JP2003109406A - 照明方法及びvdt作業用照明器具 - Google Patents

照明方法及びvdt作業用照明器具

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JP2003109406A
JP2003109406A JP2002047970A JP2002047970A JP2003109406A JP 2003109406 A JP2003109406 A JP 2003109406A JP 2002047970 A JP2002047970 A JP 2002047970A JP 2002047970 A JP2002047970 A JP 2002047970A JP 2003109406 A JP2003109406 A JP 2003109406A
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brightness
vdt
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JP2002047970A
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English (en)
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Wataru Iwai
彌 岩井
Manabu Inoue
学 井上
Koki Noguchi
公喜 野口
Kazuteru Obara
和輝 小原
Tatsukiyo Uchida
達清 内田
Naoya Yamamoto
直哉 山本
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Panasonic Electric Works Co Ltd
Original Assignee
Matsushita Electric Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 視作業者の視認性向上と視覚疲労軽減に必要
な瞳孔径の縮小を、簡単な構造かつ少ないエネルギー
で、また、不快な眩しさを感じさせることなく実現す
る。 【解決手段】 照明装置16は、蛍光灯19の前に乳白
パネル20を設置して構成され、乳白パネル20の上端
が視作業者14の上方向視角約30[deg]となり、下端が
上方向視角約15[deg]となるように設置されている。こ
のとき、乳白パネル20の位置は、視作業者14の眼か
ら約50[cm]離れた位置となり、視作業者14から見た乳
白パネル20の大きさが立体角で約0.15[Sr]となる。照
明装置16は、上方向視角約15[deg]から約30[deg]の範
囲に亘って、視作業者から見たときの輝度が800[cd/m2]
以上の輝度で照明する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、読書や裁縫、VDT
(Visual Display Terminal)作業などの、高い視認性
が要求され、視覚疲労が生じやすい場所に用いられる照
明方法、及び、主として、VDT(Visual Display T
erminal)作業に用いられる照明器具に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来から、この種の高い視認性が要求さ
れる作業(以下、視作業という)において、視認性向上
のために被写界深度を考慮することが知られている。被
写界深度に関しては、カメラの場合に周知のように、レ
ンズの絞りを絞ることで被写界深度、すなわち、ピント
の合う範囲を拡大させることができる。これと同様に、
人間の視覚系においては、カメラの絞りに相当するもの
が瞳孔であり、瞳孔径を縮小させることで、ピントの合
う範囲が広がり、視認性を向上させたり文字が読みやす
くなる効果を生むことができる。また、瞳孔径の縮小に
よるピントの合う範囲の拡がりは、視対象に対するピン
ト調節の負荷が減るため、視覚疲労の軽減にもつなが
る。
【0003】そこで、従来、読書や裁縫、VDT作業など
の高い視認性が要求され、視覚疲労が生じやすい視作業
において、視作業者の視認性向上効果と視覚疲労軽減効
果を与えるため、光源からの光により視作業者の眼の瞳
孔を縮小させる照明方法が考えられている。この従来の
視作業者の眼の瞳孔を縮小させる照明方法は、高照度で
広範囲に視作業者の視野を照明する全般的な照明による
ものであった。また、低コストに室内を明るく感じさせ
るために、照明器具の一部の輝度を高めることが知られ
ている(例えば、特許第2891156号参照)。ま
た、省エネルギーで部屋全体を明るく感じさせるため
に、部屋の壁面照度を規定する照明方法が知られている
(例えば、特開2001−35202号公報参照)。さ
らには、ディスプレイ画面の明るさやコントラストを環
境の照度に応じて調整することが知られている(例え
ば、実用新案登録第3075971号公報参照)。
【0004】特に、VDT作業における視覚疲労は現在
の社会的な問題となっている。VDT作業における視覚
疲労を軽減させるためにはまず、VDT表示面に呈示さ
れている文字に代表される視対象の視認性を向上させ、
視対象を見やすくする必要がある。照明方法においてV
DT表示面の視対象の視認性を向上させる方法として
は、VDT表示面に対する照明を抑える方法(例えば、
実開平7−19909号公報参照)と、視作業者の眼に
対して照明することで視作業者の眼の瞳孔径を縮小させ
る方法とがある(例えば、特開平8−241791号公
報参照)。
【0005】いま、VDT表示面に対する照明が存在し
ない時のVDT作業面に呈示されている視対象の輝度を
Lt、視対象の背景を構成している背景の輝度をLbと
すると、VDT表示面に対する照明がない場合の視対象
のコントラストは、(Lb−Lt)/Lbである。ここ
で、VDT表示面に照明が加わり輝度Lvが重畳したと
すると、視対象のコントラストは、 {(Lb+Lv)−(Lt+Lv)}/(Lb+Lv)
=(Lb−Lt)/(Lb+Lv) となり、分母に加わったLvにより視対象の背景に対す
るコントラストは低下する。ここでは、視対象の輝度が
背景の輝度よりも低いことを前提としているが(Lb>
Lt)、背景の輝度が視対象の輝度よりも高い場合(L
b<Lt)でも、同様に重畳した輝度Lvにより視対象
の背景に対するコントラストは低下する。
【0006】従って、VDT表示面に対する照明の存在
は、VDT表示面に呈示されている視対象のコントラス
トを低下させ、視対象の視認性を低下させる。従って、
視作業者の視覚疲労を軽減させるためには、VDT表示
面への照明を抑える必要がある。
【0007】また、カメラのレンズの絞りを絞ることで
被写界深度、すなわち、ピントの合う範囲を拡大させる
ことができることが知られている。人間の視覚系におい
て、カメラの絞りに相当するものが瞳孔であることか
ら、瞳孔径を縮小させることで、ピントの合う範囲が広
がり、視対象に対する視認性を向上させることができ
る。従って、視作業者の眼に対する適切な照明は、視作
業者の瞳孔径を縮小させ、視対象の視認性を向上させる
ために、視作業者の視覚疲労軽減につながる。
【0008】以上のことから、VDT表示面に対して照
明を抑えることと、視作業者の眼に対して適切に照明す
ることは、VDT作業における視作業者の視覚疲労を軽
減させる上で、有効な照明方法であると言える。
【0009】さらに、VDT作業において視覚疲労を軽
減させるためには、視作業者に適切な観察位置で作業さ
せることも必要である。人は近くの視対象に対しては、
眼の毛様筋を使ってレンズの役割をしている水晶体を膨
らませてピントを合わせる。この水晶体を膨らませる行
為は、毛様体筋を酷使するため眼にとっては負担を要す
る行為である。従って、できるだけ水晶体を膨らませな
い、すなわち視対象が見える範囲で可能な限り離したほ
うが眼にとっては負担にならない。
【0010】また、眼球の露出はドライアイの原因とな
るために視線は下向きであるほうが望ましい。視線が上
になると、まぶたが上がり眼球の露出する領域が増える
からである。そのような観点から、VDT視作業に対す
る労働省の指針(「VDT作業のための労働衛生上の指
針」昭和60年12月20日)では、観察距離40[c
m]以上、VDT表示面の上端が眼の位置より下になる
ような高さとなる位置からの観察を推奨している。よっ
て、視作業者の視覚疲労を軽減するためには、この推奨
観察位置より悪い条件、すなわち、観察距離40[c
m]以下でVDT表示面の上端より下の位置に眼を置い
