JP2003116580A - 新規蛋白質 - Google Patents

新規蛋白質

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JP2003116580A
JP2003116580A JP2001320759A JP2001320759A JP2003116580A JP 2003116580 A JP2003116580 A JP 2003116580A JP 2001320759 A JP2001320759 A JP 2001320759A JP 2001320759 A JP2001320759 A JP 2001320759A JP 2003116580 A JP2003116580 A JP 2003116580A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 α−GalNAcに対する特異的結合能及び
/又は血球凝集活性を有する新規な蛋白質、及び、該蛋
白質をコードする塩基配列を含むDNAの提供。 【解決手段】 イトマキヒトデの内部臓器の粗抽出液を
精製して得られる、α−GalNAcに対する特異的結
合能及び/又は血球凝集活性を有する新規な蛋白質、該
蛋白質をコードする塩基配列を含むDNA、及びその利
用。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、α−GalNAc
(α−N−Acetyl−D−Galactosami
ne;α−N−アセチル−D−ガラクトサミン)に対す
る特異的結合能及び/又は血球凝集活性を有する新規な
蛋白質、及び、それをコードする塩基配列を含むDNA
に関する。また、該蛋白質及び該DNAの利用に関す
る。
【0002】
【従来の技術】レクチンは、各種糖鎖と結合することで
細胞凝集、分裂誘発、分化誘導、細胞障害等の機能を有
する物質の総称であり、一般に、免疫学的産物でなく、
かつ、糖鎖を特異的に認識する蛋白質と定義されてい
る。レクチンとしての活性を有する物質は、H.Sti
llmark(1888)がトウゴマ(Ricinus
communis)毒素の動物赤血球凝集作用を発見
したことを端緒として、種々の植物種子から同様の作用
を示すものとして発見された。以来、多数の植物由来レ
クチンが発見されているが、代表的なものとしてはイン
ゲンマメ(Phaseolus vulgaris)の
phytohemagglutinin(PHA)、ナ
タマメ(Canavalia ensiformis)
のconcanavalin A(ConA)、アメリ
カヤマゴボウ(Phytolacca america
na)のpokeweed mitogen(PW
M)、麦芽中の凝集素(wheat germ agg
lutin)などがある。このうち、PHAとConA
はT細胞の、PWMはT細胞とB細胞の分裂を誘発する
作用を有する。また、植物ばかりでなく、動物、特に節
足動物や軟体動物等の無脊椎動物の体液中にもレクチン
の定義に合う物質が発見され、動物レクチンと呼ばれて
いる。例えば、カブトガニ(Limulus)、ウミザ
リガニ(Homarus)、イガイ(Mytilu
s)、シャコガイ(Tirana)、マイマイ(Hel
ix)などのレクチンは、哺乳類赤血球を凝集し、その
うちカブトガニとシャコガイのレクチンはヒトのリンパ
球に分裂を誘発する作用を有している。
【0003】このように、レクチンの中には、免疫系に
おいて有用なリンパ球の分裂誘発等の作用を有するもの
もあり、また、特異的な糖鎖結合性を利用した細胞表面
糖鎖の探索や、複合糖質の特異的精製等にも用いられる
ようになってきた。しかし、免疫学的・細胞生物学的に
その重要性が認められつつあるものの、種々の動物にお
けるレクチンの存在や機能、その有用性等は、未だ十分
に解明されていない。
【0004】Tn抗原は、糖鎖不全により生じる代表的
な糖鎖抗原である。主要な臓器の癌において高い頻度で
発現が確認されており、特に大腸癌では70%以上に発
現されているとされ、その構造はGalNAcα1−S
er/Thrと考えられている。種々の腫瘍関連糖鎖抗
原の中でも、Tn抗原は、正常細胞においてはほとんど
発現が見られず、また存在していても表面化していない
ために免疫系に認識されないと考えられ、癌細胞におい
てのみ特異的に検出されることから、腫瘍マーカーとし
て有用性が高いとして注目されている。これらのことか
ら、Tn抗原に結合するレクチンとして知られるHai
ry vetchのVisia villosa(Gr
ubhoffer,L. et al., Bioch
em.j.,195,623−626(1981))
や、Japanese wisteriaのWFA(K
urokawa,T., et al., J.Bio
l.Chem.,251,5686−5693(197
6))等の解析が行われてきたが、特異性の解明や結合
能等が十分でなく、Tn抗原の検出方法は確立されてい
ない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、α−Gal
NAcに対する特異的結合能及び/又は血球を凝集させ
る活性(血球凝集活性)を有する新規な蛋白質、及び、
それをコードする塩基配列を含むDNAを提供すること
を目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、イトマキ
ヒトデの内部臓器(生殖巣と幽門盲嚢を除く)から調製
した粗抽出液に含まれる血球凝集活性を有する蛋白質に
ついて解析を進めた結果、該蛋白質がα−GalNAc
に対してこれまでにない極めて高い特異的結合能を有す
ることを見出し、そのアミノ酸配列を明らかにした。ま
た、該蛋白質が大腸癌等の特異的抗原として知られるT
n抗原に対して極めて高い親和性を持つことを見出し
た。本発明はこれらの知見に基づいて成し遂げられたも
のである。
【0007】すなわち、本発明によれば、(1)次の
(A)又は(B)の性質を有する蛋白質、(A)配列表
の配列番号:3に記載のアミノ酸配列を有する。(B)
配列表の配列番号:3に記載のアミノ酸配列において、
1若しくは数個のアミノ酸に置換、欠失、挿入、付加、
又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、α−Ga
lNAcに対する特異的結合能及び/又は血球凝集活性
を有する。(2)上記(1)に記載の蛋白質をコードす
る塩基配列を含むDNA、(3)DNAが、配列表の配
列番号:1に示す塩基配列を有するものである上記
(2)に記載のDNA、(4)上記(2)又は(3)に
記載のDNA、及びこれと連結するプロモーター配列を
含むことを特徴とする組換えDNA、(5)上記(4)
に記載の組換えDNAを宿主に導入することにより取得
されるDNA導入体、(6)上記(5)に記載のDNA
導入体を培養して培養物中に蛋白質を生成せしめ、培養
物から上記(1)に記載の蛋白質を採取することを特徴
とする組換え蛋白質の製造法、(7)上記(4)に記載
の組換えDNAを無細胞蛋白質合成系を用いて転写/翻
訳し、合成系中に蛋白質を生成せしめ、該合成系から上
記(1)に記載の蛋白質を採取することを特徴とする組
換え蛋白質の製造法、(8)上記(6)又は(7)に記
載の方法により製造された組換え蛋白質、(9)次の性
質を有する蛋白質、(a)α−GalNAcに対する特
異的結合能を有する。(b)還元状態では20kDaの
単量体、2量体及び3量体で存在し、非還元状態では3
0kDaの単量体及び2量体で存在する。(c)pH
5.5〜10の範囲で血球凝集活性に大きな変化がな
い。(d)血球凝集活性の発現には、金属塩の存在が必
要である。(e)配列表の配列番号:4〜7の何れかに
記載のアミノ酸配列を有する。(10)上記(1)、
(8)又は(9)に記載の蛋白質、又は該蛋白質の部分
ポリペプチドを抗原とする抗体、(11)上記(1)、
(8)又は(9)に記載の蛋白質と、被検物質とを接触
させ、該蛋白質と被検物質との反応性を解析することを
特徴とする、末端にα−GalNAcを有する糖鎖抗原
を表面に発現する癌細胞の検出方法、(12)糖鎖抗原
がTn抗原である上記(11)に記載の方法、(13)
上記(1)、(8)又は(9)に記載の蛋白質を含有し
てなる、上記(11)又は(12)に記載の検出方法を
行うための試薬、(14)上記(2)又は(3)に記載
のDNAを導入した非ヒト哺乳動物、又はその子孫、が
提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を更に詳細に説明す
る。なお、本明細書において、蛋白質の分離・精製、D
NAの単離・調製、ベクターの調製等の遺伝子操作等
は、特に明記しない限り、Molecular Clo
ning, A LaboratoryManual
(J.Sambrook et al., Cold
Spring Harbor Laboratory
(2001))、新生化学実験講座(日本生化学会編;
東京化学同人)等の実験書に記載の方法又はそれに準じ
て行うことができる。
【0009】1.本発明の蛋白質及びそれをコードする
塩基配列を含むDNAの調製方法 本発明の蛋白質及び該蛋白質をコードする塩基配列を含
むDNAは、例えば、以下のようにして調製することが
できる。具体的には、まず、(1)イトマキヒトデの内
部臓器(生殖巣と幽門盲嚢を除く)の摩砕懸濁液上清か
ら粗抽出液を調製し、(2)得られた粗抽出液から、活
性測定を行いながら本発明の蛋白質を分離・精製する。
次に、(3)得られた本発明の蛋白質を酵素により消化
して、各消化断片のアミノ酸配列を解析し、(4)この
アミノ酸配列を用いて蛋白質及びDNAデータベースを
検索することにより、既知のアミノ酸配列又は塩基配列
との相同性を解析する。続いて、(5)イトマキヒトデ
の生殖巣からtotal RNAを抽出し、精製したm
RNAからcDNAを調製して、上記アミノ酸配列を元
に設計されたプライマーを用いたPCRを行い、得られ
たDNA断片の塩基配列を解析すればよい。また、
(6)得られたDNAを適当なプロモーターと共にベク
ターに組み込んだ組換えDNAを作製し、該組換えDN
Aを適当な宿主に導入することによりDNA導入体を作
製することができる。さらに、該組換えDNA又はDN
A導入体を用いて、組換え蛋白質を製造することができ
る。以下、上記した各調製工程について更に詳細に説明
する。
【0010】(1)粗抽出液の調製 本発明の蛋白質は、ヒトデ類等の生物から抽出・精製す
ることができる。用いる生物としては、α−GalNA
cに対する特異的結合能及び/又は血球凝集活性を有す
る蛋白質が抽出できるものであればいかなるものでもよ
いが、ヒトデ類等の海洋生物が挙げられ、中でも特にイ
トマキヒトデが好ましく用いられる。具体的には、例え
ば、イトマキヒトデを用いて本発明の蛋白質を取得する
ためには、まず、イトマキヒトデの内部臓器(生殖巣と
幽門盲嚢を除く)をホモジナイズして摩砕懸濁液を調製
する。この懸濁液から適当な溶液で総蛋白質を抽出した
後、遠心を行って上清を得て、この上清を脱脂綿等を用
いてろ過したものを粗抽出液とし、次の精製工程に供す
ることができる。総蛋白質の抽出に用いる溶液は、蛋白
質の可溶化が安定的に行えるものであればいかなるもの
でもよく、例えば、TBS(20mM Tris−HC
l緩衝液、0.15M NaCl(pH7.5))に5
mM CaCl2を添加したもの等を用いることができ
るが、内部臓器を用いているためにプロテアーゼ活性が
高いことが考えられることから、leupeptin、
pepstatin A等のプロテアーゼ阻害剤を添加
することが好ましい。
【0011】(2)本発明の蛋白質の分離・精製及び解
上記(1)において得られた粗抽出液から、通常用いら
れる公知の蛋白質の分離・精製方法、例えば、塩析法、
透析法、限外濾過法、逆相クロマトグラフィー、イオン
交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフ
ィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、電気泳動法等を組
み合わせて、本発明の蛋白質を分離・精製することがで
きる。本発明の蛋白質の分離・精製は、必要に応じてそ
の活性を測定したり、性質を解析しながら行うことが好
ましい。指標となる本発明の蛋白質の活性又は性質とし
ては、血球凝集活性、α−GalNAcに対する特異的
結合能、分子量、pH依存性、金属塩の影響等が挙げら
れるが、中でも、血球凝集活性の測定、及び、α−Ga
lNAcに対する特異的結合能の解析を行うことが好ま
