JP2003122918A - 天候デリバティブシステムならびにホストコンピュータおよび記録媒体 - Google Patents

天候デリバティブシステムならびにホストコンピュータおよび記録媒体

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JP2003122918A
JP2003122918A JP2001314179A JP2001314179A JP2003122918A JP 2003122918 A JP2003122918 A JP 2003122918A JP 2001314179 A JP2001314179 A JP 2001314179A JP 2001314179 A JP2001314179 A JP 2001314179A JP 2003122918 A JP2003122918 A JP 2003122918A
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Hirotaka Mitsui
博隆 三井
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Tokyo Electric Power Company Holdings Inc
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Tokyo Electric Power Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 顧客端末から提示される地点,期間,気象指
標を含む指定条件および気象指標の事業収支に対する影
響指数に対して、より正確な状態推移確率を用いて価格
条件を求めることができる天候デリバティブシステムお
よび当該システムにおける処理プログラムが記録された
記録媒体を提供すること 【解決手段】 地点,期間および気象指標を含む指定条
件、気象現象の事業収支に対する影響量ならびに契約条
件の入力手段を少なくとも有する顧客端末11と、顧客
端末11から、指定条件と前記影響指数を前記顧客端末
から取得し、気象情報データベース12cを検索して、
前記指定条件にかかる事象発生確率を計算し価格条件を
求め、当該価格条件を含む価格情報を前記顧客端末11
に送信するホストコンピュータ12とを有することを特
徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、顧客端末から提示
される地点,期間,気象指標を含む指定条件および気象
指標の事業収支に対する影響量(影響指数)に対して、
より正確な状態推移確率を用いて価格条件を求めること
ができる天候デリバティブシステムおよび当該システム
における処理プログラムが記録された記録媒体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、天候デリバティブにかかる取引
が、行われるようになっている。
【0003】天候デリバティブとは、気温,降水量,積
雪量など気象に関する指標を原資産とするデリバティブ
であり、株式などのデリバティブ同様、オプションやス
ワップといった取引があり、代表的なものとして、気温
のオプションがある。
【0004】気温オプションを買うと、図6の収支線図
に示すように、ある一定期間(例えば、夏場7月1日か
ら9月30日)の平均気温(通常気象庁の観測データを
用いる)が、ある基準気温(例えば27.0℃)を超え
た場合、0.1℃あたり一定額の支払い(例えば、10
0万円)を受ける権利を有することになる。オプション
の売り手は、逆に基準気温を越えた場合には支払いをし
なければならないが、基準気温を下回った場合には支払
いは行われない。
【0005】これでは、売り手が損することになるた
め、買い手側は、オプション契約するとき(購入時)
に、一定のオプション料を売り手側に支払う。これがオ
プションプレミアムと呼ばれるオプションの価格であ
る。理論的には、オプション価格は、支払額の期待値に
等しくなり、売り手と買い手の間でリスクが交換される
形となる。この例の場合、例えばオプション料が500
万円であったとすると、買い手側の収支線図は図7のよ
