JP4152080B2 - 放電加工装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、被加工物に対する放電加工を行なうときのスイッチング素子の損失を小さくしながら、加工効率を向上させるようにした放電加工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
まず、被加工物を放電加工するときの原理と、放電加工を行なうときに要求される電流波形形状について説明する。
【0003】
放電加工における放電は、電極と、この電極と対向するように配置される被加工物との間に形成される間隙内で、数十μm以下となるような微小な導電路を捜し出した後、パルス電流を流し、そこで発生する熱エネルギーによって、強制的にその微小導電路、またはそれに接する電極や被加工物の微小部分を蒸散もしくは溶融飛散させることから始まる。この際、パルス電流の時間的な変化率の大きさ、すなわち急峻な立ち上がりを持つ電流と、電流ピーク値の大きさ、電極、被加工物材料などの熱的な特性、そして絶縁液の冷却特性などによって、前記微小部分での蒸散もしくは溶融飛散の程度が決定する。
【0004】
また、被加工物が電気抵抗の小さい材料であれば、ジュール熱による発熱が少なくなり、熱伝導率のよい材料であれば、微小部分での発熱や温度上昇は抑えられ、また溶融潜熱が大きくて、溶融温度の高い材料であれば、たとえ発熱しても溶け難い。さらに、被加工物が溶融時の粘性が大きい材料であれば、溶融してもなかなか飛散しない。
【0005】
そして、実際の加工では、これらのいくつかの条件が重複していることから、加工速度が遅い、面荒さが荒い、または細かい、短絡しやすい、加工能率が落ちる、集中放電が起きやすいなどの現象として現れる。また、ワイヤ放電加工においては短絡現象が多くなり、ワイヤ断線頻度が多いなどの結果となって現れる。
【0006】
また、従来、前記短絡現象を無くすために、電極材料に溶融温度や溶融潜熱の低い、また溶融時の粘度の低い、さらっとした材料からなる合金が使われていた。真鍮などの合金がこれに相当するが、一方で電極が消耗する等の問題が生じることから、ワイヤ放電加工機や高速細孔加工機以外ではあまり使われていない。なお、ワイヤ放電加工用ワイヤ電極として、溶融温度の低い、かつ溶融した時の粘性の小さい材料を被覆した特殊ワイヤが開発されており、このような特殊ワイヤを使用すれば、上述の短絡を防止して加工効率を上げることができる。
【0007】
また、放電開始後は、放電周囲の絶縁液を蒸発させて、急激に膨脹するバブルを形成する。そして、この内部圧力の反作用によって、前記溶融部分はえぐり取られる。放電の継続時間にしたがって、次第に溶融部分が広がる一方で、バブルの拡大により、発生する内部圧力の密度が次第に小さくなる。したがって、材料と放電時間によるえぐりとられる量の最大値が存在し、放電時間(パルス幅)が短くても、また長くても加工能率が低下する。特に放電時間(パルス幅)を必要以上に印加しても、余分な放電時間が電極や被加工物の発熱に使われて溶融に費やされ、溶融層の厚い加工面質となり、好ましくない。
【0008】
このため、放電開始能力としての電流ピーク値や電流の立ち上がり速度の大きさと、加工能力としての放電時間(パルス幅)を加えた各条件が、電極、被加工物、絶縁液の熱的な特性の違いによって、それぞれが単独で選択できるようになっていることが望ましい。また、上述の説明のごとく極めてパルス幅の狭い領域において、三角波状なパルスを使用した場合、効率的な加工を行うことができない。
【0009】
また、矩形波と三角波とでは同一電荷量を投入する場合の電流実効値は矩形波の方が小さい。このため三角波から矩形波にした場合、電極への入熱を低減でき、加工能力を高めることができる。特にワイヤ放電加工装置ではこれがワイヤ断線の防止につながるため非常に有効である。
【0010】
特開平11−48039号公報に開示される放電加工装置は上述の電流の立ち上がり速度、パルス幅を独立に制御し、効率的な加工を得るためのものであり、図30はその回路構成を示した図である。符号101は主直流電源であり、符号102は該主直流電源101の出力電圧よりも低い電圧を供給する副直流電源である。また、符号T101、T102、T103はFETで構成される第1、第2、第3のスイッチング素子である。
【0011】
そして、主直流電源101のプラス側端子は第1のスイッチング素子T101を介して被加工物Wに接続され、また副直流電源102のプラス側端子は第3のスイッチング素子T103を介して被加工物Wに接続されている。また、主、副直流電源101、102のマイナス側端子は、第2のスイッチング素子T102を介して電極Pに接続されている。さらに、スイッチング素子T101、T102、T103を構成するFETのゲートG101〜G103には、それぞれスイッチング素子ドライブ回路(図示は省略する)が接続され、各スイッチング素子ドライブ回路はパルス分配回路(図示は省略する)から出力されるパルスによって、各スイッチング素子T101、T102、T103をオン/オフ制御するようになっている。
【0012】
図31は、図30に示す放電加工装置の動作タイミングと、放電電流(加工電流)の波形との関係例を示す模式図である。
【0013】
まず、放電加工装置による放電加工が開始されると、電極Pと被加工物Wとの間の放電可能な状況に合わせて、パルス幅設定用データt1、t2が設定され、この設定内容に基づき、各スイッチング素子ドライブ回路からパルス幅t2のパルス信号が出力され、第2、第3のスイッチング素子T102、T103が図31(ロ)、(ハ)に示すようにオン状態にされる。
【0014】
この結果、副直流電源102の電圧が第3のスイッチング素子T103、第2のスイッチング素子T102を介して、被加工物Wと電極Pとの間に印加されて、副直流電源102から電流I1(=I0)が流れ、通電ポイントが確保される(図31(ホ)参照)。これは予備放電とも呼ばれ、導電路の確保を目的としており、電源系統を予備放電用に分けてもよい。この電流の立ち上がりは副直流電源102の出力電圧が低いことから緩やかであるが、続いて設定された遅れ時間をおいて、残っているスイッチング素子ドライブ回路から電流ピーク値設定用データで設定された時間幅t1のパルスが出力され、第1のスイッチング素子T101がオン状態にされる(図31(イ)参照)。
【0015】
この結果、高い電圧の主直流電源101から電流が流れ始め、被加工物Wと、電極Pとの間に、図31(二)に示す如く加工電流I0が急峻な立ち上がりで上昇する。ここでは、この加工電流I0の急峻な期間を加工初期期間と定義する。そして、設定された時間幅t1が経過して、第1のスイッチング素子T101がオフ状態になると、加工電流I0の上昇が停止し、前記間隙には再び副直流電源102から電流I1が供給され、加工電流I0がそのピーク値に維持されて、流れることになる。この加工電流の略ピーク値を維持する期間を加工期間中期と定義する。
【0016】
この後、設定されたパルス幅設定用の時間幅t2が経過して、第2、第3のスイッチング素子T102、T103がオフ状態にされると、回路中のインダクタンスによって蓄積された誘導エネルギーによる電流I2、I3がダイオードD101→被加工物W→電極P→ダイオードD102→主直流電源101へと流れて、帰還される。この時、電圧の高い主直流電源101に帰還されることになるから、この加工電流(I2=I3=I0)の立ち下がり速度が急峻になる。
【0017】
以下、この動作が繰り返し実行されて、放電加工が行われることになる。ここでは、電圧印加停止後の加工電流I0を加工期間後期と定義する。
【0018】
そして、図31から明らかのように、第2、第3のスイッチング素子T102、T103をオン状態にさせるパルス幅設定用データt2によって、加工パルス幅をほぼ決めることができ、また第1のスイッチング素子T101をオンさせる電流ピーク値設定用データt1によって加工電流I0のピーク値IPを決めることができることから、電流ピーク値IPと、加工パルス幅の設定を極めて容易に行なわせることができる。また、加工電流I0の立ち上がり、立ち下がりを急峻にさせ、略矩形波の加工電流波形を確保させることができることから、加工効率を向上させることができる。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の放電加工装置においては、主直流電源101より電極Pと、被加工物Wとの間に、電圧を印加して放電電流を流す構成になっているので、加工期間初期と、加工期間中期との切り替え時に、主直流電源101からスイッチング素子T101を介して電流を供給し、電流ピークに達した状態でスイッチング素子T101をオフにしなければならない。このため、スイッチング素子T101を構成しているFETの発熱が大きくなってしまうという問題があった。
【0020】
さらに、スイッチング素子T101を構成しているFETの発熱を抑えるために、放熱フィンを高性能、多並列化しなければならないのみならず、スイッチング素子T101として、大容量のスイッチング素子を使用しなければならず、コストを低減させ難いという問題があった。
【0021】
また、加工期間後期における還流にも問題がある。すなわち、従来の方法では、副直流電源102からの電圧印加を停止した後、回路中に蓄積した誘導エネルギーを上記主直流電源101に帰還させるように構成しているため、主直流電源101が規定する電圧値から還流開始することになる。このため、還流時の電圧値が電源電圧以上に跳ね上がってしまい、この跳ね上がりまで考慮して、スイッチング素子T101の耐圧を高く設計しなければならないという問題があった。
【0022】
したがって、これらの理由から、上述の従来の技術ではコスト高になるし、故障しやすいという問題があった。
【0023】
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、初期電流供給用コンデンサに蓄えられたエネルギーによって、被加工物と、電極との間に加工電流を流し始めさせることができ、これによって低耐圧、低容量のスイッチング素子を使用させて、装置全体のコストを低く抑えさせることができるとともに、放電加工電流のピーク値、加工パルス幅の調整を簡素化させることができ、さらに放電加工電流波形の立ち上がり、立ち下がり部分を急峻化させて、放電加工効率を向上させることができる放電加工装置を得ることを目的とする。
【0024】
また、スイッチング素子ドライブ回路などにより、各スイッチング素子のオン/オフを制御させることなく、初期電流供給用コンデンサから出力される電圧の値が予め設定されている電圧値より低くなったとき、ダイオードによってこれを検知させて、被加工物と、電極との間に加工期間中期用の電流を流させることができ、これによって低耐圧、低容量のスイッチング素子を使用可能にさせて、装置全体のコストを低く抑えさせることができるとともに、放電加工電流のピーク値、加工パルス幅の調整を簡素化させ、さらに放電加工電流波形の立ち上がり、立ち下がり部分を急峻化させて、放電加工効率を向上させることができる放電加工装置を得ることを目的とする。
【0025】
また、初期電流供給用コンデンサに必要な量以上の電荷が蓄積されるのを防止させて、次サイクル以降の加工電流波形が乱れるのを防止させ、これによって正確な制御を可能にさせながら、低耐圧、低容量のスイッチング素子を使用させて、装置全体のコストを低く抑えさせることができるとともに、放電加工電流のピーク値、加工パルス幅の調整を簡素化させ、さらに放電加工電流波形の立ち上がり、立ち下がり部分を急峻化させて、放電加工効率を向上させることができる放電加工装置を得ることを目的とする。
