JP2003109499A - カラー陰極線管の製造方法 - Google Patents

カラー陰極線管の製造方法

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JP2003109499A
JP2003109499A JP2001301000A JP2001301000A JP2003109499A JP 2003109499 A JP2003109499 A JP 2003109499A JP 2001301000 A JP2001301000 A JP 2001301000A JP 2001301000 A JP2001301000 A JP 2001301000A JP 2003109499 A JP2003109499 A JP 2003109499A
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Toru Ebihara
徹 海老原
Masahito Tamai
雅人 玉井
Tsutomu Uchiumi
勉 内海
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シャドウマスクにシワやドーミングが発生し
にくく、制振特性が良好な、一方向架張型のシャドウマ
スクを有するカラー陰極線管を得る。 【解決手段】 電子ビーム通過孔が多数形成されたシャ
ドウマスク原板20’に一方向の張力を付与しながら、
シャドウマスク原板をフレーム30に溶接して架張した
後、シャドウマスク原板の溶接箇所24よりも外側の部
分を除去してカラー陰極線管を製造する方法において、
シャドウマスク原板の溶接予定箇所24よりも外側の領
域に、張力付与方向に対して傾斜した方向を長手方向と
する複数の開口28を形成しておく。シャドウマスク原
板に張力を付与すると、開口28によりシャドウマスク
原板を張力付与方向と直交する方向に伸長する力が発生
するので、シワやドーミングが発生しにくく、制振特性
も改善される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カラー陰極線管の
製造方法に関する。特に、一方向に張力が付与されて架
張されたシャドウマスクを含むカラー陰極線管の製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】カラー陰極線管では、電子銃から射出さ
れた電子ビームが、フェイスパネル内面に形成された蛍
光体スクリーンを照射して、所望する画像が表示され
る。蛍光体スクリーンの電子銃側には所定の距離を隔て
て、色選択電極として機能するシャドウマスクが設けら
れる。シャドウマスクには、電子ビームが所定位置の蛍
光体を射突するように、多数の略矩形状(スロット状)
の電子ビーム通過孔が配列形成されている。
【0003】最近のカラー陰極線管は、外光の映り込み
が少なく、見栄えが良いという利点から、フェイスパネ
ルの外表面が平面化されつつあり、これに伴って、シャ
ドウマスクも平面化する傾向にある。
【0004】シャドウマスクが平面化してくると、シャ
ドウマスクをフレームで単に支持するのみではシャドウ
マスクの平面を維持することが困難となりシワが発生し
やすい。また、外部からの振動によりシャドウマスクが
振動しやすくなり、カラー陰極線管の表示画像に悪影響
を与える。このため、シャドウマスクは、張力を加えた
状態でフレームに架張保持される。
【0005】また、電子ビームがシャドウマスクに衝突
するとシャドウマスクが加熱され、シャドウマスクが熱
膨張を起こす(このような現象を「ドーミング」とい
う)。この結果、特に表示画面の周辺部で電子ビーム通
過孔と蛍光体との相対的位置ずれが生じ、電子ビームの
蛍光体スクリーン面上でのランディング位置がずれて、
電子ビームが所望する蛍光体とは異なる蛍光体を照射し
て(「ミスランディング」)、色ずれと呼ばれる画質劣
化を生じる。シャドウマスクが平面化してくると、ドー
ミングによる電子ビームのランディング位置ずれ量が増
大する傾向にある。上記のシャドウマスクを張力を加え
た状態で架張保持することは、シャドウマスクの熱膨張
を吸収することができるので、ドーミングによる画質劣
化対策としても有効である。
【0006】シャドウマスクに張力を付与してフレーム
に架張する場合、架張方式はその張力の付与状態により
大きく2通りに分類される。第1は、シャドウマスクの
縦方向及び横方向の両方に張力を付与して架張する二次
元テンション方式であり、第2は、縦方向及び横方向の
一方のみに張力を付与して架張する一次元テンション方
式である。
