JP2003127207A - 熱可塑性樹脂シートの製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂シートの製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】高品質の熱可塑性樹脂シートを生産性良く製造
する。 【解決手段】熱可塑性樹脂を口金からシート状にして回
転冷却体上に溶融押出し、該シートを回転冷却体に密着
させつつ冷却する熱可塑性樹脂シートの製造方法におい
て、体積比抵抗が106〜1013Ω・cmの範囲である
半導電性材料からなる被膜を表面に有した回転冷却体上
に溶融シートを押出し、該シート上に設置された電極へ
の電圧印加により該シートを荷電させ、回転冷却体に密
着させつつ冷却することを特徴とする熱可塑性樹脂シー
トの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、品質良好な熱可塑
性樹脂シートを安価に生産性よく製造する熱可塑性樹脂
シートの製造方法であり、高速製膜にも好適な熱可塑性
樹脂シートの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂シートの製造方法として
は、例えばブロッキング防止剤として無機粒子を含有し
た熱可塑性樹脂を溶融押出しし、静電印加キャスト法に
よって溶融シートを回転冷却体に密着させて冷却して非
晶質の未配向シートを得、該シートを1軸または2軸方
向に延伸処理する方法が一般に採られている。この一連
のシート製造工程のなかでも、特に溶融シートを冷却固
化させて非晶質の未配向シートを得るキャスティング工
程はシートの品質や製膜速度を決定づける重要な工程で
ある。
【0003】例えばポリエステル樹脂シートの場合で
は、溶融シートと冷却媒体との静電密着力の限界から、
結晶性の低い、透明で表面平滑なシートが得られる最高
速度は、60m/分程度より速くすることが出来ず、ポ
リアミド樹脂シートの場合も同様に50m/分程度より
も速くすることができず生産性向上に限度があった。
【0004】そこで、静電印加キャスト法において、溶
融シートと回転冷却体との密着性を向上させて冷却速度
を高めるために、例えばポリエステル樹脂では溶融時の
体積比抵抗を低下させる手法が種々提案されている。例
えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩を含有させ
ることで樹脂の溶融時の体積比抵抗を低下させてキャス
ティング速度を向上させる方法が特公昭53−4023
1号公報で提案され、また、スルホン酸4級ホスホニウ
ム塩を含有させてキャスティング速度を向上させる方法
が特公平7−5765号公報で提案されている。
【0005】さらに特公昭48−14784号公報およ
び特公昭48−29311号公報では冷却体表面に電気
絶縁層を設ける方法が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この様
な従来の方法では、次のような欠点が存在した。すなわ
ち、熱可塑性樹脂の溶融時の体積比抵抗を低下させて
も、それだけでは、電極から与えられた電荷のほとんど
が溶融シートから回転冷却体へと流れ出てしまうので、
溶融シートと回転冷却体との間に有効な密着力を発生さ
せることは困難である。また、適正な溶融時の体積比抵
抗に調整した熱可塑性樹脂を用いたにしても静電印加キ
ャストによる最高速度は80m/分程度にすぎなかっ
た。
【0007】また、回転冷却体の表面に電気絶縁層を設
けた方法では、電気絶縁層自身に電荷が蓄積されやす
く、電気絶縁層に電荷が蓄積されればもはや溶融シート
との密着性が望めなくなる。さらに電気絶縁層は一般的
に熱伝導性にも劣り、溶融シートを十分に急冷固化する
ことが困難である。
【0008】本発明の目的は、上記した従来技術の欠点
を解消し、品質に優れた熱可塑性樹脂シートを高い生産
性でもって製造することができる方法を提供することに
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上述した問
題に鑑み、鋭意検討した結果、特定の範囲の体積比抵抗
