JP2003127028A5 - - Google Patents

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JP2003127028A5
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【書類名】 明細書
【発明の名称】 放電加工方法及びその制御装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】 放電電源と電極間を第1の導通遮断素子にて所定タイミングで導通遮断するとともにこの第1の導通遮断素子に比して導通遮断タイミングを所定時間遅延して放電電源と加工ワーク間を第2の導通遮断素子にて導通遮断して電極と加工ワーク間に差分電圧を印加して放電加工することを特徴とする放電加工方法。
【請求項2】 第1と第2の導通遮断素子の導通遮断タイミングを、電極と加工ワーク間の放電加工電流及び電圧パルス幅が100nsec以下となるように制御することを特徴とする請求項1記載の放電加工方法。
【請求項3】 放電電源と電極間を導通遮断する第1の導通遮断素子の導通後、所定時間後に放電電源と加工ワーク間を導通遮断する第2の導通遮断素子を導通させ、第2の導通遮断素子を遮断した後所定時間後に第1の導通遮断素子が遮断されるように、第1及び第2の導通遮断素子の導通遮断パルスのパルス幅と位相を調整して放電加工することを特徴とする放電加工方法。
【請求項4】 電極と加工ワークの間の加工媒体として脱イオン水を用いることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の放電加工方法。
【請求項5】 放電電源と電極との間の回路を導通遮断する第1の導通遮断素子と、加工ワークと放電電源との間に接続された第2の導通遮断素子と、第1の導通遮断素子に対して導通遮断タイミングを指令するパルス発生手段と、パルス発生手段による導通遮断タイミングを所定時間遅延して第2の導通遮断素子に対して指令する遅延手段とを備え、第1の導通遮断素子の導通立ち上り後、第2の導通遮断素子を導通立ち上げして、差分電圧を電極と加工ワーク間に印加するようにしたことを特徴とする放電加工制御装置。
【請求項6】 放電電源の一方の極性と電極との間の回路を導通遮断する第1の導通遮断素子と、加工ワークと放電電源の一方の極性との間に接続された第2の導通遮断素子と、加工ワークと放電電源の他方の極性との間に接続された第3の導通遮断素子と、第1の導通遮断素子に対して導通遮断タイミングを指令するパルス発生手段と、パルス発生手段による導通遮断タイミングを所定時間遅延して第2の導通遮断素子に対して指令する遅延手段と、パルス発生手段による導通遮断タイミングを所定時間進相して第3の導通遮断素子に対して指令する進相手段とを備え、第1の導通遮断素子の導通立ち上り後、第2の導通遮断素子を導通立ち上げし、差分電圧を電極と加工ワーク間に印加し、第3の導通遮断素子の遮断で第1と第2の導通遮断素子の導通を遮断するようにしたことを特徴とする放電加工制御装置。
【請求項7】 放電電源と電極との間の回路を導通遮断する第1の導通遮断素子と、加工ワークと放電電源との間に接続された第2の導通遮断素子と、第1の導通遮断素子に対して導通遮断タイミングを指令する第1のパルス発生手段と、第2の導通遮断素子に対して導通遮断タイミングを指令する第2のパルス発生手段とを備え、第2のパルス発生手段は、その導通タイミングを第1のパルス発生手段よりも所定時間遅らせるとともに、その遮断タイミングを第1のパルス発生手段よりも所定時間早めるように構成して、差分電圧を電極と加工ワーク間に印加するようにしたことを特徴とする放電加工制御装置。
【請求項8】 パルス発生手段、遅延手段、及び進相手段を、TTLレベルのデジタル信号処理素子で構成したことを特徴とする請求項5〜7の何れかに記載の放電加工制御装置。