【0007】二次元テンション方式は、シャドウマスク
にシワが生じないように縦方向と横方向との張力のバラ
ンスを取るのが難しく、製造が煩雑でコスト高になると
いう欠点を有している。
【0008】従って、現在では、一次元テンション方式
が主流となっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、単にシ
ャドウマスクを一方向の張力を付与して架張保持するだ
けでは、特に張力付与方向と直角方向における端部にお
いてシャドウマスクのシワやドーミングの発生を完全に
防止することが困難であり、また、良好な制振特性を得
ることが困難である。
【0010】本発明者らの検討によれば、これは以下の
理由による。シャドウマスクをフレームに溶接するのに
先立ってシャドウマスクに一方向の張力を付与すると、
シャドウマスクは張力付与方向にわずかに伸長するが、
同時に、張力付与方向と直角方向にはわずかに縮小す
る。このような状態のシャドウマスクをフレームに溶接
するために、上記のシワやドーミングが発現し、また、
良好な制振特性が得られていなかったのである。
【0011】本発明は、一方向に張力が付与されて架張
されたシャドウマスクを有するカラー陰極線管におい
て、該シャドウマスクにシワやドーミングが発生しにく
く、制振特性が良好なカラー陰極線管の製造方法を提供
することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成するために以下の構成とする。
【0013】本発明のカラー陰極線管の製造方法は、電
子ビーム通過孔が多数形成されたシャドウマスク原板に
一方向の張力を付与しながら、前記シャドウマスク原板
をフレームに溶接して架張する工程と、架張された前記
シャドウマスク原板の、前記張力の付与方向における前
記溶接箇所よりも外側の部分を除去する工程とを備えた
カラー陰極線管の製造方法であって、溶接前の前記シャ
ドウマスク原板は、前記張力の付与方向における溶接予
定箇所よりも外側の領域に、前記張力の付与方向に対し
て傾斜した方向を長手方向とする複数の開口が形成され
ていることを特徴とする。
【0014】かかる本発明の製造方法によれば、溶接前
にシャドウマスク原板に張力を付与すると、張力付与方
向に対して傾斜して形成した複数の開口が、シャドウマ
スク原板を張力付与方向と直交する方向に伸長する力を
発生させる。そして、この状態を維持したままでシャド
ウマスク原板はフレームに溶接されるので、溶接後も張
力付与方向と直交する方向の伸長力が残存する。この結
果、シワやドーミングが発生しにくく、制振特性が良好
なカラー陰極線管を得ることができる。
【0015】本発明の上記の製造方法において、前記各
開口は、その長手方向の両端部のうち、前記溶接予定箇
所寄りの端部に対して、これと反対側の端部が、前記張
力付与方向と直交する方向における前記シャドウマスク
原板の端側に位置するように、傾斜して形成されている
ことが好ましい。これにより、溶接前にシャドウマスク
原板に張力を付与したとき、シャドウマスク原板を該張
力付与方向と直交する方向に伸長する力を確実に発生さ
せることができる。
【0016】また、前記張力付与方向と直交する方向に
おける前記開口の配置ピッチは、前記方向における前記
電子ビーム通過孔の配置ピッチと一致していても良い。
これにより、前記張力付与方向と直交する方向に多数の
開口を形成することができ、該張力付与方向と直交する
方向に大きな伸長力を発生させることができる。また、
開口の間隔を狭くすることで、シャドウマスク原板に張
力を付与したときに、開口の周辺にシワが発生するのを
防止でき、溶接後にシワがないシャドウマスクを得られ
る。
【0017】この場合、前記開口と前記電子ビーム通過
孔とを一対一に対応させて相互に薄肉部分で連結しても
良い。これにより、シャドウマスク原板に張力を付与し
たときに、開口の周辺にシワが発生するのをより一層防
止することができる。
【0018】また、本発明の上記の製造方法において、
前記張力の付与方向における溶接予定箇所よりも外側の
共通する前記領域内において、前記張力付与方向と直交
する方向における前記シャドウマスク原板の中央部から
一方の端までの間に形成された複数の前記開口の長手方
向は相互に平行であっても良い。これにより、シャドウ
マスク原板に張力を付与したときに発生する、該張力付
与方向と直交する方向の伸長力の大きさを、該張力付与
方向と直交する方向においてほぼ一定とすることができ
る。
【0019】あるいは、前記張力付与方向に対する前記
開口の長手方向の傾斜角度は、前記張力付与方向と直交
する方向における前記シャドウマスク原板の端により近
