JP2003128675A - カンプトテシンの製造方法 - Google Patents
カンプトテシンの製造方法Info
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Abstract
等、樹脂や葉緑素の多い植物原料を用いた場合であって
も、純度の高いカンプトテシンを高収量で得る。 【解決手段】カンプトテシンを含む喜樹類からカンプト
テシンを抽出する抽出工程と、吸着工程と、非水溶性溶
媒を用いる溶解析出工程と、吸着工程と、非水溶性溶媒
を用いる溶解抽出工程とを含むカンプトテシンの製造方
法。 【効果】本発明により得られる純度の高いカンプトテシ
ンは、ガンの治療薬の製造などに有用である。
Description
医薬品の原料となるカンプトテシンを、これを含有する
植物原料から効果的に抽出精製する方法及びこれによる
カンプトテシンの製造方法に関する。
よって、喜樹から下記式1で表されるカンプトテシンが
単離された[M. E. Wall, M. C. Wani, C. E. Cook, K.
H. Palmer, A. T. McPhail, and G. A. Sim, J. Am. Ch
em. Soc., 94, 388 (1966)]。その後、カンプトテシン
は、米国のNational Cancer Institute(国立癌研究
所)において制癌効果のある薬物として薬理研究が行わ
れた。
DNA関連酵素阻害メカニズム(DNAトポイソメラー
ゼのI型を阻害するメカニズム)を有する事が発見さ
れ、新制癌剤への応用の期待が高まった。しかしなが
ら、カンプトテシンは、高い骨髄抑制という毒性を有し
ていた。その後、カンプトテシンは化学修飾が加えら
れ、毒性が低減された。1994年1月には、カンプトテシ
ン誘導体である下記式2で表されるCPT−11(塩酸
イリノテカン)が臨床試験を経て旧厚生省より認可を受
けた。このようにして、カンプトテシン誘導体は日本で
医薬品として認められることとなった。
なるカンプトテシンは、世界の亜熱帯圏に広く分布する
数種類の植物に含まれており、これら植物原料から抽出
することにより製造されている。又、カンプトテシン
は、化学合成によっても製造されている(例えば、米国
特許4,894,456号等)。
製造する場合、植物原料からカンプトテシンを抽出し、
できるだけ純度の高いカンプトテシンを収率良く得る必
要がある。しかしながら、喜樹類の成木の幹部分におけ
るカンプトテシンの含有量は、カンプトテシンを含有す
る他の植物であるクサミズキの成木の幹部分の場合と比
べた場合、明かに低い。従来、カンプトテシン抽出用に
伐採された植物原料は殆どがクサミズキの成木の幹部分
であり、そこに含まれる樹脂等の不純物の量は少なかっ
た。近年、環境保全の観点から、植物原料の栽培も行わ
れるようになり、若年木も抽出に供されるようになって
きた。若年の植物原料は皮部分が厚く、葉緑素を多く含
むとともに、樹脂が多量に含まれる。一方、喜樹の実ま
たは幼葉はカンプトテシンの含有量が高く、これを原料
とすれば、クサミズキと同程度の収量が期待できる。し
かしながら、喜樹の実は、クサミズキの成木の幹部分と
比べると樹脂分が多く、喜樹の葉は葉緑素を多く含む。
したがって、このような植物原料を用いてカンプトテシ
ンを抽出した場合、葉緑素や樹脂が不純物として混入す
る割合が多くなり、これらをカンプトテシンから取り除
くのが困難であり、その結果、クサミズキの成木の幹部
分を用いて抽出した場合と同程度のカンプトテシンの純
度及び収量を達成することが難しいという問題があっ
た。
法としては、カンプトテシンを含有する植物(例えば、
クサミズキなど)からメタノール等の水溶性溶媒を用い
て抽出する方法や、水酸化ナトリウム水溶液などのアル
カリ溶液にカンプトテシンを溶解させる方法が知られて
いる(例えば、特公平5−33955号公報)。
媒にとけにくい性質を有するためカンプトテシンをジメ
チルスルホキシドのような溶解力の強い水溶性溶剤に溶
解させる方法が知られている(例えば、特公平5−33
955号公報)。
メタノールを用いてカンプトテシンを抽出した場合、一
