JP2003136637A - 加飾用シート及び加飾成形品 - Google Patents

加飾用シート及び加飾成形品

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形性が良好であり、艶消意匠が消失したり
する不具合がなく、意匠的に優れた艶消意匠を付与する
ことが可能である加飾用シート及び加飾成形品を提供す
る。 【解決手段】 透明熱可塑性樹脂から成る表面平滑な表
面シート2の裏面に、熱可塑性樹脂から成るバインダー
樹脂中に該バインダー樹脂とは屈折率の異なる粒子から
成る艶消剤を添加して成る艶消塗膜3を積層し射出成形
同時加飾用シート1を構成し、射出成形品9の表面に上記
加飾用シート1を表面シート2側が成形品9の外表面とな
るように積層して加飾成形品10とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、射出成形と同時に
成形品の表面にシートを積層して艶消の意匠を付与して
加飾する為に用いられる加飾用シート、及び該加飾用シ
ートを用いて得られる射出成形品(加飾成形品)に関す
る。
【0002】
【従来の技術】射出成形品の表面に艶消(マット調)に加
飾を付与してなる加飾成形品が公知である。艶消の意匠
を持つ加飾成型品の製造方法として、従来より下記の
(i)〜(iv)に示す方法等が公知である。 (i)射出成形型表面を艶消微凹凸(マット)に加工して、
該型を用いて射出成形することにより、成形品表面に艶
消微凹凸を賦型する方法。 (ii)艶消剤(マット剤)を添加した樹脂シート(艶消加飾
シート)を型内に配置して射出成形し、成形品表面に艶
消加飾シートを積層する方法。 (iii)加飾シートの表面側のみにマット剤入りの塗膜
(艶消樹脂層)を形成した加飾シートを型内に挿入し射
出成形し、上記艶消樹脂層が成形品の最表面となる様に
成形品の表面に積層する方法。 (iv)表面に艶消微凹凸を形成した加飾シートを該微凹凸
が成形品外表面となるようにして型内に挿入して射出成
形する方法。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の加飾成形品
の製造方法において、(i)の方法では、高光沢品と艶消
品とを製造しようとした場合、同じ形状の成形品であっ
ても2種類以上の型が必要となり、コストが掛りすぎて
現実的ではない。又(ii)の方法では、一般に樹脂シート
を製造するロットは、印刷するロットに比較して大きい
為、小ロットに対応するのが困難である。又艶消剤が数
十μm〜数百μmの厚さのシート全体に分散される為、同
じ艶消程度であっても艶消剤添加量が多くなり、シート
の価格が高くなり、又、シート自体の成形性も低下して
しまう。又(iii)の方法では、表面物性を持たせること
が難しい。即ち艶消樹脂層の表面を硬くして耐摩耗性等
を向上させようとすると、艶消樹脂層に硬化剤を加えて
樹脂層を架橋させたり或は硬化性樹脂を用いることが考
えられるが、そうすると真空成形適性等の成形性が低下
してしまうという問題がある。又上記(iv)の方法では、
加熱軟化させて真空成形する予備成形工程、及び射出成
形工程の際に加わる熱圧により、加飾シート表面に形成
した微凹凸が消失して、艶消意匠が低下したり、艶消意
匠が無くなるという問題があった。
【0004】又、上記(i)、(iii)、(iv)のいずれにも共
通する問題点として、艶消処理部分がが成形品の表面に
存在する為、成形品表面の摩耗等により艶消意匠が消失
し易く、又微凹凸が表面に存在する為、そこに汚れが溜
り易いという問題があった。
【0005】本発明は上記従来技術の欠点を解消する為
に成されたものであり、成形性が良好であり、艶消意匠
が消失したりする不具合がなく、意匠的に優れた艶消意
匠を付与することが可能である加飾用シート及び加飾成
形品を提供することを目的とする
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、(1)透明熱可
塑性樹脂から成る表面平滑な表面シートの裏面に、熱可
塑性樹脂から成るバインダー樹脂中に該バインダー樹脂
とは屈折率の異なる粒子から成る艶消剤を添加して成る
艶消塗膜が積層されている事を特徴とする射出成形同時
加飾用シート、(2)艶消塗膜の裏面に着色した熱可塑性
樹脂から成る基材シートが積層されている上記(1)記載
の射出成形同時加飾用シート、(3)射出成形品の表面に
上記(1)又は上記(2)記載の射出成形同時加飾用シートが
積層されて成り、加飾用シートの表面シート側が成形品
の外表面となるように積層されている事を特徴とする加
飾成形品、を要旨とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明を詳細
に説明する。図1(A)に示すように本発明の加飾用シー
ト1は、透明熱可塑性樹脂から成る表面平滑な表面シー
ト2の裏面(図中、下方を裏面とし上方を表面とする)
に、熱可塑性樹脂から成るバインダー樹脂中に該バイン
ダー樹脂とは屈折率の異なる粒子から成る艶消剤を添加
して成る艶消塗膜3が積層されている。図1(A)に示す加
飾用シート1は、艶消塗膜3の裏面に更に柄層4、接着剤
層5等を積層して成る。
【0008】艶消塗膜3は、表面シート2の裏面全面を覆
うように全面ベタ状に設けても、或は模様状に部分的に
設けてもいずれでも良い。図1(B)に示す加飾用シート1
は、表面シート2の裏面に艶消塗膜3をパターン状に部分