しい。血球凝集活性の測定、及び、α−GalNAcに
対する特異的結合能の解析は、例えば、以下の(a)及
び(b)に記載の方法等により行うことができる。
【0012】(a)血球凝集活性の測定 本発明の蛋白質を、5mM CaCl2を含むTBS
(20mM Tris−HCl緩衝液、0.15M N
aCl(pH7.5))に溶解して、同溶液で2倍ずつ
段階希釈した希釈系列を調製し、この希釈系列を用いて
血球凝集活性を測定する。例えば、各希釈液の30μl
を、等容量の前記溶液で10%に希釈した赤血球溶液と
混合して、37℃で1時間インキュベートした後、凝集
を目視で観察する。赤血球凝集活性はタイター(AU)
で表現することができ、これは凝集が検出される最大希
釈の逆数として定義される。すなわち、上記蛋白質溶液
の原液を用いた場合に赤血球凝集が観察された場合、1
AUと表現される。また、測定に用いる赤血球の動物種
や状態により凝集性が異なり、異なるタイターが得られ
ることがあるため、活性の比較を行う場合等には、測定
に用いる赤血球は同一のものを用いることが好ましい。
測定に用いる赤血球としては、細胞表面に本発明の蛋白
質と結合し得る糖鎖を発現しているものであればいかな
るものでもよいが、例えば、ヒツジ、モルモット、ウ
マ、イヌ等の赤血球が挙げられる。中でも、ヒツジ赤血
球を用いることが好ましい。活性の測定には、これらの
動物の血液を採取して適宜調製したものを用いてもよい
し、市販の赤血球溶液等を用いることもできる。
【0013】(b)α−GalNAcに対する特異的結
合能の解析 (i)種々の糖を用いた血球凝集阻害実験による解析 上記(a)に記載の血球凝集活性を測定する反応系に種
々の糖を添加して、どのような糖によって凝集が阻害さ
れるかを検出することにより、本発明の蛋白質の糖に対
する結合能を解析することができる。糖としては、単
糖、オリゴ糖、多糖、糖ペプチド、糖蛋白質、又は、糖
脂質等の中から、水性溶媒に溶解できるものを任意に選
択して用いることができる。
【0014】血球凝集阻害実験の方法としては、例え
ば、まず、5mM CaCl2を含むTBSに適当な濃
度の本発明の蛋白質を溶解した溶液を調製する。本発明
の蛋白質の濃度は血球凝集が生じる濃度であればよく、
例えば、ヒツジ赤血球を用いる場合には1〜10AU、
好ましくは4AU程度に調製して用いればよい。次に、
種々の糖をいくつかの濃度で添加して、5mM CaC
2を含むTBSに溶解した10%ヒツジ赤血球溶液を
調製し、先に調製しておいた本発明の蛋白質溶液30μ
lにそれぞれ等容量加える。ここで、本発明の蛋白質に
よる赤血球凝集が阻害された場合に、該蛋白質が添加し
た糖に対して結合能を有すると判定することができる。
また、赤血球凝集を阻害した糖の濃度から、該蛋白質の
該糖への結合の特異性の高さを検討することができる。
【0015】用いる糖の具体例としては、構造既知のも
のであって、水性溶媒に溶解できるものであればいかな
るものでもよいが、例えば、D−ガラクトース、D−グ
ルコース、D−グルコサミン、D−ガラクトサミン、N
−アセチル−D−グルコサミン、N−アセチル−D−ガ
ラクトサミン、D−フコース、β−ラクトース、D−マ
ンノース等の単糖や、A型、B型糖鎖等のオリゴ糖等が
挙げられる。糖ペプチドとしては、例えば、Tn抗原等
が挙げられ、糖蛋白質としては、フェツイン、アシアロ
フェツイン、ムチン、アシアロムチン等が挙げられる。
糖脂質としては、フォルスマン抗原、グロボシド、ガン
グリオシド等が挙げられる。ここで、糖蛋白質を用いる
場合には、本発明の蛋白質と結合し得る糖鎖が表面に露
出しておらず、反応性が低下することがあるので、その
ような場合には、あらかじめプロナーゼ消化等を行って
糖ペプチドとして調製し、これを用いることが好まし
い。
【0016】(ii)ELISA法による解析 本発明の蛋白質がどのような糖に対して結合能を有して
いるかの解析や、活性の測定は、ELISA法を用いて
行うこともできる。用いる糖としては、マイクロタイタ
ープレート等に固定化できるものであればいかなるもの
でもよいが、例えば、上記(i)と同様のものが挙げら
れる。ELISA法により本発明の蛋白質の解析及び活
性測定を行う方法としては、まず、種々の糖を緩衝液
(例えば、TBS−0.02%Tween20等)に溶
解して、各溶液をマイクロタイタープレートに入れ、4
℃で一夜インキュベートしてコートする。同じ緩衝液で
洗浄後、プレートを1%BSAを含む同じ緩衝液でブロ
ッキングし、あらかじめビオチンで標識した本発明の蛋
白質を加えて室温で2時間インキュベートしてから、同
じ緩衝液で洗浄する。ここで、本発明の蛋白質のビオチ
ン標識は、それ自体公知の通常用いられる方法により行
うことができ、例えば、Biotin−Osu(Doj
indo reagents社製)等の市販のキットを
用いることができる。次に、ストレプトアビジン−ホー
スラディッシュペルオキシダーゼコンジュゲート(GI
BCO−BRL社製等)を加え、室温で15分インキュ
ベートした後、ホースラディッシュペルオキシダーゼの
基質として2,2’−アジノビス(3−エチルベンズチ
アゾリン−6−スルホン酸)を添加する。マイクロプレ
ートリーダーを用いて415nmの波長で測定を行い、
酵素反応による発色を検出することにより、本発明の蛋
白質がどのような糖に対して結合能を有するかを解析す
ることができ、また、測定値から活性を知ることができ
る。
【0017】(iii)TLC−overlay ass
ayによる解析 本発明の蛋白質がどのような糖に結合能を有するかの解
析は、TLC−overlay assayによっても
行うことができる。解析の方法としては、例えば、本発
明の蛋白質との結合性を解析したい目的の糖を公知の方
法に従ってTLC(薄相クロマトグラフィー)で展開し
た後、これに本発明の蛋白質をあらかじめビオチンで標
識したものを接触させて、アルカリフォスファターゼで
標識したストレプトアビジン(ストレプトアビジン−ア
ルカリフォスファターゼコンジュゲート)を作用させ、
発色法により検出及び定量を行うことができる。用いる
糖としては、TLCで展開可能なものであればいかなる
ものでもよいが、例えば、上記(i)又は(ii)と同様
のものが挙げられる。中でも特に糖脂質については、水
性溶媒に溶解しにくい性質を有するものが多いことか
ら、TLC−overlay assayにより解析を
行うことが好ましい。
【0018】上記(a)又は(b)に例示したような方
法を用いることにより、本発明の蛋白質の活性を測定す
ることができ、また、どのような糖に対して結合能を有
するか、どの程度の特異性を有するかを解析することが
できる。またさらに、本発明の蛋白質の結合は糖のアノ
マー配位(α又はβ)を見分けることができるため、特
に結合性の高い糖の立体異性体がα−アノマー又はβ−
アノマーのどちらであるかについても解析することがで
きる。
【0019】これらの測定又は解析によって、本発明の
蛋白質がGalNAc(N−Acetyl−D−Gal
actosamine; N−アセチル−D−ガラクト
サミン)、中でも特にα−GalNAcへの特異的結合
能が高いことを確認することができ、該蛋白質の分離・
精製にはGalNAcを結合させたセファロースCL4
B等のアフィニティークロマトグラフィーを好ましく用
いることができる。さらに、アフィニティークロマトグ
ラフィーを行って得られた各画分について、血球凝集活
性の測定、又は、GalNAcを有する糖を用いた活性
測定を行い、特に高い活性を有する画分を選択して次の
アミノ酸配列分析に供することができる。
【0020】かくして得られる本発明の蛋白質は、上記
の解析方法もしくは後記実施例にて詳述するとおり、次
の諸性質を有するものである。 (I)α−GalNAcに対する特異的結合能を有す
る。 (II)還元状態では20kDaの単量体、2量体及び3
量体で存在し、非還元状態では30kDaの単量体及び
2量体で存在する。 (III)既知のレクチンと比較して、100倍以上の血
球凝集活性を有する。 (IV)pH5.5〜10の範囲で血球凝集活性に大きな
変化がない。特に、pH7.5〜9の間では、ほぼ一定
である。 (V)血球凝集活性の発現には、金属塩の存在が必要で
ある。すなわち、キレート剤、例えば、EDTA又はE
GTAの存在下で血球凝集活性が失われ、金属塩、例え
ばCaCl2の添加により、該活性が回復する。
【0021】(3)本発明の蛋白質の部分アミノ酸配列
分析 次に、上記(2)において分離・精製・解析された本発
明の蛋白質の部分アミノ酸配列分析を行う。まず、例え
ば、細胞工学別冊8:新細胞工学実験プロトコール(監
修:豊島久眞男・山本 雅、秀潤社、pp.304−3
09(1993))に示されるようなIn Gel D
igestion法等により、得られた蛋白質の酵素消
化を行う。消化に使われる蛋白質分解酵素としては、リ
ジルエンドプロテアーゼ、V8プロテアーゼ、エンドプ
ロテアーゼAsp−N、エンドプロテアーゼArg−
C、トリプシン、キモトリプシン等があるが、これらの
なかで基質特異性、安定性、界面活性剤の存在下での活
性等の点から、リジルエンドペプチダーゼを用いるのが
好ましい。消化により得られたモノ又はポリペプチドの
分離法としては、例えば、逆相高速液体クロマトグラフ
ィー(逆相HPLC)、ゲルろ過クロマトグラフィー、
イオン交換クロマトグラフィー、ペーパークロマトグラ
フィー、薄相クロマトグラフィー、濾紙電気泳動法、キ
ャピラリー電気泳動法等があるが、精度や再現性、回収
率等の点から、疎水性に基づいて分離を行うことができ
る逆相HPLCを用いるのが好ましい。分離された各部
分ペプチドは、アミノ酸配列分析器を用いてそれぞれの
部分アミノ酸配列を分析し、その結果を市販の解析ソフ
トを用いて解析して配列を特定する。解析ソフトで解析
不可能であった部分については解析者の目視による解析
でまかなう。かくして得られる部分アミノ酸配列とし
て、配列表の配列番号:4〜7に記載の配列を挙げるこ
とができる。
【0022】(4)蛋白質及びDNAデータベースの検
上記(3)で得られた部分アミノ酸配列について、既知
のアミノ酸配列及びDNA配列のデータベース中に相同
性の高いものが存在するかどうか解析する。アミノ酸配
列のデータベースとしては、SWISS−PROT(E
uropeanBioinformatics Ins
titute)や、NBRF(National Bi
omedical Research Foundat
ion)等があるが、SWISS−PROTを用いるの
が好ましい。またDNA配列のデータベースについて
は、アミノ酸配列をコードするDNAの相補鎖を含め両
鎖について3フレーム、計6フレームについて検索す
る。これに用いるDNAデータベースとしてはGenB
ank、EMBL(European Molecul
ar Biology Laboratory)、DD
BJ(DNA Data Bank of Japa
n)等が挙げられる。検索に用いるソフトとしては、B
LAST(The National Center
for Biotechnology Informa
tion社製)、Genetyx(ソフトウェア開発株
式会社製)、EUGENE、UWGCG、Biores
earch(富士通社製)等が用いられるが、検索精
度、検索速度からBLASTが好ましい。このような検
索の結果、上記(3)で得られた部分アミノ酸配列につ
いては、いずれのデータベースにも相同性の高い配列が
存在せず、本発明の蛋白質が新規な蛋白質であることを
確認することができた。
【0023】(5)本発明の蛋白質のcDNAの単離及
びその塩基配列の決定 次に、本発明の蛋白質のcDNAを単離し、その塩基配
列を決定する。まず、上記(3)で得られた部分アミノ
酸配列からそれをコードする塩基配列を推定し、その塩
基配列を有するオリゴヌクレオチドをプライマーとして
DNAシンセサイザーにより合成する。得られたプライ
マーを用いて、イトマキヒトデ等の本発明の蛋白質を抽
出した生物のcDNAやcDNAライブラリー等を鋳型
にしたPCRを行い、目的のDNA断片を増幅させるこ
とにより、本発明の蛋白質をコードするDNAを取得す
ることができる。
【0024】具体的には、用いられるプライマーとして
は、例えば、上記(3)において解析された本発明の蛋
白質のアミノ酸配列(配列番号:4〜7)に基づいて設
計された、配列番号:8〜10に記載のオリゴヌクレオ
チド等が挙げられる。プライマーとして用いる合成オリ
ゴヌクレオチドは、それ自体公知の通常用いられる方法
によって作製することができる。cDNAとしては、イ
