JP2003107546A - 励起子を用いた量子論理素子 - Google Patents

励起子を用いた量子論理素子

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JP2003107546A JP2001298076A JP2001298076A JP2003107546A JP 2003107546 A JP2003107546 A JP 2003107546A JP 2001298076 A JP2001298076 A JP 2001298076A JP 2001298076 A JP2001298076 A JP 2001298076A JP 2003107546 A JP2003107546 A JP 2003107546A
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  • Optical Modulation, Optical Deflection, Nonlinear Optics, Optical Demodulation, Optical Logic Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来のバレンコらの提案ではサブバンド間電
子を用いるために生じていた、非常に位相緩和時間が短
いという問題と、サブバンド遷移波長が遠赤外である為
に極超短光パルスレーザの技術がなく、超高速制御が不
可能であると言う問題を解決することを目的としてい
る。 【解決手段】 本発明は、半導体量子構造の電子状態を
利用した量子論理素子に関し、半導体量子井戸構造中の
分極を有する励起子間の分極間相互作用を利用する。ま
た、半導体量子井戸構造中のスピン偏向した励起子間の
スピン交換相互作用を利用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】光・電子デバイスの分野にお
いて、従来型の古典力学に基づく現在のコンピュータよ
りも、飛躍的な高性能が期待されるものとして、量子力
学の原理に基づく全く新しい量子コンピュータが提案さ
れている。本発明は、量子コンピュータの基本論理素子
の中でも、特に半導体量子構造を用いる基本論理素子に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】古典力学に基づいた現在のコンピュータ
に対して、量子力学の原理に基づくものとして量子コン
ピュータの提案がなされた。これまで主に量子計算のソ
フトウエアといえる理論面での研究が進められてきた。
しかし、理論から要求されるハードウエア、すなわち物
理系で量子論理素子を構成するための為の条件は非常に
厳しく、それを実現できるものはいまだ開発途上であ
る。まず量子計算の原理を示す。従来の古典的デジタル
コンピュータでは、「0」と「1」からなるビットを基本的
な計算要素としている。一方、量子計算機では、重ねあ
わせ状態をとることができる|0>と|1>という2つ
の量子状態から構成される量子ビットを基本的な計算要
素としている。たとえば、ある量子ビット|a>は |a> = cosθ|0> + sinθ・exp(iα)|1> (1) と表すことができる。ここで、αは|0>と|1>との
間の位相を表す。θは状態|0>と状態|1>の確率的
な分布を示す。すなわち|a>を観測するとcos2θの割
合で |0>が見出され、sin2θの割合で|1>が見出
される。
【0003】1995年にDeutshらによって、「回転ゲ
ート」と「制御ノットゲート」の2種類のゲートの組み合
わせによって、量子ビットに対するすべての論理演算が
実行可能であることが示された。ここで、回転ゲートと
は、図1に示すように(1)式の|0>と|1>の比率
(θ)や位相αを任意に変化させるものである。また、
制御ノットとは、図2(A)に示すように2つの量子ビッ
トに関する量子ゲートであり、一方の量子ビットを制御
ビット|a>、他方を信号量子ビット|b>とする。ま
た、制御ノットゲートにおける入出力信号の論理値表を
図2(B)に示す。制御ノットゲートの動作は、制御量子
ビットが|0>のときには信号量子ビットは変化しない
が、制御量子ビットが|1>の時には、信号量子ビット
に対して|0>と|1>を入れ替えるノットゲートとし
て働くものである。
【0004】量子計算では、量子状態間の位相関係が量
子力学的相関を持った「重ね合わせ状態」を利用して計算
を行なうので、計算の間には「重ね合わせ状態」を保持し
ている必要がある。しかし、実際の物理系では、位相関
係(コヒーレンス)を乱すデコヒーレンス要因(緩和現
象)によって、重ね合わせ状態が崩される。緩和現象に
は系の運動量が乱される位相緩和(横緩和)と系のエネ
ルギーが乱されるエネルギー緩和(縦緩和)があり、位
相緩和が先に生じ、次にエネルギー緩和が生じるが、エ
ネルギー緩和が非常に早い系では、位相緩和はエネルギ
