JP2003117614A - アルミニウム合金板のプレス加工方法およびアルミニウム合金板 - Google Patents

アルミニウム合金板のプレス加工方法およびアルミニウム合金板

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JP2003117614A
JP2003117614A JP2001313797A JP2001313797A JP2003117614A JP 2003117614 A JP2003117614 A JP 2003117614A JP 2001313797 A JP2001313797 A JP 2001313797A JP 2001313797 A JP2001313797 A JP 2001313797A JP 2003117614 A JP2003117614 A JP 2003117614A
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hole
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clearance
flange
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Tetsuya Masuda
哲也 増田
Kenji Noda
研二 野田
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Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルミニウム合金板を打抜き加工後に穴拡げ
加工するに際し、伸びフランジ性が優れたプレス加工方
法を提供することを目的とする。 【解決手段】 0.2%耐力が90MPa 以上で板厚が5mm 以
下のアルミニウム合金板1 を打抜き加工して貫通穴3 を
設けた後に、該貫通穴3 を穴拡げ加工して貫通穴の穴縁
に所望高さのフランジ4 を形成するに際し、前記打抜き
加工時のダイス8とポンチ9 とのクリアランスc を加工
されるアルミニウム合金板1 の板厚の15〜25% の範囲と
したことである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は伸びフランジ性が優
れたアルミニウム合金板のプレス加工方法およびこのプ
レス加工方法により製作されたアルミニウム合金板に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車などの輸送機の車体用や、機械
用、建築用などのパネルやフレイムなどには構造用アル
ミニウム合金板が多く使用される。これら構造用のアル
ミニウム合金板は、ボルトなどの他の構造部品の取り付
けやアルミニウム合金板自体の他の構造部品への取り付
け、あるいはアルミニウム合金板同士や他の構造用部材
との接合のために、多くは打抜き加工が施され貫通穴が
設けられる。
【0003】この打抜き加工はプレスによる剪断加工の
一種であり、図2(a)にプレス加工金型の断面図を示すよ
うに、ダイス8 とポンチ9 および板押さえ10などの協働
により、アルミニウム合金板1 にせん断 (剪断) 荷重を
加えて孔開け加工し、所定径d(ポンチ9 の径d)および所
定個数の貫通穴3 が設けられる。なお、図2(a)におい
て、c はダイス8 とポンチ9 とのクリアランスである。
【0004】この貫通穴3 に対して、ボルトなどの他の
部品乃至締結治具を取り付ける場合は、特に板厚が5mm
以下の薄板のアルミニウム合金板の場合、ボルトなどの
軸のずれが生じ易い。このため、ボルトなどの軸ずれを
防止するガイドが必要であり、円筒状のカラーなどの補
助具を、ボルトの反対方向から別途設ける必要がある。
このため、貫通穴3 の数や間隔に応じて、ボルトなどの
他の部品を取り付ける作業は煩雑なものとなる。
【0005】これに対し、上記貫通穴3 を更に穴拡げ加
工により押し広げ、図1(a)に断面図を示すように、アル
ミニウム合金板1 に、一定の高さh を持つフランジ( 張
出部、ボス部)4を形成できれば、このフランジ4 を含め
た貫通穴3 に、ワッシャ6 などを介して、ボルト5 など
の他の部品乃至締結治具の取り付けが容易となる。
【0006】即ち、一定の高さh を持つフランジ4 は、
前記ボルト5 などの他の部品乃至締結治具を取り付ける
際に、これらの軸のずれを防止するガイドの役割を果た
す。この効果はフランジ4 の高さが高いほど大きく、ア
ルミニウム合金板1 が薄板であるほど大きい。また、フ
ランジ4 による接合面積や接合長さの増加によって、ア
ルミニウム合金板1 が薄板であっても、前記ボルト5 な
どの軸 (部材) の固定に必要な長さが確保され、他の部
品乃至締結治具の固定乃至接合強度も確保しうる。この
