JP2003128544A - バイオモジュレーションされた多粒子製剤 - Google Patents

バイオモジュレーションされた多粒子製剤

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JP2003128544A JP2002258464A JP2002258464A JP2003128544A JP 2003128544 A JP2003128544 A JP 2003128544A JP 2002258464 A JP2002258464 A JP 2002258464A JP 2002258464 A JP2002258464 A JP 2002258464A JP 2003128544 A JP2003128544 A JP 2003128544A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】アトルバスタチンカルシウムの生物学的利用能
を、多粒子製剤からのその放出速度をモジュレーション
することによって調整する手段、およびモジュレーショ
ンされた放出速度を有する、アトルバスタチンカルシウ
ム、および炭酸カルシウム以外の薬学的に許容しうる担
体、希釈剤または賦形剤を含む多粒子製剤、特に、錠剤
およびカプセル剤を提供する 【解決手段】適切な量の適当なバイオモジュレーターを
用いることにより、活性剤の放出速度および生物学的利
用能を最適化することが可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アトルバスタチン
カルシウム(atorvastatin calcium)の生物学的利用能
を、多粒子製剤からのその放出速度をモジュレーション
することによって調整する手段、およびモジュレーショ
ンされた放出速度を有する多粒子製剤、特に、錠剤およ
びカプセル剤に関する。
【0002】
【従来の技術】アトルバスタチンカルシウムは、血中脂
肪低下薬および/または血中コレステロール低下薬とし
て有用である強力な脂質低下活性を有するHMG−Co
A選択的競合阻害剤である。それは、欧州特許第040
9281号の主題であり、現在、‘LipitorTM’という
名称で販売されている。
【0003】欧州特許第0680320号は、高脂血症
および高コレステロール血症の経口処置用の医薬組成物
であって、いずれの分解性または加工環境からもその活
性薬を保護するように、更には、貯蔵中の光化学分解か
らそれを守るように設計された少なくとも一つの薬学的
に許容しうる金属塩添加剤およびアトルバスタチンカル
シウムを含む医薬組成物を記載している。この目的に特
に好ましい添加剤は、炭酸カルシウムである。このよう
な組成物は、典型的に、1%〜50%w/wのアトルバ
スタチンカルシウムおよび5%〜50%w/wの炭酸カ
ルシウムを含み、散剤、錠剤、分散性顆粒剤、カプセル
剤またはカシェ剤の形であってよい。この欧州特許で
は、アトルバスタチンカルシウムの放出速度を、つまり
その生物学利用能を変化させるバイオモジュレーターと
して作用する薬学的に許容しうる金属塩添加剤について
は言及されていない。
【0004】‘バイオモジュレーター’という用語は、
活性剤の放出速度への作用を有し、したがってその生物
学的利用能を調節するのに用いることができる、製剤中
で用いられる物質を意味する。バイオモジュレーター
は、正の作用を有することがあり、すなわちそれらの存
在は、活性剤の放出速度を増加、つまりその生物学的利
用能を増加させるのに役立ちうる。あるいは本発明の場
合のように、それらは、それらの存在が活性剤の放出速
度を低下、つまり生物学的利用能を抑制する負の作用を
有することがありうる。適切な量の適当なバイオモジュ
レーターを用いることにより、活性剤の放出速度および
生物学的利用能を最適化することが可能である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】欧州特許第06803
20号の非多粒子製剤の場合、薬学的に許容しうる金属
塩添加剤の存在は、その含有量を増加させることが、ア
トルバスタチンカルシウムの放出速度および生物学的利