定のカンプトテシン濃度をもった抽出液を得ることがで
きる。しかしながら、メタノールを用いた抽出工程だけ
では高純度のカンプトテシンを単離することができない
という問題があった。また、水酸化ナトリウム水溶液な
どのアルカリ溶液にカンプトテシンを溶解させた場合、
カンプトテシンはアルカリ溶液に容易に溶解するが、カ
ンプトテシンのラクトン環が開裂するといった問題があ
った。また、ジメチルスルホキシドのような溶解力の強
い水溶性溶剤を用いれば、メタノール抽出液のカンプト
テシン吸着媒から目的とするカンプトテシンを効率よく
抽出する事が可能であるが、葉緑素や樹脂等を同時に溶
解し抽出してしまう為、その後の分離精製が困難である
という問題があった。
によって解決される。すなわち、(1)カンプトテシン
を含む喜樹類からカンプトテシンを抽出する抽出工程
と、抽出されたカンプトテシンを吸着媒に吸着させる吸
着工程と、抽出液を濃縮した液に第1の非水溶性溶媒を
投入し樹脂及び葉緑素を溶解すると共にカンプトテシン
を析出させる溶解析出工程と、析出したカンプトテシン
を吸着媒に吸着させる吸着工程と、吸着媒に吸着させた
カンプトテシンを第2の非水溶性溶媒を用いて溶解抽出
し、粗カンプトテシンを得る溶解抽出工程と、を含むカ
ンプトテシンの製造方法、(2)抽出工程において、メ
タノール又は含水メタノールを用いてカンプトテシンを
抽出する(1)に記載のカンプトテシンの製造方法、
(3)更に、得られたカンプトテシンを再結晶により精
製する精製工程を含む(1)又は(2)に記載のカンプ
トテシンの製造方法、(4)第1の非水溶性溶媒がトル
エンである(1)から(3)のいずれか1項に記載のカ
ンプトテシンの製造方法、(5)吸着媒が、セライト又
はシリカゲル、又はその混合物である(1)から(4)
のいずれか1項に記載のカンプトテシンの製造方法、
(6)更に、活性炭を用いてろ過するろ過工程を含む、
(1)から(5)のいずれか1項に記載のカンプトテシ
ンの製造方法、(7)第2の非水溶性溶媒が、トルエン
または、メタノールのいずれか又は両方を含む液である
(1)から(6)のいずれか1項に記載のカンプトテシ
ンの製造方法、(8)第2の非水溶性溶媒に含まれるメ
タノール対トルエンの容量割合が、1:9から8:2で
ある(7)に記載のカンプトテシンの製造方法、(9)
第2の非水溶性溶媒に含まれるメタノール対トルエンの
容量割合が、2:8から5:5である(7)に記載のカ
ンプトテシンの製造方法、(10)第1の非水溶性溶媒
が、石油系炭化水素である(1)から(6)のいずれか
1項に記載のカンプトテシンの製造方法、(11)第1
の非水溶性溶媒が、トルエンである(1)から(6)の
いずれか1項に記載のカンプトテシンの製造方法、(1
2)第2の非水溶性溶媒が、ハロゲン化アルキルである
(1)から(6)のいずれか1項に記載のカンプトテシ
ンの製造方法、(13)第2の非水溶性溶媒が、メチレ
ンクロライドである(1)から(6)のいずれか1項に
記載のカンプトテシンの製造方法、(14)カンプトテ
シンを含む喜樹類から非水溶性溶媒を用いてカンプトテ
シンを抽出する工程を含むカンプトテシンの製造方法、
によって解決される。
カンプトテシンの製造方法のひとつは、原料を破砕した
後、カンプトテシンを含む喜樹類からカンプトテシンを
抽出する抽出工程と、抽出されたカンプトテシンを吸着
媒に吸着させる吸着工程と、抽出液を濃縮した液に第1
の非水溶性溶媒を投入し樹脂及び葉緑素を溶解すると共
にカンプトテシンを析出させる溶解析出工程と、析出し
たカンプトテシンを吸着媒に吸着させる吸着工程と、吸
着媒に吸着させたカンプトテシンを第2の非水溶性溶媒
を用いて溶解、抽出し、これを濃縮して粗カンプトテシ
ンを得る溶解抽出工程と、当該工程により得られた粗カ
ンプトテシンを再結晶することにより精製するカンプト
テシン精製工程とを含む。
の原料としては、例えば、喜樹類(Camptotheca acumina
ta, Nyssaceae又は、Camptotheca acuminata Decne, Ny
ssaceae)等のカンプトテシンを含む植物が挙げられる