的に設け、さらにパターン状に柄層4を設け、該柄層4の
裏面に全面ベタ状に接着剤層5を設けて構成したもので
ある。
【0009】又図1(C)に示す加飾用シート1は、表面シ
ート2の裏面に、艶消塗膜3及び柄層4を両者が重ならな
いように、それぞれパターン状に設け、その裏面に更に
印刷用シート6及びバッキングシート7からなる基材シー
ト8を積層して成る物である。
【0010】表面シート2は、表面が平滑で透明性を有
する熱可塑性樹脂シートから構成される。該シートは少
くとも加熱軟化した状態で真空成形等の成形が可能なシ
ートである。上記透明性とは下層の艶消塗膜3が透視可
能な程度を意味する。無色透明或は着色透明のいづれで
も良い。又上記表面平滑性は、JIS B0601規定の中心線
平均粗さで評価して1μm以下であるのが好ましく、より
好ましくは0.5μm以下である。表面シート2の厚さは、
通常20〜300μm程度に形成される。
【0011】又加飾用シート1の総厚さは100〜600μm程
度に形成される。好ましい加飾用シート1の総厚さは、
予備成形を射出成形型とは別の型で行なう場合は、予備
成形型から脱型して射出成形型に装着するための強度、
保形性等を確保する為に、比較的厚めに形成することか
ら300〜600μmであり、又、予備成形を射出成形型と兼
用する場合は、脱型の際の保形性、破れなどの心配が無
い為、比較的薄目の100〜300μmである。
【0012】表面シート2に用いられる熱可塑性樹脂と
しては、アクリル樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエ
ステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、
ポリスチレン、AS(アクリロニトリル−スチレン共重合
体)樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重
合体等の1種単独或いは2種以上の混合物が用いられる。
【0013】上記アクリル樹脂は例えば、ポリメチル
(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、
メチル(メタ)アクリレート-ブチル(メタ)アクリレート
共重合体、メチル(メタ)アクリレート-エチル(メタ)
アクリレート共重合体、メチル(メタ)アクリレート-ス
チレン共重合体等のアクリル樹脂[但し、(メタ)アクリ
レートとは、アクリレート又はメタクリレートの意味で
ある。]を単体又は2種以上の混合物として用いる。
【0014】上記ポリオレフィン系樹脂としては例え
ば、ポリエチレン(低密度、中密度、或は高密度)、ポリ
プロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレ
ン-プロピレン共重合体、プロピレン-ブテン共重合体等
の高結晶質のポリオレフィン系樹脂、或いは各種のオレ
フィン系熱可塑性エラストマーが用いられる。これらの
ポリオレフィン系樹脂は1種類のみの単独使用でも良い
が、2種以上の樹脂を併用しても良い。上記オレフィン
系熱可塑性エラストマーとしては、例えば下記の(1)〜
(7)のものが使用できる。
【0015】(1)特公平6-23278号公報記載の、(A)ソフ
トセグメントとして、数平均分子量Mnが25,000以上、且
つ重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比Mw/Mnの≦7
の沸騰ヘプタンに可溶なアタクチックポリプロピレン10
〜90質量%と、(B)ハードセグメントとして、メルトイ
ンデックスが0.1〜4g/10分の沸騰ヘプタン不溶性のアイ
ソタクチックポリプロピレン90〜10質量%、との混合物
からなる軟質ポリプロピレン。尚特に成形性を良好に
し、印刷適性(見当精度)とを良好とする為には、アイソ
タクチックポリプロピレンとアタクチックポリプロピレ
ンとの混合割合を、アタクチックポリプロピレンの質量
比の下限を5質量%以上、上限を50質量%以下、より好
ましくは40質量%以下とする。
【0016】(2)エチレン-プロピレン-ブテン共重合体
からなる熱可塑性エラストマー。ここで、そのブテンと
して、1-ブテン、2-ブテン、イソブチレンの3種の構造
異性体のいずれも用いることが出来る。共重合体として
は、ランダム共重合体で、非晶質の部分を一部含む上記
エチレン-プロピレン-ブテン共重合体の好ましい具体例
としては以下の(i)〜(iii)が挙げられる。 (i)特開平9-111055号公報記載のもの。これは、エチレ
ン、プロピレン及びブテンの三元共重合体によるランダ
ム共重合体である。単量体成分の質量比はプロピレンが
90質量%以上とする。メルトフローレートは、230℃、
2.16kgで1〜50g/10分のものが好適である。そして此の
様な三元ランダム共重合体100質量部に対して、燐酸ア
リールエステル化合物を主成分とする透明造核剤を0.01
〜50質量部、炭素数12〜22の脂肪酸アミド0.003〜0.3質
量部を熔融混練してなるものである。 (ii)特開平5-77371号公報記載のもの。これは、エチレ
ン、プロピレン及び1-ブテンの三元共重合体であって、
プロピレン成分含有率が50質量%以上の非晶質重合体20
〜100質量%に、非晶質ポリプロピレンを80〜0質量%添
加してなるものである。 (iii)特開平7-316358号公報記載のもの。これは、エチ
レン、プロピレン及び1-ブテンの三元共重合体であっ