うになる。オプションの理論価格は、 1)原資産の確率モデル(確率密度関数) f(x) 2)支払いのパターン(収支線図特性) g(x) 3)金利分 exp(-rτ) r:利子,τ:期間 がわかれば、積分により、オプション料は、 C=e−rτ∫g(x)f(x)dx により求めることができる。なお、図6の場合には、 g(x)=max(0,(x−27)×1000万円) である。
【0006】有名なブラックショールズ式は、原資産
が、対数正規分布と呼ばれる確率過程に従う場合に上記
式を計算したものである。
【0007】天候デリバティブの場合、確率モデルとし
ては、正規分布モデルや平均回帰モデル(ディッシェル
D−1モデル等)などが知られているが、これらは平
均気温や降水量など連続値に対するモデルである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、実際の天候
デリバティブにおいては、ある期間の間の降雨あるいは
降雪日数,夏季の熱帯夜あるいは真夏日日数といった、
ある条件を満たす事象が、「発生する日数」という離散
的な値の確率分布で取引をしたい場合もある。この場合
には、正規分布モデルや平均回帰モデルを使用すること
はできない。
【0009】ある事象の発生回数の分布を表す最もよく
知られたモデルとして、2項モデルがある。これは、サ
イコロの出目の分布を表すときに使用されるモデルであ
る。しかしながら、2項分布は、ある事象の発生確率が
独立であるという前提に基づいているため、数日間の過
去の影響を受ける天候指標の確率モデルとしては誤差が
大きくなる。そのため、2項モデルで計算した価格で
の、売り手および買い手(顧客)の一方に、大きな経済
的な損失を発生させる可能性がある。
【0010】本発明の目的は、顧客端末から提示され
る、地点,期間,気象指標を含む指定条件および気象指
標の事業収支に対する影響量(影響指数)に対して、よ
り正確な状態推移確率を用いて価格条件を求めることが
できる天候デリバティブシステムならびにホストコンピ
ュータおよび当該システムにおける処理プログラムが記
録された記録媒体を提供することにある。
【0011】本発明の他の目的は、特定期間内における
ある一定の事象が、「発生する日数」という離散的な値
の確率分布をとるような場合であっても、適切な取引条
件を決定することができる天候デリバティブシステムな
らびにホストコンピュータおよび当該システムにおける
処理プログラムが記録された記録媒体を提供することに
ある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の天候デリバティ
ブシステムは、地点,期間および気象指標を含む指定条
件ならびに気象現象の事業収支に対する影響量を入力す
る入力手段と、その入力手段で入力された情報をホスト
コンピュータに向けて出力する手段を有する顧客端末と
前記顧客端末から出力された前記指定条件と前記影響量
を取得し、少なくとも前記指定条件に基づいて気象情報
データベースを検索して、前記指定条件にかかる事象発
生確率を計算するとともに、その事象発生確率と前記影
響量に基づいて価格条件を求め、当該価格条件を含む価
格情報を前記顧客端末に送信する前記ホストコンピュー
タとを有する。そして、前記事象発生確率を求めるに際
して、過去の履歴を考慮する事を前提としたモデルとマ
ルコフモデルを用いるようにした。
【0013】本発明の天候デリバティブシステムにおけ
る取引対象は、(1)気温(最高気温,最低気温,平均
気温):例えば、ある期間Nにおいて、気温がXX℃を
超えた日数、あるいは下回った日数(真夏日,真冬日,
夏日,冬日,熱帯夜等)、(2)降水量(日降水量,時
間最大降水量):例えば、期間Nにおいて、降水量が、
YYmm以上あるいはYYmm以下の日数、(3)降雪
量(積雪量変化,積雪深):例えば、期間Nにおいて、
降雪量が、YYmm以上あるいはYYmm以下の日数、
(4)風速,風向:例えば、期間Nにおいて、風速ZZ
m/s以上が、AA時間吹いた日数、(5)日照時間:
例えば、期間Nにおいて、日照時間がBB時間以下ある
いはBB時間以上の日数、(6)気圧:例えば、期間N
において、気圧が、DDDhPa以下あるいはDDDh
Pa以上の時間、等である。この場合、日本国気象庁あ
るいは他国の気象情報センターにて観測が行われてい