た観察は避けなければならない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の高照
度で広範囲に視作業者の視野を照明する照明方法では、
高出力な照明器具や多数の照明器具を必要とし、多くの
エネルギーが必要となるという問題があった。また、視
作業毎にそのような大がかりな照明を配置することにな
り、多大なコストがかかることから実用的ではないとい
う問題もあった。
【0012】そこで、より局部的な照明の採用が考えら
れるが、局部的な照明は、全般的な照明に比べて、周辺
の輝度と照明からの輝度との対比が大きく、高輝度にす
ると不快な眩しさを生じやすいという問題があった。ま
た、その一方で、眩しさの回避のために輝度を低下させ
たり、高輝度の部分を視野の周辺に移したりすると瞳孔
径を縮小させる効果がなくなり、視認性向上と視覚疲労
軽減の両効果が得られにくいという問題もあった。ま
た、上記各公報に示される照明方法においては、瞳孔径
を縮小させることを考察したものではない。
【0013】また、上述したように、視作業者の視覚疲
労を軽減させるためには、VDT表示面に対する照明を
抑え、視作業者の眼に対して適切に照明するだけでな
く、視作業者に不適切な観察位置で視作業させることを
回避することが必要なのである。そして、従来のVDT
照明方法では、キーボードや机上面等の視作業をする
上で照明が不可欠な部位を照明する光源からの光をVD
T表示面に対して照明されないように専用の遮光板を用
い、眼を照明するための照明は先に述べた光源とは別
の光源を用いて行われ、観察位置の統制は測距センサ
ーを用いて実施されるなど、視覚疲労を軽減させるため
の、これら3つの照明方法はそれぞれ別々の器具構成部
材によってなされていた。ところが、器具製造コストの
削減のためには、器具構成を簡易にすることが望まし
い。従って、先に述べた視覚疲労軽減のための3つの照
明方法をできるだけ同じ構成部材による簡易な構成で実
現することは、器具開発の上で解決すべき重要な課題で
あると言える。
【0014】本発明は、上記課題を解決するためになさ
れたものであり、視作業者の視認性向上と視覚疲労軽減
に必要な瞳孔径の縮小を、少ないエネルギーで、また、
不快な眩しさを感じさせることなく実現できる照明方法
を提供することを目的とする。さらにまた、本発明は、
視作業者の視覚疲労を軽減するために必要なVDT表示
面に対する照明を抑え、かつ、視作業者の眼に対して視
作業者の瞳孔径を縮瞳させるための適切な照明をし、そ
して、視作業者が不適切な観察位置で視作業させること
を回避する手段を簡易な構造で実現可能な照明器具を提
供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項1の発明は、光源からの光により作業者の眼の
瞳孔を縮小させる照明方法において、前記光源は、作業
者の作業面中心に対する視線方向からの上方向視角略30
度以下の視野内に、800[cd/m2]以上の輝度となる領域が
作業者から見た立体角で0.05[sr]以上あるようにした。
【0016】この構成においては、作業者の眼は、作業
者の作業面中心に対する視線方向からの上方向視角30度
以下の視野内において、作業者から見た立体角で0.05[s
r]以上の領域から800[cd/m2]以上の輝度で照明され、こ
れにより、作業者の瞳孔は効果的に縮小する。このとき
の光源は、800[cd/m2]以上の輝度となる領域が作業者か
ら見た立体角で0.05[sr]以上あればよいので、狭い領域
からの低輝度の照明により、作業者に不快な眩しさを与
えることなく、作業者の瞳孔を効果的に縮小させること
ができる。
【0017】請求項2の発明は、請求項1に記載の照明
方法において、光源は、作業者の作業面中心に対する視
線方向からの上方向視角が大きくなるのに伴い、輝度が
増加していくようにした。この構成においては、光源の
最大輝度となる位置が、作業者の作業面中心に対する視
線方向から最も離れた位置となり、作業者の瞳孔を効果
的に縮小させつつ、作業者の眩しさをより一層抑えるこ
とができる。
【0018】請求項3の発明は、請求項2に記載の照明
方法において、光源は、作業者の作業面中心に対する視
線方向からの上方向視角略20度以下で、800[cd/m2]以上
の輝度となるようにした。この構成においては、光源
は、作業者の作業面中心に対する視線方向からの上方向
視角が大きくなるのに伴い輝度が増加していき、上方向
視角略20度以下の位置で800[cd/m2]以上の輝度に達し、
作業面中心に対する視線方向から最も離れた位置で最大
輝度となる。これにより、77[%]の縮瞳率が得られ、作
業者の瞳孔をより効果的に縮小させることができる。
【0019】請求項4の発明は、請求項1に記載の照明
方法において、光源は、作業者の作業面中心に対する視
線方向からの上方向視角略30度以下の視野において、30
00[cd/m2]以下の輝度となる領域が存在するようにし
た。この構成においては、作業者の作業面中心に対する
視線方向からの上方向視角略30度以下の視野内には、30
00[cd/m2]以上の輝度となる領域が存在しないので、作
業中に光源を直視してしまったとしても、作業者に不快
な眩しさを与えることがない。
【0020】請求項5の発明は、請求項1に記載の照明
方法において、光源は、作業者の作業面中心に対する視
線方向からの上方向視角略15度以下の視野において、54
0[cd/m2]以下の輝度となる領域が存在するようにした。
この構成においては、作業者の作業面中心に対する視線
方向からの上方向視角略15度以下の視野内には、540[cd
/m2]以上の輝度となる領域が存在しないので、作業中に
おいて、光源からの光が気になることがない。
【0021】請求項6の発明は、請求項1に記載の照明
方法において、光源は、作業者の作業面中心に対する視
線方向からの上方向視角略30度以下の視野において、16
00[cd/m2]以上の輝度となる領域が存在するようにし
た。この構成においては、作業者の作業面中心に対する
視線方向からの上方向視角略30度以下の視野において、
1600[cd/m2]以上の輝度となる領域が存在することによ
り、77[%]の縮瞳率が得られ、作業者の瞳孔をより効果
的に縮小させることができる。
【0022】請求項7の発明は、視作業者の眼の瞳孔を
照明することで視作業者の視覚疲労を軽減させるVDT
(Visual Display Terminal)作業用照明器具におい
て、視作業のために必要な部位を照明する光源と、前記
光源からの光を反射させる反射部材とを備え、前記反射
部材の少なくとも一部を用いて反射させた光が視作業者
の眼の瞳孔を照明するようにした。この構成において
は、視作業者の瞳孔を照明するための光源を別途設ける
ことなく、キーボードや机上面等の視作業する上で照明
が必要な部位を照明するための光源を用い、その光源か
らの光を反射板の一部又は全部を用いて反射させ、眼を
照明する。
【0023】請求項8の発明は、請求項1に記載の照明
器具において、反射部材の少なくとも一部が、光源から
の直射光によりVDT表示面を照明しないようにする遮
光部材であるものである。この構成においては、眼の瞳
孔を照明するために用いられる反射板が、VDT表示面
に対する照明を遮光する遮光板としても機能する。
【0024】請求項9の発明は、請求項7又は請求項8
に記載の照明器具において、VDT表示面から視作業者
の方向にA[cm]、VDT表示面上端から上方向にB
[cm]の位置に当該照明器具が設置され、VDT表示
面に対して直交する線と水平面とのなす角をα[de
g]とし、VDTと視作業者と当該照明器具とから構成
される鉛直面において当該照明器具を中心として水平方
向を0[deg]としたときに、視作業者方向で下向き
に向かう角度0[deg]から下記式により算出される
θ[deg]に亘ってそれら角度方向から見た時の輝度
が3000[cd/m]以下となり、かつ、θ[de
g]〜90[deg]の範囲におけるそれら角度方向か
ら見たときの輝度が4000[cd/m]以上となる
ように構成されている。ここに、VDT表示面下端が上
端よりも視作業者側にある場合、θ=tan−1{B/
(40/cosα−A)}、VDT表示面上端が下端よ
りも視作業者側にある場合、θ=tan−1{B/(4
0−A)}とする。この構成においては、視作業者に不
適切な観察位置となる場所を不快なまぶしさを与えるこ
とで気づかせ、不適切な観察位置からの回避を促す。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の照明方法について
図面を基に説明する。本発明は、視認性向上と視覚疲労
軽減に必要な視作業者(作業者)の瞳孔の縮小効果を、