て、プロピレン及び/又は1-ブテンの含有率が50質量%
以上の低結晶質重合体20〜100質量%に対して、アイソ
タクチックポリプロピレン等の非晶質ポリオレフィン80
〜0質量%を混合した組成物に対して、N-アシルアミノ
酸アミン塩、N-アシルアミノ酸エステル等の油ゲル化剤
を0.5質量%添加してなるものである。尚、エチレン-プ
ロピレン-ブテン共重合体樹脂は、単独で用いても良い
し、上記(i)〜(iii)に必要に応じ更に他のポリオレフィ
ン系樹脂を混合して用いても良い。
【0017】(3)特公昭53-21021号公報記載の如き(A)
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等
のオレフィン重合体(結晶性高分子)をハードセグメント
とし、これに(B)部分架橋したエチレン-プロピレン共重
合体ゴム、不飽和エチレン-プロピレン-非共役ジエンを
三元共重合体ゴム等のモノオレフィン共重合体ゴムをソ
フトセグメントとし、これらを均一に配合し混合してな
るオレフィン系エラストマー。尚、モノオレフィンゴム
/オレフィン重合体=50/50〜90/10(質量比)の割合で混
合する。
【0018】(4)特公昭53-34210号公報などに記載の如
き、(B)未架橋モノオレフィン共重合体ゴム(ソフトセグ
メント)と(A)オレフィン系共重合体(結晶性、ハードセ
グメント)と架橋剤とを混合し、加熱し剪断応力を加え
つつ動的に部分架橋させてなるオレフィン系エラストマ
ー。尚、(B)モノオレフィンゴム/(A)オレフィン系共重
合体=60/40〜80/20(質量比)である。
【0019】(5)特公昭56-15741号公報等に記載の如
き、(A)アイソタクチックポリプロピレン、プロピレン-
エチレン共重合体、プロピレン-ブテン-1共重合体など
のペルオキシドと混合・加熱すると分子量を減じ、流動
性を増すペルオキシド分解型オレフィン重合体(ハード
セグメント)と、(B)エチレン-プロピレン-共重合体ゴ
ム、エチレン-プロピレン-非共役ジエン三元共重合体ゴ
ム等のペルオキシドと混合・加熱すると架橋して、流動
性が低下する、ペルオキシド架橋型炭化水素ゴム(ソフ
トセグメント兼流動性改質成分)、(c)ポリイソブチレ
ン、ブチルゴム等のペルオキシドと混合・加熱しても架
橋せず、流動性が不変の、ペルオキシド非架橋型炭化水
素ゴム(ソフトセグメント兼流動性改質成分)、及び(D)
パラフィン系、ナフテン系、芳香族系等の鉱物油系軟化
剤、とを混合し、有機ペルオキシドの存在下で動的に熱
処理してなるオレフィン系エラストマー。尚、(A)が90
〜40質量部、(B)が10〜60質量部で、(A)+(B)=100質量部
として、これに、(C)及び/又は(D)が5〜100質量部の配
合比となる。
【0020】(6)特開平2-139232号公報に記載の如き、
エチレン-スチレン-ブチレン共重合体からなるオレフィ
ン系熱可塑性エラストマー。
【0021】(7)活性水素含有極性官能基として水酸基
又は/及びカルボキシル基を持たせた、上記(1)から(6)
のオレフィン系熱可塑性エラストマー。例えば、エチレ
ン−ビニルアルコール共重合体等のグラフト重合で水酸
基を、又、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の共重
合体でカルボキシル基を導入したオレフィン系熱可塑性
エラストマーを用いる。これら水酸基、カルボキシル基
はどちらか一方、又は両方を併用してもよい。
【0022】上記ポリエステル樹脂として、熱可塑性ポ
リエステル樹脂は、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
ブチレンテレフタレート、エチレン−テレフタレート−
イソフタレート共重合体、ポリエチレンナフタレート、
ポリエステル系熱可塑性エラストマー等が使用できる。
ポリエステル系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメ
ントに高結晶性で高融点の芳香族ポリエステル、ソフト
セグメントにはガラス転移温度が-70℃以下の非晶性ポ
リエーテルを使用した、ブロックポリマーである。前記
高結晶性で高融点の芳香族ポリエステルには、例えばポ
リブチレンテレフタレートが使用され、上記非晶性ポリ
エーテルには、例えばポリテトラメチレンエーテルグリ
コールが使用される。
【0023】表面シート2には、透明性、成形性、及び
平滑性を阻害しない範囲で更に必要に応じ、着色剤、難
燃剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充
填剤等の各種の添加剤を添加しても良い。例えば、難燃
剤としては水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等
が用いられる。紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾ
ール系、ベンゾフェノン系、微粒子セリウム等が用いら
れる。又、光安定剤としては、ヒンダードアミン系ラジ
カル捕捉剤等が用いられる。紫外線吸収剤及び光安定剤
の添加量は、いずれも通常0.1〜5質量%程度である。
又、充填剤としては、例えば、マイカ、タルク、炭酸カ
ルシウム、硫酸バリウム、シリカ、アルミナ、カオリナ
イト等の粉末から成る体質顔料等が用いられる。
【0024】又表面シート2は単層でもよいが2層構成と
