JP2003133733A - ケーブル部を有するフレキシブルプリント基板 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 機器のヒンジ部に使用しても不具合を生じ難
いケーブル部を有するフレキシブルプリント基板を提供
すること。 【解決手段】 部品実装部１０に接続されたケーブル部
２０を有するフレキシブルプリント基板において、前記
部品実装部は、外層間に少なくとも２つの内層１３ａ，
１３ｂが配されたものであり、前記ケーブル部は、それ
ぞれ前記内層に接続されていて相互間に隙間が形成され
て非拘束関係にある少なくとも２つの片面銅張り積層板
により構成されており、前記部品実装部における前記ケ
ーブル部が接続される部分は、前記外層の一方が他方に
対して凹んだ状態となっており、前記片面銅張り積層板
の一方は前記外層の一方に支持され、前記片面銅張り積
層板の他方は前記外層の他方に支持されたケーブル部を
有するフレキシブルプリント基板。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、電子機器に使用される
フレキシブルプリント基板に係り、とくに部品実装部に
接続されたケーブル部を有するフレキシブルプリント基
板に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、電子機器の小型化に伴う配線スペ
ースの狭小化により、フレキシブルプリント基板が汎用
され、かつ機器の一層のコンパクト化を実現するために
フレキシブルプリント基板を折り曲げるなどにより立体
的な部品実装がなされている。

【０００３】特開2001-111225号公報には、立体的な部
品実装に適したプリント基板が開示されている。このプ
リント基板は、厚みのある部品実装部と可撓性のあるケ
ーブル部とを有し、部品実装後にケーブル部を折り曲げ
て立体配置するものであり、空間を有効利用することが
できるから機器のコンパクト化に適している。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】このように、部品実装
部にケーブル部が接続されたフレキシブルプリント基板
であることにより、高密度配線が実現できる。

【０００５】しかしながら、部品実装部とケーブル部と
の接続部では、両部の境界で厚みが大きく変化し強度差
が大であるために不具合が生じ易い。すなわち、接続部
に屈曲応力が集中的に作用することになり、部品実装の
際とか機器に搭載する際に衝撃が加わると、部品実装部
とケーブル部との境界部分で破断が生じる。そして、厚
みがより大である両面銅張り積層板を用いてこの種のフ
レキシブルプリント基板を製造すると、より不具合が発
生し易い。

【０００６】その対策になるものとして、特開平7-3124
69号公報に示すものがある。これは、屈曲性がより良好
な２つの片面銅張り積層板を相互間に隙間を空けて重ね
たものであり、屈曲応力が相当に緩和される。

【０００７】しかし、ノート・パソコンとか携帯電話機
のようなヒンジ構造部分に利用されると、不具合が生じ
ることがある。たとえば特許第2821333号におけるよう
に、ケーブル部がらせん状に屈曲されると、図７(a),
(b)および図７(a’),(b’)に示すように、内側の片面銅
張り積層板に複雑な屈曲状態が生じて不具合を生じる。

【０００８】すなわち、２つの部品実装部１０を接続す
るケーブル部２０は、図７上部に示されるように、蛇行
形状に形成されており、実装時には図７下部に示される
ようにヒンジ部分での1ターンのらせん巻きとされる。
この場合、２つの重なり合ったフレキシブルケーブルの
長さが同じであると、内側ケーブルが外側ケーブルに拘
束されて複雑な形状に屈曲することになる。

【０００９】この屈曲状態を繰り返すと、ケーブル同士
の無理な作用力によってケーブルが損傷し、絶縁不良と
か断線などの不具合を生じる。なお、図７における部品
実装部１０は、外層１１、積層接着剤（プリプレグ）層
１２、片面銅張り積層板１３および層間接着剤層１４に
より構成され、片面銅張り積層板１３はケーブル部２０
まで延長して設けられている。