トマキヒトデの組織や細胞等からtotal RNAを
抽出し、mRNAを精製して、これを転写したcDNA
を用いることができる。また、得られたcDNAを適当
なベクターにクローニングして作製したcDNAライブ
ラリーや、市販のcDNAライブラリーを用いることも
できる。
【0025】このようにして得られるDNA断片は、こ
れを適当なベクターに挿入して組換えベクターを作製
し、このベクターについて適当なシークエンス用プライ
マーと、オートシークエンサー用PCRシークエンスキ
ット等を用いてシークエンスのためのDNA合成反応を
行い、これを適当なオートDNAシークエンサー等を用
いて解析し、該組換えベクター中に挿入されたDNAの
塩基配列を特定することができる。シークエンスキット
としては、例えば、Bigdye Terminato
r Cycle Sequencing Ready
ReactionKit(アプライドバイオシステムズ
社製)等が、シークエンサーとしては、例えば、DNA
Sequencer:Model 377A(アプラ
イドバイオシステムズ社製)、ALFred DNAシ
ークエンサー(AmershamPharmacia
Biotech社製)等が挙げられる。
【0026】次いで、得られた塩基配列が、オープンリ
ーディングフレーム(ORF)の全長を含んでいること
を、DNASIS(日立ソフトウエア社製)等の市販の
塩基配列解析ソフト等を用いて解析する。塩基配列にO
RFの全長が含まれていなかった場合は、既知の5’−
RACE又は3’−RACE法等を用いて上記cDNA
からORFの全長を含むDNAを取得することができ
る。
【0027】かくして得られる本発明のDNAとして、
例えば、配列番号:1に記載の塩基配列を有するDNA
が挙げられる。該DNAは、配列番号:1に記載の塩基
配列を有するものに制限されるものではなく、後述する
本発明の蛋白質のアミノ酸配列をコードする塩基配列を
含むものであれば、いかなる塩基配列であってもよい。
また、例えば、配列番号:1に記載の塩基配列におい
て、1若しくは数個の塩基の置換、欠失、挿入、付加、
又は逆位を含むものであっても、該DNAがα−Gal
NAcに対する特異的結合能及び/又は血球凝集活性を
有する蛋白質をコードするものであれば、いずれのもの
でもよい。塩基配列の置換、欠失、挿入、付加、逆位等
を含むDNAの調製は、それ自体既知の通常用いられる
方法、例えばサイトダイレクテドミュータジェネシスキ
ット(宝酒造製)や、クイックチェンジサイトダイレク
テドミュータジェネシスキット(STRATAGENE社製)等の
キットを用いて容易に行うことができる。
【0028】配列表の配列番号:1に記載の塩基配列
は、本発明の蛋白質の未成熟型をコードするものであ
る。生体内において、一部の蛋白質は小胞体膜結合性の
リボソーム上で合成された後に脂質二重層を通過するた
めに、このときに必要なシグナルペプチドがN末端に存
在し、膜通過後にシグナルペプチダーゼにより切断され
て成熟型蛋白質となることが知られている。成熟型蛋白
質の解析は、上記(2)に記載の方法により精製された
本発明の蛋白質のN末端分析を行って、N末端アミノ酸
残基を同定することにより、配列番号:1に記載の塩基
配列中のORF(塩基番号85〜591)において、の
ちに切断されるシグナルペプチドをコードするシグナル
配列を区別し、本発明の蛋白質の成熟型をコードする配
列を決定することができる。蛋白質のN末端分析は、そ
れ自体公知の通常用いられる方法により行うことができ
るが、例えば、エドマン法、4−N,N−ジメチルアミ
ノアゾベンゼン−4’−イソチオシアネート法(DAB
ITC法)、ダンシルアミノ−PITC法等が挙げられ
る。中でもエドマン法を用いるのが好ましく、この方法
を自動化したアミノ酸配列分析装置等を用いて分析を行
うことができる。このような方法により解析された本発
明の蛋白質の成熟型は、配列番号:1に記載の塩基配列
中の塩基番号139〜591によりコードされているも
のであった。また、かくして得られる本発明の蛋白質の
成熟型のアミノ酸配列として、配列番号:3に記載の配
列が挙げられる。
【0029】本発明の蛋白質は、配列番号:3に示すア
ミノ酸配列を含み、α−GalNAcに対する特異的結
合能及び/又は血球凝集活性を有する蛋白質であれば、
いかなるものでもよい。また、例えば、配列番号:3に
記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ
酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸
配列からなるものであって、α−GalNAcに対する
特異的結合能及び/又は血球凝集活性を有する蛋白質で
あれば、いずれのものでもよい。このような蛋白質とし
ては、天然に存在する本発明の蛋白質のアイソフォーム
をそれ自体公知の方法に従って取得したものでもよい
し、公知の方法を用いて任意に置換、欠失、挿入、付
加、又は逆位を生じさせたものでもよい。また、α−G
alNAcに対する特異的結合能及び/又は血球凝集活
性を有している限り、本発明の蛋白質は単量体でも多量
体を形成していてもよい。
【0030】また、蛋白質は生体内に存在する蛋白質分
解酵素により切断(プロセッシング)されることがある
が、当然のことながら本発明の蛋白質においても、α−
GalNAcに対する特異的結合能及び/又は血球凝集
活性を有するものであれば、切断されたアミノ酸配列の
部分断片であっても本発明の範囲に含まれる。さらに、
上記した蛋白質及びその部分断片をコードする塩基配列
を含むDNAも、本発明に含まれる。
【0031】(6)組換えDNA及びDNA導入体の作
製、それらを用いる蛋白質製造法、及び、該製造法によ
り製造される組換え蛋白質 本発明のDNAを適当なプロモーター配列に連結させた
組換えDNAを作製し、該組換えDNAを適当な宿主に
導入することによりDNA導入体を作製することができ
る。また、該組換えDNA又はDNA導入体用いてを転
写及び翻訳させることにより、組換え蛋白質を製造する
ことができる。転写及び翻訳は、生細胞中又は無細胞蛋
白質合成系により行うことができる。具体的には、用い
られるDNAとしては、例えば、配列表の配列番号:1
に記載の塩基配列で表されるDNA、該塩基配列中のO
RF部分のDNA(塩基番号85〜591)、又は、該
塩基配列中の塩基番号139〜591で表される成熟型
蛋白質をコードするDNA等が挙げられる。転写及び翻
訳を生細胞中で行う場合には、本発明のDNAを適当な
発現ベクター、若しくは適当なベクターに適当なプロモ
ーターとともに挿入して組換えDNAを作製し、この組
換えDNAを用いて適当な宿主微生物を形質転換した
り、適当な培養細胞に導入することによりDNA導入体
を作製する。これらのDNA導入体を適当な方法により
培養し、培養物中に蛋白質を生成させて、培養物から該
蛋白質を適当な精製方法を用いて精製することにより、
組換え蛋白質を取得することができる。
【0032】(a)組換えDNAの作製 組換えDNAの作製に用いるベクターは、本発明のDN
Aが導入された適当な宿主微生物又は培養細胞において
発現されるものであれば特に制限はないが、通常それぞ
れの宿主微生物又は培養細胞に適したプロモーターが挿
入されている市販の蛋白質発現用ベクターを用いればよ
い。また、プラスミドベクター、ファージベクターとも
に用いることができる。具体的には、宿主微生物が大腸
菌の場合には、例えば、pTV118N(宝酒造社
製)、pET3、pET11(STRATAGENE社
製)等が挙げられ、好ましくはpTV118Nが用いら
れる。また、pGEX(Amersham Pharm
acia Biotech社製)等のTagとして用い
得る蛋白質を付加するベクターを用いて発現を行えば、
Tagを利用して発現された蛋白質を簡便に分離・精製
することができる。その他に、酵母、昆虫細胞、動物細
胞等、それぞれに適したベクターを選択して用いること
ができる。これらのベクターへの本発明のDNAの挿入
は、該DNAをベクター中のプロモーターの下流に該D
NAがコードする蛋白質のアミノ酸配列がフレームシフ
トしないで翻訳されるように連結して行えばよい。本発
明のDNAを発現させるためのプロモーターとしては、
宿主微生物又は培養細胞が保有するプロモーターを挙げ
ることができるが、これに限られるものではなく、具体
的には、例えば、宿主微生物が大腸菌の場合はT3、T
7、tac、lacプロモーター等を用いることができ
る。
【0033】(b)DNA導入体の作製 作製された本発明の組換えDNAは、通常用いられる公
知の方法に従って任意の宿主微生物又は培養細胞等に導
入され、DNA導入体を作製することができる。形質転
換を行う方法としては、宿主微生物が大腸菌の場合に
は、例えば、エレクトロポレーション法やヒートショッ
ク法等が挙げられる。
【0034】更に、上記した発現ベクターを用いる方法
の他に、プロモーター配列を連結した本発明のDNA断
片を宿主微生物の染色体中に直接挿入する相同組換え技
術(A.A.Vertes et al., Bios
ci.Biotechnol.Biochem.,5
7,2036(1993))、あるいはトランスポゾン
や挿入配列(A.A.Vertes et al.,
Molecular Microbiol.,11,7
39(1994))を用いてDNA導入体を作製するこ
ともできる。
【0035】ベクターを導入する宿主としては、本発明
のDNAがコードする蛋白質が体内で生成されるもので
あれば特に制限されないが、例えば大腸菌、酵母、バキ
ュロウィルス(節足動物多角体ウィルス)−昆虫細胞、
動物培養細胞等が挙げられる。具体的には、大腸菌で
は、JM109(宝酒造社製)、BL21、XL−1B
lue、XL−2Blue(STRATAGENE社
製)等が挙げられ、中でも、JM109が好ましく用い
られる。
【0036】(c)組換えDNA又はDNA導入体を用
いた蛋白質の製造法 このようにして得られた本発明のDNA導入体は、それ
ぞれ適した培地により培養される。培地中にはDNA導
入体の生育に必要な炭素源、窒素源、無機物、ビタミ
ン、血清及び耐性スクリーニングに用いられる薬剤等が
含有される。具体的には、DNA導入体の宿主が大腸菌
の場合には、例えばLB培地(Difco社製)等を用
いるのが好ましい。DNA導入体の培養は通常温度20
〜45℃、pHは5〜8の範囲で行われ、必要に応じて
通気や攪拌が行われる。これら以外の培地組成あるいは
培養条件下でも、本発明のDNA導入体が生育し、挿入
されたDNAがコードする蛋白質が生成されるのであれ
ば、いかなるものでもよい。
【0037】上記のようにDNA導入体を培養すること
により培養物中に蛋白質を生成させ、培養後にこれを集
め、適当な緩衝液中に懸濁し、超音波、リゾチーム及び
/又は凍結融解等の方法によって菌体あるいは細胞を破
壊したのち、遠心分離や濾過等の方法を用いて蛋白質粗
抽出液を取得するか、あるいはDNA導入体の培養上清
を得て、これらをさらに前記したような適当な精製方法
を組み合わせて精製することにより、本発明の組換え蛋
白質を取得することができる。
【0038】本発明の組換え蛋白質は、無細胞蛋白質合
成系を用いて発現させて製造することもできる。ここで
無細胞蛋白質合成系とは、DNAからmRNAへの転写
及びmRNAから蛋白質への翻訳に必要な全ての要素を
含む系であり、そこに鋳型となり得るDNAを加えるこ
とによりそのDNAがコードしている蛋白質が合成され
得るあらゆる系を意味する。具体例としては、真核細胞
及びバクテリア細胞又はそれらの一部からの抽出液に基
づいて調製された転写翻訳系が挙げられる。好ましい転
写翻訳系としては、例えば、ウサギ網状赤血球、小麦胚
芽、大腸菌からの抽出液(大腸菌S30抽出液)に基づ
いて調製された転写翻訳系等が挙げられる。無細胞蛋白
質合成は、TNT Systems(Promega社
製)等の市販のキットを用いることもできる。転写及び
翻訳は、それぞれ順に行っても、同時に行ってもよく、
キットを用いる場合には各キットに示された方法に従っ
て行えばよい。
【0039】このような無細胞蛋白質合成系を用いて組
換え蛋白質を発現させる場合に用いられる組換えDNA
は、鋳型となる本発明のDNAが前記した適当なプロモ
ーターの下流に連結され、その制御下にありさえすれ
ば、いかなるものでもよい。また、本発明のDNAが適
当な無細胞蛋白質合成系用のベクター等に組み込まれた
環状DNAでもよいし、直鎖DNAでもよい。本発明に
用いられる無細胞蛋白質合成系用のベクターとしては、
例えば前記したベクターから用いる無細胞蛋白質合成系