効果もフランジ4 の高さが高いほど大きい。
【0007】更に、上記利点以外に、他の部品乃至締結
治具の取り付け如何に関わらず、このフランジ4 を所定
数設けることによって、平板状のアルミニウム合金板に
比して、アルミニウム合金板1 の剛性を高めることが可
能である。平板状のアルミニウム合金板の剛性を高める
必要がある場合、通常は、板端部を折り曲げる、板厚を
厚くするなどの手段がある。しかし、前記折り曲げ手段
では板の形状が変わり、折り曲部の嵩も高くなる。この
ため、構造材自体が嵩張り、高さや幅、形状などの大幅
な設計変更も必要となる。また、板厚を厚くする手段で
は重量が増加し、構造材自体の軽量化が損なわれる。こ
れに対し、フランジを所定数設ける手段によれば、構造
材自体の上記大幅な設計変更や重量増加無しに剛性を高
めることが可能である。
【0008】このような一定の高さを持つフランジを、
アルミニウム合金板の貫通穴に形成するためには、先
ず、前記図2(a)に示した貫通穴3 を設けた後、図2(b)に
プレス加工金型の断面図を示すように、更に、アルミニ
ウム合金板1 の貫通穴3 を穴拡げ加工する。より具体的
には、穴拡げ加工用のダイス11とポンチ12およびしわ押
さえ13との協働により、アルミニウム合金板1 の貫通穴
3 を穴拡げ加工により、矢印方向に押し広げ、一定の高
さh を持つフランジ (張出部)4を有する貫通穴3を形成
する。なお、上記打抜き加工と穴拡げ加工とは、別工程
でも良く、連続的な工程であっても良い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この穴拡げ加
工においては、図8 に示すような、フランジ4 の縁 (端
面) を起点に板厚を貫通するような割れ16が生じやすく
なる。この割れはフランジ4 の高さh が高くなるほど生
じ易い。この割れが生じた場合、加工されたアルミニウ
ム合金板自体が構造用などとして使用できなくなる致命
的な問題を生じる。また、前段の打抜き加工によって、
貫通穴の縁にバリのような形状不良部が生じた場合に
も、後段の穴拡げ加工においてフランジの割れが生じ易
くなる。
【0010】上記穴拡げ加工は、伸びフランジ変形を伴
うプレス加工であり、このような伸びフランジ変形を伴
うプレス加工においては、伸びフランジ変形により、こ
の変形部分の材料にかかる歪み量が増す。このため、上
記伸びフランジ変形における破断乃至割れの傾向は、フ
ランジ4 の高さを高くするほど大きい。そして、材料の
側からの割れの傾向は、加工時の0.2%耐力が90MPa 以上
の高強度で、かつ板厚が5mm 以下の薄板のアルミニウム
合金板ほど著しい。
【0011】例えば、熱交換器などのフィン材や缶材な
どに使用される、AA乃至JIS 規格で1100 などの1000系
純アルミニウム合金板や3000系のアルミニウム合金板で
は、O 材など加工時の0.2%耐力は90MPa 未満であり、穴
拡げ加工条件がよほど厳しくない限り、前記割れは生じ
にくい。
【0012】これに対し、5000系や6000系などの代表的
な構造用のアルミニウム合金板は、O 材などでも、加工
時の0.2%耐力は90MPa 以上であり、上記穴拡げ加工した
場合に、前記図8 に示すような割れ16が生じやすくな
る。
【0013】本発明はこの様な事情に着目してなされた
ものであって、その目的は、0.2%耐力が90MPa 以上で板
厚が5mm 以下のアルミニウム合金板を打抜き加工後に穴
拡げ加工して、貫通穴の穴縁に所望高さのフランジを形
成するに際し、フランジの割れを防止した、伸びフラン
ジ性が優れたプレス加工方法を提供しようとするもので
ある。
【0014】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明の、請求項1 の要旨は、0.2%耐力が90MPa以
上で板厚が5mm 以下のアルミニウム合金板を打抜き加工
して貫通穴を設けた後に、該貫通穴を穴拡げ加工して貫
通穴の穴縁に所望高さのフランジを形成するに際し、前
記打抜き加工時のダイスとポンチとのクリアランスを加
工されるアルミニウム合金板の板厚の15〜25% の範囲と
したことである。
【0015】本発明者らは、従来の前記純アルミ系など
のアルミニウム合金板の技術常識とは異なり、0.2%耐力
が90MPa 以上で板厚が5mm 以下のアルミニウム合金板に
伸びフランジ変形を伴う穴拡げ加工を施すに際しては、
その前段である打抜き加工時の、打抜き加工用のダイス
とポンチとのクリアランスが、後段の穴拡げ加工時の伸
びフランジ性に大きな影響を及ぼすことを知見した。
【0016】言い換えると、仮に後段の穴拡げ加工時の
ダイスとポンチとのクリアランスを最適化したとして
も、その前段である打抜き加工時の、打抜き加工用のダ
イスとポンチとのクリアランスが不適当である場合、0.
