JP4244489B2 - 樹脂シートの製造方法および装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は樹脂シートの製造方法および装置に関し、さらに詳しくは、生産性を向上するようにしながら厚み均一性に優れた樹脂シートを製造する方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に樹脂フィルム等の樹脂シートは、溶融樹脂をスリットダイからシート状に押し出し、それを冷却ドラム等の移動冷却媒体の表面で冷却固化した後、一軸または二軸に延伸するようにして製造されている。このように製造された樹脂シートはコンデンサなどの電気部品材料、磁気記録テープなどの磁気材料及び包装材料など、非常に数多くの用途に使用されているが、いずれの用途においても厚みが均一であることが要求されている。
【0003】
樹脂シートの厚みむらの低減には、溶融樹脂をスリットダイからシート状に押し出してから移動冷却媒体の表面で冷却固化するまでの間で、溶融樹脂シートの成形精度を高めることが重要であるとされている。しかし、溶融樹脂シートの成形精度は、生産性向上のために成形速度を上げるほど、冷却媒体表面に対する密着力が低下するため悪化し、厚みむらが大きくなっていくという現象がある。特に成形速度の上昇が過度になると、溶融樹脂シートと冷却媒体表面との間に空気を噛み込み、製品シートに許容しがたい表面欠点を生ずるようになる。
【0004】
従来、上述のような問題の対策として、スリットダイから吐出した溶融樹脂シートを冷却媒体表面で冷却固化する際、溶融樹脂シートの着地付近の上面側に線状、ブレード状または針状の電極を横断するように配置し、この電極により溶融樹脂シートに静電気を付与し、静電気的に冷却媒体表面に付勢して密着力を向上させる静電印加法が知られている。
【0005】
この静電印加法によれば、ある程度の成形速度までは樹脂シートの厚みむらを低減することはできるが、一定の成形速度を超えると不可能になり限界がある。例えば、溶融樹脂シートと冷却媒体表面との密着力を向上させて、さらに高速化するため印加電圧を上げたり、電極を溶融樹脂シートに近づけたりすると、電極と溶融樹脂シートとの間の空気層に絶縁破壊による火花放電が発生して、溶融樹脂シートや冷却媒体表面を損傷する事態が生ずるからである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述した従来の問題を解消し、生産性を向上するようにしながら厚み均一性に優れた樹脂シートを効率よく成形可能にする樹脂シートの製造方法および装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の樹脂シートの製造方法は、スリットダイから溶融樹脂を気体雰囲気中にシート状に押し出し、該溶融樹脂を静電気的密着付勢手段を介して移動冷却媒体の表面に密着させる樹脂シートの製造方法において、少なくとも前記静電気的密着付勢手段の気体雰囲気の水分量を30〜588g /m3の範囲に制御することを特徴とするものである。さらに好ましくは、上記気体雰囲気の温度を30〜350℃の範囲に制御するものである。
【0008】
上記のように静電気的密着付勢手段の気体雰囲気、具体的には静電気的密着付勢を行う電極の気体雰囲気の水分量を30〜588g /m3の範囲に維持することにより、電極周囲の雰囲気を水分子によって活性化するため、同じ印加電圧をかけても溶融樹脂シートに付与する単位時間当たりの静電気力を大きくすることができる。この静電気力の増大により溶融樹脂シートと冷却媒体表面との密着力が増大し、その増大した分だけ厚みむらを生ずることなく成形速度を上げることができる。また、上記水分量の気体雰囲気により、静電印加電圧を上げたり、電極を溶融樹脂シートへ更に近づけても電極から火花放電が発生しにくくなるため、樹脂シートの表面に放電痕のない高品質の樹脂シートの製造が可能になる。
