JP2003117369A - ノズル、ノズルアセンブリー、及び拡散方法 - Google Patents

ノズル、ノズルアセンブリー、及び拡散方法

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JP2003117369A
JP2003117369A JP2001315645A JP2001315645A JP2003117369A JP 2003117369 A JP2003117369 A JP 2003117369A JP 2001315645 A JP2001315645 A JP 2001315645A JP 2001315645 A JP2001315645 A JP 2001315645A JP 2003117369 A JP2003117369 A JP 2003117369A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 圧力が1〜50MPaの流体を噴射させて、
所要の拡散能力を発揮させるとともに、構造上及び設計
上の自由度を高め得るノズル、ノズルアセンブリー、及
び拡散方法を提供する。 【解決手段】 ノズル本体2内に、少なくとも2つの細
孔によって構成された上流側ノズル孔3と、下流側ノズ
ル孔4と、上流側ノズル孔3と下流側ノズル孔4との間
に形成された中間滞留室5と、を有し、上流側ノズル孔
3の総流路断面積を下流側ノズル孔4の流路断面積より
大きく形成し、上流側ノズル孔3の出口を下流側ノズル
孔4の入口と対向しないように配置し、前記少なくとも
2つの細孔を、それら各々の出口が互いに同軸線上で対
向しないように形成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、気体又は液体でな
る流体に混入させた粒子や微生物等(以下、「粒子等」
と言う。)を拡散、均一混合、乳化、分散、或いは凝集
体の解砕等(本明細書において、単に「拡散」と言
う。)させるのに用いられる、ノズル、ノズルアセンブ
リー、及び拡散方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、気体又は液体でなる流体中に、様
々な物質や微生物等を混入し、これらを前記流体中で拡
散させるのに、50MPaを超える超高圧(数百MPa
〜500MPa)でノズルから噴射させ、これを圧力壁
に衝突させたり、流体中に噴射して該流体と衝突させた
り、或いは、ノズルからの超高圧噴射どうしを流路内で
正面衝突させる等、超高圧流体による衝撃作用を利用し
て拡散を行う技術が広く知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、流体の
衝突作用を利用して拡散を行うには、流体を数百MPa
の超高圧にすることが必要となり、そのような超高圧に
耐えるために、ノズル自体の強度や圧力壁の強度は極め
て高いものが要求されるとともに、構造上の制約を大き
く受ける。
【0004】そこで、本発明は、圧力が1〜50MPa
の流体を噴射させて、所要の拡散能力を発揮させるとと
もに、構造上及び設計上の自由度を高め得るノズル、ノ
ズルアセンブリー、及び拡散方法を提供することを目的
とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、ノ
ズル本体内に、少なくとも2つの細孔によって構成され
た上流側ノズル孔と、下流側ノズル孔と、前記上流側ノ
ズル孔と前記下流側ノズル孔との間に形成された中間滞
留室と、を有し、該上流側ノズル孔の総流路断面積を前
記下流側ノズル孔の流路断面積より大きく形成し、前記
上流側ノズル孔の出口を前記下流側ノズル孔の入口と対
向しないように配置し、前記少なくとも2つの細孔を、
それら各々の出口が互いに同軸線上で対向しないように
形成したことを特徴とするノズルにより達成される。
【0006】前記上流側ノズル孔の各細孔は、前記下流
側ノズル孔の軸線回りに対称配置されていることが好ま
しい。
【0007】前記上流側ノズル孔は、該上流側ノズル孔