に適したものを選択すればよい。またプロモーターとし
ては、例えば前記したプロモーターから用いる無細胞蛋
白質合成系において用いられるRNA合成酵素が認識で
きるものを選択すればよい。具体的には、例えば、RN
AポリメラーゼIを用いる場合には、T3、T7等が好
ましい。
【0040】かくして、上記組換えDNA又はベクター
に含まれる鋳型DNAの転写及び翻訳を行って、合成系
中に蛋白質を生成させ、該合成系から適当な精製方法を
組み合わせて蛋白質を精製することにより、組換え蛋白
質を取得することができる。精製方法としては、前記し
たような通常生化学的に用いられる蛋白質の精製方法を
応用することができる。
【0041】ここで、生細胞中又は無細胞蛋白質合成系
による組換え蛋白質の発現は、SDS−ポリアクリルア
ミドゲル電気泳動法で分離を行い、得られたゲルをクマ
シーブリリアントブルー(CBB)等で染色したり、又
は、後述する本発明の抗体により検出する等、一般的に
用いられる蛋白質の検出法を用いて確認することができ
る。
【0042】(d)組換え蛋白質 かくして得られる本発明の組換え蛋白質は、前記した本
発明のDNAを発現させて得られるものであればいかな
るものでもよい。例えば、大腸菌を用いて本発明の組換
え蛋白質の発現を行った場合には、該蛋白質は単量体と
して得ることができる。このような蛋白質は、血球凝集
活性が無く、α−GalNAcへの高い結合性を有して
いるため、細胞に存在する糖鎖の機能解析等にも好適に
用いることができる。さらに、公知の方法に従って該蛋
白質の多量体を形成させれば、高い血球凝集活性を有す
る蛋白質として調製することもできる。また、他の宿主
を用いて多量体を形成した組換え蛋白質を発現させ、こ
れを単量体として調製することもできる。
【0043】また、一般的に、発現された蛋白質は生体
内に存在する蛋白質分解酵素により切断(プロセッシン
グ)が起こることが知られているが、当然のことながら
本発明の組換え蛋白質においても、α−GalNAcに
対する特異的結合能及び/又は血球凝集活性を有するも
のであれば、切断されたアミノ酸配列の部分断片であっ
ても本発明の範囲に含まれる。
【0044】さらに、得られる組換え蛋白質が遊離体の
場合には、公知の方法あるいはそれに準じる方法によっ
て塩に変換することができ、逆に塩の場合には、遊離体
又は他の塩に変換することができる。このような塩も本
発明の組換え蛋白質に含まれる。また、該蛋白質に、精
製前又は後に適当な蛋白質修飾酵素を作用させることに
よって任意に修飾を加えたり、ポリペプチド鎖を部分的
に除去する等の操作を行って、修飾蛋白質とすることが
できる。これらの修飾蛋白質も、α−GalNAcに対
する特異的結合能及び/又は血球凝集活性を有するもの
であれば本発明の範囲に含まれる。
【0045】2.本発明の蛋白質又は該蛋白質の部分ポ
リペプチドを抗原とする抗体 本発明の抗体は、配列番号:2に記載のアミノ酸配列を
含む蛋白質又はその部分配列を有するペプチドを抗原と
して調製することができる。抗体の調製方法としては通
常用いられる公知の方法を用いることができ、抗原とし
て用いられる部分配列についても、公知の方法に従って
抗原性が高くエピトープ(抗原決定基)として適した配
列を選択して用いればよい。
【0046】抗原として用いる蛋白質又はペプチドは、
イトマキヒトデ等の生物から抽出・精製したものでもよ
いし、上記組換え蛋白質を用いてもよく、公知の方法に
従って合成した合成ペプチドを用いることもできるが、
イトマキヒトデから抽出・精製した本発明の蛋白質を純
水に対して透析したものを用いるのが好ましい。蛋白質
又はペプチドは公知の方法に従って適当な溶液等に調製
して、哺乳動物、例えばウサギやマウス等に免疫を行え
ばよいが、安定的な免疫を行ったり抗体価を高めるため
に、抗原ペプチドを適当なキャリア蛋白とのコンジュゲ
ートにして用いたり、抗原ペプチドの他にアジュバント
等を加えて免疫を行うのが好ましい。免疫後、適宜試験
的に採血を行ってウエスタンブロッティング等の方法で
抗体価の上昇を確認し、十分に抗体価の上昇した動物か
ら採血を行う。これに抗体の調製に用いられる適当な処
理を行えばポリクローナル抗体を得ることができる。具
体的には、例えば、公知の方法に従い血清から精製抗体
を取得することができる。また、該動物の脾臓細胞とミ
エローマ細胞とを用いて公知の方法に従って融合させ、
適宜ウエスタンブロッティング等の方法で抗体価を確認
して抗体産生能の高いハイブリドーマを選択し、これを
培養することにより、モノクローナル抗体を得ることも
できる。このようにして得られた本発明の抗体は、ウエ
スタンブロッティングや組織免疫染色等の他、後述する
癌細胞の検出にも用いることができる。
【0047】3.末端にα−GalNAcを有する糖鎖
抗原を表面に発現する癌細胞の検出方法 本発明の蛋白質はα−GalNAcに対して特異的に結
合する性質を有するので、末端にα−GalNAcを有
する糖鎖抗原を表面に発現する癌細胞の検出に有用であ
る。また、α−GalNAcを利用して該癌細胞を検出
することにより、腫瘍の良性・悪性の判別、発癌状態や
進行状態、再発等の予後の管理等にも有用な情報を得る
ことができる。検出に用いる蛋白質としては、α−Ga
lNAcに対する特異的結合能を有しているものであれ
ばいかなるものでもよいが、イトマキヒトデ等の生物か
ら抽出・精製したものでもよいし、上記1.の(6)に
記載の組換え蛋白質を用いることもできる。また、α−
GalNAcに対する特異的結合能を有してさえいれ
ば、それらの蛋白質の部分断片、修飾蛋白質等を用いる
こともできる。
【0048】本発明の蛋白質を用いて検出される対象と
しては、該蛋白質が結合しうる糖鎖抗原をその表面に発
現している癌細胞で有ればいかなるものでも対象となり
うるが、本発明の蛋白質がα−GalNAcに対する特
異的結合能を有していることから、末端にα−GalN
Acを有する糖鎖抗原を発現している癌細胞を、より高
感度で検出することができる。このような抗原の具体例
としては、Tn抗原が挙げられる。Tn抗原は主要臓器
の癌のほとんどにおいて発現すると言われ、その起源が
上皮細胞であるものにより多く発現されると言われてい
るが、特に高発現するものとしては、例えば、大腸癌、
肺癌、膵臓癌、乳癌等が挙げられる。検出方法として
は、例えば、免疫組織染色やELISA法等の免疫学的
方法や、in situハイブリダイゼーション法等の
分子生物学的方法等が挙げられる。試料(被検物質)と
しては、被験者から採取した組織、細胞や、それらの抽
出液、また、血液、リンパ液、尿、唾液等の体液、糞便
等を用いることができる。
【0049】例えば、免疫組織染色により検出を行う場
合には、試料として被験者から検出を行う組織や細胞を
採取し、組織固定等の適切な前処理を行った後、これ
に、あらかじめ適当な標識化物質を結合させて標識化し
た本発明の蛋白質を接触させる。過剰の標識化蛋白質を
洗浄後、標識化物質を検出することによって、試料中の
糖鎖抗原に結合した本発明の蛋白質を検出及び定量する
ことができる。また、標識化していない本発明の蛋白質
を用いる場合には、上記した本発明の抗体を用いて、公
知の蛋白質検出方法により検出を行うことができる。
【0050】4.癌細胞の検出試薬 本発明の試薬は、少なくとも本発明の蛋白質を含み、癌
細胞の検出を行えるものであれば、いかなる構成のもの
でもよい。該蛋白質としては、イトマキヒトデ等の生物
から抽出・精製したものでもよいし、上記1.の(6)
に記載の組換え蛋白質を用いてもよい。また、α−Ga
lNAcに対する特異的結合能を有してさえいれば、そ
れらの蛋白質の部分断片、修飾蛋白質等を用いることも
できる。
【0051】試薬としての形態は、本発明の蛋白質の活
性を維持できる形態であれば特に制限はなく、溶液や懸
濁液等の液体でもよいし、固体であってもよい。また、
例えば、上記したような免疫組織染色を行うための試薬
の場合には、本発明の蛋白質は標識化物質を結合させて
標識化されたものであることが好ましい。このような試
薬を用いれば、本発明の癌細胞の検出方法を精度良く簡
便に行うことができる。
【0052】5.本発明のDNAが導入された非ヒト哺
乳動物 本発明のDNAを含む導入DNAを構築し、ヒト以外の
哺乳動物の受精卵に導入して、これを雌個体の子宮に移
植して発生させることにより、本発明のDNAが組み込
まれた非ヒト哺乳動物を作製することができる。より具
体的には、例えば、雌個体をホルモン投与により過剰排
卵させ、雄と交配し、交配後1日目の卵管から受精卵を
摘出して、構築された導入DNAをマイクロインジェク
ション等の方法により導入する。生存している受精卵
を、偽妊娠させた雌個体(仮親)の子宮に移植して出産
させ、新生児の細胞から抽出したDNAのサザンブロッ
トを行うことにより、導入の成否を確認することができ
る。
【0053】導入DNAは、少なくとも、本発明のDN
Aと任意の発現制御領域とを含んだものとして構築さ
れ、ヒト以外の哺乳動物の生殖細胞に導入されることに
より、これを発生させて作製したヒト以外の遺伝子改変
動物において本発明の蛋白質を発現するものであれば、
いかなるものでもよい。用いられるDNAとしては、例
えば、配列表の配列番号:1に記載の塩基配列で表され
るDNA、該塩基配列中のORF部分のDNA(塩基番
号85〜591)、又は、該塩基配列中の塩基番号13
9〜591で表される成熟型蛋白質をコードするDNA
等が挙げられる。これらのDNAは、cDNAでもよい
し、上記配列を含んでいるものであればゲノムDNA等
でもよい。任意の発現制御領域としては、転写調節領
域、プロモーター、エンハンサー、サイレンサー領域等
を適宜選択して用いることができる。例えば、本発明の
蛋白質をある特定の組織や時期に発現させたい場合に
は、目的の組織や時期に発現されるようなプロモーター
やエンハンサーを選択すればよい。
【0054】このようにして構築される導入DNAを、
ヒト以外の哺乳動物の生殖細胞に導入して遺伝子改変動
物細胞を作製し、これを発生させることによりヒト以外
の遺伝子改変動物を作製することができる。ヒト以外の
哺乳動物としては、例えば、マウス、ラット、モルモッ
ト、ハムスター、ウサギ、ヤギ、ブタ、イヌ、ネコ等が
挙げられる。この中でも、マウス、ラット等の齧歯類が
好ましく、マウスがより好ましい。
【0055】かくして得られた本発明の非ヒト哺乳動物
は、個体を交配し、導入された本発明のDNAが安定的
に保持されることを確認しながら通常の飼育環境で継代
飼育することによりその子孫を得ることもできるし、体
外受精を繰り返すことによりその子孫を得て、系統を維
持することもできる。本発明の非ヒト哺乳動物には、か
くして得られる本発明のDNAを有するその子孫等も含
まれる。このようにして作製される本発明のDNAが導
入された非ヒト哺乳動物は、本発明の蛋白質の生体内に
おける機能の解析や、該蛋白質が関与する疾患のモデル
動物として用いることができる。
【0056】6.本発明の蛋白質及びそれをコードする
塩基配列を含むDNAの他の利用 本発明の蛋白質は、それを基板上に固定化した蛋白チッ
プとして利用することができる。また、本発明の蛋白質
をコードする塩基配列及びその部分断片は、それらを基
板上に固定化したDNAチップまたはDNAアレイ(D
NAマイクロアレイ及びDNAマクロアレイ)として利
用することができる。これらの蛋白チップ、又はDNA
チップもしくはアレイには、本発明の蛋白質やDNA以
外に、他の蛋白質やDNAが含まれていてもよい。ここ
で、蛋白質やDNAを固定化する基板としては、ナイロ
ン膜、ポリプロピレン膜等の樹脂基板、ニトロセルロー
ス膜、ガラスプレート、シリコンプレート等が用いられ
るが、ハイブリダイゼーションの検出を非RI的に、例
えば、蛍光物質等を用いて行う場合には、蛍光物質を含
まないガラスプレート、シリコンプレート等が好適に用
いられる。基板への蛋白質やDNAの固定化は、それ自
体公知の通常用いられる方法により容易に行うことがで
きる。これらの蛋白チップ、DNAチップあるいはDN
Aアレイも、本発明の範囲に含まれる。
【0057】また、本発明の蛋白質及びDNAの配列
は、配列情報としても用いることができる。すなわち、
得られたアミノ酸配列や塩基配列をコンピューターが利
用可能な所定の形式で適当な記録媒体に格納することに
より、アミノ酸配列や塩基配列のデータベースが構築で
きる。このデータベースには、他の種類の蛋白質やそれ
をコードする塩基配列が含まれていてもよい。また、本
発明においてデータベースとは、上記配列を適当な記録
媒体に書き込み、所定のプログラムに従って検索を行う