が、カンプトテシンを含むものであれば限定されない。
本明細書において、喜樹類には、カンレンボクやキジュ
のいずれか又はそれらの両方を意味する場合がある。カ
ンプトテシンを抽出する植物原料としては、生育の早い
喜樹類が好ましく、更に、元の木を残して収穫可能な喜
樹類の実、小枝及び葉の生の状態又は乾燥した状態のい
ずれかが特に好ましい。
のうちでも乾燥した喜樹類の実からカンプトテシンを製
造する場合に特に好適に用いられる。例えば、本発明
は、成長した喜樹が開花した後、形成され成熟した実な
どは勿論のこと、発芽してから1年程度の幼木の全てか
らカンプトテシンを抽出するのに好適に用いることがで
きる。成熟した喜樹類の実、又は、喜樹類の幼木の小枝
及び葉は、樹脂や葉緑素を比較的多く含んでいるが、こ
のような場合に本発明は特に有効に用いられるのであ
る。
して製造されてもよい。カンプトテシンの塩としては、
カンプトテシンのナトリウム塩、カリウム塩やカンプト
テシンのテトラアルキルアンモニウム塩が含まれる(例
えば、特許1888404号)。
抽出してもよいが、抽出効率を上げるため、原料は細か
く破砕されていることが好ましい。
プトテシンが抽出される。この際に用いられる溶液とし
ては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノー
ル、ブタノールなどのアルコール類、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、メシチレン、クメンなどの芳香族炭化水
素類、フェノール、ベンジルアルコールなどの芳香族ア
ルコール、メチレンクロライドなどのハロゲン化アルキ
ルが挙げられるが、カンプトテシンを溶解するものであ
れば限定されない。当該溶液としてトルエンやメチレン
クロライドなどの非水溶性溶媒を用いてもよい。これら
は、単独で用いられてもよいし、2種類以上を混合して
用いてもよい。これらのうちで、メタノール、トルエ
ン、メチレンクロライドが入手容易であり、しかもカン
プトテシンをよく溶解するため好ましい。原料からカン
プトテシンを抽出する際は、不純物が比較的多く含まれ
るため、入手容易かつ安価なメタノールが特に好まし
い。
ンを含むメタノール抽出液の濃縮液に投入することによ
ってカンプトテシンを析出させ、これをセライトに吸着
させる働きがある。反対に、メタノールと混合した沸騰
状態でのトルエンはカンプトテシンが吸着したセライト
からカンプトテシン溶解し分離する働きがある。トルエ
ンは、常温で単独で使用した場合は、葉緑素及び樹脂を
溶解したままカンプトテシンを析出させるためカンプト
テシンの分離に好ましく用いられ、メタノールとトルエ
ンの混合溶媒はその沸点においてカンプトテシンを極め
て良く溶解するので、カンプトテシンの抽出又は再結晶
の溶解に好ましく用いられる。一方、メチレンクロライ
ドは常温においてもカンプトテシンを溶解するので、ト
ルエンの場合の様に、メチレンクロライドを用いてカン
プトテシンを含むメタノール抽出液の濃縮液からカンプ
トテシンを析出させることはできない。
メチレンクロライドの樹脂溶解性、それぞれに対するカ
ンプトテシン(CPT)溶解度、それぞれのメタノール
との混合能、およびそれぞれの沸点を示す。表1から、
メタノール以外の溶液としては、トルエンとメチレンク
ロライドが好ましいことがわかる。さらに、メチレンク
ロライドは、樹脂を溶解させずに、カンプトテシンを溶
解するという優れた効果を有することがわかる。
度としては、抽出に用いられる溶液にもよるが、例えば
メタノールを用いた場合は、10℃から60℃が好まし
く、30℃から55℃であれば更に好ましい。その理由
は、低温で抽出を行うとカンプトテシンの溶解量がすく
なく、高温で行うと、樹脂等のカンプトテシン以外の不
純物を多く抽出する。更に、植物原料に予め水分を持た
せることにより、結果的に抽出工程におけるメタノール
の含水量が10から30容量%の範囲内にあるのが好ま
しい。
れをろ過することが好ましい。ろ液にはカンプトテシン
が溶解している。この際、ろ過ケークにもカンプトテシ