値を有する表面被膜を形成した回転冷却体を用い、これ
に熱可塑性樹脂をシート状に溶融押出し、静電印加する
ことによって前記問題が解決できることを見出し本発明
をなすに至った。
【0010】すなわち、本発明の熱可塑性樹脂シートの
製造方法は、熱可塑性樹脂を口金からシート状に溶融押
出し、該シートに静電荷を印加させながら回転冷却体に
密着させて冷却固化する熱可塑性樹脂シートの製造方法
において、該回転冷却体として、表面に体積比抵抗が1
6〜1013Ω・cmの範囲である半導電性材料からな
る被膜を有した回転冷却体を用いることを特徴とする熱
可塑性樹脂シートの製造方法である。
【0011】本発明の製造方法によれば、回転冷却体と
の密着による冷却工程における溶融シートの冷却速度が
大幅に高められ、80〜120m/分という高速度での
キャスティングが可能となる。さらに、溶融シートと回
転冷却体との密着力が高まることで、高速度キャストに
おいてもシートに欠点が発生することなく、さらにフィ
ルム長手方向の厚みむらも良化させることができるので
ある。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に本発明の好ましい実施の形
態を説明する。
【0013】本発明に用いられる熱可塑性樹脂について
は特に限定されなく、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リエチレンナフタレート、ポリプロピレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサン
ジメチレンテレフタレートなどに代表されるポリエステ
ル樹脂、ナイロン6,ナイロン66、ナイロン610,
ナイロン12、ポリメタ/パラキシリレンアジパミドな
どに代表されるポリアミド樹脂、ポリエチレン、ポリプ
ロピレンなどのポリオレフィン樹脂およびこれらの共重
合体や他の樹脂とのブレンド物をあげることができる
が、溶融押出可能であればこれらに限定されるものでは
ない。
【0014】本発明では、特に好ましく用いられる熱可
塑性樹脂としてポリエチレンテレフタレート等のポリエ
ステル樹脂、ナイロン6等のポリアミド樹脂などがあ
る。もちろん、これらの熱可塑性樹脂には各種の添加
剤、例えばブロッキング防止剤、増量剤、安定剤、酸化
防止剤、減粘・増粘剤、その他樹脂を添加することもで
きる。
【0015】本発明の製造方法では、体積比抵抗が10
6〜1013Ω・cmの範囲である半導電性材料からなる
素材を被膜として表面に有した回転冷却体上に溶融シー
トを押出し、該シートの上方に設置された電極への電圧
印加により該シートを荷電させ、回転冷却体に密着させ
ることが必要である。回転冷却体の表面部分へ形成させ
る被膜材料の体積比抵抗が106Ω・cm未満である場
合、電極から溶融シートへ注入された電荷が回転冷却体
を通してアースへ流れてしまい、溶融シートが十分に帯
電できなくなるため回転冷却体との密着性が不十分とな
ってしまう。一方、回転冷却体の表面部分へ形成させる
被膜材料の体積比抵抗が1013Ω・cmを越える場合、
該被膜自体が帯電してしまい溶融シートとの間に静電密
着力が働かなくなる方向なので、本発明の効果が得られ
ない。
【0016】熱可塑性樹脂の種類や熱可塑性樹脂の溶融
時の体積比抵抗値にもよるが、回転冷却体表面の被膜材
料の体積比抵抗値は107〜1012Ω・cmの範囲がよ
り好ましく、さらには108〜1011Ω・cmの範囲が
特に好ましい。
【0017】上記した回転冷却体表面被膜は、先に述べ
た電気特性を持ち得て、かつ溶融シートとの接触に耐え
うる耐熱性があればその素材は特に限定はされないが、
例えば三酸化クロムやチタニアとアルミナからなる複合
セラミックなどの半導電性セラミック素材やシリコーン
樹脂からなるワニスやポリイミド樹脂からなるワニス等
を挙げることができる。特にシリコーンワニスやポリイ
ミドワニスは耐熱性に優れ、かつ薄い被膜が形成できる
ために熱伝導性にも優れ、回転冷却体表面の被膜として
好ましく用いることができる。さらにこれらのワニス
は、カーボンブラックなどの導電性粒子を添加すること
で被膜としての体積比抵抗値を任意の値に調整すること