【請求項9】 電極と加工ワークの間に並列に還流抵抗を配置したことを特徴とする請求項5〜7の何れかに記載の放電加工制御装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリンタのノズル穴加工や化学繊維のノズル穴加工や自動車エンジンの燃料噴射ノズル穴などの微細径穴加工や、微細部品成形金型の加工等に好適に使用される放電加工方法及びその制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の微細放電加工機の放電制御回路の構成例を図7に示す。図7において、電極21にて加工ワーク22に対して放電加工を行うように構成され、電極21には、直流の電源23、充電時定数を定める抵抗24、25、及び放電エネルギーを蓄積するコンデンサ26からなる放電制御回路が接続されている。
【0003】
電極21が加工ワーク22に近接すると、放電が自然発生し、抵抗24、25とコンデンサ26によって規定される充放電時定数で充電・放電を繰り返し、放電加工が進行することになる。
【0004】
このように、微細放電加工機においてコンデンサの充放電方式を採用するのは、放電加工電流のパルス幅を数10nsecのオーダまで下げ、放電エネルギーを10-7Jレベルにできることにある。
【0005】
また、他の従来例として、図8に示すような放電制御回路が知られている。図8において、電極21にて加工ワーク22に対して放電加工を行うように構成され、電極21には、直流の電源23、回路を導通遮断するトランジスタ27、及び電流制限抵抗28、29からなる放電制御回路が接続されている。トランジスタ27にはコントローラ30から一定の周期のパルス電圧が印加され、放電加工が進行することになる。
【0006】
このような構成においては、図7のコンデンサ放電に比べて回路を強制的に遮断することができる利点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図7の放電制御回路においては、抵抗24、25、コンデンサ26、及び放電ギャップにより決まるほぼランダムに近い周期で放電パルスが自然発生することになり、電極送り速度が早い場合や加工深さが深い場合には、電極21と加工ワーク22の間が近接しすぎるため、また深穴で加工屑が除去されない場合においても、短絡電流が発生しやすくなり、加工が進まなくなるという問題がある。
【0008】
また、短絡状態から再度放電加工を開始する間を含め、電極21と加工ワーク22間には電圧が常時かかった状態になるため、特に加工速度を高くするために、加工液として油でなく純水を用いて加工する場合には電解作用が起こり、目標とする加工以外に電解作用での異常加工が発生するという問題点もある。
【0009】
また、短絡現象が発生すると加工が進まず、正常な放電状態に復帰するため電極を一旦退避動作させる必要があるために著しく加工時間が長くなり、そのため短絡が発生し始めると、放電パルスを長くとることが望ましいが、放電周期を変化させることは困難であるという問題がある。
【0010】
一方、図8の放電制御回路においては、回路を強制的に遮断できるので上記のような問題は解消できるが、高速スイッチングMOSFETでも、パルス波形の立ち上がり時間で10nsec程度の遅れがあり、トランジスタ27のゲートに遮断指令を入れてから立ち下がりが始まるまで数100nsecの時間遅れがあり、さらに立ち下がりが完了するまでで100nsecオーダの遅れ時間を生じるため、コンデンサ充放電と同等の数10nsecパルス幅の微少放電電流を得ることが困難であるという問題がある。
【0011】
