JP2012064650A - 有機光電変換材料及びこれを用いた有機光電変換素子、並びに有機薄膜太陽電池 - Google Patents

有機光電変換材料及びこれを用いた有機光電変換素子、並びに有機薄膜太陽電池 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、薄膜状態としたときに、膜厚方向に高い電荷輸送性を有する有機光電変換材料及びこれを用いた有機光電変換素子、並びに有機薄膜太陽電池を提供することを目的とする。
【解決手段】薄膜40の状態で用いられる有機光電変換材料であって、
前記薄膜内の有機分子41は、前記薄膜の厚さ方向にスタッキングしていることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機光電変換材料及びこれを用いた有機光電変換素子、並びに有機薄膜太陽電池に関し、特に、薄膜の状態で用いられる有機光電変換材料及びこれを用いた有機光電変換素子、並びに有機薄膜太陽電池に関する。
従来から、低温・低コストで電子デバイスが作製できる可能性があるため、有機EL(Electro-luminescence)、有機トランジスタ、有機薄膜太陽電池等の有機物を用いた電子デバイスが多数研究・開発されている。有機物を用いた電子デバイスの1つとして、大面積に柔軟なデバイスが形成可能という、有機の特徴を生かした太陽電池等の光電変換素子の開発が期待されている。
かかる光電変換素子の中でも有機薄膜太陽電池は、有機光電変換素子の応用として期待されている。有機薄膜太陽電池は、p型のキャリア伝導性を有する有機材料と、n型のキャリア伝導性を有する有機材料を組み合わせた構造である。有機薄膜太陽電池の構造の1つとして、p型有機薄膜とn型有機薄膜を堆積させて平面的な光活性層を構成する平面接合型の構造が知られている(例えば、非特許文献1参照)。また、もう1つの構造として、p型有機材料とn型有機材料が混合した状態で有機薄膜を形成し、光活性層を構成するバルクヘテロジャンクション構造が知られている(例えば、特許文献1)。近年、バルクヘテロジャンクション構造により、光−電気エネルギー変換効率が高まり、有機薄膜太陽電池実用化への期待が高まっている。
米国特許第5,331,183号公報 特許第4,441,528号公報
C. W. Tang, Appl. Phys. Lett., 48 (1986) 183. K. Sueomri, T. Miyama, M. Yokohama and M. Hiramoto, Appl. Phys. Lett. 86, 063509 (2005) 2010年(平成22年)春季第57回応用物理学関係連合講演会講演予稿集 18p−ZM−1、2010、p.12−387
しかしながら、従来から有機薄膜太陽電池に用いられてきたフタロシアニン等の材料は、バルクヘテロジャンクション構造において分子は微結晶構造をとるが、分子間の電気伝導に寄与するπ−πスタッキングの方向は、基板に対して垂直ではなく、基板に対して水平方向に列をなすように重なる配向となることが知られている(例えば、非特許文献2参照)。このような配向の場合、基板に対して垂直な方向への電荷輸送性は必ずしも十分とは言えない場合が多い。つまり、電荷は、分子同士が重なる方向には良好に移動するが、分子自体が延在する方向には移動し難いという特性を有する。
一般的に、太陽電池や光センサ等の光電変換デバイスは、有機層を電極でサンドイッチして挟んだ構造であり、基板に対して垂直方向に電荷を移動させて動作させるいわゆる縦型のデバイスである。よって、水平方向に列をなして重なる分子配向は、デバイス内部での電荷の移動距離の増大を招く。つまり、電荷は基板に対して平行な方向に移動しながら、不規則に基板に垂直な方向にも移動する経路を辿るため、乱れた電荷の動きとなる。その結果、デバイス内部の電気抵抗が増大したり、電荷が再結合したりする等の影響を受け、光電流の減少や変換効率の低下等、デバイス性能の低下を招くという問題があった。
また、結晶異方性を示す有機化合物膜として知られているものは幾つか存在するが(例えば、特許文献2、非特許文献3参照)、電気伝導性及び光電変換特性について検討は十分になされておらず、フタロシアニン等の従来材料を凌駕する光電変換特性を有する材料が期待されている。
そこで、本発明は、薄膜状態としたときに、膜厚方向に高い電荷輸送性を有する有機光電変換材料及びこれを用いた有機光電変換素子、並びに有機薄膜太陽電池を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、第1の発明に係る有機光電変換材料は、薄膜の状態で用いられる有機光電変換材料であって、
前記薄膜内の有機分子は、前記薄膜の厚さ方向にスタッキングしていることを特徴とする。
これにより、平面上の基板に有機光電変換材料を薄膜の状態で用いる場合には、基板の法線方向に有機分子がスタッキングしているので、光電変換後の電荷が基板の法線方向にスムーズに移動し、高い電荷輸送性を有する有機光電変換素子の作製を可能にできる。
第2の発明は、第1の発明に係る有機光電変換材料において、
前記有機光電変換材料は、p型有機材料であるbis−(1, 2, 5−thiadiazolo)−p−quinobis(1, 3−dithiole)(略称:BTQBT)を含むことを特徴とする。
これにより、光電変換効率が高く、かつ電荷輸送性の高いp型の有機薄膜を必要とする光電変換素子の作製に利用することができる。