少ないエネルギーで、また、不快な眩しさを感じさせる
ことなく実現できる照明方法を求めるものであり、その
ため、以下の考察及び実験を行った。
【0026】実際の視作業環境を考えると、視作業者の
瞳孔を縮小させるための照明は視作業の邪魔にならない
ようにする必要がある。VDT作業の場合には、VDT面、キ
ーボード面、資料の参照等で周辺の机上面等、下方向と
左右方向への注視が中心となる。また、一般的な机上で
の視作業も、左右方向への視線移動が多い。従って、視
作業者の瞳孔を縮小させるための照明は視線上方向から
の照明であることが横方向や下方向の照明よりもより現
実的である。横方向や下方向からの照明では、視作業中
に高い輝度の照明を直視する可能性が高くなるからであ
る。従って、視作業者の瞳孔を縮小させるための照明
は、上方向からの照明とすることにより、視作業中に高
い輝度の照明を直視する可能性が低くなり、視作業者に
不快な眩しさを与えることがない。
【0027】また、9000[cd/m2]の点光源の位置と瞳孔
径の縮小効果との関係を調査する実験を行い、明確な瞳
孔径の縮瞳効果を得るためには、視線方向から上方向視
角の場合、視角30[deg]以内からの照明で被験者の眼を
照明する必要があることが報告されている(山本ら「VD
T作業空間におけるグレアならびに表示文字輝度と周辺
照度のオペレータへの影響」、Annals Physiol. Anthro
p.,4(1),pp.11-16(1985))。従って、視作業者の
瞳孔を縮小させるための照明は、上方向視角30[deg]以
内からの照明とすることにより、視作業者の瞳孔を効果
的に縮小させることができる。
【0028】図1は、視作業者の視作業面中心に対する
視線方向からの上方向視角30[deg]以下の視野内に視作
業者の眼を照明するために設置されたサイズおよび視作
業者から見たときの輝度分布が異なる10種類の照明のそ
れぞれに対して、瞳孔径を測定した結果を示したもので
ある。横軸は、視作業者の視作業面中心に対する視線方
向からの上方向視角30[deg]以下の視野内に視作業者か
ら見たときの輝度で800[cd/m2]以上となる領域を立体角
[sr]で示したものであり、縦軸は、照明条件毎に得られ
た瞳孔直径を、一般的な全般照明(机上面の水平面照度
で300[lx])のみの時の瞳孔直径に対する縮瞳率に変換
して示している。そして、図1の結果は、800[cd/m2]以
上となる領域が立体角で0.05[sr]以上になると、縮瞳率
は77[%]以下となることを示している。
【0029】一方、Positive画面(白背景に黒文字)の
VDTに対する視作業は、Negative画面(黒背景に白文
字)の場合に比べて視覚疲労が少ないこと、及び、その
時のPositive画面を注視した時の瞳孔径がNegative画面
を注視した時の瞳孔径に比べて77[%]縮小していること
が報告されている(Taptagaporn & Saito(Taptagaporn
S. and Saito S. : "How display polarity and lighti
ng conditions affect the pupil size of VDT operato
rs.", Ergonomics, 33, pp.201-208(1990)))。
【0030】つまり、図1の結果は、800[cd/m2]以上と
なる領域が立体角で0.05[sr]以上あれば、77[%]以下の
縮瞳率が得られ、視覚疲労軽減効果を得ることができる
ことを示している。従って、視作業者の瞳孔を縮小させ
るための照明は、800[cd/m2]以上となる領域が立体角で
0.05[sr]以上ある照明とすることにより、視作業者の瞳
孔を効果的に縮小させ、視覚疲労軽減効果を得ることが
できる。
【0031】また、不快な眩しさを与えないためには、
視作業からみたときの輝度が高くないようにする必要が
ある。写真のネガやスライドの内容を確認するための照
明器具の発光面輝度に対するJIS規格は1500±300[cd/
m2]である。これらの照明器具の発光面は、上にネガや
スライドが置かれ注視されることから1500[cd/m2]前後
の輝度は注視しても耐えられる輝度であることを意味し
ている。従って、その輝度のおよそ半分の輝度である80
0[cd/m2]という輝度は、不快な眩しさを感じさせること
のない輝度である。
【0032】つまり、図1の結果は、800[cd/m2]以上と
なる輝度が立体角で0.05[sr]以上の領域を持って視作業
者の眼を照明すれば、不快な眩しさを感じさせることな
く必要な縮瞳率を得ることができることを示している。
従って、視作業者の瞳孔を縮小させるための照明は、80
0[cd/m2]以上となる領域が立体角で0.05[sr]以上ある照
明とすることにより、視作業者の瞳孔を効果的に縮小さ
せつつ、視作業者に不快な眩しさを感じさせることがな
い。
【0033】図3は、視作業者から見たときの最大輝度
の位置が異なっている図2に示す5種類の輝度分布を有
する照明のそれぞれに対して測定した瞳孔径の平均値
を、標準偏差と共に示したものである。図3は、最大輝
度が2000[cd/m2]となるようにした時の各照明の輝度分
布を示したものである。各照明の最大輝度の位置は、観
察者から見たときの視線中心から上方向の視角で、14.
8、18.9、22.8、26.6、30.1 [deg]である。各照明の最
大輝度は、無点灯、400、800、1600、3200 [cd/m2]の5
段階に変化させた。
【0034】図3の結果からは、最大輝度の位置が視線
中心に近づくほど瞳孔径が縮小するという系統的な変化
が見られない。すなわち、図3の結果は、400→800→16
00→3200[cd/m2]と最大輝度を増加させていくのに比べ
て、最大輝度の位置を視線側に移動させることによる瞳
孔径の縮小効果が期待できないことを示しているが、一
方で、最大輝度が確保できていれば、その最大輝度の位
置を周辺に移動させても、顕著な瞳孔径の縮瞳効果の低
下が生じないということも示している。
【0035】眩しさの位置の影響は強く、視線から最大
輝度の位置を離していくことによる眩しさの減少は顕著
である。よって、眩しさの観点からは、最大輝度の位置
は視線から離れているほうが望ましい。瞳孔径の縮小効
果に関しては、図3に示すように顕著な位置の影響が見
られなかったことから、瞳孔を縮小させるための輝度分
布条件を満たしてさえいれば、視線から離れるに伴い輝
度が上昇する輝度分布を有する照明により、不快な眩し
さを与えることなく、瞳孔径を縮小させることができ
る。
【0036】従って、視作業者の瞳孔を縮小させるため
の照明は、視作業者の視作業面中心に対する視線方向か
ら上方向に離れるのに伴い、視作業者から見たときの輝
度が増加していく照明とすることにより、視作業者の瞳
孔を効果的に縮小させつつ、視作業者に不快な眩しさを
感じさせることがない。
【0037】さらに、図1の結果が示すように、瞳孔径
を縮小させるためには、輝度で800[cd/m2]以上となる領
域の大きさが重要であり、立体角にして0.05[sr]以上を
必要とするが、より効率的に瞳孔径を縮小させるために
は、より視線に近い位置に、800[cd/m2]以上となる領域
が存在しているほうが望ましい。
【0038】図4は、視線から離れるのに伴い輝度が上
昇する輝度分布で、800[cd/m2]以上の輝度となる位置が
異なる図5に示す5種類の照明に対して瞳孔径を測定し
た結果を示したものである。図4の横軸は、800[cd/m2]
以上の輝度となる位置を視線中心からの上方向視角[de
g]で示したものであり、縦軸は、照明条件毎に得られた
瞳孔直径を、一般的な全般照明(机上面の水平面照度で
300[lx])のみの時の瞳孔直径に対する縮瞳率に変換し
て示したものである。図4の結果は、800[cd/m 2]以上の
輝度となる位置が視線中心からの上方向視角21[deg]以
下になると急激に縮瞳率が低下し、必要な縮瞳率77[%]
を得るためには、上方向視角20[deg]以下で800[cd/m2]
以上の輝度とならなければならないことを示している。
【0039】従って、視作業者の瞳孔を縮小させるため
の照明は、視作業者の視作業面中心に対する視線方向か
らの上方向視角20[deg]以内で視作業者から見たときの
輝度で800[cd/m2]以上の輝度となる照明とすることによ
り、77[%]の縮瞳率が得られ、視作業者の瞳孔をより効
率的に縮小させることができる。
【0040】図6に、視対象の輝度と視対象の明るさを
尺度化したブライトネス評価値との関係を示す(武内
ら:「ブライトネスとその計測」、National Technical
Report、Vol.33、No.3、pp.114-120(1987))。眩しい