【0009】
上記製造方法を実施する装置は特に限定されるものではないが、スリットダイから溶融樹脂を気体雰囲気中にシート状に押し出し、該溶融樹脂を静電気的密着付勢手段を介して移動冷却媒体の表面に密着させる樹脂シートの製造装置において、少なくとも前記静電気的密着付勢手段に向けて水分を含む気体を供給する気体供給手段と該水分を含む気体の供給量の制御手段とを設けた装置を使用するとよい。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明において、樹脂シートの原料に使用される樹脂としては、熱可塑性樹脂が好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテフタレートおよびこれらの共重合体などのポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびこれらの共重合体などのポリオレフィン類、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12およびこれらの共重合体などのポリアミド類などを挙げることができる。これらの中でもポリエステル類は好ましく、特にポリエチレンテレフタレートがよい。これらの樹脂材料には、もちろん帯電防止剤、耐候剤、滑剤、顔料などの添加剤を添加しても差し支えない。
【0011】
本発明の樹脂シートの製造方法は、上記原料樹脂を溶融状態にし、スリットダイから溶融樹脂シートとして気体雰囲気中に押し出し、その溶融樹脂シートを移動冷却媒体の表面に着地させて冷却固化するとき、溶融樹脂シートを静電気的密着付勢手段を介して移動冷却媒体の表面に密着させるようにする。移動冷却媒体の表面で冷却固化された未延伸樹脂シートは、通常は引き続き延伸工程に送られ、そこで縦方向或いは横方向に一軸又は縦横二軸に逐次或いは同時に延伸されて延伸樹脂シートにされる。
【0012】
本発明は、上記のように溶融樹脂をスリットダイから押し出した後、移動冷却媒体の表面に密着させるまでの工程で、少なくとも静電気的密着付勢手段(電極)を含む気体雰囲気の水分量を30〜588g /m3、好ましくは100〜380g /m3の範囲に制御するようにする。さらに好ましくは、上記静電気的密着付勢手段(電極)を含む気体雰囲気の温度を30〜350℃、好ましくは100〜300℃の範囲に制御するとよい。
【0013】
このように静電気的密着付勢手段の周囲の気体雰囲気を水分子により活性化するため、静電気的密着付勢手段による溶融樹脂シートに対する単位時間当たりの静電気力を増大させ、溶融樹脂シートの冷却媒体表面に対する密着力を増大させるため、その分だけ厚さむらを生じずに成形できる成形速度を上げることができる。また、上記水分量の気体雰囲気により、静電印加電圧を上げたり、電極を樹脂シートに近づけたりしても、電極から火花放電が発生しにくくなり、樹脂シートの表面に放電痕が少ない高品質の樹脂シートを製造することができる。
【0014】
本発明において、上記のような気体雰囲気の水分量および温度は、スリットダイの溶融樹脂吐出口を囲む気体雰囲気も同様にすることが好ましい。すなわち、スリットダイの溶融樹脂吐出口付近の気体雰囲気を、その水分量が30〜588g /m3、好ましくは100〜380g /m3になるように制御することが好ましい。さらに好ましくは、同気体雰囲気の温度を30〜350℃、好ましくは100〜300℃の範囲にするとよい。
【0015】
スリットダイの溶融樹脂吐出口付近の気体雰囲気を上記水分量に制御すると、原料樹脂中に含まれる添加剤や樹脂の一部が熱分解した生成物が、ダイリップの溶融樹脂吐出口の部分(先端部分)に付着・堆積する、所謂目やにの発生を抑制することができる。その結果、ダイリップの先端部を清掃する周期を延長し、生産性の向上に寄与することができる。
【0016】