2%耐力が90MPa 以上で板厚が5mm 以下のアルミニウム合
金板では、後段の穴拡げ加工において、フランジに破断
乃至割れが生じる。
【0017】また、このクリアランスを、加工されるア
ルミニウム合金板の板厚の15〜25%の範囲、好ましくは
請求項2 のように20〜25% の範囲とすることによって、
前記0.2%耐力が90MPa 以上で板厚が5mm 以下のアルミニ
ウム合金板では、0.2%耐力などの機械的性質の違いに大
きくよらず、共通して、伸びフランジ性が高まり、伸び
フランジ変形部位における割れの発生が抑制されること
も知見した。
【0018】しかも、この後段の穴拡げ加工に対する打
抜き加工時の最適クリアランス範囲は、従来の1000系な
どのアルミニウム合金板の打抜き加工において公知の最
適クリアランス範囲とは大きく異なる。この理由は、前
記高耐力のアルミニウム合金板では、特に加工硬化型の
5000系アルミニウム合金のような場合に、主要元素のMg
量が高いほど、打抜き加工において加工硬化しやすく、
その後の穴拡げ加工時の伸びフランジ変形部位 (フラン
ジ部) に、より割れが発生しやすいものと考えられる。
【0019】因みに、従来の1000系などのアルミニウム
合金板の打抜き加工では、実用的なクリアランスc は、
加工されるアルミニウム合金板の板厚に対して、薄板の
精密打抜き加工では1100-O材で1 〜3%、1100-H材で 1〜
10% 、一般的打抜き加工では1100-O材で3 〜7%、1100-H
材で 6〜15% 、厚板の打抜き加工では1100-O材で8 〜20
% 、1100-H材で 10 〜20% とされている。したがい、こ
れらアルミニウム合金板では、薄板で精密な打抜き加工
ほど、クリアランスc を小さくすることが常識的であっ
た。しかし、これら従来の開示された打抜き加工の実用
的なクリアランスc は、打抜き加工自体のみの加工性を
課題としており、本発明のような、打抜き加工後の穴拡
げ加工時の伸びフランジ変形を課題とするものではな
い。
【0020】本発明では、上記要旨とすることによっ
て、請求項4 に記載のような、前記穴拡げ加工の際の限
界穴拡げ率が40% 以上である、優れた伸びフランジ性向
上効果が得られる。このため、特に、フランジ高さが必
要で、それに伴う割れの発生が切実な問題である、請求
項3 に記載のように、前記貫通穴に、ボルトなどの他の
構造部品 (締結部品を含む) が取り付けられるような、
アルミニウム合金板に適用されて好適である。
【0021】更に、穴拡げ加工時の伸びフランジ変形部
位において、特に割れが発生し易い請求項5 に記載の50
00系アルミニウム合金板に適用されることが好ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】(アルミニウム合金板)本発明に用
いるアルミニウム合金板自体は常法により製造可能であ
る。即ち、鋳造、均熱、熱間圧延後、あるいは必要によ
り中間焼鈍を適宜含む冷間圧延後、完全焼き鈍し状態の
O 材やT4〜T6などの合金組成に応じた調質 (熱処理) が
適宜施される。
【0023】但し、本発明で対象とするアルミニウム合
金板は、打抜き加工後の穴拡げ加工時に、伸びフランジ
変形によって、前記図8 に示すような割れ16が生じやす
いアルミニウム合金板とする。本発明では、この基準と
して、対象とするアルミニウム合金板を、打抜き加工さ
れる際の0.2%耐力が90MPa 以上であり、かつ5mm 以下の
板厚とする。このような高強度のアルミニウム合金とし
ては、構造材用として汎用される、5000系、6000系、70
00系などのアルミニウム合金が例示される。