ー緩和時間とほぼ同じになる。固体中におけるデコヒー
レンス要因とは主に位相緩和によるものである。従っ
て、位相緩和時間の十分長い系を選ぶと共に、位相緩和
時間に比べて十分短い時間で量子計算を行なう必要があ
る。
【0005】以上から、量子論理素子を実現するの為の
必要条件としては、 1)コヒーレンス項が指数因子(e)分の1に減衰する時
間であるデコヒーレンス時間の長い系を選ぶとともに、
デコヒーレンス時間(位相緩和時間)が量子演算の実行
時間(基本ゲート時間×計算ステップ数)よりも十分長
いこと。 2)量子演算に必要不可欠な、1量子論理ゲートである
「位相シフター」と、2量子論理ゲートである「制御ノッ
ト」を構成できること。
【0006】これまでに、各種の物理系を利用した量子
論理素子の提案がなされ、また、いくつかの系では初期
的な1〜数量子ビットの実験例も報告されている。代表
的なものとしては、1)NMRを用いた量子計算、2)イ
オントラップを用いた量子計算、3)線形光学系を用い
た量子計算、4)半導体固体素子を用いた量子計算が上
げられる。この中で、1)、2)についてはデコヒーレ
ンス時間が非常に長い原子、分子系を利用している特長
があり、1〜数量子ビットの実験例も報告されている。
しかし、NMRでは少数量子ビットの演算が限界であり、
イオントラップにおいても数量子ビットの演算が限界で
あると考えられていて量子計算の特徴を発揮する大規模
演算に適さない。また、線形光学系においても量子ビッ
トの数に比例して光学系の規模が大きくなり、やはり数
量子ビットの演算が限界である。
【0007】したがって大規模量子計算を実現する為に
は、4)の半導体固体素子を用いて量子計算を行なうこ
とが非常に有望であると考えられる。半導体固体素子を
用いたものには、主に4−1)超伝導トンネル接合を用
いたもの、4−2)不純物核スピンを用いたもの、4−
3)半導体量子井戸構造の電子状態を用いたものが考え
られている。本発明はこの中で4−3)の半導体量子井
戸構造の電子状態を利用したものに関するものである。
【0008】これまで半導体量子構造の電子状態を利用
したものとしてバレンコ提案(文献1:A.Barenco, D.
Deutsch, and A. Ekert, Phys. Rev. Lett., 74,4083
(1995))がある。これについて説明する。まず、量子井
戸構造とは、図3に示すようにエネルギーギャップの大
きい半導体(たとえばAlGaAs)と小さい半導体(たとえ
ばGaAs)を交互に積層して、エネルギーギャップの小さ
い半導体をエネルギーギャップの大きい半導体によって
はさむことによって、図3に示すように電子およびホー
ルに対して井戸型のエネルギー障壁を設けることで、電
子、ホールをその井戸の中に閉じ込める構造である。こ
の構造は異なった半導体から構成されるので、半導体へ
テロ構造と呼ばれ、2つの半導体の成長界面はへテロ界
面と呼ばれる。
【0009】これは積層方向(z方向)の1次元だけに
閉じ込めた構造であり、電子の自由度はz方向が失われ
るので、2次元の自由度を持ち、2次元半導体または量
子薄膜構造と呼ばれる(図4a)。さらに、もう一次元の
xまたはy方向をエネルギーギャップの異なる半導体を
用いて電子を閉じ込めると、自由度をもう一次元分だけ
失うので1次元半導体または量子細線(量子ワイヤー)
構造と呼ばれる(図4b)。z方向のほかに面内の2次
元(xy)方向で、エネルギーギャップの異なる半導体
を用いて電子を閉じ込めると電子はx、y、zのすべて
の方向に自由度を失うので0次元半導体または量子点
(量子ドットまたは量子箱)構造とも呼ばれる(図4
c)。3次元のバルクにくらべて2次元、1次元、0次
元の半導体は低次元量子井戸構造とも呼ばれる。
【0010】量子ドット構造においては、電子を閉じ込
めている井戸の幅(サイズ)を3次元方向とも非常に小
さく(〜数nm)することによってx、y、z方向につ
いてのすべての波動関数が高次の波動関数を持たなくす
ること(高次波動関数をカットオフにする)が可能にな
る。その場合は、一つの量子ドットに一つの電子を閉じ
込めることが可能にできる特長がある。またサイズを選
ぶことによって基底準位と第一励起準位だけしか持たな
いような量子ドット構造を作成することもできる。
【0011】図5にはバレンコの提案を示す。図5(a)
に示すように、2つの幅の異なる量子井戸構造a, bが隣
り合った構造を用意する。特に電子を一つだけ励起制御
するためにこの量子井戸は3次元方向に電子が閉じ込め
られた量子ドットであることが望ましい。その量子井戸
に閉じ込められた井戸aのと井戸bの電子状態|a>、|
b>について、その基底状態を|0>a、|0>b、第一
励起状態を|1>a、|1>bとする。この場合、エネル
ギー準位は図5(b)のようになる。ここで、|0>a
|0>bはaの電子が基底状態にあり、bの電子も基底状
態にある場合、|0>a|1>b はaの電子が基底状態に
