JP2002288437A - 天候デリバティブプライシングシステム及びその方法 - Google Patents

天候デリバティブプライシングシステム及びその方法

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JP2002288437A
JP2002288437A JP2001084071A JP2001084071A JP2002288437A JP 2002288437 A JP2002288437 A JP 2002288437A JP 2001084071 A JP2001084071 A JP 2001084071A JP 2001084071 A JP2001084071 A JP 2001084071A JP 2002288437 A JP2002288437 A JP 2002288437A
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weather data
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Kosuke Shiihara
浩輔 椎原
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Sakura Bank Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 天候デリバティブの特質に対応し信頼性の高
いプライシングが随時行えるコンピュータシステム及び
その方法を提供する。 【解決手段】 天候デリバティブ取引概要情報格納部9
と、初期契約条件格納部10と、気象データ格納部11
と、観測地情報格納部12と、プレミアム価格及び時価
額を含む処理済契約条件の格納部13と、観測対象地の
気象データの欠測補完部16と、気象データの時系列推
移から観測対象項目の観測対象期間における気象指数の
予測分布を計算する気象指数予測分布作成部17と、気
象指数予測分布及び初期契約条件に基づいて、天候デリ
バティブのプレミアム価格及び時価を夫々算出するプレ
ミアム価格算出部18及び時価算出部20と、観測対象
期間中の気象データを所定のインターバルで取得するリ
セット済み気象データ取得部19と、を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、天候デリバティ
ブのプレミアム及び時価を算出(プライシング)するた
めの天候デリバティブプライシングシステム及びその方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】冷夏・暖冬・多雨などの天候不順・異常
気象によって自己若しくは取引先の事業収益が低減する
リスクをへッジするためのツールとして、「気温」や「降
水量」などを対象とする「天候デリバティブ」が注目さ
れている。
【0003】天候不順や異常気象によって影響を受ける
事業としては、例えば、電気やガス、食品や飲料、観光
産業や農業、運輸など、枚挙にいとまがない。このよう
な事業においては、例えば、冷夏における清涼飲料の売
上不振、悪天候による客足減少や興行中止による払戻
等、天候の事業収益へ及ぼす影響は非常に大きいため、
何らかのリスクヘッジ措置が求められる。
【0004】このような企業においては、適切な条件設
定による「天候デリバティブ」を導入することにより、
事業リスクのへッジが行なえ収益の平準化が可能となる
という効果がある。また、天候デリバティブの導入は、
投資家からの要求に応えるIRの観点からも有効である
と考えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この金融デ
リバティブ取引においては、金利や株価等を対象とする
他の一般の金融デリバティブと全く異なる「気象」を対
象とするものであることから、以下のような解決すべき
課題がある。
【0006】例えば、従来の天候デリバティブ商品の時
価評価には、他の一般の金融デリバティブ商品と同様
に、代表的な金利モデルであるHull−Whiteモ
デル等が適用されている。しかしながら、金利や株価等
と同様のモデルを天候デリバティブの時価評価に適用す
る場合には以下のような問題がある。
【0007】すなわち、金利や株価等の指数は連続性を
特徴とし、また、社会的要因等によりある程度の予測が
可能である。このため、このような指数を対象とする金
融デリバティブ商品においては、過去のデータは意味を
なさず、将来の社会的要因に基づく予測や市場参加者の
思惑等を利用して評価等を行うようになっている。これ
に対し、気温や降水量等の気象データは、長期予測とい