と感じるのはブライトネス評価値で30以上と報告されて
いる。図6からは、視対象の輝度が3000[cd/m2]以下で
あれば、眩しいと感じ始めるブライトネス評価値30以上
とはならないことが読みとれる。つまり、直視した時に
不快な眩しさを感じないようにするためには、その輝度
が3000[cd/m2]以下であることが必要である。
【0041】従って、視作業者の瞳孔を縮小させるため
の照明は、視作業者の位置から見た時の輝度が3000[cd/
m2]以下となっている照明とすることにより、その照明
を直視したとしても不快な眩しさを感じさせることがな
い。
【0042】さらに、直視して眩しさを感じない3000[c
d/m2]以下の輝度であっても、視作業をする上で気にな
る輝度となっていることがある。実際の視環境を想定し
て視線上方向からの照明を考えると、VDT作業の場合、V
DT作業のじゃまにならないように、表示面内に照明を置
くことはできない。一般的な15〜17インチサイズのVDT
の画面を一般的な観察条件40〜50[cm]で観察した場合の
VDT表示面の上端は、視作業者のVDT表示面中心に対する
視線方向からの上方向視角で15[deg]前後である。従っ
て、VDT作業の場合には、視作業者の瞳孔径を縮小させ
る照明は、上方向視角15[deg]の位置での輝度が「気に
ならない」輝度である必要がある。
【0043】また、一般的な机上での視作業を想定した
場合にも同様、紙面等の視作業の対象が存在する範囲内
に、視作業者の眼を照明する照明を設置することはでき
ない。机上での視作業の対象として一般的な紙面サイズ
であるA4紙面中心を一般的な観察距離40[cm]で観察しし
時の視線方向に対して、A4紙面上端の上方向視角はおよ
そ20[deg]であり、VDT視作業に比べて、視作業の視野の
範囲は広い。
【0044】以上述べてきたように、照明方法の主たる
適用対象であるVDT視作業と机上での視作業において、
視作業中心に対する視線方向から、上方向視角15[deg]
以下の範囲に、視作業者の瞳孔径を縮小させるための照
明を設置することは、視作業に支障をきたすことからあ
りえない。また、視作業者の眼を照明する照明は、眩し
さの場合と同様で、視線に近いほど気になりやすくな
る。従って、視作業者の瞳孔径を縮小させる照明の視線
から上方向視角15[deg]の位置での視作業者から見たと
きの輝度が、「気にならない」輝度であれば、その照明
は、主たる適用対象となる視作業のほとんどにおいて、
気にならない照明となる。
【0045】図7は、視線方向からの上方向視角15[de
g]の位置における視作業者から見たときの輝度と、「こ
れ以上輝度が高いと気になって作業がしにくくなる」と
感じる累積確率との関係を示したものである。この実験
では5名の被験者に対して心理評価実験を行なった。そ
して、各被験者に対して得られた6回分のデータから最
大値と最小値を除いた4点のデータ5名分、計20点のデー
タを用いて図7の縦軸の累積確率を得た。
【0046】図7の結果は、視線方向からの上方向視角
15[deg]の位置における視作業者から見たときの輝度が5
40[cd/m2]以下の時に、「これ以上輝度が高いと気にな
って作業がしにくくなる」と感じる累積確率が20[%]以
下となることを示している。つまり、図7の結果は、輝
度が540[cd/m2]以下であれば、80[%]以上の確率で「気
にならない」ということを示している。通常、このよう
な心理実験における被験者の回答は厳しい方向に出る。
図7の結果を得た実験の場合には、「気になる」輝度に
対して被験者は低い輝度に調整しがちとなる。「気にな
る」存在となる可能性のある照明の存在を事前に被験者
に知らせるため、被験者が通常の視作業状態に比べて、
照明を過剰に意識してしまうからである。従って、この
実験結果での80[%]以上の確率で「気にならない」とい
うことは、540[cd/m2]以下の輝度は、通常の視作業にお
いては、ほぼ100[%]の確率で「気にならない」と感じる
輝度なのである。
【0047】つまり、図7の結果は、視作業者の瞳孔を
縮小させるための照明が視作業者にとって視作業をする
上で気にならないものとするためには、視線方向からの
上方向視角15[deg]以下の視野内において、視作業者か
ら見たときの輝度が540[cd/m2]以下となればよいことを
示している。従って、視作業者の瞳孔を縮小させるため
の照明は、視作業者の視作業面中心に対する視線方向か
らの上方向視角15[deg]以下の視野内において、視作業
者から見たときの輝度が540[cd/m2]以下である照明とす
ることにより、視作業者にとって、視作業をする上で照
明が気にならないものとすることができる。
【0048】図8は、視線方向からの上方向視角30[de
g]の位置における視作業者から見たときの輝度と、机上
面照度300[lx]の全般照明のみの時の瞳孔直径に対する
縮瞳率との関係を示したものである。図8の結果は、視
線方向からの上方向視角30[deg]という比較的視線から
離れた位置であっても、1600[cd/m2]以上の輝度があれ
ば、必要な縮瞳率77[%]を得ることができることを示し
ている。
【0049】つまり、視線方向からの上方向視角30[de
g]以内の範囲に1600[cd/m2]以上の輝度が存在していれ
ば、より効果的に瞳孔径を縮小させることができる。従
って、視作業者の瞳孔を縮小させるための照明は、視作
業者の視作業面中心に対する視線方向からの上方向視角
30[deg]以下の視野内において、視作業者から見たとき
の輝度で1600[cd/m2]以上の領域が存在する照明とする
ことにより、77[%]の縮瞳率が得られ、視作業者の瞳孔
をより効率的に縮小させることができる。
【0050】本発明の照明方法を具体化した第1の実施
例を図9及び図10を参照して説明する。机11には、
VDTモニタ12とキーボード13とが置かれており、視
作業者14は、机11に置かれたVDTモニタ12の画面
(作業面)15を見ながらキーボード13を操作する視
作業をする。
【0051】視作業者14の眼を照明する照明装置(光
源)16は、VDT作業用のスタンドとして、支柱17に
より、机11に取付けられている。この照明装置16
は、反射板を兼ねた筐体18と、筐体18内に設けられ
た20W蛍光灯19と、蛍光灯19の前に設けられた大き
さが15×30[cm]の乳白パネル20とから構成されてい
る。そして、この照明装置16は、視作業者14が画面
15の中心を見るときの視線方向を視角0[deg]とした場
合、乳白パネル20の上端が視作業者14の上方向視角
約30[deg]となり、乳白パネル20の下端が視作業者1
4の上方向視角約15[deg]となるように、机11に取付
けられている。このとき、乳白パネル20の位置は、視
作業者14の眼から約50[cm]離れた位置となり、また、
視作業者14から見た乳白パネル20の大きさは、立体
角で約0.15[Sr]となる。
【0052】蛍光灯19からの光は、視作業者14と蛍
光灯19との間に設置された乳白パネル20を介して、
視作業者14から見たときの輝度分布が図10に示すよ
うな輝度分布で、視作業者14の眼を照明している。す
なわち、照明装置16は、視作業者14の画面15の中
心に対する視線方向からの上方向視角約15[deg]から約3
0[deg]の範囲に亘って、視作業者から見たときの輝度が
800[cd/m2]以上の輝度で、視作業者14の眼を照明して
いる。
【0053】これにより、照明装置16は、視作業者1
4の画面15の中心に対する視線方向からの上方向視角
30[deg]以下の視野内に、視作業者14から見たときの
輝度で800[cd/m2]以上の輝度となる領域を視作業者14
から見た立体角で約0.05[Sr]以上形成する。
【0054】本発明の照明方法を具体化した第2の実施
例を図11及び図12を参照して説明する。机11に
は、紙面(作業面)22が置かれており、視作業者14
は、机11に置かれた紙面22を見て視作業をする。
【0055】机11には、支柱17により、机上11を
照明するスタンド23が設けられている。視作業者14
の眼を照明する照明装置(光源)24は、このスタンド
23の支柱17に、机11上での作業用の補助照明とし
て取付けられている。この照明装置24は、反射板を兼
ねた筐体18と、筐体18内に設けられた20W蛍光灯1
9と、蛍光灯19の光を導光する大きさが20×20[cm]の
導光板25とから構成されている。そして、この照明装
置24は、視作業者14が紙面22の中心を見るときの
視線方向を視角0[deg]とした場合、導光板25の上端が
視作業者14の上方向視角約30[deg]となり、導光板2
5の下端が視作業者14の上方向視角約15[deg]となる
