を結ぶヨーク16cを設けてもよ
い。
【0099】実施の形態25.実施の形態24では、か
ご12が下降する方向にしかかご12の速度に対するピ
ックアップ16の変位の傾き(dZ/dV)を大きくす
る作用が働かないが、この実施の形態25では、図58
に示すように、導体18の両側のアーム14を両側とも
同じ方向に傾けて構成してあり、ピックアップ16が上
方に回転したときはX軸の正側の磁石16aが、下方に
回転したときはX軸の負側の磁石16aが導体18に近
づき、実施の形態24と同様の効果が得られるので、か
ご12の上昇方向及び下降方向のいずれの方向の走行時
にも、上述のかご12の速度に対するピックアップ16
の変位の傾き(dZ/dV)を大きくする効果が得られ
る。
【0100】実施の形態26.この実施の形態26にお
いては、図59に示すように、アーム14が実施の形態
25と同様の斜めに取り付けられている他、導体18の
両側の磁石16aを磁気的に結合するヨーク16cを設
けている。ヨーク16cは、図59(2)に示すよう
に、アーム14の一方が導体18から遠ざかる場合に
は、この遠ざかるアーム14から離れるように着脱自在
に設けられている。このように構成することにより、ピ
ックアップ16の磁気回路の磁束がよりよく通るように
なる。
【0101】また、この実施の形態26では、アーム1
4を斜めに取り付けることにより導体18の両側の空隙
30の距離を変化させているが、磁石16aの移動経路
に沿って空隙30の距離が変化するガイドやリンク機構
を設けてもよい。
【0102】実施の形態27.安全装置の動作をより安
定させるために、安全装置を動作させるまでのストロー
クを大きく取る場合、例えば、磁気回路の強さやばね力
の制限により、定格速度や第一過速度を例えば図44の
変位P3を超えて設定したい(すなわち変位P3を図4
4の右方向に移動させたい)場合がある。このとき、バ
ランスウエイト17側で動作力を補正する力調整機構を
設けて力の補正を行うことにより、この要求を実現する
ことができる。実施の形態27はこの力調整機構を実現
した実施の形態である。
【0103】図60に示すように、この実施の形態27
のピックアップ16のヨーク16cは図35に示した実
施の形態19のヨーク16cと同一の形状をしており、
図43に磁気ばね力F1として示した磁気力を有してい
る。この磁気ばね力F1が強い場合には図44の変位P
3が同図の左方向に位置することとなるので、この磁気
ばね力F1を相殺する磁気ばね25’をバランスウエイ
ト17側に設けてある。磁気ばね25’は、バランスウ
エイト17の上面と下面に磁石25f’を配置し、バラ
ンスウエイト17の移動し得る上端部と下端部の位置に
磁石25f’と反発する極性でカウンター磁石25d’
とカウンターヨーク25e’とを配置してある。このバ
ランスウエイト17側の磁気回路による反発力F3は例
えば図62に示すようになる。この反発力F3を磁気ば
ね力F1及び弾性ばね力F2と合成すると、図63に示
すように、合成力F1+F2+F3がピーク値を取る変
位を上げることができ、安全装置の作動距離を長く取る
ことができ、図64に示すように、定格速度、第一過速
度及び第二過速度をピックアップ16の変位が変位P3
に達する前に設定することができる。
【0104】このように、かご12の移動速度に対応し
た渦電流による力に加え、アーム14を保持する弾性ば
ね力F2と導体18の両側の磁石16aの磁束量の変化
による磁気ばね力F1とバランスウエイト17側の磁気
ばね25’による磁気ばね力F3とにより、ピックアッ
プ16の変位と合成ばね力との関係を任意に設計でき
る。
【0105】実施の形態28.これまで説明した実施の
形態は非線形ばねを磁気ばねと弾性ばねとにより構成し
ていたが、この実施の形態28では、弾性ばねの組み合
わせで非線形ばねを構成する。
【0106】図65において、41は弾性ばね19より
もばね定数の小さい弾性ばねであり、42は弾性ばね4
1を収納するためのホルダーである。弾性ばね41がホ
ルダー42内に予め圧縮された状態で収納されている。
図66(3)に示すように、合成ばねの特性は、始めは
弾性ばね19の特性に従って大きいばね定数の特性を示
し、変位が大きくなると弾性ばね41の特性が顕著にな
り、ばね定数が下がり、これまでの非線形ばねと同様の
特性が得られる。このばねを用いてかご12の速度とピ
ックアップ16の変位との関係を示した図が図67で、
低速度で変位が小さく、高速になると急激に変位が上が