コンピューターシステムをも意味する。ここで適当な記
録媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディ
スク、ハードディスク、磁気テープ等の磁気媒体;CD
−ROM、MO、CD−R、CD−RW等の光ディス
ク、半導体メモリ等を挙げることができる。
【0058】上記した本発明の蛋白質やDNAの配列情
報が含まれるデータベース、配列情報が格納された記録
媒体も、本発明の範囲に含まれる。
【0059】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定され
るものではない。実施例1.イトマキヒトデの粗抽出液の調製 イトマキヒトデ(九州・北部海岸で採取)の内部臓器
(生殖巣と幽門盲嚢を除く)をホモジナイズして摩砕懸
濁液とし、5mM CaCl2と、各30μg/mlのl
eupeptin及びpepstatin Aを加えた
TBS(20mMTris−HCl緩衝液、0.15M
NaCl(pH7.5))溶液2Lで抽出した。この
抽出液を8,500×gで30分間遠心し、上清を脱脂
綿でろ過して、得られた濾液を粗抽出液として次の分離
・精製に用いた。
【0060】実施例2.本発明の蛋白質の分離・精製 (1)アフィニティークロマトグラフィーによる精製 まず、分離・精製の前段階の検討として、上記実施例
1.で調製した粗抽出液の一部を用いて、単糖との結合
能について解析した。解析の方法は、後記実施例4.の
(2)において詳述する方法と同様にして行った。その
結果、GalNAcに対する結合能が特異的に高いこと
が解ったので、分離・精製はGalNAcとの結合能を
利用したアフィニティークロマトグラフィーによって行
うこととした。
【0061】まず、上記実施例1.で調製した粗抽出液
を、あらかじめ5mM CaCl2を含むTBSで平衡
化したGalNAc−セファロースCL4Bにかけ、ア
フィニティークロマトグラフィーを行った。同じ緩衝液
でカラムを洗浄した後、20mM EDTAを含むTB
Sにより吸着した蛋白質を溶出させた。得られた各フラ
クションの赤血球凝集活性を測定したところ、蛋白質の
ピークと活性のピークが一致していることが確認され
た。赤血球凝集活性の測定は、実施例4.の(1)に後
述する方法と同様にして行った。また、GalNAc−
セファロースCL4Bは、divinyl sulfo
ne及びセファロースCL4B(Amersham P
harmacia Biotech社製)を用いて、T
eichbergらの方法(J.Biol.Che
m.,263,14086−14092(1988))
に従って調製した。
【0062】(2)ポリアクリルアミドゲル電気泳動に
よる精製度の確認、及び分子量の推定 上記(1)において精製された蛋白質を、SDS−ポリ
アクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE;還元
状態)にかけ、CBBで検出して精製度を確認したとこ
ろ、19kDa、41kDa、60kDaの3本のバン
ドが得られた。一方、ネイティブ−ポリアクリルアミド
ゲル電気泳動(Native−PAGE;非還元状態)
を行ってCBBで検出した場合には、31kDa、57
kDaの2本のバンドが得られた。SDS−PAGE及
びネイティブ−PAGEは、それ自体公知の通常用いら
れる方法により行った。これらの結果から、還元状態で
は20kDaの単量体、2量体、3量体で存在してお
り、非還元状態では30kDaの単量体、2量体で存在
することが解った(図1)。また、これらの電気泳動に
おいて、他の非特異的なバンドはほとんど見られなかっ
たため、本発明の蛋白質がほぼ精製されたことが解っ
た。
【0063】実施例3.本発明の抗体の調製 上記実施例2.において精製した本発明の蛋白質を用い
て、抗体の調製を行った。抗体の調製には、精製された
本発明の蛋白質を純水に対して透析したものを1mg用
いることとし、調製はアサヒテクノグラス社に外注し
た。
【0064】実施例4.本発明の蛋白質の活性測定及び
諸性質の解析 (1)血液凝集活性の測定 上記実施例2.において精製された本発明の蛋白質を、
5mM CaCl2を含むTBS(20mM Tris
−HCl緩衝液、0.15M NaCl(pH7.
5))に溶解して、同溶液で2倍ずつ段階希釈した希釈
系列を調製し、この希釈系列を用いて血球凝集活性を測
定した。各希釈液30μlを、等容量の同じ溶液で10
%に希釈したヒツジ赤血球溶液(日本バイオテストラボ
ラトリーズ社製)と混合して、37℃で1時間インキュ
ベートした後、凝集を目視で観察した。赤血球凝集活性
(タイター(AU))は、凝集が検出される最大希釈の
逆数として定義され、本発明の本発明の蛋白質のヒツジ
赤血球凝集活性は、197AU/μg protein
であった。
【0065】(2)種々の糖による赤血球凝集阻害実験
1 本発明の蛋白質の糖に対する特異性を解析するため、該
蛋白質の赤血球凝集作用に対する種々の糖の阻害効果を
調べた。まず、単糖に対する結合能の解析を行うことと
し、D−Galactose、D−Glucose、D
−Glucosamine、D−Galactosam
ine、N−acetyl−D−Glucosamin
e、N−acetyl−D−Galactosamin
e、N−acetyl−galactosamino−
dimer、N−acetyl−galactosam
ino−trimer、N−acetyl−galac
tosamino−tetramer、Methyl−
2−acetamido−2−deoxy−α−gal
actopyranoside、Methyl−2−a
cetamido−2−deoxy−β−galact
opyranoside、D−Fucose、L−Fu
cose、Sialic acid、β−Lactos
e、D−Mannoseを用いて実験を行った。
【0066】まず、上記(1)で活性測定を行った蛋白
質を、5mM CaCl2を含むTBSに4AUになる
ように溶解して30μlずつ分注した。次に、5mM
CaCl2を含むTBSに溶解した10%ヒツジ赤血球
溶液中に上記の各糖がそれぞれ100mMから2倍ずつ
段階希釈されるように調製し、先に調製した蛋白質溶液
に各希釈液を等容量ずつ加えて、各糖が本発明の蛋白質
による血球凝集作用を阻害する濃度を調べた。得られた
結果を表1に示した。なお、表中、「>100」は、原
液(100mM)でも阻害効果が見られなかったことを
意味する。
【0067】
【表1】 実験の結果、本発明の蛋白質がGalNAcを有する糖
に対して特異的に結合することが確認された。
【0068】(3)種々の糖による赤血球凝集阻害実験
2 次に、糖蛋白質に対する結合能の解析をおこなった。解
析には、フェツイン、アシアロフェツイン、ムチン、ア
シアロムチン、Tn抗原を用いて、上記(2)と同様に
して実験を行った。
【0069】5mM CaCl2を含むTBSに溶解し
た10%ヒツジ赤血球溶液中に、各糖蛋白質が1000
μg/mlの濃度から2倍ずつ段階希釈されるようにし
て、各希釈液を調製した。その他の方法は、すべて上記
(1)と同様に行った。結果を表2に示した。なお、表
中、「>1000」は、原液(1000μg/ml)で
も阻害効果が見られなかったことを意味する。
【0070】
【表2】 実験の結果、本発明の蛋白質は、GalNAcを末端に
有するムチン、アシアロムチン、Tn抗原への特異性が
非常に高いことが確認された。
【0071】(4)ELISA法よる解析 ELISA法により、上記実施例2.において精製した
本発明の蛋白質の解析及び活性測定を行った。該蛋白質
との親和性を調べる糖としては、GalNAc、ガラク
トース、シアール酸、マンノース、N−acetyl−
N−Glucose(GlcNAc)、フコースを用い
た。
【0072】まず、上記の各糖をそれぞれ緩衝液(TB
S−0.02%Tween20)に溶解して、各溶液を
マイクロタイタープレートに入れ、4℃で一夜インキュ
ベートしてコートした。同じ緩衝液で洗浄後、プレート
を1%BSAを含む同じ緩衝液でブロッキングし、ビオ
チンラベルした上記蛋白質を加えて室温で2時間インキ
ュベートしてから、同じ緩衝液で洗浄した。上記蛋白質
のビオチンラベルは、Biotin−Osu(Doji
ndo reagents社製)を用いて、キットの説
明書の記載に従って行った。
【0073】次に、ストレプトアビジン−ホースラディ
ッシュペルオキシダーゼコンジュゲート(GIBCO−
BRL社製)を加え、室温で15分インキュベートした
後、ホースラディッシュペルオキシダーゼの基質として
2,2’−アジノビス(3−エチルベンズチアゾリン−
6−スルホン酸)を添加し、マイクロプレートリーダー
550(BioRad社製)を用いて415nmの波長
で測定を行った。その結果、本発明の蛋白質は、Gal
NAcに強く結合したことが検出されたのに対し、他の
糖には結合が見られず、GalNAcに対する特異的結
合能が確認された。
【0074】(5)TLC−overlay assa
yによる解析 上記(2)〜(4)における解析の結果、いずれにおい
ても本発明の蛋白質がGalNAcに対して非常に高い
特異性を有することが確認されたので、TLC−ove
rlay assayを用いて、アノマー配位の特異性
について解析することとした。すなわち、本発明の蛋白
質が、α−GalNAc、又は、β−GalNAcのど
ちらに特異性が高いかを解析した。
【0075】まず、種々の糖脂質を2.5nmolずつ
TLCプレート(PE SIL G;Whatman社
製)にスポットし、溶媒にクロロホルム/メタノール/
0.02% CaCl2(5:4:1(v/v))を用
いて展開した。展開後のプレートを3%スキムミルク−
TBS溶液で、1時間、室温でブロッキングした後、上
記(4)と同様に調製したビオチン標識化蛋白質5μg
を含む0.02%Tween−TBSに浸し、一時間、
室温で反応させた。0.02%Tween−TBSで3
回洗浄した後、ストレプトアビジン標識アルカリフォス
ファターゼ(×1000希釈;Sigma社製)を加え
て、さらに1時間、室温で反応させた。反応後、基質と
してNBT/BCIP(ニトロブルーテトラゾリウムク
ロライド/5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルフ
ォスフェート)を加え、糖脂質に結合した本発明の蛋白
質を検出した。また、糖脂質がTLCにおいて確実に展
開されていることを確認するために、公知の中性糖検出
法としてオルシノール−硫酸法を用いた検出を行った
(図2の(A))。各レーンには、糖脂質として以下の
ものを展開し、本発明の蛋白質との結合を解析した(図
2の(B))。また、コントロールとして、レーン1に
ヒツジ赤血球膜の抽出液を展開した。
【0076】レーン1:ヒツジ赤血球膜抽出液 レーン2:Gb5Cer(フォルスマン抗原;GalN
Acα1,3GalNAcβ1,3Galα1,4Ga
lβ1,4Glcβ1,1’Cer) レーン3:Gb4Cer(グロボシド;GalNAcβ
1,3Galα1,4Galβ1,4Glcβ1,1’
Cer) レーン4:Gb3Cer(Galα1,4Galβ1,
4Glcβ1,1’Cer) レーン5:GM1a(Galβ1,3GalNAcβ
1,4[NeuAcα2,3]Galβ1,4Glcβ
1,1’Cer) レーン6:GM2(GalNAcβ1,4[NeuAc
α2,3]Galβ1,4Glcβ1,1’Cer) レーン7:アシアロ−GM2(GalNAcβ1,4G
alβ1,4Glcβ1,1’Cer)
【0077】実験の結果、本発明の蛋白質はレーン2の
α−GalNAcを末端に有するフォルスマン抗原に強
く結合し、β−GalNAcやGalを末端に有する糖
脂質には結合しないことが解り、α−GalNAcに対
する特異性の高さが確認された。また、レーン1に展開
したヒツジ赤血球膜抽出液にも結合が見られたが、バン
ドの位置がレーン2のフォルスマン抗原のバンド位置と
一致し、ヒツジ赤血球膜表面にはフォルスマン抗原が存
在することが示唆された。
【0078】(6)既知レクチンとの赤血球凝集活性の
比較 上記(2)〜(5)における解析の結果、本発明の蛋白
質がα−GalNAcに対して非常に高い特異性を有す
ることが解ったので、Hairy vetchのVis
ia villosa(CALBIOCHEM社製;以
下、これを「VV」と称することがある)と、本発明の
蛋白質とを用いて、血球凝集活性の比較を行うこととし
た。VVは、GalNAcに特異的に結合することで知
られるレクチンである(Grubhoffer,L.