【0026】
また、初期電流供給用コンデンサに必要十分な量の電荷を蓄積させて、次サイクル以降の加工電流波形が乱れるのを防止させ、これによって正確な制御を可能にさせながら、低耐圧、低容量のスイッチング素子を使用させて、装置全体のコストを低く抑えさせることができるとともに、放電加工電流のピーク値、加工パルス幅の調整を簡素化させ、さらに放電加工電流波形の立ち上がり、立ち下がり部分を急峻化させて、放電加工効率を向上させることができる放電加工装置を得ることを目的とする。
【0027】
また、直流電源に浮遊インダクタンス成分が含まれている場合にも、加工電流波形の立ち上がり部分を急峻化させて、放電加工効率を向上させることができるとともに、低耐圧、低容量のスイッチング素子を使用させて、装置全体のコストを低く抑えさせることができ、さらに放電加工電流のピーク値、加工パルス幅の調整を簡素化させることができる放電加工装置を得ることを目的とする。
【0028】
また、アーク電圧が低いときでも、加工電流波形をほぼ矩形状に保持させて、放電加工効率を向上させながら、低耐圧、低容量のスイッチング素子を使用させて、装置全体のコストを低く抑えさせることができるとともに、放電加工電流のピーク値、加工パルス幅の調整を簡素化させることができる放電加工装置を得ることを目的とする。
【0029】
また、加工期間初期の電流値より、加工期間中期の電流値が大きくなり過ぎないようにさせて、加工電流波形をほぼ矩形状に保持させ、これによって放電加工効率を向上させるとともに、低耐圧、低容量のスイッチング素子を使用させて、装置全体のコストを低く抑えさせ、さらに放電加工電流のピーク値、加工パルス幅の調整を簡素化させることができる放電加工装置を得ることを目的とする。
【0030】
また、初期電流供給用コンデンサに十分な電荷を残し、次サイクル以降の加工電流波形が乱れるのを防止させ、正確な制御を可能にさせながら、低耐圧、低容量のスイッチング素子を使用させて、装置全体のコストを低く抑えさせることができるとともに、放電加工電流のピーク値、加工パルス幅の調整を簡素化させ、さらに放電加工電流波形の立ち上がり、立ち下がり部分を急峻化させて、放電加工効率を向上させることができる放電加工装置を得ることを目的とする。
【0031】
また、被加工物に対する加工を開始する前に、初期電流供給用コンデンサに十分な電荷を蓄積させて、加工期間初期における加工電流波形の立ち上がり部分を急峻化させ、これによって放電加工効率を向上させるとともに、低耐圧、低容量のスイッチング素子を使用させて、装置全体のコストを低く抑えさせ、さらに放電加工電流のピーク値、加工パルス幅の調整を簡素化させることができる放電加工装置を得ることを目的とする。
【0032】
また、初期電流供給用コンデンサの配置を多様化させて、設計時の自由度を大幅に向上させながら、低耐圧、低容量のスイッチング素子を使用させて、装置全体のコストを低く抑えさせることができるとともに、放電加工電流のピーク値、加工パルス幅の調整を簡素化させ、さらに放電加工電流波形の立ち上がり、立ち下がり部分を急峻化させて、放電加工効率を向上させることができる放電加工装置を得ることを目的とする。
【0033】
また、被加工物に対する加工を開始する前に、初期電流供給用コンデンサに十分な電荷を蓄積させて、加工期間初期の加工電流波形の立ち上がり、立ち下がり部分を急峻化させて、放電加工効率を向上させながら、低耐圧、低容量のスイッチング素子を使用させて、装置全体のコストを低く抑えさせることができるとともに、放電加工電流のピーク値、加工パルス幅の調整を簡素化させることができる放電加工装置を得ることを目的とする。
【0034】
また、初期電流供給用コンデンサに蓄積される電荷を調整自在にし、加工期間初期の加工電流波形の立ち上がり部分を急峻化させて、放電加工効率を向上させながら、低耐圧、低容量のスイッチング素子を使用させて、装置全体のコストを低く抑えさせることができるとともに、放電加工電流のピーク値、加工パルス幅の調整を簡素化させることができる放電加工装置を得ることを目的とする。
【0035】
また、初期電流供給用コンデンサに蓄積される電荷を段階的に調整自在にし、加工期間初期の加工電流波形の立ち上がり部分を急峻化させて、放電加工効率を向上させながら、低耐圧、低容量のスイッチング素子を使用させて、装置全体のコストを低く抑えさせることができるとともに、放電加工電流のピーク値、加工パルス幅の調整を簡素化させることができる放電加工装置を得ることを目的とする。
【0036】
また、スイッチング素子の耐電圧、電流容量にかかわらず、必要な耐電圧、電流容量を持つスイッチング素子を確保させて、装置全体のコストを低く抑えさせ、さらに放電加工効率を向上させながら、装置全体のコストを低く抑えさせることができるとともに、放電加工電流のピーク値、加工パルス幅の調整を簡素化させることができる放電加工装置を得ることを目的とする。
【0037】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、この発明は、被加工物と電極との間に加工電流を流して、前記被加工物を加工する放電加工装置において、初期電流供給用コンデンサおよび第1スイッチング素子が直列接続された第1の直列回路と、前記被加工物、前記電極および第2スイッチング素子が直列接続され、前記第1の直列回路に並列接続された第2の直列回路と、前記第2の直列回路に並列接続された直流電源とを備え、加工期間初期に、前記第1の直列回路および前記第2の直列回路を通る経路で、前記被加工物と前記電極との間に加工電流が流され、加工期間中期に、前記第2の直列回路および前記直流電源を通る経路で、前記被加工物と前記電極との間に加工電流が流され、加工期間後期に、前記初期電流供給用コンデンサは、前記加工期間中期に蓄積された誘導エネルギーによって充電されることを特徴としている。
【0038】
上記の構成により、被加工物と電極との間に加工電流を流して、前記被加工物を加工する放電加工装置において、加工期間初期に、初期電流供給用コンデンサを有する初期電流供給回路によって、前記被加工物と前記電極との間に加工電流を流し、また加工期間中期に、直流電源を有する中期電流供給回路によって、前記被加工物と前記電極との間に加工電流を流し、加工期間後期に、帰還回路によって、加工期間中期に蓄積された誘導エネルギーを誘導起電圧に変換させ、前記初期電流供給用コンデンサを充電させることにより、初期電流供給用コンデンサに蓄えられたエネルギーによって、被加工物と、電極との間に加工電流を流し始めさせ、これによって低耐圧、低容量のスイッチング素子を使用させて、装置全体のコストを低く抑えさせるとともに、放電加工電流のピーク値、加工パルス幅の調整を簡素化させ、さらに放電加工電流波形の立ち上がり、立ち下がり部分を急峻化させて、放電加工効率を向上させる。
【0039】
つぎの発明は、前記初期電流供給用コンデンサからの加工電流が切れる前に、前記第1スイッチング素子をオフ状態にし、前記直流電源からの加工電流の供給を開始することを特徴としている。
【0040】
中期電流供給回路に設けられたダイオードによって、初期電流供給回路から出力される電圧が予め設定されている電圧より低下したとき、これを検知させて、前記被加工物と前記電極との間に加工電流を流させることにより、スイッチング素子ドライブ回路などにより、各スイッチング素子のオン/オフを制御させることなく、初期電流供給用コンデンサから出力される電圧の値が予め設定されている電圧値より低くなったとき、ダイオードによってこれを検知させて、被加工物と、電極との間に加工期間中期用の電流を流させ、これによって低耐圧、低容量のスイッチング素子を使用可能にさせて、装置全体のコストを低く抑えさせるとともに、放電加工電流のピーク値、加工パルス幅の調整を簡素化させ、さらに放電加工電流波形の立ち上がり、立ち下がり部分を急峻化させて、放電加工効率を向上させる。
【0041】
つぎの発明は、前記初期電流供給用コンデンサと前記第1スイッチング素子との接続点と、前記被加工物または前記電極と前記第2スイッチング素子との接続点とを整流素子を介して接続したことを特徴としている。
つぎの発明は、前記初期電流供給用コンデンサに並列接続された電圧判定回路および電圧リミッタ回路を備え、前記電圧判定回路は、前記初期電流供給用コンデンサの端子電圧を監視し、前記電圧リミッタ回路は、前記初期電流供給用コンデンサの端子電圧が所定電圧に達したとき、これを検知して、前記初期電流供給用コンデンサの充電動作を停止することを特徴としている。
【0042】
前記初期電流供給用コンデンサの端子電圧を監視させ、前記初期電流供給用コンデンサの端子電圧が所定電圧に達したとき、これを検知させて、初期電流供給用コンデンサの充電動作を停止させることにより、初期電流供給用コンデンサに必要な量以上の電荷が蓄積されるのを防止させて、次サイクル以降の加工電流波形が乱れるのを防止させ、これによって正確な制御を可能にさせながら、低耐圧、低容量のスイッチング素子を使用させて、装置全体のコストを低く抑えさせるとともに、放電加工電流のピーク値、加工パルス幅の調整を簡素化させ、さらに放電加工電流波形の立ち上がり、立ち下がり部分を急峻化させて、放電加工効率を向上させる。
【0043】
つぎの発明は、前記初期電流供給用コンデンサに並列接続された電圧モニタ回路を備え、前記電圧モニタ回路は、前記初期電流供給用コンデンサの端子電圧を監視し、この監視結果に基づき、前記直流電源から出力される直流電圧の値を制御することを特徴としている。
【0044】
前記初期電流供給用コンデンサの端子電圧を監視させ、この監視結果に基づき、前記中期電流供給回路の前記直流電源から出力される直流電圧の値を制御させることにより、初期電流供給用コンデンサに必要十分な量の電荷を蓄積させて、次サイクル以降の加工電流波形が乱れるのを防止させ、これによって正確な制御を可能にさせながら、低耐圧、低容量のスイッチング素子を使用させて、装置全体のコストを低く抑えさせるとともに、放電加工電流のピーク値、加工パルス幅の調整を簡素化させ、さらに放電加工電流波形の立ち上がり、立ち下がり部分を急峻化させて、放電加工効率を向上させる。
【0045】
つぎの発明は、前記第2の直列回路および前記直流電源によって構成された中期電流供給回路は、前記直流電源と並列に接続されたコンデンサを併用して、加工期間中期に、前記被加工物と前記電極との間に加工電流を流すことを特徴としている。
【0046】
前記中期電流供給回路内にコンデンサを並列に配置させ、このコンデンサと前記直流電源とを併用させて、加工期間中期に、前記被加工物と前記電極との間に加工電流を流させることにより、直流電源に浮遊インダクタンス成分が含まれている場合にも、加工電流波形の立ち上がり部分を急峻化させて、放電加工効率を向上させるとともに、低耐圧、低容量のスイッチング素子を使用させて、装置全体のコストを低く抑えさせ、さらに放電加工電流のピーク値、加工パルス幅の調整を簡素化させる。
【0047】
つぎの発明は、前記第2の直列回路および前記直流電源によって構成された中期電流供給回路は、前記第2スイッチング素子をオン/オフさせて、加工期間中期に、前記被加工物と前記電極との間に流れる加工電流を断続させ、一定化させることを特徴としている。
【0048】