本発明は、上記従来の問題に鑑み、微少放電電流を得ることができて超微細放電加工を実現できるとともに、導通遮断をコントロールできて、純水加工においても電解作用を解消して加工品位を向上でき、かつ短絡状態を発生し難くできて加工スピードを向上できる放電加工方法及びその制御装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1発明の放電加工方法は、放電電源と電極間を第1の導通遮断素子にて所定タイミングで導通遮断するとともにこの第1の導通遮断素子に比して導通遮断タイミングを所定時間遅延して放電電源と加工ワーク間を第2の導通遮断素子にて導通遮断して電極と加工ワーク間に差分電圧を印加して放電加工するものであり、第1と第2の導通遮断素子の導通遮断タイミングの設定によって極短時間の放電パルスを形成することができて超微細加工を実現することができ、また導通遮断素子にて導通遮断制御を行うことができ、放電状態に応じて放電パルスの時間幅を調整することができ、短絡状態を発生し難くできて加工スピードを向上できる。
【0013】
また、第1と第2の導通遮断素子の導通遮断タイミングを、電極と加工ワーク間の放電加工電流及び電圧パルス幅が100nsec以下となるように制御することにより、10-7Jレベルの放電エネルギーによる超微細放電加工を実現でき、かつ加工液に水を用いても電解作用が発生せず、電解作用による加工品位の低下を防止して、加工精度を向上できる。なお、パルス幅は短ければ短い方が良いが、1nsec以下は現実的でなく、これが下限値となる。
【0014】
また、上記第1発明では、導通遮断素子の立ち上がり特性を用いて10nsecレベルのパルス幅の電流・電圧を得ることができが、その場合導通遮断素子に印加されるパルス幅以下の周期でパルス電圧・電流を印加して加工するすることができない。
【0015】
そこで、本発明の第2発明の放電加工方法は、放電電源と電極間を導通遮断する第1の導通遮断素子の導通後、所定時間後に放電電源と加工ワーク間を導通遮断する第2の導通遮断素子を導通させ、第2の導通遮断素子を遮断した後所定時間後に第1の導通遮断素子が遮断されるように、第1及び第2の導通遮断素子の導通遮断パルスのパルス幅と位相を調整して放電加工するものであり、第1及び第2の導通遮断素子として立ち上がり・立ち下がりの高速な素子を用いることにより、1つのパルス周期の間に2重のパルスを得ることができて、微細加工を高速にて加工することができる。
【0016】
また、上記発明方法において、電極と加工ワークの間の加工媒体として脱イオン水を用いると、放電加工電流パルス幅が100nsec以下と小さくても加工ワークを確実にかつ高速にて加工することができる。即ち、電極と加工ワークの間の加工媒体として油を用いて放電加工電流パルス幅を上記のように小さくすると、加工速度が極めて遅くなって実用化が不可能となるが、脱イオン水を用いることで10-7Jレベルの放電エネルギーによる超微細加工を高精度にかつ高速にて加工することができ、超微細加工が実現される。
【0017】
本発明の第3発明の放電加工制御装置は、放電電源と電極との間の回路を導通遮断する第1の導通遮断素子と、加工ワークと放電電源との間に接続された第2の導通遮断素子と、第1の導通遮断素子に対して導通遮断タイミングを指令するパルス発生手段と、パルス発生手段による導通遮断タイミングを所定時間遅延して第2の導通遮断素子に対して指令する遅延手段とを備え、第1の導通遮断素子の導通立ち上り後、第2の導通遮断素子を導通立ち上げして、差分電圧を電極と加工ワーク間に印加するようにしたものであり、第1と第2の導通遮断素子の導通遮断タイミングの設定によって10〜数10nsecレベルの極短時間の放電パルスを形成することができるとともに、導通遮断素子にて導通遮断し、遅延手段の遅延時間によって放電状態に応じて放電パルスの時間幅を調整することができるため、加工液を水を用いた放電加工においても電解作用を解消して加工品位を向上でき、かつ短絡状態を発生し難くできて加工スピードを向上できる。
【0018】