い開口ほど大きくても良い。これにより、シャドウマス
ク原板に張力を付与したときに発生する、該張力付与方
向と直交する方向の伸長力の大きさを、該張力付与方向
と直交する方向において端側ほど大きくすることができ
る。
【0020】また、本発明の上記の製造方法において、
前記張力付与方向と直交する方向における前記シャドウ
マスク原板の端に最も近い前記開口の長手方向は、この
開口の近傍の前記シャドウマスク原板の前記端と略平行
であることが好ましい。これにより、シャドウマスク原
板に張力を付与したときに、シャドウマスク原板の端に
最も近い開口とシャドウマスク原板の該端との間にシワ
が発生するのを防止することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】図1は、本発明のカラー陰極線管
10の管軸を通る上下方向の断面図である。以下の説明
の便宜のために、図示したように、管軸に垂直な水平方
向軸をX軸、管軸に垂直な上下方向軸をY軸、管軸をZ
軸とするXYZ−3次元直交座標系を設定する。ここ
で、X軸とY軸とは管軸(Z軸)上で交差する。
【0022】フェイスパネル11とファンネル12とが
一体化されて外囲器13を形成する。フェイスパネル1
1の内面には略矩形状に蛍光体スクリーン14が形成さ
れている。蛍光体スクリーン14から離間し、かつこれ
に対向して、色選別電極としてのシャドウマスク20が
略矩形枠状のフレーム30に架張されて設置されてい
る。フレーム30のシャドウマスク20とは反対側の面
には、2対の略台形状の金属板材を略四角錐面の一部を
なすように相互に対向させて接合した内部磁気シールド
36が一体化されている。シャドウマスク20が架張さ
れ、内部磁気シールド36が一体化されたフレーム30
は、その4隅に設置された板バネ状の弾性支持体38
を、フェイスパネル11の内面に植設されたパネルピン
39に掛止することで、フェイスパネル11に保持され
ている。ファンネル12のネック部12aには電子銃1
5が内蔵される。
【0023】このように構成されたカラー陰極線管10
のファンネル12の外周面上には偏向ヨーク18が設け
られており、これによって電子銃15からの電子ビーム
16は水平方向及び垂直方向に偏向されて、蛍光体スク
リーン14上を走査する。
【0024】図2は、シャドウマスク20と、これを架
張保持するフレーム30とからなるマスク構体の概略構
成を示した斜視図である。
【0025】図示したように、フレーム30は、断面が
略3角形状の一対の支持部材31a,31bと、これよ
り短く、断面が略「コ」字状の一対の連結部材32a,
32bとからなる。一対の支持部材31a,31bと一
対の連結部材32a,32bとを、それぞれ平行に離間
して配置し、各部材の端部同士を溶接することで略矩形
枠状のフレーム30が構成される。
【0026】シャドウマスク20は、略矩形状の平板材
からなり、電子ビーム通過用のスロット状の貫通孔(電
子ビーム通過孔)22がX軸方向及びY軸方向に多数規
則正しく配列形成されている(図2では、一部の電子ビ
ーム通過孔のみを図示している)。一点鎖線21は電子
ビーム通過孔の形成領域を示している。電子ビーム通過
孔22の形成は周知の方法、例えば、エッチングなどで
行なうことができる。このようなシャドウマスク20
は、長辺をなす一対の支持部材31a,31bの端辺
に、Y軸方向の張力Tが付与された状態で架張されてい
る。
【0027】シャドウマスク20のフレーム30への架
張は、シャドウマスク20にY軸方向に張力を付与し、
かつ、一対の支持部材31a,31bの架張側の辺に相
互に近接する方向の加圧力を付与した状態で、シャドウ
マスク20と支持部材31a,31bとを溶接すること
で行なわれる。
【0028】図3は、シャドウマスク20を得るため
の、架張前のシャドウマスク原板20’の概略形状を示
した平面図である。図3は、本発明のシャドウマスク原
板20’の構成を模式的に示したものであり、各部の相
対的な縮尺は一致していない。
【0029】図3において、21は電子ビーム通過孔2
2(図2参照)の形成領域、24はフレームの一対の支
持部材31a,31b(図2参照)との溶接予定箇所、
26はシャドウマスク原板20’をフレームに溶接する
際にシャドウマスク原板20’を張力T’を付与しなが
ら把持するためのチャッキング部、28は溶接予定箇所
24とチャッキング部26との間の領域に形成された開
口である。
【0030】図3の部分IVの拡大図を図4に示す。図4
に示すように、開口28は、略矩形状(スリット状)
で、その長手方向が張力T’の付与方向(Y軸方向)に