することができる。この場合、直接2層を熱融着で積層
しても良いが、層間に接着剤層を介して積層しても良
い。接着剤層には2液硬化型ウレタン樹脂等が使用でき
る。又、層間に接着剤層を介在させずに2層等と複層構
成とするには、例えば、Tダイによる共押出法によって
成膜と同時に積層すれば良い。接着剤層を介して積層す
るには、例えば、ドライラミネーション法で積層すれば
良い。
【0025】又表面シート2には、良好な耐擦傷性を付
与する為に、炭化水素系滑剤、脂肪酸系滑剤などの滑剤
を添加することができる。特に表面シート2として透明
アクリル樹脂を用いた場合には効果的である。この滑剤
の添加量は、添加量が多くなり過ぎると射出成形同時絵
付時に型内でシートが滑って、皺、歪み等が生じ易くな
る。その為、滑剤は加飾用シートの動摩擦係数が0.2〜
0.9になるように添加するのが好ましく、具体的な添加
量は0.1〜0.5質量%程度である。
【0026】艶消塗膜3は、熱可塑性樹脂から成るバイ
ンダー樹脂中に艶消剤(マット剤)が分散せしめられて構
成される。艶消剤は粒径1〜10μm程度の粒子が用いら
れ、添加量は塗膜層の5〜60質量%程度である。艶消塗
膜3のバインダー樹脂としては、成形性を得るために熱
可塑性樹脂が用いられ、艶消塗膜3を形成する層(例え
ば、表面シート、あるいは印刷シートなど)のシート素
材に合せて、接着性等を考慮して選択するのが好まし
い。艶消塗膜3の厚さは、通常、1〜20μmに形成され、
好ましくは、3〜10μmに形成される。
【0027】艶消剤の粒子はバインダー樹脂中に分散せ
しめられ、更に透明樹脂シート(表面シート2)の裏面に
位置する。その為、艶消塗膜を最表面に形成した従来の
加飾用シートの様な、表面微凹凸(空気と塗膜の界面は
屈折率不連続面)での光拡散に基づく艶消し効果は得ら
れない。そのため光拡散による艶消効果を得るには、バ
インダー樹脂と艶消塗膜との界面の屈折率差で光を反射
又は/及び屈折させ、光を拡散させる必要がある。仍っ
て、艶消剤とバインダー樹脂とは屈折率が異なるものの
組合わせを選ぶ。この場合、屈折率の差が大きい程良
く、好ましい屈折率の差は、0.1以上であり、更に好ま
しくは0.2〜0.6程度である。又艶消効果は光沢測定等に
より評価可能である。
【0028】艶消塗膜3の艶消剤は、シリカ(二酸化珪
素)、二酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、
アルミナ(酸化アルミニウム)、カオリナイト、滑石、硝
子、アルミノシリケート、螢石、氷晶石、弗化マグネシ
ウム等の無機物、或いはウレタン樹脂、ポリエチレン、
ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂(ナイロン)、メ
ラミン樹脂、ポリスチレン等の有機物(樹脂)の微粒子が
用いられる。微粒子の形状は、多面体(直方体、立方
体、正8面体等)、球、鱗片形、等のものが用いられ
る。
【0029】艶消塗膜3のバインダー樹脂として具体的
には、アクリル系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合
体系、熱可塑性ウレタン系樹脂、塩素化ポリプロピレ
ン、熱可塑性ポリエステル、ABS樹脂、ポリカーボネー
ト樹脂とABS樹脂との混合物、ポリカーボネート樹脂、
ポリプロピレン、ポリスチレン、などの1種又は2種以上
から選択することができる。
【0030】上記塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体とし
ては、通常、酢酸ビニル含有量が5〜20質量%程度、平
均重合度350〜900程度のものが用いられる。又塩化ビニ
ル-酢酸ビニル共重合体は、必要に応じ更にマレイン
酸、フマル酸等のカルボン酸を共重合させたものでも良
い。
【0031】又上記アクリル系樹脂としては、例えばポ
リメチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリ
レート、メチル(メタ)アクリレート-ブチル(メタ)アク
リレート共重合体、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリ
レート-メチル(メタ)アクリレート共重合体、メチル(メ
タ)アクリレート-スチレン共重合体等のアクリル樹脂
[但し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメ
タクリレートの意味である。]を単体又は2種以上の混合
物として用いることができる。
【0032】図1(C)に示す様に、基材シート8は印刷シ
ート6及びバッキングシート7の2層(或は2層以上)の積層
構成に形成しても、或は図示しないが単層のシートから
構成してもいずれでも良い。又基材シート8は着色して
も良い。基材シート8を構成する樹脂としては、前記し
た表面シート2の説明で例示した樹脂及び添加剤を用い
ることができる。又基材シート8は、必ずしも透明性は
要求され無い為、ABS樹脂を使用することも出来る。
【0033】加飾用シート1には必要に応じて装飾処理
が施される。具体的な装飾処理としては、表面シート2
又は/及び基材シート8自体への着色剤添加による着色
(透明又は不透明着色)、或は図柄印刷、金属薄膜形成等
による柄層4の形成等である。
【0034】基材シート8自体に着色剤を添加すると、
隠蔽性を付与し且つ加飾用シート1の基調色を付与する