上述した水分量による気体雰囲気の活性化や、放電防止効果、ダイリップに対する目やに抑制の効果は、その水分量が30g /m3未満であっては得ることができない。しかし、水分量を588g /m3よりも多くすると、そのような多量の水分は気体雰囲気の圧力を大気圧よりも高くしなければ得ることが難しく、そのように高圧にするための装置の構造が複雑になるという問題がある。そればかりでなく、溶融樹脂シートの厚みむらを悪くする場合もある。
【0017】
また、上記範囲の水分量にするときの気体雰囲気の温度は30〜350℃、好ましくは100〜300℃にするのがよい。このように気体雰囲気中の水分量に応じて温度を上記範囲内に制御することにより、周囲の成形装置等への結露を防止することができる。特に、温度が30℃よりも低いと、周辺設備において結露が生じやすく、溶融樹脂シート等に悪影響を与える場合がある。また、温度を350℃よりも高くすると、溶融樹脂の品質劣化を招くようになる。
【0018】
上述した水分量および温度は、経時的な変動を20%以内、好ましくは5%以内に抑えるようにすると、なおよい。
【0019】
上記水分量及び温度の気体雰囲気は、気体供給装置から気体を静電気的密着付勢手段及び/又はスリットダイの溶融樹脂吐出口に向けて局所的に供給するようにして形成することが好ましい。また、気体を供給することで溶融樹脂シートの表面が急激に冷却されないようにすることも好ましい。供給する気体は、所望の水分量や温度が得られるものであれば特に限定されず、例えば水蒸気や微細な水滴を含む気体を用いることができ、好ましくは乾き水蒸気若しくは乾き水蒸気を含む混合気体を使用するとよい。
【0020】
気体の供給速度は0.01〜2m/秒、好ましくは0.1〜2m/秒にするのがよい。供給速度が0.01m/秒よりも低くては、気体雰囲気の水分量を所望の範囲に制御することが困難になる。また、2m/秒よりも速い供給速度にすると、溶融樹脂シートが供給気体の風圧によって振動するようになるため厚みむらの原因になる。
【0021】
気体供給装置は、静電気的密着付勢手段及び/又はスリットダイの溶融樹脂吐出口に向けて吹き付ける気体供給手段と、静電気的密着付勢手段及び/又はスリットダイの溶融樹脂吐出口の周辺の水分量、温度および供給速度(気体の流速)のうちの少なくとも一つを検出し、その検出値に基づいて上記周辺の水分量と温度を所定の範囲に制御する制御手段とを備えたものにするとよい。
【0022】
気体供給手段の形状は、例えば箱型、筒型などでよい。供給口は、スリット、複数の丸穴の集合、或いは多孔質金属などから構成すればよい。供給口の大きさや形状は自由であるが、要は供給気体を樹脂シートの幅方向(スリットダイのスリット長手方向)に概略均一に噴射できるようにしたものがよい。気体を供給する範囲は、樹脂シートの幅と同等或いは若干狭くした方がよく、それによって移動冷却媒体(引取ドラム)上や周辺装置上における結露を防止することができる。さらに好ましくは、溶融樹脂シートの幅に応じて、供給口の幅を可変にできるものがよい。
【0023】
気体供給手段を配置する位置は特に限定されないが、例えば、電極の後方(電極を挟んで樹脂シートの反対側)で、かつ下方にするのがよい。このような位置に設置することにより、ダイリップと引取ドラムの間の溶融樹脂シートが吹出し気体によって振動しないようにすることができる。また、他の位置として、溶融樹脂シートの両端から供給してもよく、或いは溶融樹脂シートの後方から供給するようにしてもよい。また、ダイリップから引取ドラムまでを電極を含めて仕切壁によって囲んだり、さらに気体を吸引する手段を付設したりすることにより、気体雰囲気を安定させるようにしてもよい。
【0024】
本発明で使用する溶融樹脂吐出用のスリットダイは、長手方向にスリット状の吐出口を有するものであれば特に限定されない。例えば、Tダイ、コートハンガーダイ、フィッシュテールダイなどのスリットを有するものを使用することができる。