第3の発明は、第1の発明に係る有機光電変換材料において、
前記有機光電変換材料は、n型有機材料である1, 3−bis−[2−(2, 2'−bipyridin−6−yl)−1, 3, 4−oxadiazo−5−yl]benzen(略称:Bpy−oxd)を含むことを
特徴とする。
これにより、光電変換効率が高く、かつ電荷輸送性の高いn型の有機薄膜を必要とする光電変換素子の作製に利用することができる。
第4の発明に係る有機光電変換素子は、基板と、
該基板より上層に形成された電極と、
該電極より上層に、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の有機光電変換材料を用いて形成された光電変換層と、を有することを特徴とする。
これにより、撮像素子や光センサ等の種々の用途において、光電変換率が高く電荷輸送性の高い有機光電変換素子を実現することができる。
第5の発明は、第4の発明に係る有機光電変換素子において、
前記基板は、樹脂基板であることを特徴とする。
これにより、加熱が困難な樹脂基板を用いる場合であっても、基板を加熱することなく有機光電変換素子を実現することができる。
第6の発明に係る有機薄膜太陽電池は、基板と、
該基板より上層に形成された第1の電極と、
該第1の電極より上層に、p型有機光電変換層とn型有機光電変換層とが積層して形成された発電層と、
該発電層より上層に形成された第2の電極とを有し、
前記p型有機光電変換層と前記n型有機光電変換層の少なくとも一方は、前記請求項1乃至3のいずれか一項に記載の有機光電変換材料を用いて形成され、
前記基板及び前記第1の電極と、前記第2の電極の少なくとも一方は光を透過することを特徴とする。
これにより、平面接合型の有機薄膜太陽電池の電荷輸送効率を高めることができ、安価で電荷輸送効率の高い有機薄膜太陽電池を実現することができる。
第7の発明に係る有機薄膜太陽電池は、基板と、
該基板より上層に形成された第1の電極と、
該第1の電極より上層に形成され、p型有機光電変換材料とn型有機光電変換材料とが混合してバルクヘテロジャンクション構造を有する発電層と、
該発電層より上層に形成された第2の電極とを有し、
前記p型有機光電変換材料と前記n型有機光電変換材料の少なくとも一方は、前記請求項1乃至3のいずれか一項に記載の有機光電変換材料であり、
前記基板及び前記第1の電極と、前記第2の電極の少なくとも一方は透明であることを特徴とする。
これにより、平面接合型よりも高効率と期待されているヘテロジャンクション構造の有機薄膜太陽電池の電荷輸送効率も高めることができ、混合型の複雑な分子構造を有する有機薄膜においても、電荷輸送効率の向上を図ることができる。
第8の発明は、第6又は第7の発明に係る有機薄膜太陽電池において、
前記基板は、樹脂基板であることを特徴とする。
これにより、更に安価に電荷輸送性の良好な有機薄膜太陽電池を構成することができる。
本発明によれば、光電変換を高効率に行うことができる。
実施形態1に係る有機光電変換材料及び有機光電変換素子の一例を示した断面構成図である。 比較例として従来の光電変換材料及び光電変換素子の一例を示した断面構成図である。 X線結晶構造解析結果のスペクトルを示した図である。 測定結果から見積もられる分子間距離と有機分子のスタッキングの状態例を示した図である。 実施形態2に係る有機薄膜太陽電池の一例を示した図である。 実施形態3に係る有機薄膜太陽電池の一例を示した図である。 実施形態4に係る有機薄膜太陽電池の一例を示した断面構成図である。 実施形態4に係る有機薄膜太陽電池の製造方法の透明電極付き基板用意工程の一例を示した図である。 実施形態4に係る有機薄膜太陽電池の製造方法のPEDOT:PSS層形成工程の一例を示した図である。 実施形態4に係る有機薄膜太陽電池の製造方法のp型有機光電変換層形成工程の一例を示した図である。 実施形態4に係る有機薄膜太陽電池の製造方法のn型有機光電変換層形成工程の一例を示した図である。 実施形態4に係る有機薄膜太陽電池の製造方法のLiF層形成工程の一例を示した図である。 実施形態4に係る有機薄膜太陽電池の製造方法の電極形成工程の一例を示した図である。 実施形態5に係る有機薄膜太陽電池の一例を示した断面構成図である。 実施例1に係る有機薄膜太陽電池と従来の有機薄膜太陽電池の特性比較図である。 実施例2に係る有機薄膜太陽電池の特性図である。
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の説明を行う。
〔実施形態1〕
図1は、本発明の実施形態1に係る有機光電変換材料及び有機光電変換素子の一例を示した断面構成図である。実施形態1に係る有機光電変換材料は、薄膜の状態で用いられ、光電変換層40として形成されている。また、本実施形態に係る有機光電変換材料で構成された光電変換層40は、有機分子41を含んでいる。
なお、図1において、有機光電変換材料が薄膜状態となった光電変換層40は拡大して示されており、厚膜と呼んでも良い状態で示されている。しかしながら、実際にはナノオーダーからミクロンオーダーのレベルの膜であり、一般的には薄膜と呼ばれているので、本実施形態においても、薄膜と表現している。一方、薄膜と厚膜に明確な境界がある訳ではなく、例えば、光電変換層40がミリオーダー以上で構成された場合であっても、一般的又は他の構成要素との相対関係から薄膜と呼ぶことができる場合があり、また本実施形態に係る有機光電変換材料及び有機光電変換素子を構成することができるので、本実施形態及び特許請求の範囲における薄膜という言葉に、特に膜の厚さを限定する意味はないものとする。