対して角度θだけ傾斜させて形成されている。このよう
な開口28が張力T’の付与方向と直角方向(X軸方
向)に、ピッチPで多数配列形成されている。
【0031】図3に示したように、全ての開口28の傾
斜の向きは同一ではない。即ち、開口28の長手方向の
両端部28a,28b(図4参照))のうち、電子ビー
ム通過孔形成領域21寄りの端部28aに対して、これ
と反対側の端部28bがY軸より離れる方向(シャドウ
マスク原板20’のX軸方向における端側)に位置する
ように、開口28は、その長手方向を傾斜させて形成さ
れている。この結果、開口28はY軸に対して対称とな
るように形成されている。更に、開口28は、X軸に対
しても対称に形成されている。
【0032】このようなシャドウマスク原板20’をフ
レームに架張する方法を図5〜図7を用いて説明する。
【0033】まず、図5に示すように、一対の支持部材
31a,31bと一対の連結部材32a,32bとを接
合してなるフレーム30、及び図3に示したシャドウマ
スク原板20’を、それぞれ別個に作成する。
【0034】次に、図6に示すように、シャドウマスク
原板20’のY軸方向の両端のチャッキング部26をチ
ャック機構42で厚さ方向に把持して、チャック機構4
2を介してシャドウマスク原板20’にY軸方向の張力
T’を付与する。一方、一対の支持部材31a,31b
のシャドウマスクを架張する側の辺に相互に近接する方
向の加圧力(図示せず)を付与する。この状態で、シャ
ドウマスク原板20’と一対の支持部材31a,31b
とを接触させ、その接触部(溶接予定箇所24)に沿っ
てシャドウマスク原板20’と支持部材31a,31b
の辺とを溶接する。溶接は、例えばローラ式抵抗溶接機
を両者の接触部(溶接予定箇所24)に沿って走行させ
ることで行なうことができる。
【0035】溶接後、シャドウマスク原板20’の把持
を解除するとともに、一対の支持部材31a,31bへ
の加圧力を解除する。
【0036】最後に、シャドウマスク原板20’の溶接
箇所よりもY軸方向において外側の部分を切断して除去
する。かくして、図7に示すように、シャドウマスク2
0がフレーム30に架張保持されたマスク構体を得る。
得られたマスク構体において、シャドウマスク20に
は、フレーム30の一対の支持部材31a,31bによ
ってY軸方向の張力Tが印加されている。
【0037】本発明のカラー陰極線管の製造方法では、
図3、図4に示したように、シャドウマスク原板20’
の溶接予定箇所24よりも張力付与方向(Y軸方向)の
外側の領域に、該張力付与方向に対して傾斜した開口2
8が形成されている。以下に、この開口28の作用につ
いて図4を用いて説明する。
【0038】上述した通り、スリット状の開口28の長
手方向はY軸方向に対して角度θだけ所定の向きに傾斜
しており、このような傾斜した開口28がX軸方向に多
数配列して形成されている。ここで、図4で点線で示し
た、隣り合う2つの開口28で囲まれた略平行四辺形状
の領域50に着目する。以下の説明の便宜のために、領
域50を構成するX軸に平行な2つの辺を辺51a,5
1bと呼ぶ。ここで、辺51aは電子ビーム通過孔形成
領域21に近い側の辺であり、辺51bはチャッキング
部26に近い側の辺とする。
【0039】シャドウマスク原板20’をチャッキング
部26で把持して、Y軸方向の張力T’を付与したとき
の、領域50に作用する力とそれによる領域50の変形
を考える。Y軸方向の張力は、領域50を介して、電子
ビーム通過孔形成領域21に伝達される。このとき、一
対の辺51a,51bのX軸方向の位置が相互にずれて
いるために、領域50にY軸方向の張力が作用すると、
一対の辺51a,51bのX軸方向の位置を一致させよ
うとするX軸方向の分力が発生する。ここで、チャッキ
ング部26側の辺51bはチャッキング機構により把持
されて変位することができない。その結果、領域50の
他方の辺51aに、X軸と平行で、シャドウマスク原板
20’の端向きの力Fxが作用する。この力Fxによ
り、領域50は、辺51aがX軸方向におけるシャドウ
マスク原板20’の端に向かって変位するように変形す
る。
【0040】上述したように、開口28の傾斜の向き
は、Y軸に対して対称である。従って、領域50を変形
させようとするX軸方向の力Fxの向きも、Y軸に対し
て対称となる。このような力Fxとこれによる領域50
の変形は、電子ビーム通過孔形成領域21をX軸方向に
伸長するように作用する。
【0041】以上のように、電子ビーム通過孔形成領域
21より外側の溶接予定箇所24とチャッキング部26
との間に、張力付与方向に対して長手方向が傾斜したス