et al., Biochem.J.,195,62
3−626(1981))。血球凝集活性の測定は、上
記(1)に記載の方法と同様にして行った。その結果、
本発明の蛋白質のヒツジ赤血球を凝集させる活性が19
7AU/μg proteinであったのに対し、VV
の赤血球凝集活性は1〜2AU/μg protein
であり、本発明の蛋白質が既知のレクチンに比して10
0倍以上の活性を有することが解った。
【0079】(7)本発明の蛋白質のpH依存性 本発明の蛋白質の赤血球凝集活性へのpHの影響を調べ
たところ、pH5.5〜10の範囲では大きな変化がな
いことが解った。特にpH7.5〜9.0ではほぼ一定
であった。
【0080】(8)本発明の蛋白質への金属塩の影響 本発明の蛋白質の赤血球凝集活性への金属塩の影響を見
るため、緩衝液にEDTA、EGTA、EDTA+Ca
Cl2、EGTA+CaCl2をそれぞれ添加した場合の
血球凝集の様子を観察した。まず、EDTA又はEGT
Aをそれぞれ2.5mMの濃度で添加して、本発明の蛋
白質と氷冷下で1時間反応させてから、5%ヒツジ赤血
球−TBS溶液と混合し、上記(1)と同様に37℃で
1時間インキュベートして血球凝集の様子を観察した。
CaCl2を加えるものについては、EDTA又はEG
TAと本発明の蛋白質とを反応させた後、5mM Ca
Cl2を含むTBSに対して16時間透析してから、ヒ
ツジ赤血球溶液と混合し、同様に血球凝集の様子を観察
した。その結果、EDTA又はEGTAの存在下では赤
血球凝集活性が失われるが、EDTA+CaCl2、E
GTA+CaCl2の条件下では赤血球凝集活性が回復
することが解った。すなわち、金属塩のキレート剤であ
るEDTA又はEGTAの存在下で失われる血球凝集活
性が、金属塩(CaCl2)の添加により回復すること
が解った。このことから、本発明の蛋白質の赤血球凝集
活性には金属塩の存在が必要であることが確認された。
【0081】実施例5.アミノ酸配列分析 (1) 酵素消化 上記実施例2.の(2)において、本発明の蛋白質がほ
ぼ精製されたものであることが確認されたが、アミノ酸
配列分析を行うために、ごく微量の目的タンパク以外の
ものも完全に取り除くこととした。まず、SDS−PA
GEにかけ、CBBで検出して、目的蛋白質部分を切り
取った。切り取ったゲルをサンプリングチューブ(1.
5ml)に入れ、これに25%イソプロパノール1.0
mlを加え、室温で30分間振とう攪拌した。上清を捨
て、さらに25%イソプロパノール1.0mlを加え、
室温で30分間振とう攪拌した。上清を捨て、100m
M Tris−HCl緩衝液(pH9.0)を0.5m
l加え、室温で15分間振とう攪拌した。これをもう1
度繰り返し、上清を捨てた。これに、蛋白質消化酵素リ
ジルエンドプロテアーゼAP−1(和光純薬社製)を
0.2μg加え、100mM Tris−HCl緩衝液
(pH9.0)をゲルが浸る程度に加えた。マイクロ乳
棒を用いてゲルを摩砕した後、一晩37℃で激しく振と
う攪拌した。
【0082】(2) ペプチドの溶出 酵素消化した反応液を遠心(16,000rpm、10
分間)し、上清を集めた。これを上清1とした。沈殿に
100mM Tris−HCl緩衝液(pH9.0)を
0.1ml加え、37℃で20分間振とう攪拌した後、
遠心(16,000rpm、10分間)し、上清を集め
た。これを上清2とした。沈殿に、60%アセトニトリ
ル−0.1%トリフルオロ酢酸を0.1ml加え、37
℃で20分間振とう攪拌した後、遠心(16,000r
pm、10分間)し、上清を集めた。これを上清3とし
た。さらに沈殿に60%アセトニトリル−0.1%トリ
フルオロ酢酸−0.02%Tween20を0.1ml
加えて、37℃で20分間振とう攪拌した後、遠心(1
6,000rpm、10分間)し、上清を集め、これを
上清4とした。集めた上清1〜4を混合し、再度遠心
(16,000rpm、10分間)した後、真空遠心濃
縮器(VEC−50:イワキガラス社製)でアセトニト
リルを除去して約0.1mlまで濃縮した。濃縮後、こ
れに0.1%トリフルオロ酢酸を加え、0.2mlに調
製した。
【0083】(3) 逆相HPLCによる分離 0.1%トリフルオロ酢酸/H2O(v/v%)で平衡
化したC8 RP−300カラム(パーキンエルマー社
製;内径1mm、長さ100mm)に上記(2)で調製
した濃縮ペプチド溶液0.2mlを全量供して、逆相H
PLCによる分離を行った。溶媒としては0.1%トリ
フルオロ酢酸を含むアセトニトリル/H 2O溶液を用
い、0%から70%へのアセトニトリルの濃度勾配によ
りペプチドの溶出を行った。流速は0.05ml/mi
n、カラム温度は35℃で行った。波長215nmの吸
光度を測定し、ピーク部分を分取して、得られた各画分
をアミノ酸配列分析の試料とした。
【0084】(4) アミノ酸配列分析 上記(3)のHPLCによる分離によって得られた各画
分について、アミノ酸配列分析装置Procise c
LC492(アプライドバイオシステムズ社)、及び、
分析用プログラム610A(アプライドバイオシステム
ズ社)を用いて、アミノ酸配列分析を行った。その結
果、配列表の配列番号:4〜7に示す部分アミノ酸配列
が得られた。
【0085】実施例6.データベース検索 上記実施例4.で得られた配列番号:4〜7に記載の部
分アミノ酸配列を、蛋白質データベース(SWISS−
PROT)、DNAデータベース(GenBank)に
対し、検索ソフト(BLAST)を用いて解析した結
果、いずれもデータベース中に登録されていないことが
解った。そこで、この部分アミノ酸配列を用いて、本発
明の蛋白質のcDNAを単離することとした。
【0086】実施例7.本発明の蛋白質のcDNAの単
離及びその塩基配列の決定 ライブラリー(ベクターに組み込んだcDNAライブラ
リー)は作製せず、PCRによりcDNAを単離する方
法を用いることとした。まず、SepasolRNA
I(ナカライテスク社製)を用いて500mgのイトマ
キヒトデの生殖巣からtotal RNAを得た。次
に、Fast Track 2.0 kit(Invi
trogen社製)を用いてtotal RNAからm
RNAを精製した。得られたmRNAのうち2.0μg
を鋳型として用い、AMV Reverse Tran
scriptase kit(Life Scienc
e社製)とオリゴdTプライマーを用いてfirst
strand cDNAを作製した。これらのキットを
用いた作製は、すべてキットの説明書の記載に従った。
【0087】次に、上記実施例4.で得られた配列番
号:4〜7に記載の部分アミノ酸配列を元に、センス、
アンチセンスのプライマーをデザインした。N末端ペプ
チド配列からセンスオリゴヌクレオチドプライマーAp
/C729TC(配列番号:8)を合成した。内部配列
C727からアンチセンスプライマーAp/C727i
n(配列番号:9)、Ap/C727med(配列番
号:10)を合成した。First round PC
Rは、Ap/C729TCとAp/C727medをプ
ライマーとし、first strand cDNAを
鋳型にして行った。キットにはGeneAmp PCR
System 9700(Applied−Bios
ystems社製)、酵素にはAmpliTaq Go
ld(Applied−Biosystems社製)を
用いて、キットの説明書の記載に従って行った。次に、
それぞれの増幅産物を鋳型にして、Ap/C729TC
とAp/C727inをプライマーに用いたsecon
d PCRを行った。得られた増幅産物をpGEM T
−easy vector(Promega社製)に組
み込んで塩基配列を決定し、解析ソフト・DNASIS
(日立ソフトウエア社製)を用いて解析したところ、こ
のPCR産物はオープンリーディングフレーム(OR
F)の全長を含んでいないことが解った。そこでさら
に、完全長のcDNAを得るために、SMART RA
CE cDNA Amplificationkit
(CLONTECH社製)を用いて5’及び3’−RA
CE法を行った。
【0088】まず、0.75μgのmRNAとSupe
rscript II reverse transc
riptase(Life Technologies
社製)を用い、SMART II oligonucl
eotide及び5’−RACE cDNA synt
hesis primerを用いて、キットの説明に従
って5’−RACE first strand cD
NAを作製した。得られた5’−RACE first
strand cDNAを鋳型に、Advantag
e2 PCR kit(CLONETECH社製)を用
いて、genespecific primer 1
(L85;配列番号:11)とuniversal p
rimer mixを用いたPCRを行い、5’末端の
増幅DNA断片を得た。
【0089】次に、5’末端と同様に、3’−RACE
cDNA synthesisprimerを用いて
3’−RACE first strand cDNA
を調製した。得られた3’−RACE first s
trand cDNAを鋳型に、gene speci
fic primer 2(U100;配列番号:1
2)とuniversal primer mixを用
いたPCRを行って、3’末端の増幅DNA断片を得
た。
【0090】最後に、上記の5’及び3’−RACE法
によって得られた5’末端及び3’末端の各増幅DNA
断片をpGEM−T−easy vector(Pro
mega社製)に組み込んで塩基配列を決定し、これら
の配列と、すでに塩基配列を解析済みの前記PCR産物
の塩基配列とをDNASISを用いてアライメントし、
全DNA配列を決定した。その配列を、配列番号:1に
示した。また、その配列中のORF部分のアミノ酸配列
を、配列番号:2に示した。
【0091】次に、この塩基配列中のORFの中で、N
末端分析を行って得られた本発明の蛋白質のN末端配列
から、シグナルペプチド部分のアミノ酸配列を除いた成
熟型蛋白質のアミノ酸配列を決定し、その配列を配列番
号:3に示した。N末端分析は、アミノ酸配列分析装置
Procise cLC492(アプライドバイオシス
テムズ社)を用いて、公知の方法に従って行った。
【0092】実施例8.本発明の蛋白質のcDNAのア
イソフォーム 本発明の蛋白質のcDNAのアイソフォームを解析する
ために、cDNAライブラリーを調製してスクリーニン
グを行う方法、及び、RT−PCR法の2通りの解析を
行った。 (1)cDNAライブラリーのスクリーニングによる解
析 まず、cDNAライブラリー及びプローブの調製を行っ
た。上記実施例7.で精製したmRNA 5μgから、
cDNA Synthesis Kit(STRATA
GENE社製)を用いて二本鎖cDNAを合成し、Ec
oRI adaptor及びUni ZAP XR v
ectorを用いてライゲーションした。次に、Gig
apack III Gold Cloning Ki
t(CLONETECH社製)を用いてインビトロパッ
ケイジングを行い、ライブラリーを作製した。二本鎖c
DNAの合成及びライブラリーの作製は、すべてキット
の説明書の記載に従って行った。得られたライブラリー
は、一回増幅を行ってから次のスクリーニングに用いる
こととした。DNAプローブとしては、プライマーAp
/C729TC(配列番号:8)及びT−11(配列番
号:13)を用いたPCRを行い、得られた増幅産物を
DIGラベルしたものを用いた。DNAプローブの調製
は、PCR DIG Probe Synthesis
Kit(Roche社製)を用いて、キットの説明書
の記載に従って行った。
【0093】形成された本発明の蛋白質のcDNAのプ
ラーク(3.7×105)を、メンブレンであるBIO
DYNE A(Pall社製)に写し取り、80℃で3
0分間熱処理を行って固定した。このメンブレンを、5
×SSC(1×SSC=15mMクエン酸ナトリウム、
150mM NaCl(pH7.0))、0.1%So
dium N−lauroylsarcosinat
e、0.02% SDS、及び、1% DIG blo
cking reagentを含む溶液中で2時間、6
5℃でプレハイブリダイゼーションを行った。これに、
DIGラベルされたDNAプローブを65℃で16時間
作用させてハイブリダイゼーションを行った。
【0094】0.1% SDSを含む0.1×SSC中
で、65℃、30分間洗浄した後、DIG DNA d
etection kit(Roche社製)中のNB
T/BCIP試薬を用いて発色による検出を行った。検