【0025】
溶融樹脂シートを冷却固化する移動冷却媒体は、溶融樹脂シートを連続的に受け止めて冷却固化するものであれば特に限定されない。例えば、引取ドラム(冷却ドラム)、引取ベルト(冷却ベルト)などを使用することができるが、特に好ましくは、引取ドラムを使用するとよい。
【0026】
また、溶融樹脂シートを移動冷却媒体表面に静電気的に密着させる静電気的密着付勢手段には、線状、ブレード状または針状の電極による静電印加法が適用される。その電極は、少なくとも1本を、移動冷却媒体の表面に着地する溶融樹脂シートの上面側を横切るように配置する。電極の素材は、導電性の金属やカーボンなどを使用することができる。金属としては、ステンレス、チタン、ベリリウム銅、パラジウム、パーマロイ、タンタル、金、白金、銀、銅、真鍮、鉄、錫、アルミニウム、ニッケル、亜鉛、モリブデン、タングステンなどを挙げることができる。 図1および図2は、本発明の樹脂シートの製造方法に使用される装置の要部を例示したものである。
【0027】
図1および図2において、スリットダイ1は下端にスリット状のダイリップ1aを有し、このダイリップ1aから溶融樹脂シートSを押し出し、移動冷却媒体である引取ドラム2の表面で冷却固化して未延伸の樹脂シートにする。引取ドラム2は矢印方向に回転しながら、その表面に溶融樹脂シートSを密着させて、同一方向に移動しながら冷却固化する。引取ドラム2により冷却固化された未延伸樹脂シートは、引き続き図示しない延伸工程に送られ、そこで縦方向或いは横方向に一軸または縦横二軸に、逐次或いは同時に延伸され、延伸樹脂シートに成形される。
【0028】
引取ドラム2に着地した溶融樹脂シートSの上面側には、溶融樹脂シートSを幅方向に横切るように(スリットの長手方向と概略平行になるように)、静電印加用の線状の電極3が配置されている。電極3には図示しない電源から数kV〜数十kVの直流電圧が印加され、溶融樹脂シートSを引取ドラム2の表面に向けて静電気的に密着させるようにしている。電極3の両端部には絶縁材4,4が被覆され、これら絶縁材4,4をそれぞれ溶融樹脂シートSの幅方向両端部に若干オーバーラップするように設けることにより、電極3から引取ドラム2に火花放電をしないようにしている。
【0029】
電極3を挟んで溶融樹脂シートSとは反対側に、気体吹出器6とセンサ7とが配置されている。センサ7は、気体吹出器6から吹き出した気体により電極3の周辺およびダイリップ1aの周辺に形成される雰囲気の水分量、温度および流速を検出し、それをコントローラ8に送るようになっている。これら気体吹出器6とセンサ7とコントローラ8から気体供給装置5が構成されている。すなわち、気体供給装置5では、コントローラ8がセンサ7の検出値に基づいて、気体吹出器6から吹き出す気体が、上記電極3の周辺およびダイリップ1aの周辺における雰囲気の水分量が30〜588g /m3、温度が30〜350℃になるように演算するようになっている。
【0030】
センサ7としては、気体雰囲気の水分量の検出には、例えばジルコニア固体電解質を用いた限界電流式酸素センサを応用したセンサを用いる。また、気体雰囲気の温度および供給気体の流速の検出には、例えばセンサ部と演算機能部を備えた計測器を用いる。これらセンサ7は、溶融樹脂シートの幅方向に等間隔に複数点(図では10点)配置され、それぞれの分布を検出できるようにしてある。
【0031】
気体吹出器6は金属から箱型に形成され、その表面と内部に加熱用カートリッジヒーターが設置され、内部に気体の分布調整を可能にする整流板が設置され、かつ吹出口にスリット状の穴が設けられている。この気体吹出器6に、図示しない配管から水蒸気が供給され、その水蒸気がコントローラ8の制御信号に基づいて、気体吹出器6で所望の水分量と温度に制御されて、吹出口から電極3の周辺およびダイリップ1aの周辺に向けて供給されるようになっている。
【0032】
【実施例】