【0024】板厚が 5mmを越える厚板では板厚が大きい
ため、打抜き加工後の貫通穴は、板厚自体の長さで、前
記ボルトなどの他の構造部品 (締結治具を含む) を取り
付ける際に、これらの軸のずれを防止するガイドの役割
を果たす。また、同じく、板厚によって、他の部品乃至
締結治具の固定乃至接合強度も確保しうる。
【0025】(打抜き加工)先ず、本発明で対象とする打
抜き加工自体は、ダイスとポンチとのクリアランスを除
き、前記図2(a)で説明したような、プレス加工金型によ
る公知の打抜き加工方法が採用可能である。ここで、本
発明で言う、ダイスとポンチとのクリアランスとは、よ
り詳しくは、図2(a)における、ダイス8 の内径面8bとポ
ンチ9 の外径面9bとのクリアランス (間隔) である。本
発明ではこのクリアランスを、加工されるアルミニウム
合金板の板厚の15〜25% の範囲、好ましくは20〜25% の
範囲とする。
【0026】このクリアランスがアルミニウム合金板の
板厚の 15%乃至20% 未満の場合や25% を越えた場合に
は、打抜き加工時に、アルミニウム合金板の貫通穴周囲
部分に付与される歪みが増大する。また、クリアランス
がアルミニウム合金板の板厚の25% を越えた場合、打抜
き加工時に、貫通穴の縁にバリのような形状不良部が生
じ易い。このため、後述する実施例の通り、後段の穴拡
げ加工におけるフランジの割れが生じ易くなる。そして
この結果、限界穴拡げ率λが著しく低下し、フランジ高
さを高くできない。また、フランジの割れ発生による穴
拡げ加工自体ができなくなる事態も生じ易い。
【0027】一方、本発明における、打抜き加工用のダ
イスとポンチとのクリアランス制御により、打抜き加工
時に、アルミニウム合金板の貫通穴部分に付与される歪
みが小さくなる。また、貫通穴の縁にバリのような形状
不良部も生じにくい。このため、高い耐力のアルミニウ
ム合金板でも、後段の穴拡げ加工における伸びフランジ
変形を受けても、フランジ端部の割れが防止できる。特
に5000系アルミニウム合金板のような加工硬化しやすい
材料であっても、加工硬化を抑制でき、後段の穴拡げ加
工でのフランジ端部割れが防止でき、高いフランジ高さ
を得ることができる。
【0028】なお、打抜き加工される貫通穴3 の径はポ
ンチ9 の径d となるが、後段の穴拡げ加工によって成形
されるフランジの必要な高さh と、他の構造部品の取り
付けに必要な穴径 (穴拡げ加工後の) とによって定ま
る。また、貫通穴3 の個数や間隔も、取り付けられる前
記ボルトなどの他の構造部品 (締結治具を含む) の必要
個数や間隔との関係で定まる。
【0029】更に、ダイス8 のコーナー部8aの肩R (
径) や、ポンチ9 のコーナー部9aの肩R(径) などのプレ
ス加工金型諸条件は、前記ダイスとポンチとのクリアラ
ンスの選択や貫通穴3 の径d に応じて、打抜き加工可能
な条件が適宜選択される。
【0030】(穴拡げ加工)次に、打抜き加工に続く穴拡
げ加工自体も、前記図2(b)により詳述した、公知の穴拡
げ加工方法が採用可能である。ここにおいて、図1(a)に
示す、穴拡げ加工される貫通穴3 のフランジ高さh は、
取り付けられる前記ボルトなどの他の構造部品 (締結治
具を含む) の必要案内長さや固定乃至接合に必要な長
さ、あるいはアルミニウム合金板1 の必要剛性向上量に
よって定まる。
【0031】また、ダイス11のコーナー部11a のR(径)
や、ポンチ12のコーナー部12a のR(径) などのプレス加
工金型諸条件は、ダイスとポンチとのクリアランスc1と
ともに、貫通穴3 の前記径d とフランジ高さh に応じ