あり、bの電子は第一励起状態にある場合、|1>a|0
>bはaの電子が第一励起状態にあり、bの電子が基底状
態にある場合、|1>a|1>bはaの電子が第一励起状
態にあり、bの電子も第一励起状態にある場合である。
【0012】この状態で、|0>bと|1>b のエネル
ギー差E(=hω/2π=hν )に相当する電磁
波をある一定の時間照射(πパルスに相当する時間)す
れば|b>の状態を|0>bから|1>bに、またはその
逆へと入れ替えることができる。これによって回転ゲー
トの操作ができる。しかし、このままでは|a>の状態
に応じて|b>の状態を変化させる制御ノットの動作は
できない。
【0013】バレンコの提案では、量子井戸外の障壁層
の両端の間に電圧(図5(c)Vext)を加えると、図5
cの様に量子井戸のバンド構造が加えられた電界によっ
て傾斜する。量子井戸内では、量子閉じ込め効果によっ
て基底準位と第一励起準位の波動関数はそれぞれ反対側
に偏り、それぞれ逆向きの電気双極子を持つ。このよう
な量子井戸が隣接して存在すると、この電気双極子間の
相互作用によって、双極子の向きが互いに逆向きの|1
>a|0>b、|0>a|1>bは、互いに同じ向きの|0
>a|0>b、|1>a|1>bに比べてエネルギーが小さ
くなる。この相互作用によって、エネルギー準位図は図
5(d)のようになり、|1>a|0>bと|1>a|1
>bとの間のエネルギー差E'は、|0>a|0>bと|
0>a|1>bとの間のエネルギー差E''に比べて大き
くなる。したがって、E'(=hω '/2π=h
ν')に相当する周波数ω'の電磁波を用いて励起す
ることによって、|a>が|1>aの状態のときのみ、|
b>の状態を選択的に反転させることが可能になる。し
かし、この素子を実際の物理系で実現しようとすると、
下記に示すようないくつかの問題および課題があり、そ
の為に、これまでにバレンコの提案を実際の物理系を用
いて実験的に実証した例はない。下記にその課題を示
す。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】従来のバレンコの提案
は、量子井戸構造を用いることによって伝導帯に形成さ
れる量子準位間(サブバンド電子間)の光学遷移を用い
たものである(図3参照)。しかし、サブバンドの電子
状態を利用しているので下記の問題があった。 1)サブバンド内においては、フォノン散乱がデコヒー
レンス要因となる。一般に、サブバンドでの第一励起準
位から基底準位へのエネルギー緩和時間はピコ秒程度と
非常に早く、この早い緩和時間が量子演算には問題とな
る。 2)第一励起準位から基底準位への遷移波長(サブバン
ド間遷移の波長)は、伝導帯での量子井戸の深さ(二つ
の半導体間の伝導体でのエネルギーの不連続値ΔEc)に
よって決まり、GaAsやInP等の半導体を用いた場
合、その波長はおおよそ遠赤外(〜10μm:超長波
長)になる。この場合、100フェムト秒以下で動作す
るフェムト秒レーザ技術がなく、超高速に励起制御する
ことが困難である。 3)量子計算の最大ステップ数Nsは、コヒーレンス項が
指数因子(e)分の1に減衰するデコヒーレンス時間(位
相緩和時間)τを基本ゲートの演算時間Tgで割ったもの
と見積もれる。Nsは少なくとも1000〜10000以上は必要
と考えられる。しかし、上記1)からτは数ピコ秒、
2)からTgもピコ秒程度が限界と考えられNsは10
以下となり、大規模な量子計算に応用することは非常に
困難であった。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、半導体量子構
造の電子状態を利用した量子論理素子に関し、半導体量
子井戸構造中の分極を有する励起子間の分極間相互作用
を利用することを特徴としている。また、本発明は、半
導体量子井戸構造中のスピン偏向した励起子間のスピン
交換相互作用を利用することを特徴としている。また、
本発明の量子論理素子の半導体量子井戸構造は、量子箱
構造、量子細線構造、または量子薄膜構造のいずれかに
することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】サブバンド準位間の電子の緩和時
間は上述したように非常に早い。一方、図3のバンド間
遷移を考えると、バンド間エネルギーに相当するhν
の周波数の光を用いて電子を励起すると、伝導帯に励起
された電子と、励起によって荷電子帯に電子の抜けた穴
(ホール)とから励起子が形成される。この励起子は自
由な電子やホールに比べて安定して存在するので非常に
長いエネルギー緩和時間(数100ピコ秒以上)を有し
ている。またその位相緩和時間も高品質の量子薄膜構造
では10数ピコ秒程度と報告されている。さらに、量子薄
膜や量子細線のヘテロ界面の凹凸を閉じ込めポテンシャ
ルとして弱く閉じ込められた励起子(これを局在励起子
と呼ぶ)は極低温では量子ドットと同じ非常に狭い発光