ンが残されているので、ろ過ケークから再度カンプトテ
シンを抽出し、ろ液を集めることも本発明の好ましい実
施の態様である。
減圧するなどして溶媒を蒸発させ、カンプトテシンの濃
度を上昇させることが好ましい。カンプトテシンの濃度
が高まると、カンプトテシンの微細結晶が析出してく
る。同時に葉緑素及び樹脂も析出してくるので、その際
に、カンプトテシンは溶解せず、葉緑素及び樹脂を溶解
する石油系炭化水素を投入するのが良い。この目的に
は、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、ト
ルエン等の非水溶性溶媒が使用できるが、沸点、作業環
境の問題、更にその後の工程での使用を考えると、トル
エンが好ましい。トルエンの投入により、その後、吸着
媒を混入することによって、カンプトテシンを吸着媒に
選択的に吸着させることが可能となる。この場合、メチ
レンクロライド等のハロゲン化アルキルはトルエンと同
様に非水溶性溶媒ではあるが、常温でカンプトテシンを
溶解するので、カンプトテシンを析出させる溶媒として
は必ずしも適さない。
媒としては、カンプトテシンを選択的に吸着するものが
好ましく、例えば、シリカゲル、活性炭、活性白土、ゼ
オライト、吸着クロマトグラフィー、セライトを好適に
用いることができるが、カンプトテシンを吸着すること
ができるものであれば限定されない。これらのなかで
も、セライトは特に好ましい吸着媒である。
媒ごと非水溶性溶媒に入れることにより再び溶液中に溶
出する。吸着媒に吸着したカンプトテシンを溶出させる
ために用いられる非水溶性溶媒としては、カンプトテシ
ンを溶出することができる溶液であれば限定されず、先
に掲げた溶液を用いることができる。これらの中では、
メチレンクロライド、沸騰時のトルエン、及びこれらと
メタノールの混合溶液を好適に用いることができる。
させるために用いられる溶液]特に若い時期に伐採した
クサミズキは、樹脂の含有量が多く、メタノールのみを
用いてカンプトテシンを抽出した場合、当該樹脂が多く
溶解するため、得られるカンプトテシンの純度が低くな
る。このため吸着媒に吸着したカンプトテシンを溶出さ
せるために用いられる第2の非水溶性溶媒としては、メ
タノール単独だけではなく、メチレンクロライド及び/
又は沸騰時のトルエン並びにこれらとメタノールの混同
溶液が好適に用いられるのである。ただし、メチレンク
ロライドは、いわゆる環境ホルモンとして特定され、そ
の排水中の規制限度値は0.2mg/L以下という厳し
い規定が設けられている。このため、メチレンクロライ
ドを用いると、特別な廃液処理を施さなくてはならない
ため必ずしも低コストが実現できない。したがって、沸
騰時のトルエン又は沸騰時のトルエンとメタノールの混
合溶液が、吸着媒に吸着したカンプトテシンを溶出させ
るために用いられる溶液として最も好ましい。
し、トルエン自体又はメタノール自体とは異なった性質
を示す。特に、カンプトテシンを溶解する能力はそれぞ
れ単独の場合と、混合した場合とで顕著に変化する。表
2に、20℃(実線)と70℃(破線)における、トルエン
とメタノールの重量比と溶解するカンプトテシン(CP
T)の量を示す。
度はメタノールとトルエンの混合の比率によって、大き
く変化するが、メタノールとトルエンの混合液に含まれ
るメタノールの量は、特に限定されるものではなく、メ
タノール対トルエンの容積割合としては、1:9から
8:2であることが好ましく、2:8から5:5であれ
ば更に好ましく、3:7であれば特に好ましい。メタノ
ール対トルエンの容積割合が3:7の混合液では、常温
(20℃)と沸騰時(70℃)とでカンプトテシンの溶
解度に、2倍の差がある。例えば、この系の70℃にお
けるカンプトテシン溶解度は、メチレンクロライドを用
いた場合よりも高い。すなわち、吸着媒に吸着したカン
プトテシンを溶出させるために用いられる溶液として、
沸騰時のトルエンとメタノールの混合液が特に好ましい
ことがわかる。
ールとトルエンの混合液で溶出させた後は、ろ過を施
し、放置冷却や撹拌冷却することによりカンプトテシン
を晶析させることが好ましい。ろ液中のメタノールを蒸
