JP2003133574A - 光電流増倍装置及びその増倍率制御方法 - Google Patents

光電流増倍装置及びその増倍率制御方法

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JP2003133574A JP2001323490A JP2001323490A JP2003133574A JP 2003133574 A JP2003133574 A JP 2003133574A JP 2001323490 A JP2001323490 A JP 2001323490A JP 2001323490 A JP2001323490 A JP 2001323490A JP 2003133574 A JP2003133574 A JP 2003133574A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光電流増倍装置の増倍率を所望の値に設定す
る。 【解決手段】 光電流増倍層2はMe−PTCとPhE
t−PTCの共蒸着薄膜(膜厚500nm)からなリ、
その両側をITO電極4と膜厚20nmのAu電極6と
でサンドイッチ状に挟んでセルを構成しており、ガラス
基板10により支持している。直流電源8によりAu電
極6側がマイナスになるように電圧印加して作動させ
る。励起光をAu電極6側から光電流増倍層2に入射さ
せると、光電流増倍層2とAu電極6の界面で光電流増
倍が起こる。増倍率は、光電流増倍層2を構成するMe
−PTCとPhEt−PTCの混合比率に依存して変化
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機光エレクトロ
ニクス装置に関し、特に、光導電性有機半導体による有
機/金属界面における光電流増倍現象を利用した光電流
増倍装置、及びさらに有機電界発光(有機EL)層を備
えて光−光変換光を得る光−光変換装置に関するもので
ある。光電流増倍装置は、フォトセンサーなどに利用す
ることができる。
【0002】
【従来の技術】光電流増倍装置は、光導電性有機半導体
の蒸着薄膜を光電流増倍層とし、その両側を2枚の金属
電極ではさんだサンドイッチ型セル構造を有している。
そして、光導電性有機半導体による有機/金属界面にお
ける光電流の増幅効果を利用し、光電流増倍層に電圧を
印加した状態でその光電流増倍層に光照射することによ
り増倍された量子収率で光照射誘起電流を得るものであ
る。
【0003】具体的な例としては、光導電性有機半導体
としてペリレン顔料である金属置換フタロシアニン(M
e−PTC)の蒸着薄膜を用いたもの(例えば、M.Hira
moto, T. Imahigashi, and M. Yokoyama, Applied Phys
ics Letters, 64, 187 (1994)参照)、ナフタレン誘導
体であるナフタレンテトラカルボン酸無水物(NTCD
A)の蒸着薄膜を用いたもの(例えば、T. Katsume, M.
Hiramoto, and M. Yokoyama, Applied Physics Letter
s, 69, 3722 (1996)参照)等がある。
【0004】これらの光電流増倍装置は、増倍率(入射
フォトン数に対する素子を流れた増倍光電流による電子
数の比)が10万倍以上に達し、現在光検出に用いられ
ている光電子増倍管に匹敵する光検出能力を持つことか
ら、光センシング装置としての十分な潜在能力を持つ。
【0005】これまでの研究で、この光電流増倍現象
は、結晶性の薄膜を形成する有機材料でのみ起こり、ア
モルファス性の薄膜を形成する有機材料では起こらない
ことが知られている(K. Nakayama, M. Hiramoto, and
Masaaki Yokoyama, J. Appl. Phys., 87, 3365 (200
0).)。また、光電流増倍現象の起こる度合いを示す増
倍率は有機材料の種類に依存することも知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】これらの光電流増倍装
置は、その1つの用途としてフォトセンサーを挙げるこ
とができるが、フォトセンサーでは強い光から弱い光ま
で広いダイナミックレンジに渡って測定できるものが要
請されることがある。その際、増倍率の異なる複数の光
電流増倍素子を用意することができれば好都合である。