線幅をもった発光特性を示し、その発光線幅から予想さ
れる位相緩和時間は数10ピコ秒から数100ピコ秒で
ある。すなわち量子薄膜や量子細線の局在励起子や量子
ドットの励起子は非常に長い位相緩和時間(数10ピコ
秒から数100ピコ秒)を有している。
【0017】以上のことから、サブバンド準位間の電子
を用いる代わりに、量子井戸構造のバンド間の励起子を
用いることによって、位相緩和時間は10〜100倍に
なり、上述1)の課題を解決できる。また、バンド間励
起子の波長は、GaAs材料系では800nm付近、I
nP材料系では1.1〜1.5μm付近となり、100
フェムト秒以下のパルスが容易に得られる超短光パルス
レーザ技術や波長変換の対応する波長帯である。特に8
00nm帯においては、パルス幅約5フェムト秒(約2
光サイクル)のレーザも報告されている。これから励起
子を用いることによって上述2)の問題を解決すること
ができる。また、量子ドットの100ピコ秒クラスの位
相緩和時間、5〜100フェムト秒のパルス幅を有する
レーザ技術の双方を用いることによって、量子計算の最
大ステップ数Ns として1000〜10000以上が可能であるこ
とが予想され、3)の問題を解決できる。
【0018】ただし、励起子系は電子系と異なるので、
基底状態と励起状態の選び方、1量子ビットゲート(位
相シフター)と2量子ビットゲート(制御ノットゲー
ト)構成法は以下の様に行う。構成法としては主にA)
分極を持った2つの励起子間の双極子相互作用を用いる
方法、B)スピン偏向した2つの励起子間のスピン交換
相互作用を用いる方法が考えられる。そのうちB)につ
いては(B−1)電子系の量子準位が2つの量子井戸間
で一致しない場合と(B−2)電子系の量子準位が2つ
の量子井戸間で一致する場合の2通りが考えられる。
【0019】まず、A)の構成法について示す。図6
(a)に示すような2つの幅の異なる量子井戸構造a, bが
隣り合った構造を用意する。これらの量子構造は、特に
励起電子を一つだけ励起制御することと、位相緩和時間
が長いという点で、3次元方向に電子が閉じ込められた
量子ドットであることが望ましい。しかし、量子薄膜や
量子細線でも原理的には構成が可能である。まず、電界
を印加しない状態では、電子のエネルギー準位は幅広い
量子井戸の方が幅の狭い方に比べて低くなる。また、ホ
ールのエネルギー準位はこれとは逆に、幅広い量子井戸
の方が幅の狭い方に比べて高くなる。遷移エネルギーに
ついては、幅広い量子井戸aでのEaは幅の狭い量子井戸
bでのEbよりも小さくなる。
【0020】次に、図6(b)に示すように、bからa
の方向に向かって量子井戸に電界をかけると、電子系に
ついては井戸aのエネルギーは上がり、また井戸bのエネ
ルギーは下がり、2つの量子井戸の電子のエネルギーが
一致する共鳴状態にすることができる。この場合、図6
(b)に示すように電子の波動関数は対称準位(低いエ
ネルギーの結合準位)と反対称準位(高いエネルギーの
結合準位)の2つの結合準位と変化する。この結合準位
の波動関数は2つの量子井戸のまたがっていること(非
局在であること)が特長であり、片方の井戸には局在し
ない。一方、ホールのエネルギー準位は、電子とは逆方
向に動きaとbとのホール準位間のエネルギーの差は大
きくなる。この場合はホールは2つの量子井戸間で共鳴
的には結合しないので、それぞれ片方の井戸に局在す
る。
【0021】このとき、aの量子井戸のホールとa,b両方
の井戸にまたがる対称結合準位の電子から構成される励
起子を励起した場合を|1>a、その励起子を励起して
いない場合を|0>aとする。また、bの量子井戸のホ
ールとa,b両方の井戸にまたがる反対称結合準位の電子
から構成される励起子を励起した場合を|1>b、その
励起子を励起していない場合を|0>bとする。この場
合、双極子間相互作用を考えないとエネルギー準位は図
6(c)のようになる。
【0022】これらの励起子は、非局在の電子と局在し
たホールから構成されるので、電子とホールの重心位置
がずれて図6(b)の矢印に示されるような分極(自己
分極)を持っている。ここで、|0>a|0>bはaに励
起子がなく、bにも励起子がない場合、|0>a|1>b
はaに励起子がなく、bに励起子がある場合、|1>a|
0>bはaに励起子があり、bに励起子がない場合、|1
>a|1>bはaに励起子があり、bにも励起子がある場合
である。この状態で、|0>b と |1>b のエネル
ギー差E (=hω/2π)に相当する電磁波をある
一定の時間照射(πパルスに相当する時間)すれば|b
>の状態を|0>bから|1>bに、またはその逆へと入
れ替えることができる。これによって回転ゲートの操作
ができる。
【0023】量子井戸には電界が印加されいているの
で、自己分極が形成され、図6(b)の様に双極子が逆
向きに向いている。2つの独立した励起子に対して、励
起子が逆方向を向いて並んでいる場合は、双極子間相互