有機光電変換素子は、基板10と、第1の電極20と、光電変換層40と、第2の電極60とを有する。有機光電変換素子は、基板10より上層に第1の電極20が形成され、第1の電極20より上層に光電変換層40が形成され、光電変換層40より上層に第2の電極が形成されている。
光電変換層40は、入射した光を電気信号に変換する層である。光電変換は、太陽電池や撮像素子で必要とされる機能であり、光電変換層40は、太陽電池や撮像素子に用いられることができる。
光電変換層40は、平面的な広がりを有する有機分子41を含む。各有機分子41は、水平面とほぼ平行な面を形成している。そして、有機分子41は、縦方向に積み重なるように配向し、光電変換層40の厚さ方向にスタッキングした構成となっている。有機分子41は、導電性を有する半導体の分子であり、光に対する電荷発生の応答性が高い性質を有する。有機分子は、積み重なってスタッキングしている方向に電荷輸送性が高い性質を有する。よって、本実施形態に係る光電変換層40は、光電変換層40の厚さ方向の両側(上下)に配置された第1の電極20と第2の電極60との間で、高い電荷輸送性を発揮し、第1の電極20と第2の電極60との通電を容易にし、電荷輸送効率を高めることができる。
なお、有機分子41のスタッキングの方向は、光電変換層40が形成されている面である第1の電極20の面、及び基板10と第2の電極60の面に対してほぼ垂直に近い方向である。有機分子41のスタッキングの方向は、必ずしも完全な垂直であることまでは要求されないが、少なくとも、従来から用いられている銅フタロシアニン(CuPc)等よりも垂直に近くスタッキングする。例えば、有機分子41のスタッキングの方向は、表面に薄膜状態で光電変換層40が形成されている第1の電極20の面に対して、少なくとも80度より大きく90度以下の角度を有し、好ましくは85度以上90度以下の角度を有する。このように、有機分子41のスタッキングの方向は、光電変換層40が形成されている第1の電極20の面に対してより90度に近い程好ましく、理想的には、垂直の90度が最適である。有機分子41が、基板10、第1の電極20及び第2の電極60の面の法線方向にスタッキングしていれば、有機分子41間の電荷輸送性を十分高めることができる。
基板10は、光電変換素子を構成するのに必要な基材である。基板10は、種々の材料から構成されたものを用いることができるが、基板10側から光を光電変換層40に入射させる場合には、透光性を有する材料が用いられる。例えば、ガラス基板や、透明なプラスチック等の樹脂基板が用いられてもよい。
第1の電極20及び第2の電極60は、光電変換層40で発生した電荷を電気信号として取り出すための電極である。よって、第1の電極20及び第2の電極60は、光電変換層40から電荷を容易に取り出せるように、光電変換層40を厚さ方向の両側(図1では上下)から挟んで、サンドイッチ状態で配置される。上述のように、受光により光電変換層40で発生した電荷は、光電変換層40の厚さ方向に容易に移動するので、短い経路で第1の電極20及び第2の電極60に到達し、電気抵抗を低減させ、光電変換効率を向上させることができる。
第1の電極20及び第2の電極60の一方は、光が入射する受光側となるので、受光側には光を透過する電極が用いられる。つまり、第2の電極60側を受光側とする場合には、少なくとも第2の電極60には光を透過する電極が用いられ、第1の電極20側を受光側とする場合には、少なくとも第1の電極20には光を透過する電極が用いられる。なお、第1の電極20側が受光側となる場合には、基板10も光を透過する基板10が用いられる。光を透過する電極は、種々の材料で形成された電極が用いられてよいが、例えば、ITO(Indium Tin Oxide、酸化インジウム錫)等から形成された透明電極が用いられてもよい。また、透光性が要求されない電極には、例えば、アルミニウムや銅等の金属電極を用いてもよい。
図2は、比較例として、従来の光電変換材料及び光電変換素子の一例を示した断面構成図である。図2において、従来例に係る光電変換材料及び光電変換素子は、図1と同様の構成要素については、図1と同一の参照符号を付し、その説明を省略するものとする。
図2において、従来例に係る光電変換材料及び光電変換素子は、光電変換層140の有機分子141が、光電変換層140の水平方向に列をなして重なるように配向している点で、本実施形態に係る光電変換材料及び光電変換素子と異なっている。その他の構成要素は、同一の形状及び配置であるので、図1と同様の参照符号が付されている。
図2に示すように、有機分子141が、水平方向に列をなして重なっている場合には、水平な列方向への電荷輸送性は高いが、垂直方向の電荷輸送性は低くなる。一方、光電変換層140で発生した電荷を取り出すために配置された第1の電極20及び第2の電極60は、本実施形態に係る光電変換素子と同様に、光電変換層40の厚さ方向の両側から挟むように配置されているので、電荷の取り出し方向は光電変換層140の厚さ方向となる。よって、光電変換層140で発生した電荷は、第1の電極20及び第2の電極60の面に平行に移動しながら第1の電極20及び第2の電極60に到達することになり、迂回した経路で第1の電極20及び第2の電極60に到達することになる。従って、電気抵抗は増大し、光電変換効率も低下してしまう。