て、穴拡げ加工可能な条件が適宜選択される。
【0032】(使用態様)以上説明した本発明プレス加工
にて、前記図1(a)に示す、一定の高さを持つフランジと
貫通穴を形成したアルミニウム合金板は、前記図1(b)で
説明した通り、このフランジ4 を含めた貫通穴3 に、ワ
ッシャ6 などを介して、ボルト5 などの他の構造部品の
取り付けやアルミニウム合金板自体の他の構造部品への
取り付け、あるいはアルミニウム合金板同士や他の構造
用部材との接合が容易となる。また、ボルト5 などの軸
(部材) の固定に必要な長さが確保され、固定乃至接合
強度も確保しうる。
【0033】また、前記図1(a)に示すアルミニウム合金
板のままで用いても、あるいは、前記図1(b)のようにボ
ルト5 などを取り付けても、前記した通り、平板状のア
ルミニウム合金板に比して、重量の増加や嵩の増加無し
に、アルミニウム合金板の剛性を高めることができる。
【0034】なお、本発明プレス加工にて製作したアル
ミニウム合金板へのボルト5 などの他の構造部品の取り
付け使用態様としては、図3 にアルミニウム合金板の断
面図を示すように、円筒状のカラーなどの補助具7 を、
ボルト5 の反対方向から別途設けても良い。この場合、
補助具7 を用いない前記図1(b)の例に比べて、取り付け
作業は煩雑となるものの、フランジ4 が全くない貫通穴
のみの従来例に比べて取り付け作業は著しく簡便であ
る。また、フランジ4 による前記固定乃至接合強度の確
保やアルミニウム合金板の剛性向上効果はそのまま享受
できる。
【0035】更に、別の使用態様として、本発明によっ
て、案内治具などを設けずとも、本発明プレス加工にて
製作したアルミニウム合金板同士を直接、接合すること
ができる。図4 はフランジ4a、4bと貫通穴3a、3bとを各
々有するアルミニウム合金板1 、2 同士を重ね合わせて
直接接合する例を、板の断面図で示している。図4 にお
いて、貫通穴3 に締結具としてのボルト14が挿入される
とともに、ボルト14の両端部がフランジ4a、4bの端面に
おいてナット15にて係止、固定されて、アルミニウム合
金板1 、2 同士が接合されている。
【0036】この場合、ボルト14とアルミニウム合金板
1 、2 との接合長さは、フランジ4a、4bの無い単なる貫
通孔に比して、フランジ4a、4bの高さ分だけ、板厚方向
の長さが長くなっており、接合強度が強くなる。この結
果、構造材の組み立て側からすると、前記案内治具の取
り付け工程が基本的に不要となって、アルミニウム合金
板同士の機械的な接合が容易となる。
【0037】
【実施例】次に、本発明方法の実施例を説明する。表1
に示すA からC までの化学成分組成を有するアルミニウ
ム合金鋳塊を、DC鋳造法により溶製した後、均質化熱処
理、熱間圧延、冷間圧延し、2.5mmtの板厚の板とした。
そして、1000系、5000系、3000系アルミニウム合金板は
焼鈍を施してO 材とし、また、6000系アルミニウム合金
板は溶体化焼き入れ処理にてT4材とし、供試材とした。
これらの供試材のプレス加工される前の機械的性質を表
1 に示す。
【0038】(実施例1)先ず、表1 に示す5000系アルミ
ニウム合金板A 、B 、C の供試材の伸びフランジ性の評
価を行った。評価のためのプレス加工試験は下記要領
で、かつ、打抜き加工の際のダイスとポンチとのクリア
ランス (間隔) のみを、 (クリアランスmm/ 供試材板厚
2.5mm)×100 で、5%から40% の範囲で種々変え、他の条
件は同じとした加工条件で行った。
【0039】プレス加工試験は、先ず、図2(a)に示すよ