また、第4発明の放電加工制御装置は、放電電源の一方の極性と電極との間の回路を導通遮断する第1の導通遮断素子と、加工ワークと放電電源の一方の極性との間に接続された第2の導通遮断素子と、加工ワークと放電電源の他方の極性との間に接続された第3の導通遮断素子と、第1の導通遮断素子に対して導通遮断タイミングを指令するパルス発生手段と、パルス発生手段による導通遮断タイミングを所定時間遅延して第2の導通遮断素子に対して指令する遅延手段と、パルス発生手段による導通遮断タイミングを所定時間進相して第3の導通遮断素子に対して指令する進相手段とを備え、第1の導通遮断素子の導通立ち上り後、第2の導通遮断素子を導通立ち上げし、差分電圧を電極と加工ワーク間に印加し、第3の導通遮断素子の遮断で第1と第2の導通遮断素子の導通を遮断するようにしたものであり、上記第1発明の作用に加え、第3の導通遮断素子により、電源より供給される放電電流に寄与しない無効電流を大幅に低減することができる。
【0019】
また、第5発明の放電加工制御装置は、放電電源と電極との間の回路を導通遮断する第1の導通遮断素子と、加工ワークと放電電源との間に接続された第2の導通遮断素子と、第1の導通遮断素子に対して導通遮断タイミングを指令する第1のパルス発生手段と、第2の導通遮断素子に対して導通遮断タイミングを指令する第2のパルス発生手段とを備え、第2のパルス発生手段は、その導通タイミングを第1のパルス発生手段よりも所定時間遅らせるとともに、その遮断タイミングを第1のパルス発生手段よりも所定時間早めるように構成して、差分電圧を電極と加工ワーク間に印加するようにしたものであり、第1及び第2の導通遮断素子として立ち上がり・立ち下がりの高速な素子を用いることにより、1つのパルス周期の間に2重のパルスを得ることができて、微細加工を高速にて加工することができる。
【0020】
また、パルス発生手段、遅延手段、及び進相手段を、TTLレベルのデジタル信号処理素子で構成することにより、信号処理各素子の遅延時間の影響を無くして上記作用効果を確実に得ることができる。
【0021】
また、電極と加工ワークの間に並列に還流抵抗を配置すると、導通遮断素子の内蔵電荷や浮遊容量の電荷を還流することができ、遮断時の残留電圧、浮遊電圧を瞬時に低減して上記作用効果を確実に得ることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明の放電加工機の放電加工制御装置の第1の実施形態について、図1、図2を参照して説明する。
【0023】
図1において、1は電極、2は加工ワークで、電極1にて加工ワーク2に対して放電加工を行うように構成されている。電極1に対して直流の電源3から電流を制限する抵抗4、5を介して電圧、電流を供給するように構成され、かつ電極1と電源3の間に第1の導通遮断素子6が介装されている。また、加工ワーク2と電源3との間に第2の導通遮断素子7が介装されている。コントロール部10から指令される導通遮断指令信号は、第1の導通遮断素子6のゲート駆動回路8に対しては直接入力され、第2の導通遮断素子7のゲート駆動回路9に対しては遅延回路11を介して入力されている。12は電極1と加工ワーク2間に並列に介装された還流抵抗である。
【0024】
以上の構成において、電極1と加工ワーク2との間隙が放電可能な距離になると、放電が始まり加工がスタートすることになる。超微細加工においては、10-7J程度のエネルギーで加工することが望ましく、通常10〜40nsec程度のパルス幅で、0.5A程度の波高値の放電電流で加工することになる。第1の導通遮断素子6として通常のトランジスタを用いた場合には、数100nsec程度のパルス幅発生が限度となる。コントロール部10の指令信号に基づいてゲート駆動回路8を図2(a)に示すようにオン・オフした場合、第1の導通遮断素子6の実際の動作は、図2(b)に示すようになる。すなわち、ゲートON信号よりtd時間遅れ、さらに立ち上がりにtr時間を要する。また、ゲートOFF信号より立ち下がりスタートするまでにtscg 時間がかかり、また遮断が完了するまでにtf時間の立ち下がり時間がかかることになる。一般に立ち上がり時間trは10nsec程度のスピードがあるが、立ち下がり時間tfや遅延時間tscg は、立ち上がり時間trに比べて数10倍の時間がかかるため、ゲート信号を10nsecのパルス幅にしても実際の電流パルス幅は数100nsecのオーダになる。