る特性が得られ、誤動作が少なく、安定したエレベータ
調速機が得られる。
【0107】この実施の形態28では、安価な弾性ばね
だけを用いて構成しているので装置が安価にでき、ま
た、弾性特性が安定しているので、信頼性の高い装置が
構成できる。
【0108】実施の形態29.実施の形態29では、非
線形ばねの非線形性を電気的な制御により実現する。図
68において、43はバランスウエイト17の変位を制
御するアクチュエータであり、43aはバランスウエイ
ト17の下に設けられ、バランスウエイト17からの力
の大きさを検出することができ、さらにバランスウエイ
ト17を上下方向に変位させることのできるアクチュエ
ータバネである。また、43bはアクチュエータバネ4
3aを電気的に制御する制御装置である。
【0109】次に動作について説明する。図69のフロ
ーチャートを参照しながらバランスウエイト17の変位
制御動作を説明する。
【0110】まず、アクチュエータバネ43aがバラン
スウエイト17の変位による力を検出する(ステップS
T1)。
【0111】次に、制御装置43bは、アクチュエータ
バネ43aが検出した力をバランスウエイト17を変位
させる変位量に変換する(ステップST2)。このと
き、制御装置43bは、ステップST2の図に示すよう
に、アクチュエータバネ43aが検出した力が危険速度
以下の時には小さく、危険速度に近づくと急激に大きく
なり、危険速度に達したときに制御装置のスイッチや非
常止めが動作するようにバランスウエイト17を変位さ
せるように変換してアクチュエータバネ43aを制御す
る制御量を求める。
【0112】次に、アクチュエータバネ43aが制御装
置43bから出力される制御量に従ってバランスウエイ
ト17を変位せしめる(ステップST3)。
【0113】このように、バランスウエイト17をアク
チュエータ43で変位させることにより、かご12の速
度が小さいときにバランスウエイト17(ひいてはピッ
クアップ16)の変位が小さく、かご12が危険速度に
達したときの変位が大きくなり、誤動作の危険性が小さ
く確実に動作するエレベータ調速機が得られる。
【0114】また、この実施の形態29の構成では、電
気的に制御を行うので、力に応じた変位の変換を簡単に
行うことができ、安定した信頼性の高い装置が得られ
る。
【0115】実施の形態30.実施の形態30では、か
ご12の低速度でピックアップ16の回転角が大きいこ
とや高速域でピックアップ16の発生力の低下により変
位の変化率が低下してしまう課題を機構系により補正
し、安全装置の動作させる部分の変位を高速域で大きく
なるようにする。
【0116】図70において、50は非常止め機構を動
作させる連結棒で、51はこれを駆動するカム(変位変
換機構)、52は連結棒50をカムに押し付けている押
しばねで、他の構成要素はこれまでの実施の形態と同様
である。図71はカム51が回転して連結棒50が下方
に突き出された状態を示す。カム51は、図72に示す
ように、回転に伴い変位する割合が変化し、回転が進む
と変位が大きくなるように設計されている。よって、非
常止め機構を駆動させる連結棒50の変位は、図81に
示すピックアップ16、すなわちアーム14の変位と図
72に示すカム51の変位とが合成され、図73に示す
ように変位する。これにより、かご12の高速域での連
結棒50の変位が大きく取れ、誤動作が少なく動作の確
実性が向上する。
【0117】実施の形態31.この実施の形態31にお
いては、カム51は、図76に示すように、回転し始め
る時には連結棒50の変位が無いようにし、かご12が
危険速度に達してアーム14が回転し図75に示す状態
になったときに、連結棒50が大きく変位するような形
状を有している。このようにすることにより、簡単に高
速域での大きな変位の差を得る事ができる。
【0118】上記実施の形態30,31の方式では、磁
気回路はそのままで、カムによる機構系だけでかご12
の速度に対するピックアップ16の変位量の関係を補正
できるので、構成が簡単で安価である。
【0119】なお、実施の形態30,31では補正機構
系をカムにより構成したが、回転するに伴い変位の変化
率が大きくなるような機構系であればカムでなくてもよ
く、リンク機構等でもよい。
【0120】さらに、実施の形態30,31では磁気回
路部は従来と同じであるが、磁気回路部を上述の実施の
形態1〜27の構成にしてもよく、実施の形態1〜27