から前記中間滞留室内へ噴射された流体が前記中間滞留
室において前記下流側ノズル孔の中心軸線回りに渦流を
形成するように構成されていることが好ましい。
【0008】前記中間滞留室の上流側内壁面略中央部に
突起部が形成され、該突起部の突端が前記下流側ノズル
孔の入口中心近傍に位置するように構成されていること
が好ましい。
【0009】前記ノズルへ送られる流体の圧力は、1〜
50MPaであることが好ましい。
【0010】また、本発明の上記目的は、上記ノズルを
2以上組み込んだノズルアセンブリーであって、少なく
とも1対の前記ノズルと、該ノズルの出口が開口すると
ともに流体を排出するための排出口とを有する拡散室を
有し、前記少なくとも一対のノズルは、各々から前記拡
散室内へ噴射された流体が該拡散室の内周面に沿う渦流
を形成するように配設されていることを特徴とするノズ
ルアセンブリーにより達成される。
【0011】前記拡散室が円筒状であり、前記ノズルの
出口が前記拡散室の内周壁面に備えられていることが好
ましい。
【0012】前記ノズルは、上流側ノズル孔が形成され
た第1部材と、該第1部材の下流側に配置された下流側
ノズル孔が形成された第2部材とにより構成され、前記
第1部材と前記第2部材とが相対向する側には前記中間
滞留室を構成する空所を有し、前記拡散室を構成する壁
部には、前記ノズルを収容するための底部開口付き凹所
を有し、該凹所の内周面と前記第2部材の外周面とが螺
子結合されていることが好ましい。
【0013】さらに、本発明の上記目的は、粒子や微生
物等を混入させた流体を、1〜50MPaに昇圧し、ノ
ズルから放射状に噴射させることにより前記流体を瞬時
に減圧させて、前記流体中の粒子や微生物等を拡散させ
ることを特徴とする拡散方法により達成される。
【0014】上記ノズル内において予備分散を行った後
にノズルから噴射することが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の好ましい実施形態につい
て以下に図面を参照して説明する。なお、全図を通じ、
同様の構成部分には同符号を付し、流体の流れ方向を矢
印で示した。
【0016】図1は、本発明に係るノズルの第1実施形
態を示す平面図、図2は底面図、図3は図1のA−A線
断面図、図4は図3のB−B線に沿う断面図である。
【0017】ノズル1は、ノズル本体2内に、上流側ノ
ズル孔3と下流側ノズル孔4との間に円筒状の中間滞留
室5を備えている。中間滞留室5は、円筒状が好ましい
が、角筒状等とすることもできる。
【0018】上流側ノズル孔3は、図示の例では2本の
細孔(3,3)により形成されている。上流側ノズル孔
3を構成する2本の細孔は、その出口は、下流側ノズル
孔4の入口と対向しないように配置されるとともに、下
流側ノズル孔4の軸線に対して線対称に形成されてい
る。また、前記2本の細孔は平行に形成されて、互いに
同軸上で対向しないように配置形成されている。さら
に、上流側ノズル孔3の総流路断面積は、下流側ノズル
孔4の流路断面積より大きく形成してある。
【0019】中間滞留室5の上流側内壁面には、突起部
6が形成されている。突起部6は、図示の例では、略円
錐形状とされているが、円錐形状に限らず、円錐台形
状、半球形状等とすることができる。
【0020】上記構成を有するノズル1においては、上
流側ノズル3に入った加圧流体は、上流側ノズル孔3の
孔内を通過する際に流速を増すが、上流側ノズル孔3か
ら噴射された流体は、上流側ノズル孔3の出口と下流側
ノズル孔4の入口とを対向しないように配置してあるか
ら中間滞留室5の内壁に衝突するとともに、上流側ノズ
ル孔3の総流路断面積が下流側ノズル孔4の流路断面積
より大きく形成してあるから下流側ノズル孔4により絞
られることにより、中間滞留室5内において流速を減速
させ、極めて短時間ではあるが一時的に滞留する。
【0021】このように上流側ノズル孔から噴射された
流体が中間滞留室5内において一時的に滞留すること
で、下流側ノズル孔4に入る流体は、下流側ノズル孔4
