JP2003106192A - 内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents

内燃機関の燃料噴射制御装置

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JP2003106192A
JP2003106192A JP2001298017A JP2001298017A JP2003106192A JP 2003106192 A JP2003106192 A JP 2003106192A JP 2001298017 A JP2001298017 A JP 2001298017A JP 2001298017 A JP2001298017 A JP 2001298017A JP 2003106192 A JP2003106192 A JP 2003106192A
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fuel
fuel injection
deposit
internal combustion
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JP2001298017A
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Kiyoshi Fujiwara
清 藤原
Akira Hasegawa
亮 長谷川
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Toyota Motor Corp
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Toyota Motor Corp
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 インジェクタに付着するデポジットの生成を
十分に抑制する。 【解決手段】 機関回転数Neに対する平均有効圧Pm
eとをもとに、デポジットが生成しやすいデポジット生
成領域Sを予め規定しておく(ステップ110)。機関
運転状態に応じて設定された噴射条件が、このデポジッ
ト生成領域にある時間を積算し(ステップ114)、所
定の積算値Taを越えた場合には、分割パイロット噴射
から単発パイロット噴射に変更し、インジェクタの動作
頻度を抑えると共に、インジェクタ内を流れる燃料の流
速を高める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コモンレール式の
燃料噴射装置の動作制御を行うことにより、内燃機関の
1燃焼サイクル内において、燃料の主噴射から時間間隔
を経て副噴射を行うようにした内燃機関の燃料噴射制御
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】内燃機関、特にディーゼルエンジンの燃
料噴射装置として、共通の高圧燃料管から各気筒毎に設
けられた噴射ノズルに燃料を分配するコモンレール式の
燃料噴射装置が知られている。そして、このような燃料
噴射装置を用いて、各気筒の1燃焼サイクル内におい
て、主噴射から時間間隔を隔ててパイロット噴射などの
副噴射を行うことにより、燃焼圧力の急激な立ち上がり
を軽減して、燃焼騒音の抑制やすすを低減させる内燃機
関の燃料噴射制御装置が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】例えば特開平9−15
1770号には、副噴射を多段に分割して実行する燃料
噴射制御が開示されており、燃料噴射弁の噴孔近傍にデ
ポジットが付着した場合に燃料噴射量を補正すること
で、機関運転状態に応じた所望の燃料量を噴射できるこ
とが開示されている。
【0004】しかし、この特開平9−151770号に
は、燃料噴射弁の噴孔近傍に、ある程度のデポジットが
付着した後の制御処理が開示されており、噴孔近傍にデ
ポジットが徐々に付着堆積していく過程でも、燃料噴射
弁の噴射性能が少しずつ変化するため、この間、正確な
噴射量制御が実施できないおそれがある。
【0005】このような観点より、デポジットを噴孔近
傍に付着させないことが重要であるとの認識により、本
発明は、燃料噴射弁の噴孔近傍に対する、デポジットの
付着を十分に抑制することができる内燃機関の燃料噴射
制御装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで、請求項1にかか
る内燃機関の燃料噴射制御装置は、内燃機関の1燃焼サ
イクル内において、燃料の主噴射から時間間隔を経て副
噴射を行うように、燃料噴射弁の動作制御を行う内燃機
関の燃料噴射制御装置であって、副噴射を複数回に分割
して噴射する分割副噴射と主噴射との噴射条件を、機関
運転状態をもとに設定する第1設定手段と、機関回転数
と燃料噴射圧力とで規定される所定の範囲を、燃料噴射
弁にデポジットを生成し得る生成領域として予め規定し
ており、第1設定手段で設定された噴射条件が、この生
成領域内であるか否かを、このときの機関回転数に応じ
て判定する判定手段と、判定手段によって噴射条件が生
成領域内であると判定される間における、機関運転時間
又は機関走行距離の少なくとも一方を積算する積算手段
と、積算手段の積算結果が所定のしきい値を越えた場合
に、第1設定手段で設定された分割副噴射の分割回数を
より少ない回数に変更して、主噴射及び副噴射の各噴射
条件を設定する第2設定手段とを備えて構成する。
【0007】デポジットが生成しやすい生成領域は、予
め実験的に把握することができ、この生成領域を機関回
転数と燃料噴射圧力で規定しておく。そして、この生成
領域に該当する条件での噴射が、何時間或いはどの程度
の走行距離に亘って行われたのかを積算手段によって積