ったものがあるものの、結果的に事前に全く予想のつか
ない値が現れていることが多く、また、データの連続性
も保証されない。このため、他の金融デリバティブ商品
と同じモデルを利用してしまうと、安定性に欠け信頼性
の低い評価にならざるを得ないということがある。
【0008】また、前記Hull−Whiteモデルで
は、確率変動項が正規分布で表現されているため、降水
量や積雪量に関する天候デリバティブには適用できず、
これらを対象とする天候デリバティブはシステム化され
ていないのが現状である。
【0009】さらに、金利や株価等ではデータに欠測が
生じることはないが、気象を対象とする場合には、予想
できない事態、例えば異常な気象条件による観測装置の
故障や、強風により飛んできたシート等が観測装置に覆
い被さる等の原因により、データに欠測が生じることが
ある。一方、天候デリバティブを商品として提供するた
めには、プレミアムを適正に算出し、かつ商品導入後に
その企業の要求に応じて、随時時価を算出して提供でき
るようにすることが望ましい。
【0010】この発明は、このような事情に鑑みてなさ
れたものであり、天候デリバティブの特質に対応し信頼
性の高いプライシングが随時行えるコンピュータシステ
ム及びその方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記課題を
解決するためになされたものであり、その第1の主要な
観点によれば、天候デリバティブのプライシングを行う
ためのシステムであって、当該天候デリバティブの契約
条件として、少なくとも、観測対象地、観測対象項目、
観測対象期間及びストライク指数を格納する契約条件格
納手段と、前記観測対象項目の過去の気象データを格納
する気象データ格納手段と、前記過去の気象データの時
系列推移に基づいて、当該観測対象項目の観測対象期間
における気象指数の予測分布を計算する気象指数予測分
布作成部と、前記気象指数予測分布及び前記契約条件か
ら、前記観測対象期間開始前に、前記天候デリバティブ
のプレミアム価格を算出するプレミアム価格算出手段と
を有することを特徴とするシステムが提供される。
【0012】このような構成によれば、天候デリバティ
ブの評価を行う場合に、気象の特性に応じてこれを処理
することができるから、より実情にあった評価を行うこ
とが可能になる。すなわち、評価には過去のデータの時
系列を作成し、取引毎の予測値の分布(期待値と標準偏
差)を計算し、これにより天候デリバティブのプレミア
ム及び時価を算出するようにできるから、金利のモデル
を利用した場合と異なり、取引の対象となるデータを気
温に限ることなくその評価を行うことが可能となる。
【0013】本発明の1の実施の形態によれば、前記観
測対象期間開始後に、当該観測対象期間中の気象データ
を所定のインターバルで取得するリセット済み気象デー
タ取得手段をさらに有し、前記取得タイミングは、前記
プレミアム価格を算出するために用いた気象データの取
得インターバルよりも短いものである。
【0014】このような構成によれば、リセット済み気
象データ取得手段が、所定の外部機関等から取得するプ
レミアム価格を算出するために用いた気象データよりも
短いインターバル、例えば1月毎にリセット済み気象デ
ータを受け取れるようになる。これにより、過去の気象
データに加えてこのリセット済み気象データに基づいて
気象指数の予測分布を算出することができるので、観測
対象期間開始後に、随時プライシング及び時価の算出を
行うことが可能となる。
【0015】本発明の他の実施の形態によれば、前記気
象指数予測分布作成部は、過去の気象データ及び前記リ
セット済み気象データの時系列推移に基づいて、当該観
測対象項目の観測対象期間における気象指数の予測分布
を計算するものであり、このシステムはさらに、前記気
象指数予測分布、前記契約条件に基づいて、前記観測対
象期間開始後に、前記天候デリバティブの時価を算出す
る時価算出手段を有するものである。
【0016】このような構成によれば、時価算出手段
が、過去の気象データ及び前記リセット済み気象データ
の時系列推移に基づいて、例えば、気象指数の予測値の
期待値及び標準偏差を求め、期待値+標準偏差を時価と
して算出することができるようになる。これにより、算
出されたプレミアム及び時価の情報を観測対象期間開始
後の顧客への情報提供に利用することができる。
【0017】本発明の他の実施の形態によれば、前記気
象データ格納手段は、複数観測地にかかる過去の気象デ
ータを格納するものであり、気象指数予測分布作成手段
は、前記天候デリバティブの観測対象地の気象データに
欠測が存在する場合、当該観測対象地から最も近く且つ