【００１０】本発明は、上述の点を考慮してなされたも
ので、機器のヒンジ部に使用しても不具合を生じ難いケ
ーブル部を有するフレキシブルプリント基板を提供する
ことを目的とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】上記目的達成のため、本
発明では、部品実装部に接続されたケーブル部を有する
フレキシブルプリント基板において、前記部品実装部
は、外層間に少なくとも２つの内層が配されたものであ
り、前記ケーブル部は、それぞれ前記内層に接続されて
いて相互間に隙間が形成されて非拘束関係にある少なく
とも２つの片面銅張り積層板により構成されており、前
記部品実装部における前記ケーブル部が接続される部分
は、前記外層の一方が他方に対して凹んだ状態となって
おり、前記片面銅張り積層板の一方は前記外層の一方に
支持され、前記片面銅張り積層板の他方は前記外層の他
方に支持されたケーブル部を有するフレキシブルプリン
ト基板、を提供するものである。

【００１２】

【発明の実施の形態】図１は、本発明に係るフレキシブ
ルプリント基板の屈曲応力緩和構造を示したものであ
る。この構造では、ケーブル部２０の中央にらせん状部
を形成することに伴って生じる屈曲応力による変形を、
図示左側の部品実装部１０との間にあるケーブル部に受
け持たせている。これは、図示左側の部品実装部１０と
ケーブル部２０のらせん状部との間に、適当な距離Ｌを
置いているため、可能になることである。ケーブル部２
０ともう一つの部品実装部１０との間でも、適当な距離
Ｌが得られれば同様に屈曲応力による変形を受け持たせ
るか、あるいはらせん状部の両側に屈曲応力を分散させ
ることができる。

【００１３】この屈曲応力緩和構造によれば、らせん状
部の内側になるケーブル部は、その一面は他のケーブル
部により変形範囲の制約を受けるが、他面は空間であり
自由に変形し得るから、無理な変形をすることがない。

【００１４】図２は、図１に示した屈曲応力緩和構造を
実現するための部品実装部１０およびケーブル部２０の
寸法的関係を示したもので、従来の構造を比較例として
図における左側に、そして本発明の構造を図における右
側に配置して示している。

【００１５】これら両構造を対比すると明らかなよう
に、本発明の構造ではケーブル部２０の蛇行部分よりも
図における上側の長さを符号Ｌ’で示すだけ延長し、そ
れに応じて部品実装部１０の図示上下方向の寸法を減少
させている。

【００１６】この構造によれば、ケーブル部２０の屈曲
応力を緩和する効果は得られるが、反面部品実装部１０
の部品実装面積が減少する点で不都合である。

【００１７】図３は、部品実装部１０の部品実装面積減
少を最小限にする、本発明の一実施例を示したものであ
る。このために、部品実装部１０におけるケーブル部２
０の接続部だけを凹ませている。

【００１８】これにより、部品実装部１０は、部品実装
面積があまり減少せずに、ケーブル部２０の実質長を長
くすることができ、屈曲応力を緩和することができる。

【００１９】図４(a),(b)は、図３の構造における部品
実装面積を増加した実施例を示すものである。図４(a),
(b)に示すように、部品実装部１０におけるケーブル部
２０との接続部を、一面は凹ませ、他面は凹ませない構
造としている。

【００２０】これにより、ケーブル部２０を構成する一
方の片面銅張り積層板１３ａは、他方の片面銅張り積層
板１３ｂよりも非拘束部分が長さＬ’だけ長く、それに
応じて片面銅張り積層板に生じる屈曲応力による変形を
余分に受け持つことができる。そして、片面銅張り積層
板１３ａは、ケーブル部２０がらせん状に巻かれたと
き、その内側に配されて外側の片面銅張り積層板１３ｂ
により押さえ込まれた状態で屈曲する。

【００２１】これに対して、外側に配される片面銅張り
積層板１３ｂは、内側の片面銅張り積層板１３ａから拡
張方向の応力は受けるが、それは伸長方向であって屈曲
応力ではなく、無理な変形を起こすことはない。

【００２２】図５(a),(b)および図６(a),(b)は、図４に
示した実施例を構成するために使用する４層各層の打抜
き形状を示したものであり、図５(a),(b)は２枚の内層
材料を、図６(a),(b)は２枚の外層材料を示している。