の入口付近で渦流となる。この下流側ノズル孔4の入口
付近で発生する渦流は、中間滞留室5内に広がる。
【0022】このように渦流となって下流側ノズル孔4
に入った流体は、下流側ノズル孔4の出口から噴射され
る際に側面視扇形に広がって放射状に噴射されることに
より、圧力が瞬間的に急激に減少する。なお、中間滞留
室5内における流体の前記渦流が、下流側ノズル孔4か
ら噴射される流体を前記放射状にすることと密接に関係
していることは重要である。
【0023】こうして下流側ノズル孔4より噴射される
流体が、側面視扇状で放射状に広がり、瞬時に減圧され
ることで瞬時に拡散が生じる。本発明に係るノズルは、
このような瞬時減圧による拡散作用を利用することによ
り、50MPa以下の圧力であっても、所要の拡散能力
を得ることができる。
【0024】また、それに伴って、耐圧性能を高めるた
めに高価で加工困難な硬質材料の使用を少なくできるほ
か、耐圧構造上の制限が少なくなる。
【0025】上記のように下流側ノズル孔4の入口にお
いて生じる渦流は、下流側ノズル孔4の入口をテーパー
状としておくことで、より生じやすくなり、その結果、
下流側ノズル孔4から噴射される流体が広がりやすくな
り、前記瞬時減圧効果を高め得る。また、下流側ノズル
孔4の出口をテーパー状としておくことによっても、噴
射される流体が広がりやすくなる。図示のように下流側
ノズル孔4の出入口をテーパー状とし、下流側ノズル孔
4にある円筒状の直線部分(のど部)は短い方が流体を
放射状に噴射するのには適するが、のど部の損耗により
製品寿命が短縮されるため、実際には、前記テーパー状
の部分の大きさは、製品寿命、製品能力等を勘案して決
定される。
【0026】さらに、中間滞留室5の上流側内壁面略中
央部に突起部6を形成しておくと、中間滞留室5内にお
いて突起部6回りに生じる流体を整流し、突起部5の回
りに渦流を効率よく生じさせる。突起部5の突端は、下
流側ノズル孔4の入口中心に近づけるほど整流作用を増
すから好ましいが、下流側ノズル孔4に入り込むと流路
を絞ることになって好ましくない。
【0027】また、中間滞留室5は、対象とする流体の
種類、圧力(流速)によっては、予備分散室としての働
きもある。即ち、微粒子の凝集体等が含まれているよう
な流体の場合には、中間滞留室5内で生じる衝突と乱流
により凝集体が解砕される。この凝集体が下流側ノズル
孔の閉塞(目詰まり)を誘発する危険性がある場合に
は、これを回避し得る利点もある。
【0028】上流側ノズル孔3を構成する各細孔を同軸
上で対向しないように配置することにより、中間滞留室
5内での渦流の形成に寄与する。すなわち、各細孔の軸
線がずれて配置されることで、渦流が生じやすくなる。
この渦流が下流側ノズル孔4からの放射状の噴射に寄与
することは前記した通りである。逆に上流側ノズル孔3
を構成する各細孔を同軸上で対向させると前記渦流の発
生を阻害するので好ましくない。
【0029】また、上流側ノズル孔3を構成する各細孔
は、下流側ノズル孔4の軸線回りに線対称に配置するこ
とで、中間滞留室5内に生じる前記渦流を均等に形成す
るよう作用する。このような均等化作用は、下流側ノズ
ル4からの前記放射状の噴射を効率よく行うことに寄与
する。
【0030】上記第1実施形態における上流側ノズル3
を構成する2本の細孔は、下流側ノズル孔4の軸線に平
行であるが、下流側ノズル孔4の軸線に対して傾斜又は
90°の角度をなすように形成することもできる。
【0031】上流側ノズル孔3を構成する2本の細孔
を、下流側ノズル孔4の軸線に対して傾斜させた例を図
5〜図10に示し(以下、第2実施形態と言う。)、下
流側ノズル孔4の軸線に対して90°の角度をなすよう
に形成した例を図11、図12に示す(以下、第3実施
形態と言う。)。
【0032】図5は第2実施形態のノズルを示す平面
図、図6は第2実施形態のノズルを示す底面図、図7は
図5のC−C線断面図、図8は図5のD−D線断面図、
図9は図5のE−E線断面図、図10は図7のF−F線
断面図である。