ことができる。着色剤としては、チタン白、アンチモン
白、カーボンブラック、鉄黒、弁柄、カドミウムレッ
ド、群青、コバルトブルー、黄鉛、チタンイエロー等の
無機顔料、フタロシアニンブルー、インダスレンブル
ー、イソインドリノンイエロー、ベンジジンイエロー、
キナクリドンレッド、ポリアゾレッド等の有機顔料、ア
ルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料、二
酸化チタン被覆雲母等の鱗片状箔片からなる真珠光沢
(パール)顔料、或いは染料等が用いられる。
【0035】柄層4は、グラビア印刷、オフセット印
刷、シルクスクリーン印刷、インキジェット印刷、転写
シートからの転写印刷等の公知の印刷法を用いインキ
(或いは塗料)にて模様を形成する。この模様は、木目模
様、石目模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文
字、記号、全面ベタ、或いはこれらの2種以上の組合わ
せ等がある。柄層4は表面シート2の表面、裏面、表裏両
面、或いは其の他の層間に設けることができる。
【0036】柄層4に用いられるインキ(或いは塗料)と
しては、バインダー樹脂として塩素化ポリプロピレン等
の塩素化ポリオレフィン、ポリエステル樹脂、ウレタン
樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル-酢
酸ビニル共重合体、セルロース形樹脂等を用い、1種又
は2種以上を混合して用いる。このバインダー樹脂に前
記の基材シートの説明で挙げた様な公知の着色剤を添加
してインキとする。尚、ポリオレフィン樹脂からなる基
材シート等に直接印刷する場合には、バインダー樹脂と
して塩素化ポリオレフィン、ウレタン樹脂等が接着性の
点で好ましいが、易接着プライマーを適当に選択してプ
ライマ-層を形成すれば、其の他のバインダー樹脂を用
いても充分な接着性を与えることができる。
【0037】柄層4に用いられる金属薄膜の形成は、ア
ルミニウム、クロム、金、銀、銅等の金属を用い、真空
蒸着、スパッタリング等の方法で製膜する。或いはこれ
らの方法を組合わせても良い。金属薄膜は全面に設けて
も部分的に設けてもいずれでも良い。
【0038】接着剤層5は、射出成形樹脂との接着性を
有するものであればよく、成形品の樹脂種類に応じて適
宜選択する。図1(C)に示す様に、基材シート8を設けた
場合、該基材シート8が射出成形樹脂との接着性を有す
る物であれば、接着剤層5を設けなくても良い。
【0039】加飾用シート1には、層間の密着性或は射
出成形樹脂との密着性を向上させる為に、各層の間、或
いは基材シート8の裏面にプライマー層を設けることが
できる。プライマー層はウレタン樹脂、ポリエステル樹
脂等の塗工液を、グラビア印刷、ロールコート等の公知
の印刷法或いは塗工法等で形成する。又プライマー層を
形成する代りに、コロナ放電処理等の公知の各種易接着
処理を施しても良い。
【0040】プライマー層に用いられる2液硬化型ウレ
タン樹脂は、ポリオール等の活性水素を有する主剤と、
イソシアネートを含む架橋剤とから構成されるウレタン
樹脂である。ポリオールとしては、分子中に2個以上の
水酸基等の活性水素を有し、例えば、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロー
ルプロパン、1,2,6-へキサントリオール、ブテンジオー
ル、シュークロース、グルコース、ソルビトール、ペン
タエリスリトール、マンニトール、トリエタノールアミ
ン、n-メチルジメタノールアミン、ならびに環式芳香族
および脂肪族およびトリオール、さらにポリエチレング
リコール、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオ
ール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオー
ル等が挙げられる。又イソシアネートとしては分子中に
2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネー
トが用いられる。例えば、例えば、2,4-トリレンジイソ
シアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、ジフェニ
ルメタン-4,4´-ジイソシアネート、クルードMDIと称さ
れるポリフェニルメタンポリイソシアネート、キシリレ
ンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート化合物、
イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシ
アネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4´-ジイソシア
ネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等の脂
肪族乃至は脂環族イソシアネート化合物、水素添加トリ
レンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイ
ソシアネート等の水素添加イソシアネート化合物、或は
ポリイソシアネート化合物と低分子量グリコール又はト
リオール、例えばジプロピレングリコール、1,6-ヘキサ
ンジオール、1,2,6-ヘキサントリオール、トリメチロー