る、気象要素を含めることができる。
【0014】本発明の天候デリバティブシステムは、前
記顧客端末が、契約条件の入力手段をさらに有し、前記
ホストコンピュータは、前記契約条件および前記価格情
報に基づき、契約価格を算出し、前記顧客端末に送信す
るようにするとよい。
【0015】前記契約条件には、デリバティブ契約金額
に関する情報(権利行使値,単位支払(受取)額,上限
支払(受取)額等が含まれている。つまり、顧客端末か
ら契約条件を入力することにより、ホストコンピュータ
側では、顧客の要求がより詳細に分かり、当初から希望
に添った条件を算出し、提示可能となる。もっとも、契
約条件は、必ずしも顧客端末から入力する必要はない。
つまり、契約条件のサンプル(テンプレート)となる上
方をデータベースとして保持しておき、指定条件と影響
量に基づいて、1または複数の契約条件(案)を求め、
それを提示するようにしても良い。
【0016】たとえば、前記権利行使値は、契約期間×
(気象指標の過去の平均値と設定気象指標との差異)で表
され、設定気象指標は、気象現象の事業収支に対する影
響量を考慮した顧客からの指示で設定される。前記権利
行使値と契約期間×(気象指標の値と設定気象指標との
差異)との差異が単位となり、支払(受取)額が決ま
る。そして、前記契約条件には、デリバティブ契約金額
に関する情報(権利行使値、単位支払(受取)額、上限
支払(受取)額等が含まれている。
【0017】指定地点は単一地点でもよいし複数地点で
もよい(A地点での気温がXX℃以上、かつB地点での
気温がXX℃以上等)。また、複数の気象指標を使用
(気温がXX℃以上、降水量がYYmm以下等)しても
よい。これらの組合せについても、マルコフモデルを適
用することにより、試算が容易にできる。
【0018】本発明の天候デリバティブシステムでは、
前記顧客端末が、前記契約価格の受信後、前記指定条
件,影響量ならびに契約条件の少なくとも1つの変更を
ホストコンピュータ側に指示したときには前記ホストコ
ンピュータ側が、再度価格条件を求め、新たに契約価格
を前記顧客端末に送信することもできる。
【0019】また、本発明の天候デリバティブシステム
では、マルコフモデルを用いているので、特に契約期間
が短い場合に、価格の計算精度の向上が可能で、顕著な
効果が期待できる。具体的には、例えば、前記指定条件
の期間を1日〜20日とすることができる。上記期間が
20日を超えると、正規分布や2項モデル等を採用する
場合と比較して顕著な効果が期待できない場合がある。
上記期間が短期である場合には、特にマルコフモデルを
採用することで、顕著な効果が期待できる。従って、上
記のような期間が好ましい。もちろん、本発明では、係
る期間に限定されない。
【0020】本発明の天候デリバティブシステムでは、
前記指定条件において、事象発生確率を、離散日につい
て指定することができる。もちろん、連続日の場合にも
効果を期待できるが、ある期間の降雨日数,降雪日数,
夏季の熱帯夜,真夏日の日数等のある条件を満たす事象
が「発生する日数」といった離散的な値を求める場合にお
いて、マルコフモデルを採用することで、特に顕著な効
果が期待できる。
【0021】また、本発明に係る天候デリバティブシス
テム用のホストコンピュータでは、顧客が希望する地
点,期間および気象指標を含む指定条件ならびに気象現
象の事業収支に対する影響量を取得する手段と、少なく
とも前記指定条件に基づいて気象情報データベースを検
索して、前記指定条件にかかる事象発生確率を計算する
手段と、その事象発生確率と前記影響量に基づいて価格
条件を求め、当該価格条件を含む価格情報を生成すると
ともに出力する手段を備え、前記事象発生確率を求める
に際して、マルコフモデルを用いるようにした。
【0022】更に、本発明のコンピュータに読み込み可
能な記録媒体は、地点、期間、気象指標を含む気象条件
と、事業収支に対する影響量と、権利行使値,単位支払
額,上限支払額を含む契約条件とを取得するステップ
と、前記気象条件に対する条件選択を行うステップと、
気象情報データベースを用いて気象条件の検索を行うス
テップと、マルコフモデルを用いて指定事象発生確率を
求めるステップと、前記事業収支に対する影響量および
契約条件を用いて、デリバティブ価格を計算するステッ