【0025】
そこで、遅延回路11にて図2(a)のゲートON信号に対してtde時間、例えば5nsecの遅延時間をもたせて、ゲート駆動回路9にて第2の導通遮断素子7に図2(c)に示すようなゲートオン・オフ信号を印加する。すると、第1の導通遮断素子6のオンによって電極1に電圧が印加されるが、第2の導通遮断素子7のオンによって、図2(d)のような電圧が加工ワーク2に印加され、電極1と加工ワーク2間には、図2(e)に示すように、立ち上がり時の各電圧差分のみが印加されることになり、(tde+tr)時間、約15nsecのパルス幅で放電電圧が電極1に印加され、パルス電流及び電圧の幅は約数10nsec程度になる。
【0026】
このように所定の期間放電電圧及び電流を印加し、その後所定の時間遮断するというタイミングを強制的に繰り返すことで、放電加工を行う加工ワーク2への電圧・電流の印加を定期的に遮断することができる。かくして、従来例の連続電圧印加に比べ、電極1と加工ワーク2間への電圧印加の期間を調節することができ、これによって加工媒体に水を用いる場合でも電解作用が生じる前に電圧が遮断されて異常加工が防止される。また、短絡が生じた場合でも回路を遮断することになるので、通常短絡現象は復帰することになる。
【0027】
また、電極1と加工ワーク2の間の加工媒体として、特に比抵抗値が10〜18MΩ・cmの超純水と呼ばれる脱イオン水を用いると、放電加工電流パルス幅が10〜40nsecと小さくても加工ワークを確実にかつ高速にて加工することができる。即ち、電極1と加工ワーク2の間の加工媒体として油を用いて放電加工電流パルス幅を上記のように小さくすると、加工速度が極めて遅くなって実用化が不可能となるが、脱イオン水を用いることで10-7Jレベルの放電エネルギーによる超微細加工を高精度にかつ高速にて加工することができ、超微細加工が実現される。
【0028】
なお、脱イオン水の比抵抗値は、H2 O分子の持つ比抵抗値に限りなく近い18MΩ・cmとなるように生成されるが、電極1と加工ワーク2の間に供給される間に環境のイオンや不純物に晒されて比抵抗値が直ちに低下するため、掛け流しながら加工して加工状態での加工媒体の比抵抗値を10MΩ・cm程度以上となるように調整することにより、上記作用を確保することができる。因みに、通常の純水の比抵抗値は、100K〜1MΩ・cm程度である。
【0029】
放電電流及び電圧のパルス幅は、上記のように10〜40nsecとなるように制御すると、電流のパルス幅が小さいことによって加工面の粗さを少なくでき、電圧のパルス幅が小さいことによって電解腐食の発生を抑制できて効果があるが、特に10〜30nsec、さらには10〜15nsecに制御すると、特に加工媒体として脱イオン水を用いる高速・高精度の超微細加工の実現に効果的である。
【0030】
例えば、脱イオン水雰囲気中にて、ステンレス板に直径15μmのタングステン電極で50μmの深さの加工を行う場合、約30μmまでの深さは短絡の発生もなく加工は進むが、この深さから次第に短絡状態が増加し、加工が進まないことになる。これは、加工深さが深くなるに従って、物理的な放電環境が変化し、放電周期短い場合、短絡現象を発生し易くなるためと考えられる。そこで、図2に示す放電周期Tp、Tsを、基準信号と遅延時間の調整により変更することにより、特にTsの長さを長くすることにより、短絡が発生し難くなり、より早く加工を行うことができる。なお、Tsの値は絶縁媒体や加工ワークの材質によって異なるものである。
【0031】
また、電極1と加工ワーク2間に並列に還流抵抗12を介装しているので、MOSFETの内蔵電荷や浮遊容量の電荷を還流することができ、遮断時の残留電圧、浮遊電圧を瞬時に低減することができる。
【0032】
(第2の実施形態)