ルプロパンと反応させて得られる、イソシアネート末端
低分子量付加体等のイソシアネート付加体、或はトリレ
ンジイソシアネート3量体等のイソシアネート多量体等
が挙げられる。
【0041】プライマー層に用いられるポリエステル樹
脂は、熱可塑性ポリエステル樹脂として、例えば、無水
フタル酸やアジピン酸等の二塩基酸とプロピレングリコ
ールやエチレングリコール等の二価アルコールとから得
られる様な縮重合物などが挙げられる。又硬化性ポリエ
ステル樹脂を用いても良い。
【0042】加飾用シート1を製造するには、図1(A)に
示す態様の場合には、表面シート2の裏面に艶消塗膜3、
柄層4、接着剤層5等を、これらの層を形成する為のイン
キ或は塗工組成物を公知の塗工方法等を用いて順次形成
すればよい。
【0043】又、図1(C)に示す用に基材シート8に積層
する態様では、印刷シート6の表面に艶消塗膜3及び柄層
4を設けた上で之れを表面シート2の裏面に積層し積層体
を形成し、この積層体の印刷シート6の裏面にバッキン
グシート7をラミネートする等して加飾用シートを製造
しても良い。
【0044】この様なラミネートで基材シート8を積層
する場合は、必要に応じて間に感熱型接着剤層を介して
温度TLAMIに加熱し、ローラ間に挿入押圧する等して加
圧し積層接着する。基材シート2を熱接着により積層(ラ
ミネート)する際の温度TLAMIは、加飾用シート1を真空
成形により予備成形する際の温度TPREと同じ温度(TLAM I
=TPRE)或いはTPREよりも高い温度(TLAMI>TPRE)に設定
するのが好ましい。このラミネート温度TLAMIは、真空
成形時の温度条件に対応するのが容易である点から、15
0〜180℃以上とするのが好ましく、さらに好ましくは18
0℃以上である。
【0045】図2は(A)〜(C)は本発明加飾成形品の製造
方法の1例を示す工程図である。加飾成形品を製造する
には、先ず図2(A)に示すように、加飾用シート1及び射
出成形機を用意し、該加飾用シート1を雌雄両型間に配
置する。射出成型機は図2(A)に示すように、射出ノズ
ルと連通する湯道(ランナー)及び湯口(ゲート)を有
する雄型Maと、キャビティ面に吸引孔41を有し加飾用シ
ートの予備成形型を兼用する雌型Mbとからなる一対の成
形型からなる。この成形型は鉄等の金属、或いはセラミ
ックスから形成されている。上記の成形型の型開き状態
に於いて、雄型Maと雌型Mb間に加飾用シート1を供給
し、雌型Mbのパーティング面に加飾用シート1を枠状の
シートクランプ42で押圧する等して固定する。この時、
加飾用シート1の裏面側が射出樹脂側となる様に、ゲー
ト側を向くように挿入する。
【0046】次いで図2(B)に示すように、加飾用シート
が射出成形型の雌型表面形状に沿うように真空成形によ
る予備成形を行なう。すなわち具体的には、加飾用シー
ト1を雌型Mbのパーティング面のキャビティ周縁部にク
ランプ42により固定した状態で、ヒータ43により加飾用
シート11を加熱軟化させて予熱を行なうと共に、雌型Mb
の吸引孔41から真空吸引して加飾用シート11を雌型Mbの
キャビティ面に吸着させる。尚、ヒータ43の加熱は非接
触の輻射加熱であるが、接触による伝導加熱でも良い。
又真空成形は圧空も併用する真空圧空成形でも良い。
【0047】次に図2(C)に示すように、ヒータ43を両型
間から退避させ、予備成形した加飾用シート1が射出成
形型の雌型Mb上に装着された状態で、射出成形の雌型Mb
と雄型Maとの両型を型閉めし、両型の間に形成されるキ
ャビティ内に、加熱熔融状態等の流動状態の成形用樹脂
44を射出充填する。而る後、流動状態の樹脂を固化せし
める。樹脂の固化は、熔融樹脂であれば冷却により行な
い、又硬化型樹脂の未硬化物の場合には硬化反応により
行なう。
【0048】樹脂が固化したならば、図2(D)に示す如く
両型を開放して型から射出成形品を取出す。図4に示す
ように、表面シート2が加飾成形品10の最外表面に位置
するように、射出成形品9の表面に表面シート2及び艶消
塗膜3を有する加飾用シート1が積層接着された加飾成形
品10が得られる。
【0049】本発明の製造方法において、加飾用シート
の予備成形は、図2(A)〜(C)に示したように射出成形型
を真空成形型と兼用して行う方法以外に、型間に加飾用
シートを供給する前に、型外部で別の真空成形型を用い
て加飾用シートを真空成形する、いわゆるオフライン予
備成形による形態を用いることができる。尚、予備成形
は、射出成形型を真空成形型と兼用して行う形態が、効
率的で且つ精度良く積層できる点で好ましい。尚、本発
明に於いて真空成形とは真空圧空成形も包含する。
【0050】図3(A)〜(C)は射出成形型とは別の真空成
形型を用いて加飾用シートを真空成形して加飾成形品を
製造する場合を示す。この場合先ず図3(A)に示すよう
に、射出成形用の雌型とは別に準備した真空成形型12を
用いる。真空成形型12には吸引孔13などの吸引手段が設
けられている。この真空成形型12の凹部に加飾用シート
1を適宜枠形状のクランプ14などで固定して、加飾用シ
ート1を加熱用ヒータ43等適宜手段で加熱して軟化せし
めると共に吸引孔13より吸引し、加飾用シート1が真空
成形型の雌型表面形状に沿うように(完全に同一形状で
も良いが、概略同形状でも良い)真空成形を行なう。
【0051】次いで図3(B)に示すように、真空成形型で
成形した加飾用シート1を吸引手段を持たない雌型15と
雄型16とから構成される射出成形型の雌型15の凹部に装