【0007】また、他の用途においても光電流増倍装置
の増倍率を制御することができれば、多くの用途に適用
できるようになって好都合である。その際、共通の光導
電性有機半導体を使用して増倍率を変えることができれ
ば、製造が容易になるので、なお好都合である。
【0008】そこで、本発明の第1の目的は、増倍率を
所望の値に設定した光電流増倍装置を提供することであ
る。本発明の第2の目的は、増倍率の異なる複数の光電
流増倍素子を設けることによって広いダイナミックレン
ジの光測定を可能にする光電流増倍装置を提供すること
である。本発明の第3の目的は、共通の光導電性有機半
導体を使用して増倍率を所望の値に設定することのでき
る光電流増倍装置の増倍率制御方法を提供することであ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、結晶性の有機
半導体とアモルファス性の有機半導体との混合物を用
い、両者の混合比率によって増倍率を制御しようとする
ものである。すなわち、本発明は、大きな光電流増倍を
示す結晶性有機半導体に光電流増倍特性をもたないアモ
ルファス性有機半導体を添加することで、有機半導体薄
膜の極微細構造を変化させ、増倍率を意図的に制御す
る。
【0010】第1の目的を達成するために、本発明の光
電流増倍装置は光電流増倍層に電圧を印加した状態でそ
の光電流増倍層に光照射することにより増倍された量子
収率で光照射誘起電流を得るようにしたものであり、そ
の光電流増倍層がアモルファス性有機半導体と結晶性有
機半導体との混合物からなることを特徴とするものであ
る。
【0011】その有機半導体混合物からなる光電流増倍
層の1つの形態は、アモルファス性有機半導体と結晶性
有機半導体との共蒸着薄膜である。その有機半導体混合
物からなる光電流増倍層の他の形態は、アモルファス性
有機半導体と結晶性有機半導体とを樹脂に分散させた樹
脂分散有機半導体薄膜である。
【0012】本発明の光電流増倍装置は、光電流増倍層
に有機電界発光層が積層一体化され、光電流増倍層に光
照射することにより、有機電界発光層から光−光変換光
を得るようにした光−光変換装置も含んでいる。
【0013】第2の目的を達成するために、本発明の光
電流増倍装置は、光電流増倍層に電圧を印加した状態で
その光電流増倍層に光照射することにより増倍された量
子収率で光照射誘起電流を得る光電流増倍素子を複数個
備え、光電流増倍素子の少なくとも1個は、その光電流
増倍層がアモルファス性有機半導体と結晶性有機半導体
との混合物からなリ、かつアモルファス性有機半導体と
結晶性有機半導体との混合比率により増倍率が設定され
ていることを特徴とするものである。
【0014】その際、有機半導体混合物の光電流増倍素
子が複数個含まれていることが好ましく、それらの光電
流増倍素子は互いに異なる増倍率に設定されている。ま
た、最も増倍率の高い光電流増倍素子として光電流増倍
層が結晶性有機半導体のみを含みアモルファス性有機半
導体を含まないものを含むことができる。
【0015】第3の目的を達成するために、本発明の光
電流増倍装置の増倍率制御方法は、光電流増倍層として
アモルファス性有機半導体と結晶性有機半導体の混合物
を使用し、かつその混合比率を調節することにより増倍
率を設定する増倍率制御方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】光電流増倍層に用いる有機半導体
の例を図3に示す。フタロシアニン顔料とその誘導体
(中心に種々の金属をもつMPc、金属をもたないH2
Pcや、周りに種々の置換基の付いたもの)、キナクリ
ドン顔料(DQ)、ポルフィリン、メロシアニン等とそ
れらの誘導体、ペリレン顔料とその誘導体(窒素原子に
付いている置換基の異なる誘導体は多種知られており、
例えば、t−BuPh−PTC,PhEt−PTCなど
があり、高い光電変換能を持つIm−PTCもあ
る。)、ナフタレン誘導体(ペリレン顔料のペリレン骨
格がナフタレンになっているもので、例えばNTCD
A)、C60等が挙げられる。しかし、本発明で利用で
きる光導電性有機半導体はこれらに限らない。
【0017】これらの有機半導体をアモルファス性の強
いものと結晶性の強いものとに分類すると、次のように
なる。アモルファス性の強いものとしては、フタロシア
ニン、ポルフィリン、メロシアニンなどでは周りに種々
の置換基の付いたもの、ナフタレン誘導体に大きな置換