【0033】第2実施形態のノズル1は、上流側ノズル
孔3を形成する一対の細孔が下流側ノズル孔4の軸線に
対して傾斜している点が上記第1実施形態と異なり、そ
の他の構成は上記第1実施形態と同様である。
【0034】図8,9に示すように、上流側ノズル孔3
を構成する一対の細孔を、一方から断面で見ると互いに
反対方向に傾斜させることにより、上流側ノズル孔3か
ら中間滞留室5内への噴射軸線(噴射の中心線)は、中
間滞留室5の円周方向の一方向に向く方向成分と下流側
に向く方向成分とを有することとなる。
【0035】中間滞留室5の円周方向一方向に沿う方向
成分(即ち、下流側ノズル孔4の中心軸線回りの方向)
は、細孔から噴射される流体に対し、中間滞留室5内で
強制的に渦流を生じさせる。そして、この矯正渦流によ
って、下流側ノズル4から最終的に噴射される流体は、
側面視扇状に広がって噴射され、瞬時に減圧される。こ
の瞬時減圧によって、瞬間的に微粒化が起こり、拡散が
効果的になされる。
【0036】次に、図11は、第3実施形態のノズルを
示す平面図、図12は、図11の縦断面図である。第3
実施形態のノズル1は、上流側ノズル孔3を形成する一
対の細孔が下流側ノズル孔4の軸線に対して90°の角
度をなしている点が上記第1実施形態と異なり、その他
の構成は上記第1実施形態と大凡同様である。ただ、図
12に示すように上流側ノズル孔3を構成する2本の細
孔を下流側ノズル孔4の軸線に対して90°にするため
に、前記細孔を中間滞留室5の円周側面に開口させてい
る。
【0037】第3実施形態のノズル1では、上流側ノズ
ル孔3を構成する細孔からの噴射は、中間滞留室5の円
周方向一方向に向く成分が殆どであり、前記渦流を強制
的に発生させる効果が大きい。
【0038】なお、上記第1〜第3実施形態の例では、
上流側ノズル孔と下流側ノズル孔とを2段階に分けた例
を示したが、3段階以上のノズル孔を形成することもで
き、その場合は、各ノズル孔の間に中間滞留室が形成さ
れることになる。
【0039】上記第1〜第3実施形態で説明したノズル
は、2以上を組み合わせてノズルアセンブリーを構成す
ることができる。2つのノズルを組み合わせたノズルア
センブリーについて、次に図13、14を参照して説明
する。図13はノズルアセンブリーの縦断面図、図14
は図13のH−H線に沿う横断面図である。
【0040】ノズルアセンブリー20は、1対のノズル
1,1の出口と流体を排出するための排出口21とを有
する拡散室22を有し、一対のノズル1,1は、それら
各々からの噴射方向が偏芯対向するように配設されてい
る。流体の流入口23は、流路24を介してノズル1の
入口(上流側ノズル孔3)に連通している。拡散室22
は円筒状とされており、ノズル1の出口が拡散室22の
内周壁面に開口している。
【0041】ノズル1,1の各々は、上流側ノズル孔3
が形成された第1部材2aと、下流側ノズル孔4が形成
された第2部材2bとにより構成され、第1部材2a
は、第2部材2bと対向する側に中間滞留室5を構成す
る空所5aを有し、拡散室22を構成する壁部22aに
は、ノズル1,1を収容するための底部開口22c付き
凹所22bを有し、凹所22bの内周面と第2部材2b
の外周面に形成された螺子により、ノズル1,1を壁部
22aに固定している。
【0042】斯かる構成のノズルアセンブリーでは、拡
散室22内に噴射された流体が、図12の矢印Xで示す
ような回転運動を生じ、高速で飛散する流体の進路を変
えて拡散室22内壁面の損傷を抑制することが出きる。
【0043】また、ノズル1,1を第1部材2aと第2
部材の2部材で構成し、第2部材と拡散室壁部22aと
の螺合により固定することとしたので、組立・分解が容
易であり、製造が容易であり、メンテナンス性が良く、
また部品交換も容易である。
【0044】さらに本発明に係るノズルは、拡散対象に
よって、大きく分けて2通りの形態があり、拡散対象に
応じて上流側ノズル孔3を構成する細孔と下流側ノズル
孔4との孔径比率を変更する。
【0045】前記拡散対象の一つは、ノズル孔に比べて