ができ、製造する熱可塑性樹脂シートの種類に適した被
膜を回転冷却体表面に形成させることができる。
【0018】回転冷却体表面への被膜の形成は、三酸化
クロムなどでは回転冷却体表面へ該素材を溶射したのち
表面を研磨する方法や、シリコーンワニスやポリイミド
ワニスの場合には回転冷却体表面へワニスを塗布した
後、加熱することでワニスを硬化させることで形成させ
ることができる。
【0019】回転冷却体表面の被膜の厚みは、特に限定
されないが、溶融シートを効率的に冷却するためには1
〜500μmの範囲が好ましく、特に5〜100μmの
範囲が好ましい。
【0020】上述したセラミック素材、シリコーン樹
脂、ポリイミド樹脂などの被膜に適した素材は、炭素鋼
などの通常の金属等に比較して一般的に熱伝導率が低く
く、このような被膜を回転冷却体上に厚く形成させた場
合には溶融した熱可塑性樹脂シートが回転冷却体上にて
十分冷却されない場合がある。溶融シートが十分冷却さ
れない場合、シートと回転冷却体が粘着したり、得られ
たシートの結晶化が進んで透明性・延伸性が劣ったり、
平面性や厚みむらが悪くなる。
【0021】そこで被膜の熱伝導率を被膜の厚みで除し
た値が500W/(m2・℃)以上であることが溶融シ
ート冷却の観点から好ましく、さらには1000W/
(m2・℃)以上であることが好ましい。
【0022】回転冷却体表面の被膜の表面粗さは特に限
定はされないが、表面が平滑な熱可塑性樹脂シートを得
るためにはその表面粗さRyは3μm未満であることが
好ましく、特に1μm未満が好ましい。
【0023】回転冷却体自体は金属製のドラムが好まし
く、その内部には表面温度を制御するために熱媒を通液
する流路を設けることが好ましい。この流路に温度制御
した熱媒を流すことによってドラム表面温度を特定の温
度に保つことができ、溶融シートを結晶化させることな
く冷却させることができるようになる。
【0024】回転冷却体はアースに接地しておくことが
好ましいが、必要に応じて電気抵抗を介してアースに接
地してもかまわない。
【0025】本発明の熱可塑性樹脂シートの製造方法で
は、回転冷却体表面の被膜材料の体積比抵抗値よりも熱
可塑性樹脂の溶融時における体積比抵抗値が小さいこと
が好ましく、105〜1011Ω・cmの範囲が好まし
い。さらに回転冷却体表面の被膜材料の体積比抵抗が溶
融時における熱可塑性樹脂の体積比抵抗の10倍以上で
あることが好ましい。このような組み合わせとすること
により、静電印加電極から与えられた電荷は溶融シート
から回転冷却体へと逃げ出しにくくなり、溶融シート中
に電荷が貯まりやすくなる。この結果、溶融シートに蓄
積される電荷が多くなることで、冷却体との間により強
力な密着力が発生し、より速度の高いキャスティングが
可能となる。具体的には80〜120m/分というキャ
スティングが可能になるのである。さらに溶融シートと
回転冷却体との密着力が向上することにより、得られる
シートの長さ方向の厚みむらを良化させることもでき
る。
【0026】本発明の製造方法では、電圧印加用電極と
しては従来から採用されている電極を用いることがで
き、例えばワイヤー状電極またはテープ状電極を用いる
ことができる。これらの電極を用いてもキャスティング
速度を効果的に向上させることができるからである。
【0027】本発明の製造方法によって回転冷却体に密
着させつつ冷却する方法により得られる熱可塑性樹脂シ
ートは、キャスティングに引き続き、更に延伸および/
または熱処理を行うことができる。熱可塑性樹脂シート
の延伸は、縦一軸延伸、横一軸延伸、逐次二軸延伸、同
時二軸延伸など、各種方法によっておこなうことがで
き、特に逐次二軸延伸法が好ましい。通常は二軸延伸す
ることによって機械的バランスのとれたシートを得るこ
とができる。
【0028】熱可塑性樹脂シートの延伸は、周速度の異
なるロール間で行う方法や、クリップによってシートを
把持し、該クリップ間隔を変更するテンター方式で行う
ことができる。延伸倍率は特に限定されないが、一方向
へ2〜6倍延伸することが好ましい。
【0029】次に、本発明による熱可塑性樹脂シートの
製造方法を、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹
脂を例としてより具体的に示す。
【0030】原料として用いるPET樹脂は、必要に応
じて他の化合物類、例えば、他の熱可塑性樹脂や酸化珪
素、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、
酸化アルミニウム、架橋熱可塑性、架橋ポリスチレン、
マイカ、タルク、カオリンなどの無機、有機化合物、エ
チレンビスステアリルアミド、イオン性高分子化合物ア
イオノマー等の有機化合物等が添加ブレンドされていて
もよく、また、いったん溶融させた原料、さらには熱可
塑性樹脂シートからの回収原料などを混合していてもよ
い。
【0031】このようなPET原料を乾燥・脱水した
後、一軸押出機、二軸押出機、ベント押出機、タンデム
押出機などの溶融押出機に供給し、分子量(例えば固有
粘度[η])を極力低下させないように窒素気流下ある
いは真空下で溶融押出する。なお、この際、原料中の異
物を除去するためには、溶融樹脂を適宜のフィルター
(例えば、焼結金属、多孔性セラミック、サンド、金網
等)で濾過しながら押出すことが好ましい。
【0032】押出機で濾過され押し出された溶融樹脂は
Tダイ型口金へ導かれる。
【0033】かくして溶融シートを口金から押し出し
て、キャストドラム(回転冷却体)上に密着させるので
あるが、溶融シートの上部付近にワイヤ状電極を設置
し、この電極に直流高電圧を印加してキャスティングす
る。なお、キャスティングドラム表面には体積比抵抗が
106〜1013Ω・cmであるシリコーンワニスをあら
かじめコーティングしておく。
【0034】かくして得られたキャストシートは必要に
応じて延伸処理をおこなうが、例えば逐次二軸延伸法で
あれば、キャストシートをまず予熱ロールによってTg
以上に加熱し、周速度の異なるロールによって長手方向
へ2〜4倍延伸し、冷却ロールによってシートを冷却す
る。次いで長手方向へ延伸されたシートをテンター式横
延伸機に導き、シート両端をクリップによって把持しつ
つ熱風によってシートをTg以上に加熱する。両端クリ
ップの幅を広げることでシートを横方向へ2〜4倍延伸
し、さらに必要に応じて熱風によってシートを熱処理す
る。 [物性の測定法]次に本発明で使用した測定法について
以下に述べる。 1.キャスト密着性 キャストドラム(回転冷却体)上で、空気などの噛み込
みや垂れ下がり、その他何らかのキャスト欠点が認めら
れない場合を○、何らかの欠点が肉眼で認められる場合
を×とした。 2.キャスト表面性 キャストされたシート表面10m2以上に光を当て、そ
の反射光を肉眼で見てクレーターなどの表面凹凸が認め
られるかどうかで判定する。判定基準は、全く表面に凹
凸が見られない場合を○、表面に凹凸があるが、深さが
0.1μm未満と浅く、延伸によって消失する場合を
△、全面に凹凸が見られる場合を×とした。 3.溶融熱可塑性樹脂の体積比抵抗 熱可塑性樹脂を真空乾燥後、内径50mmの試験管に入
れ、窒素雰囲気下で溶融した後、溶融樹脂中に一対の銅
製電極を挿入し、熱可塑性の種類に応じた溶融シート押
出時の温度(例えば、下記の実施例のPET樹脂シート
の場合では280℃、ナイロンでは260℃)で直流電
圧を印加し、次式によって溶融熱可塑性樹脂の体積比抵
抗[ρ]を求めた。単位はΩ・cmである。 [ρ]= V×S/(I×D) ここで、Vは印加電圧(V)、Sは電極面積(c
2)、Iは電流値(A)、Dは電極距離(cm)であ
る。 4.ドラム表面被膜素材の体積比抵抗 第一の金属製電極表面に、セラミック素材の場合には厚
み200μmの被膜を、樹脂ワニスの場合には厚み5μ
mの被膜を形成し、該被膜表面に導電性ペーストを介し
て第二の金属製電極を貼り付け、直流電圧を印加し、次
式によって体積比抵抗[ρ]を求めた。単位はΩ・cm
である。 [ρ]= V×S/(I×D) ここで、Vは印加電圧(V)、Sは電極面積(c
2)、Iは電流値(A)、Dは被膜厚さ(cm)であ
る。 5.厚みムラ(%) アンリツ製フィルムシックネステスタKG601Aおよ
び電子マイクロメーターK306Cを用い、幅30m
m、長さ40mにサンプリングしたフィルムを連続的に
厚み測定する。厚み最大値TMAX(μm)、厚み最小値