前記中期電流供給回路内に配置されたスイッチング素子をオン/オフさせて、加工期間中期に、前記被加工物と電極との間に流れる加工電流を断続させ、加工電流を一定化させることにより、アーク電圧が低いときでも、加工電流波形をほぼ矩形状に保持させて、放電加工効率を向上させながら、低耐圧、低容量のスイッチング素子を使用させて、装置全体のコストを低く抑えさせるとともに、放電加工電流のピーク値、加工パルス幅の調整を簡素化させる。
【0049】
つぎの発明は、前記第2の直列回路および前記直流電源によって構成された中期電流供給回路は、加工期間中期の途中で、電流ループを切り替えて、前記直流電源を含まないループで、電流を流させることを特徴としている。
【0050】
加工期間中期の途中で、前記中期電流供給回路内の電流ループを切り替えさせ、前記直流電源を含まないループで、電流を流させることにより、加工期間初期の電流値より、加工期間中期の電流値が大きくなり過ぎないようにさせて、加工電流波形をほぼ矩形状に保持させ、これによって放電加工効率を向上させるとともに、低耐圧、低容量のスイッチング素子を使用させて、装置全体のコストを低く抑えさせ、さらに放電加工電流のピーク値、加工パルス幅の調整を簡素化させる。
【0053】
つぎの発明は、前記初期電流供給用コンデンサに並列接続され、前記直流電源から出力される直流電圧の値より、高い直流電圧を出力する第2の直流電源を持つ予備充電回路を設け、前記第2の直流電源から出力される直流電圧を用いて、加工期間初期前に、前記初期電流供給用コンデンサを予備充電させることを特徴としている。
【0054】
前記中期電流供給回路の前記直流電源から出力される直流電圧の値より、高い直流電圧を出力する直流電源を持つ予備充電回路を設け、この予備充電回路の前記直流電源から出力される直流電圧を用いて、加工期間初期前に、前記初期電流供給用コンデンサを予備充電させることにより、被加工物に対する加工を開始する前に、初期電流供給用コンデンサに十分な電荷を蓄積させて、加工期間初期における加工電流波形の立ち上がり部分を急峻化させ、これによって放電加工効率を向上させるとともに、低耐圧、低容量のスイッチング素子を使用させて、装置全体のコストを低く抑えさせ、さらに放電加工電流のピーク値、加工パルス幅の調整を簡素化させる。
【0055】
つぎの発明は、前記加工期間初期に、前記初期電流供給用コンデンサおよび前記第2の直流電源を使用して、前記被加工物と前記電極との間に加工電流を流すことを特徴としている。
【0056】
前記初期電流供給用コンデンサを使用させて、前記被加工物と前記電極との間に加工電流を流させるとき、前記中期電流供給回路の前記直流電源を通過するループを使用させることにより、初期電流供給用コンデンサの配置を多様化させて、設計時の自由度を大幅に向上させながら、低耐圧、低容量のスイッチング素子を使用させて、装置全体のコストを低く抑えさせるとともに、放電加工電流のピーク値、加工パルス幅の調整を簡素化させ、さらに放電加工電流波形の立ち上がり、立ち下がり部分を急峻化させて、放電加工効率を向上させる。
【0057】
つぎの発明は、前記直流電源から出力される直流電圧を昇圧させる昇圧回路を設け、この昇圧回路から出力される直流電圧を用いて、加工期間初期前に、前記初期電流供給用コンデンサを予備充電させることを特徴としている。
【0058】
前記中期電流供給回路の前記直流電源または他の直流電源から出力される直流電圧を昇圧させる昇圧回路を設け、この昇圧回路から出力される直流電圧を用いて、加工期間初期前に、前記初期電流供給用コンデンサを予備充電させることにより、被加工物に対する加工を開始する前に、初期電流供給用コンデンサに十分な電荷を蓄積させて、加工期間初期の加工電流波形の立ち上がり、立ち下がり部分を急峻化させて、放電加工効率を向上させながら、低耐圧、低容量のスイッチング素子を使用させて、装置全体のコストを低く抑えさせるとともに、放電加工電流のピーク値、加工パルス幅の調整を簡素化させる。
【0059】
つぎの発明は、前記第1の直列回路および前記第2の直列回路によって構成された初期電流供給回路の前記初期電流供給用コンデンサとして、複数のコンデンサを選択的に使用させて、加工期間初期に、前記被加工物と前記電極との間に加工電流を流させることを特徴としている。
【0060】
初期電流供給回路の前記初期電流供給用コンデンサとして、複数のコンデンサを選択的に使用させて、加工期間初期に、前記被加工物と前記電極との間に加工電流を流させることにより、初期電流供給用コンデンサに蓄積される電荷を調整自在にし、加工期間初期の加工電流波形の立ち上がり部分を急峻化させて、放電加工効率を向上させながら、低耐圧、低容量のスイッチング素子を使用させて、装置全体のコストを低く抑えさせるとともに、放電加工電流のピーク値、加工パルス幅の調整を簡素化させる。
【0061】
つぎの発明は、前記初期電流供給用コンデンサとして使用される各コンデンサの容量を互いに異なる値にすることを特徴としている。
【0062】
前記初期電流供給用コンデンサとして使用される各コンデンサの容量を互いに異なる値にさせることにより、初期電流供給用コンデンサに蓄積される電荷を段階的に調整自在にし、加工期間初期の加工電流波形の立ち上がり部分を急峻化させて、放電加工効率を向上させながら、低耐圧、低容量のスイッチング素子を使用させて、装置全体のコストを低く抑えさせるとともに、放電加工電流のピーク値、加工パルス幅の調整を簡素化させる。
【0063】
つぎの発明は、前記第2スイッチング素子として、複数のスイッチング素子を並列、または直列に接続したスイッチング素子群を使用することを特徴としている。
【0064】
前記第2スイッチング素子として、複数のスイッチング素子を並列、または直列に接続したスイッチング素子群を使用させることにより、スイッチング素子の耐電圧、電流容量にかかわらず、必要な耐電圧、電流容量を持つスイッチング素子を確保させて、装置全体のコストを低く抑えさせ、さらに放電加工効率を向上させながら、装置全体のコストを低く抑えさせるとともに、放電加工電流のピーク値、加工パルス幅の調整を簡素化させる。
【0065】
つぎの発明は、前記第1スイッチング素子として、一つのスイッチング素子を使用するか、または複数のスイッチング素子を並列、もしくは直列に接続したスイッチング素子群を使用し、前記初期電流供給用コンデンサから電流を供給するための第1スイッチング素子は、前記初期電流供給用コンデンサへの誘導エネルギーを帰還するのに使用する第2スイッチング素子よりも容量が小さいか、あるいは、並列数が少ないことを特徴とする。
【0066】
前記初期電流供給用コンデンサから電流を供給するためのスイッチング素子の容量を、前記初期電流供給用コンデンサへの誘導エネルギーを帰還するのに使用するスイッチング素子よりも小さくするか、あるいは、並列数を少なくすることにより、並列数を減らすことができ、あるいは、スイッチング素子の容量の小さいものを使用することができる。
【0067】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、この発明にかかる放電加工装置の実施の形態を詳細に説明する。
【0068】
実施の形態1.
図1は、この発明による放電加工装置の実施の形態1を示すブロック図である。
【0069】
この図に示す放電加工装置1aは、加工期間初期において、被加工物Wと電極Pとの間に端子電圧を印加し、加工期間初期の電流“I1”を流すコンデンサ2と、加工期間中期において、被加工物Wと電極Pとの間に端子電圧を印加し、加工期間中期の電流“I2”を流す第1直流電源3と、トランジスタやFET等で構成され、スイッチング素子ドライブ回路(図示は省略する)から出力されるパルス“VG1 ”、“VG2 ”に応じて、被加工物Wに対する給電路の切替を行なう第1、第2スイッチング素子4、5と、コンデンサ2の端子電圧が低下したとき、これを検知してオン状態になるダイオード6と、スイッチング素子ドライブ回路からパルス“VG1 ”、“VG2 ”の出力が停止され、これによって第1、第2スイッチング素子4、5がオフ状態にされて、加工期間後期にされているとき、オン状態になって、被加工物W、電極Pに接続された各ケーブルなどが持っている浮遊リアクトルL1 、L2 に生じた誘導起電流“I3”をコンデンサ2に導いて、これを充電させるダイオード7とを備えている。
【0070】
そして、最初、コンデンサ2に蓄積されている電荷を使用させて、被加工物Wと、電極Pとの間に、加工電流“Ipw”を流し、この後ダイオード6がオン状態になったとき、第1直流電源3を使用させて、被加工物Wと、電極Pとの間に加工電流“Ipw”を流し、この状態で、一定時間が経過した後、第1直流電源3を使用した電流供給を停止させるとともに、浮遊リアクトル“L1 ”、“L2 ”に誘起された誘導起電圧を使用させて、コンデンサ2を充電させながら、被加工物Wと、電極Pとの間に流れる加工電流“Ipw”を急速に低下させる。
【0071】
つぎに、図2に示す波形図、図3〜図5に示す模式図を参照しながら、放電加工装置1aの動作を詳細に説明する。まず、図2(a)、(b)に示す如く加工期間初期に、スイッチング素子ドライブ回路からパルス“VG1 ”、“VG2 ”が出力されたとき、第1スイッチング素子4、第2スイッチング素子5がオン状態になって、コンデンサ2に蓄積された電荷が使用され、図3に示す如くコンデンサ2の一端→第1スイッチング素子4→浮遊リアクトルL1 →被加工物W→電極P→浮遊リアクトルL2 →第2スイッチング素子5→コンデンサ2の他端なるループで、電流“I1”が流れて、図2(d)に示す如く被加工物Wと電極Pとの間に電流“I1”と同じ値を持つ加工電流“Ipw”が流れる。
【0072】
この後、図2(c)に示す如くコンデンサ2の端子電圧VC1 が低下して、第1直流電源3の直流電圧とほぼ一致して、ダイオード6がオン状態になったとき、加工期間中期の動作が開始されて、図4に示す如く第1直流電源3のプラス端子→浮遊リアクトルL1 →被加工物W→電極P→浮遊リアクトルL2 →第2スイッチング素子5→第1直流電源3のマイナス端子なるループで、電流“I2”が流れ、被加工物Wと電極Pとの間に電流“I2”と同じ値を持つ電流“Ipw”が流れる。
【0073】
つぎに、予め設定されている時間が経過し、スイッチング素子ドライブ回路からパルス“VG1 ”、“VG2 ”が出力されなくなったとき、加工期間後期の動作が開始されて、第1、第2スイッチング素子4、5がオフ状態にされる。これにより、浮遊リアクトルL1 、L2 に蓄積された誘導エネルギーによって、誘導起電圧が生成され、図5に示す如く浮遊リアクトルL2 →ダイオード7→コンデンサ2→第1直流電源3→ダイオード6→浮遊リアクトルL1 →被加工物W→電極P→浮遊リアクトルL2 なるループで、誘導電流“I3”が流れ、被加工物Wと電極Pとの間に流れる加工電流“Ipw”が急速に下げられるとともに、コンデンサ2に電荷が蓄積されて、端子電圧が高められる。
【0074】
つぎに、図6に示す等価回路図、図7に示す波形図を参照しながら、上述した加工期間初期、加工期間中期、加工期間後期における加工電流“Ipw”の波形形状についてさらに説明する。
【0075】
まず、放電中の極間電圧(アーク電圧)を無視すると、図3に示す加工期間初期では、放電加工装置1aの回路を単純化して、図6のようなコンデンサ2と、配線による浮遊リアクトル“L”との共振回路8aと等価であると考えて良いことから、コンデンサ2の両端に現われる初期電圧を“V”とすると、次式に示す如く、2π(LC)1/2の周期を持ち、かつ、V・(C/L)1/2のピーク値を持つ関数として、コンデンサ2と、浮遊リアクトル“L”との間に流れる加工電流“Ipw”を表わすことができる。