着し、シートクランプ14等で固定し、次いで図3(C)に示
すように、両型で形成されるキャビティに加熱熔融状態
等の流動状態の樹脂44を充填する。樹脂が固化したなら
ば、両型を開放して型から射出成形品を取出すと、図4
に示すように、表面シート2が射出成形品の最外表面に
位置するように、射出成形品9の表面に表面シート2及び
艶消塗膜3を有する加飾用シート1が積層接着された加飾
成形品10が得られる。
【0052】本発明において射出成形品9を構成する射
出成形樹脂としては、射出成形同時絵付方法に用いられ
る従来公知のものが使用可能であり、製品の要求物性、
コスト等に応じて適宜選定される。特に射出成形樹脂の
種類と加飾用シート1の接着剤層5又は基材シート8の樹
脂の種類が同じものを用いると、密着性等の点で好まし
い。射出成形樹脂は例えば、ABS(アクリロニトリル・ブ
タジエン・スチレン共重合体)樹脂、AS(アクリロニトリ
ル・スチレン共重合体)樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化
ビニル、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリカー
ボネート樹脂等の熱可塑性樹脂を加熱熔融して液状乃至
流動状態となったもの、或いは二液硬化型、触媒硬化型
の樹脂、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等の
未硬化液等が挙げられる。
【0053】射出成形樹脂は、着色剤を無添加として、
射出成形品7を無色透明に形成してもよいが、通常は、
隠蔽性を付与すること、加飾成形品自体に所望の色調を
付与するために、着色剤が添加される。この着色剤は、
チタン白、アンチモン白、カーボンブラック、鉄黒、弁
柄、カドミウムレッド、群青、コバルトブルー、黄鉛、
チタンイエロー等の無機顔料、フタロシアニンブルー、
インダスレンブルー、イソインドリノンイエロー、ベン
ジジンイエロー、キナクリドンレッド、ポリアゾレッド
等の有機顔料、アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片から
なる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母等の鱗片状箔片か
らなる真珠光沢(パール)顔料、或いは染料等が用いら
れる。
【0054】本発明の製造法により得られる加飾成形品
は、家電、事務機器等の表面材、自動車等の車両内装
材、包装容器、日用雑貨等各種用途に利用することがで
きる。
【0055】
【実施例】実施例1 〔加飾用シートの製造〕ポリメチルメタクリレートから
成るアクリル樹脂シート(厚さ125μm)を表面シートとし
て、該表面シートの裏面にグラビア印刷を用いて次の順
序で各層を形成して図1(A)の如き構成の加飾用シートを
製造した。 (a)アクリル樹脂(屈折率n=1.48)のバインダー樹脂100
質量部に対しアルミナ系のマット剤((屈折率n=1.77)の
平均粒径2μmの粒)を10質量部含むインキを用い2μmの
厚さに艶消塗膜を形成した。艶消塗膜は表面シートの裏
面全体に全面ベタ層として設けた。 (b)艶消塗膜の裏面に、アクリルと塩化ビニル酢酸ビニ
ル共重合体との1対1質量比の混合物をバインダー樹脂と
して之れに顔料を添加してなるインキを用いて絵柄層を
設けた。 (c)絵柄層の裏面に、アクリルと塩化ビニル酢酸ビニル
共重合体との1対1質量比の混合物をバインダー樹脂とす
る厚さ4μmの接着剤層を設けた。 〔加飾成形品の製造〕図2の如く、射出成形金型内に加
飾用シートを表面シート側が雌型側を向くように挿入し
た後、加熱用ヒーター(表面温度350℃)で加飾用シート
を110℃まで加熱した後、雌型側の吸引孔から真空吸引
して雌型表面に真空成形を行なった。その後、耐熱グレ
ードのABS樹脂の熔融樹脂を射出成形し、加飾用シート
を射出樹脂と一体化して。図4の如くのマット調の意匠
外観を呈する成形品が得られた。
【0056】実施例2 〔加飾用シートの製造〕メチルメタクリレート-ブチル
メタクリレート共重合体から成るアクリル樹脂シート
(厚さ125μm)を表面シートとして、該表面シートの裏面
にグラビア印刷を用いて次の順序で各層を形成して加飾
用シートを製造した。 (a)アクリル樹脂(屈折率n=1.48)のバインダー樹脂100
質量部に対しアルミナ系のマット剤((屈折率n=1.77)の
平均粒径2μmの粒)を10質量部含むインキを用い2μmの
厚さに艶消塗膜を形成した。艶消塗膜は表面シートの裏
面に部分的に形成した。 (b)艶消塗膜2の裏面に、アクリル樹脂と塩化ビニル酢酸
ビニル共重合体との1対1質量比の混合物をバインダー樹
脂として顔料を添加してなるインキを用いて絵柄層を設
けた。 (c)絵柄層の裏面に、アクリル樹脂と塩化ビニル酢酸ビ
ニル共重合体との1対1質量比の混合物をバインダー樹脂
とする接着剤層を設けた。 〔加飾成形品の製造〕図2の如く、射出成形金型内に加
飾用シートを表面シート側が雌型側を向くように挿入し
た後、加熱用ヒーター(表面温度350℃)で加飾用シート
を110℃まで加熱した後、雌型側の吸引孔から真空吸引
して雌型表面に真空成形を行なった。その後、耐熱グレ
ードのABS樹脂の熔融樹脂を射出成形し、加飾用シート
を射出樹脂と一体化して加飾成形品を得た。得られた加
飾成形品は、艶消塗膜のない透明な部分からの反射光と
艶消塗膜で散乱された部分の反射光により、立体感のあ
