JP2003113586A - 地球環境に優しい長繊維パルプの製造方法 - Google Patents

地球環境に優しい長繊維パルプの製造方法

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JP2003113586A JP2001309641A JP2001309641A JP2003113586A JP 2003113586 A JP2003113586 A JP 2003113586A JP 2001309641 A JP2001309641 A JP 2001309641A JP 2001309641 A JP2001309641 A JP 2001309641A JP 2003113586 A JP2003113586 A JP 2003113586A
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Akio Mita
御田昭雄
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高白色度の高品質の長繊維パルプを排水の環境
負荷を少なくして製造する方法を提供する 【解決手段】反応装置として既存の釜を利用し、蒸解薬
液として主としてアルカリ金属の亜硫酸塩を用い、常圧
下で、長繊維植物原料を極軽度に蒸解する。さらにビー
ター等の叩解機で処理して解繊することにより、繊維原
料中の有機物の溶出を極度に減らして、環境負荷を極め
て小さくし、長繊維パルプを極めて低公害で製造するこ
とを可能とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は地球環境に優しい長
繊維パルプの製造方法に関わる。
【0002】
【従来の技術】
【0003】NSP法(中性亜硫酸法)は亜硫酸ナトリウ
ムに所望により水酸化ナトリウムを添加した混合液を蒸
解薬液として、アバカ等リグニン含有量の少ないいわゆ
る軟質の長繊維原料を高温高圧下で蒸解して直接化学パ
ルプを得る方法である。得られるパルプはKP法(クラフ
ト法)やAP法(アルカリ法)で得られるパルプより収率
も高く、白色度も高く、強度も優れ、紙幣用紙などの、
特殊洋紙原料パルプとして称揚される。製造の際KP法の
ように強い悪臭の発生を見ない長所もあり、NSP法は優
れた製造方法として評価されていた。
【0004】しかし、NSP法には環境対策上重大な欠陥
があった。
【0005】それは同法パルプ廃液処理の困難さで、今
日最も経済的に有利な処理法とされる濃縮燃焼処理に適
さないことが挙げられる。即ち、NSP法ではパルプの
収率がKP法に比べて高いために、パルプ廃液固形分の生
成量が少なく、しかも通常NSP法の工場の規模はKP法の
パルプ工場に比べて遥かに小さいので、エネルギー回収
は経済的に極めて不利である。更に廃液燃焼の際に副生
する炭酸ナトリウムを含む硫酸ナトリウムを主成分とす
る灰からNSP蒸解薬品を回収する工程は、KP法の蒸解薬
品の回収工程に比べ遥かに複雑になり、経済的に不利と
なるので、技術開発もされてない状態にある。このアル
カリ性でナトリウムが多い灰は、廃棄すれば近隣の耕地
の土壌を損ねるなど問題が多く嫌われる。
【0006】化学処理や生物処理によるパルプ廃液の処
理も経済的に困難な問題があった。即ち、パルプ製造の
際に副生するパルプ廃液は化学処理や生物処理をするに
は余りにも濃過ぎ、廃液固形分の総量はパルプの生産量
に略匹敵する程多いため凝集沈殿法や活性汚泥法等の処
理に頼ることは、負荷が大き過ぎて実施が容易ではなか
った。
【0007】しかして、NSP法のパルプには需要があり
ながら、環境問題の高まりとともに、日本国内の工場は
相次いで閉鎖し、あるものは環境規制の緩い国を求めて
脱出し、その地でパルプ廃液を垂れ流し、公害問題を起
こしてはその国からも消えていった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】和紙の製造業者は一般
に規模が零細ではある。洋紙とは異なり特殊で特徴のあ
る紙を多品種少量生産するために、外部から購入するパ
ルプの他に、品質に微妙な違いを持った長繊維パルプを
配合するためその都度自家生産したいとの願望を持って
いる。しかし、環境規制が厳しくなるに従ってそれが出
来なくなってきたことが和紙の製造業者の激減の大きな
原因ともなった。本発明の課題は従来の和紙工場のあり
ふれた設備を使って白色度が高く、品質の良い長繊維パ
ルプを、環境負荷を極度に小さくして製造する方法を提
供することにある。
【0009】
【問題を解決するための手段】発明者は、リグニン含有
量の少ない、いわゆる軟質の繊維原料の従来技術による
パルプ化で、その環境負荷が異常に大きい事に疑問を持
って、徹底した追試と検討を行ってきた。しかして、従