ように設けられている。このとき、導光板25の位置
は、視作業者14の眼から約70[cm]離れた位置となり、
また、視作業者14から見た導光板25の大きさは、立
体角で約0.07[Sr]となる。
【0056】蛍光灯19からの光は、導光板25によ
り、視作業者14から見たときの輝度分布が図12に示
すような輝度分布で、視作業者14の眼を照明してい
る。すなわち、照明装置24は、視作業者14の紙面2
2の中心に対する視線方向からの上方向視角約15[deg]
から約30[deg]の範囲に亘って、視作業者から見たとき
の輝度が800[cd/m2]以上の輝度で、視作業者14の眼を
照明している。
【0057】これにより、上記実施例1と同様に、照明
装置24は、視作業者14の紙面22の中心に対する視
線方向からの上方向視角30[deg]以下の視野内に、視作
業者14から見たときの輝度で800[cd/m2]以上の輝度と
なる領域を視作業者14から見た立体角で約0.05[Sr]以
上形成する。
【0058】本発明の照明方法を具体化した第3の実施
例を図13を参照して説明する。机11には、VDTモニ
タ12とキーボード13とが置かれており、視作業者1
4は、机11に置かれたVDTモニタ12の画面(視作業
面)15を見ながらキーボード13を操作する視作業を
する。
【0059】視作業者14の眼を照明する照明装置(光
源)26は、VDT作業用のスタンドとして、支柱17に
より、机11に取付けらている。この照明装置26は、
反射板を兼ねた筐体18と、筐体18内に設けられた20
W蛍光灯19と、蛍光灯19の前に設けられた乳白パネ
ル20とから構成されている。蛍光灯19は、乳白パネ
ル20の上端に設置されている。そして、この照明装置
26は、視作業者14が画面15の中心を見るときの視
線方向を視角0[deg]とした場合、乳白パネル20の上端
が視作業者14の上方向視角約30[deg]となり、乳白パ
ネル20の下端が視作業者14の上方向視角約15[deg]
となるように、机11に取付けられている。
【0060】蛍光灯19からの光は、蛍光灯19が乳白
パネル20の上端に設置されているので、乳白パネル2
0を介して、視作業者14の視線方向から上方向に離れ
るのに従い増加していく輝度分布となる。すなわち、照
明装置26は、視作業者14の画面15の中心に対する
視線方向からの上方向視角が上方向に離れるのに従い視
作業者14から見たときの輝度が増加していく輝度分布
で、視作業者14の眼を照明している。また、照明装置
26は、視作業者14から見たときの輝度が800[cd/m2]
以上の輝度となる領域を、視作業者14から見た立体角
で約0.05[Sr]以上形成している。
【0061】これにより、照明装置26は、視作業者1
4の画面15の中心に対する視線方向からの上方向視角
30[deg]以下の視野内に、視作業者14から見たときの
輝度で800[cd/m2]以上の輝度となる領域を視作業者14
から見た立体角で約0.05[Sr]以上形成し、また、上方向
視角が大きくなるのに伴い、その輝度が増加する。
【0062】本発明の照明方法を具体化した第4の実施
例を図14及び図15を参照して説明する。机11に
は、VDTモニタ12とキーボード13とが置かれてお
り、視作業者14は、机11に置かれたVDTモニタ12
の画面(視作業面)15を見ながらキーボード13を操
作する視作業をする。
【0063】視作業者14の眼を照明する照明装置(光
源)28は、VDT作業用のスタンドとして、支柱17に
より、机11に取付けられている。この照明装置28
は、反射板を兼ねた筐体18と、筐体18内に設けられ
た20W蛍光灯19と、蛍光灯19の前に設けられた透過
率が上下方向で2段階に変化している乳白パネル20a
とから構成されている。そして、この照明装置28は、
視作業者14が画面15の中心を見るときの視線方向を
視角0[deg]とした場合、乳白パネル20aの上端が視作
業者14の上方向視角約30[deg]となり、乳白パネル2
0aの下端が視作業者14の上方向視角約15[deg]とな
るように、机11に取付けられている。
【0064】蛍光灯19からの光は、乳白パネル20a
の透過率が上下方向で2段階に変化しているので、乳白
パネル20aを介して、視作業者14から見たときの輝
度分布が図15に示すような輝度分布で、視作業者14
の眼を照明している。すなわち、照明装置28は、視作
業者14の画面15の中心に対する視線方向からの上方
向視角が上方向に離れるのに従い視作業者14から見た
ときの輝度が増加していき、上方向視角20[deg]以内で8
00[cd/m2]に達する輝度分布で、視作業者14の眼を照
明している。また、照明装置28は、上方向視角約20[d
eg]から約30[deg]の範囲に亘って、視作業者14から見
たときの輝度が800[cd/m2]以上の輝度となっており、視
作業者14から見たときの輝度が800[cd/m2]以上の輝度
となる領域を、視作業者14から見た立体角で約0.05[S
r]以上形成している。
【0065】これにより、照明装置28は、視作業者1
4の画面15の中心に対する視線方向からの上方向視角
30[deg]以下の視野内に、視作業者14から見たときの
輝度で800[cd/m2]以上の輝度となる領域を視作業者14
から見た立体角で約0.05[Sr]以上形成し、また、上方向
視角が大きくなるのに伴い、その輝度が増加し、さら
に、上方向視角20[deg]以内において、800[cd/m2]以上
の輝度となる。
【0066】本発明の照明方法を具体化した第5の実施
例を図16及び図17を参照して説明する。机11に
は、VDTモニタ12とキーボード13とが置かれてお
り、視作業者14は、机11に置かれたVDTモニタ12
の画面(視作業面)15を見ながらキーボード13を操
作する視作業をする。
【0067】視作業者14の眼を照明する照明装置(光
源)30は、VDT作業用のスタンドとして、支柱17に
より、机11に取付けられている。この照明装置30
は、反射板を兼ねた筐体18と、筐体18内に設けられ
た20W蛍光灯19と、蛍光灯19の前に設けられた透過
率が上下方向に滑らかに減少している乳白パネル20b
とから構成されている。そして、この照明装置30は、
視作業者14が画面15の中心を見るときの視線方向を
視角0[deg]とした場合、乳白パネル20bの上端が視作
業者14の上方向視角約30[deg]となり、乳白パネル2
0bの下端が視作業者14の上方向視角約15[deg]とな
るように、机11に取付けられている。
【0068】蛍光灯19からの光は、乳白パネル20b
の透過率が上下方向に滑らかに減少しているので、乳白
パネル20bを介して、視作業者14から見たときの輝
度分布が図17に示すような輝度分布で、視作業者14
の眼を照明している。すなわち、照明装置30は、視作
業者14の画面15の中心に対する視線方向からの上方
向視角が上方向に離れるのに従い視作業者14から見た
ときの輝度が増加していき、上方向視角約20[deg]以内
で800[cd/m2]に達する輝度分布で、視作業者14の眼を
照明している。また、照明装置30は、上方向視角約20
[deg]から約30[deg]の範囲に亘って、視作業者14から
見たときの輝度が800[cd/m2]以上の輝度となっており、
視作業者14から見たときの輝度が800[cd/m2]以上の輝
度となる領域を、視作業者14から見た立体角で約0.05
[Sr]以上形成している。
【0069】これにより、上記実施例4と同様に、照明
装置30は、視作業者14の画面15の中心に対する視
線方向からの上方向視角30[deg]以下の視野内に、視作
業者14から見たときの輝度で800[cd/m2]以上の輝度と
なる領域を視作業者14から見た立体角で約0.05[Sr]以
上形成し、また、上方向視角が大きくなるのに伴い、そ
の輝度が増加し、さらに、上方向視角20[deg]以内にお
いて、800[cd/m2]以上の輝度となる。
【0070】本発明の照明方法を具体化した第6の実施
例を図18及び図19を参照して説明する。机11に
は、紙面(視作業面)22が置かれており、視作業者1
4は、机11に置かれた紙面22を見て視作業をする。
【0071】机11には、支柱17により、机上11を
照明するスタンド23が設けられている。視作業者14
の眼を照明する照明装置(光源)32は、このスタンド
23の支柱17に、机11上での作業用の補助照明とし
て取付けられている。この照明装置32は、反射板を兼
ねた筐体18と、筐体18内に設けられた20W蛍光灯1
9と、蛍光灯19の光を導光する導光板25とから構成
されている。そして、この照明装置32は、視作業者1
4が紙面22の中心を見るときの視線方向を視角0[deg]