プと、そのデリバティブ価格を、ネットワークを介して
顧客端末に転送するステップを含む処理プログラムが記
録されるようにした。この記録媒体は、CD−ROM,
MO,FD等の形態で、前記ホストコンピュータにイン
ストールされる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な一実施の形
態を説明する。図1は、天候デリバティブシステムの構
成図である。図示するように、天候デリバティブシステ
ム1は、顧客端末11と、ホストコンピュータ12と
が、ネットワーク100を介して接続されることにより
構成されている。また、図1ではネットワーク100に
は、外部気象情報データベース13が接続されている。
【0024】顧客端末11には、所定の指定条件Rの入
力手段(ユーザインタフェース11a)が備えられてお
り、入力された条件は、ホストコンピュータ12に送信
される。指定条件Rは、(1)気象条件α(地点α1,
期間α2,気象指標α3)、(2)事業収支に対する影
響量β(損益額等)、(3)契約条件γ(権利行使値γ
1,単位支払額γ2,上限支払額γ3)からなる。事業
収支に対する影響量βは、もちろん顧客における想定情
報であるので、ホストコンピュータ側においても、独自
の情報をインプットする必要性がある。
【0025】事業収支に対する影響量βは、顧客におけ
る想定情報とすることができ、この場合にはホストコン
ピュータ側においても、独自の情報をインプットして影
響量βを求めることができる。この影響量βは、単純な
変数でも良いし、To℃以上で1℃あたりXX万円とい
う形や(図2(a)参照)、多項式(図2(b)参
照)、区分線形型の関数(図2(c)参照)およびその
組み合わせとして指定する等、各種の形態が取り得る。
【0026】ホストコンピュータ12は、天候デリバテ
ィブ計算サーバ12aと、マルコフモデルデータベース
12bと、気象情報データベース12cとを含んで構成
される。
【0027】ホストコンピュータ12は、顧客端末11
から、指定条件Rを受信すると、天候デリバティブ計算
サーバ12aが、指定条件Rの中で示された気象条件α
に基づいて、気象情報データベース12cにアクセスし
て、関連する気象情報Sを取得する。
【0028】次に,天候デリバティブ計算サーバ12a
は、気象条件αおよび気象情報Sをもとに、マルコフモ
デルデータベース12bにアクセスして状態推移モデル
の選定を行った後に、顧客端末11からの指定条件Rの
中で示された事業収支に対する影響量βおよび契約条件
γを用いて、デリバティブ価格を求める。そして、ホス
トコンピュータ12は、これを顧客端末11に送信し、
顧客端末11では、デリバティブ価格をユーザインタフ
ェース11aにリアルタイムに表示する。
【0029】以下、図1に示す天候デリバティブシステ
ム1の作用を、図3の流れ図を参照して説明する。ま
ず、顧客端末11において、気象条件α(地点α1、期
間α2、気象指標α3)と、事業収支に対する影響量β
と、契約条件γ(権利行使値γ1、単位支払額γ2、上
限支払額γ3)とが入力される(S101)。
【0030】地点α1は、単一地点で指定できるように
してもよいし、複数地点で指定できるようにしてもよ
い。また、期間α2は、単一期間で指定できるようにし
てもよいし、複数期間で指定できるようにしてもよい。
さらに、気象指標α3は、猛暑、冷夏、多雨、少雨、豪
雪、小雪等があり、これらは、単一気象指標でも複数気
象指標でも良い。
【0031】ホストコンピュータ12は、気象条件α
(地点α1,期間α2,気象指標α3)に対する条件選
択を行い(S102)、気象データの検索を行う(S1
03)。
【0032】この検索のステップS103では、気象情
報データベース12cにより検索を行う。気象情報デー
タベース12cのデータは、外部気象情報データベース
13から取得される(なお、このデータは定期的に更新
される)。気象情報データベース12cのデータの取得
は、気象庁外郭団体気象業務支援センター等から、定期
配信される気象データをオンラインにて行ってもよい
し、CD−ROMなどの記録媒体から行ってもよい。
【0033】次に、状態数,地点数に基づき、マルコフ
モデルデータベース12bを用いて状態推移モデル(マ
ルコフモデル)の選定を行う(S104)。状態数をい