作用δ分だけエネルギーが小さくなる。したがって系の
エネルギー準位は図6(d)のようになり、|1>a|0
>bと|1>a|1>bとの間のエネルギー差E'は、|
0>a|0>bと|0>a|1>bとの間のエネルギー差E
に比べて大きくなる。したがって、E'(=hω'
/2π)に相当する周波数ω'の電磁波を用いて励起
することによって、|a>が|1>aの状態のときのみ、
|b>の状態を選択的に反転させることが可能になる。
【0024】この2量子ビットゲートの構成法で、対称
準位と反対称準位の選び方を変えることによって、もう
一つの構成法も考えられる。aの量子井戸のホールとa,b
両方の井戸にまたがる反対称結合準位の電子から構成さ
れる励起子を励起した場合を|1>a、その励起子を励
起していない場合を|0>aとする。また、bの量子井
戸のホールとa,b両方の井戸にまたがる対称結合準位の
電子から構成される励起子を励起した場合を|1>b、
その励起子を励起していない場合を|0>bとして、同
様に1量子ビットゲートと2量子ビットゲートを構成で
きる。ただし、この場合は、Ea1とEb1のエネルギー差
が、Ea1とEb2の差に比べて小さいので、前者の方法より
も選択的に準位を光制御する際に、不利である。しか
し、エネルギー差をうまく選べば2量子ビットの構成は
可能である。
【0025】次に、B)の構成法の内で(B−1)電子
系の量子準位が2つの量子井戸間で一致しない場合につ
いて示す。図7(a)は、スピン交換相互作用を利用した2
量子ビットの構成法の一例である。量子井戸構造は、特
に励起電子を一つだけ励起制御することと、位相緩和時
間が長いという点で、3次元方向に電子が閉じ込められ
た量子ドットであることが望ましい。しかし、量子薄膜
や量子細線でも原理的には構成が可能である。
【0026】量子薄膜の場合はヘビーホールとライトホ
ールが分離しているのでスピン選択励起が可能である
が、量子細線や量子ドットではスピン選択励起の為に、
X、Y方向に比べてZ方向(結晶成長方向)の厚さが薄い
量子細線または量子ドットを積層(z)方向に隣接(結
合)させた構造から構成されている。また双方の量子井
戸のサイズ(厚さWa,Wb:z方向の厚さ)を変えて
エネルギーは選択的に片方を励起できるように若干ずら
してある。また障壁層厚bは、双方の量子井戸間でスピ
ン交換相互作用が生じる距離(数nm以下)に選んであ
る。この場合、制御光として左回りと右回りの円偏光を
用いることと励起光の中心波長を選ぶことで、量子井戸
aで下向きの、量子井戸bで上向きのスピンを持った励起
子を選択励起する。または、その逆に、量子井戸aで上
向きの、量子井戸bでで下向きのスピンを持った励起子
を選択励起する方法も考えられる。以降では前者の場合
を考えるが、後者の場合でも同様に量子論理素子を構成
することが可能である。量子井戸に閉じ込められた電子
状態|a>、|b>について、その励起子がない状態(励
起されていない状態)を|0>a、|0>bとし、それぞ
れ電子が完全に上に励起されてスピン偏向した励起子が
生成された状態を|1>a、|1>bとする。量子井戸a
に下向きの、量子井戸bに上向きのスピン偏向された励
起子が励起されている。この場合、スピン交換相互作用
を考えないとエネルギー準位は図7(b)のようにな
る。ここで、|0>a|0>bはaに励起子がなく、bにも
励起子がない場合、|0>a|1>b はaに励起子がな
く、bに上向きのスピン偏向した励起子がある場合、|
1>a|0>bはaに下向きのスピン偏向した励起子があ
り、bに励起子がない場合、|1>a|1>bはaに下向き
のスピン偏向した励起子があり、bにも上向きのスピン
偏向した励起子がある場合である。この状態で、|0>
b と|1>b のエネルギー差E(=hω/2π)
に相当する電磁波(bで指定されたスピン偏向を励起で
きる右回りまたは左回りの特定の偏向を持った電磁波)
をある一定の時間照射(πパルスに相当する時間)すれ
ば|b>の状態を|0>bから|1>bに、またはその逆
へと入れ替えることができる。これによって回転ゲート
の操作ができる。
【0027】2つの結合量子井戸のスピンを反対に向け
て励起した場合は人工的な励起子分子を形成し、2つの
独立の励起子に比べて系のエネルギーがΔだけ下がる。
したがってスピン交換相互作用を考慮すると、系のエネ
ルギー準位準位は図7(c)となり、|1>a|0>bと|1
>a|1>bとの間のエネルギー差E'は、|0>a|0
>bと|0>a|1>bとの間のエネルギー差Eに比べ
て小さくなる。したがって、E'(=hω'/2π)
に相当する周波数ω'の電磁波を用いて励起すること
によって、|a>が|1>aの状態のときのみ、|b>の
状態を選択的に反転させることが可能になる。
【0028】次にB)の構成法のうちに(B−2)電子
系の量子準位が量子井戸間で一致する場合について示
す。図8(a)は、スピン交換相互作用を利用した2量子