次に、本発明の放電加工機の放電加工制御装置の第2の実施形態について、図3、図4を参照して説明する。なお、以下の実施形態の説明においては、先行する実施形態と同一の構成要素については同一参照符号を付して説明を省略し、相違点のみを説明する。
【0033】
本実施形態においては、加工ワーク2と電源3の逆極性側との間に第3の導通遮断素子13が介装され、そのゲート駆動回路14にコントロール部10から指令される導通遮断指令信号が進相回路15を介して入力されている。
【0034】
以上の構成における各波形のタイミングを図4に示す。図4において、図2の波形に加えて、第3の導通遮断素子13に加えるゲート信号を図4(f)に示し、実際の動作波形を図4(g)に示す。ゲート信号は図4(a)よりもtdf時間進んだ位相で供給される。これにより、電源3より第2の導通遮断素子7、電流制限抵抗5を通って流れる、図4(d)に示す放電加工に寄与しない無効電流を、図4(h)に示すように大幅に低減することができる。図4(d)に示すように、第2の導通遮断素子7に大量の無効電流が流れると、この第2の導通遮断素子7が発熱し、温度上昇によって各導通遮断素子6、7、13による損失が大きくなり、加工効率の低下を来すという問題が発生するのを確実に防止することができる。
【0035】
(第3の実施形態)
次に、本発明の放電加工機の放電加工制御装置の第3の実施形態について、図5、図6を参照して説明する。
【0036】
本実施形態においては、第1の導通遮断素子6のゲート駆動回路8とコントロール部10との間にパルス幅及びパルス位相をコントロールする第1のパルス幅・位相コントロール回路16を介装し、第2の導通遮断素子7のゲート駆動回路9とコントロール部10との間にパルス幅及びパルス位相をコントロールする第2のパルス幅・位相コントロール回路17を介装している。また、第1及び第2の導通遮断素子6、7として立ち上がり・立ち下がりの高速な素子を使用している。
【0037】
以上の構成において、第1のパルス幅・位相コントロール回路16にてゲート駆動回路8を介して第1の導通遮断素子6に図6(a)の信号を印加し、第2のパルス幅・位相コントロール回路17にてゲート駆動回路9を介して第2の導通遮断素子7に、図6(b)に示すように、図6(a)の信号の立ち上がりより所定時間遅れて立ち上がり、図6(a)の信号の立ち下がりより所定時間早く立ち下がる信号を印加することにより、図6(c)に示すように、1つのパルス周期の間に、各々10nsecレベルの2重のパルスを発生することができ、微細な加工を高速にて加工することができる。
【0038】
なお、以上の実施形態において、パルス発振や遅延、進相処理は、ナノ秒オーダの信号処理が必要であり、TTLレベルのデジタル信号処理回路にて構成している。そうしないと、信号処理各素子の遅延時間に影響し、目的とする信号を得ることができない。また、導通遮断を行う各導通遮断素子6、7、13も、ゲートのTTLドライブが可能なパワー素子にて構成されている。
【0039】
【発明の効果】
本発明の放電加工方法によれば、以上のように放電電源と電極間を第1の導通遮断素子にて所定タイミングで導通遮断するとともにこの第1の導通遮断素子に比して導通遮断タイミングを所定時間遅延して放電電源と加工ワーク間を第2の導通遮断素子にて導通遮断し、電極と加工ワーク間に差分電圧を印加して放電加工するので、第1と第2の導通遮断素子の導通遮断タイミングの設定によって極短時間の放電パルスを形成することができて超微細加工を実現することができ、また導通遮断素子にて導通遮断制御を行うことができ、放電状態に応じて放電パルスの時間幅を調整することができ、短絡状態を発生し難くできて加工スピードを向上できる。
【0040】
また、第1と第2の導通遮断素子の導通遮断タイミングを、電極と加工ワーク間の放電加工電流及び電圧パルス幅が100nsec以下となるように制御することにより、10-7Jレベルの放電エネルギーによる超微細放電加工を実現でき、かつ加工液に水を用いても電解作用が発生せず、電解作用による加工品位の低下を防止して、加工精度を向上できる。