くつにとるかや、地点が単数であるか複数であるかなど
により、異なる状態推移モデルを選択することもでき
る。最も簡単なモデルは,「0」,「1」の2状態モデル
(晴と雨、真夏日とそうでない日、熱帯夜とそうでない
日、等)である。3日以上の連続的な気象変化を考慮す
るモデルにすることもできる。もちろん、3以上の状態
モデル,例えば、図4に示すような、4状態モデル(雨
雨、雨晴、晴雨、晴晴)をとることもできる。
【0034】上記のようにしてモデルを選定した後、状
態推移モデルに基づき、状態推移確率計算を行い(S1
05)、期間数Nの全気象状態Sについての状態行列
(N×S)を求め(S106)、指定事象発生回数の
計算により事象発生回数ベクトル(S)を求め(S1
07)、状態推移行列(N−1)×Sを求め(S10
8)、状態推移発生回数(状態推移発生回数行列(S
×S))を求め(S109)、指定事象発生確率の計
算により確率分布(N)を求める(S110)。
【0035】そして、指定条件Rの中で示された事業収
支に対する影響量βおよび契約条件γ(権利行使値γ
1,単位支払額γ2,上限支払額γ3等)を用いて、デ
リバティブ価格を計算する(S111)。
【0036】上記のデリバティブ価格を、ネットワーク
100を介して顧客(顧客端末11)に提示する(S1
12)。デリバティブ価格の提示に対して合意がなされ
ないときは、顧客は、指定条件Rの中で示された事業収
支に対する影響量βおよび契約条件γ(権利行使値γ
1,単位支払額γ2,上限支払額γ3等)を、リアルタ
イムで変更することができる。この変更がなされた場合
には、新たに、デリバティブ価格計算(S111)を行
う(条件修正I)。
【0037】また、デリバティブ価格の提示に対して合
意がなされないときは、顧客は、指定条件Rの中で示さ
れた気象条件α(地点α1、期間α2、気象指標α3)
を変更することができる。この変更がなされた場合に
は、気象条件αを変更し、ステップS103に戻る。そ
して、ステップS104〜S111を再度実行してデリ
バティブ価格の再計算を行い(S111)、新たな価格
を顧客に提示する(S112)。ここで、デリバティブ
価格について、売り手と顧客(買い手)の間で合意がな
された時は、両者間にて契約が行われる(S113)。
次に、天候デリバティブの一商品である降雨日数オプシ
ョンの一例について説明する。ここでは、降雨日数オプ
ションとして、「ゴールデンウイーク4月29日から5
月7日までの9日間に日降雨推量が1mm以上降った日
数が、3日を超えた場合、1日あたり1000万円の支
払を上限6日間まで保証する」というような、離散的な
オプションが提案されたものとする。
【0038】上記のような降雨日数という離散的な指数
で、かつ契約期間が9日間と短期間であるので、降雨日
数の確率分布を正規分布もしくは平均回帰で近似するこ
とは困難である。
【0039】更に、実際の気象現象は、過去の履歴の影
響をうけている。過去の統計からも雨の日の翌日がまた
雨が降る確率と、晴れの日の翌日が雨になる確率とは同
一ではない。
【0040】このような履歴を扱うことのできるモデル
として、マルコフ過程が知られている。係るマルコフ過
程を用いた降雨日数の価格決定は、以下の手順で行うこ
とができる。 ・ステップ1:過去統計データの変換 ・ステップ2:推移確率の推定 ・ステップ3:降雨日数の発生確率の導出 ・ステップ4:オプションプレミアムの計算 ここで、もっとも単純な連続した2日間の天気の移り変
わりだけを考えたモデルを考えると、図5の状態遷移図
に示すように、雨の日の翌日が晴れる確率をp〈a〉と
すると、雨が連続して降る確率は(1−p〈a〉)、晴
の日の翌日が雨となる確率をq〈a〉とおくと、晴が連
続する確率は(1−q〈a〉)で表される。係るモデル
に対し、上記各ステップを実行すると以下の通りとな
る。
【0041】《ステップ1:過去統計データの変換》と
り得る状態として、一日の降水量がある値Xmm以上の
日を「雨」、それ以外を「晴」と表記することにする。
まず、気象データ(例えばアメダス)より、Y年間のあ
る期間T日間の毎日について、〔表1〕に示すような、
「雨」のときに「1」、晴のときに「0」としたY行T列の
行列Mを作成する(以下、これを「晴雨行列」と言う)。
【0042】