十分小さい粒子を拡散する場合(以下、第1の場合と言
う。)であり、他の一つは、拡散対象が粒子の凝集体を
含むような、下流側ノズル孔が目詰まりを起こす危険性
のある粒子を拡散する場合(以下、第2の場合と言
う。)である。
【0046】上記第1の場合では、ノズル孔の目詰まり
を考慮する必要は無いので、上流側ノズル孔3を構成す
る各細孔の孔径を、下流側ノズル孔4の孔径より小さく
することができる。但し、この場合でも、前記各細孔の
総流路断面積は、下流側ノズル孔4の流路断面積より大
きくしておくことが必要である。
【0047】このような第1の場合としては、例えば、
半導体製造プロセスに用いられる研磨材(スラリー)の
拡散に本発明ノズルを適用する場合や、液体中での気体
のエマルジョン化に本発明ノズルを適用する場合があ
る。これらの適用例では、拡散(分散或いは乳化)され
るべき粒子がノズル孔の孔径に比べて十分小さく、目詰
まりする畏れがない。このような第1の場合について
は、後述する実施例1,2において具体的に説明する。
【0048】また、第2の場合としては、汚泥減量化シ
ステムがあり、これについては、後述する実施例3にお
いて具体的に説明する。
【0049】
【実施例1】半導体製造プロセスにおける研磨による平
坦化プロセスにおいてスラリーが使用されるが、スラリ
ーを本発明ノズルから上記のように噴射させることで、
スラリーの沈殿を防止することができる。
【0050】本発明ノズルを用いた半導体製造プロセス
用スラリー沈殿防止システムを図15に示す。図15に
おいて、41はスラリータンク、42は本発明ノズルを
用いたアセンブリー、43はポンプである。実施条件
は、下記表1の通りである。
【0051】
【表1】
【0052】ここで、ポンプ圧力、ポンプ流量、ノズル
のオリフィス径の関係は、以下の式で表すことができ
る。
【0053】
【数1】
【0054】 D:ノズルのオリフィス径(mmφ) Q:ポンプ流量(リットル/分) a:ノズル係数 n:ノズル個数 p:圧力(MPa) 一般に高圧においてノズル係数は、ノズル形状により決
定され、高圧になるほど流体の種類、粘度の影響を受け
なくなる傾向にある。本実験例では、上記第1実施形態
のノズルと同じものを用い、ノズル係数は0.6であ
る。
【0055】下流側ノズル孔のオリフィス径は、上記数
1の計算式より、a=0.6,n=2となり、約2.4
27mmとなる。一般的な工作精度の問題、及び、ノズル
摩耗による動力への負担を考慮し、ノズル径は2.4m
m±0.1mmとしている。圧力を5MPaに保った場
合、オリフィス内流速は90.08m/secとなる。
【0056】CMPスラリー(機械化学式平坦化スラリ
ー)では、微粒子の中心粒径は0.16μmであり、ス
クラッチの原因となる極小数の粗大粒子の粒径は約1〜
5μm程度である。したがって、下流側ノズル孔の閉塞
(目詰まり)を考慮する必要がないので、上流側ノズル
孔の総面積>下流側ノズル孔の総面積とすれば良く、上
流側ノズル孔を構成する細孔を2本とすると、各細孔の
孔径は、約1.9mmとし、上流側ノズル孔内の流速は
約73.52m/secとなる。
【0057】
【実施例2】次に、本発明ノズルを用いて気体エマルシ
ョン化を行う実施例について説明する。溶存酸素、溶存
オゾンの高濃度化、及び溶存酸素低濃度化のための不活
性ガス購入等、液中への気体エマルション化技術には用
途が多数ある。
【0058】本実施例2における気体エマルションシス
テムのシステム図を図16に概略的に示す。図16にお
いて、50は対象液体を収容したタンク、51はポン
プ、52は気体混入部、53は本発明ノズルを用いたア
センブリーである。
【0059】図16に示すシステムにおいて、ポンプ圧
力を0.3MPa、ポンプ流量を100リットル/分と
した。下流側ノズル孔のオリフィス径は、ノズル係数
0.6の上記第1実施形態と同様のノズルを2個使用し
て、前記数式1より、a=0.6、n=2となり、約
6.936mmとなる。一般的な工作精度の問題、及びノ
ズル摩耗による動力への負担を考慮し、ノズル径は6.