【0076】
【数1】
【0077】
また、加工電流“Ipw”の立ち上がり付近は上記関数の微分方程式、
【数2】
において、“t=0”のときであるから、次式に示す値になる。
【数3】
【0078】
すなわち、図7に示す如く傾き“V/L”で立ち上がり、“π/2×(LC)1/2”付近で、ピーク値“V・(C/L)1/2”となる電流波形となることから、コンデンサ2の端子電圧を高めるだけで、加工電流“Ipw”の立ち上がり速度を速められることがわかる。
【0079】
また、加工期間中期では、ケーブルなどが持つ浮遊リアクトル“L”と、第1直流電源3の直流電圧“v”から“v/L”の傾きを持って上昇する。そして、説明を簡単にするために、上述した説明において無視していたアーク電圧の値として、このアーク電圧が第1直流電源3の直流電圧“v”とほぼ一致したとき、上昇のないフラットな形状の電流波形を得ることができる。
【0080】
すなわち、アーク電圧を“v’”と仮定すると、次式に示す微分方程式が成り立つことから、
【数4】
“v=v’”になったとき、定電流となる。この際、アーク電圧“v’”は加工条件により、多少変動するものの、ほぼ50V±30V程度になる。
【0081】
また、加工期間後期では、加工期間中期の最後に得たピーク電流がコンデンサ2へ流れ込み、浮遊リアクトル“L1 ”、“L2 ”に蓄えられていた誘導エネルギー“1/2LI2”に対応したエネルギー分だけ、コンデンサ2のエネルギー“1/2CV2”を高めることから、次式に示す関係を満たすまで、コンデンサ2の端子電圧が上昇する。
【数5】
【0082】
この際、加工を始めた瞬間においては、コンデンサ2の両端に端子電圧が発生していないものの、複数回、パルスが印加されることにより、ピーク電流が上昇し、コンデンサ2の端子電圧が上昇する。そして、最終的には、定常状態となり、上述した加工電流“Ipw”を得ることができることから、回路構成を簡素化させながら、加工電流“Ipw”の波形を略矩形して、加工効率を向上させることができる。以下、上述した動作が繰り返し実行され、放電加工が行われることになる。
【0083】
つぎに、図1〜図7に示す各図と、図30、図31に示す各図とを参照しながら、上述した放電加工装置1aと、先行技術で開示された放電加工装置との差異を明確にする。
【0084】
まず、図30に示した先行技術では、加工期間初期に印加する電圧として、副直流電源102から出力される直流電圧を用いていることから、高電圧を印加する加工期間初期用のスイッチング素子T101の他に低電圧を印加する加工期間初期、中期用のスイッチング素子T103を設ける必要があった。
【0085】
また、スイッチング素子T101をオフ状態にするという強制終了で、加工期間初期と加工期間中期との境界を実現しているので、スイッチング素子T101が完全にオフ状態になるまでの間に、主直流電源101から電流が流れ続け、これによるスイッチング素子T101の損失が莫大なものになる。
【0086】
これに比べて、本実施の形態1であれば、第1スイッチング素子4をオン状態にしっぱなしにしておいても、コンデンサ2で規定される電流が流れ切ったとき、ダイオード6がオフ状態からオン状態に切り替わって、自然と加工期間初期から加工期間中期へと移ることから、第1スイッチング素子4の損失自体が存在しない。さらに、加工期間後期における回生動作においても、図30に示す先行技術では、主直流電源101の電位からの回生であり、瞬間的に電圧値が主直流電源101の直流電圧以上に跳ね上がることから、スイッチング素子T101として、高耐圧特性を持つスイッチング素子を使用する必要があった。
【0087】
これに対し、本実施の形態1であれば、コンデンサ2の端子電圧が第1直流電源3の直流電圧“v”に低下した時点からの回生であり、電圧値が眺ね上がらないことから、第1スイッチング素子4の耐圧を低くしても良い。
【0088】
また、一般的に電源供給部に使用されるコンデンサでは、大容量であればあるほど、電源を安定させることができる。これに対し、本実施の形態1で説明しているコンデンサ2はあくまでも電荷量を規定し、加工期間初期に加工電流“Ipw”を流し始めさせるものであり、一般的に使用される電源供給用のコンデンサと異なり、前記(1)式〜(6)式に基づき、その容量が決められる。
【0089】
特に、実施の形態1のように急峻な電流の立ち上がりが必要な場合には、電流ループのコンデンサ2を上述した(1)式〜(6)式に従って規定し、更にループの浮遊リアクトル“L”を極力小さくすることが必要である。こうすることにより、第1直流電源3などから直接、放電電流を供給する構成では得ることのできない急峻な立ち上がり特性を持つ加工電流“Ipw”を確保させることができる。
【0090】
また、ループの浮遊リアクトル“L”は、ケーブルおよびケーブルと被加工物Wあるいは電極Pとの接続部分で発生する浮遊リアクトル“L1 ”、“L2 ”が支配的であるが、それ以外にも回路全体に発生する。
【0091】
そこで、このループの浮遊リアクトル“L”を小さくする手段として、1個のコンデンサによって、コンデンサ2を構成するよりも、複数個のコンデンサを並列接続して、コンデンサ2を構成した方が有利である。さらに、各部品を分散配置させるように、回路基板を設計させることで、ループの浮遊リアクトル“L”を低減させることができ、より速い電流立ち上がり特性を確保させることができる。
【0092】
このように、この実施の形態1では、被加工物Wの加工を行なう際、最初、コンデンサ2に蓄積されている電荷を使用させて、被加工物Wと、電極Pとの間に、鋭い立ち上がりを持つ加工電流“Ipw”を流し、この後コンデンサ2の出力電圧が予め設定されている一定電圧値まで低下し、ダイオード6がオン状態になったとき、第1直流電源3の直流電圧を使用させて、被加工物Wと、電極Pとの間に加工電流“Ipw”を流し、この状態で、一定時間が経過した後、第1直流電源3の直流電圧を使用した電流供給を停止させるとともに、浮遊リアクトル“L1 ”、“L2 ”に誘起された誘導起電圧を使用させて、コンデンサ2を充電させながら、被加工物Wと、電極Pとの間に流れる加工電流“Ipw”を急速に低下させるようにしているので、第1スイッチング素子4に対し、第1直流電源3の直流電圧と、コンデンサ2の端子電圧との差分電圧だけしか印加されないようにすることができ、これによって第1スイッチング素子4の耐圧、容量を下げさせ、装置全体のコストを低く抑えさせることができるとともに、加工電流“Ipw”のピーク値、加工パルス幅の調整を簡素化させることができ、さらに加工電流“Ipw”の立ち上がり、立ち下がり部分を急峻化させて、放電加工効率を向上させることができる。また、たとえば、図1における第1スイッチング素子4は、第2スイッチング素子5よりも少なく構成することができる。
【0093】
また、この実施の形態1では、スイッチング素子ドライブ回路などにより、第1スイッチング素子4をオン/オフ制御させることなく、コンデンサ2から出力される端子電圧の値が予め設定されている電圧値(第1直流電源3の直流電圧)とほぼ等しくなったとき、ダイオード6によってこれを検知させて、被加工物Wと、電極Pとの間に加工期間中期用の加工電流“Ipw”を流させるようにしているので、スイッチング素子ドライブ回路などに負担をかけることなく、加工期間初期から、加工期間中期に移行させることができ、これによって制御手順、放電加工電流のピーク値、加工パルス幅の調整などを簡素化させながら、放電加工電流波形の立ち上がり、立ち下がり部分を急峻化させて、放電加工効率を向上させることができる。
【0094】
実施の形態2.
図8は、この発明による放電加工装置の実施の形態2を示すブロック図である。なお、この図において、図1に示す各部と同じ部分には、同じ符号が付してある。
【0095】
この図に示す放電加工装置1bが図1に示す放電加工装置1aと異なる点は、コンデンサ2の端子電圧と予め設定されている基準電圧値とを比較する電圧判定回路8と、この電圧判定回路8の判定結果に基づき、コンデンサ2の端子電圧上昇を制限する電圧リミッタ回路9とを設け、放電の状態、制御方法に起因して、加工期間後期で回収したエネルギーにばらつきが生じても、コンデンサ2に蓄えられる電荷量が変化しないようにして、次サイクルにおける加工電流“Ipw”の波形形状が変化するのを防止させ、正確な制御を行ない得るようにしたことである。
【0096】
電圧判定回路8は、コンデンサ2の端子電圧を分圧する二つの抵抗10、11と、予め設定されている値以上の電流が供給されたとき、予め設定されている所定電圧(定電圧)を発生する定電圧ダイオード12と、電源ライン13から供給される電源電圧を分圧して、定電圧ダイオード12に印加し、定電圧を発生させる二つの抵抗14、15と、各抵抗10、11によって分圧されたコンデンサ2の出力電圧と定電圧ダイオード12によって生成された所定電圧(基準電圧)とを比較し、コンデンサ2の出力電圧側が基準電圧より高くなったとき、充電停止信号(“Low”信号)を出力するコンパレータ16とを備えており、コンデンサ2の端子電圧を分圧して得られる分圧電圧と、予め設定されている基準電圧とを比較し、コンデンサ2の分圧電圧が基準電圧よりも低いとき、“Hi”信号を生成して電圧リミッタ回路9に供給し、また基準電圧よりも高いとき、“Low”信号を生成して電圧リミッタ回路9に供給する。
【0097】
電圧リミッタ回路9は、コンパレータ16から“Low”信号が出力されているとき、ゲートオフ信号を生成し、またコンパレータ16から“Hi”信号が出力されているとき、ゲートオン信号を生成するゲートドライバ素子17と、このゲートドライバ素子17からゲートオフ信号が出力されているとき、コンデンサ2の両端を開放して、出力電圧の上昇を許容し、またゲートドライバ素子17からゲートオン信号が出力されているとき、コンデンサ2の両端を短絡させて、コンデンサ2の出力電圧上昇を防止するスイッチング素子18と、このスイッチング素子18がコンデンサ2の両端を短絡させるとき、短絡電流を制限して、必要以上にコンデンサ2の出力電圧が低下するのを防止する抵抗19とを備えており、コンパレータ16から“Hi”信号が出力されているとき、コンデンサ2の両端を開放して、出力電圧上昇を許容し、またコンパレータ16から“Low”信号が出力されているとき、コンデンサ2の両端を短絡させて、コンデンサ2の出力電圧を所定のレベルまで低下させる。
【0098】
このように、この実施の形態2では、スイッチング素子ドライブ回路(図示は省略する)によって、第1スイッチング素子4、第2スイッチング素子5を上述した実施の形態1と同様に動作させて、被加工物Wと、電極Pとの間に、鋭い立ち上がり、鋭い立ち下がりを持つ加工電流“Ipw”を流しながら、コンデンサ2の放電状態などが変化して、瞬時電流波形形状が変化しても、コンデンサ2に蓄積される電荷量を調整して、コンデンサ2に必要な量以上の電荷が蓄積されないようにしているので、次サイクル以降の加工電流波形が乱れるのを防止させ、これによって正確な制御を可能にさせながら、低耐圧、低容量の第1スイッチング素子4を使用させて、装置全体のコストを低く抑えさせることができるとともに、加工電流“Ipw”のピーク値、加工パルス幅の調整を簡素化させ、さらに加工電流波形の立ち上がり、立ち下がり部分を急峻化させて、放電加工効率を向上させることができる。
【0099】
実施の形態3.