ビットの構成法の一例である。量子井戸構造は、特に励
起電子を一つだけ励起制御ことと、位相緩和時間が長い
という点で、3次元方向に電子が閉じ込められた量子ド
ットであることが望ましい。しかし、量子薄膜や量子細
線でも原理的には構成が可能である。
【0029】量子薄膜の場合はヘビーホールとライトホ
ールが分離しているのでスピン選択励起が可能である
が、量子細線や量子ドットではスピン選択励起の為に、
X、Y方向に比べてZ方向(結晶成長方向)の厚さが薄い
量子細線または量子ドットを積層(z)方向に隣接(結
合)させた構造から構成されている。また双方の量子井
戸のサイズ(厚さWa,Wb:z方向の厚さ)を変えて
エネルギーは選択的に片方を励起できるように若干ずら
してある。双方の量子井戸の距離Wsは量子力学的に結
合可能な距離(数nm以下)に選んである。この場合、
無バイアス時では、図9(a)に示すように双方の量子井
戸のエネルギーは異なる。
【0030】図6の分極を持った2つの励起子間の双極
子相互作用を用いる方法で説明したのと同様に、図8
(b)に示すように、aからbの方向に向かって量子井戸
に電界をかけると、電子系については井戸bのエネルギ
ーは上がり、また井戸aのエネルギーは下がり、2つの
量子井戸の電子のエネルギーが一致する共鳴状態にする
ことができる。この場合、図6(b)に示すように電子
の波動関数は対称準位(低いエネルギーの結合準位)と
反対称準位(高いエネルギーの結合準位)の2つの結合
準位と変化する。この結合準位の波動関数は2つの量子
井戸のまたがっていること(非局在であること)が特長
であり、片方の井戸には局在しない。一方、ホールのエ
ネルギー準位は、電子とは逆方向に動きaとbとのエネ
ルギーの差は大きくなる。この場合はホールは2つの量
子井戸間で共鳴的には結合しないので、それぞれ片方の
井戸に局在する。このときにaとbの量子井戸に局在し
たホール準位と、結合した非局在の電子の対称結合準位
との間の遷移を考える。ここで対称準位の代わりに非対
称結合準位を用いることも可能であるが以下では対称結
合準位を用いた例を説明する。
【0031】制御光として左回りと右回りの円偏光を用
いることと励起光の中心波長を選ぶことで、量子井戸a
の電子準位について下向きの、量子井戸bの電子準位に
ついて上向きのスピンを持った励起子を選択励起する。
ただし、共鳴結合状態なので電子は非局在なので量子井
戸aの電子準位と量子井戸bの電子状態とは同じエネル
ギーのであるがスピンの方向が異なる準位を指してい
る。または、その逆に、量子井戸aの電子準位について
上向きの、量子井戸bの電子準位について下向きのスピ
ンを持った励起子を選択励起する方法も考えられる。以
降では前者の場合を考えるが、後者の場合でも同様に量
子論理素子を構成することが可能である。
【0032】量子井戸に閉じ込められた電子状態|a
>、|b>について、その励起子がない状態(励起され
ていない状態)を|0>a、|0>bとし、それぞれ電子
が完全に上に励起されて量子井戸aに下向きのスピン偏
向した励起子が生成された状態を|1>a、量子井戸bに
上向きのスピン偏向された励起子が生成された状態を|
1>bとする。この場合、スピン交換相互作用を考える
と、エネルギー準位は図8(c)のようになる。ここ
で、|0>a|0>bはaに励起子がなく、bにも励起子が
ない場合、|0>a|1>b はaに励起子がなく、bに上
向きのスピン偏向した励起子がある場合、|1>a|0
>bはaに下向きのスピン偏向した励起子があり、bに励
起子がない場合、|1>a|1>bはaに下向きのスピン
偏向した励起子があり、bにも上向きのスピン偏向した
励起子がある場合である。この状態で、|0>b と|
1>b のエネルギー差E(=hω/2π)に相当す
る電磁波(bで指定されたスピン偏向を励起できる右回
りまたは左回りの特定の偏向を持った電磁波)をある一
定の時間照射(πパルスに相当する時間)すれば|b>
の状態を|0>bから|1>bに、またはその逆へと入れ
替えることができる。これによって回転ゲートの操作が
できる。
【0033】2つの結合量子井戸のスピンが反対に向い
て励起した場合は人工的な励起子分子を形成し、2つの
独立の励起子に比べて系のエネルギーがΔだけ下がる。
したがって、スピン交換相互作用を考慮すると、系のエ
ネルギー準位は図8(d)となり、|1>a|0>bと|1
>a|1>bとの間のエネルギー差E'は、|0>a|0
>bと|0>a|1>bとの間のエネルギー差Eに比べ
て小さくなる。したがって、E'(=hω'/2π)
に相当する周波数ω'の電磁波を用いて励起すること
によって、|a>が|1>aの状態のときのみ、|b>の
状態を選択的に反転させることが可能になる。励起子を
用いることにより、デコヒーレンス要因が減少し、非常
に長い位相緩和時間が得られる。また、励起子の波長帯
はGaAs系では800nm付近、InP系では1.1
〜1.5μm付近となり、100フェムト秒以下のパル