一方、本実施形態に係る有機光電変換材料及び光電変換素子は、比較例と異なり、薄膜状態で用いられたときに、スタッキングの方向が薄膜の膜厚方向となるので、光電変換で発生した電荷を効率良く第1の電極10及び第2の電極60に輸送することができ、高い電荷輸送性を実現することができる。
次の、本実施形態に係る有機光電変換材料の具体的な物質の例について説明する。
化学式(1)は、本発明の実施形態に係る有機光電変換材料の一例の有機分子の構造を示している。
化学式(1)に示した本実施形態に係る有機光電変換材料は、bis−(1, 2, 5−thiadiazolo)−p−quinobis(1, 3−dithiole)(以下、略称で「BTQBT」と呼ぶ。)の有機分子の構造を示している。BTQBTは、化学式(1)に示すように、対称な平面的広がりを有する。また、BTQBTは、正孔を輸送し易いp型の電気極性を有する。BTQBTの有機分子は、薄膜状態で基板10や電極20、60上に形成されたときに、図1で示したように、薄膜の厚さ方向にスタッキングする性質を有するp型の有機光電変換材料である。有機光電変換材料であるので、光に対する応答性が高く、光が入射されたときに高効率で電荷を発生させる。また、発生した電荷の正孔について、有機分子が積み重なりスタッキングした膜厚方向に良好な電荷輸送特性を示す。よって、BTQBTは、図1に示した光電変換層40を形成するp型の有機光電変換材料として、好適に利用することができる。
化学式(2)は、本発明の実施形態に係る有機光電変換材料の一例の有機分子の構造を示している。
化学式(2)に示した本実施形態に係る有機光電変換材料は、1, 3−bis[2−(2, 2'−bipyridin−6−yl)−1, 3, 4−oxadiazo−5−yl]benzene(以下、略称で「Bpy−OXD」と呼ぶ。)の有機分子の構造を示している。Bpy−OXDも、化学式(2)に示すように、平面的広がりを有する。また、Bpy−OXDは、電子を輸送し易いn型の電気極性を有している。Bpy−OXDの有機分子は、薄膜状態で基板10や電極20、60上に形成されたときに、図1で示したように、薄膜の厚さ方向にスタッキングする性質を有するn型の有機光電変換材料である。有機光電変換材料であるので、光に対する応答性が高く、光が入射したときに高効率で電荷を発生させる。また、発生した電荷の電子について、有機分子が積み重なりスタッキングした膜厚方向に良好な電荷輸送特性を示す点は、BTQBTと同様である。よって、Bpy−OXDは、図1に示した光電変換層40を形成するn型の有機光電変換材料として、好適に利用することができる。
化学式(3)は、比較例として、従来から有機光電変換材料として知られている銅フタロシアニン(CuPc)の有機分子の構造を示している。
銅フタロシアニンは、p型の有機光電変換材料であり、薄膜状態にすると有機分子は、図2で示したように、水平方向に列をなして重なるか、又は、ある程度垂直の方向に配向することもあるが、その程度は、BTQBTよりも小さい。よって、電荷輸送性がBTQBT程良好ではなく、高効率の光電変換素子を実現することができない。
図3A及び図3Bは、本実施形態に係る有機光電変換材料BTQBTを用いてITO付きガラス基板上に形成した薄膜のX線結晶構造解析の結果を示した図である。図3Aは、X線結晶構造解析結果のスペクトルを示した図であり、図3Bは、測定結果から見積もられる分子間距離と有機分子41のスタッキングの状態例を示した図である。
図3Aに示したスペクトルは、ガラス基板上にITOが形成され、ITO上にBTQBT薄膜が200nm形成された状態で、BTQBT薄膜の上方からX線を照射して、X線結晶構造解析が行われた結果を示している。よって、構成的には、図1に示した有機光電変換素子において、基板10にガラス基板、第1の電極20にITO、光電変換層40を形成する有機光電変換材料にBTQBTが用いられ、光電変換層40の厚さが20nmである場合と考えればよい。X線結晶構造解析においては、X線の波長をλ、2つのX線の光路の距離差をdとすると、ブラッグの条件によりnλ=dを満たすときにX線の強度が最大になることから、出力されたピークの位置から格子定数を求め、分子構造を推定する。図3Aにおいては、矢印で示された箇所にピークが存在し、これから分子構造を推定した。
図3Aに示されたスペクトル結果から見積もると、図3Bに示すように、分子間距離は3.3Åと推定される。この3.3Åという値は、有機分子41が図1のように、縦方向にスタッキングしないと、薄膜の膜厚方向に収まらない近い距離である。よって、図3Bに示すように、有機分子41は薄膜の厚さ方向にスタッキングし、図1に示した構造となっていることが分かる。なお、図2に示すような従来の有機分子141のスタッキングの場合には、膜厚方向における分子間距離は大きく見積もられ、図3Bに示したような分子構造とは推定されない。
このように、実施形態1に係る有機光電変換材料及び有機光電変換素子は、高い光電変換率を有するとともに、薄膜状態で用いたときに、有機分子41が膜厚方向にスタッキングする性質を有し、高い電荷輸送性を実現することができる。なお、図1においては、光電変換層40が第1の電極20と第2の電極60にサンドイッチされている構成を示したが、積層構造を形成するための基板10と、第1の電極20又は第2の電極60のいずれかを備えていれば、用途に応じた光電変換素子を構成することができる。例えば、光センサ、冷陰極管を用いた撮像素子又は固体撮像素子等にも用いることができる。また、光電変換層40には、必要に応じて電界を印加して動作させ、光電変換効率を高めることができる。