リット状の開口28を多数形成することにより、シャド
ウマスク原板20’にY軸方向の張力T’を付与する
と、電子ビーム通過孔形成領域21をX軸方向に伸長さ
せる向きの力を発生させることができる。このような状
態で、シャドウマスク原板20’をフレーム30の一対
の支持部材31a,31bに溶接するので、溶接後の架
張されたシャドウマスク20にもX軸方向に伸長させる
方向の力が残存する。その結果、単にY軸方向の張力を
付与して架張するのみではその発現を十分に抑制するこ
とができなかった、シャドウマスクのシワやドーミング
を、極めて低いレベルに抑えることができる。また、制
振特性を改善することができる。
【0042】また、開口28は溶接予定箇所24よりも
Y軸方向の外側の領域内に形成されるので、溶接後は切
り落とされて、シャドウマスク20内には残存しない。
従って、カラー陰極線管において開口28を電子ビーム
が通過するようなことがなく、フレアなどの画質劣化は
生じない。
【0043】本発明を34型カラー陰極線管に適用した
実施例を示す。
【0044】図5に示したようにフレーム30とシャド
ウマスク原板20’とをそれぞれ作成した。
【0045】図4において、開口28のY軸方向長さL
y=10mm、開口の長手方向と直交する方向の開口幅
W=0.5mmとした。また、開口28の長手方向のY
軸に対する傾斜角度θ=25°とした。但し、開口28
の傾斜方向は、図3に示すようにY軸及びX軸に対して
対称である。このような開口28を、溶接予定箇所24
とチャッキング部26との間の領域に、配置ピッチP=
5mmでX軸方向に配列して形成した。開口28の個数
は、X−Y直交座標系における各象限内に各60本とし
た。ここで、「象限」とは、X−Y平面をX−Y直交座
標系を構成するX軸及びY軸によって分割して得られる
4つの各領域を意味する。このような開口28は、エッ
チングにより電子ビーム通過孔22の形成と同時に形成
した。
【0046】次に、図6に示すように、上記シャドウマ
スク原板20’にY軸方向の張力を付与し、かつ、フレ
ーム30の一対の支持部材31a,31bのシャドウマ
スクを架張する側の辺に相互に近接する方向の加圧力を
付与した状態で、溶接予定箇所24に沿ってシャドウマ
スク原板20’と支持部材31a,31bの辺とを溶接
した。ここで、シャドウマスク原板20’に付与したY
軸方向の張力T’は、全幅で約10kNであった。この
張力T’を付与することで、溶接前のシャドウマスク原
板20’は、一対のチャッキング部26の間隔がY軸方
向に約1mm伸びるとともに、一対の溶接予定箇所24
で挟まれた部分のX軸方向幅が約100μm拡大した。
【0047】溶接後、シャドウマスク原板20’の把持
を解除するとともに、一対の支持部材31a,31bへ
の加圧力を解除した。そして、図7に示すように、シャ
ドウマスク原板20’の溶接箇所よりもY軸方向におい
て外側の部分を切断して除去した。
【0048】得られたマスク構体におけるシャドウマス
ク20をヒータにより加熱したところ、シャドウマスク
20を130℃まで加熱しても、シャドウマスク20に
はシワが発生しなかった。
【0049】比較例として、溶接予定箇所24とチャッ
キング部26との間の領域に開口28を形成しない以外
は上記の実施例と同様にして、マスク構体を作成した。
シャドウマスク原板をフレームに溶接する前に、シャド
ウマスク原板に上記実施例と同様のY軸方向の張力を付
与したところ、シャドウマスク原板は、一対のチャッキ
ング部26の間隔がY軸方向に約1mm伸びるととも
に、一対の溶接予定箇所24で挟まれた部分のX軸方向
幅が約70μm縮小した。得られたマスク構体のシャド
ウマスクを上記実施例と同様にヒータにより加熱したと
ころ、シャドウマスクが約100℃に加熱されたとき、
シャドウマスクにシワが発生した。
【0050】また、上記の実施例及び比較例で得たマス
ク構体のシャドウマスクに、同じ外部衝撃を付与して所
定の振動減衰率に達するまでに要する時間を測定したと
ころ、実施例のシャドウマスクは比較例のシャドウマス
クに対して約2分の1であった。
【0051】以上の実施例及び比較例から明らかなよう
に、本発明の方法によれば、シャドウマスク原板20’
にY軸方向の張力を付与することで、シャドウマスク原
板20’がX軸方向に伸長される。そして、この状態を
維持したままでシャドウマスク原板20’がフレームに
溶接されるので、溶接後のシャドウマスク20にはX軸
方向の張力成分が残存する。この結果、シワや加熱によ
るドーミングの発生を抑えることができる。また、制振
特性を改善することができる。
【0052】本発明は上記に示した実施の形態及び実施