るグロスマット調の意匠外観を呈する物であった。
【0057】実施例3 〔加飾用シートの製造〕ポリプロピレン樹脂シート(厚
さ100μm)の裏面にコロナ放電処理を施した上で更にそ
の上に、2液硬化型ウレタン樹脂から成るプライマー層
を施したものを印刷用シートとし、グラビア印刷を用い
て次の順序で各層を形成した。 (a)ポリプロピレン樹脂シートのプライマー層面に、ア
クリル樹脂と塩化ビニル酢酸ビニル共重合体との1対1質
量比の混合物をバインダー樹脂として顔料を添加してな
るインキを用いて絵柄層を設けた。 (b)上記絵柄層の表面に、アクリル樹脂(屈折率n=1.48)
のバインダー樹脂100質量部に対しアルミナ系のマット
剤((屈折率n=1.77)の平均粒径2μmの粒)を10質量部含
むインキを用い2μmの厚さに艶消塗膜を形成した。艶消
塗膜はポリプロピレン樹脂シートの表面全体に全面ベタ
層として設けた。 (c)ポリプロピレン樹脂シートの裏面にバッキングシー
トとしてポリプロピレン樹脂シート(厚さ300μm)をドラ
イラミネートし、表面に表面シートとしてアクリル樹脂
シート(厚さ125μm)をドライラミネートして加飾用シー
トを製造した。尚、ドライラミネートは、2液硬化型ウ
レタン樹脂(主剤がアクリルポリオール、硬化剤が1.6-
ヘキサメチレンジイソシアネート)の厚さ10μmの接着剤
層を間に介して行った。 〔加飾成形品の製造〕上記加飾用シートを150℃に加熱
した後、雄型の真空成形金型を用い真空成形を行ない予
備成形を行なった。その後、加飾用シートの不要部分を
除去してトリミングし、射出成形金型内に表面シート側
が雌型側を向くように設置した後、雌型側の吸引孔から
真空吸引して、ポリプロピレン系樹脂を射出成形し、加
飾用シートを射出樹脂と一体化して、マット調の意匠外
観を呈する加飾成形品をた。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように、本発明加飾用シー
トは、透明熱可塑性樹脂から成る表面平滑な表面シート
の裏面に、熱可塑性樹脂から成るバインダー樹脂中に該
バインダー樹脂とは屈折率の異なる粒子から成る艶消剤
を添加して成る艶消塗膜が積層されている構成を採用し
たことにより、以下の効果が得られる。 (a)成形用金型に艶消の凹凸を形成する必要が無く、艶
有り、艶無し(艶消)の異なる艶を有する成形品を同じ金
型を使用して製造することが出来る為に、コストが上昇
ぜす安価に成形品を製造することができる。 (b)印刷(或は塗工等)により艶消塗膜を形成することが
出来る為に、部分的に艶消にする等、任意の場所に艶消
意匠を付与して、グロスマット等の立体感のある意匠を
有する成形品を容易に得ることができる。 (c)艶消塗膜が成形品の外表面に位置せず、表面シート
の下層である内部に位置する為に、成形品の表面が磨耗
した場合でも艶消意匠が低下することがなく、且つ凹凸
粗面内に汚れが溜ることも無い為、長期にわたり優れた
意匠性を維持できる。 (d)樹脂シート自体に艶消剤を添加して艶消処理する場
合と比較して、艶消塗膜はシートと比較して薄膜に形成
されるから、加飾用シートの柔軟性を損なわない為、成
形性に優れている。 (e)艶消塗膜は薄膜である為、艶消シートと比較して低
価格に得られ、艶消塗膜は印刷や塗工により形成可能で
あるから、小ロットの成形品に容易に対応することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (A)〜(C)は本発明加飾用シートの態様を示す
断面図である。
【図2】 (A)〜(D)は本発明加飾成形品の製造方法の1例
を示す工程図である。
【図3】 (A)〜(C)は本発明加飾成形品の製造方法の他
の例を示す工程図である。
【図4】 本発明加飾成形品の1例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 加飾用シート 2 表面シート 3 艶消塗膜 8 基材シート 9 射出成形品 10 加飾成形品
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AK01A AK01B AK01C AK15 AK25 BA02 BA03 BA10A BA10B BA10C CA30B JB16A JB16B JB16C JL01 JL10C JN01A JN01B JN18B JN26B 4F206 AD20 AG03 JA07 JB22 JQ81

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明熱可塑性樹脂から成る表面平滑な表
    面シートの裏面に、熱可塑性樹脂から成るバインダー樹
    脂中に該バインダー樹脂とは屈折率の異なる粒子から成
    る艶消剤を添加して成る艶消塗膜が積層されている事を
    特徴とする射出成形同時加飾用シート。
  2. 【請求項2】 艶消塗膜の裏面に着色した熱可塑性樹脂
    から成る基材シートが積層されている請求項1記載の射
    出成形同時加飾用シート。
  3. 【請求項3】 射出成形品の表面に請求項1又は請求項2
    記載の射出成形同時加飾用シートが積層されて成り、加
    飾用シートの表面シート側が成形品の外表面となるよう
    に積層されている事を特徴とする加飾成形品。
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