欠測が生じていない他の観測地の気象データを前記欠測
気象データに代えて取得する欠測気象データ取得手段を
有するものである。
【0018】このような構成によれば、対象となる観測
所において機器の故障等によって欠測が生じた場合で
も、速やかに他の観測所から該当する気象データを入手
して代用することができるので、気象データの連続性を
確保でき、評価の正確性を向上させることができる。
【0019】また本発明の第2の主要な観点によれば、
天候デリバティブのプライシングを行うための方法であ
って、当該天候デリバティブの契約条件として、少なく
とも、観測対象地、観測対象項目、観測対象期間及びス
トライク指数を格納する契約条件格納工程と、前記観測
対象項目の過去の気象データを格納する気象データ格納
工程と、前記過去の気象データの時系列推移に基づい
て、当該観測対象項目の観測対象期間における気象指数
の予測分布を計算する気象指数予測分布作成工程と、前
記気象指数予測分布及び前記契約条件から、前記観測対
象期間開始前に、前記天候デリバティブのプレミアム価
格を算出するプレミアム価格算出工程とを有することを
特徴とする方法が提供される。
【0020】このような方法によれば、上記した第1の
主要な観点にかかる天候デリバティブプライシングシス
テムによって好適に実現できる天候デリバティブプライ
シング方法を提供することができる。
【0021】なお、この発明の他の特徴と顕著な効果
は、以下の発明の実施の形態の項及び添付した図面を参
照することで当業者に明確に理解される。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づき説明する。 (基本構成)図1は、この発明の一実施形態における天
候デリバティブプライシングシステムを示す概略構成図
である。
【0023】この天候デリバリプライシングシステム
は、CPU1、RAM2、入出力装置3、通信デバイス
4等が接続されてなるバス5に、情報格納部6とプログ
ラム格納部7とが接続されてなる。
【0024】情報格納部6は、このプログラムで処理す
る天候デリバティブ取引の概要情報を格納する天候デリ
バティブ取引概要情報格納部9と、各種別の当該天候デ
リバティブの契約条件として、少なくとも、観測対象
地、観測対象項目、観測対象期間及びストライク指数等
の初期契約条件を格納する初期契約条件格納部10と、
前記観測対象項目の過去の気象データを格納する気象デ
ータ格納部11と、気象データを観測した観測地の情報
を格納する観測地情報格納部12と、このシステムによ
って求められたプレミアム価格及び時価額を格納する処
理済契約条件を格納する処理済み契約条件格納部13と
を有する。
【0025】また、プログラム格納部7は、メインプロ
グラム15の他、前記気象データ格納部11に格納され
た観測対象地の気象データに欠測がある場合にその欠測
を補完する欠測気象データ補完部16と、前記過去の気
象データの時系列推移に基づいて、当該観測対象項目の
観測対象期間における気象指数の予測分布を計算する気
象指数予測分布作成部17と、前記気象指数予測分布及
び前記初期契約条件から、前記観測対象期間開始前に、
前記天候デリバティブのプレミアム価格を算出するプレ
ミアム価格算出部18と、前記観測対象期間開始後に、
当該観測対象期間中の気象データを所定のインターバル
で取得するリセット済み気象データ取得部19と、前記
気象指数予測分布及び前記初期契約条件に基づいて、前
記観測対象期間開始後に、前記天候デリバティブの時価
を算出する時価算出部20とを有する。
【0026】前記プログラム格納部7に格納された各構
成要素16〜20は、実際にはコンピュータシステムの
記憶媒体に確保された領域及びこの領域にインストール
されたコンピュータソフトウエアプログラムである。そ
して、前記CPU1によって前記RAM上に呼び出され
実行されることで、この発明の機能を奏するようになっ
ている。また、前記情報格納部6に格納される各データ
は、前記プログラム格納部7に格納された各構成要素が
機能することで、前記RAM2上に呼び出されて処理に
用いられた後、前記情報格納部6内に格納されるように
なっている。
【0027】以下、上記各構成要素9〜20をその機能
と共に説明する。
【0028】(情報格納部)まず、情報格納部9に格納
された各情報について説明する。
【0029】天候デリバティブ取引概要情報格納部9に
は、図2に示すように、この実施形態のシステムで処理
する天候デリバティブの種別が種別IDと共に格納され
ている。この実施形態で処理する天候デリバティブは大
きく分けて、INDEXオプション22と、デイカウントオ
プション23とからなる。