とした場合、導光板25の上端が視作業者14の上方向
視角約30[deg]となり、導光板25の下端が視作業者1
4の上方向視角約15[deg]となるように設けられてい
る。
【0072】蛍光灯65からの光は、導光板25によ
り、視作業者14から見たときの輝度分布が図19に示
すような輝度分布で、視作業者14の眼を照明してい
る。すなわち、照明装置32は、視作業者14の紙面2
2の中心に対する視線方向からの上方向視角約15[deg]
から約30[deg]の範囲に亘って、視作業者14から見た
ときの輝度が3000[cd/m2]以下の輝度で、視作業者14
の眼を照明している。また、照明装置32は、上方向視
角約20[deg]から約30[deg]の範囲に亘って、800[cd/m 2]
以上の輝度となっていて、視作業者14から見たときの
輝度が800[cd/m2]以上の輝度となる領域を、視作業者1
4から見た立体角で約0.05[Sr]以上形成している。
【0073】これにより、照明装置32は、視作業者1
4の紙面22の中心に対する視線方向からの上方向視角
30[deg]以下の視野内に、視作業者14から見たときの
輝度で800[cd/m2]以上の輝度となる領域を視作業者14
から見た立体角で約0.05[Sr]以上形成し、また、上方向
視角略30[deg]以下の視野内に、3000[cd/m2]以下の輝度
となる領域だけを形成する。
【0074】本発明の照明方法を具体化した第7の実施
例を図20及び図21を参照して説明する。机11に
は、VDTモニタ12とキーボード13とが置かれてお
り、視作業者14は、机11に置かれたVDTモニタ12
の画面(視作業面)15を見ながらキーボード13を操
作する視作業をする。
【0075】視作業者14の眼を照明する照明装置(光
源)34は、VDT作業用のスタンドとして、支柱17に
より、机11に取付けられている。この照明装置34
は、反射板を兼ねた筐体18と、筐体18内に設けられ
た20W蛍光灯19と、蛍光灯19の前に設けられた透過
率が上下方向で変化している乳白パネル20cとから構
成されている。そして、この照明装置34は、視作業者
14が画面15の中心を見るときの視線方向を視角0[de
g]とした場合、乳白パネル20cの上端が視作業者14
の上方向視角約30[deg]となり、乳白パネル20cの下
端が視作業者14の上方向視角約15[deg]よりもやや小
さくなるように、机11に取付けられている。
【0076】蛍光灯19からの光は、乳白パネル20c
の透過率が上下方向で変化しているので、乳白パネル2
0cを介して、視作業者14から見たときの輝度分布が
図21に示すような輝度分布で、視作業者14の眼を照
明している。すなわち、照明装置34は、視作業者14
の画面15の中心に対する視線方向からの上方向視角約
15[deg]以下の視野内において、視作業者14から見た
ときの輝度が540[cd/m2]以下の輝度で、視作業者14の
眼を照明している。また、照明装置34は、上方向視角
約20[deg]から約30[deg]の範囲に亘って、800[cd/m2]以
上の輝度となっていて、視作業者14から見たときの輝
度が800[cd/m2]以上の輝度となる領域を、視作業者14
から見た立体角で約0.05[Sr]以上形成している。
【0077】これにより、照明装置34は、視作業者1
4の画面15の中心に対する視線方向からの上方向視角
30[deg]以下の視野内に、視作業者14から見たときの
輝度で800[cd/m2]以上の輝度となる領域を視作業者14
から見た立体角で約0.05[Sr]以上形成し、また、上方向
視角15[deg]以下において、540[cd/m2]以下の輝度とな
る。
【0078】本発明の照明方法を具体化した第8の実施
例を図22及び図23を参照して説明する。机11に
は、VDTモニタ12とキーボード13とが置かれてお
り、視作業者14は、机11に置かれたVDTモニタ12
の画面(視作業面)15を見ながらキーボード13を操
作する視作業をする。
【0079】視作業者14の眼を照明する照明装置(光
源)36は、VDT作業用のスタンドとして、支柱17に
より、机11に取付けられている。この照明装置36
は、筐体18と、筐体18内に設けられた反射板37
と、筐体18内で反射板37の前に設けられた20W蛍光
灯19と、蛍光灯19の前に設けられた透過率が上下方
向で変化している乳白パネル20dとから構成されてい
る。そして、この照明装置36は、視作業者14が画面
15の中心を見るときの視線方向を視角0[deg]とした場
合、乳白パネル20dの上端が視作業者14の上方向視
角約30[deg]となり、乳白パネル20dの下端が視作業
者14の上方向視角約15[deg]となるように、机11に
取付けられている。
【0080】蛍光灯19からの光は、反射板37の作用
及び乳白パネル20dの透過率が上下方向で変化してい
ことにより、乳白パネル20dを介して、視作業者14
から見たときの輝度分布が図23に示すような輝度分布
で、視作業者14の眼を照明している。すなわち、照明
装置36は、視作業者14の画面15の中心に対する視
線方向からの上方向視角約30[deg]以下の視野内におい
て、視作業者から見たときの輝度で1600[cd/m2]以上の
領域が存在する輝度分布で、視作業者14の眼を照明し
ている。また、照明装置36は、上方向視角約15[deg]
から約30[deg]の範囲に亘って、800[cd/m2]以上の輝度
となっていて、視作業者14から見たときの輝度が800
[cd/m2]以上の輝度となる領域を、視作業者14から見
た立体角で約0.05[Sr]以上形成している。
【0081】これにより、照明装置36は、視作業者1
4の画面15の中心に対する視線方向からの上方向視角
30[deg]以下の視野内に、視作業者14から見たときの
輝度で800[cd/m2]以上の輝度となる領域を視作業者14
から見た立体角で約0.05[Sr]以上形成し、また、1600[c
d/m2]以上の輝度の領域を形成している。
【0082】次に、本発明のVDT作業用照明器具につ
いて説明する。図24乃至図27は、それぞれ同照明器
具の概念構成を示す。なお、上述と同等部材には同番号
を付している。図24に示すように、VDT表示面15
の下端が上端よりも視作業者14側にあるときには、V
DT表示面15から視作業者14の方向にA[cm]、
VDT表示面上端から上方向にB[cm]の位置に照明
器具16が設置され、VDT表示面15に対して直交す
る線Vと水平面Hとのなす角がα[deg]であり、V
DTと視作業者と当該照明器具とから構成される鉛直面
において当該照明器具を中心として水平方向を0[de
g]とした場合、VDT表示面からの最短距離が40
[cm]で、かつ、VDT表示面の上端と同じ高さの位
置の角度は、下記(2)式で算出されるθ[deg]と
なる。 θ=tan−1{B/(40/cosα−A)} ・・・(2)
【0083】一方、図25に示すように、VDT表示面
15の上端が下端よりも視作業者14側にあるときに
は、VDT表示面からの最短距離が40[cm]で、か
つ、VDT表示面の上端と同じ高さの位置の角度は、視
作業者の眼とVDT表示面の上端を通る水平面H上にお
ける眼とVDT表示面との距離が最短距離となるので、
この時のθは下記(3)式で算出されるθ[deg]と
なる。 θ=tan−1{B/(40−A)} ・・・(3)
【0084】そして、図26に示すように、視作業者1
4の眼の位置がVDT表示面15からの最短距離40
[cm]よりも近づいた場合、また、図27に示すよう
に、視作業者14の眼の位置がVDT表示面15の上端
から低い位置に移動した場合には、θよりも高角度側に
視作業者の眼が位置する。
【0085】よって、θよりも高角度側において、その
角度から観察した時の当該器具16の輝度が視作業者に
とって不快なまぶしさを感じる輝度であれば、視作業者
はθ以上の角度の範囲に眼を置くと不快なまぶしさを感
じるために、それら角度範囲に眼を置きにくくなる。す
なわち、θ以上の角度の範囲での観察は、VDT視作業
をする上で視覚疲労を生じやすくなるために避けなけれ
ばならない視作業VDT表示面から最短距離40[c
m]以内の観察距離で、かつVDT表示面の上端よりも
低い位置に眼を置いて観察することを意味する。従っ
て、この範囲で観察する時に不快なまぶしさを与えるこ
とで、視作業者に気づかせ、その位置からの回避を促す
ことができる。
【0086】視作業者に対して不快なまぶしさを与える
ための視作業者から観察したときの輝度は、図28に示
す既往研究(武内ら:「ブライトネスとその計測」、Na
tional Technical Report、Vol.33、No.3、p.