発させ、ろ液を濃縮した後にカンプトテシンを晶析させ
ることは本発明の好ましい実施の態様である。この場合
のメタノール濃縮割合は、メタノール対トルエンの容積
割合が1:9程度とすることが好ましい。このようにし
て得られた粗カンプトテシンとしては、カンプトテシン
含有量が85重量%以上のものであることが好ましい。
カンプトテシン含有量が、85重量%より少なければ、
その後の再結晶による工程で結晶を精製しても好ましい
カンプトテシンを製造することが困難になるからであ
る。
トテシンは、例えば再結晶を施すことによって精製され
ることが好ましい。再結晶に用いられる溶液としては、
カンプトテシンを溶解し、温度によってカンプトテシン
の溶解量が変化するものであれば限定されない。熱時に
はカンプトテシンを良く溶解し、冷時はカンプトテンシ
ンを析出させるが、樹脂や不純物は依然として溶解して
いる溶媒組成が特に好ましい。このような観点から、再
結晶に用いられる溶液としては、メタノールとトルエン
の混合溶液が好ましい。
ち、樹脂は常温のトルエンで溶解される。しかしなが
ら、カンプトテシン類縁化合物は、常温のトルエンに溶
解しにくい。一方、これらカンプトテシン類縁化合物は
メタノールとトルエンの混合溶液には溶解する。樹脂や
カンプトテシン類縁化合物を除去するためには、樹脂や
カンプトテシン類縁化合物を、好ましくはメタノール対
トルエンの容積割合が3:7の混合溶液に、カンプトテ
シンとともに熱時溶解させた後、ろ過して得たろ過液を
濃縮し、メタノールを溜去してカンプトテシンを析出さ
せ分離するが、その際に、ある程度のメタノールが残っ
ており、樹脂及びカンプトテシン類縁化合物が溶液に溶
解した状態であることが望ましい。
るが、常温において、カンプトテシンのように限定され
た割合でのメタノールとトルエンの混合液ではなく、メ
タノール又はトルエン単独の溶液に近い割合の場合に比
較的よく溶解する。したがって、カンプトテシン類縁化
合物を除去しつつ、カンプトテシンの回収率を上げるた
めには、表2からわかるように、カンプトテシン析出時
の溶液ができるだけメタノール又はトルエン単独の溶媒
に近い状態となっていることが好ましい。メタノール又
はトルエンは沸点や溶解する物質の量が異なっているの
で、これらの混合比を蒸発等で制御することによって、
効果的にカンプトテシンを回収することができる。
きメタノールの量は、粗カンプトテシンに含まれるカン
プトテシン類縁化合物の種類と量に比例すると考えられ
る。例えば、喜樹類を原料植物とする粗カンプトテシン
に含まれるカンプトテシン類縁化合物の量がx重量%の
ときには、カンプトテシン析出終了時のトルエンとメタ
ノール溶液中のトルエンの量としては、x重量%から1
0x重量%が好ましく、2x重量%から5x重量%であ
ればより好ましく、2.5x重量%から4x重量%であれ
ば更に好ましい。このように、最終濃縮液に含まれるト
ルエンの割合を制御することによって、カンプトテシン
に含まれるカンプトテシン類縁化合物の含有量を低下さ
せることができる。
純物としては、糖質がある。糖質はトルエンに比較的溶
解しにくいため、粗カンプトテシンに糖質が多量に含ま
れている場合等は、再結晶における粗カンプトテシン溶
解時等において、これらの不純物を吸着する吸着媒を再
結晶工程の熱時溶解溶液に添加すればよい。このような
吸着媒としては、活性炭が好ましい。
行われることは、本発明の好ましい別の実施態様であ
る。このように再結晶工程及び/又はろ過工程を繰り返
すことで、精製されるカンプトテシンの純度が高まりよ
り好ましいカンプトテシン結晶を得ることが可能とな
る。
発明は以下の実施例に限定されない。
た喜樹の枝付きの葉を7日間影干しした原料を2〜3mm
φのスクリーンを装着した破砕機で破砕し、得られた水
分が17%の50Kgの破砕物をステンレス製800L
抽出機に投入し、99%以上のメタノール500Lを投
入し、50℃に加温しつつ6時間抽出を行った。 得ら
れたメタノール抽出液をろ過し、1次抽出液を分離し
た。分離後の残さに、新たに99%以上のメタノールを
100L投入し2次抽出液を得た。全てのメタノール抽