の磁気回路部の構成と上述の実施の形態30,31のカ
ム構成とを組み合わせると、より高い補正効果を得る事
ができ、信頼性が向上する。
【0121】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、かご
の走行に伴って導体中に発生する渦電流で第一の磁気回
路に作用する力をかご走行方向への第一の磁気回路の変
位に変換する変換装置が、前記かごの危険速度近傍で速
度変化率以上の変位変化率を有するように構成したの
で、第一の磁気回路をかごの危険速度近傍で大きく変位
させることができ、このため、かごの速度が上がった場
合に安全装置を誤動作なく正確に安定して動作させるこ
とができるという効果がある。
【0122】この発明によれば、かご又は釣り合い錘上
で第一の磁気回路の近傍に第二の磁気回路を設けること
によって、第一の磁気回路の変位が小さいとき及び変位
していないときは、その変位を抑制する方向に磁力を作
用させるように構成したので、第一の磁気回路は変位が
小さいうちは変位し難く、変位が大きくなると変位し易
くなり、このため、かごの走行速度を正確に検出できる
という効果がある。また、磁力を用いているので、安価
で寿命が長いという効果がある。
【0123】この発明によれば、第一の磁気回路の変位
が小さいとき及び変位していないときに第一の磁気回路
の磁束の一部がヨークに分岐され導体に供給されないよ
うに構成したので、第一の磁気回路の発生する力が小さ
くなり、第一の磁気回路の変位が大きくなるとヨークが
該磁気回路中から離脱して該磁気回路の全ての磁束が導
体中を通り、該磁気回路の発生する力は大きくなる。こ
れにより、かご走行の定格速度での該磁気回路部の変位
を十分に抑制し、異常な速度での該磁気回路部の変位を
十分に拡大できるという効果がある。
【0124】この発明によれば、第一の磁気回路の変位
が小さいとき及び変位していないときにヨーク又は磁石
が該磁気回路の要素となるように構成したので、該磁気
回路の他の構成要素と互いに吸引し合って回動体の回転
に対して大きな抵抗力を付与し、該磁気回路の変位が大
きくなるとヨーク又は磁石が該磁気回路から離脱して他
の構成要素に対して吸引力を及ぼさなくなり、回動体の
回転に対して抵抗力を付与しなくなる。これにより、か
ごの速度が小さいうちは回動体があまり回転せず、かご
の速度が大きくなると大きく回転し、危険速度に近い領
域での正確な速度の検出が可能になるという効果があ
る。
【0125】この発明によれば、その一部が回動体に他
の部分がかご又は釣り合い錘上に形成された第二の磁気
回路が回動体の回動を抑制するように構成したので、回
動体の回動が小さいうちは第二の磁気回路により回動が
抑制され、回動体の回動が大きくなると第二の磁気回路
の回動体に形成された部分がかご又は釣り合い錘上に形
成された部分から離れて抑制力が作用しなくなり、回動
体が大きく回動できるようになる。従って、かごの速度
が大きくなると第一の磁気回路が大きく変位するように
なってかごの速度を正確に検出できるという効果があ
る。
【0126】この発明によれば、第一の磁気回路が変位
しない状態では第三の磁気回路が第一に磁気回路の磁石
又は該磁石を保持するヨークを吸着保持し、かごの走行
速度が所定の速度に達したときにこの保持を解除するよ
うに構成したので、かごの走行速度が小さいうちは第一
の磁気回路は全く変位せず、誤動作が少なく寿命も長く
できる。また、第一の磁気回路が変位しない状態で第三
の磁気回路が該第一の磁気回路を吸着保持しているの
で、第三の磁気回路は小さな磁力で大きな吸引力が得ら
れ、より小さな磁石で該第三の磁気回路を構成できる効
果がある。
【0127】この発明によれば、かごの走行速度が所定
の速度以上となり第一の磁気回路の変位が大きくなると
第四の磁気回路の磁力が作用して該第四の磁気回路の変
位を助長するように構成したので、危険速度近辺以上で
の第一の磁気回路の変位が大きくなり、制動装置の動作
が安定してエレベータ運行の安全性が高まる効果があ
る。
【0128】この発明によれば、その一部が回動体に他
の部分がかご又は釣り合い錘上に形成された第四の磁気
回路が回動体の回動を助長する方向に磁力を作用させる
ように構成したので、回動体の回動が大きくなると第四
の磁気回路の磁力が強く作用して第一の磁気回路の変位
が拡大される。従って、かごの危険速度近辺以上での走
行速度の検出を正確に行うことができる効果がある。
【0129】この発明によれば、磁石又はヨークの形状