9mm±0.1mmとした。ポンプ圧力を0.3MPaに保
った場合、下流側ノズル孔内の流速は22.06m/sec
となる。
【0060】本実施例2の場合(気体エマルション化の
場合)も、下流側ノズルの閉塞(目詰まり)を考慮する
必要はないから、上流側ノズル孔の総流路断面積>下流
側ノズル孔の流路断面積とすればよく、上流側ノズル孔
を構成する細孔の数を4本とすると、各細孔のオリフィ
ス径を約3.8mmとすれば、上流側ノズル孔の流速は1
8.38m/secとなる。ただし、この条件の場合は、圧
力、流速が低いため、ノズル前後の条件、流体の種類、
粘度に影響を受けるため、あくまでも数値は目安である
が、本発明ノズルを用いた気体エマルションシステムで
は、前記中間滞留室での前記予備分散作用との相乗効果
によって効率良いエマルション化が可能となる。
【0061】
【実施例3】次に本発明ノズルを用いた汚泥減量化シス
テムの実施例について以下に説明する。このシステム
は、余剰汚泥を減量化するために、汚泥中に存在する微
生物の細胞を破壊、又は傷つけることにより、可溶化を
促すシステムである。このシステムのシステム図を図1
7に概略的に示す。
【0062】図17において、61は調整槽、62は爆
気槽、63は沈殿槽である。汚染減量化装置60では、
沈殿槽63に沈殿した余剰汚泥をポンプ64によって2
0MPaに加圧し、本発明ノズルを備えるアセンブリー
65に圧送している。アセンブリー65内では、上記し
た流体の拡散により、汚泥細胞を破壊又は細胞壁に傷を
つけ、溶化を促すようになっている。
【0063】汚泥の場合はノズル孔が閉塞する畏れがあ
るため、上流側ノズル孔3(図13,14参照)は、そ
れを構成する各細孔の孔径が、下流側ノズル孔4の孔径
よりも大きいことが必要で、好ましくは、約1.5倍で
ある。但し、上流側ノズル孔3の孔径が、下流側ノズル
孔4に対して大きすぎると(例えば、2〜3倍)、上流
側ノズル孔3による流体の増速が不十分となり、前記し
た予備分散能力が減少するとともに、下流側ノズル孔か
らの放射状の噴射が弱まるからである。
【0064】上記構成を有するノズル1は、中間滞留室
5において流体中に含まれた粒子等を拡散させてから、
即ち予備分散させてから下流側ノズル孔4に送る構成と
なっている。そのため、流体中に含まれる粒子の凝集体
を拡散(予備分散)により解砕し、下流側ノズル孔4で
の目詰まりを効果的に減少させ、或いは、無くすという
付加的効果を奏する。
【0065】実施条件を2通り設定し、各条件を下記表
2、表3に示す。
【0066】
【表2】
【0067】ノズル係数0.6、ノズル2個とし、上記
数式数1より、a=0.6、n=2を代入すると、下流
側ノズル孔のオリフィス径は約1.716mmとなる。一
般的な工作精度の問題、及び、ノズル摩耗による動力へ
の負担を考慮し、、ノズル径は、1.7mm±0.1mmと
する。圧力を20MPaに保った場合、オリフィス内の
流速は、180.15m/secとなる。
【0068】上流側ノズル孔は、中間滞留室内において
予備分散を行って下流側ノズル孔の閉塞を防ぐため、上
流側ノズル孔を構成する各細孔のオリフィス径は、下流
側ノズル孔のオリフィス径の約1.5倍を確保する。し
たがって、上流側ノズル孔のオリフィス径は、約2.6
mmとなる。下流側ノズル孔1個に対し、上流側ノズル孔
を構成する細孔を2個とすると、上流側ノズル孔を構成
する各細孔内の流速は、39.26m/secとなる。
【0069】
【表3】
【0070】表3は、ノズルを1個セットした実施条件
である。下流側ノズル孔のオリフィス径は、上記数1式
より、a=0.6、n=1として、約2.427mmとな
る。一般的な工作精度の問題、及び、ノズル摩耗による
動力への負担を考慮し、ノズル径は、2.4mm±0.1
mmとする。ポンプ圧力を20MPaに保った場合、オリ
フィス内の流速は、184.30m/secとなる。
【0071】上流側ノズル孔は、中間滞留室内において
予備分散を行って下流側ノズル孔の閉塞を防ぐため、上
流側ノズル孔を構成する各細孔のオリフィス径は、下流
側ノズル孔のオリフィス径の約1.5倍を確保する。
【0072】したがって、上流側ノズル孔を構成する各
細孔のオリフィス径は、約3.7mmとなる。下流側ノズ
ル孔1個に対し、上流側ノズル孔を構成する細孔を2個
とすると、各細孔内の流速は、約38.77m/secとな
る。
【0073】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、ノズルから流体を放射状に噴射し、瞬時減圧
により拡散させることにより、優れた拡散効果を奏する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るノズルの第1実施形態を示す平面
図である。
【図2】図1のノズルの底面図である。