MIN(μm)から変動幅RをR=TMAX−TMINで求
め、平均厚みTAVE(μm)から厚みムラ(%)=R/
AVE×100として求めた。 6.熱伝導率測定 被膜をサンプリングし、(株)リガク製 レーザーフラッ
シュ法熱伝導率測定装置LF/TCM−FA8510B
を用いて測定した。
【0035】
【実施例】実施例により、本発明をさらに詳細に説明す
る。 実施例1 回転冷却体として、直径1.5mのキャスティングドラ
ムを用いた。該キャスティングドラムの胴体は炭素鋼か
らなり、その表面に三酸化クロムをプラズマ溶射法によ
って溶射した。溶射した三酸化クロム層は、表面粗度が
0.5S未満となるように、被膜としての厚みが50μ
mとなるように研磨した。なお、三酸化クロムの溶射に
よって得られる被膜の体積比抵抗は1010Ω・cmであ
った。
【0036】熱可塑性樹脂として、280℃での体積比
抵抗が5×108Ω・cmであるPET樹脂を用いた。
PET樹脂を乾燥した後、通常の溶融押出機に供給して
280℃で溶融し、10μmカットの繊維燒結金属フィ
ルターを通過させて濾過した後、Tダイ口金から280
℃で溶融押出した。
【0037】溶融シートは、キャスティングドラム上へ
押し出され、さらに溶融シート上部で溶融シートから5
mm離れた位置に、直径0.15mmのタングステン製
ワイヤー電極を配置し、+8KVの正極直流電圧を印加
してキャスティングを行った。キャスティングドラム内
には冷却水を通水し、表面温度を25℃に調整した。
【0038】このようにしてキャスティングした結果、
キャスト密着性が良好であるキャスティングシートを速
度100m/分という高速度で製造することができた。
得られたキャスティングシートの密着性は○、キャスト
表面性も○であった。キャストフィルムの厚みむらは1
%と良好であった。
【0039】続いて、このキャスティングシートをロー
ル式長手方向延伸機で延伸温度92℃で3.5倍延伸し
た後30℃以下に冷却した。ロール延伸終了後、続いて
該長手方向延伸シートの両端をクリップで把持しながら
テンタに導き、延伸温度100℃に加熱された熱風雰囲
気中で幅方向に3.3倍延伸した後、200℃で熱固定
したところ、厚さ25μmの二軸延伸熱可塑性樹脂シー
トが、破れることなく安定な状態で約350m/分とい
う高速で巻取り製膜できた。結果を表1に示す。 比較例1 キャスティングドラム表面を体積比抵抗が1.9×10
-5Ω・cmである厚み50μm、表面粗さRyが0.1
μmのハードクロムメッキとする以外は実施例1と同様
の条件でキャスティングを行った。100m/分のキャ
スティングでは溶融シートの幅などが全く安定せず、7
0m/分まで速度を低下させたがキャスト密着性は×、
キャスト表面性も×であった。結果を表1に示す。 比較例2 キャスティングドラム表面に体積比抵抗が1015Ω・c
mであるアルミナを溶射し、厚み100μm、表面粗さ
Ry0.5μmの被膜を形成し、実施例1と同様にキャ
スティングした。
【0040】100m/分のキャスティングでは溶融シ
ートの幅などが安定せず、80m/分まで速度を低下さ
せたがキャスト密着性は×、キャスト表面性は△であっ
た。結果を表1に示す。 実施例2 カーボンブラックを混合した体積比抵抗が1011Ω・c
mである耐熱性シリコーンワニスをキャスティングドラ
ム表面にコーティングし、加熱することで硬化させた。
硬化後研磨を行い、表面粗さRy0.1μm、厚み1μ
mの被膜を形成させた。
【0041】実施例1と同様にキャスティングを行った
ところ、120m/分のキャスティングが可能であっ
た。結果を表1に示す。 実施例3 熱可塑性樹脂として、260℃での体積比抵抗が2×1
6Ω・cmであるナイロン6樹脂を用い、実施例2と
同様のキャスティングドラムを用いて製膜テストを行っ
た。
【0042】100m/分でキャスティングしたシート
は、ロール式長手方向延伸機で延伸温度55℃で3倍延
伸した後30℃以下に冷却した。ロール延伸終了後、続
いて該長手方向延伸シートの両端をクリップで把持しな
がらテンタに導き、延伸温度100℃に加熱された熱風
雰囲気中で幅方向に3倍延伸後、150℃で熱固定した
ところ、厚さ15μmの二軸延伸ポリアミド樹脂シート