スが容易に得られる超短光パルスレーザ技術の対応する
波長帯である。従って超短パルスを用いて基本ゲート演
算を100フェムト秒程度の極短時間で行なえる。以上
より、長いデコヒーレンス時間(位相緩和時間)と非常
に短い基本ゲート演算時間から、量子計算の最大ステッ
プ数Nsは1000〜10000以上にすることができ
る。
【0034】
【実施例】励起子を用いた量子論理素子は基本的に図
6、図7、図8に示すようなエネルギーバンドをもった
隣接した低次元構造から構成される。図4(a)(b)
(c)は、それぞれ隣接した量子井戸、量子細線、量子
ドット(点)構造の斜視図である。隣接しているのはい
ずれも結晶成長方向(z方向)であるが、他の方向に隣
接させることも可能である。図4(a)の量子井戸構造部
のみの斜視図であり、図4(b)および図4(c)は、そ
れぞれ量子細線および量子ドットの模式的斜視図であ
る。図4(b)および(c)においてGaAs量子細線
およびGaAs量子ドット以外の部分はAlGaAs障
壁層である。または、GaAs,AlGaAs,InGaAs,InAs,InP,In
GaAsP,InAlGaAsのいずれかの材料の2つまたは3つを選
びバンドギャップの狭い材料を井戸としバンドギャップ
の広い材料を障壁とすることにより、これらの材料系で
も構成が可能である。
【0035】図9に本発明の量子論理素子の作成法の一
例を示す。半導体基板上に量子井戸層と障壁層を交互に
成長することによって隣接した量子井戸構造を形成す
る。これによって量子井戸方の量子論理素子ができる。
つづいて 、リソグラフィによって、マスクを形成し、
エッチングして図示するような隣接した量子細線構造を
形成する。これによって、量子細線型の量子論理素子が
できる。さらに、この量子細線構造を細線と直角方向に
再度エッチングすると、隣接する量子ドットが得られ
る。これによって量子ドット型の量子論理素子ができ
る。
【0036】図10は隣接する量子構造の他の作製法を
説明するもので、傾斜基板上に量子細線材料と障壁材料
を交互に成長して、多重結合量子細線構造を形成する。
この隣接する量子細線構造を細線と直角方向にエッチン
グすれば、隣接する量子ドット構造が得られる。
【0037】図11は量子細線構造の更に他の作成方法
を説明する図である。まず、半導体基板21にV溝28
を形成し、このV溝内に量子井戸層29と障壁層30を
交互に成長させて隣接する量子細線を形成する。また、
V溝の変わりに、結晶面方位を選んで三角錘のみぞを形
成し、その中に量子井戸層と障壁層を交互に成長するこ
とによって隣接する量子ドット構造が得られる。これに
よって量子ドット型の量子論理素子ができる。
【0038】図12は、量子ドット構造の更に他の作成
方法である。まず、半導体基板上に矩形のマスクを形成
し、それ以外の部分をエッチングして、マスクをはずし
たあとは半導体テラスが形成される。次に自己形成結晶
成長法を用いて、テラスの上に1つだけの量子ドット構
造を形成する。この上に障壁層を積むと、量子ドット構
造の上だけに歪が残り、次に自己形成結晶成長法を用い
て量子ドットを形成すると下の量子ドットの丁度上に、
障壁層を介して量子ドットを形成できる。障壁層の成長
と量子箱の自己形成を繰り返すことによって層厚方向に
隣接する量子ドット構造を形成することができる。これ
をによって量子ドット型の量子論理素子ができる。
【0039】より具体的には、図11の方法でGaAs
基板上にV溝を形成し、その上にGaAsバッファ層、
AlGaAsバッファ層を形成し、さらに、GaAs量
子細線(量子井戸)層、AlGaAs障壁層を交互にn
層成長させ、V溝の底部に厚さ5nm、幅30nm(実
効幅15nm)の極微細なn層の量子細線と厚さ数nm
の障壁層からなる隣接した多層の量子細線構造を作成し
た。
【0040】図13には、具体的な量子論理素子の実施
例として量子ドットを用いた実施例を示す。ただし、量
子ドットを量子細線、量子薄膜に置き換えても素子の構
成は可能である。GaAs基板上にエッチングストップ
層(Al組成0.5のGaAlAs)を成長し、その上に
上述した方法によってGaAs/AlGaAs量子箱構
造を形成する。その上にAlGaAsクラディング層を
形成する。
【0041】この表面にCr/Au半透明電極を形成
し、さらに基板側には、円形に穴をあける部分をレジス
ト等でマスクして基板側の電極を形成する。その後に円
形に穴をあける部分をウエットエッチングによってスト
ップエッチ層までエッチングする。以上によって電界印
加が可能な量子ドット構造を埋め込んだ量子論理素子が
作製できる。制御用パルスは、基板に対して角度θ1で
入射し、観測用プローブは角度θ2で入射させる。量子
ドットのサイズをすべて異なって作製することによっ
て、制御光パルスは、その波長を選ぶことによって特定
の量子ドットの電子ーホール対(励起子)を励起するこ