出方法は、キットの説明書の記載に従った。ここで陽性
を示したプラークをいくつか選択し、寒天培地をくりぬ
いて抽出して、ヘルパーファージVCSM13(STR
ATAGENE社製)を用いてそれぞれプラスミド化し
た。得られたプラスミド中のDNAの塩基配列は、前記
したような公知の塩基配列決定方法を用いて決定した。
【0095】(2)RT−PCR法を用いた解析 次に、公知の方法に従って、RT−PCR法を用いた解
析を行った。プライマーとしては、ORFの外側の配列
を用いて設計したU42(配列番号:14)及びL59
3(配列番号:15)を用いた。PCRは、各プライマ
ー0.5μM、mRNAから合成したcDNA(鋳型D
NA) 3ng、0.2mMのdNTPs(各0.5μ
MのdATP、dGTP、dCTP、及びdTTP)、
2mM MgCl2、及び、2.5mUのAmpliT
aq Gold(Applied Biosystem
s社製)を含む混合液50μlを用いて行った。得られ
たPCR産物を、1%アガロースゲル電気泳動を行って
ゲル中から抽出し、TAクローニングによりpGEM−
T−Easy vectorに組み込んで、各クローン
の塩基配列を決定した。
【0096】上記2通りの方法により解析を行い、得ら
れた各クローンの塩基配列について分類した結果、本発
明の蛋白質は、配列表の配列番号:3に記載のアミノ酸
配列を有するprototypeに対して、配列番号:
3に記載のアミノ酸配列中のアミノ酸番号49、66、
135のアミノ酸について計4つのアイソフォームが存
在することが解った。プロトタイプ及び各アイソフォー
ムの配列と、それぞれのアイソフォームに分類されたク
ローンについて、表3に示した。
【0097】
【表3】
【0098】実施例9.組換えDNA、DNA導入体、
及び、組換え蛋白質の調製 (1)組換えDNA及びDNA導入体の作製 上記実施例7.で配列を決定したDNAを制限酵素Ec
oRI及びNcoIで処理し、アガロース電気泳動を行
ってゲルから切り出すことにより精製し、オープンリー
ディングフレーム(ORF)の全長を含むDNA断片
(配列番号:1の塩基番号85〜609)を得た。得ら
れたDNA断片を、同じくEcoRI及びNcoIで処
理したベクターpTV118N(宝酒造社製)に組み込
んだ後、精製してpTApLと命名した。このプラスミ
ドを用いて、大腸菌JM109(宝酒造社製)を形質転
換した。
【0099】(2)組換え蛋白質の発現 pTApLにより形質転換した大腸菌JM109を、1
00μg/mlアンピシリンを含むLB培地中で、60
0nmの吸光度が0.5になるまで37℃で培養した。
これに、isopropylthio−β−galac
topyranoside(IPTG)を最終濃度0.
1mMになるように加え、さらに16時間、37℃で培
養して発現誘導した。ここで、培養中、0、15、3
0、45、60、120分において、それぞれ培養液の
一部を活性測定用のサンプルとして採取しておいた。ま
た、0、2、4、6、8、16時間において、ウエスタ
ンブロット用のサンプルを採取しておいた。培養後、各
培養液から遠心によって細胞を集め、5mM CaCl
2を含むTBSに懸濁し、超音波により破砕した。超音
波処理後、得られた溶液を遠心(20,000×g、1
分)し、得られた上清(可溶性画分)を組換え蛋白質溶
液とした。また、何も組み込んでいないベクターpTV
118Nを用いて、同様の培養及び発現誘導を行い、1
20分後に培養液の一部を採取して、上記と同様に蛋白
質溶液を調製し、活性測定用のネガティブ・コントロー
ルのサンプルとした。さらに、0、8、16時間におい
ても同様に採取を行い、ウエスタンブロット用のネガテ
ィブ・コントロールのサンプルとした。
【0100】(3)組換え蛋白質の活性測定 IPTG添加後の培養時間にともなって発現される組換
え蛋白質が、GalNAcに結合する性質を有している
かどうかを確認するため、上記実施例3.の(4)と同
様に、アシアロムチンを用いてELISA法によって活
性測定を行った。上記(2)で調製した各組換え蛋白質
溶液をサンプルとし、対照としては、各溶液に20mM
EDTAを添加して血球凝集活性を失わせたものを用
いた。また、上記(2)でネガティブ・コントロール
(Mock)として調製したサンプルについても、同様
に測定を行った。マイクロタイタープレートのコーティ
ングには、1μg/100μl(0.02%tween
を含むTBS中に溶解)のアシアロムチン溶液を用い
た。測定の結果、得られた組換え蛋白質は、イトマキヒ
トデから精製された蛋白質と同様に、GalNAcに対
して非常に高い結合性を有していることが確認できた
(図3)。
【0101】(4)組換え蛋白質のウエスタンブロット
による確認 上記実施例3.で調製した抗体を用いて、上記(2)で
調製した各組換え蛋白質溶液のウエスタンブロットによ
る検出を行った。ウエスタンブロットは、上記(2)で
調製した各組換え蛋白質溶液から5μg protei
n相当量を分取してサンプルとして用い、公知の方法に
従ってSDS−PAGEを行った後、泳動後のゲルをブ
ロッティング装置(Bio−Rad社製)によりニトロ
セルロースメンブレンに転写(15V、1時間)した。
転写後のメンブレンを0.02%tweenを含む1%
スキムミルク溶液でブロッキングし、上記実施例3.で
調製した本発明の抗体を反応させ、二次抗体として抗ラ
ビットIgG−HRP(アマシャムファルマシア社
製)、検出試薬としてペルオキシダーゼ染色キット(ナ
カライテスク社製)を用いて、キットの説明書の記載に
従って蛋白質の検出を行った。ネガティブ・コントロー
ルのサンプルについても、同様に分取して用いた。
【0102】その結果、19kDaにバンドが検出さ
れ、本発明の抗体を用いて組換え蛋白質の検出を行うこ
とができることが確認された(図4)。また、ネガティ
ブ・コントロール(Mock)と比較して、本発明の組
換え蛋白質が発現誘導されていることが確認できた。
【0103】
【発明の効果】本発明の蛋白質は、GalNAc、中で
も特にα−GalNAcに対して非常に高い特異性を有
しているため、Tn抗原等のα−GalNAcを有する
糖鎖抗原を発現する癌細胞の検出等を特異的に行うこと
ができる。これまでに単離、同定された多くのレクチン
の中にも同様の性質を有するものが存在するが、本発明
の蛋白質はそれらに比して100倍以上の活性を有して
おり、検出試薬等として好適である。
【0104】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Mitsubishi Chemical Corporation <120> Novel Protein <130> J07596 <140> <141> <160> 15 <170> PatentIn Ver. 2.0
【0105】 <210> 1 <211> 1096 <212> DNA <213> Asterina pectinifera <220> <221> CDS <222> (85)..(591) <220> <221> mat#peptide <222> (139)..(588) <400> 1 tgccatctca tctgtaagct tcactctgca catgcatttt ggcttgtgac actcaacgga 60 gaaggaagac aacttgtaaa cagc atg gct ttc ttt cgg gcc ttg tgc ttc 111 Met Ala Phe Phe Arg Ala Leu Cys Phe -15 -10 gtc ctg ttg gtg ggt ttt gcc gcg gca tgt caa cca gac tgc tcg tgg 159 Val Leu Leu Val Gly Phe Ala Ala Ala Cys Gln Pro Asp Cys Ser Trp -5 -1 1 5 aag tgc cca cct aag tgt cca ccg atg tgg act ttc tac aat ggc aac 207 Lys Cys Pro Pro Lys Cys Pro Pro Met Trp Thr Phe Tyr Asn Gly Asn 10 15 20 tgc tac cgt tac ttc ggc act ggc aag acc tat gat gaa gct gag agc 255 Cys Tyr Arg Tyr Phe Gly Thr Gly Lys Thr Tyr Asp Glu Ala Glu Ser 25 30 35 cac tgc cag gag ttc act gaa gtc ggc ctg ggt cac ctt gcg tcc ata 303 His Cys Gln Glu Phe Thr Glu Val Gly Leu Gly His Leu Ala Ser Ile 40 45 50 55 gcc agc gcc gag gag aat aat ctg ctc ctg acg atg tgg aag tcg gtc 351 Ala Ser Ala Glu Glu Asn Asn Leu Leu Leu Thr Met Trp Lys Ser Val 60 65 70 cgt aca act aca aca ggc ggc ctg tgg atc ggc ttg aat gac cag gca 399 Arg Thr Thr Thr Thr Gly Gly Leu Trp Ile Gly Leu Asn Asp Gln Ala 75 80 85 gag gaa ggg aac ttc atc tgg aca gat gga tca gcg gtt acc ttc acc 447 Glu Glu Gly Asn Phe Ile Trp Thr Asp Gly Ser Ala Val Thr Phe Thr 90 95 100 gac tgg gct aca acc cag ccc gac aac tat caa aac gag gac tgt gct 495 Asp Trp Ala Thr Thr Gln Pro Asp Asn Tyr Gln Asn Glu Asp Cys Ala 105 110 115 cac atg cgg cat gag cta gat ggc gat gac aga tgg aat gac atc gca 543 His Met Arg His Glu Leu Asp Gly Asp Asp Arg Trp Asn Asp Ile Ala 120 125 130 135 tgc agc aga gcg ttc gcc tac gtg tgc aag atg tca act aca aat taa 591 Cys Ser Arg Ala Phe Ala Tyr Val Cys Lys Met Ser Thr Thr Asn 140 145 150 atcggctccg caatggacga ccacggatgc gtcagaacat atttgccaca tcaaacttga 651 agccctcaca atcgatggca tcggctatga tctcaccaaa ctgtctcacc aaactaacac 711 tcacaaacag aatcactgaa aggttgaatt tcgttgtaga gactgctctg ctgtcaggct 771 atacacggtg gaaaagaaat cattttaaga cgtaacccac tttgcatctt tgtggcttca 831 acgtttacag acctgcatgc tttcaagttt aacaagtagt atttagcctt tgctcgtttg 891 cccaggtgtc caggtttaat attgagaagt atggacaaag aacatacgta acggtgaact 951 aatcagctgt tgtactttaa aaaggcatgg taaatcaaat attcattttg tgcatttggt 1011 ttcgtttaaa gcaataaagg tgttgaaaat gttaagatgg agcttaacaa ctaaaaaaaa 1071 aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa aaaaa 1096