が、破れることなく安定な状態で約300m/分という
高速で巻取り製膜できた。結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、キャスティング速度を
著しく高めること、概ね80m/分以上に高めることが
でき、さらにフィルム長手方向の厚みむらも良好な高品
質なシートを生産できるので、品質に優れた熱可塑性樹
脂シートを高い生産性でもって製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F207 AA24 AA29 AG01 KA01 KA17 KK66 KW26

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性樹脂を口金からシート状に溶融押
    出し、該シートに静電荷を印加させながら回転冷却体に
    密着させて冷却固化する熱可塑性樹脂シートの製造方法
    において、該回転冷却体として、表面に体積比抵抗が1
    6〜1013Ω・cmの範囲である半導電性材料からな
    る被膜を有した回転冷却体を用いることを特徴とする熱
    可塑性樹脂シートの製造方法。
  2. 【請求項2】該被膜の厚みが1〜500μmの範囲であ
    ることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂シー
    トの製造方法。
  3. 【請求項3】該被膜として、該被膜の熱伝導率を該被膜
    の厚みで除した値が500W/(m2・℃)以上のもの
    を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の熱
    可塑性樹脂シートの製造方法。
  4. 【請求項4】該被膜が少なくとも三酸化クロムからなる
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱可
    塑性樹脂シートの製造方法。
  5. 【請求項5】該被膜が少なくともポリイミド樹脂および
    /またはシリコーン樹脂からなることを特徴とする請求
    項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂シートの製造
    方法。
  6. 【請求項6】回転冷却体表面の被膜の表面粗さRyが3
    μm未満であることを特徴とする請求項1〜5のいずれ
    かに記載の熱可塑性樹脂シートの製造方法。
  7. 【請求項7】熱可塑性樹脂がポリエステル樹脂および/
    またはポリアミド樹脂であることを特徴とする請求項1
    〜6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂シートの製造方
    法。
  8. 【請求項8】溶融時における熱可塑性樹脂の体積比抵抗
    が105〜1011Ω・cmの範囲であることを特徴とす
    る請求項1〜7のいずれかに記載の熱可塑性樹脂シート
    の製造方法。
  9. 【請求項9】回転冷却体表面の被膜の体積比抵抗が溶融
    時における熱可塑性樹脂の体積比抵抗の10倍以上であ
    ることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の熱
    可塑性樹脂シートの製造方法。
  10. 【請求項10】静電荷の印加がシートの上方に設置され
    た電圧印加用電極を用いておこなわれるものであって、
    該電圧印加用電極が、ワイヤー状またはテープ状の電極
    であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載
    の熱可塑性樹脂シートの製造方法。
  11. 【請求項11】回転冷却体との密着により冷却固化され
    た熱可塑性樹脂シートを更に延伸および/または熱処理
    することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載
    の熱可塑性樹脂シートの製造方法。
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