用能を増加させるのに役立つという正のバイオモジュレ
ーション作用を有することが判明している。残念なが
ら、炭酸カルシウム含有量を減少させることの安定性へ
の効果により、このような製剤中でのバイオモジュレー
ターとしての炭酸カルシウムの使用量は減少させられ
る。言い換えると、アトルバスタチンカルシウムの生物
学的利用能は、安定性を考慮して最大化されることにな
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】驚くべきことに、本発明
者は、ここで、非多粒子製剤とは対照的に、アトルバス
タチンカルシウムおよび炭酸カルシウムを含む多粒子製
剤が、比較的低い放出速度および生物学的利用能を有す
るということを発見した。もう一方において、炭酸カル
シウムを欠いた製剤は、安定であるのみならず、炭酸カ
ルシウムを含有する非多粒子製剤、例えば、商業的に入
手可能な錠剤と極めて類似した放出速度および生物学的
利用能を示す。したがって、炭酸カルシウムは、バイオ
モジュレーターとしてなお挙動しているが、非多粒子製
剤で認められるのとは逆であり意外である。多粒子製剤
と非多粒子製剤との間の炭酸カルシウム挙動のこの二分
性は、まだ充分に説明できていない。
【0007】本発明の多粒子製剤を用いると、安定性を
維持することも、アトルバスタチンカルシウムが放出さ
れる速度をモジュレーションすることも、炭酸カルシウ
ムの添加を調整することによって可能である。炭酸カル
シウムの正確な量の賢明な包含により、先行技術に記載
の非粒子製剤の場合より小さい放出速度、および患者の
要求に具体的に適する生物学的利用能を有する製剤を初
めて提供することが可能である。言い換えると、本発明
による多粒子製剤を用いることにより、アトルバスタチ
ンカルシウムの放出速度および生物学的利用能を、処置
を受けている特定の患者に最適化することができる。
【0008】したがって、本発明により、アトルバスタ
チンカルシウムの生物学的利用能を、多粒子製剤からの
その放出速度をモジュレーションすることによって調整
する手段を提供する。具体的には、(a)CaCO3
含有する非多粒子製剤に匹敵する生物学的利用能を有す
る多粒子製剤であって、アトルバスタチンカルシウム、
および炭酸カルシウムではない薬学的に許容しうる担
体、希釈剤または賦形剤を含む多粒子製剤、および
(b)最適化された生物学的利用能を有する多粒子製剤
であって、バイオモジュレーターを更に含む多粒子製剤
を提供する。本発明の目的に好ましいバイオモジュレー
ターは、炭酸カルシウムである。高脂血症および高コレ
ステロール血症の処置用の薬剤としての両製剤の使用も
提供する。
【0009】本発明による錠剤は、炭酸カルシウム、第
二リン酸カルシウム、グリシン、ラクトース、マンニト
ール、微結晶性セルロース、クエン酸ナトリウムおよび
デンプン(好ましくは、トウモロコシ、バレイショまた
はタピオカデンプン)のような担体、クロスカルメロー
スナトリウム、ナトリウムデンプングリコラートおよび
若干のケイ酸塩のような崩壊剤、およびアラビアゴム、
ベントナイト、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロー
ス、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPM
C)、ポリビニルピロリドン、ソルビトール、スクロー
スおよびトリグリセリドのような造粒結合剤を含有して
よい。ベヘン酸グリセリン、ステアリン酸マグネシウ
ム、PEG、ステアリン酸およびタルクのような滑沢
剤、ラウリル硫酸ナトリウムのような湿潤剤、酸化防止
剤、着色剤、着香剤および保存剤も含有してよい。
【0010】本発明の錠剤は、いずれの標準法によって
も、例えば、直接打錠、造粒(湿式、乾式または溶
融)、溶融凝固および押出によって製造することができ
る。錠剤コアは、単層または多層であってよく、コーテ
ィングされていてよいしまたはコーティングされないま
まであってよい。
【0011】類似した組成物を、本発明のカプセル剤中
の充填剤として用いてよい。ゼラチン、HPMCおよび