〔実施形態2〕
図4は、本発明の実施形態2に係る有機薄膜太陽電池の一例を示した図である。有機薄膜太陽電池は、有機光電変換素子の一種であり、本実施形態に係る有機光電変換材料を用いて構成することができる。実施形態2に係る有機薄膜太陽電池は、p−n二重構造を有するプレーナー型の有機薄膜太陽電池として構成された例を示している。なお、図4において、今まで説明した構成要素と同様の構成要素については、今までと同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略するものとする。
図4において、本実施形態に係る有機薄膜太陽電池は、基板10と、透明電極21と、発電層42と、電極61とを備える。また、発電層42は、p型有機光電変換層43と、n型有機光電変換層44とを有し、p型有機光電変換層43の上にn型有機光電変換層44が積層されて形成されている。基板10は、ガラス基板や透明な樹脂基板等の光を透過する基板であり、基板10及び透明電極21側から光が入射する構成となっている。
発電層42に入射光が吸収されると、励起子(エキシトン)が発生してそのまま移動し、p型有機光電変換層43とn型有機光電変換層44の境界であるpn接合界面に到達した励起子が電荷分離に至る。そして、正孔はp型有機光電変換層43内を移動して透明電極21に到達し、電子はn型有機光電変換層44内を移動して電極61に到達して出力される。
このような動作をするため、発電層42内での光電変換効率と、電荷輸送特性は極めて重要である。上述の、BTQBTやBpy−OXDは、高い光電変換率と電荷輸送特性の双方を兼ね備えているので、有機薄膜太陽電池の発電層42として好適に利用できる。なお、p型有機光電変換層43とn型有機光電変換層44は、p型有機光電変換層43にBTQBT、n型有機光電変換層44にBpy−OXDを用いることが最も好ましいが、少なくとも一方にBTQBT又はBpy−OXDを用い、他方は従来から用いられている有機光電変換材料を用いて発電層42を構成するようにしてもよい。例えば、従来から用いられているn型有機光電変換材料としてフラーレン(C60)が知られており、p型有機光電変換層43にBTQBTを用い、n型有機光電変換層44にフラーレンを用いて発電層42を構成するようにしてもよい。また、n型有機光電変換層44にBpy−OXDを用い、p型有機光電変換層43に上述の銅フタロシアニンを用いて発電層42を構成するようにしてもよい。
また、本実施形態においては、図1に示すような薄膜の厚さ方向にスタッキングする有機光電変換材料として、BTQBTとBpy−OXDを具体例として挙げているが、光電変換材料として適切な光電変換率を有し、かつ薄膜状態で薄膜の厚さ方向に有機分子41がスタッキングする性質を有する光電変換材料であれば、他の有機光電変換材料を用いることができる。
なお、図4においては、透明電極21側に正孔が流れる構成としているが、積層関係を逆転させ、p型有機光電変換層43をn型有機光電変換層44の上層に配置し、n型有機光電変換層44を透明電極21の上層に配置する構成としてもよい。これにより、電子が透明電極21側に流れ込む構成とすることができる。
このように、実施形態2に係る有機薄膜太陽電池によれば、高い電荷輸送特性を実現することができる。
〔実施形態3〕
図5は、本発明の実施形態3に係る有機薄膜太陽電池の一例を示した図である。実施形態3に係る有機薄膜太陽電池は、バルクヘテロジャンクション構造を有する有機薄膜太陽電池として構成した例を示している。なお、実施形態3において、今までと同様の構成要素には同一の参照符号を付し、その説明を省略するものとする。
図5において、実施形態3に係る有機薄膜太陽電池は、基板10と、透明電極21と、発電層45と、電極61とを有する。上下の方向は実施形態2の図4と反対となっているが、基板10の下層に透明電極21が形成され、透明電極21の下層に発電層45が形成され、発電層45の下層に電極61が形成されており、積層関係は図4と同様になっている。
実施形態3に係る有機薄膜太陽電池は、発電層45が、p型有機光電変換材料とn型有機光電変換材料とが混合した混合層である点で、実施形態2に係る有機薄膜太陽電池と異なっている。このような混合層は、バルクヘテロジャンクション構造と呼ばれ、pn接合界面が多く形成されるので、一般的には実施形態2で示したようなプレーナー型の有機薄膜太陽電池よりも高効率の太陽電池を構成することができる。つまり、実施形態2において説明したように、入射光が発電層45に吸収されたときに、励起子が発生し、pn接合界面に到達したときに分離して電荷を生じるが、p型有機光電変換材料とn型有機光電変換材料を混合させてpn接合界面を多く形成させることにより、光電変換効率を高めることができる。
ここで、発電層45を構成するp型有機光電変換材料及びn型有機光電変換層の少なくとも一方に、薄膜状態のときに厚さ方向に有機分子41がスタッキングする実施形態1で説明した有機光電変換材料を用いるようにすれば、発電層45の電荷輸送性を高めることができる。なお、バルクヘテロジャンクション構造においては、p型有機光電変換材料とn型有機光電変換材料が不規則に混在するため、p型有機光電変換材料及びn型有機光電変換材料の両方とも、実施形態1に係る有機光電変換材料を用いることが好ましい。例えば、p型有機光電変換材料としてBTQBTを用い、n型有機光電変換材料としてBpy−OXDを用いるようにすれば、どのような混合状態であっても縦方向への電荷輸送性が優れた発電層45を構成することができる。