を、第一の磁気回路の変位が小さいとき及び変位してい
ないときに該第一の磁気回路の磁束が通り難く、該第一
の磁気回路の変位が大きくなるにつれて磁束が通り易い
形状であるように構成したので、かごの速度が大きくな
るにつれ第一の磁気回路の変位が大きくなりそれにつれ
て磁束が通り易くなり、ますます変位が大きくなって、
危険速度に近づくにつれて変位が大きく変化するように
なる。これにより、制動装置の動作点の接点が容易で、
誤動作が少なく、かごの危険速度が正確確実に検出で
き、安定した安全装置動作が得られる効果がある。
【0130】この発明によれば、第一の磁気回路が変位
していないときに導体中を通る第一の磁路と導体中を通
らない第二の磁路とに該第一の磁気回路が分割されるよ
うに構成したので、第一の磁気回路に発生する力が弱く
なり、一方該第一の磁気回路の変位が大きくなると第二
の磁路はかご又は釣り合い錘に固定されているため第一
の磁気回路から離れて遊離し、これにより第一の磁気回
路に発生する力が大きくなる。従って、上述した各請求
項の発明と同様の効果が得られる効果がある。
【0131】この発明によれば、回動体がかごの走行方
向に対して傾斜した面内で回動するように構成したの
で、回動体が回動するにつれ該回動体の先端に固定され
た第一の磁気回路の磁石又はヨークが導体に接近して磁
束を通しやすくなり、上述の各請求項の発明と同様の効
果が得られる。
【0132】この発明によれば、回動体の他の部分にそ
の一部が設けられ上記かご又は釣り合い錘上にその他の
部分が設けられ、該回動体の回動を抑制する方向に磁力
を作用させる第五の磁気回路と、第一の磁気回路の変位
が小さいうち及び変位していないときに該第一の磁気回
路の磁束が通り難く、該第一の磁気回路の変位が大きく
なるにつれて該第一の磁気回路の磁束が通り易い形状の
磁石又はヨークとを備えるように構成したので、定格速
度、第一過速度及び第二過速度をピックアップの変位が
変位に達する前に設定するなど、ピックアップの変位と
合成ばねとの関係を任意に設計できる効果がある。
【0133】この発明によれば、回動体の第一の磁気回
路と反対側の端部にばね定数の高いばねと初期圧縮され
たばね定数の低い弱いばねとを直列に組み合わせて該端
部の変位を制限するばねを設け、安価な弾性ばねだけを
用いて構成するようにしたので、装置が安価にでき、ま
た、弾性特性が安定し、信頼性の高い装置が構成できる
効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1(1)はこの発明の実施の形態1による
エレベータ調速機を示す平面図、図1(2)は図1
(1)の正面図である。
【図2】 図1(2)中のアームが傾いた状態を示す正
面図である。
【図3】 この発明の実施の形態1によるエレベータ調
速機のピックアップの変位に対する磁気ばねと弾性ばね
に発生するばね力の関係を示す図である。
【図4】 図3の磁気ばねと弾性ばねの合成ばね力を示
す図である。
【図5】 この発明の実施の形態1によるエレベータ調
速機のかごの速度に対するピックアップの変位を示す図
である。
【図6】 図6(1)はこの発明の実施の形態2による
エレベータ調速機を示す平面図、図6(2)は図6
(1)の正面図である。
【図7】 図7(1)はこの発明の実施の形態3による
エレベータ調速機を示す平面図、図7(2)は図7
(1)の正面図である。
【図8】 図8(1)はこの発明の実施の形態4による
エレベータ調速機を示す平面図、図8(2)は図8
(1)の正面図である。
【図9】 図9(1)はこの発明の実施の形態5による
エレベータ調速機を示す平面図、図9(2)は図9
(1)の正面図である。
【図10】 図10(1)はこの発明の実施の形態6に
よるエレベータ調速機を示す平面図、図10(2)は図
10(1)の正面図である。
【図11】 図11(1)はこの発明の実施の形態7に
よるエレベータ調速機を示す平面図、図11(2)は図
11(1)の正面図である。
【図12】 図12(1)はこの発明の実施の形態8に
よるエレベータ調速機を示す平面図、図12(2)は図
12(1)の正面図である。
【図13】 図13(1)はこの発明の実施の形態8の
他の例を示す平面図、図13(2)は図13(1)の正
面図である。
【図14】 図14(1)はこの発明の実施の形態9に
よるエレベータ調速機を示す平面図、図14(2)は図
14(1)の正面図である。
【図15】 図15(1)はこの発明の実施の形態10