114-120(1987))から明らかにされた対象
物の輝度とブライトネスとの関係から求めることができ
る。VDT作業を行うような屋内視環境において、眼の
順応に関わる壁面等の鉛直面は照度10〜500[l
x]の範囲に、また、内装の反射率は30〜80[%]
の範囲に存在していることから、順応輝度はl〜130
[cd/m]の範囲に存在する。
【0087】図28は、この順応輝度範囲の下限値l
[cd/m]と上限値130[cd/m]の各々の
順応輝度における対象の輝度とブライトネスとの関係を
示したものである。不快なまぶしさと感じ始めるブライ
トネスの値は30であるので、図28は、1〜130
[cd/m]の範囲であれば,4000[cd/
]以上の輝度はブライトネス30以上の値となり、
不快なまぶしさを感じるが、3000[cd/m]以
下の輝度であれば、ブライトネス30以下となり、不快
なまぶしさを感じないことを示している。
【0088】従って、θ以上の角度において、視作業者
から見たときの輝度が不快なまぶしさを感じる4000
[cd/m]以上であれば、θ以上の角度範囲内で観
察している視作業者に対して不快なまぶしさを与えるこ
とができる。先にも述べたように、θ以上の範囲での観
察は、VDT視作業をする上で視覚疲労を生じやすくな
るために避けなければならない視作業VDT表示面から
の最短距離40[cm]以内の観察距離で、かつVDT
表示面の上端よりも低い高さとなる位置に眼を置いての
観察であるので、この範囲での観察をしている視作業者
に不快なまぶしさを与え、それら観察位置からの観察を
回避させた方が視作業者の眼にとっては視覚疲労が生じ
にくくなり、望ましい。
【0089】また一方で、視作業をする上での問題のθ
以内での観察においては、逆に不快なまぶしさを与えて
はいけないので、θ以内の範囲において視作業者から見
たときの輝度が3000[cd/m]以下と不快なま
ぶしさを与えない輝度にしておく必要がある。
【0090】以上のことから、本発明に係る照明器具
は、VDT表示面から視作業者の方向にA[cm]、V
DT表示面上端から上方向にB[cm]の位置に当該照
明器具が設置され、VDT表示面に対して直交する線と
水平面とのなす角がα[deg]であり、VDTと視作
業者と当該照明器具とから構成される鉛直面において当
該照明器具を中心として水平方向を0°とした時に、V
DT表示面下端が上端よりも視作業者側にある場合には
視作業者方向で下向きに向かう角度0°から式(2)か
ら算出されるθ[deg]に亘って、VDT表示面上端
が下端よりも視作業者側にある場合には視作業者方向で
下向きに向かう角度0°から式(3)から算出されるθ
[deg]に亘って、それら角度方向から見た時の輝度
が3000[cd/m]以下となっており、かつ、θ
[deg]〜90[deg]の範囲におけるそれら角度
方向から見た時の輝度が4000[cd/m]以上と
なっている。
【0091】図29は、本発明の一実施例に係る照明器
具の構成を示す(請求項7相当)。この照明器具は、主
としてキーボード13面を照明するための光源となるラ
ンプ41と反射板42を有し、ランプ41からの光の一
部が視作業者14の眼を照明するための反射板43によ
って反射され視作業者の眼を照明している。照明器具は
スタンド支柱44により支持されている。
【0092】図30は、本発明の他の実施例に係る照明
器具の構成を示す(同じく請求項7相当)。この照明器
具は、主としてキーボード13面と机11上面を照明す
るための光源となるランプ41と反射板42を有し、光
源からの光の一部が、反射板42の開口部を介して、視
作業者14の眼を照明するための反射板43によって反
射され、視作業者の眼を照明している。
【0093】図31は、本発明のさらに他の実施例に係
る照明器具の構成を示す(請求項8相当)。この照明器
具は、主としてキーボード13面と机11上面を照明す
るための光源となるランプ41と反射板42を有し、光
源からの光が別個の反射板43によって反射され、視作
業者14の眼を照明しているが、その反射板43は光源
からの直射光がVDT表示面15を照明しないための遮
光板となっている。
【0094】図32は、本発明のさらに他の実施例に係
る照明器具の構成を示す(同じく請求項8相当)。この
照明器具は、主としてキーボード13面と机11上面を
照明するための光源となるランプ41と反射板42を有
し、別個の反射板43の上部で光源からの光が反射さ
れ、視作業者14の眼を照明しているが、この反射板4
3の下部は光源からの直射光がVDT表示面15を照明
しないための遮光板となっている。
【0095】図33は、本発明のさらに他の実施例に係
る照明器具の構成を示す(請求項9相当)。上記図29
乃至図33においては、いずれも視作業者14が観察し
ているVDT表示面15は下端の方が上端よりも視作業
者側にある。図33に示した照明器具は、主としてキー
ボード13面と机11上面を照明するための光源となる
ランプ41と光不透過の反射板42を有し、光源からの
光が別個の反射板43によって反射され視作業者14の
眼を照明しているが、この反射板43は光源からの直射
光がVDT表示面15を照明しないための遮光板となっ
ている。当該照明器具は、VDT表示面15から視作業
者14の方向にA[cm]、VDT表示面上端から上方
向にB[cm]の位置に設置され、視作業者14の眼を
通るVDT表示面15に対して直交する線Vと水平面H
とのなす角がα[deg]であり、VDTと視作業者と
当該照明器具とから構成される鉛直面において当該照明
器具を中心として水平方向を0[deg]としたとき
に、視作業者方向で下向きに向かう角度0[deg]か
ら式(2)により算出されるθ[deg]に亘ってそれ
ら角度方向から見た時の輝度が、光不透過の反射板42
の存在により、3000[cd/m]以下となってお
り、かつ、θ[deg]〜90[deg]の範囲におけ
るそれら角度方向から見たときの輝度が、ランプ発光部
そのものの輝度5000[cd/m]となっている。
【0096】図34は、本発明のさらに他の実施例に係
る照明器具の構成を示す(同じく請求項9相当)。この
例では、視作業者14が観察しているVDT表示面15
は上端の方が下端よりも視作業者側にある。ここに示す
照明器具は、主としてキーポード13面と机11上面を
照明している光源となるランプ41からの光が反射板4
3の上部で反射され視作業者の限を照明しているが、そ
の反射板43の下部は光源からの直射光がVDT表示面
15を照明しないための遮光板となっている。当該照明
器具は、VDT表示面15から視作業者14の方向にA
[cm]、VDT表示面上端から上方向にB[cm]の
位置に設置され、VDTと視作業者と当該照明器具とか
ら構成される鉛直面において当該照明器具を中心として
水平方向を0[deg]としたときに、視作業者方向で
下向きに向かう角度0[deg]から式(1)により算
出されるθ[deg]に亘ってそれら角度方向から見た
ときの輝度が、光を一部透過する透過部材45の存在に
より、2000[cd/m ]となっており、かつ、θ
[deg]〜90[deg]の範囲におけるそれら角度
方向から見たときの輝度が、ランプ発光部そのものの輝
度5000[cd/m]となっている。
【0097】
【発明の効果】以上説明したように請求項1の発明によ
れば、作業者の上方向視角30[deg]以下の視野内におい
て、作業者から見た立体角で0.05[sr]以上という狭い領
域からの800[cd/m2]以上の輝度の照明により、作業者の
眼の瞳孔を効果的に縮小させることができる。このとき
の照明は、作業者の上方向視角30[deg]以下の視野内に
おける0.05[sr]以上という狭い領域からの800[cd/m2]以
上の輝度でよいので、少ないエネルギーの照明で作業者
の眼の瞳孔を効果的に縮小させることができ、また、作
業者に不快な眩しさを与えることがない。これにより、
少ないエネルギーの照明で、作業時のピント合わせを楽
にし、作業時の視認性の向上と視覚疲労を軽減すること
ができる。
【0098】請求項2の発明によれば、照明の最大輝度
となる位置が、作業者の作業面中心に対する視線方向か
ら最も離れた位置となるので、作業者の瞳孔を効果的に
縮小させつつ、作業者への不快な眩しさをより一層抑え
ることができる。
【0099】請求項3の発明によれば、77[%]の縮瞳率
が得られるので、より効果的に瞳孔径を縮小させること
ができ、これにより、より一層、作業時の視認性の向上
と視覚疲労を軽減することができる。
【0100】請求項4の発明によれば、3000[cd/m2]以
上の輝度となる領域が存在しないので、作業中に照明を
直視してしまったとしても、作業者は不快な眩しさを感
じることがない。
【0101】請求項5の発明によれば、作業者の作業面
中心に対する視線方向からの上方向視角略15[deg]以下
の視野内には、540[cd/m2]以上の輝度となる領域が存在
しないので、作業中において照明が気になることがな
く、これにより、作業者は、不快な眩しさを感じないだ
けでなく、照明の存在を気にすることなく、視作業に集
中することができる。