【００２３】まず図５(a),(b)に示すように、２つの部
品実装部１０,１０を接続するケーブル部２０に回路パ
ターンを形成した上で、ケーブル部２０の両側部分Ａ，
Ａを打抜き除去し、ケーブル部２０を外枠材料から切り
離す。このように、ケーブル部２０の両側部分Ａを打抜
いて２枚の内層材料II,IIIを形成する。

【００２４】次に図６(a),(b)に示すように、ケーブル
部２０に対応する部分Ｂを打抜いて２枚の外層材料I,IV
を形成する。この打抜き部分Ｂは、図５における打抜き
部分Ａおよびケーブル部２０に対応するものである。

【００２５】これら図５および図６に示すように形成さ
れた内層材料、外層材料を、外層材料Ｉと同一形状に打
抜かれた積層接着剤あるいはプリプレグ等を用いて積層
することにより、本発明に係るフレキシブルプリント基
板が形成される。

【００２６】このようにして積層形成されたフレキシブ
ルプリント基板は、通常のプリント基板と同様に、穴加
工、スルーホール・メッキ、外層パターン形成を施し、
外形加工をする。

【００２７】

【発明の効果】本発明は上述のように、部品実装部に接
続されたケーブル部を相互間に隙間がある２層構造で互
いに非拘束の関係にし、かつ外層の一方が他方に対して
凹んだ状態となっているため、ケーブル部を機器のヒン
ジ部でらせん状に巻き込んだ状態としても、ケーブル部
に屈曲応力を吸収するための変形をする余裕があり、無
理な屈曲応力が加わることがなく、ケーブル部の損傷を
防止できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の構成を示す説明図。

【図２】図１に示した屈曲応力緩和構造を実現するため
の部品実装部１０およびケーブル部２０の寸法的関係を
示した説明図。

【図３】部品実装部１０の部品実装面積減少を最小限に
する本発明の一実施例を示した説明図。

【図４】図３の構造における部品実装面積を増加した実
施例を示した説明図。

【図５】図５(a),(b)は、図４に示した実施例を構成す
るために使用する内層材料各層の打抜き形状を示した平
面図。

【図６】図６(a),(b)は、図４に示した実施例を構成す
るために使用する外層材料各層の打抜き形状を示した平
面図。

【図７】図７(a),(b)は実装前の、また図７(a’),(b’)
は実装時の、従来のフレキシブルプリント基板のケーブ
ル部に生じる屈曲応力の説明図。

【符号の説明】

１０ 部品実装部 １１ 外層材料 １２ 積層接着剤（プリプレグ） １３ 片面銅張り積層板 １４ 接着剤層 ２０ ケーブル部 I, IV 外層材料 II,III 内層材料 Ａ，Ｂ 打抜き部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Ｆターム(参考） 5E344 AA01 AA04 AA10 AA26 AA28 BB02 BB03 BB04 CC13 CD12 CD27 EE11 EE16 5E346 AA12 AA15 AA22 AA32 AA51 EE41 EE44 GG28 HH11

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】部品実装部に接続されたケーブル部を有す
   るフレキシブルプリント基板において、 前記部品実装部は、外層間に少なくとも２つの内層が配
   されたものであり、 前記ケーブル部は、それぞれ前記内層に接続されていて
   相互間に隙間が形成された少なくとも２つの片面銅張り
   積層板により構成されており、 前記部品実装部における前記ケーブル部が接続される部
   分は、前記外層の一方が他方に対して凹んだ状態となっ
   ており、 前記片面銅張り積層板の一方は前記外層の一方に支持さ
   れ、前記片面銅張り積層板の他方は前記外層の他方に支
   持されたケーブル部を有するフレキシブルプリント基
   板。
2. 【請求項２】請求項1記載のケーブル部を有するフレキ
   シブルプリント基板において、 前記ケーブル部は、幅方向に蛇行し前記ケーブル部の幅
   寸法程度変位した部分を中央にそなえた、 ケーブル部を有するフレキシブルプリント基板。