【表1】
【0043】次に、晴雨行列Mから状態推移(前日→当
日:雨→雨、雨→晴、晴→雨、晴→晴)の発生回数を求
める。状態遷移を雨雨(11)、雨晴(10)、晴雨
(01)、晴晴(00)と2進数で表記することにする
と、〔表2〕に示すような、晴雨行列Mの各要素をm
ijに対し、 m′ij=2×mij+2×mi,j+1 (i=1,2,・・・,Y,j=1,2,・・・,(T
−1)) を行列の各要素とする状態推移行列M′を求めることが
できる。
【0044】
【表2】
【0045】履歴において状態iから状態jに移行する
回数nijは、状態推移行列M′で値が2×i+2
×jである要素の個数を数えることで得られる。 《ステップ2:推移確率の推定》最尤推定法を用いて、
推移確率を計算する。状態推移行列をP={pij}と
すると、尤度関数、
【数1】
【0046】を最大化するpijをラグランジェ未定乗
数法により求める。図1の例では、推移確率p,qの推
定値は、
【数2】
【0047】となる。 《ステップ3:降雨日数の発生確率の導出》期間T日間
の間に、雨か晴が発生する組合せは、2通りある。
【0048】〔表3〕に示すように、晴雨の発生パター
ンを行とする2行T列の晴雨行列Nを生成し、各行の
和を要素とする列ベクトルnrを作成すると、nrは各
パターンの降雨日数を要素とする列ベクトルとなる。
【0049】
【表3】
【0050】次に、晴雨行列Nからステップ1と同様に
状態推移行列N′を生成し、N′の各行について状態推
移の発生回数nij(i=0,1;j=0,1)を計算
する。k行の状態推移回数をnij(k)と表記する
と、降雨日数がX日となる確率は、
【数3】
【0051】で表される。 《ステップ4:オプションプレミアムの計算》マルコフ
モデルを用いた降雨日数のオプションプレミアムは、
【数4】
【0052】で表されるので、支払いパターンg(x)
及び、(3)式を代入することで計算される。
【0053】以上のようにしてステップ1〜ステップ4
の実行により、特定期間内におけるある一定の事象が、
「発生する日数」という離散的な値の確率分布をとるよ
うな場合であっても、適切な取引条件を決定し、売り手
および顧客双方に、不慮の損失が生じない天候デリバテ
ィブ条件を構築することができる。そして、マルコフモ
デルは、以下のステップにより検証(最適化)すること
ができる。
【0054】n次の推移確率について、χ自乗分布を
用いた適合度検定を行う。nij (n)を、ある日にお
ける状態がiでかつn日後の状態がjである回数とお
き、値を履歴より計算する。
【0055】次に、最尤推定した推移確率を元に、n次
の推移確率行列を求める。
【0056】
【数5】
【0057】を計算し、自由度2のχ分布の%点と比
較する。 斉時性の検証は、履歴を小期間k=1,・・・,Kに
分割し、各期間ごとにn ij(k)を計算し、
【数6】
【0058】を求めることで行う。小期間の取り方とし
ては、 i)年1,・・・,Yに分割する、 ii)期間TをT=T,..,Tに分割する、 の2通りが考えられる。
【0059】推移確率の推定誤差の評価を、以下のよ
うにして行う。推移確率の最尤推定量は、T→∞におい
て、近似的に、〔表4〕に示すような、期待値と分散の
正規分布に従う。
【0060】
【表4】
【0061】ベクトルnを、行列nijで近似するこ
とで、推移確率を区間推定できる。pijの95%の信
頼限界は、
【数7】
【0062】で与えられる。
【0063】また、状態数Sを増やすと、モデルの説明
力は増えるが、Pijの精度が落ちるため、計算価格に誤
差が発生する。そこで、最適なモデルは以下の方法によ
り選択することができる。
【0064】まず、状態数を変化させた複数のモデルに
ついて、推移確率及びその推定誤差(標準偏差)を計算
する。各モデルごとにモンテカルロ法などを用いて、
(4)式より天候デリバティブの価格の確率分布を求め
る。価格の確率分布の95%点あるいは99%点の値
が、価格の期待値からどれだけ外れているかを計算し、
最も外れが小さいモデルを選択すれば、それが最も計算
誤差の小さなモデルといえる。
【0065】
【発明の効果】本発明によれば、顧客端末から提示され
る地点,期間,気象指標を含む指定条件および気象指標
の事業収支に対する影響指数に対して、より正確な状態