うなプレス加工金型を用いて、ポンチ9 の径をΦ20mm
(ダイス8 のコーナー部8a、ポンチ9 のコーナー部9aは
積極的に丸めておらず、肩R としては0mm とした) およ
びしわ押さえ10のしわ押さえ力を10トンとして、打抜き
加工を行い、初期穴径がΦ20mmの貫通孔3 を設けた。な
お、潤滑は一般防錆油を供試材の両面に塗布して行っ
た。
【0040】その後、図2(b)に示すようなプレス加工金
型を用いて、コーナー部11a の肩Rを12.5mmとしたダイ
ス11、径をΦ50mm、コーナー部12a の肩R を4.5mm とし
たポンチ12およびしわ押さえ力10トンのしわ押さえ13を
用いて、前記貫通穴3 を穴拡げ加工により押し広げ、前
記図1(c)に示す、一定の高さを持つフランジ4 を有する
貫通穴を形成した。なお、潤滑は一般防錆油を供試材の
ポンチに接する面のみに塗布して行った。
【0041】上記穴拡げ加工における伸びフランジ性の
評価は限界穴拡げ率により行った。また、打抜き加工に
おける加工性の評価は、貫通穴の内表面の剪断面の長さ
と貫通穴縁に生じたバリの高さにより行った。なお、こ
のバリの高さは、前記した通り、穴拡げ加工における伸
びフランジ性の評価にもつながる。
【0042】先ず、限界穴拡げ率は、各クリアランス条
件における上記貫通穴3 の形成に際し、前記図6(a)に示
した、フランジ4 の縁から発生した割れ14が板厚を貫通
した時点での穴径d を成形限界の穴径とした。この成形
限界の穴径d(mm) は、供試材の圧延方向に対し、0 度、
90度方向についてノギスで測定しその平均値を求めた。
そして、この成形限界穴径d と上記初期穴径d0(20mm)と
から、限界穴拡げ率λ(%) を、次式、λ=[(d−d0)/d0]
×100 により算出して伸びフランジ性の評価指針とし
た。
【0043】この穴拡げ加工における限界穴拡げ率λ
と、打抜き加工における各クリアランス (クリアランス
/ 供試材板厚%)との関係を、表1 のA (5052)、B (515
4)、C (5182)の各Al-Mg 系アルミニウム合金供試材別
(黒三角が5052、黒丸が5154、黒菱形が 5182)に図5 に
示す。この図5 から、限界穴拡げ率λが大きくなる (最
大になる) 範囲は、5052、 5154 、 5182 の各Al-Mg 系
アルミニウム合金材とも、クリアランスが供試材板厚の
15〜25% 、更に厳密には20〜25% の範囲にあることが分
かる。特に、クリアランスが供試材板厚の15% 未満の場
合や25% を越えた場合では、特に25% を越えた場合に、
限界穴拡げ率λが著しく低下する。したがって、限界穴
拡げ率λを40% 以上に高くするためには、クリアランス
を供試材板厚の15〜25% 好ましくは20〜25% の範囲にす
る必要があることが分かる。
【0044】次に、打抜き加工における貫通穴の内表面
の剪断面の長さは、各クリアランス条件における成形限
界の貫通穴3 の内表面の組織観察を行い、上記打抜き加
工によるポンチの圧痕がある (加工を受けた) 剪断面
と、ポンチの圧痕がない (加工を受けていない) 破断面
とを識別し、貫通穴内表面の剪断面の板厚方向の平均長
さを求めた。
【0045】この剪断面の板厚方向の平均長さ/ 供試材
板厚と、クリアランス (クリアランス/ 供試材板厚) と
の関係を、表1 のA (5052)、B (5154)、C (5182)の各Al
-Mg系アルミニウム合金供試材別 (黒三角が5052、黒丸
が5154、黒菱形が 5182)に、図6 に示す。この図6 か
ら、クリアランスが供試材板厚の15〜25% の本発明範囲
と、範囲とを外れた場合とを比較すると、5052、 5154