基の付いたもの、t−BuPh−PTCやPhEt−P
TCのように窒素に大きな置換基の付いたペリレン誘導
体などを挙げることができる。結晶性の強いものとして
は、キナクリドン顔料(DQ)、中心に種々の金属をも
つMPc、金属をもたないH2Pc、ポルフィリン、メ
ロシアニン、ペリレン顔料、NTCDA、Im−PT
C、C60などを挙げることができる。
【0018】光電流増倍層がアモルファス性有機半導体
と結晶性有機半導体との混合物からなる場合の第1の形
態は共蒸着膜である。共蒸着膜は、アモルファス性有機
半導体と結晶性有機半導体とを同時に蒸着することによ
り得ることができる。共蒸着では、アモルファス性有機
半導体と結晶性有機半導体とを別々のるつぼに入れて蒸
着する方法と、アモルファス性有機半導体と結晶性有機
半導体とを混合して同一のるつぼに入れて蒸着する方法
がある。後者の場合、るつぼに入れた混合比率と成膜後
の混合比率が異なったものになるが、両者の関係を求め
ておくことにより混合比率の制御は可能である。共蒸着
膜の膜厚は0.1〜3μmが好ましい。膜厚がこの範囲
より薄くなるとピンポールが発生して信頼性が低下す
る。膜厚がこの範囲より厚くなると、光電流増倍を起こ
させるために必要な電圧が上昇し、エネルギー効率が悪
化する。
【0019】光電流増倍層がアモルファス性有機半導体
と結晶性有機半導体との混合物からなる場合の第2の形
態は、アモルファス性有機半導体と結晶性有機半導体と
を樹脂に分散させた樹脂分散有機半導体膜である。有機
半導体を分散させる樹脂としては、ポリカーボネート
(図4中に記号C11として示されたもの)、ポリビニ
ルブチラール(図4中に記号C12として示されたも
の)、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリメタ
クリル酸メチルなどの汎用ポリマー、ポリビニルカルバ
ゾール(図4中に記号C13として示されたもの)、ポ
リメチルフェニルシラン(図4中に記号C14として示
されたもの)、ポリジメチルシランなどの導電性ポリマ
ーを挙げることができる。
【0020】樹脂分散有機半導体層における有機半導体
の濃度(アモルファス性有機半導体と結晶性有機半導体
の混合物ではその合計の濃度)は30重量%以上が好ま
しい。その濃度が30重量%より少なくなると膜の導電
性が低下するためにそれだけ光照射誘起電流が少なくな
って、増倍装置としての光電流増倍特性や光−光変換特
性が低下してくる。
【0021】樹脂分散有機半導体層の膜厚は0.1〜3
μmが好ましい。膜厚がこの範囲より薄くなると、暗電
流が増加して光照射誘起電流が少なくなり、増倍装置と
しての光電流増倍特性や光−光変換特性が低下してく
る。逆に膜厚がこの範囲より厚くなると、光電流増倍を
起こさせるために必要な電圧が上昇し、エネルギー効率
が悪化する。
【0022】光−光変換素子を構成する有機電界発光層
としては、アルミ・キノリノール錯体(Alq)(図
5中に記号C20として示されたもの)、3,4,9,10−ペ
リレンテトラカルボキシリック3,4,9,10−ビス(フェニ
ルエチルイミド)などの蒸着膜を挙げることができる。
有機電界発光層の膜厚は0.05〜0.1μmが適当であ
る。
【0023】光−光変換素子では有機電界発光層と電極
との間にキャリア輸送層(ホール輸送層又は電子輸送
層)が設けられることがある。そのキャリア輸送層とし
ては、N,N−ジフェニル−N,N−ビス(4−メチルフェニ
ル)−4,4−ジアミンなどのトリフェニル・ジアミン誘
導体(TPD)(図5中に記号C21として示されたも
の)、3,5−ジメチル−3,5−ジ三級ブチル−4,4−ジフ
ェノキノン、2−(4−ビフェニル)−5−(4−三級
ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、N,N,N,N
−テトラ−(m−トルイル)−m−フェニレンジアミン
などの蒸着膜を挙げることができる。キャリア輸送層の
膜厚は0.05〜0.1μmが適当である。
【0024】光電流増倍層に電圧を印加するためにこの
素子を両側から挟む電極としては、ITO(酸化インジ
ウム錫)透明電極の他、金その他の金属の蒸着膜やスパ
ッタリング膜を用いることができる。光透過性を要求さ
れる側に設けられる電極膜はそのうちの透明なものを使
用する。電極膜はガラス基板に形成してもよく、光電流
増倍層に形成してもよく、又は光電流増倍層と有機電界