例に限定されない。
【0053】例えば、開口28のY軸方向長さLy、開
口28の長手方向のY軸に対する傾斜角度θ、及び開口
28のX軸方向の形成個数(又は配置ピッチP)は、シ
ャドウマスクの縦・横寸法や厚さ、材質、溶接前にシャ
ドウマスク原板に付与する張力T’等を考慮して変更す
ることができる。一般に、Y軸方向長さLyが長いほ
ど、また、傾斜角度θ(絶対値)が大きいほど、また、
個数が多いほど(配置ピッチPが小さいほど)、溶接前
に付与する張力T’によって発生する、シャドウマスク
原板20’をX軸方向に伸長する力は大きくなる。
【0054】また、開口28の配置ピッチPが広すぎる
と、張力T’を付与したときに開口28の周辺でシャド
ウマスク原板20’にシワが発生やすくなる。これは、
架張後のシャドウマスク20のシワの原因となる。従っ
て、配置ピッチPはなるべく小さい方が好ましい。例え
ば、開口28の配置ピッチPを電子ビーム通過孔22の
X軸方向の配置ピッチと略一致させても良い。この場
合、更に、開口28と電子ビーム通過孔22とをY軸方
向に一対一に対応させて、両者をハーフエッチングによ
り形成した滑らかな曲線状の薄肉部分(溝状部分)で連
結しても良い。これにより、溶接前にシャドウマスク原
板20’に張力T’を付与したときに、開口28の周辺
でシワが発生するのを更に防止することができる。
【0055】また、上記の例では、X−Y直交座標系の
同一象限内に形成される全ての開口28は、その長手方
向のY軸に対する傾斜角度θを同一にして、即ち相互に
平行に形成したが、本発明はこれに限定されない。例え
ば、Y軸からの距離が遠い開口28ほど、その傾斜角度
θ(絶対値)を徐々に大きくしても良い。上述のよう
に、傾斜角度θが大きいほど、溶接前に付与する張力
T’によって発生する、シャドウマスク原板20’をX
軸方向に伸長する力は大きくなる。従来のように、開口
28を形成することなく単にシャドウマスク原板をY軸
方向に引っ張ってフレームに架張すると、X軸方向の端
部側でシワやドーミングが発生しやすく、また制振特性
が低下しやすい。従って、開口28の傾斜角度θ(絶対
値)をY軸から遠くなるに従って徐々に大きくすること
で、シワやドーミングが発生しやすく、また制振特性が
低下しやすいX軸方向の端部で、より大きなX軸方向の
伸長力を発生させることができ、小さな張力T’でこれ
らの問題の発生を効果的に抑えることができる。
【0056】また、シャドウマスク原板20’の溶接予
定箇所24とチャッキング部26との間の領域のX軸方
向の端辺のY軸に対する傾斜角度φ(図4参照)は、該
端辺に最も近い開口28の傾斜角度θと略一致している
ことが好ましい。このように、シャドウマスク原板2
0’の該端辺とそれに最も近い開口28とを略平行にす
ることで、溶接前にシャドウマスク原板20’に張力
T’を付与したときに、両者間の領域にシワが発生する
のを防止することができる。その結果、架張後のシャド
ウマスク20にシワが発生するのを防止できる。
【0057】また、開口28の形状は、上記のような細
長い長方形である必要はなく、長円形、楕円形などであ
ってもよい。また、長方形の4隅を丸くして応力集中を
緩和させても良い。
【0058】なお、図3では、シャドウマスク原板2
0’のX軸方向幅は、一対の溶接予定箇所24,24の
間の領域の一定で、溶接予定箇所24とチャッキング部
26との間の領域で直線状に変化する例を示したが、Y
軸方向における中央部で最も細くなるように、一対のチ
ャッキング部26,26の間の領域で滑らかな曲線状に
変化していても良い。
【0059】また、上記の説明では、シャドウマスクが
短辺方向の張力を付与されて架張されるカラー陰極線管
を例に説明したが、本発明はシャドウマスクが長辺方向
の張力を付与されて架張されるカラー陰極線管にも適用
することができる。この場合は、上記に示した複数の開
口28を短辺方向に配列して形成すればよい。
【0060】
【発明の効果】以上のように、本発明のカラー陰極線管
の製造方法によれば、溶接前にシャドウマスク原板に張
力を付与すると、張力付与方向に対して傾斜して形成し
た複数の開口が、シャドウマスク原板を張力付与方向と
直交する方向に伸長する力を発生させる。そして、この
状態を維持したままでシャドウマスク原板はフレームに
溶接されるので、溶接後も張力付与方向と直交する方向
の伸長力が残存する。この結果、シワやドーミングが発
生しにくく、制振特性が良好なカラー陰極線管を得るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態にかかるカラー陰極線管