、 5182 の各Al-Mg 系アルミニウム合金とも、本発明
範囲で剪断面の長さが最小になるものの、その程度は、
クリアランス/ 供試材板厚が著しく大きい場合や小さい
場合との比較を除いて小さい。したがって、本発明範囲
でも、打抜き加工における貫通穴の剪断性は比較的良好
であることが分かる。
【0046】更に、打抜き加工における貫通穴縁のバリ
長さは、各クリアランス条件における成形限界で貫通穴
縁に発生した最も高いバリの高さを測定した。このバリ
長さ/ 供試材板厚と、クリアランス (クリアランス/ 供
試材板厚) との関係を、表1のA (5052)、B (5154)、C
(5182)5052、 5154 、 5182 の各Al-Mg 系アルミニウム
合金供試材別 (黒三角が5052、黒丸が5154、黒菱形が 5
182)に図7 に示す。
【0047】この図7 から、5052、 5154 、 5182 の各
Al-Mg 系アルミニウム合金とも、クリアランス/ 供試材
板厚が25% までは打抜き加工時にバリが殆ど発生せず、
25%を越えるとバリが急激に増加することが分かる。し
たがって、打抜き加工性や伸びフランジ性のためにバリ
を抑制するためには、クリアランス/ 供試材板厚を25%
以下にする必要があることが分かる。
【0048】
【表1】
【0049】(実施例2)前記表1 に示す、D 、E のAl-Mg
-Si系(6000 系) アルミニウム合金板供試材と、比較の
ための1100アルミニウム合金F 、3004アルミニウム合金
G (0.2% 耐力が90MPa 未満) の供試材とをプレス加工試
験し、打抜き加工における貫通穴縁に生じたバリの高さ
と、穴拡げ加工における限界穴拡げ率を測定した。プレ
ス加工試験と測定は、前記実施例1 と同じ条件で、打抜
き加工におけるダイスとポンチとのクリアランスのみを
種々変えて行った。
【0050】打抜き加工における貫通穴縁のバリ高さ、
穴拡げ加工における限界穴拡げ率、を表2 に示す。この
表2 から、前記実施例1 の5000系アルミニウム合金と同
様に限界穴拡げ率λが大きくなる (最大になる) 範囲
は、6022、6111の6000系アルミニウム合金とも、クリア
ランス/ 供試材板厚が15〜25% 、更に厳密には20〜25%
の範囲にあることが分かる。したがって、0.2%耐力が90
MPa を越えるアルミニウム合金板の場合、限界穴拡げ率
λを最大にするためには、クリアランス/ 供試材板厚を
15〜25% 好ましくは20〜25% の範囲にする必要があるこ
とが分かる。
【0051】また、前記実施例1 の5000系アルミニウム
合金と同様に、6022、6111の6000系アルミニウム合金と
もクリアランス/ 供試材板厚が25% を越えるとバリが急
激に増加する。したがって、バリを抑制するためには、
6000系アルミニウム合金でも、クリアランス/ 供試材板
厚を25% 以下にする必要があることが分かる。
【0052】一方、1100アルミニウム合金や3004アルミ
ニウム合金であって、0.2%耐力が90MPa 未満の供試材
は、表2 の通り、クリアランス/ 供試材板厚が5 〜15%
までの本発明範囲から外れる比較的小さなクリアランス
の範囲で、限界穴拡げ率λが大きくなり、本発明範囲で
は、逆に限界穴拡げ率λが小さくなり、バリが増加する
ことが分かる。
【0053】したがって、0.2%耐力が90MPa を境に、ア
ルミニウム合金の耐力によって、穴拡げ加工における伸
びフランジ性の挙動が異なり、打抜き加工における最適
クリアランス範囲が異なることが分かる。
【0054】
【表2】
【0055】