発光層との積層体に形成してもよい。
【0025】
【実施例】次に、実施例について図面を参照して詳細に
説明する。図1は一実施例の光電流増倍装置のセル構造
を示す断面図である。3は光電流増倍層であり、Me−
PTCとPhEt−PTCの共蒸着薄膜(膜厚500n
m)からなる。その光電流増倍層3を膜厚60nmのI
TO電極2と膜厚20nmのAu電極4とでサンドイッ
チ状に挟んだ構造である。1はこの素子を支持している
透明ガラス基板である。ガラス基板1は電極2,4のい
ずれの側にあってもよいが、ここでは電極2を支持する
側に設けられているものとする。
【0026】7は直流電源であり、Au電極4側がマイ
ナスになるように電圧印加して作動させる。励起光18
は電極2,4のいずれの側から照射してもよく、少なく
とも光が照射される側の電極はその光に対して透過性の
ものである必要がある。直流電源7によって電極2,4
を通して光電流増倍層3に電圧を印加させた状態で光電
流増倍層3に光18を照射することにより、光電流増倍
層3とAu電極4の界面で光電流増倍が起こる。
【0027】この素子は、ガラス基板1にITO電極2
を蒸着法により形成し、その上にMe−PTCとPhE
t−PTCの共蒸着により光電流増倍層3を形成し、さ
らにその上に蒸着法によりAu電極4を形成することに
より製造することができる。
【0028】図2は他の実施例の光電流増倍装置である
光−光変換装置のセル構造を示す断面図である。光電流
増倍層3及びこの光電流増倍層3に積層一体化させた有
機電界発光層10からなる積層体12を備えている。こ
の積層体12の光電流増倍層3上にはITO電極2、有
機電界発光層10上にはAu電極4が設けられている。
有機電界発光層10と電極4の間には、図示のように、
ホール輸送層11が介在していることが好ましい。この
光−光変換素子においても、ガラス基板1は電極2,4
のいずれの側にあってもよいが、ここでは電極2を支持
する側に設けられているものとする。電極2,4によっ
てホール輸送層11を介して積層体12に電源7により
電圧を印加させた状態で光電流増倍層3に光18を照射
することにより、有機電界発光層10から光−光変換光
20を得るものである。18’はこの素子への入射光1
8のうちの透過光を表わしている。
【0029】この光−光変換素子では、光18は電極2
を通して光電流増倍層3に照射されるので、電極2はそ
の照射光に対して透過性でなくてはならない。また、光
−光変換光20は有機電界発光層10からホール輸送層
11及び電極4を通して取り出されるので、ホール輸送
層11と電極4はその光20に対して透過性でなくては
ならない。
【0030】光電流増倍層3において、Me−PTCと
PhEt−PTCを共蒸着すると、Me−PTCは結晶
性となり、PhEt−PTCはアモルファス性となる。
これらの化合物では、薄膜の結晶化度はN原子に付く置
換基に依存しており、メチル基のような小さな置換基を
もつ場合は結晶性で、フェニル基のようなバルキーな置
換基をもつ場合はアモルファス性となる。置換基は上記
2つに限定されるわけでなく他の種類でもよい。すなわ
ち、結晶性とアモルファス性の組合わせであれば他の有
機半導体の組合わせでもよい。
【0031】図1の実施例において、光電流増倍層2の
Me−PTCとPhEt−PTCの混合比率は次の表に
示されるように変化させた3種類のものを作成した。
【表1】 Me-PTC(結晶性) PhEt-PTC(アモルファス性) 1 0 0.95 0.05 0.90 0.10
【0032】表1のように混合比率を変えた光電流増倍
素子が示す増倍率の印加電圧依存性を図6に示す。光電
流増倍層2として単独のMe−PTC薄膜を用いた場合
(図中のa)は、印加電圧5Vで5000倍を越える増
倍率を示しているが、PhEt−PTCを5%(図中の
b)、10%(図中のc)と添加すると増倍が顕著に抑
制され、10%添加ではほとんど増倍が起こらなくな
る。
【0033】このように、有機半導体単一膜と、有機半
導体混合膜とから所望の有機半導体を選択することによ
り、増倍率を数万倍から全く起こらない1倍以下の広い
範囲で自由自在にコントロールできる。
【0034】ここで、本発明による増倍率制御の起源に
ついて述べる。図7に各薄膜のX線回折(XRD)スペ
クトルを示す。CPSはカウント数/秒で、強度を表わ
す。最上段の(A)はMe−PTC単独膜、最下段の