図9は、この発明による放電加工装置の実施の形態3を示すブロック図である。なお、この図において、図1に示す各部と同じ部分には、同じ符号が付してある。
【0100】
この図に示す放電加工装置1cが図1に示す放電加工装置1aと異なる点は、コンデンサ2の端子電圧を監視する電圧モニタ回路25を設けるとともに、固定電圧型の第1直流電源3に代えて、可変電圧型の第1直流電源3cを設け、コンデンサ2の端子電圧が予め設定されている基準電圧値より高くなったとき、電圧モニタ回路25によって、これを検知して、第1直流電源3cから出力される直流電圧の値を下げて、放電の状態、制御方法に起因し、加工期間後期で回収したエネルギーにばらつきが生じても、コンデンサ2に蓄えられる電荷量が変化しないようにして、次サイクルにおける電流波形形状が変化するのを防止し、正確な制御を行ない得るようにしたことである。
【0101】
このように、この実施の形態3では、スイッチング素子ドライブ回路(図示は省略する)によって、第1スイッチング素子4、第2スイッチング素子5を上述した実施の形態1と同様に動作させて、被加工物Wと、電極Pとの間に、鋭い立ち上がり、鋭い立ち下がりを持つ加工電流“Ipw”を流しながら、コンデンサ2の放電状態などが変化して、瞬時電流波形形状が変化しても、第1直流電源3cから出力される直流電圧の値を調整させて、コンデンサ2に蓄えられるエネルギーを一定値に保持させているので、次サイクル以降の加工電流波形が乱れるのを防止させることができ、これによって正確な制御を可能にさせながら、低耐圧、低容量の第1スイッチング素子4を使用させて、装置全体のコストを低く抑えさせることができるとともに、加工電流“Ipw”のピーク値、加工パルス幅の調整を簡素化させ、さらに加工電流波形の立ち上がり、立ち下がり部分を急峻化させて、放電加工効率を向上させることができる。
【0102】
実施の形態4.
図10は、この発明による放電加工装置の実施の形態4を示すブロック図である。なお、この図において、図1に示す各部と同じ部分には、同じ符号が付してある。
【0103】
この図に示す放電加工装置1dが図1に示す放電加工装置1aと異なる点は、第1直流電源3に対し、コンデンサ2の容量より、大きな容量を持つコンデンサ28を並列に接続し、加工期間中期において、第1直流電源3から直接的に、電流を供給させながら、コンデンサ28から間接的に、電流を供給させて、被加工物Wと、電極Pとの間に加工電流Ipwを流させ、第1直流電源3の浮遊インダクタンスによる電流供給速度低下を防止させるようにしたことである。
【0104】
このように、この実施の形態4では、コンデンサ28に蓄積された電荷によって、第1直流電源3の出力電圧低下を防止させながら、スイッチング素子ドライブ回路(図示は省略する)によって、第1スイッチング素子4、第2スイッチング素子5を上述した実施の形態1と同様に動作させて、被加工物Wと、電極Pとの間に、鋭い立ち上がり、鋭い立ち下がりを持つ加工電流“Ipw”を流させるようにしているので、第1直流電源3に浮遊インダクタンス成分が含まれていたとしてもインダクタンス成分のないコンデンサ28を介した電流供給を可能にし、電流供給速度、すなわち加工電流“Ipw”の立ち上がり速度が低下するのを防止させることができる。
【0105】
また、この実施の形態4では、コンデンサ2の容量に比べて、コンデンサ28の容量を大きくしているので、加工期間後期において、コンデンサ28からコンデンサ2に電流を還流させて、コンデンサ2の端子電圧を十分に高くさせることができる。
【0106】
実施の形態5.
図11は、この発明による放電加工装置の実施の形態5を示すブロック図である。なお、この図において、図1に示す各部と同じ部分には、同じ符号が付してある。
【0107】
この図に示す放電加工装置1eが図1に示す放電加工装置1aと異なる点は、図12(a)、(b)に示す如く加工期間初期において、スイッチング素子ドライブ回路(図示は省略する)から矩形状のパルス“VG1 ”、“VG2 ”を出力させて、図12(c)に示す如くコンデンサ2を放電させて、図12(d)に示す如く被加工物Wと、電極Pとの間に流れる加工電流“Ipw”の立ち上がりを急峻にさせるとともに、加工期間中期において、スイッチング素子ドライブ回路(図示は省略する)から出力されるパルス“VG1 ”、“VG2 ”を複数回、オン/オフさせて、第2スイッチング素子5をオン/オフ制御させ、加工電流“Ipw”のピーク電流を低く抑えさせるようにしたことである。
【0108】
このように、この実施の形態5では、加工期間初期において、第1スイッチング素子4、第2スイッチング素子5を共にオン状態にさせ、加工期間中期において、第1スイッチング素子4、第2スイッチング素子5をオン/オフ状態にさせて、被加工物Wと、電極Pとの間に、鋭い立ち上がり、鋭い立ち下がりを持ち、かつ加工期間中期にフラットになる加工電流“Ipw”を流させるようにしているので、被加工物Wを加工しているとき、アーク電圧が低くなっても、また第1直流電源3から出力される出力電圧“v”の電圧値が変動しても、加工期間中期における加工電流“Ipw”の増加を防止させて、必要以上に電流ピークが高くなるのを防止させ、加工電流波形の形状を矩形波にすることができる。
【0109】
これによって、この実施の形態5では、アーク電圧が低いときでも、加工電流波形をほぼ矩形状に保持させて、放電加工効率を向上させながら、低耐圧、低容量の第1スイッチング素子4を使用させて、装置全体のコストを低く抑えさせることができるとともに、放電加工電流のピーク値、加工パルス幅の調整を簡素化させることができる。
【0110】
また、この実施の形態5では、図1に示す放電加工装置1aのスイッチング素子ドライブ回路を変更して、加工期間中期におけるパルス“VG1 ”、“VG2 ”をオン/オフさせるようにしているが、図8、図9、図10に示す各放電加工装置1b、1c、1dのスイッチング素子ドライブ回路を変更して、加工期間中期におけるパルス“VG1 ”、“VG2 ”をオン/オフさせるようにしても良い。
【0111】
このようにしても、同様に、加工を行なっているとき、アーク電圧が低くなっても、また第1直流電源3から出力される直流電圧“v”の電圧値が変動しても、加工期間中期における加工電流“Ipw”が増加しないようにして、必要以上に電流ピークが高くなるのを防止させ、加工電流波形の形状を矩形波にすることができる。
【0112】
また、この実施の形態5では、加工期間中期における第1スイッチング素子4、第2スイッチング素子5のスイッチング回数は4回にしているが、この回数は任意であるしパルス幅、休止期間なども任意である。
【0113】
実施の形態6.
図13は、この発明による放電加工装置の実施の形態6を示すブロック図である。なお、この図において、図1に示す各部と同じ部分には、同じ符号が付してある。
【0114】
この図に示す放電加工装置1fが図1に示す放電加工装置1aと異なる点は、図14(a)、(b)に示す如く加工期間中期において、スイッチング素子ドライブ回路(図示は省略する)から矩形状のパルス“VG1 ”を出力させたまま、パルス“VG2 ”の出力を停止させて、図14(c)に示す如くコンデンサ2の充電を開始させる前に、浮遊リアクトルL1 、L2 に蓄積された誘導エネルギーによって誘導起電圧を誘起させて、浮遊リアクトルL2 →ダイオード7→第1スイッチング素子4→浮遊リアクトルL1 →被加工物W→電極P→浮遊リアクトルL2 なるループ、すなわち第1の直流電源3を介さないループ31で還流させて、加工期間中期の途中で、加工電流“Ipw”のピーク値を下げるようにしたことである。
【0115】
このように、この実施の形態6では、加工期間初期において、第1スイッチング素子4、第2スイッチング素子5を共にオン状態にさせ、加工期間中期の途中で、第1スイッチング素子4をオン状態にさせたまま、第2スイッチング素子5をオフ状態にさせて、加工電流“Ipw”のピーク値を下げ、被加工物Wと、電極Pとの間に、鋭い立ち上がり、鋭い立ち下がりを持ち、かつ加工期間中期にフラットになる加工電流“Ipw”を流させるようにしているので、被加工物Wを加工しているとき、アーク電圧が低くなっても、また第1直流電源3から出力される出力電圧“v”の電圧値が変動しても、加工期間中期における加工電流“Ipw”の増加を防止させて、必要以上に電流ピークが高くなるのを防止させ、加工電流波形の形状を矩形波にすることができる。
【0116】
これによって、この実施の形態6では、アーク電圧が低いときでも、加工電流波形をほぼ矩形状に保持させ、放電加工効率を向上させながら、低耐圧、低容量の第1スイッチング素子4を使用させて、装置全体のコストを低く抑えることができるとともに、放電加工電流のピーク値、加工パルス幅の調整を簡素化させることができる。
【0117】
また、この実施の形態6では、図1に示す放電加工装置1aのスイッチング素子ドライブ回路を変更して、加工期間中期の途中でパルス“VG2 ”をオフ状態にさせるようにしているが、図8、図9、図10に示す各放電加工装置1b、1c、1dのスイッチング素子ドライブ回路を変更して、加工期間中期の途中でパルス“VG2 ”をオフ状態にさせるようにしても良い。
【0118】
このようにしても、同様に、加工を行なっているとき、アーク電圧が低くなっても、また第1直流電源3から出力される直流電圧“v”の電圧値が変動しても、加工期間中期における加工電流“Ipw”が必要以上に増加しないようにして、電流ピークが高くなるのを防止させ、加工電流波形の形状を矩形波にすることができる。
【0119】
また、この実施の形態6では、図1に示す放電加工装置1aのスイッチング素子ドライブ回路を変更して、加工期間中期の途中でパルス“VG2 ”をオフ状態にさせるようにしているが、図8、図9、図10に示す各放電加工装置1b、1c、1dのスイッチング素子ドライブ回路を変更して、第1スイッチング素子4をオン状態にさせたままで、スイッチング素子5のオン/オフを制御させ、浮遊リアクトルL1 、被加工物W、電極P、浮遊リアクトルL2 、ダイオード7、第1スイッチング素子4を通るループと、第1直流電源3、浮遊リアクトルL1 、被加工物W、電極P、浮遊リアクトルL2 、第2スイッチング素子5を通るループという二つの電流ループを使い分けるようにしても良い。
【0120】
これにより、同様に、加工期間中期の途中で、加工電流“Ipw”のピーク値を低く抑えさせて、加工電流波形形状を略矩形波にし、加工速度を向上させることができる。
【0121】
実施の形態7.