デンプンのカプセルは、この目的に特に適している。好
ましい担体には、セルロース、高分子量ポリエチレング
リコール、ラクトースおよびデンプンが含まれる。
【0012】
【実施例】本発明による多粒子製剤の製造に適した均一
にブレンドされた材料は、実施例に記載のいずれかの方
法によって得ることができる。得られた材料を押し出
し、球状にしてペレットを生じ、これをカプセル中に充
填してよいしまたは圧縮して錠剤にしてよい。
【0013】実施例1(比較例) 10%アトルバスタチンカルシウム、30%CaC
3、アビセル(Avicel)PH101/ラクトース11
0M(1:1)および5%AcDiSolを含むアトル
バスタチンカルシウム多粒子製剤の製造プロトコール 常套のブレンド/スクリーン法を用いた。それら成分を
適当な容器中に直接的に秤量し、Turbula ミキサーを用
いて15分間ブレンドした。得られたブレンドを、50
0μmメッシュ篩を介して篩い分けした。ブレンドおよ
びスクリーンを繰り返した後、最後の15分ブレンドを
行った。
【0014】ブレンドの均一性をHPLCによって調
べ、98〜102%の強さ%(potency %)を
RSD<5%で得た。そのブレンドを、水または0.1
Mトリス緩衝溶液で、圧縮しつつブレンドが完全に破壊
するまで湿式集合させた。次に、それを、小規模押出機
(Caleva Model 15)中に徐々に供給し、押出物を集
めた。その押出物を、約600rpmで5〜10分間球
状にした(Caleva Model250)。得られたペレットを
トレーに移し、オーブン中において50℃で一晩乾燥さ
せた。最後に、これらペレットを、カプセル中に充填す
るかまたは圧縮して錠剤にすることができる。
【0015】錠剤は、約10%のタップ密度(tap
density)を有し、約97%が500〜1200
μmのサイズ範囲内であった。結果 アトルバスタチンカルシウムの多粒子系からの放出プロ
フィールを、二つの方法によって評価した: (a)放出速度 沈下条件(sink conditions)においてリン酸緩衝液を
pH6.8で用いて、アトルバスタチンカルシウムの多
粒子からの放出%を決定する薬局方方法: バスケット:100rpm 基剤:10M水酸化カリウムを用いてpH6.8に調整
された0.05Mオルトリン酸二水素カリウム(900
ml/容器) 温度:37℃ 路長:1cm 波長:244nm E1 1:399 試料重量:カプセル剤中の400mg 結果:15分以内に約100%放出された。
【0016】(b)生体内利用率等価性 酢酸緩衝液をpH4.5で用いて、アトルバスタチンカ
ルシウムの生体内利用率等価性製剤と非生体内利用率等
価性製剤とを区別する非沈下法: パドル:50rpm 基剤:HClを用いてpH4.5に調整された0.05
M酢酸ナトリウム(500ml/容器) 温度:37℃ 路長:1cm 波長:244nm E1 1:399 試料重量:カプセル剤中の400mg結論 図1および2に示されるように、実施例1のCaCO3
含有多粒子製剤の放出プロフィールは、CaCO3含有
錠剤の場合よりもかなり劣っていた、すなわち、実施例
1のCaCO3含有多粒子製剤は、先行技術によるCa
CO3含有錠剤に生体内利用率等価性ではなかった。
【0017】実施例2 10%アトルバスタチンカルシウム、Avicel PH10
1/ラクトース110M(1:1)および15%AcD
iSolを含むアトルバスタチンカルシウム多粒子製剤
の製造プロトコール 実施例2の多粒子製剤を、実施例1の方法にしたがって
製造した。CaCO3不含ブレンドは、実施例1のCa
CO3含有ブレンドよりも容易に押出/球状化されるこ
とが判明した。
【0018】結果 前記のように、アトルバスタチンの多粒子からの放出プ
ロフィールを、実施例1に記載の方法を用いて評価し
た。
【0019】結論 図3および4に示されるように、実施例2のCaCO3
不含多粒子製剤の放出プロフィールは、CaCO3含有
錠剤の場合に極めて類似していた。すなわち、実施例2
のCaCO3不含多粒子製剤は、先行技術によるCaC
3含有錠剤に生体内利用率等価性であることが判明し
た。