とができる。基本的な量子論理素子の構成と動作は図6
と図7と図8のものと同じである。原理および動作例
は”d 課題を解決する為の手段”と”発明の実施の形
態”のところで示したものと同じである。
【0042】
【発明の効果】従来のバレンコらの提案ではサブバンド
間電子を用いるために、非常に位相緩和時間が短いとい
う問題と、サブバンド遷移波長が遠赤外である為に極超
短光パルスレーザの技術がなく、超高速制御が不可能で
あると言う問題があった。上述した様に、本発明によれ
ば、サブバンド間電子の位相緩和時間が非常に早い問題
は、バンド間の励起子を用いることによって励起子の非
常に長い位相緩和時間を用いることができる。また、従
来のサブバンドで問題である制御光の波長が遠赤外にな
る問題は、バンド間の励起子を用いることによって可視
から赤外の波長を用いることができ、その波長帯では極
超短パルスレーザ技術を用いることが可能になる。よっ
て、デコヒーレンス時間(位相緩和時間)の大幅な増大
と、極超短パルスレーザ技術による基本演算時間の大幅
な短縮が可能になり、以上より、量子計算のステップ数
の大幅な向上が期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】量子論理素子の1量子ビット演算に対応する回
転ゲートを示す図である。
【図2】量子論理素子の2量子ビット演算に対応する制
御ノットゲートを示す図である。
【図3】量子井戸構造のエネルギーバンドを示す図であ
る。
【図4】低次元量子井戸構造を示す図である。(a)が量
子薄膜、(b)が量子細線、(c)が量子ドットを示す図であ
る。
【図5】バレンコが提案した従来の2量子ビットの量子
論理素子の提案例を示す図である。(a)はそのうち電界
を印加しない場合のエネルギーバンド図を示す図であ
る。(b)は双極子間相互作用がない場合の系のエネル
ギー図である。(c)は電界を印加して電子準位を共鳴
結合状態にした場合のエネルギーバンド図を示す図であ
る。(d)は双極子間相互作用がある場合の系のエネル
ギー図である。
【図6】自己分極を有する励起子を用いた2量子ビット
ゲートの構成例を示す図である。(a)はそのうち電界を
印加しない場合のエネルギーバンド図を示す図である。
(b)は電界を印加して電子準位を共鳴結合状態にした
場合のエネルギーバンド図を示す図である。(c)は双
極子間相互作用がない場合の系のエネルギー図である。
(d)は双極子間相互作用がある場合の系のエネルギー
図である。
【図7】スピン選択励起した励起子を用いた2量子ビッ
トゲートの構成法の内で、電子系の量子準位が2つの量
子井戸間で一致しない場合についての構成例を示す図で
ある。(a)はそのうちエネルギーバンド図を示す図であ
る。(b)はスピン交換相互作用がない場合の系のエネ
ルギーを示す図である。(c)はスピン交換相互作用が
ある場合の系のエネルギー図である。
【図8】スピン選択励起した励起子を用いた2量子ビッ
トゲートの構成法の内で、と電子系の量子準位が2つの
量子井戸間で一致する場合についての構成例を示す図で
ある。(a)はそのうちバイアスをしない初期状態のエネ
ルギーバンド図を示す図である。(b)はバイアスを印加
して電子系の量子準位を2つの量子井戸間で一致させた
場合のエネルギーバンド図を示す図である。このエネル
ギー準位を使って(d)の量子論理動作が可能になる。
(c)はスピン交換相互作用がない場合のエネルギーを
示す図である。(d)はスピン交換相互作用がある場合
のエネルギー図である。
【図9】マスクを用いてエッチングによって低次元量子
構造を作製する方法を示す図である。
【図10】ステップ状の基盤の上に低次元量子井戸を作
製する方法である。
【図11】形状基板(たとえはV溝基板)上に低次元量
子井戸を作製する方法である。
【図12】テラスを形成した基板上に自己形成法によっ
て量子箱を作製する方法である。
【図13】量子論理素子の実施例を示す図である。(a)
は素子構造を示し、(b)は結合量子井戸(一例として量
子ドット)の拡大図を示す。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体量子構造の電子状態を利用した量
    子論理素子において、半導体量子井戸構造中の分極を有
    する励起子間の分極間相互作用を利用することを特徴と
    する励起子を用いた量子論理素子。
  2. 【請求項2】 半導体量子構造の電子状態を利用した量
    子論理素子において、半導体量子井戸構造中のスピン偏
    向した励起子間のスピン交換相互作用を利用することを
    特徴とする励起子を用いた量子論理素子。
  3. 【請求項3】 前記半導体量子井戸構造は、量子箱構
    造、量子細線構造、または量子薄膜構造のいずれかであ
    る請求項1又は2に記載の量子論理素子。
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