図15は、この発明による放電加工装置の実施の形態7を示すブロック図である。なお、この図において、図1に示す各部と同じ部分には、同じ符号が付してある。
【0122】
この図に示す放電加工装置1gが図1に示す放電加工装置1aと異なる点は、図16(a)、(b)に示す如く加工期間中期において、スイッチング素子ドライブ回路(図示は省略する)から矩形状のパルス“VG2 ”を出力させたまま、パルス“VG1 ”の出力を停止させて、図16(c)に示す如くコンデンサ2から完全に電流が流れ切る前、すなわちコンデンサ2から出力される端子電圧が、第1直流電源3から出力される直流電圧の電圧値“v”まで低下してしまう前に、第1スイッチング素子4をオフ状態にし、第1直流電源3から電流の供給を開始させ、図16(d)に示す如くコンデンサ2と、浮遊リアクトルL1 、L2 と、コンデンサ2から放出される電流の変化分“dI/dt”とによって規定されたsin波形となる加工電流“Ipw”の立ち上がり部分が鋭くなるようにしたことである。
【0123】
このように、この実施の形態7では、コンデンサ2に十分な電荷を残して、加工期間初期にコンデンサ2の端子電圧を高くさせて、sin波形における“dI/dt”の緩やかな箇所を取り除くことができ、これによって図1に示す放電加工装置1aに比べ、急峻に加工電流“Ipw”を立ち上げさせることができるとともに、上述した(1)式〜(6)式から明らかなように、コンデンサ2の容量値あるいは配線の浮遊リアクトルL1 、L2 を調整させることにより、容易にピーク電流、加工パルス幅を調整させながら、低耐圧、低容量の第1スイッチング素子4を使用させて、装置全体のコストを低く抑えさせることができる。
【0124】
なお、この実施の形態7では、図1に示す放電加工装置1aに比べ、第1スイッチング素子4の損失が多少、大きくなってしまうものの、図16(c)に示すように加工期間初期と加工期間中期との境界においてコンデンサ2の端子電圧を低下させることができることから、図30、図31に示す先行技術のように、主直流電源101から電流を供給する場合に比べて、損失を大幅に小さくすることができる。
【0125】
また、この実施の形態7では、図1に示す放電加工装置1aのスイッチング素子ドライブ回路を変更し、加工期間初期において、スイッチング素子ドライブ回路からパルス“VG2 ”を出力させたまま、パルス“VG1 ”の出力を停止させるようにしているが、図8、図9、図10に示す各放電加工装置1b、1c、1dのスイッチング素子ドライブ回路を変更して、第1スイッチング素子4をオン状態にさせたままで、加工期間初期において、スイッチング素子ドライブ回路からパルス“VG2 ”を出力させたまま、パルス“VG1 ”の出力を停止させるようにしても良い。
【0126】
このようにしても、同様に、加工期間初期の立ち上がり部分を急峻にさせることができるとともに、コンデンサ2の容量値あるいは配線の浮遊リアクトルL1 、L2 を調整させることにより、コンデンサ2に十分な電荷を残して、加工期間初期にコンデンサ2の端子電圧を高くさせ、加工電流“Ipw”の立ち上がりを鋭くさせることができる。
【0127】
実施の形態8.
図17は、この発明による放電加工装置の実施の形態8を示すブロック図である。なお、この図において、図1に示す各部と同じ部分には、同じ符号が付してある。
【0128】
この図に示す放電加工装置1hが図1に示す放電加工装置1aと異なる点は、被加工物Wの加工を開始する前に、第1直流電源3より高い出力電圧を出力する第2直流電源35、この第2直流電源35から出力される電流の値を制限しながら、コンデンサ2に供給して、これを予備充電させる抵抗36を備えた予備充電回路37を設け、被加工物Wの加工を開始する前、予備充電回路37によってコンデンサ2を予備充電させて、このコンデンサ2が定常状態に達したときと同じ電荷を蓄積させ、加工開始直後においても、加工電流“Ipw”が三角波にならないようにしたことである。
【0129】
このように、この実施の形態8では、被加工物Wの加工を開始する前において、コンデンサ2に十分な電荷が蓄積されていないとき、予備充電回路37の第2直流電源35のプラス端子から直流電圧を出力させて、第2直流電源35のプラス端子→抵抗36→コンデンサ2→第2直流電源35のマイナス端子ループで電流を流し、コンデンサ2を充電させた後、スイッチング素子ドライブ回路(図示は省略する)によって、第1スイッチング素子4、第2スイッチング素子5を上述した実施の形態1と同様に動作させて、被加工物Wと、電極Pとの間に、鋭い立ち上がり、鋭い立ち下がりを持つ加工電流“Ipw”を流させるようにしているので、被加工物Wを加工するのに重要な、加工開始直後から定常状態に達する間での数サイクルの間においても、コンデンサ2に初期電荷を蓄積させて、加工電流“Ipw”が三角波にならないようにし、加工開始直後から安定した略矩形電流を確保させて、加工効率を高めさせることができるとともに、低耐圧、低容量の第1スイッチング素子4を使用させて、装置全体のコストを低く抑えさせ、さらに加工電流“Ipw”のピーク値、加工パルス幅の調整を簡素化させ、かつ加工電流波形の立ち上がり、立ち下がり部分を急峻化させて、放電加工効率を向上させることができる。
【0130】
また、この実施の形態8では、第2直流電源35に抵抗36を直列に接続しているので、第2直流電源35の近辺に、配線によるインダクタンスが存在しても、このインダクタンスとコンデンサ2とによる共振回路のQ値を下げて、振動を抑制させ、これによって電圧の眺ね上がりを無くさせ、回路動作を安定化させることができる。
【0131】
なお、この実施の形態における第2直流電源35はあくまでもコンデンサ2を充電する補佐的なものであり、加工期間初期において、第2直流電源35から第1スイッチング素子4を介して、被加工物W、電極Pに電流が流れ込むような構成は望ましくないのみならず、加工期間後期においても、回生電流が第2直流電源35に流れ込むことも望ましくはない。
【0132】
すなわち、図30、図31に示す先行技術との差異は、あくまでもコンデンサ2を基点として電流(電荷)のやりとりを行うことであり、第2直流電源35はコンデンサ2に初期電圧を与えた後、切り離させるようにしても良いし、また電流の供給能力を低下させるようにしても良い。
【0133】
また、この実施の形態8では、図1、図8、図9、図10、図11、図13、図15に示す各放電加工装置1a、1b、1c、1d、1e、1gなどと同様に、ダイオード7を用いて電流“I3”を回生させ、ダイオード6を用いて第1直流電源3を保護させるようにして、回路構成を簡素化させるようにしているが、このようなダイオード6、7に代えて、FETなどのスイッチング素子を用い、このような回生、保護を行なわせるようにしても良い。
【0134】
実施の形態9.
図18は、この発明による放電加工装置の実施の形態9を示すブロック図である。なお、この図において、図1に示す各部と同じ部分には、同じ符号が付してある。
【0135】
この図に示す放電加工装置1iが図1に示す放電加工装置1aと異なる点は、コンデンサ2を取り除くとともに、第1直流電源3のプラス端子と、第1スイッチング素子4のドレインとの間に、コンデンサ2と同等の働きをなすコンデンサ2iを配置し、加工期間初期に、図19に示す如く第1直流電源3とコンデンサ2iとの直列回路で得られる出力電圧を被加工物Wと電極Pとの間に印加して、コンデンサ2iの一端→第1スイッチング素子4→浮遊リアクトルL1 →被加工物W→電極P→浮遊リアクトルL2 →第2スイッチング素子5→第1直流電源3→コンデンサ2iの他端なるループで、電流“I1”を流し、また加工期間中期に、図20に示す如く第1直流電源3のプラス端子→ダイオード6→浮遊リアクトルL1 →被加工物W→電極P→浮遊リアクトルL2 →第2スイッチング素子5→第1直流電源3のマイナス端子なるループで電流“I2”を流し、さらに加工期間後期に、図21に示す如く浮遊リアクトルL2 →ダイオード7→コンデンサ2i→ダイオード6→浮遊リアクトルL1 →被加工物W→電極P→浮遊リアクトルL2 なるループで電流“I3”を流すようにしたことである。
【0136】
このように構成しても、図1に示す放電加工装置1aと同様に、低耐圧、低容量の第1スイッチング素子4を使用させて、装置全体のコストを低く抑えさせることができるとともに、放電加工電流のピーク値、加工パルス幅の調整を簡素化させることができ、さらに初期電流供給用のコンデンサ2iの配置を多様化させて、設計時の自由度を大幅に向上させながら、加工電流“Ipw”の形状を略矩形状にし、放電加工効率を向上させることができる。
【0137】
実施の形態10.
図22は、この発明による放電加工装置の実施の形態10を示すブロック図である。なお、この図において、図1に示す各部と同じ部分には、同じ符号が付してある。
【0138】
この図に示す放電加工装置1jは、加工電流“Ipw”の元になる直流電圧を出力する第1直流電源3と、この第1直流電源3から出力される直流電圧を昇圧させるアップコンバータ回路40と、このアップコンバータ回路40から出力される昇圧済みの直流電圧、第1直流電源3から出力される直流電圧を用いて、被加工物Wと電極Pとの間に加工電流“Ipw”を流す加工電流生成回路41とを備えており、被加工物Wの加工を開始する前に、アップコンバータ回路40によって、第1直流電源3から出力される直流電圧を昇圧させて、加工電流生成回路41のコンデンサ2jに高い電圧を蓄積させた後、コンデンサ2jに蓄積された電荷、第1直流電源3から出力される直流電圧を使用させて、加工電流生成回路41に加工電流生成動作を行なわせ、被加工物Wと、電極Pとの間に、加工電流“Ipw”を流させる。
【0139】
アップコンバータ回路40は、スイッチング素子ドライブ回路(図示は省略する)から出力されるパルス“VG3 ”に基づき、第1直流電源3から出力される直流電圧を断続させる第3スイッチング素子43と、この第3スイッチング素子43によって断続された直流電圧を取り込んで、誘導起電圧を発生するリアクトル44と、このリアクトル44に誘起された誘導起電圧を単波整流して加工電流生成回路41のコンデンサ2jに導き、これを充電させるダイオード45とを備えており、被加工物Wの加工処理を開始させる前、第1直流電源3から出力される直流電圧を断続させて、誘導起電圧を発生させるとともに、この誘導起電圧を単波整流して得られた直流電圧を加工電流生成回路41のコンデンサ2jに導き、これを充電させる。
【0140】
加工電流生成回路41は、被加工物Wと電極Pとの間に端子電圧を印加して、加工期間初期の電流“I1”を流すコンデンサ2jと、トランジスタやFET等で構成され、スイッチング素子ドライブ回路(図示は省略する)から出力されるパルス“VG1 ”、“VG2 ”、“VG4 ”に応じて、被加工物Wに対する給電路の切替を行なう第1、第2、第4スイッチング素子4、5、46と、これら第1、第2、第4スイッチング素子4、5、46のうち、第1、第2スイッチング素子4、5がオフ状態にされて、加工期間後期にされているとき、オン状態になって、被加工物W、電極Pに接続された各ケーブルなどが持っている浮遊リアクトルL1 、L2 に生じた誘導起電流“I3”をコンデンサ2jに導いて、これを充電させるダイオード6j、7とを備えており、加工期間初期に、コンデンサ2jから出力される端子電圧を用いて、被加工物Wと、電極Pとの間に加工電流“Ipw”を流し、また加工期間中期に、第1直流電源3から出力される直流電圧を用いて、被加工物Wと、電極Pとの間に加工電流“Ipw”を流し、また加工期間後期に、浮遊リアクトルL1 、L2 に蓄積された誘導エネルギーによって、誘導起電圧を生成させて、コンデンサ2jを充電させる。
【0141】
つぎに、図23〜図28を参照しながら、この放電加工装置1jの動作を説明する。まず、被加工物Wの加工処理を始める前において、コンデンサ2jに十分な電荷が蓄積されていないときには、図23(c)に示すスイッチング素子ドライブ回路からパルス“VG3 ”が出力されて、第3スイッチング素子43がオン状態にされ、図24に示す如く第1直流電源3のプラス端子→リアクトル44→第3スイッチング素子43→第1直流電源3のマイナス端子なるループで電流“I4”が流れて、リアクトル44に誘導エネルギーが蓄積される。