【0030】ここで、INDEXオプションとは、INDEX
が、予め定めた行使指数以上(コールの場合)または行
使指数以下(プットの場合)となった場合に、1℃また
は1mmにつき予め定めた金額をオプションの買い手が
受け取ることができる取引のことをいう。但し、受取額
には上限設定があるのが一般的である。
【0031】前記INDEXオプション22は、観測対
象項目別に平均気温オプション、最高気温オプショ
ン、最低気温オプション、降水量オプション、H
DDオプション、CDDオプションからなる。
【0032】ここで、HDDとは、Heating Degree Day
sの略であり、ヒーターがどの程度必要であったかを示
す指標(暖房必要度)で、寒ければ寒いほどHDDは大
きくなる。具体的には、基準気温(例:18℃)と観測
対象期間中における毎日の平均気温との差(マイナスの
場合は0)を加算した合計値=ΣMax(基準気温−1
日の平均気温,0)として算出する。
【0033】CDDとは、Cooling Degree Daysの略で
あり、クーラーがどの程度必要であったかを示す指標
(冷房必要度)で、暑ければ暑いほどCDDは大きくな
る。具体的には、観測対象期間中における毎日の平均気
温と基準気温(例:18℃)との差(マイナスの場合は
0)を加算した合計値=ΣMax(1日の平均気温−基
準気温,0)として算出する。
【0034】一方、デイカウントオプション23とは観
測対象期間中のINDEX に関する予め定めた条件(例:1
日に10mm 以上の降水があった日)を満たす日数をカ
ウントし、その日数が予め定めた行使日数以上(コール
の場合)または行使日数以下(プットの場合)となった
場合、1 日につき予め定めた金額をオプションの買い手
が受取る取引である。対象となるINDEX には、平均気
温、最高気温、最低気温、降水量などがあり、日数をカ
ウントする条件は、上記例の他にも1 日の平均気温が摂
氏xx 度以上の日(あるいは以下の日)など個別に設定
することが可能となっている。
【0035】前記初期契約条件格納部10は、前記各種
別の天候デリバティブにおいて、この処理システムで求
めるプレミアム及び時価以外の契約情報を格納するもの
である。下表1に示すのは、前記INDEXオプション
のうち、CDDオプションの契約条件、すなわち商品規
格の例を示したものである。
【0036】
【表1】
【0037】この例では、オプションタイプは「IND
EXオプション(プット)顧客の買い」、観測地は「東
京」、観測対象期間は「平成13年7月〜平成13年8
月」、INDEXは「CDD」、行使気象指数は「430
℃」、単位支払額は「50万円」、最大支払額は「20
0百万円」、オプション受払額の情報として、「INDEX
≧430℃の場合には受払いなし、INDEX<430℃の場
合には下回った分1℃につき単位支払額=(430℃−
INDEX)×50万円、但し、最大支払額を上限とする」
との条件が設定されている。
【0038】気象データ格納部11は、気象庁観測の過
去数年分の気象のヒストリカルデータを受け取って格納
するヒストリカルデータ格納部25と、前記観測対象期
間開始後の気象のデータ(リセット済データ)を所定の
日数毎に受け取って格納するリセット済み気象データ格
納部26を有するものである。各気象データは、アメダ
スを含む全国の各観測所で観測されたヒストリカルな時
系列データである。後で説明するように、この気象デー
タ格納部11には、同じ日に異なる観測所で観測された
同じ項目の気象データが少なくとも2以上(複数)とな
るように格納されている必要がある。
【0039】(プログラム格納部)次に、前記プログラ
ム格納部7に格納された各構成要素15〜20について
説明する。
【0040】まず、欠測気象データ補完部16は、前記
気象データ11中、観測対象地の観測値に欠測がある場
合に、これを補完する機能を有するものである。ここ
で、欠測とは、観測機器の故障等により気象データが得
られないことをいう。この実施形態では、対象となる観
測所において欠測が生じた場合、予め定められている代
替地として、その観測所から地理的にもっとも近く、か
つ欠測が起きていない他の観測所(アメダス含む)の気
象データを、観測対象地の当該日の気象データとして取
得して代用するように構成されている。例えば、東京管
区気象台で欠測が生じた場合、「東京(アメダス)」、
「新木場(アメダス)」の優先順位で検索してデータを
取得して代用する。なお、この観測所の情報は、前記観
測地情報格納部12に格納されており、前記欠測気象デ
ータ補完部16は、この格納部12内の情報を参照して
代用する観測所を選択するようになっている。
【0041】気象指数予測分布作成部17は、前記気象