(E)はPhEt−PTC単独膜である。(B)から
(D)はMe−PTCとPhEt−PTCの共蒸着膜で
あり、その混合比率は、Me−PTC:PhEt−PT
Cで表わして、(B)0.95:0.05、(C)0.9
0:0.10、(D)0.50:0.50である。
【0035】2θ=27.4°付近のピークがMe−P
TC結晶に由来する。Me−PTC単独膜(A)、Me
−PTC:PhEt−PTC=0.95:0.05(B)
及びMe−PTC:PhEt−PTC=0.90:0.1
0(C)にはその回折ピークが現れている。一方、Me
−PTC:PhEt−PTC=0.50:0.50
(1:1蒸着膜)(D)及びPhEt−PTC単独膜
(E)には回折ピークが観測されずアモルファスであ
る。(D)及び(E)の増倍率のデータは図6には示し
ていないが、増倍が全く起こらないことを確認した。
【0036】興味深いことに、比率0.95:0.05
(B)及び(C)0.90:0.10の共蒸着膜は、M
e−PTC単独膜(A)に比べて増倍が抑制されている
にもかかわらず、Me−PTCのXRDピーク強度はほ
とんど変化しないことが分かった。図8にMe−PTC
単独膜からMe−PTCとPhEt−PTCとの共蒸着
膜におけるPhEt−PTC比率に対して増倍率とXR
Dピーク強度をプロットした。増倍率が急激に減少して
いるにもかかわらず、XRD強度の減少は非常に小さい
ことが明白である。XRDピークが観測されるというこ
とは、10%のPhEt−PTC添加ではXRDピーク
の起源となるMe−PTC結晶の規則的な分子配列構造
が残っていることを意味している。この結果は、Me−
PTCの分子配列そのものよりも大きな構造(高次構
造)がPhEt−PTC添加によって壊れたために、増
倍が抑制されたことを示唆している。
【0037】増倍現象は、図9に示されるように、有機
/金属界面への光生成ホールの蓄積によって誘起され
た、電極金属からの電子のトンネル注入による。図9
で、縦軸は電子エネルギー、白丸はホール、黒丸は電子
を表わし、ここでは有機半導体としてNTCDAを用
い、有機半導体に接する電極として金(Au)を用いた
としている。このホールを蓄積して増倍を引き起こす有
機/金属界面トラップは、有機薄膜と金属との接合が不
完全で均一に密着していないことに由来する行き止まり
構造(構造トラップ)であることが分かっている。
【0038】図10に原子間力顕微鏡(AFM)観察に
よって明らかになった有機/金属界面の極微細構造を示
す。NTCDA結晶とAuとの界面の分子レベル構造を
実際のスケールで描くと、右上のバーが10nm、結晶
右上に描かれた線がNTCDA分子の配列を表してい
る。Au電極は直径約20nmの超微粒子の集合した構
造をもつ。球形のAu粒子と有機分子結晶との接合には
間隙が存在する。また、有機分子結晶表面の分子ステッ
プが行き止まり構造を形成する。増倍時の界面には強い
電界が集中し、ホールが分子ステップから出るには電界
に逆らう必要がある(図中央付近の曲線の矢印)。その
ため、ホールがAu電極に逃れにくくなって蓄積し、増
倍を引き起こす。このように、増倍を引き起こすホール
蓄積には間隙と行き止まり構造の両者が必要である(信
学技報Vol. 101 No.273、電子情報通信学会技術研究報
告予稿 OME2001-60(2001年9月3日)参
照)。
【0039】図8の結果は、分子配列そのものよりも大
きな高次構造である分子ステップ構造(行き止まり構
造)がPhEt−PTC添加によって壊れたため、ホー
ルが有機/金属界面へ蓄積しにくくなり、増倍が劇的に
抑制されたとして説明できる。
【0040】
【発明の効果】本発明の光電流増倍装置で、その光電流
増倍層が結晶性の有機半導体とアモルファス性の有機半
導体との混合物を用いたものは、両有機半導体の混合比
率によって増倍率を制御することができるので、増倍率
を所望の値に設定した光電流増倍装置を実現することが
できる。本発明の光電流増倍装置で、光電流増倍素子を
複数個備え、そのうちの少なくとも1個は、その光電流
増倍層がアモルファス性有機半導体と結晶性有機半導体
との混合物からなリ、かつアモルファス性有機半導体と
結晶性有機半導体との混合比率により増倍率が設定され
ているようにしたものは、増倍率の異なる複数の光電流
増倍素子を設けることによって広いダイナミックレンジ
の光測定を可能にする光電流増倍装置を得ることができ