によるエレベータ調速機を示す平面図、図15(2)は
図15(1)の正面図である。
【図16】 図16(1)はこの発明の実施の形態11
によるエレベータ調速機を示す平面図、図16(2)は
図16(1)の正面図、図16(3)は図16(1)及
び(2)の破線Cで囲った磁気ばね部の拡大平面図、図
16(4)は同拡大正面図、図16(5)は同拡大右側
面図である。
【図17】 図17(1)は図16(1)中のアームの
回転状態を示す正面図、図17(2)は図17(1)の
C部の拡大正面図、図17(3)は同C部の拡大右側面
図である。
【図18】 図17とは異なった方向へのアーム動作説
明図である。
【図19】 この発明の実施の形態11によるエレベー
タ調速機のピックアップ変位に対する磁気ばねと弾性ば
ねに発生するばね力の関係を示す図である。
【図20】 図19の磁気ばねと弾性ばねの合成ばね力
を示す図である。
【図21】 上記実施の形態11のかごの速度に対する
ピックアップの変位を示す図である。
【図22】 図22(1)はこの発明の実施の形態12
によるエレベータ調速機を示す平面図、図22(2)は
図22(1)の正面図である。
【図23】 図23(1)はこの発明の実施の形態13
によるエレベータ調速機を示す平面図、図23(2)は
図23(1)の正面図である。
【図24】 図24(1)はこの発明の実施の形態14
によるエレベータ調速機を示す平面図、図24(2)は
図24(1)の正面図である。
【図25】 図25(1)は図24(2)のアームが時
計回りに回転した状態を示す正面図、図25(2)はそ
のアームが反時計回りに回転した状態を示す正面図であ
る。
【図26】 上記実施の形態14のピックアップの変位
に対する磁気ばねと弾性ばねのばね力の関係を示す図で
ある。
【図27】 図26の磁気ばねと弾性ばねの合成ばね力
を示す図である。
【図28】 上記実施の形態14のかごの速度に対する
ピックアップの変位を示す図である。
【図29】 図29(1)はこの発明の実施の形態15
によるエレベータ調速機を示す平面図、図29(2)は
図29(1)の正面図である。
【図30】 図30(1)は上記実施の形態15のアー
ムが時計回りに回転した状態を示す正面図、図30
(2)はそのアームが反時計回りに回転した状態を示す
正面図である。
【図31】 図31(1)はこの発明の実施の形態16
によるエレベータ調速機を示す平面図、図31(2)は
図31(1)の正面図である。
【図32】 図32(1)は上記実施の形態16のアー
ムが時計回りに回転した状態を示す正面図、図32
(2)はそのアームが反時計回りに回転した状態を示す
正面図である。
【図33】 図33(1)はこの発明の実施の形態17
によるエレベータ調速機を示す平面図、図33(2)は
図33(1)の正面図である。
【図34】 図34(1)はこの発明の実施の形態18
によるエレベータ調速機を示す平面図、図34(2)は
図34(1)の正面図である。
【図35】 図35(1)はこの発明の実施の形態19
によるエレベータ調速機を示す平面図、図35(2)は
図36(1)の正面図である。
【図36】 実施の形態19のアームが時計回りに回転
したときの状態を示す正面図である。
【図37】 図37(1)は上記実施の形態19のピッ
クアップを拡大して示す平面図、図37(2)はその正
面図、図37(3)はその右側面図である。
【図38】 図38(1)は上記実施の形態19におい
てアーム平行時のピックアップの磁気回路部分の磁束の
流れを示す平面図、図38(2)はその正面図、図38
(3)は右側面図である。
【図39】 図38のアームが傾いた時のピックアップ
の磁気回路部分の磁束の流れを示す平面図、図38
(2)はその正面図、図38(3)は右側面図である。
【図40】 上記実施の形態19のピックアップ変位に
対するピックアップ部の磁束の変化を示す図である。
【図41】 上記実施の形態19のかごの速度に対する
ピックアップの発生力を示す図である。
【図42】 上記実施の形態19のヨークの他の形状を
示す右側面図である。
【図43】 上記実施の形態19のピックアップ変位に
対する磁気ばねと弾性ばねに発生するばね力の関係を示
す図である。
【図44】 図43の磁気ばねと弾性ばねの合成ばね力
を示す図である。
【図45】 上記実施の形態19のかごの速度に対する
ピックアップの変位を示す図である。
【図46】 図46(1)はこの発明の実施の形態20
によるエレベータ調速機の平面図、図46(2)はその