【0041】
また、放電電源と電極間を導通遮断する第1の導通遮断素子の導通後、所定時間後に放電電源と加工ワーク間を導通遮断する第2の導通遮断素子を導通させ、第2の導通遮断素子を遮断した後所定時間後に第1の導通遮断素子が遮断されるように、第1及び第2の導通遮断素子の導通遮断パルスのパルス幅と位相を調整して放電加工すると、第1及び第2の導通遮断素子として立ち上がり・立ち下がりの高速な素子を用いることにより、1つのパルス周期の間に2重のパルスを得ることができて、微細加工を高速にて加工することができる。
【0042】
また、上記加工方法において、電極と加工ワークの間の加工媒体として脱イオン水を用いると、放電加工電流及び電圧パルス幅が100nsec以下と小さくても加工ワークを確実にかつ高速にて加工することができる。
【0043】
また、本発明の放電加工制御装置によれば、第1の導通遮断素子の導通立ち上り後、第2の導通遮断素子を導通立ち上げして、差分電圧を電極と加工ワーク間に印加するようにしたので、第1と第2の導通遮断素子の導通遮断タイミングの設定によって、100nsec、好適には10〜数10nsecレベルの極短時間の放電パルスを形成することができるとともに、導通遮断素子にて導通遮断し、遅延手段の遅延時間によって放電状態に応じて放電パルスの時間幅を調整することができるため、加工液に水を用いた放電加工においても電解作用を解消して加工品位を向上でき、かつ短絡状態を発生し難くできて加工スピードを向上できる。
【0044】
また、第1の導通遮断素子の導通立ち上り後、第2の導通遮断素子を導通立ち上げし、差分電圧を電極と加工ワーク間に印加し、さらに第3の導通遮断素子の遮断で第1と第2の導通遮断素子の導通を遮断するようにすると、上記第1発明の作用に加え、第3の導通遮断素子により、電源より供給される放電電流に寄与しない無効電流を大幅に低減することができる。
【0045】
また、第2の導通遮断素子の遮断タイミングを第1の導通遮断素子よりも所定時間早めるように、第1と第2の導通遮断素子に対して導通遮断タイミングを指令する第1と第2のパルス発生手段を構成し、第1及び第2の導通遮断素子として立ち上がり・立ち下がりの高速な素子を用いることにより、1つのパルス周期の間に2重のパルスを得ることができて、微細加工を高速にて加工することができる。
【0046】
また、パルス発生手段、遅延手段、及び進相手段を、TTLレベルのデジタル信号処理素子で構成することにより、信号処理各素子の遅延時間の影響を無くして上記作用効果を確実に得ることができる。
【0047】
また、電極と加工ワークの間に並列に還流抵抗を配置すると、導通遮断素子の内蔵電荷や浮遊容量の電荷を還流することができ、遮断時の残留電圧、浮遊電圧を瞬時に低減して上記作用効果を確実に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の放電加工機の放電加工制御装置の第1の実施形態の概略構成図である。
【図2】
同実施形態の放電制御タイミングの説明図である。
【図3】
本発明の放電加工機の放電加工制御装置の第2の実施形態の概略構成図である。
【図4】
同実施形態の放電制御タイミングの説明図である。
【図5】
本発明の放電加工機の放電加工制御装置の第3の実施形態の概略構成図である。
【図6】
同実施形態の放電制御タイミングの説明図である。
【図7】
従来例の微細放電加工機の放電制御装置の概略構成図である。
【図8】
他の従来例の微細放電加工機の放電制御装置の概略構成図である。
【符号の説明】
1 電極
2 加工ワーク
3 電源
6 第1の導通遮断素子
7 第2の導通遮断素子
10 コントロール部
11 遅延回路
13 第3の導通遮断素子
15 進相回路
16 第1のパルス幅・位相コントロール回路
17 第2のパルス幅・位相コントロール回路
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