以下に本発明の実施例および比較例を記載するが、これら実施例および比較例において使用した評価の意味は次の通りである。
【0033】
〔上限速度〕
溶融樹脂シートと引取ドラム表面との密着力が不足した時に起こる空気の噛み込みが発生しない限界のドラム回転速度のことである。
【0034】
〔厚みむら〕
引取ドラムの回転速度を、それぞれ40m/分、60m/分にした時の引取ドラム上の未延伸シートの縦方向長さ1mにおける厚みを測定したときの変動値であり、次の式で表した。
【0035】
変動値(%)={(最大厚み−最小厚み)/平均厚み}×100
〔その他〕
気体雰囲気の水分量は、日本特殊陶業株式会社製セラミック湿度センサ高温用湿度検出器を用いて測定した。また、気体雰囲気の温度および供給気体の流速は、日本カノマックス株式会社製高温用アネモマスターを用いて測定した。これらのセンサはスリットダイと引取ドラムとの間に位置し、静電印加電極の上方10mm、前方(溶融樹脂に近づく方向)5mmの位置で幅方向(ダイスリット長手方向)に等間隔に10点配置した。蒸気水分量、温度、流速の値はこれら10点の平均の値を示したものである。
【0036】
実施例1
25℃のオルソクロロフェノール溶融極限粘度が0.615のポリエチレンテレフタレートを280℃に溶融し、下記の通りに設定した図1および図2の製造装置を使用して押出成形して、平均厚み0.1mmの樹脂シートを製造した。
【0037】
このときの引取ドラムの上限速度と、回転速度40m/分、60m/分の時にそれぞれ得られた樹脂シートの厚みむら、およびドラム回転速度40m/分の時の静電印加電極に流れる電流値を測定したところ、表1の結果が得られた。
【0038】
実施例2
実施例1において、下記の点を変化させた以外は同一条件にして、同じく平均厚み0.1mmの樹脂シートを製造した。
【0039】
引取ドラムの上限速度と、回転速度40m/分、60m/分の時にそれぞれ得られた樹脂シートの厚みむら、およびドラム回転速度40m/分の時の静電印加電極に流れた電流値は、それぞれ表1の通りであった。
【0040】
印加直流電圧=9.8kV
気体雰囲気の水分量(電極近辺):96g /m3
実施例3
実施例1において、下記の点を変化させた以外は同一条件にして、同じく平均厚み0.1mmの樹脂シートを製造した。
【0041】
引取ドラムの上限速度と、回転速度40m/分、60m/分の時にそれぞれ得られた樹脂シートの厚みむら、およびドラム回転速度40m/分の時の静電印加電極に流れた電流値は、それぞれ表1の通りであった。
【0042】
印加直流電圧=9.8kV
気体雰囲気の水分量:31g /m3
比較例1
実施例1において、下記の点を変化させた以外は同一条件にして、同じく平均厚み0.1mmの樹脂シートを製造した。
【0043】
引取ドラムの上限速度と、回転速度40m/分、60m/分の時にそれぞれ得られた樹脂シートの厚みむら、およびドラム回転速度40m/分の時の静電印加電極に流れた電流値は、それぞれ表1の通りであった。
【0044】
直流印加電圧=9.4kV
気体供給装置:無し
供給気体:無し
気体雰囲気の水分量(電極近辺):23g /m3
比較例2
実施例1において、下記の点を変化させた以外は同一条件にして、同じく平均厚み0.1mmの樹脂シートを製造した。
【0045】
引取ドラムの上限速度と、回転速度40m/分、60m/分の時にそれぞれ得られた樹脂シートの厚みむら、およびドラム回転速度40m/分の時の静電印加電極に流れた電流値は、それぞれ表1の通りであった。
【0046】
直流印加電圧=8.0kV
気体供給装置:無し
供給気体:無し
気体雰囲気の水分量:23g /m3
比較例3
実施例1において、下記の点を変化させた以外は同一条件にして、同じく平均厚み0.1mmの樹脂シートを製造した。
【0047】
引取ドラムの上限速度と、回転速度40m/分、60m/分の時にそれぞれ得られた樹脂シートの厚みむら、およびドラム回転速度40m/分の時の静電印加電極に流れた電流値は、それぞれ表1の通りであった。