但し、p型有機光電変換材料としてBTQBTを用い、n型有機光電変換材料としてフラーレンを用いたような場合や、p型有機光電変換材料として銅フタロシアニンを用い、n型有機光電変換材料としてBpy−OXDを用いた場合等、一方のみに実施形態1に係る有機光電変換材料を用いた場合であっても、従来よりも電荷輸送性を大幅に向上させることができる。
なお、図5においても、図4と同様に透明電極21側に正孔が流れる構成としているが、透明電極21側に電子が流れ込む構成とすることも可能である。具体的には、電極61に、透明電極21よりも仕事関数が大きい材料を用いればよい。
また、図5において、基板10側から光が入射しているので、基板10は光を透過するガラス基板や、透明なプラスチック等の樹脂基板を用いることができる。
実施形態3に係る有機薄膜太陽電池によれば、バルクヘテロジャンクション構造を有する高効率の有機薄膜太陽電池の電荷輸送性を高めることができ、一層の高効率化を図ることができる。
〔実施形態4〕
図6は、本発明の実施形態4に係る有機薄膜太陽電池の一例を示した断面構成図である。実施形態4に係る有機薄膜太陽電池は、実施形態2に係る有機薄膜太陽電池と同様に、p−n二重構造のプレーナー型の有機薄膜太陽電池として構成されているが、種々のバッファ層が設けられている点で、実施形態2に係る有機薄膜太陽電池と異なっている。なお、実施形態4において、今まで説明した構成要素と同様の構成要素には同一の参照符号を付し、その説明を省略するものとする。
図6において、実施形態4に係る有機薄膜太陽電池は、基板10と、透明電極21と、PEDOT:PSS層30と、発電層42と、LiF層50と、電極61とを備える。発電層42は、積層されたp型有機光電変換層43とn型有機光電変換層44とを含む。実施形態4に係る有機薄膜太陽電池において、基板10より上層に透明電極21が形成され、透明電極21より上層に電極61が形成されている点は、実施形態2に係る有機薄膜太陽電池と同様である。また、p型有機光電変換層43の上層にn型有機光電変換層44が積層されて発電層42が構成されている点も、実施形態3に係る有機薄膜太陽電池と同様である。更に、p型有機光電変換層43及びn型有機光電変換層44の少なくとも一方は、実施形態1に係る有機光電変換材料により構成され、有機分子のスタッキング方向が膜厚方向である点も、実施形態2に係る有機薄膜太陽電池と同様である。
実施形態4に係る有機薄膜太陽電池は、透明電極21と発電層42のp型有機光電変換層43との間にPEDOT:PSS層30が挿入形成され、発電層45のn型有機光電変換層44と電極61との間にLiF層50が挿入形成されている点が、実施形態2に係る有機薄膜太陽電池と異なっている。このように、必要に応じて、種々のバッファ層を設け、有機薄膜太陽電池の電気的機能をより向上させるようにしてもよい。
PEDOT:PSS層30は、透明電極21の表面の凹凸を平滑化させて電極61−透明電極21間のショートを低減させるためと、p型有機光電変換層43−透明電極21間の抵抗を低減するために挿入されている。また、LiF層50は、電極61−n型有機光電変換層44間の界面抵抗を低減するために挿入されている。
これらのバッファ層は、有機薄膜太陽電池を構成するために必ず必要な訳ではないが、必要に応じて設けることにより、有機薄膜太陽電池の電気的特性を向上させることができる。このように、実施形態4に係る有機薄膜太陽電池によれば、実施形態1に係る有機光電変換材料を用いて発電層45を構成し、用途に応じてバッファ層を設けることにより、有機薄膜太陽電池の電荷輸送性を向上させるとともに、電気的特性を優れたものとすることができる。
次に、図7A〜図7Fを用いて、実施形態4に係る有機薄膜太陽電池の製造方法について説明する。図7A〜図7Fは、実施形態4に係る有機薄膜太陽電池の製造方法の一例を示した図である。
図7Aは、実施形態4に係る有機薄膜太陽電池の製造方法の透明電極付き基板用意工程の一例を示した図である。透明電極付き基板用意工程においては、表面に透明電極21が形成された基板10を用意する。基板10は、熱に強いガラス基板等だけではなく、熱にあまり強くないプラスチック等の樹脂からなる樹脂基板も対象とすることができる。後述するが、発電層45の形成後に、基板10ごと加熱する工程が無いため、あらゆる基板10を対象とすることができる。なお、基板10側を受光側とする場合には、透明な基板を用いるようにする。
また、透明電極21は、通常は、スパッタリングや蒸着により形成される。
図7Bは、PEDOT:PSS層形成工程の一例を示した図である。PEDOT:PSS層形成工程においては、透明電極21の表面上に、PEDOT:PSS層30が形成される。なお、PEDOT:PSS層30は、例えば透明電極21の表面上に塗布されて形成されてよい。
図7Cは、p型有機光電変換層形成工程の一例を示した図である。p型有機光電変換層形成工程においては、PEDOT:PSS層30の表面上に、p型有機光電変換層43が形成される。なお、p型有機光電変換層43は、例えば蒸着により形成されてよい。