出液を、50Lエバポレ−タ濃縮装置を用いて、減圧下で
濃縮した。この濃縮液に1Kgのセライトを加え、更に
1Lのトルエンを投入し、30分間攪拌したのち、減圧
濾過してカンプトテシンが吸着したセライトを分離し
た。
テシンが吸着したセライトを、ガラス製コンデンサーを
付けた300Lのグラスライニング製加熱攪拌機に予め
100Lのメチレンクロライドを投入した中に投入し、
攪拌しながら加熱した。1時間後、加圧ろ過し、抽出液
からセライトを分離し、得られた抽出液を50Lエバポ
レ−タ濃縮装置を用いて、減圧下で濃縮した後、20℃
にまで冷却し、析出した粗カンプトテシンをろ過し、1
Lのメチレンクロライドで洗浄した。洗浄した粗カンプ
トテシンを6時間減圧乾燥し、メチレンクロライドを蒸
発させ、カンプトテシン含量85 %以上の粗カンプトテ
シンを31.9gを得た。
メチレンクロライドとメタノール混合液(容量比4:1)
を5L加え、攪拌しつつ、先に得られた30gの粗カン
プトテシンを投入した。この粗カンプトテシン溶解液を
セライトを50gを用いてろ過し、不溶物を分離した。
得られたろ液を10Lエバポレ−タ濃縮装置を用いて、
減圧下、メチレンクロライドとメタノールを留去して濃
縮した後、メタノールを投入して得られた析出物をろ集
した。この再結晶工程で得られた結晶をメタノールで洗
浄後、再び5Lのメチレンクロライドとメタノール混合
液(容量比4:1)に攪拌下投入し、溶解・ろ過した液を
濃縮し、メタノールの投入を繰り返して濃縮した。析出
物をろ集し、メタノールを用いて析出物を洗浄し、減圧
乾燥して精製結晶を18.5g得た。得られた精製結晶
の品質はカンプトテシン含量が98.2 %以上であっ
た。
実(乾燥減量11%)を、2〜3mmφのスクリーンを装着
した破砕機で破砕し、得られた破砕物をガラス製50L
フラスコに投入し、1.7Lの水を散水投入し一時間放置
した後、99%以上のメタノールを17L投入し、50
℃に加温しつつ60分間攪拌し抽出を行った。 得られ
たメタノール抽出液をろ過し、1次抽出液を分離した。
分離後の残さに、新たに99%以上のメタノールを1L
投入し2次抽出液を得た。全てのメタノール抽出液を、
10Lエバポレ−タ濃縮装置を用いて、減圧下で濃縮し
た。この濃縮液にトルエン1L及び1Kgのセライトを
加え、30分間攪拌したのち、減圧濾過してカンプトテシン
が吸着したセライトを分離した。
トテシン吸着セライトをガラス製10Lフラスコに投入
し、これに3.5Lのトルエンと1.6Lのメタノール
を投入し、攪拌しつつ加熱した。抽出液をろ紙を引いた
ろ過器に投入し、加温しつつ減圧ろ過した。 得られた
ろ液を10Lエバポレ−タ濃縮装置で濃縮し、濃縮装置
内に析出した結晶にメタノール3Lを投入して洗浄し、
減圧乾燥器で乾燥し、120.2gの粗カンプトテシン
を得た。得られた粗カンプトテシンのカンプトテシン
(CPT)含有量は、85重量%以上であった。
00gの粗カンプトテシンと、活性炭25gをガラス製
10Lフラスコに投入し、これに3.5Lのトルエンと
1.6Lのメタノールを投入し、攪拌しつつ加熱した。
抽出液をろ紙を引いたろ過器に投入し、加温しつつ減圧
ろ過した。 得られたろ液を10Lエバポレ−タ濃縮装
置で濃縮した。濃縮装置内に析出した結晶にメタノール
1Lを投入して洗浄し、減圧乾燥器で乾燥し、84.9
gの精製結晶を得た。得られた精製結晶のカンプトテシ
ン(CPT)含有量は、98.5重量%以上であった。
また、得られた精製結晶には、不純物であるカンプトテ
シン類縁化合物は、いずれも0.6重量%以下であり、
不純物の少ないカンプトテシンが得られたことがわか
る。
樹類の幼木の小枝及び葉等、樹脂や葉緑素の多い植物原
料を用いた場合であっても、純度の高いカンプトテシン
を高収量で得ることが可能となる。
合溶液を用いてカンプトテシンを抽出した場合は、メチ
レンクロライドに見られるような環境上の問題もないの
で、環境保全のための特段の工程を必要とするといった
不都合も無く、効果的にカンプトテシンを得ることがで
きる。また、本発明によれば、トルエン、メタノール混