の管軸を通る上下方向の断面図である。
【図2】 本発明の一実施形態にかかるカラー陰極線管
のシャドウマスクと、これを架張保持するフレームとか
らなるマスク構体の概略構成を示した斜視図である。
【図3】 本発明の一実施形態にかかるカラー陰極線管
に使用される架張前のシャドウマスク原板の概略形状を
示した平面図である。
【図4】 図3の部分IVの拡大平面図である。
【図5】 本発明の一実施形態にかかるカラー陰極線管
の製造方法の一工程を示した斜視図である。
【図6】 本発明の一実施形態にかかるカラー陰極線管
の製造方法の一工程を示した斜視図である。
【図7】 本発明の一実施形態にかかるカラー陰極線管
の製造方法の一工程を示した斜視図である。
【符号の説明】
10 カラー陰極線管 11 フェイスパネル 12 ファンネル 13 外囲器 14 蛍光体スクリーン 15 電子銃 16 電子ビーム 18 偏向ヨーク 20 シャドウマスク 20’ シャドウマスク原板 22 電子ビーム通過孔 21 電子ビーム通過孔の形成領域 24 溶接予定箇所 26 チャッキング部 28 開口 30 フレーム 31a,31b 支持部材 32a,32b 連結部材 36 内部磁気シールド 38 弾性支持体 39 パネルピン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 内海 勉 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 5C027 HH11

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子ビーム通過孔が多数形成されたシャ
    ドウマスク原板に一方向の張力を付与しながら、前記シ
    ャドウマスク原板をフレームに溶接して架張する工程
    と、 架張された前記シャドウマスク原板の、前記張力の付与
    方向における前記溶接箇所よりも外側の部分を除去する
    工程と を備えたカラー陰極線管の製造方法であって、 溶接前の前記シャドウマスク原板は、前記張力の付与方
    向における溶接予定箇所よりも外側の領域に、前記張力
    の付与方向に対して傾斜した方向を長手方向とする複数
    の開口が形成されていることを特徴とするカラー陰極線
    管の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記各開口は、その長手方向の両端部の
    うち、前記溶接予定箇所寄りの端部に対して、これと反
    対側の端部が、前記張力付与方向と直交する方向におけ
    る前記シャドウマスク原板の端側に位置するように、傾
    斜して形成されている請求項1に記載のカラー陰極線管
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記張力付与方向と直交する方向におけ
    る前記開口の配置ピッチは、前記方向における前記電子
    ビーム通過孔の配置ピッチと一致する請求項1に記載の
    カラー陰極線管の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記開口と前記電子ビーム通過孔とが薄
    肉部分で連結されている請求項3に記載のカラー陰極線
    管の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記張力の付与方向における溶接予定箇
    所よりも外側の共通する前記領域内において、前記張力
    付与方向と直交する方向における前記シャドウマスク原
    板の中央部から一方の端までの間に形成された複数の前
    記開口の長手方向は相互に平行である請求項1に記載の
    カラー陰極線管の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記張力付与方向に対する前記開口の長
    手方向の傾斜角度は、前記張力付与方向と直交する方向
    における前記シャドウマスク原板の端により近い開口ほ
    ど大きい請求項1に記載のカラー陰極線管の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記張力付与方向と直交する方向におけ
    る前記シャドウマスク原板の端に最も近い前記開口の長
    手方向は、この開口の近傍の前記シャドウマスク原板の
    前記端と略平行である請求項1に記載のカラー陰極線管
    の製造方法。
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