図7Dは、n型有機光電変換層形成工程の一例を示した図である。n型有機光電変換層形成工程においては、p型有機光電変換層43の表面上に、n型有機光電変換層44が形成される。なお、n型有機光電変換層44も、例えば蒸着で形成されてよい。n型有機光電変換層44の形成により、p型有機光電変換層43とn型有機光電変換層44の積層構造を有する発電層45が完成する。
図7Eは、LiF層形成工程の一例を示した図である。LiF層形成工程においては、n型有機光電変換層44の表面上に、LiF層50が形成される。LiF層50は、例えば、蒸着により形成される。
図7Fは、電極形成工程の一例を示した図である。電極形成工程においては、LiF層50の表面上に、電極61が形成される。電極61は、例えば、アルミニウムを蒸着し、アルミニウム電極として形成するようにしてもよい。その他、銅等の配線金属を蒸着して電極61を形成するようにしてもよい。
このように、塗布や蒸着等の簡素な工程を繰り返すことにより、低コストで実施形態4に係る有機薄膜太陽電池を製造することができる。また、基板10を加熱する工程が存在しないので、熱に弱い樹脂製の基板10を用いて有機薄膜太陽電池を製造することができ、製造コストを低減することができる。
〔実施形態5〕
図8は、本発明の実施形態5に係る有機薄膜太陽電池の一例を示した断面構成図である。図8において、実施形態5に係る有機薄膜太陽電池は、実施形態3に係る有機薄膜太陽電池と同様に、バルクヘテロジャンクション構造の有機薄膜太陽電池として構成されているが、種々のバッファ層を備えている点で、実施形態3に係る有機薄膜太陽電池と異なっている。なお、今まで説明した実施形態と同様の構成要素については、同一の参照符号を付し、その説明を省略するものとする。
実施形態5に係る有機薄膜太陽電池は、基板10と、透明電極21と、PEDOT:PSS層30と、発電層45と、n型半導体層46と、LiF層50と、電極61とを備える。基板10より上層に透明電極層20が形成され、透明電極層20より上層に発電層45が形成され、発電層45より上層に電極61が形成されている点は、実施形態3に係る有機薄膜太陽電池と同様である。また、発電層45が、p型有機光電変換層とn型有機光電変換層が混合したバルクヘテロジャンクション構造として構成されている点も、実施形態3に係る有機薄膜太陽電池と同様である。更に、発電層45を構成するp型有機光電変換層とn型有機光電変換層の少なくとも一方は、実施形態1に係る有機光電変換材料を使用して形成されている点も、実施形態3に係る有機薄膜太陽電池と同様である。
実施形態5に係る有機薄膜太陽電池は、透明電極21と発電層45との間にPEDOT:PSS層30が挿入され、発電層45と電極61との間にn型半導体層46とLiF層50が挿入されている点が、実施形態3に係る有機薄膜太陽電池と異なっている。
PEDOT:PSS層30は、実施形態4に係る有機薄膜太陽電池と同様に、透明電極21の表面の凹凸の平滑化、電極61−透明電極21間のショートの低減及び発電層45−透明電極21間の抵抗の低減のために挿入されている。
n型半導体層46は、例えばBpy−OXD等の有機半導体層で構成されている。n型半導体層46は、同じく有機半導体層である発電層45と合わせて、有機半導体層の全体を厚くし、上下の電極61−透明電極21間のショートを低減する目的で挿入されている。
LiF層50は、実施形態4に係る有機薄膜太陽電池と同様に、電極61−n型半導体層46間の界面抵抗を低減するために挿入されている。
このように、バルクヘテロジャンクション構造の有機薄膜太陽電池においても、必要に応じて種々のバッファ層を設け、有機薄膜太陽電池の電気的特性を向上させることができる。実施形態5に係る有機薄膜太陽電池によれば、高い電荷輸送効率を実現できるとともに、その他の電気的特性を向上させることができる。
なお、実施形態5に係る有機薄膜太陽電池は、実施形態4に係る有機薄膜太陽電池と同様に、塗布と蒸着で製造することができ、熱に弱い樹脂基板を用いることが可能である。
〔実施例1〕
図9は、本発明の実施例1に係る有機薄膜太陽電池と従来の有機薄膜太陽電池の特性を比較した図である。横軸は電圧〔V〕、縦軸は電流密度〔mA/cm〕を示している。
実施例1に係る有機薄膜太陽電池は、実施形態4に係る有機薄膜太陽電池とほぼ同様の構成とした。具体的には、ITOを100nm成膜したガラス基板上に、PEDOT:PSS薄膜をスピンコートにて約30nm堆積させた。この基板上に、真空蒸着法により、BTQBT(100nm)/C60(100nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm)の順番で成膜して実施例1に係る有機薄膜太陽電池を作製した。また、上述の基板上に、銅フタロシアニン(100nm)/C60(100nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm)の順番で成膜して従来の有機薄膜太陽電池を作製した。作製した有機薄膜太陽電離に、ソーラーシミュレーターの疑似太陽光100mW/cmをガラス基板側から照射し、発生した光電流−電圧特性を計測した。
結果は、図9のようになり、曲線Aが実施例1に係る有機薄膜太陽電池の特性、曲線Bが従来の有機薄膜太陽電池の特性を示している。曲線Aと曲線Bを比較すると分かるように、BTQBTを用いた実施例1に係る有機薄膜太陽電池の光電流は、従来の有機薄膜太陽電池よりも増大した。このときの光−電気エネルギー変換効率は、実施例1に係る有機薄膜太陽電池が0.06%であり、従来の有機薄膜太陽電池は0.005%であった。