来のNSP法では化学処理のみでパルプを得ようとするた
め、パルプの収率低下も省みず徹底的に蒸解を進め、繊
維原料中のセルロースをはじめとする大量の有機物を廃
液固形分に変えて溶出させているのではないかと感じ
た。今回、パルプ化の際に機械的解繊工程を巧みに加え
ることにより、徹底して蒸解条件を緩くして繊維原料中
の有機物の溶出を抑えることに成功するとともに、併せ
てパルプの品質を落とさずに収率を飛躍的に向上させる
ことに成功した。
【0010】
【発明の実施の形態】
【0011】本発明に適用できる非木繊維原料の種類は
極めて広い。リグニン含有量の少なく、いわゆる軟質の
パルプ原料とされてきたアバカやバナナのような葉繊
維、ジュート、ケナフのような靭皮繊維等が挙げられ
る。これらは従来高温高圧下で蒸解してパルプ化してき
たが、本発明ではいずれも常圧下での蒸解の対象とな
る。蒸解に用いる原料の長さは3〜300mm、好まし
くは30〜100mmである。
【0012】主要な設備の殆どは全ては従来の設備で間
に合う。中心となる蒸解設備も特にステンレス製である
必要は無く、通常の鉄製でもよく平釜でも十分である
が、地球釜のように回転釜であれば気相蒸解蒸煮による
水と熱エネルギーの節約も可能である。蒸解後の解繊に
用いる機械としてはビーター又はエッジランナーの使用
が可能である。
【0013】蒸解用の主要薬品としては硫酸ナトリウム
や炭酸ナトリウムなどアルカリ金属の亜硫酸塩及び又は
炭酸アルカリ又は水酸化アルカリを添加するが使用され
るが、ナトリウムに置き換えて等モル数のカリウムを用
いることは、周辺の耕地の土壌がナトリウムによる土壌
の劣化されるのを防ぐ意味では好ましい。
【0014】液比は.1.5〜25L/kgで、気相蒸解蒸煮で
好ましい液比は2〜3L/kg、液相蒸煮では好ましい液比
は7〜15L/kgである。蒸煮時間は0.5〜10時
間、気相蒸煮では好ましくは0.5〜2時間、液相蒸煮
では好ましくは1〜4時間である。
【0015】、蒸解用薬品の量を減らし、蒸解温度を下
げ、蒸解時間を短くするなどして、蒸解を浅く行った後
に、解繊すれば極少量の繊維原料中の有機物は可溶化
し、淡黄色のパルプ廃液となり、極高収率でパルプ化す
る。この際解繊解繊工程では効率の悪い薙刀ビーターな
どを使わずに効率の良いビーターや、エッジランナー等
を用いれば、繊維原料は容易に単繊維状になり、長繊維
パルプとして収得できる。特にエッジランナーの使用は
繊維が捩れ易くいわゆるダマの発生し易い原料からの長
繊維パルプの製造に使用すると効果的であるし、また特
に強度のある紙を望む際に使用すると効果的である。
【0016】パルプ収率が特に高く、廃液の濃度が低く
工場の規模が小さいため、KP工場のように、効果的な濃
縮燃焼処理法が採用できな場合でも、本発明では廃液に
溶出する有機物を極度に減らし、極高収率パルプを得る
ので、パルプ廃液の化学処理や生物処理の負荷を少なく
して処理を容易にし、設備の小型化が可能となった。
【0017】
【実施例】以下実施例をもって本発明をさらに説明す
る。ただし、本発明は当該実施例のみに限定されるもの
ではない。また、特に指定しない限り「%」は重量%を
指す。また本発明では、パルプ廃液に移行する繊維原料
の有機物の量を減らして環境負荷を減らすのが最大の目
標の一つであるので、パルプの収率はパルプ絶乾量/繊
維原料絶乾量で表示した。
【0018】
【実施例1】葉繊維原料としてバカを長さ70mmに切
断したものを絶乾量で10.0kg用いた。蒸解薬液と
しては亜硫酸ナトリウムをNa2SO3 として1.2kgを
水80 Lに溶かしたものを用いた。150 L容の鉄製
の平釜にバナナの繊維と蒸解薬液を入れ、100℃で
2.5時蒸解した。蒸煮後ビーターで30分間処理して
解繊し、白色度70.9%の未晒アバカパルプを収率9
4.2%で得た。この際副生するパルプ廃液固形分とNS
P法で収率65%でパルプを得る際に副生する廃液固形
分量を製品パルプ1トン当たりで比較したが、1/8以下
に軽減し得ることが分かった。得られたパルプは更にビ
ーターでC.S.F350mLまで叩解して手漉きを行
い、得られた紙は断長8.7km、比破裂強さ5.8、
比引き裂き強さ171を示した。
【0019】
【実施例2】葉繊維原料としてバナナの古木から採取し
た良質のバナナ繊維を長さ55mmに切断したものを絶
乾量で100kg用いた。蒸解薬液としては亜硫酸ナト
リウムをNa2SO3 として9kgと、炭酸ナトリウムをNa
CO3として2kg、アントラキノン30g、NMPを10
0g、を水と混合し液比2.0 L/kgとして1mの地
球釜で100℃、1.5時間蒸解した。 蒸解後ビータ
ーで30分間処理して離解し、得られたパルプに過酸化
水素(100%換算で)を3%、水酸化ナトリウム1%
加えて液比10 L/ kgで 90℃で1時間処理しC. S. F.