る。本発明の増倍率制御方法は、光電流増倍層としてア
モルファス性有機半導体と結晶性有機半導体の混合物を
使用し、かつその混合比率を調節することにより増倍率
を設定するので、共通の光導電性有機半導体を使用して
増倍率を所望の値に設定することのできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施例の光電流増倍装置を示す概略断面図で
ある。
【図2】他の実施例の光電流増倍装置を示す概略断面図
である。
【図3】本発明で使用する有機半導体のいくつかの例を
示す化学式である。
【図4】光電流増倍層が樹脂分散有機半導体膜である場
合の有機半導体を分散させる樹脂のいくつかの例を示す
化学式である。
【図5】本発明を光−光変換素子に適用する場合に有機
電界発光層として用いられる化合物とキャリア輸送層と
して用いられる化合物を例示する化学式である。
【図6】Me−PTCとPhEt−PTCの混合比率を
変えた光電流増倍素子が示す増倍率の印加電圧依存性を
示す図である。
【図7】各種薄膜のX線回折スペクトルを示す図であ
り、(A)はMe−PTC単独膜、(B)はMe−PT
C:PhEt−PTC=0.95:0.05の共蒸着膜、
(C)はMe−PTC:PhEt−PTC=0.90:
0.10の共蒸着膜、(D)はMe−PTC:PhEt
−PTC=0.50:0.50の共蒸着膜、(E)はPh
Et−PTC単独膜である。
【図8】Me−PTC単独膜からMe−PTCとPhE
t−PTCとの共蒸着膜におけるPhEt−PTC比率
に対する増倍率とXRDピーク強度を示す図である。
【図9】光電流増倍時におけるNTCDA/Au界面の
エネルギー構造図である。
【図10】光電流増倍現象を説明するための分子袋小路
モデルを示す図である。
【符号の説明】
2 光電流増倍層 4 ITO電極 6 Au電極 8 直流電源 10 ガラス基板

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光電流増倍層に電圧を印加した状態でそ
    の光電流増倍層に光照射することにより増倍された量子
    収率で光照射誘起電流を得る光電流増倍装置において、 前記光電流増倍層がアモルファス性有機半導体と結晶性
    有機半導体との混合物からなることを特徴とする光電流
    増倍装置。
  2. 【請求項2】 前記光電流増倍層はアモルファス性有機
    半導体と結晶性有機半導体との共蒸着薄膜である請求項
    1に記載の光電流増倍装置。
  3. 【請求項3】 前記光電流増倍層はアモルファス性有機
    半導体と結晶性有機半導体とを樹脂に分散させた樹脂分
    散有機半導体薄膜である請求項1に記載の光電流増倍装
    置。
  4. 【請求項4】 前記光電流増倍層には有機電界発光層が
    積層一体化されており、前記光電流増倍層に光照射する
    ことにより、前記有機電界発光層から光−光変換光を得
    る請求項1から3のいずれかに記載の光電流増倍装置。
  5. 【請求項5】 光電流増倍層に電圧を印加した状態でそ
    の光電流増倍層に光照射することにより増倍された量子
    収率で光照射誘起電流を得る光電流増倍素子を複数個備
    え、 前記光電流増倍素子の少なくとも1個は、その光電流増
    倍層がアモルファス性有機半導体と結晶性有機半導体と
    の混合物からなる請求項1から4のいずれかに記載の光
    電流増倍装置であり、かつアモルファス性有機半導体と
    結晶性有機半導体との混合比率により増倍率が設定され
    ていることを特徴とする光電流増倍装置。
  6. 【請求項6】 有機半導体混合物の光電流増倍素子が複
    数個含まれており、それらの光電流増倍素子は互いに異
    なる増倍率に設定されている請求項5に記載の光電流増
    倍装置。
  7. 【請求項7】 光電流増倍層に電圧を印加した状態でそ
    の光電流増倍層に光照射することにより増倍された量子
    収率で光照射誘起電流を得る光電流増倍装置において、 前記光電流増倍層としてアモルファス性有機半導体と結
    晶性有機半導体の混合物を使用し、かつその混合比率を
    調節することにより増倍率を設定する光電流増倍装置の
    増倍率制御方法。
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