【0106】 <210> 2 <211> 168 <212> PRT <213> Asterina pectinifera <400> 2 Met Ala Phe Phe Arg Ala Leu Cys Phe Val Leu Leu Val Gly Phe Ala 1 5 10 15 Ala Ala Cys Gln Pro Asp Cys Ser Trp Lys Cys Pro Pro Lys Cys Pro 20 25 30 Pro Met Trp Thr Phe Tyr Asn Gly Asn Cys Tyr Arg Tyr Phe Gly Thr 35 40 45 Gly Lys Thr Tyr Asp Glu Ala Glu Ser His Cys Gln Glu Phe Thr Glu 50 55 60 Val Gly Leu Gly His Leu Ala Ser Ile Ala Ser Ala Glu Glu Asn Asn 65 70 75 80 Leu Leu Leu Thr Met Trp Lys Ser Val Arg Thr Thr Thr Thr Gly Gly 85 90 95 Leu Trp Ile Gly Leu Asn Asp Gln Ala Glu Glu Gly Asn Phe Ile Trp 100 105 110 Thr Asp Gly Ser Ala Val Thr Phe Thr Asp Trp Ala Thr Thr Gln Pro 115 120 125 Asp Asn Tyr Gln Asn Glu Asp Cys Ala His Met Arg His Glu Leu Asp 130 135 140 Gly Asp Asp Arg Trp Asn Asp Ile Ala Cys Ser Arg Ala Phe Ala Tyr 145 150 155 160 Val Cys Lys Met Ser Thr Thr Asn 165
【0107】 <210> 3 <211> 150 <212> PRT <213> Asterina pectinifera <400> 3 Cys Gln Pro Asp Cys Ser Trp Lys Cys Pro Pro Lys Cys Pro Pro Met 1 5 10 15 Trp Thr Phe Tyr Asn Gly Asn Cys Tyr Arg Tyr Phe Gly Thr Gly Lys 20 25 30 Thr Tyr Asp Glu Ala Glu Ser His Cys Gln Glu Phe Thr Glu Val Gly 35 40 45 Leu Gly His Leu Ala Ser Ile Ala Ser Ala Glu Glu Asn Asn Leu Leu 50 55 60 Leu Thr Met Trp Lys Ser Val Arg Thr Thr Thr Thr Gly Gly Leu Trp 65 70 75 80 Ile Gly Leu Asn Asp Gln Ala Glu Glu Gly Asn Phe Ile Trp Thr Asp 85 90 95 Gly Ser Ala Val Thr Phe Thr Asp Trp Ala Thr Thr Gln Pro Asp Asn 100 105 110 Tyr Gln Asn Glu Asp Cys Ala His Met Arg His Glu Leu Asp Gly Asp 115 120 125 Asp Arg Trp Asn Asp Ile Ala Cys Ser Arg Ala Phe Ala Tyr Val Cys 130 135 140 Lys Met Ser Thr Thr Asn 145 150
【0108】 <210> 4 <211> 8 <212> PRT <213> Asterina pectinifera <400> 4 Cys Gln Pro Asp Cys Ser Trp Lys 1 5
【0109】 <210> 5 <211> 24 <212> PRT <213> Asterina pectinifera <400> 5 Thr Tyr Asp Glu Ala Glu Ser His Cys Gln Glu Phe Thr Glu Val Gly 1 5 10 15 Leu Gly His Leu Ala Ser Ile Ala 20
【0110】 <210> 6 <211> 20 <212> PRT <213> Asterina pectinifera <400> 6 Ser Val Arg Thr Thr Thr Thr Gly Gly Leu Trp Ile Gly Leu Asn Asp 1 5 10 15 Gln Ala Glu Glu 20
【0111】 <210> 7 <211> 7 <212> PRT <213> Asterina pectinifera <400> 7 Ala Phe Ala Tyr Val Cys Lys 1 5
【0112】 <210> 8 <211> 17 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic <400> 8 tggcarccng aytgytc 17
【0113】 <210> 9 <211> 17 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic <400> 9 tcngcytcrt crtangt 17
【0114】 <210> 10 <211> 17 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic <400> 10 gtraaytcyt grcartg 17
【0115】 <210> 11 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic <400> 11 gccagtgccg aagtaacggt agca 24
【0116】 <210> 12 <211> 25 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic <400> 12 cggcactggc aagacctatg atgaa 25
【0117】 <210> 13 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic <400> 13 ttrcacatrt angcraangc 20
【0118】 <210> 14 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic <400> 14 ggcttgtgac actcaacgga 20
【0119】 <210> 15 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic <400> 15 tcgtccattg cggagccgat 20
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の蛋白質をサンプルとしてポリアクリ
ルアミドゲル電気泳動(PAGE)を行い、クマシーブ
リリアントブルー(CBB)で検出したゲルの写真であ
る。左はSDS−PAGE(還元)を行ったゲルの写真
であり、右はネイティブ−PAGE(非還元)を行った
ゲルの写真である。
【図2】 本発明の蛋白質と種々の糖脂質との結合能を
解析するために行った、TLC−overlay as
sayのTLCプレートの写真である。(A)はオルシ
ノール−硫酸法で検出したものであり、(B)は本発明
の蛋白質との結合を発色反応により検出したものであ
る。
【図3】 IPTGによって発現誘導された本発明の組
換え蛋白質の活性を、アシアロムチンとの結合を用いて
ELISA法により測定した結果を示すグラフである。
縦軸は415nmの吸光度、横軸はIPTGによる誘導
時間である。グラフ中の丸は各誘導時間における大腸菌
の可溶性画分の活性、四角は前記各画分にEDTAを添
加して調製した対照の活性を示す。120分における白
丸は、ネガティブ・コントロール(Mock)の活性を
示す。
【図4】 IPTGによって発現誘導された本発明の組
換え蛋白質を、本発明の抗体を用いてウエスタンブロッ
トにより検出した写真である。Mockは、ネガティブ
・コントロールのサンプルを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/19 C12N 1/21 1/21 C12P 21/02 C 5/10 C12Q 1/02 C12P 21/02 G01N 33/574 A C12Q 1/02 C12N 15/00 ZNAA G01N 33/574 5/00 A Fターム(参考) 4B024 AA11 BA43 BA80 CA04 DA06 EA04 GA11 HA12 4B063 QA18 QA19 QQ02 QR48 QR54 QS24 QS28 QX01 4B064 AG28 CA02 CA19 CC24 DA14 4B065 AA26X AA90Y AB01 AC14 CA24 CA46 4H045 AA10 AA11 AA20 AA30 BA10 CA50 DA76 DA80 EA51 FA74 GA30

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の(A)又は(B)の性質を有する蛋
    白質。 (A)配列表の配列番号:3に記載のアミノ酸配列を有
    する。 (B)配列表の配列番号:3に記載のアミノ酸配列にお
    いて、1若しくは数個のアミノ酸に置換、欠失、挿入、
    付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、α
    −GalNAcに対する特異的結合能及び/又は血球凝
    集活性を有する。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の蛋白質をコードする塩
    基配列を含むDNA。
  3. 【請求項3】 DNAが、配列表の配列番号:1に示す
    塩基配列を有するものである請求項2に記載のDNA。
  4. 【請求項4】 請求項2又は3に記載のDNA、及びこ
    れと連結するプロモーター配列を含むことを特徴とする
    組換えDNA。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の組換えDNAを宿主に
    導入することにより取得されるDNA導入体。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載のDNA導入体を培養し
    て培養物中に蛋白質を生成せしめ、培養物から請求項1
    に記載の蛋白質を採取することを特徴とする組換え蛋白
    質の製造法。
  7. 【請求項7】 請求項4に記載の組換えDNAを無細胞
    蛋白質合成系を用いて転写/翻訳し、合成系中に蛋白質
    を生成せしめ、該合成系から請求項1に記載の蛋白質を
    採取することを特徴とする組換え蛋白質の製造法。
  8. 【請求項8】 請求項6又は7に記載の方法により製造
    された組換え蛋白質。
  9. 【請求項9】 次の性質を有する蛋白質。 (a)α−GalNAcに対する特異的結合能を有す
    る。 (b)還元状態では20kDaの単量体、2量体及び3
    量体で存在し、非還元状態では30kDaの単量体及び
    2量体で存在する。 (c)pH5.5〜10の範囲で血球凝集活性に大きな
    変化がない。 (d)血球凝集活性の発現には、金属塩の存在が必要で
    ある。 (e)配列表の配列番号:4〜7の何れかに記載のアミ
    ノ酸配列を有する。
  10. 【請求項10】 請求項1、8又は9に記載の蛋白質、
    又は該蛋白質の部分ポリペプチドを抗原とする抗体。
  11. 【請求項11】 請求項1、8又は9に記載の蛋白質
    と、被検物質とを接触させ、該蛋白質と被検物質との反
    応性を解析することを特徴とする、末端にα−GalN
    Acを有する糖鎖抗原を表面に発現する癌細胞の検出方
    法。
  12. 【請求項12】 糖鎖抗原がTn抗原である請求項11
    に記載の方法。
  13. 【請求項13】 請求項1、8又は9に記載の蛋白質を
    含有してなる、請求項11又は12に記載の検出方法を
    行うための試薬。
  14. 【請求項14】 請求項2又は3に記載のDNAを導入
    した非ヒト哺乳動物、又はその子孫。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2010100862A1 (ja) * 2009-03-05 2010-09-10 独立行政法人産業技術総合研究所 肝内胆管がんの検出、判別方法

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