正面図、図46(3)は右側面図である。
【図47】 図47(1)は上記実施の形態20のアー
ムが傾いた時のピックアップ部を示す平面図、図47
(2)はその正面図、図47(3)は右側面図である。
【図48】 図48(1)はこの発明の実施の形態21
によるエレベータ調速機のアームが水平の時のピックア
ップ部を示す平面図、図48(2)はその正面図、図4
8(3)は右側面図である。
【図49】 図49(1)はこの発明の実施の形態22
によるエレベータ調速機の平面図、図49(2)はその
正面図である。
【図50】 図50(1)はこの発明の実施の形態23
によるエレベータ調速機の平面図、図50(2)はその
正面図である。
【図51】 上記実施の形態23のアームが時計回りに
回転した状態を示す正面図である。
【図52】 図52(1)は上記実施の形態23のアー
ムが平行の時のピックアップの配置を示す平面図、図5
2(2)はその正面図、図52(3)は右側面図であ
る。
【図53】 図53(1)は上記実施の形態23のアー
ムの右下がり傾斜時のピックアップ部の配置を示す平面
図、図53(2)はその正面図、図53(3)は右側面
図である。
【図54】 図54(1)はこの発明の実施の形態24
によるエレベータ調速機のアームが水平のとき、図54
(2)はそのアームが回転傾斜した時のピックアップ、
アーム及びバランスウエイトを模式的に示す斜視図であ
る。
【図55】 図55(1)は上記実施の形態24のアー
ム水平時の状態を示す右側面図、図55(2)はそのア
ーム傾斜時の状態を示す右側面図である。
【図56】 上記実施の形態24のピックアップ変位に
対するピックアップ部の磁束の変化を示す図である。
【図57】 上記実施の形態24のかごの速度に対する
ピックアップ部の変位を示す図である。
【図58】 図58(1)はこの発明の実施の形態25
によるエレベータ調速機のアームが水平のとき、図58
(2)はそのアームが回転傾斜した時のピックアップ、
アーム及びバランスウエイトを模式的に示す斜視図であ
る。
【図59】 図59(1)はこの発明の実施の形態26
によるエレベータ調速機のアームが水平のとき、図59
(2)はそのアームが回転傾斜した時のピックアップ、
アーム及びバランスウエイトを模式的に示す斜視図であ
る。
【図60】 図60(1)はこの発明の実施の形態27
によるエレベータ調速機を示す平面図、図60(2)は
その正面図である。
【図61】 上記実施の形態27のアームが時計回りに
回転した状態を示す正面図である。
【図62】 上記実施の形態27のピックアップの変位
に対する磁気ばねと弾性ばねのばね力の関係を示す図で
ある。
【図63】 図62の磁気ばねと弾性ばねの合成ばね力
を示す図である。
【図64】 上記実施の形態27のかごの速度に対する
ピックアップの変位を示す図である。
【図65】 図65(1)はこの発明の実施の形態28
によるエレベータ調速機を示す平面図、図65(2)は
その正面図である。
【図66】 図66(1)は変位が加えられた時の上記
実施の形態28の弾性ばね19の特性図、図66(2)
は弾性ばね41の特性図、図66(3)は弾性ばね19
と弾性ばね41とを直列に組み合わせた合成ばねの特性
図である。
【図67】 上記実施の形態28のかごの速度に対する
ピックアップ部の変位を示す図である。
【図68】 図68(1)はこの発明の実施の形態29
によるエレベータ調速機を示す平面図、図68(2)は
その正面図である。
【図69】 上記実施の形態29のアクチュエータバネ
及び制御装置がバランスウエイトの変位をコントロール
するアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図70】 図70(1)はこの発明の実施の形態30
によるエレベータ調速機を示す平面図、図70(2)は
その正面図である。
【図71】 上記実施の形態30のアームが時計回りに
回転した状態を示す正面図である。
【図72】 上記実施の形態30のカムの回転角度に対
するカム部の変位を示す図である。
【図73】 上記実施の形態30のかご速度に対する連
結棒の変位を示す図である。
【図74】 図74(1)はこの発明の実施の形態31
によるエレベータ調速機を示す平面図、図74(2)は
その正面図である。
【図75】 この発明の実施の形態30によるエレベー
タ調速機のカムが回転した状態を示す正面図である。
【図76】 図75のアームの回転角度に対する連結棒