【0102】請求項6の発明によれば、77[%]の縮瞳率
が得られるので、より効果的に瞳孔径を縮小させること
ができ、これにより、より一層、作業時の視認性の向上
と視覚疲労を軽減することができる。
【0103】請求項7の発明によれば、視作業者の視覚
疲労軽減を目的とした視作業者の眼の瞳孔を照明するた
めの光源を別途専用に設けることなく、視作業者の瞳孔
を照明することができる。つまり、キーボードや机上面
等のVDT視作業をする上で照明が不可欠な部位への照
明と視作業者の瞳孔への照明の両者を1つの光源で実現
することができる。
【0104】請求項8の発明によれば、視作業者の瞳孔
を照明するための反射部材に、光源からの直射光により
VDT表示面が照明されないための遮光部材の機能を持
たせている。従って、視作業者の瞳孔を照明する機能と
VDT表示面への照明を遮光する機能を持った反射部材
と一つの光源と言う簡単な構成でもって、VDT作業用
照明器具に必要な機能であるキーボードや机上面等のV
DT視作業をする上で必要な部分への照明を行うことが
できることは勿論のこと、視覚疲労を軽減するための視
作業者の瞳孔を縮小させる機能と、VDT表示面の文字
等の視対象の視認性低下を防ぐ機能を実現することがで
きる。
【0105】請求項9の発明によれば、視作業者に不適
切な観察位置となる場所を不快なまぶしさを与えること
で気づかせるだけでなく、人は本能的に不快なまぶしさ
を感じる位置から回避する傾向があることから、不適切
な観察位置からの回避を促すことができる。また、従来
の測距センサのような専用の機器や部材を用いることな
く、所望の輝度分布となる配光を、光源と反射板から成
る一般的な照明器具の構成でもって実現することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を説明するための被験者の眼への照明
と瞳孔径の関係を示す図。
【図2】 被験者の瞳孔の測定において、被験者の眼へ
の輝度分布を示す図。
【図3】 被験者の眼への照明と瞳孔径の関係を示す
図。
【図4】 被験者の眼への照明と瞳孔径の関係を示す
図。
【図5】 被験者の瞳孔の測定において、被験者の眼へ
の輝度分布を示す図。
【図6】 視対象の輝度と視対象の明るさを尺度化した
ブライトネス評価値との関係を示す図。
【図7】 被験者の眼への照明と作業のしにくさの関係
を示す図。
【図8】 被験者の眼への照明と瞳孔径の関係を示す
図。
【図9】 本発明の一実施形態による照明方法の概略構
成を示す図。
【図10】 同方法における照明の輝度分布を示す図。
【図11】 本発明の一実施形態による照明方法の概略
構成を示す図。
【図12】 同方法における照明の輝度分布を示す図。
【図13】 本発明の一実施形態による照明方法の概略
構成を示す図。
【図14】 本発明の一実施形態による照明方法の概略
構成を示す図。
【図15】 同方法における照明の輝度分布を示す図。
【図16】 本発明の一実施形態による照明方法の概略
構成を示す図。
【図17】 同方法における照明の輝度分布を示す図。
【図18】 本発明の一実施形態による照明方法の概略
構成を示す図。
【図19】 同方法における照明の輝度分布を示す図。
【図20】 本発明の一実施形態による照明方法の概略
構成を示す図。
【図21】 同方法における照明の輝度分布を示す図。
【図22】 本発明の一実施形態による照明方法の概略
構成を示す図。
【図23】 同方法における照明の輝度分布を示す図。
【図24】 本発明のVDT作業用照明器具の概念構成
図。
【図25】 同照明器具の概念構成図。
【図26】 同照明器具の概念構成図。
【図27】 同照明器具の概念構成図。
【図28】 順応輝度範囲の下限値と上限値の各々の順
応輝度における対象の輝度とブライトネスとの関係を示
す図。
【図29】 本発明の一実施例に係る照明器具の構成
図。
【図30】 本発明の他の実施例に係る照明器具の構成
図。
【図31】 本発明のさらに他の実施例に係る照明器具
の構成図。
【図32】 本発明のさらに他の実施例に係る照明器具
の構成図。
【図33】 本発明のさらに他の実施例に係る照明器具
の構成図。
【図34】 本発明のさらに他の実施例に係る照明器具
の構成図。
【符号の説明】
14 視作業者(作業者) 15 画面(作業面)、VDT表示面 16 照明装置(光源)、照明器具 24、26、28、30、32、34、36 照明装置
(光源) 22 紙面(作業面) 41 ランプ(光源) 42,43 反射板 45 透過部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野口 公喜 大阪府門真市大字門真1048番地 松下電工 株式会社内 (72)発明者 小原 和輝 大阪府門真市大字門真1048番地 松下電工 株式会社内 (72)発明者 内田 達清 大阪府門真市大字門真1048番地 松下電工 株式会社内 (72)発明者 山本 直哉 大阪府門真市大字門真1048番地 松下電工 株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光源からの光により作業者の眼の瞳孔を
    縮小させる照明方法において、 前記光源は、作業者の作業面中心に対する視線方向から
    の上方向視角略30度以下の視野内に、800[cd/m2]以上の
    輝度となる領域が作業者から見た立体角で0.05[sr]以上
    あることを特徴とする照明方法。
  2. 【請求項2】 前記光源は、作業者の作業面中心に対す
    る視線方向からの上方向視角が大きくなるのに伴い、前
    記輝度が増加していくことを特徴とする請求項1に記載
    の照明方法。
  3. 【請求項3】 前記光源は、作業者の作業面中心に対す
    る視線方向からの上方向視角略20度以下で、800[cd/m2]
    以上の輝度となることを特徴とする請求項2に記載の照
    明方法。
  4. 【請求項4】 前記光源は、作業者の作業面中心に対す
    る視線方向からの上方向視角略30度以下の視野におい
    て、3000[cd/m2]以下の輝度となる領域が存在すること
    を特徴とする請求項1に記載の照明方法。
  5. 【請求項5】 前記光源は、作業者の作業面中心に対す
    る視線方向からの上方向視角略15度以下の視野におい
    て、540[cd/m2]以下の輝度となる領域が存在することを
    特徴とする請求項1に記載の照明方法。
  6. 【請求項6】 前記光源は、作業者の作業面中心に対す
    る視線方向からの上方向視角略30度以下の視野におい
    て、1600[cd/m2]以上の輝度となる領域が存在すること
    を特徴とする請求項1に記載の照明方法。
  7. 【請求項7】 視作業者の眼の瞳孔を照明することで視
    作業者の視覚疲労を軽減させるVDT(Visual Displa
    y Terminal)作業用照明器具において、 視作業のために必要な部位を照明する光源と、 前記光源からの光を反射させる反射部材とを備え、 前記反射部材の少なくとも一部を用いて反射させた光が
    視作業者の眼の瞳孔を照明するようにしたことを特徴と
    するVDT作業用照明器具。
  8. 【請求項8】 前記反射部材の少なくとも一部が、光源
    からの直射光によりVDT表示面を照明しないようにす
    る遮光部材であることを特徴とする請求項7に記載のV
    DT作業用照明器具。
  9. 【請求項9】 VDT表示面から視作業者の方向にA
    [cm]、VDT表示面上端から上方向にB[cm]の
    位置に当該照明器具が設置され、VDT表示面に対して
    直交する線と水平面とのなす角をα[deg]とし、V
    DTと視作業者と当該照明器具とから構成される鉛直面
    において当該照明器具を中心として水平方向を0[de
    g]としたときに、視作業者方向で下向きに向かう角度
    0[deg]から下記(1)式により算出されるθ[d
    eg]に亘ってそれら角度方向から見た時の輝度が30
    00[cd/m]以下となり、かつ、θ[deg]〜
    90[deg]の範囲におけるそれら角度方向から見た
    ときの輝度が4000[cd/m]以上となるように
    構成されていることを特徴とする請求項7又は請求項8
    に記載のVDT作業用照明器具。 VDT表示面下端が上端よりも視作業者側にある場合、 θ=tan−1{B/(40/cosα−A)} VDT表示面上端が下端よりも視作業者側にある場合、 θ=tan−1{B/(40−A)} ・・・(1)
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103244904A (zh) * 2013-04-26 2013-08-14 苏州佳世达电通有限公司 一种灯具及其控制方法
JP7011870B1 (ja) * 2021-06-08 2022-02-10 スワン電器株式会社 照明装置

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