推移確率を用いて価格条件を求めることができる。
【0066】また、本発明によれば、特定期間内におけ
るある一定の事象が、「発生する日数」という離散的な
値の確率分布をとるような場合であっても、適切な取引
条件を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のデリバティブシステムの構成図であ
る。
【図2】影響量を示す図である。
【図3】本発明のデリバティブシステムにおける処理の
流れを示す流れ図である。
【図4】本発明の状態遷移モデルである。
【図5】2日間の天気の移り変わりについての降雨日数
の状態遷移図である。
【図6】オプションプレミアムがない場合の収支線図で
ある。
【図7】オプションプレミアムがある場合の収支線図で
ある。
【符号の説明】
1 天候デリバティブシステム 11 顧客端末 12 ホストコンピュータ 13 外部気象情報データベース 100 ネットワーク 11a ユーザインタフェース 12a 天候デリバティブ計算サーバ 12b マルコフモデルデータベース 12c 気象情報データベース

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 地点,期間および気象指標を含む指定条
    件ならびに気象現象の事業収支に対する影響量を入力す
    る入力手段と、その入力手段で入力された情報をホスト
    コンピュータに向けて出力する手段を有する顧客端末
    と、 前記顧客端末から出力された前記指定条件と前記影響量
    を取得し、少なくとも前記指定条件に基づいて気象情報
    データベースを検索して、前記指定条件にかかる事象発
    生確率を計算するとともに、その事象発生確率と前記影
    響量に基づいて価格条件を求め、当該価格条件を含む価
    格情報を前記顧客端末に送信する前記ホストコンピュー
    タとを有し、 前記事象発生確率を求めるに際して、マルコフモデルを
    用いることを特徴とする天候デリバティブシステム。
  2. 【請求項2】 前記顧客端末は、契約条件の入力手段を
    さらに有し、 前記ホストコンピュータは、前記契約条件および前記価
    格情報に基づき、契約価格を算出し、前記顧客端末に送
    信することを特徴とする請求項1に記載の天候デリバテ
    ィブシステム。
  3. 【請求項3】 前記顧客端末が、前記契約価格の受信
    後、前記指定条件,影響量ならびに契約条件の、少なく
    とも1つの変更をホストコンピュータ側に指示したとき
    には、前記ホストコンピュータ側が、再度価格条件を求
    め、新たに契約価格を、前記顧客端末に送信することを
    特徴とする請求項1または2に記載の天候デリバティブ
    システム。
  4. 【請求項4】 顧客が希望する地点,期間および気象指
    標を含む指定条件ならびに気象現象の事業収支に対する
    影響量を取得する手段と、 少なくとも前記指定条件に基づいて気象情報データベー
    スを検索して、前記指定条件にかかる事象発生確率を計
    算する手段と、 その事象発生確率と前記影響量に基づいて価格条件を求
    め、当該価格条件を含む価格情報を生成するとともに出
    力する手段を備え、 前記事象発生確率を求めるに際して、マルコフモデルを
    用いることを特徴とする天候デリバティブシステムにお
    けるホストコンピュータ。
  5. 【請求項5】 地点,期間,気象指標を含む気象条件
    と、事業収支に対する影響量と、権利行使値,単位支払
    額,上限支払額を含む契約条件とを取得するステップ、 前記気象条件に対する条件選択を行うステップ、 気象情報データベースを用いて気象条件の検索を行うス
    テップ、 マルコフモデルを用いて指定事象発生確率を求めるステ
    ップ、 前記事業収支に対する影響量および契約条件を用いて、
    デリバティブ価格を計算するステップ、 前記デリバティブ価格を、ネットワークを介して顧客端
    末に転送するステップを含む処理プログラムが記録され
    たコンピュータに読み込み可能な記録媒体。
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