の変位を示す図である。
【図77】 図77(1)は従来のエレベータ調速機を
示す平面図、図77(2)はその正面図である。
【図78】 図77中のアームが傾斜した状態を示す正
面図である。
【図79】 図77中のピックアップ部に発生する発生
力を示す図である。
【図80】 図77中のピックアップ部の変位に対する
弾性ばねのばね力を示す図である。
【図81】 図77中のかごの速度に対するピックアッ
プ部の変位を示す図である。
【符号の説明】
12 かご、13 基台、14 アーム(回動体)、1
5 支点、16 ピックアップ、16a 磁石、16b
ヨーク、16c ヨーク、16e バイパスヨーク
(第二の磁気回路)、16f 基台、17 バランスウ
エイト、18 導体、19 弾性ばね、20 制動装
置、20a かご停止用スイッチ、21 連結棒、25
磁気ばね(第二、第四の磁気回路)、25a 磁石、
25b ヨーク、25c 基台、25d カウンター磁
石、25e カウンターヨーク、25f 磁石(サブ磁
気回路)、25g サブヨーク、25h 磁石(第三の
磁気回路)、25i ヨーク(第三の磁気回路)、25
j 磁石ホルダー(第三の磁気回路)、25’ 磁気ば
ね(第四の磁気回路)、25c’ 基台、25d’ カ
ウンター磁石、25e’ カウンターヨーク、25f’
カウンター磁石(サブ磁気回路)、30 空隙部、3
1 磁束、32 空隙、33 磁束、41 弾性ばね、
42 ホルダー、43 アクチュエータ、43a アク
チュエータバネ、43b 制御装置、50 連結棒、5
1 カム(変位変換機構)、52 押しばね。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 昇降路内のかごの走行方向に沿って配設
    固定された導体と、該導体の近傍に変位可能な状態で設
    けられ該導体を通る磁路を有する第一の磁気回路と、上
    記かごの走行に伴い上記導体中に発生する渦電流によっ
    て上記第一の磁気回路に作用する力を該第一の磁気回路
    の上記かごの走行方向の変位に変換する変換装置と、該
    変換装置により変換された上記第一の磁気回路の上記か
    ごの走行方向の変位に基づいて上記かごを停止せしめる
    制動装置とを備えたエレベータ調速機において、上記変
    換装置は、上記かごの危険速度近傍で、速度変化率以上
    の変位変化率を有することを特徴とするエレベータ調速
    機。
  2. 【請求項2】 上記変換装置は、上記かご又は釣り合い
    錘上で上記第一の磁気回路の近傍に設けられて該第一の
    磁気回路の変位が小さいとき及び変位していないときは
    その変位を抑制する方向に磁力を作用させる第二の磁気
    回路を備えたことを特徴とする請求項1記載のエレベー
    タ調速機。
  3. 【請求項3】 上記変換装置は、上記第一の磁気回路の
    変位が小さいとき及び変位していないときに該第一の磁
    気回路の磁束の一部が通る磁路を形成して該磁束の一部
    が上記導体を通らないようにし、上記第一の磁気回路の
    変位が大きいときに該第一の磁気回路から離脱するヨー
    クを備えたことを特徴とする請求項1記載のエレベータ
    調速機。
  4. 【請求項4】 上記変換装置は、上記第一の磁気回路を
    構成する磁石又はヨークをその一端に保持し、上記かご
    又は釣り合い錘上に設けられた支点に支持されて上記か
    ごの走行方向に回動する回動体と、上記かご又は釣り合
    い錘上で上記第一の磁気回路の近傍に設けられ該第一の
    磁気回路の変位が小さいとき及び変位していないときに
    該第一の磁気回路の構成要素を形成し、該第一の磁気回
    路の変位が大きくなると該第一の磁気回路の構成要素か
    ら離脱するヨーク又は磁石とを備えたことを特徴とする
    請求項1記載のエレベータ調速機。
  5. 【請求項5】 上記変換装置は、上記第一の磁気回路を
    構成する磁石若しくはヨーク又はその双方をその一端に
    保持し、上記かご又は釣り合い錘上に設けられた支点に
    支持されて上記かごの走行方向に回動する回動体と、該
    回動体の他の部分にその一部が設けられ上記かご又は釣
    り合い錘上にその他の部分が設けられ、該回動体の回動
    を抑制する方向に磁力を作用させる第二の磁気回路とを
    備えたことを特徴とする請求項1記載のエレベータ調速
    機。