合溶液の混合割合を制御することによってカンプトテシ
ン類縁化合物等のカンプトテシン製造時に含まれる不純
物を容易に除去することが可能となる。
シンを抽出することで、カンプトテシンを含む植物原料
の実又は葉からも効果的にカンプトテシンを得ることが
可能となる。
で、粗カンプトテシンに含まれる糖質を効果的に除去
し、純度の高いカンプトテシンを高収量で得ることがで
きる。
Claims (14)
- 【請求項1】カンプトテシンを含む喜樹類からカンプト
テシンを抽出する抽出工程と、 抽出されたカンプトテシンを吸着媒に吸着させる吸着工
程と、抽出液を濃縮した液に第1の非水溶性溶媒を投入
し樹脂及び葉緑素を溶解すると共にカンプトテシンを析
出させる溶解析出工程と、 析出したカンプトテシンを吸着媒に吸着させる吸着工程
と、 吸着媒に吸着させたカンプトテシンを第2の非水溶性溶
媒を用いて溶解抽出し、粗カンプトテシンを得る溶解抽
出工程と、を含むカンプトテシンの製造方法。 - 【請求項2】抽出工程において、メタノール又は含水メ
タノールを用いてカンプトテシンを抽出する請求項1に
記載のカンプトテシンの製造方法。 - 【請求項3】更に、得られたカンプトテシンを再結晶に
より精製する精製工程を含む請求項1又は2に記載のカ
ンプトテシンの製造方法。 - 【請求項4】第1の非水溶性溶媒がトルエンである請求
項1から3のいずれか1項に記載のカンプトテシンの製
造方法。 - 【請求項5】吸着媒が、セライト又はシリカゲル、又は
その混合物である請求項1から4のいずれか1項に記載
のカンプトテシンの製造方法。 - 【請求項6】更に、活性炭を用いてろ過するろ過工程を
含む、請求項1から5のいずれか1項に記載のカンプト
テシンの製造方法。 - 【請求項7】第2の非水溶性溶媒が、トルエンまたは、
メタノールのいずれか又は両方を含む液である請求項1
から6のいずれか1項に記載のカンプトテシンの製造方
法。 - 【請求項8】第2の非水溶性溶媒に含まれるメタノール
対トルエンの容量割合が、1:9から8:2である請求
項7に記載のカンプトテシンの製造方法。 - 【請求項9】第2の非水溶性溶媒に含まれるメタノール
対トルエンの容量割合が、2:8から5:5である請求
項7に記載のカンプトテシンの製造方法。 - 【請求項10】第1の非水溶性溶媒が、石油系炭化水素
である請求項1から6のいずれか1項に記載のカンプト
テシンの製造方法。 - 【請求項11】第1の非水溶性溶媒が、トルエンである
請求項1から6のいずれか1項に記載のカンプトテシン
の製造方法。 - 【請求項12】第2の非水溶性溶媒が、ハロゲン化アル
キルである請求項1から6のいずれか1項に記載のカン
プトテシンの製造方法。 - 【請求項13】第2の非水溶性溶媒が、メチレンクロラ
イドである請求項1から6のいずれか1項に記載のカン
プトテシンの製造方法。 - 【請求項14】カンプトテシンを含む喜樹類から非水溶
性溶媒を用いてカンプトテシンを抽出する工程を含むカ
ンプトテシンの製造方法。
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JP2001326030A JP4136355B2 (ja) | 2001-10-24 | 2001-10-24 | カンプトテシンの製造方法 |
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---|---|---|---|---|
JP2011506496A (ja) * | 2008-03-14 | 2011-03-03 | 浙江林学院 | 殺虫剤組成物溶液及びその製造方法 |
CN105272990A (zh) * | 2014-07-15 | 2016-01-27 | 中山大学 | 一种从马比木中提取分离喜树碱的方法 |
-
2001
- 2001-10-24 JP JP2001326030A patent/JP4136355B2/ja not_active Expired - Fee Related
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