【0142】
この後、スイッチング素子ドライブ回路からパルス“VG3 ”の出力が停止され、第3スイッチング素子43がオフ状態にされたとき、リアクトル44に蓄積された誘導エネルギーによって誘導起電圧が生成され、図25に示す如くリアクトル44の一端→ダイオード45→コンデンサ2j→第1直流電源3→リアクトル44の他端なるループで、電流“I5”が流れて、図23(e)に示す如くコンデンサ2jに電荷が蓄積され、端子電圧VC4 が高められる。
【0143】
つぎに、図23(a)、(b)に示す如く加工期間初期において、スイッチング素子ドライブ回路からパルス“VG1 ”、“VG2 ”が出力されたとき、第1スイッチング素子4、第2スイッチング素子5がオン状態になって、コンデンサ2jに蓄積されていた電荷が使用され、図26に示す如くコンデンサ2jの一端→第1スイッチング素子4→浮遊リアクトルL1 →被加工物W→電極P→浮遊リアクトルL2 →第2スイッチング素子5→コンデンサ2jの他端なるループで、電流“I1”が流れて、図23(f)に示す如く被加工物Wと電極Pとの間に電流“I1”と同じ値を持つ加工電流“Ipw”が流れる。
【0144】
この後、予め設定されている時間が経過して、加工期間中期に移行し、図23(d)に示す如くスイッチング素子ドライブ回路からパルス“VG4 ”が出力されたとき、第4スイッチング素子46がオン状態になって、図27に示す如く第1直流電源3のプラス端子→第4スイッチング素子46→第1スイッチング素子4→浮遊リアクトルL1 →被加工物W→電極P→浮遊リアクトルL2 →第2スイッチング素子5→第1直流電源3のマイナス端子なるループで、電流“I2”が流れて、被加工物Wと電極Pとの間に電流“I2”と同じ値を持つ電流“Ipw”が流れるとともに、第1直流電源3から出力される直流電圧の電圧値に応じて電流ピークが徐々に増加させられる。
【0145】
つぎに、予め設定されている時間が経過して、加工期間後期に移行し、スイッチング素子ドライブ回路からパルス“VG1 ”、“VG2 ”の出力が停止したとき、第1、第2スイッチング素子4、5がオフ状態になって、浮遊リアクトルL1 、L2 に蓄積された誘導エネルギーによって、誘導起電圧が生成され、図28に示す如く浮遊リアクトルL2 →ダイオード7→コンデンサ2j→ダイオード6j→浮遊リアクトルL1 →被加工物W→電極P→浮遊リアクトルL2 なるループで、誘導電流“I3”が流れ、被加工物Wと電極Pとの間に流れる加工電流“Ipw”が急速に下げられるとともに、コンデンサ2jに電荷が蓄積されて、端子電圧が高められる。
【0146】
このように、この実施の形態10では、被加工物Wの加工を開始する前において、コンデンサ2jの十分な電荷が蓄積されていないとき、アップコンバータ回路40を動作させて、第1直流電源3から出力される直流電圧を昇圧させ、これによって得られた高い電圧で、コンデンサ2jを充電させた後、加工電流生成回路41によって、加工電流“Ipw”を生成させて、被加工物Wを加工させるようにしているので、第1スイッチング素子4の耐圧、電流容量を小さくさせて、装置全体のコストを低減させながら、加工開始直後から安定した略矩形状の加工電流“Ipw”を生成させることができ、これによって加工効率を向上することができるとともに、負荷変動などの予期せぬ事態により、コンデンサ2jの電荷が不足しても、第1直流電源3を利用した簡単な回路によって、コンデンサ2jに蓄積される電荷の量を常に理想的な状態に維持させ、動作を安定化させることができる。
【0147】
実施の形態11.
図29は、この発明による放電加工装置の実施の形態11を示すブロック図である。なお、この図において、図1に示す各部と同じ部分には、同じ符号が付してある。
【0148】
この図に示す放電加工装置1kが図1に示す放電加工装置1aと異なる点は、コンデンサ2に代えて、容量可変型のコンデンサ回路50を設け、このコンデンサ回路50の容量を切り替えて、加工期間初期における加工電流“Ipw”の波形形状を調整させるようにしたことである。
【0149】
コンデンサ回路50は、予め設定された容量、たとえば“0.1μF”の容量を持つコンデンサ51と、このコンデンサ51に直列に接続されたFETなどによって構成され、スイッチング素子ドライバ回路からオン信号が出力されたとき、導通状態になって、他端側が第1直流電源3のマイナス端子に接続されたコンデンサ51の一端をダイオード7のカソードに接続させスイッチング素子52と、コンデンサ51の容量に対し、倍の容量“0.2μF”を持つコンデンサ53と、このコンデンサ53に直列に接続されたFETなどによって構成され、スイッチング素子ドライバ回路からオン信号が出力されたとき、他端側が第1直流電源3のマイナス端子に接続されたコンデンサ53の一端をダイオード7のカソードに接続させるスイッチング素子54と、コンデンサ53の容量に対し、倍の容量“0.4μF”を持つコンデンサ55と、このコンデンサ55に直列に接続されたFETなどによって構成され、スイッチング素子ドライバ回路からオン信号が出力されたとき、導通状態になって、他端側が第1直流電源3のマイナス端子に接続されたコンデンサ55の一端をダイオード7のカソードに接続させるスイッチング素子56とを備えている。
【0150】
そして、被加工物Wの種類、厚さなどに応じ、スイッチング素子ドライバ回路に各スイッチング素子52、54、56を選択的にオン状態にさせて、コンデンサ回路50全体の容量を調整させることにより、コンデンサ回路50から出力される電流の値、このコンデンサ回路50に蓄積される電荷の量を調整させ、加工期間初期において、被加工物Wと、電極Pとの間に流れる加工電流“Ipw”の波形を最適化させる。
【0151】
このように、この実施の形態11では、コンデンサ回路50の容量を調整させ、加工期間初期において、被加工物Wと、電極Pとの間に流れる加工電流“Ipw”の波形を調整させるようにしているので、初期電流供給用コンデンサにされたコンデンサ回路50に蓄積される電荷を調整可能にして、加工期間初期の加工電流波形の立ち上がり部分を急峻化させ、放電加工効率を向上させながら、低耐圧、低容量の第1スイッチング素子4を使用させて、装置全体のコストを低く抑えさせることができるとともに、放電加工電流のピーク値、加工パルス幅の調整を簡素化させることができる。
【0152】
また、この実施の形態11では、各コンデンサ51、53、55の容量を各々、“0.1μF”、“0.2μF”、“0.4μF”にし、“0μF”〜“0.7μF”まで、“0.1μF”ずつ8段階に切り替えるようにしているので、コンデンサ回路50の容量を切り替えるとき、デジタル処理に適した形式で、容量切替を行なわせることができる。
【0153】
また、上述した実施の形態1〜11では、第1スイッチング素子4として、設計によって決められた耐電圧、電流容量を持つ一つのスイッチング素子を使用させるようにしているが、このようなスイッチング素子に代えて、同じ耐電圧、電流容量を持つ、複数のスイッチング素子を並列、または直列に接続し、これを第1スイッチング素子4として使用させるようにしても良い。
【0154】
このように構成することにより、安価なスイッチング素子の使用を許してコストを低く抑えさせながら、必要な耐電圧、電流容量を持つ第1スイッチング素子4を確保させることができる。
【0155】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明にかかる放電加工装置では、初期電流供給用コンデンサに蓄えられたエネルギーによって、被加工物と、電極との間に加工電流を流し始めさせることができ、これによって低耐圧、低容量のスイッチング素子を使用させて、装置全体のコストを低く抑えさせることができるとともに、放電加工電流のピーク値、加工パルス幅の調整を簡素化させることができ、さらに放電加工電流波形の立ち上がり、立ち下がり部分を急峻化させて、放電加工効率を向上させることができる。
【0156】
つぎの発明にかかる放電加工装置では、スイッチング素子ドライブ回路などにより、各スイッチング素子のオン/オフを制御させることなく、初期電流供給用コンデンサから出力される電圧の値が予め設定されている電圧値より低くなったとき、ダイオードによってこれを検知させて、被加工物と、電極との間に加工期間中期用の電流を流させることができ、これによって低耐圧、低容量のスイッチング素子を使用可能にさせて、装置全体のコストを低く抑えさせることができるとともに、放電加工電流のピーク値、加工パルス幅の調整を簡素化させ、さらに放電加工電流波形の立ち上がり、立ち下がり部分を急峻化させて、放電加工効率を向上させることができる。
【0157】
つぎの発明にかかる放電加工装置では、初期電流供給用コンデンサに必要な量以上の電荷が蓄積されるのを防止させて、次サイクル以降の加工電流波形が乱れるのを防止させ、これによって正確な制御を可能にさせながら、低耐圧、低容量のスイッチング素子を使用させて、装置全体のコストを低く抑えさせることができるとともに、放電加工電流のピーク値、加工パルス幅の調整を簡素化させ、さらに放電加工電流波形の立ち上がり、立ち下がり部分を急峻化させて、放電加工効率を向上させることができる。
【0158】
つぎの発明にかかる放電加工装置では、初期電流供給用コンデンサに必要十分な量の電荷を蓄積させて、次サイクル以降の加工電流波形が乱れるのを防止させ、これによって正確な制御を可能にさせながら、低耐圧、低容量のスイッチング素子を使用させて、装置全体のコストを低く抑えさせることができるとともに、放電加工電流のピーク値、加工パルス幅の調整を簡素化させ、さらに放電加工電流波形の立ち上がり、立ち下がり部分を急峻化させて、放電加工効率を向上させることができる。
【0159】
つぎの発明にかかる放電加工装置では、直流電源に浮遊インダクタンス成分が含まれている場合にも、加工電流波形の立ち上がり部分を急峻化させて、放電加工効率を向上させることができるとともに、低耐圧、低容量のスイッチング素子を使用させて、装置全体のコストを低く抑えさせることができ、さらに放電加工電流のピーク値、加工パルス幅の調整を簡素化させることができる。
【0160】
つぎの発明にかかる放電加工装置では、アーク電圧が低いときでも、加工電流波形をほぼ矩形状に保持させて、放電加工効率を向上させながら、低耐圧、低容量のスイッチング素子を使用させて、装置全体のコストを低く抑えさせることができるとともに、放電加工電流のピーク値、加工パルス幅の調整を簡素化させることができる。
【0161】
つぎの発明にかかる放電加工装置では、加工期間初期の電流値より、加工期間中期の電流値が大きくなり過ぎないようにさせて、加工電流波形をほぼ矩形状に保持させ、これによって放電加工効率を向上させるとともに、低耐圧、低容量のスイッチング素子を使用させて、装置全体のコストを低く抑えさせ、さらに放電加工電流のピーク値、加工パルス幅の調整を簡素化させることができる。
【0162】
つぎの発明にかかる放電加工装置では、初期電流供給用コンデンサに十分な電荷を残し、次サイクル以降の加工電流波形が乱れるのを防止させ、正確な制御を可能にさせながら、低耐圧、低容量のスイッチング素子を使用させて、装置全体のコストを低く抑えさせることができるとともに、放電加工電流のピーク値、加工パルス幅の調整を簡素化させ、さらに放電加工電流波形の立ち上がり、立ち下がり部分を急峻化させて、放電加工効率を向上させることができる。
【0163】
つぎの発明にかかる放電加工装置では、被加工物に対する加工を開始する前に、初期電流供給用コンデンサに十分な電荷を蓄積させて、加工期間初期における加工電流波形の立ち上がり部分を急峻化させ、これによって放電加工効率を向上させるとともに、低耐圧、低容量のスイッチング素子を使用させて、装置全体のコストを低く抑えさせ、さらに放電加工電流のピーク値、加工パルス幅の調整を簡素化させることができる。
【0164】