このように、実施例1に係る有機薄膜太陽電池は、電荷輸送効率を向上させた結果、従来の有機薄膜太陽電池よりも大幅に高効率な光−電気エネルギー変換効率を実現することができた。
〔実施例2〕
図10は、本発明の実施例2に係る有機薄膜太陽電池の特性を示した図である。図9と同様に、横軸は電圧〔V〕、縦軸は電流密度〔mA/cm〕を示している。
実施例2に係る有機薄膜太陽電池は、実施形態5に係る有機薄膜太陽電池とほぼ同様の構成とした。具体的には、ITOを100nm成膜したガラス基板上にPEDOT:PSS薄膜をスピンコートにて約30nm堆積させた後、真空蒸着法にてBTQBT:Bpy−OXD混合層(67nm)/Bpy−OXD(32nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm)の順で成膜して作製した。実施例1における説明と同様の方法により、疑似太陽下での電流−電圧特性を測定したところ、図10のような結果となり、従来のフタロシアニンを用いたデバイスよりも電流が増大した。実施例2に係る有機薄膜太陽電池の光−電気エネルギー変換効率は、0.19%と大きな値が得られた。また、実施例2に係る有機薄膜太陽電池は、実施例1に係る有機薄膜太陽電池と比較して、出力電流はあまり大きくないが、大きな出力電圧を得ることできた。
太陽電池は、光から電力を取得するものであるから、電圧が大きな出力を得ることにより、大きな電力を得ることができる。つまり、大きな電流が必要な場合は、実施例1に係る有機薄膜太陽電池を用い、大きな電圧が必要な場合には、実施例2に係る有機薄膜太陽電池を用いることができる。また、電圧と電流の積である電力の変換効率を良くしたい場合には、実施例1と実施例2に係る有機薄膜太陽電池を適宜組み合わせることにより、高効率の電力を得ることができる。
このように、用途に応じて、本実施形態に係る有機薄膜太陽電池を適宜組み合わせることができる。また、光センサ、撮像素子等の他の用途についても、上述の特性を考慮し、用途に応じた有機光電変換素子を構成することにより、用途に適した高効率の有機光電変換素子とすることができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説したが、本発明は、上述した実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
本発明は、膜状の光電変換材料を用いて構成する種々の光電変換素子に利用することができ、例えば、有機薄膜太陽電池に好適に利用することができる。
10 基板
20 第1の電極
21 透明電極
30 PEDOT:PSS層
40 光電変換層
41 有機分子
42、45 発電層
43 p型有機光電変換層
44 n型有機光電変換層
46 n型半導体層
50 LiF層
60 第2の電極
61 電極

Claims (8)

  1. 薄膜の状態で用いられる有機光電変換材料であって、
    前記薄膜内の有機分子は、前記薄膜の厚さ方向にスタッキングしていることを特徴とする有機光電変換材料。
  2. 前記有機光電変換材料は、p型有機材料であるbis−(1, 2, 5−thiadiazolo)−p−quinobis(1, 3−dithiole)を含むことを特徴とする請求項1に記載の有機光電変換材料。
  3. 前記有機光電変換材料は、n型有機材料である1, 3−bis−[2−(2, 2'−bipyridin−6−yl)−1, 3, 4−oxadiazo−5−yl]benzenを含むことを特徴とする請求項1に記載の
    有機光電変換材料。
  4. 基板と、
    該基板より上層に形成された電極と、
    該電極より上層に、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の有機光電変換材料を用いて形成された光電変換層と、を有することを特徴とする有機光電変換素子。
  5. 前記基板は、樹脂基板であることを特徴とする請求項4に記載の有機光電変換素子。
  6. 基板と、
    該基板より上層に形成された第1の電極と、
    該第1の電極より上層に、p型有機光電変換層とn型有機光電変換層とが積層して形成された発電層と、
    該発電層より上層に形成された第2の電極とを有し、
    前記p型有機光電変換層と前記n型有機光電変換層の少なくとも一方は、前記請求項1乃至3のいずれか一項に記載の有機光電変換材料を用いて形成され、
    前記基板及び前記第1の電極と、前記第2の電極の少なくとも一方は光を透過することを特徴とする有機薄膜太陽電池。
  7. 基板と、
    該基板より上層に形成された第1の電極と、
    該第1の電極より上層に形成され、p型有機光電変換材料とn型有機光電変換材料とが混合してバルクヘテロジャンクション構造を有する発電層と、
    該発電層より上層に形成された第2の電極とを有し、
    前記p型有機光電変換材料と前記n型有機光電変換材料の少なくとも一方は、前記請求項1乃至3のいずれか一項に記載の有機光電変換材料であり、
    前記基板及び前記第1の電極と、前記第2の電極の少なくとも一方は光を透過することを特徴とする有機薄膜太陽電池。
  8. 前記基板は、樹脂基板であることを特徴とする請求項6又は7に記載の有機薄膜太陽電池。
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