データ格納部11に格納された過去の気象データに基づ
いて、将来の気象指数の分布を作成し、前記プレミアム
価格算出部18は、この分布に基づいてプレミアム価格
を算出するようになっている。
【0042】この実施形態では、前記気象指数予測分布
作成部17は、時系列データの解析に自己回帰モデル
(Autoregressive Model)を利用
する。この方法では、ヒストリカルデータから計算され
る平均気温、降水量、HDD、CDD、デイカウントな
どのインデックス(指数)自体が時系列を生成する確率
的なシリーズであるとみなし、回帰分析によりインデッ
クスの将来の分布を生成するものである。そして、前記
プレミアム価格算出部18が、このインデックス予測値
の期待値及び標準偏差を求め、期待値+標準偏差をプレ
ミアム価格として算出するようになっている。
【0043】前記自己回帰モデルは、時系列解析におい
て最も基本的ではあるが実用性の高いモデルである。以
下では一変量の時系列{x|t=1961、196
2、・・・・、n}をt年度におけるインデックスの値
とする。時系列の将来の値が、過去の値に依存する部分
とそれでは表現できない部分の和として、
【0044】
【数1】
【0045】と表されるとき、前記数1式をm次の自己
回帰(AR)モデルと呼ぶ。すなわち過去の値
t−m、・・・・・・、xt−1が与えられたとき、
は平均at−1+・・・・+at−m、分
散σの正規分布に従う確率変数である。x1961
・・・・x1961+(m−1)は既知とし、x
1961+m、・・・・、xに関する尤度Lを求める
と、
【0046】
【数2】
【0047】となる。mは高々(n−1961)/3とす
る。ここで、f(xt+m|x、・・・・、
xt+m−1)は、x、・・・・、xt+m−1が既
知の下での条件付分布であり、平均at+m−1
・・・+a、分散σの正規分布の密度関数であ
るから、
【0048】
【数3】
【0049】したがって数1の尤度は、
【0050】
【数4】
【0051】と表される。この対数をとると対数尤度l
は、
【0052】
【数5】
【0053】となる。a1、・・・・、aとσの最
尤推定量を求めるには、数5の一階微分を0とおいて
(最尤法)、
【0054】
【数6】
【0055】を解けば良い。これより最尤推定量a
^、・・・・、a^は方程式
【0056】
【数7】
【0057】の解として得られる。ここで、
【0058】
【数8】
【0059】とした。また、σの最尤推定量σ
は、
【0060】
【数9】
【0061】これを数5に代入して、
【0062】
【数10】
【0063】モデルの次数mは、AIC(Akaike Infor
mation Criterion)を最小とするように選ぶ。AIC
は、AIC(m)=−2×(モデルの最大対数尤度)+
2×(モデルの自由パラメータ数)によって与えられ
る。m次の自己回帰モデルは、m+1個の自由パラーメ
ータを持つので、数10より、
【0064】
【数11】
【0065】例えば、HDDオプションで契約条件が次
表のような場合で、ストライクを475℃とした場合の
計算例を示す。
【0066】
【表2】
【0067】ここで、1960年〜1999年までの上
記インデックス(HDD)のヒストリカルデータは図3
に示すようになる。そして、このヒストリカルデータか
ら平均573.906を除去した時系列を作成し、Cijを計
算すると、
【0068】
【表3】
【0069】これらより自己回帰係数a^、・・・
・、a^及びσを得るので推定したモデルのAIC
が求められる。
【0070】
【表4】
【0071】もっとも当てはまりの良い次数は1。した
がって、
【0072】
【数12】
【0073】例えばストライクが475℃の場合、支払
額の期待値μと標準偏差σは次のように求められる。
【0074】
【数13】
【0075】したがってプレミアム価格は、μ+σ=1
5,504,000円となる。
【0076】一方、当該観測対象期間開始後には、前記
リセット済み気象データ取得部19が、当該期間開始後
の気象データを所定のタイミングで読み込んで前記リセ
ット済み気象データ格納部26に格納し、前記時価算出
部20が、前記ヒストリカルデータとこのリセット済み
気象データの両方を利用してこの天候デリバティブの時
価を算出するようになっている。
【0077】すなわち、前記リセット済み気象データ取
得部19は、所定の外部機関から前記ヒストリカルデー
タと比較すると短いインターバル、例えば1月毎に気象
データを受け取り、前記気象データ格納部11中のリセ
ット済み気象データ格納部26に格納する。そして、前
記時価算出部20は、前記気象指数予測分布作成部17