つぎの発明にかかる放電加工装置では、初期電流供給用コンデンサの配置を多様化させて、設計時の自由度を大幅に向上させながら、低耐圧、低容量のスイッチング素子を使用させて、装置全体のコストを低く抑えさせることができるとともに、放電加工電流のピーク値、加工パルス幅の調整を簡素化させ、さらに放電加工電流波形の立ち上がり、立ち下がり部分を急峻化させて、放電加工効率を向上させることができる。
【0165】
つぎの発明にかかる放電加工装置では、被加工物に対する加工を開始する前に、初期電流供給用コンデンサに十分な電荷を蓄積させて、加工期間初期の加工電流波形の立ち上がり、立ち下がり部分を急峻化させて、放電加工効率を向上させながら、低耐圧、低容量のスイッチング素子を使用させて、装置全体のコストを低く抑えさせることができるとともに、放電加工電流のピーク値、加工パルス幅の調整を簡素化させることができる。
【0166】
つぎの発明にかかる放電加工装置では、初期電流供給用コンデンサに蓄積される電荷を調整自在にし、加工期間初期の加工電流波形の立ち上がり部分を急峻化させて、放電加工効率を向上させながら、低耐圧、低容量のスイッチング素子を使用させて、装置全体のコストを低く抑えさせることができるとともに、放電加工電流のピーク値、加工パルス幅の調整を簡素化させることができる。
【0167】
つぎの発明にかかる放電加工装置では、初期電流供給用コンデンサに蓄積される電荷を段階的に調整自在にし、加工期間初期の加工電流波形の立ち上がり部分を急峻化させて、放電加工効率を向上させながら、低耐圧、低容量のスイッチング素子を使用させて、装置全体のコストを低く抑えさせることができるとともに、放電加工電流のピーク値、加工パルス幅の調整を簡素化させることができる。
【0168】
つぎの発明にかかる放電加工装置では、スイッチング素子の耐電圧、電流容量にかかわらず、必要な耐電圧、電流容量を持つスイッチング素子を確保させて、装置全体のコストを低く抑えさせ、さらに放電加工効率を向上させながら、装置全体のコストを低く抑えさせることができるとともに、放電加工電流のピーク値、加工パルス幅の調整を簡素化させることができる。
【0169】
つぎの発明にかかる放電加工装置では、初期電流供給用コンデンサから電流を供給するためのスイッチング素子の容量を、当該初期電流供給用コンデンサへの誘導エネルギーを帰還するのに使用するスイッチング素子よりも小さくするか、あるいは、並列数を少なくすることにより、並列数を減らすことができ、あるいは、スイッチング素子の容量の小さいものを使用することができ、その結果、構成を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明による放電加工装置の実施の形態1を示すブロック図である。
【図2】 図1に示した放電加工装置の動作例を示す波形図である。
【図3】 図1に示した放電加工装置における加工期間初期の動作例を示す模式図である。
【図4】 図1に示した放電加工装置における加工期間中期の動作例を示す模式図である。
【図5】 図1に示した放電加工装置における加工期間後期の動作例を示す模式図である。
【図6】 図1に示した放電加工装置における加工期間初期の等価回路例を示す図である。
【図7】 図6に示した等価回路の動作例を示す波形図である。
【図8】 この発明による放電加工装置の実施の形態2を示すブロック図である。
【図9】 この発明による放電加工装置の実施の形態3を示すブロック図である。
【図10】 この発明による放電加工装置の実施の形態4を示すブロック図である。
【図11】 この発明による放電加工装置の実施の形態5を示すブロック図である。
【図12】 図11に示した放電加工装置の動作例を示す波形図である。
【図13】 この発明による放電加工装置の実施の形態6を示すブロック図である。
【図14】 図13に示した放電加工装置の動作例を示す波形図である。
【図15】 この発明による放電加工装置の実施の形態7を示すブロック図である。
【図16】 図15に示した放電加工装置の動作例を示す波形図である。
【図17】 この発明による放電加工装置の実施の形態8を示すブロック図である。
【図18】 この発明による放電加工装置の実施の形態9を示すブロック図である。
【図19】 図18に示した放電加工装置における加工期間初期の動作例を示す模式図である。
【図20】 図18に示した放電加工装置における加工期間中期の動作例を示す模式図である。
【図21】 図18に示した放電加工装置における加工期間後期の動作例を示す模式図である。
【図22】 この発明による放電加工装置の実施の形態10を示すブロック図である。
【図23】 図22に示した放電加工装置の動作例を示す波形図である。
【図24】 図22に示した放電加工装置における加工期間初期前の動作例を示す模式図である。
【図25】 図22に示した放電加工装置における加工期間初期前の動作例を示す模式図である。
【図26】 図22に示した放電加工装置における加工期間初期の動作例を示す模式図である。
【図27】 図22に示した放電加工装置における加工期間中期の動作例を示す模式図である。
【図28】 図22に示した放電加工装置における加工期間後期の動作例を示す模式図である。
【図29】 この発明による放電加工装置の実施の形態11を示すブロック図である。
【図30】 特開平11−48039号公報に開示される放電加工装置の回路構成を示すブロック図である。
【図31】 図30に示した放電加工装置の動作例を示す波形図である。
【符号の説明】
1a〜1k 放電加工装置、2,2i,2j コンデンサ(初期電流供給用コンデンサ、初期電流供給回路)、3,3c 第1直流電源(直流電源、中期電流供給回路)、4 第1スイッチング素子、5 第2スイッチング素子、6 ダイオード(中期電流供給回路)、6j ダイオード、7 ダイオード(帰還回路)、8 電圧判定回路(帰還回路)、9 電圧リミッタ回路(帰還回路)、10,11 抵抗、12 定電圧ダイオード、13 電源ライン、14,15 抵抗、16 コンパレータ、17 ゲートドライバ素子、18 スイッチング素子、19 抵抗、25 電圧モニタ回路(帰還回路)、28 コンデンサ、31 ループ(電流ループ)、35 第2直流電源(直流電源、中期電流供給回路、帰還回路)、36 抵抗、37 予備充電回路、40 アップコンバータ回路(昇圧回路)、41 加工電流生成回路、43 第3スイッチング素子、44 リアクトル、45 ダイオード、46 第4スイッチング素子、50 コンデンサ回路
51,53,55 コンデンサ、52,54,56 スイッチング素子。
Claims (15)
- 被加工物と電極との間に加工電流を流して、前記被加工物を加工する放電加工装置において、
初期電流供給用コンデンサおよび第1スイッチング素子が直列接続された第1の直列回路と、
前記被加工物、前記電極および第2スイッチング素子が直列接続され、前記第1の直列回路に並列接続された第2の直列回路と、
前記第2の直列回路に並列接続された直流電源とを備え、
加工期間初期に、前記第1の直列回路および前記第2の直列回路を通る経路で、前記被加工物と前記電極との間に加工電流が流され、
加工期間中期に、前記第2の直列回路および前記直流電源を通る経路で、前記被加工物と前記電極との間に加工電流が流され、
加工期間後期に、前記初期電流供給用コンデンサは、前記加工期間中期に蓄積された誘導エネルギーによって充電されることを特徴とする放電加工装置。 - 前記初期電流供給用コンデンサからの加工電流が切れる前に、前記第1スイッチング素子をオフ状態にし、前記直流電源からの加工電流の供給を開始することを特徴とする請求項1に記載の放電加工装置。
- 前記初期電流供給用コンデンサと前記第1スイッチング素子との接続点と、前記被加工物または前記電極と前記第2スイッチング素子との接続点とを整流素子を介して接続したことを特徴とする請求項1または2に記載の放電加工装置。
- 前記初期電流供給用コンデンサに並列接続された電圧判定回路および電圧リミッタ回路を備え、
前記電圧判定回路は、前記初期電流供給用コンデンサの端子電圧を監視し、
前記電圧リミッタ回路は、前記初期電流供給用コンデンサの端子電圧が所定電圧に達したとき、これを検知して、前記初期電流供給用コンデンサの充電動作を停止することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の放電加工装置。 - 前記初期電流供給用コンデンサに並列接続された電圧モニタ回路を備え、
前記電圧モニタ回路は、前記初期電流供給用コンデンサの端子電圧を監視し、この監視結果に基づき、前記直流電源から出力される直流電圧の値を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の放電加工装置。 - 前記第2の直列回路および前記直流電源によって構成された中期電流供給回路は、前記直流電源と並列に接続されたコンデンサを併用して、加工期間中期に、前記被加工物と前記電極との間に加工電流を流すことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の放電加工装置。
- 前記第2の直列回路および前記直流電源によって構成された中期電流供給回路は、前記第2スイッチング素子をオン/オフさせて、加工期間中期に、前記被加工物と前記電極との間に流れる加工電流を断続させ、一定化させることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の放電加工装置。
- 前記第2の直列回路および前記直流電源によって構成された中期電流供給回路は、加工期間中期の途中で、電流ループを切り替えて、前記直流電源を含まないループで、電流を流させることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の放電加工装置。
- 前記初期電流供給用コンデンサに並列接続され、前記直流電源から出力される直流電圧の値より、高い直流電圧を出力する第2の直流電源を持つ予備充電回路を設け、前記第2の直流電源から出力される直流電圧を用いて、加工期間初期前に、前記初期電流供給用コンデンサを予備充電させることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の放電加工装置。
- 前記加工期間初期に、前記初期電流供給用コンデンサおよび前記第2の直流電源を使用して、前記被加工物と前記電極との間に加工電流を流すことを特徴とする請求項9に記載の放電加工装置。
- 前記直流電源から出力される直流電圧を昇圧させる昇圧回路を設け、この昇圧回路から出力される直流電圧を用いて、加工期間初期前に、前記初期電流供給用コンデンサを予備充電させることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載の放電加工装置。
- 前記第1の直列回路および前記第2の直列回路によって構成された初期電流供給回路の前記初期電流供給用コンデンサとして、複数のコンデンサを選択的に使用させて、加工期間初期に、前記被加工物と前記電極との間に加工電流を流させることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一つに記載の放電加工装置。
- 前記初期電流供給用コンデンサとして使用される各コンデンサの容量を互いに異なる値にすることを特徴とする請求項12に記載の放電加工装置。
- 前記第2スイッチング素子として、複数のスイッチング素子を並列、または直列に接続したスイッチング素子群を使用することを特徴とする請求項1〜13のいずれか一つに記載の放電加工装置。
- 前記第1スイッチング素子として、一つのスイッチング素子を使用するか、または複数のスイッチング素子を並列、もしくは直列に接続したスイッチング素子群を使用し、
前記初期電流供給用コンデンサから電流を供給するための第1スイッチング素子は、前記初期電流供給用コンデンサへの誘導エネルギーを帰還するのに使用する第2スイッチング素子よりも容量が小さいか、あるいは、並列数が少ないことを特徴とする請求項14に記載の放電加工装置。
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