【0048】
直流印加電圧=10kV
気体供給装置:無し
供給気体:無し
気体雰囲気の水分量:23g /m3
【0049】
【表1】
【0050】
表1から明らかなように、本発明(実施例1〜3)よれば、溶融樹脂シートと引取ドラムの密着性が向上し、上限速度が上昇するため高速生産が可能になり、かつ厚み均一性に非常に優れた樹脂シートが得られることがわかる。また、印加電圧を上げたり、引取ドラム速度を上げても、静電印加電極からの火花放電が発生しにくいことがわかる。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、静電気的密着付勢手段(電極)を含む気体雰囲気の水分量を30〜588g /m3の範囲にしたことにより、電極周囲の雰囲気を水分子によって活性化し、同じ印加電圧をかけても溶融樹脂シートに付与する単位時間当たりの静電気力を大きくでき、この静電気力の増大により溶融樹脂シートと冷却媒体表面との密着力を増大し、その増大した分だけ厚みむらを生ずることなく成形速度を上げることができる。また、上記水分量の気体雰囲気により、静電印加電圧を上げても電極から火花放電が発生しにくくし、樹脂シートの表面に放電痕のない高品質の樹脂シートの製造が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の樹脂シートの製造方法が適用される装置の要部を示す概略側面図である。
【図2】図1の装置の概略正面図である。
【符号の説明】
1 スリットダイ
1a ダイリップ
2 引取ドラム(移動冷却媒体)
3 電極(静電気的密着付勢手段)
4 絶縁材
5 気体供給装置(気体供給手段)
6 気体吹出器
7 検出センサ
8 コントローラ
S 溶融樹脂シート
Claims (9)
- スリットダイから溶融樹脂を気体雰囲気中にシート状に押し出し、該溶融樹脂を静電気的密着付勢手段を介して移動冷却媒体の表面に密着させる樹脂シートの製造方法において、少なくとも前記静電気的密着付勢手段の気体雰囲気の水分量を30〜588g /m3 の範囲に制御する樹脂シートの製造方法。
- 前記気体雰囲気の温度を30〜350℃に制御する請求項1に記載の樹脂シートの製造方法。
- 前記静電気的密着付勢手段の気体雰囲気と共に、前記スリットダイの吐出口の気体雰囲気の水分量を30〜588g /m3 の範囲に制御する請求項1又は2に記載の樹脂シートの製造方法。
- 前記静電気的密着付勢手段及び/又は前記スリットダイの吐出口に向けて水分を含む気体を供給する請求項1、2又は3に記載の樹脂シートの製造方法。
- 前記水分を含む気体の供給速度を0.01〜2m/秒の範囲に制御する請求項4に記載の樹脂シートの製造方法。
- 前記移動冷却媒体上で冷却固化した樹脂シートを一軸方向または二軸方向に逐次または同時に延伸する請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂シートの製造方法。
- スリットダイから溶融樹脂を気体雰囲気中にシート状に押し出し、該溶融樹脂を静電気的密着付勢手段を介して移動冷却媒体の表面に密着させる樹脂シートの製造装置において、少なくとも前記静電気的密着付勢手段に向けて水分を含む気体を供給する気体供給手段と該気体の供給量の制御手段とを設けた樹脂シートの製造装置。
- 前記気体供給手段及び制御手段が、少なくとも前記静電気的密着付勢手段の気体雰囲気の水分量を30〜588g /m3 に制御する手段である請求項7に記載の樹脂シートの製造装置。
- 前記気体供給手段及び制御手段が、少なくとも前記静電気的密着付勢手段の気体雰囲気の温度を30〜350℃に制御する手段である請求項8に記載の樹脂シートの製造装置。
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