  6. 【請求項6】 上記変換装置は、上記かご又は釣り合い
    錘上で上記第一の磁気回路の近傍に設けられ、該第一の
    磁気回路が変位しない状態で該第一の磁気回路の磁石又
    は該磁石を保持するヨークを吸着保持し、上記かごの走
    行速度が上記所定の速度に達したときに上記第一の磁気
    回路に作用する力より大きな力が該第一の磁気回路に作
    用したときに上記保持を解除して該第一の磁気回路を変
    位せしめる第三の磁気回路を備えたことを特徴とする請
    求項1記載のエレベータ調速機。
  7. 【請求項7】 上記変換装置は、上記かご又は釣り合い
    錘上で上記第一の磁気回路の近傍に設けられ、該第一の
    磁気回路の変位が上記かごの走行速度が上記所定の速度
    に達したときの該第一の磁気回路の変位より大きくなる
    と該変位を助長するように磁力を作用させる第四の磁気
    回路を備えたことを特徴とする請求項1記載のエレベー
    タ調速機。
  8. 【請求項8】 上記変換装置は、上記第一の磁気回路を
    構成する磁石若しくはヨーク又はその双方をその一端に
    保持し、上記かご又は釣り合い錘上に設けられた支点に
    支持されて上記かごの走行方向に回動する回動体を備
    え、該回動体の他の部分にその一部が設けられ上記かご
    又は釣り合い錘上にその他の部分が設けられ、該回動体
    の回動を抑制する方向に磁力を作用させる第四の磁気回
    路を備えたことを特徴とする請求項1記載のエレベータ
    調速機。
  9. 【請求項9】 上記変換装置は、上記第一の磁気回路の
    上記かごの走行方向の変位が小さいとき及び変位してい
    ないときに該第一の磁気回路の磁束が通り難く、該第一
    の磁気回路の上記かごの走行方向の変位が大きくなるに
    つれて該第一の磁気回路の磁束が通り易い形状の磁石又
    はヨークを該第一の磁気回路中に備えていることを特徴
    とする請求項1記載のエレベータ調速機。
  10. 【請求項10】 上記第一の磁気回路が、該第一の磁気
    回路が上記かごの走行方向に変位していないときに、上
    記導体中を通る第一の磁路と、上記かご又は釣り合い錘
    に固定されたヨーク又は磁石を通り上記導体中を通らな
    い第二の磁路とを有していることを特徴とする請求項1
    記載のエレベータ調速機。
  11. 【請求項11】 上記変換装置は、上記第一の磁気回路
    を構成する磁石若しくはヨーク又はその双方をその一端
    に保持し、上記かご又は釣り合い錘に設けられた支点に
    支持され上記かごの走行方向に回動する回動体を備え、
    該回動体の回動面が上記かごの走行方向に対して傾斜し
    ていることを特徴とする請求項1記載のエレベータ調速
    機。
  12. 【請求項12】 上記変換装置は、上記第一の磁気回路
    を構成する磁石若しくはヨーク又はその双方をその一端
    に保持し、上記かご又は釣り合い錘上に設けられた支点
    に支持されて上記かごの走行方向に回動する回動体と、
    該回動体の他の部分にその一部が設けられ上記かご又は
    釣り合い錘上にその他の部分が設けられ、該回動体の回
    動を抑制する方向に磁力を作用させる第五の磁気回路と
    を備え、上記第一の磁気回路が、該第一の磁気回路の上
    記かごの走行方向の変位が小さいとき及び変位していな
    いときに該第一の磁気回路の磁束が通り難く、該第一の
    磁気回路の上記かごの走行方向の変位が大きくなるにつ
    れて該第一の磁気回路の磁束が通り易い形状の磁石又は
    ヨークを該第一の磁気回路中に備えていることを特徴と
    する請求項1記載のエレベータ調速機。
  13. 【請求項13】 上記変換装置は、上記第一の磁気回路
    を構成する磁石若しくはヨーク又はその双方をその一端
    に保持し、上記かご又は釣り合い錘に設けられた支点に
    支持され上記かごの走行方向に回動する回動体を備え、
    該回動体は、その他端にばね定数の高いばねと初期圧縮
    されたばね定数の低い弱いばねとを直列に組み合わせて
    該他端の変位を制限するばねを有することを特徴とする
    請求項1記載のエレベータ調速機。
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