に前記ヒストリカルデータだけでなくリセット済み気象
データに基づいて、上記と同様の手法で気象インデック
スの予測分布を算出する。前記時価算出部20が、この
インデックス予測値の期待値及び標準偏差を求め、期待
値+標準偏差を時価として算出するようになっている。
【0078】以上のようにして算出されたプレミアム及
び時価は、前記処理済み契約条件格納部13に格納さ
れ、顧客への天候デリバティブ販売時やその後の情報提
供に利用されるようになっている。
【0079】このような構成によれば、天候デリバティ
ブの評価を行う場合に、気象の特性に応じてこれを処理
することができるから、より実情にあった評価を行うこ
とが可能になる。すなわち、評価には過去のデータの時
系列を作成し、取引毎の予測値の分布(期待値と標準偏
差)を計算し、これにより天候デリバティブのプレミア
ム及び時価を算出するようにしたから、金利のモデルを
利用した場合と異なり、取引の対象となるデータを気温
に限ることなく評価可能とすることができる。また、上
記構成によれば、ヒストリカルデータだけでなく、リセ
ット済みデータに基づいて気象インデックスの予測分布
を算出するようにしたから、観測対象期間開始後に随時
時価の算出を行うことが可能になる。
【0080】また、上記構成によれば、気象データに予
想のつかない欠測が生じた場合でも、所定のルールに基
づき、代替観測所の気象データを代用するようにした。
このことにより、評価の正確性を向上させることが可能
になる。
【0081】なお、この発明は、上記一実施形態に限定
されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で種
々変形可能である。
【0082】例えば、前記気象指数予測分布作成部は、
インデックスの分布予測にもっとも適した方法として、
自己回帰モデルに基づいて行うようにしたが、これに限
定されるものではない。例えば、気温及び降水量の過去
10年間のヒストリカルデータを用い、気象観測値発生
頻度が近似する月毎の確率分布を推定し、それらの確率
分布に従う乱数を発生させて温度変化・降水をシミュレ
ートし、インデックスの期待値+標準偏差をプレミアム
価格若しくは時価とする方法であっても良い。
【0083】
【発明の効果】上述した構成によれば、天候デリバティ
ブの特質に対応し信頼性の高いプライシングが随時行え
るコンピュータシステム及びその方法を提供することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態を示す概略構成図。
【図2】天候デリバティブ取引の種別を示す図。
【図3】ヒストリカルデータを示すグラフ。
【符号の説明】
1…CPU 2…RAM 3…入出力装置 4…通信デバイス 5…バス 6…情報格納部 7…プログラム格納部 9…天候デリバティブ取引概要情報格納部 10…初期契約条件格納部 11…気象データ格納部 12…観測地情報格納部 13…処理済み契約条件格納部 15…メインプログラム 16…欠測気象データ補完部 17…気象指数予測分布作成部 18…プレミアム価格算出部 19…リセット済み気象データ取得部 20…時価算出部 22…INDEXオプション 23…デイカウントオプション 25…ヒストリカルデータ格納部 26…リセット済み気象データ格納部

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 天候デリバティブのプライシングを行う
    ためのシステムであって、 当該天候デリバティブの契約条件として、少なくとも、
    観測対象地、観測対象項目、観測対象期間及びストライ
    ク指数を格納する契約条件格納手段と、 前記観測対象項目の過去の気象データを格納する気象デ
    ータ格納手段と、 前記過去の気象データの時系列推移に基づいて、当該観
    測対象項目の観測対象期間における気象指数の予測分布
    を計算する気象指数予測分布作成部と、 前記気象指数予測分布及び前記契約条件から、前記観測
    対象期間開始前に、前記天候デリバティブのプレミアム
    価格を算出するプレミアム価格算出手段と、 を有することを特徴とするシステム。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のシステムにおいて、 前記観測対象期間開始後に、当該観測対象期間中の気象
    データを所定のインターバルで取得するリセット済み気
    象データ取得手段をさらに有し、 前記取得タイミングは、前記プレミアム価格を算出する
    ために用いた気象データの取得インターバルよりも短い