【0020】要旨 実施例1のCaCO3含有多粒子製剤は、押出/球状化
することが難しく、低いアトルバスタチンカルシウム放
出速度を示し(10分後に約40%だけ)、CaCO3
含有錠剤に対し生体内利用率等価性ではなかった。Ca
CO3成分を省くことにより(実施例2)、意外にも、
市販のCaCO3含有錠剤の場合に極めて類似した放出
速度および生体内利用率等価性を有する多粒子製剤を生
じることが可能であることが判明した。したがって、実
施例2の多粒子製剤中に適切な量のCaCO3を含むこ
とにより、個々の患者の要求に適合するようにアトルバ
スタチンカルシウムの放出速度および生体内利用率等価
性を減少させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1のCaCO3含有多粒子製剤
と、30重量%のCaCO3を含有する市販の錠剤 Lipi
torTM との間の放出速度の相違を示す。
【図2】図2は、実施例1のCaCO3含有多粒子製剤
と、30重量%のCaCO3を含有する市販の錠剤 Lipi
torTM との間の生体内利用率等価性の相違を示す。
【図3】図3は、実施例2のCaCO3不含多粒子製剤
および30重量%のCaCO3を含有する市販の錠剤 Li
pitorTM の放出速度の類似性を示す。
【図4】図4は、実施例2のCaCO3不含多粒子製剤
および30重量%のCaCO3を含有する市販の錠剤 Li
pitorTM の生体内利用率等価性の類似性を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 3/06 A61P 3/06 C07D 207/34 C07D 207/34 Fターム(参考) 4C069 AC05 AC06 BB02 BB12 BD02 BD06 4C076 AA32 AA36 AA53 BB01 CC11 DD25B DD26 DD67 EE32 FF06 4C086 AA01 BC05 MA01 MA05 MA35 MA37 MA52 NA14 ZC35

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アトルバスタチンカルシウム、および炭
    酸カルシウム以外の薬学的に許容しうる担体、希釈剤ま
    たは賦形剤を含む多粒子製剤。
  2. 【請求項2】 製剤が、バイオモジュレーターを更に含
    む請求項1に記載の多粒子製剤。
  3. 【請求項3】 前記バイオモジュレーターが炭酸カルシ
    ウムである請求項2に記載の多粒子製剤。
  4. 【請求項4】 製剤が、錠剤またはカプセル剤の形であ
    る請求項1〜3のいずれかに記載の多粒子製剤。
  5. 【請求項5】 薬剤として用いるための請求項1〜4の
    いずれかに記載の多粒子製剤。
  6. 【請求項6】 薬剤の製造におけるアトルバスタチンカ
    ルシウムの使用であって、該薬剤が、高脂血症の処置に
    おける経口投与用の多粒子製剤の剤形である、該使用。
  7. 【請求項7】 薬剤の製造におけるアトルバスタチンカ
    ルシウムの使用であって、該薬剤が、高コレステロール
    血症の処置における経口投与用の多粒子製剤の剤形であ
    る、該使用。
  8. 【請求項8】 薬剤の製造におけるバイオモジュレータ
    ーと組み合わされたアトルバスタチンカルシウムの使用
    であって、該薬剤が、高脂血症の処置における経口投与
    用の多粒子製剤の剤形である、該使用。
  9. 【請求項9】 薬剤の製造におけるバイオモジュレータ
    ーと組み合わされたアトルバスタチンカルシウムの使用
    であって、該薬剤が、高コレステロール血症の処置にお
    ける経口投与用の多粒子製剤の剤形である、該使用。
  10. 【請求項10】 前記バイオモジュレーターが炭酸カル
    シウムである請求項8または9に記載の使用。
  11. 【請求項11】 前記薬剤が、錠剤またはカプセル剤の
    剤形である請求項6〜10のいずれかに記載の使用。
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