650 mL、白色度82.2%の晒バナナパルプを9
2.5%の収率で得た。これを従来のAP法で蒸解し、総
塩素使用量5%で漂白し収率48%で晒パルプ1トン生
産するのと本発明でパルプを1トン生産するのとを、原
料中の有機物の溶出量で比較すれば、本発明により1/
12以下に低減し得ることが明らかになった。得られた
パルプは、篩分け試験の結果14メッシュオン38.2
%、28メッシュオン21.8%、100メッシュオン
13.2%、200メッシュオン10.2%、200メ
ッシュ パス16.6%であった。残りのパルプは更に
ビーターでC.S.F.500mLまで叩解し、手漉きを行っ
た。得られた紙は裂断長7.1km、比破裂強さ4.
8、 比引き裂き強さ187を示した。
【0020】
【実施例3】靭皮繊維原料として良質のジュートを長さ
約35mmに切断したものを100kg用いた。蒸解は
K―ベースのNSP蒸解薬液(K2SO3 18kg、K
kg、アントラキノン40g、NMP 100g、水1
80 L)をジュートに加えて1mの地球釜で行っ
た。得られたパルプはさらにビーターで離解し、白色度
68.2%の晒バナナパルプを絶乾量で88.2kgを
得た。なお、得られたパルプ、篩分け試験の結果14メ
ッシュオン38.2%、28メッシュオン21.8%、
100メッシュオン13.2%、200メッシュオン1
0.2%、200メッシュ パス16.6%であった。
更にパルプをC. S. F.550 mL まで叩解し米坪量6
0g/m2の試験紙を漉き、更にホレンダーで叩解し手漉
きを行った、得られた紙は裂断長6.4km、比破裂強
さ4.0、 比引き裂き強さ158であった。従来法の
AP法で蒸解し塩素系の漂白を行った収率45%の半晒パ
ルプと廃液に移行する有機物の量で比較したが、本発明
では有機物の溶出量を実に1/8以下に減らせることが
明らかになった。
【0021】
【発明の効果】零細なパルプ工場の既存の設備を殆どそ
のまま用いて、高白色度で高品質の長繊維パルプを極め
て高収率で、かつ排水の環境負荷を大幅に削減可能な製
造方法を提供する。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルカリ金属の亜硫酸塩の水溶液を蒸解薬
    液として長繊維植物原料を常圧下で軽く蒸解したる後、
    ビーター又はエッジランナー等で機械的に離解すること
    により、原料有機物の廃液中に溶出する量を極度に少な
    くし、環境負荷を軽減するとを特徴とする地球環境に優
    しい長繊維パルプの製造方法。
  2. 【請求項2】蒸解薬液として、アルカリ金属の亜硫酸塩
    にアルカリ金属の炭酸塩又は及び水酸化物を加えること
    を特徴とする請求項1の方法。
  3. 【請求項3】蒸解薬液としてアントラキノン類、NMP
    (ノルマルメチルピロリドン)のうち少なくとも1種以
    上を含む請求項1及び2の方法。
JP2001309641A 2001-10-05 2001-10-05 地球環境に優しい長繊維パルプの製造方法 Pending JP2003113586A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022061483A1 (zh) * 2020-09-22 2022-03-31 江苏丰迪科技有限公司 纤维浆料供料方法

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