    ことを特徴とするシステム。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のシステムにおいて、 前記気象指数予測分布作成部は、過去の気象データ及び
    前記リセット済み気象データの時系列推移に基づいて、
    当該観測対象項目の観測対象期間における気象指数の予
    測分布を計算するものであり、 このシステムはさらに、前記気象指数予測分布、前記契
    約条件に基づいて、前記観測対象期間開始後に、前記天
    候デリバティブの時価を算出する時価算出手段を有する
    ことを特徴とするシステム。
  4. 【請求項4】 請求項3記載のシステムにおいて、 前記気象データ格納手段は、複数観測地にかかる過去の
    気象データを格納するものであり、 気象指数予測分布作成手段は、 前記天候デリバティブの観測対象地の気象データに欠測
    が存在する場合、当該観測対象地から最も近く且つ欠測
    が生じていない他の観測地の気象データを前記欠測気象
    データに代えて取得する欠測気象データ取得手段を有す
    ることを特徴とするシステム。
  5. 【請求項5】 天候デリバティブのプライシングを行う
    ための方法であって、 当該天候デリバティブの契約条件として、少なくとも、
    観測対象地、観測対象項目、観測対象期間及びストライ
    ク指数を格納する契約条件格納工程と、 前記観測対象項目の過去の気象データを格納する気象デ
    ータ格納工程と、 前記過去の気象データの時系列推移に基づいて、当該観
    測対象項目の観測対象期間における気象指数の予測分布
    を計算する気象指数予測分布作成工程と、 前記気象指数予測分布及び前記契約条件から、前記観測
    対象期間開始前に、前記天候デリバティブのプレミアム
    価格を算出するプレミアム価格算出工程と、 を有することを特徴とする方法。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の方法において、 前記観測対象期間開始後に、当該観測対象期間中の気象
    データを所定のインターバルで取得するリセット済み気
    象データ取得工程をさらに有し、 前記取得タイミングは、前記プレミアム価格を算出する
    ために用いた気象データの取得インターバルよりも短い
    ことを特徴とする方法。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の方法において、 前記気象指数予測分布作成工程は、過去の気象データ及
    び前記リセット済み気象データの時系列推移に基づい
    て、当該観測対象項目の観測対象期間における気象指数
    の予測分布を計算するものであり、 この方法はさらに、前記気象指数予測分布、前記契約条
    件に基づいて、前記観測対象期間開始後に、前記天候デ
    リバティブの時価を算出する時価算出工程を有すること
    を特徴とする方法。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の方法において、 前記気象データ格納工程は、複数観測地にかかる過去の
    気象データを格納するものであり、 気象指数予測分布作成工程は、 前記天候デリバティブの観測対象地の気象データに欠測
    が存在する場合、当該観測対象地から最も近く且つ欠測
    が生じていない他の観測地の気象データを前記欠測気象
    データに代えて取得する欠測気象データ取得工程をさら
    に有することを特徴とする方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004117228A (ja) * 2002-09-27 2004-04-15 Hitachi Ltd 気象物理量の推定方法
JP2009514116A (ja) * 2005-11-02 2009-04-02 スイス リインシュランス カンパニー 仕組金融商品の価値を予測する方法及びコンピュータ・システム
JP2012027537A (ja) * 2010-07-20 2012-02-09 Kobe Steel Ltd 出力値予測方法、該装置および該方法のプログラム
JP2012198933A (ja) * 2012-06-21 2012-10-18 Swiss Reinsurance Co 仕組金融商品の価値を予測する方法及びコンピュータ・システム
JP2017157033A (ja) * 2016-03-02 2017-09-07 株式会社Nttドコモ 情報処理装置

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