【発明の効果】本発明によれば、0.2%耐力が90MPa 以上
で板厚が5mm 以下のアルミニウム合金板を打抜き加工後
に穴拡げ加工して、貫通穴の穴縁に所望高さのフランジ
を形成するに際し、フランジの割れを防止し、伸びフラ
ンジ性が優れたプレス加工方法を提供することができ
る。この結果、アルミニウム合金板の用途を構造材用途
などに大きく拡大できる点で、工業的な価値が大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明プレス加工方法によって製作したアルミ
ニウム合金板の一実施態様を示し、図1(a)は穴拡げ加工
後の板、図1(b)は構造部品を取り付けた板を各々示す断
面図である。
【図2】本発明プレス加工方法の一実施態様を示し、図
2(a)は打抜き加工、図2(b)は穴拡げ加工を示す断面図で
ある。
【図3】本発明プレス加工方法によって製作したアルミ
ニウム合金板の構造部品を取り付けた別の実施態様を示
す断面図である。
【図4】本発明プレス加工方法によって製作したアルミ
ニウム合金板同士を接合した実施態様を示す断面図であ
る。
【図5】本発明実施例の限界穴拡げ率λとクリアランス
/ 供試材板厚との関係を示す説明図である。
【図6】本発明実施例の剪断面の平均長さ/ 供試材板厚
と、クリアランス/ 供試材板厚) との関係を示す説明図
である。
【図7】本発明実施例のバリ長さ/ 供試材板厚と、クリ
アランス/ 供試材板厚との関係を示す説明図である。
【図8】アルミニウム合金板の穴拡げ加工における割れ
不良を示す断面図である。
【符号の説明】
1、2:アルミニウム合金板、3:貫通穴、4:フランジ、5:
取り付け部品、6: ワッシャ、7:カラー、c:クリアラン
ス、

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 0.2%耐力が90MPa 以上で板厚が5mm 以下
    であるアルミニウム合金板を打抜き加工して貫通穴を設
    けた後に、該貫通穴を穴拡げ加工して貫通穴の穴縁に所
    望高さのフランジを形成するに際し、前記打抜き加工時
    のダイスとポンチとのクリアランスを加工されるアルミ
    ニウム合金板の板厚の15〜25% の範囲としたことを特徴
    とするアルミニウム合金板のプレス加工方法。
  2. 【請求項2】 前記クリアランスの範囲をアルミニウム
    合金板の板厚の20〜25% とした請求項1に記載のアルミ
    ニウム合金板のプレス加工方法。
  3. 【請求項3】 前記貫通穴に構造部品が取り付けられる
    請求項2に記載のアルミニウム合金板のプレス加工方
    法。
  4. 【請求項4】 前記穴拡げ加工の際の限界穴拡げ率が40
    % 以上である請求項2または3に記載のアルミニウム合
    金板のプレス加工方法。
  5. 【請求項5】 前記アルミニウム合金板が5000系アルミ
    ニウム合金である請求項1乃至4のいずれか1項に記載
    のアルミニウム合金板のプレス加工方法。
  6. 【請求項6】 前記請求項1から6のプレス加工方法に
    より、穴縁に所望高さのフランジが形成された貫通穴を
    設けられたアルミニウム合金板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009204427A (ja) * 2008-02-27 2009-09-10 Jfe Steel Corp プレス品のせん断縁における成形可否判別方法

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