【図3】図1のA−A線に沿う縦断面図である。
【図4】図3のB−B線に沿う横断面図である。
【図5】本発明に係るノズルの第2実施形態を示す平面
図である。
【図6】図5のノズルの底面図である。
【図7】図5のC−C線に沿う縦断面図である。
【図8】図5のD−D線に沿う縦断面図である。
【図9】図5のE−E線に沿う縦断面図である。
【図10】図7のF−F線に沿う横断面図である。
【図11】本発明に係るノズルの第3実施形態を示す平
面図である。
【図12】図11のG−G線に沿う縦断面図である。
【図13】本発明に係るアセンブリーの好ましい実施形
態を示す縦断面図である。
【図14】図13のアセンブリーのH−H線に沿う横断
面図である。
【図15】図13のアセンブリーを用いたCMPスラリ
ーの再凝集防止システムを示すシステム図である。
【図16】図13のアセンブリーを用いた気体エマルシ
ョン化システムを示すシステム図である。
【図17】図11のアセンブリーを用いた汚泥減量化装
置のシステム図である。
【符号の説明】
1 ノズル 2 ノズル本体 2a 第1部材 2b 第2部材 3 上流側ノズル孔 4 下流側ノズル孔 5 中間滞留室 5a 空所 6 突起部 20 ノズルアセンブリー 21 排出口 22 拡散室 22a 壁部 22b 凹所 22c 開口

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ノズル本体内に、少なくとも2つの細孔
    によって構成された上流側ノズル孔と、下流側ノズル孔
    と、前記上流側ノズル孔と前記下流側ノズル孔との間に
    形成された中間滞留室と、を有し、 該上流側ノズル孔の総流路断面積を前記下流側ノズル孔
    の流路断面積より大きく形成し、前記上流側ノズル孔の
    出口を前記下流側ノズル孔の入口と対向しないように配
    置し、前記少なくとも2つの細孔を、それら各々の出口
    が互いに同軸線上で対向しないように形成したことを特
    徴とするノズル。
  2. 【請求項2】 前記上流側ノズル孔の各細孔が、前記下
    流側ノズル孔の軸線回りに対称配置されていることを特
    徴とする請求項1記載のノズル。
  3. 【請求項3】 前記上流側ノズル孔は、該上流側ノズル
    孔から前記中間滞留室内へ噴射された流体が前記中間滞
    留室において前記下流側ノズル孔の中心軸線回りに渦流
    を形成するように構成されていることを特徴とする請求
    項1記載のノズル。
  4. 【請求項4】 前記中間滞留室の上流側内壁面略中央部
    に突起部が形成され、該突起部の突端が前記下流側ノズ
    ル孔の入口中心近傍に位置するように構成されているこ
    とを特徴とする請求項1記載のノズル。
  5. 【請求項5】 前記ノズルへ送られる流体の圧力が1〜
    50MPaであることを特徴とする請求項1記載のノズ
    ル。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5の何れかに記載のノズルを
    2以上組み込んだノズルアセンブリーであって、少なく
    とも1対の前記ノズルと、該ノズルの出口が開口すると
    ともに流体を排出するための排出口とを有する拡散室と
    を有し、前記少なくとも一対のノズルは、各々から前記
    拡散室内へ噴射された流体が該拡散室の内周面に沿う渦
    流を形成するように配設されていることを特徴とするノ
    ズルアセンブリー。
  7. 【請求項7】 前記拡散室が円筒状であり、前記ノズル
    の出口が前記拡散室の内周壁面に備えられていることを
    特徴とする請求項6記載のノズルアセンブリー。
  8. 【請求項8】 前記ノズルは、上流側ノズル孔が形成さ
    れた第1部材と、該第1部材の下流側に配置された下流
    側ノズル孔が形成された第2部材とにより構成され、前
    記第1部材と前記第2部材とが相対向する側には前記中
    間滞留室を構成する空所を有し、前記拡散室を構成する
    壁部には、前記ノズルを収容するための底部開口付き凹
    所を有し、該凹所の内周面と前記第2部材の外周面とが
    螺子結合されていることを特徴とする請求項6又は7記
    載のノズルアセンブリー。
  9. 【請求項9】 粒子や微生物等を混入させた流体を、1
    〜50MPaに昇圧し、ノズルから放射状に噴射させる
    ことにより前記流体を瞬時に減圧させて、前記流体中の
    粒子や微生物等を拡散させることを特徴とする拡散方
    法。
  10. 【請求項10】 前記ノズル内において予備分散を行っ
    た後にノズルから噴射することを特徴とする請求項9記
    載の拡散方法。
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