算する。この積算結果が所定のしきい値を越えた場合
に、第2設定手段によって、分割副噴射の分割回数をよ
り少ない回数に変更する。これは、燃料噴射弁のノズル
先端部の温度が高いほど、デポジットの堆積傾向が大と
なることから、分割副噴射の回数を減少させることで、
燃料噴射弁の作動頻度が減少して、ノズル先端部の温度
が上昇することが抑えられる。
【0008】請求項2にかかる内燃機関の燃料噴射制御
装置は、請求項1における内燃機関の燃料噴射制御装置
において、第2設定手段では、副噴射として、主噴射に
先立って圧縮行程中に1回のみ燃料噴射を実行する単発
副噴射を設定する。
【0009】燃料噴射弁のノズルを通過する燃料の流量
が小さい場合にも、デポジットが生成しやすい。そこ
で、副噴射を分割せずに1回にまとめて噴射することに
より、燃料噴射弁のノズルを通過する燃料の流量を大と
して、デポジットの生成を抑制する。
【0010】請求項3にかかる内燃機関の燃料噴射制御
装置は、請求項2における内燃機関の燃料噴射制御装置
において、第2設定手段で変更した噴射条件が、生成領
域内であるか否かを、このときの機関回転数に応じて再
度判定する再判定手段と、再判定手段によって噴射条件
が生成領域内であると判定される間における、機関運転
時間又は機関走行距離の少なくとも一方を再度積算する
再積算手段と、再積算手段の積算結果が所定のしきい値
を越えた場合に単発副噴射を禁止すると共に、この単発
副噴射を禁止した場合における主噴射の噴射条件を設定
する第3設定手段とをさらに備えて構成する。
【0011】第2設定手段によって、分割副噴射を単発
副噴射に切り換えることで、デポジットがより生成し難
い条件に変更したが、変更した噴射条件下において、さ
らに、再判定手段及び再積算手段によって、デポジット
の生成領域か否かの判定と、その間の時間又は距離を積
算する。そして、この積算結果が再び所定のしきい値を
越えた場合には、第3設定手段によって、単発副噴射を
禁止して主噴射の噴射条件を設定する。これにより、燃
料の噴射時期を1回にまとめられるため、一回の燃料噴
射量が増大すると共に、燃料噴射弁の作動頻度も減少す
るので、デポジットの生成がより抑制される。
【0012】請求項4にかかる内燃機関の燃料噴射制御
装置は、請求項3における内燃機関の燃料噴射制御装置
において、第3設定手段で設定された主噴射の噴射条件
をもとに、排気行程上死点付近で燃料を噴射する排気上
死点噴射を実行するか否かを判定し、排気上死点噴射を
実行すると判定した場合に、主噴射及び排気上死点噴射
の噴射条件を設定する第4設定手段をさらに備えて構成
する。
【0013】第3設定手段によって、燃料の噴射時期を
主噴射の1回にまとめると、主噴射のみでは、騒音が増
加したり失火の懸念が増す場合もおこり得る。このよう
な場合には、第4設定手段によって、より着火しやす
く、かつ騒音も抑制できる燃焼環境を作るべく、排気上
死点噴射を実行することとし、この場合、第4設定手段
では排気上死点噴射の噴射条件を設定すると共に、この
排気上死点噴射を考慮した主噴射の噴射条件も設定す
る。
【0014】請求項5にかかる内燃機関の燃料噴射制御
装置は、内燃機関の1燃焼サイクル内において、燃料の
主噴射から時間間隔を経て副噴射を行うように、燃料噴
射弁の動作制御を行う内燃機関の燃料噴射制御装置であ
って、当該内燃機関の運転状態がアイドリング状態の際
に、燃料噴射弁に所定量を超えるデポジットが付着して
いるか否かを判定する判定手段と、判定手段により、燃
料噴射弁に所定量を超えるデポジットが付着していると
判定した場合に、排気行程上死点付近で燃料を噴射する
排気上死点噴射を実行する実行手段とを備えて構成す
る。
【0015】内燃機関の運転状態がアイドリング状態の
際には、例えば多量の排気上死点噴射を実施することも
可能であり、実行手段によってこのような排気上死点噴
射を実行することで、燃料噴射弁に付着したデポジット
が効果的に除去される。
【0016】
【発明の実施の形態】以下の本発明の各実施形態につい
て説明する。
【0017】図1に、後述する各実施形態に共通となる
ディーゼルエンジン(内燃機関)の全体的な構成を概略
的に示す。エンジン本体1は4つの気筒が一列に配置さ
れており、サージタンク2に連通する4本の吸気管3を
介して各気筒に吸入空気が供給される。一方、エンジン
の排気系には各気筒から排気される排気ガスを集合させ
る排気マニホールド5が設けられており、排気マニホー
ルド5には排気管6が接続されている。排気管6の途中
にはHCの存在下で排気ガス中のNOxを還元浄化する
NOx触媒を備えるNOx還元触媒7が設けられてい
る。NOx触媒は所定量のHCの存在下でNOxとHC
とを選択的に反応させる性質を持っており、例えば金属
を担持したゼオライトで構成されるものを用いることが
できる。
【0018】各気筒には燃料を噴射するインジェクタ
(燃料噴射弁)4が設けられており、各インジェクタ4
は、燃焼供給管9を介して、コモンレール8と呼ばれる
高圧燃料蓄圧室に接続されており、コモンレール8から
各インジェクタ4に高圧燃料が供給される機構となって
いる。各インジェクタ4はECU(Electronic Control
Unit)100の制御信号に基づき、所定の時期にインジ
ェクタ4内部のニードル弁を開弁させることによって、
この開弁時間とコモンレール8の燃料圧力とに応じた所
定量の燃料を、各気筒内に噴射する。
【0019】また、高圧ポンプ11は、燃料タンク内に
蓄えられた燃料をコモンレール8内に供給するポンプで
あり、例えばエンジンのクランク軸の回転力を用いて駆
動されると共に、コモンレール8への燃料の供給量を、
コモンレール8内の燃料圧力に応じて変化させることが
できる機構となっている。
【0020】図2に示すように、ECU100は、互い
に接続された入力インターフェイス110、CPU12
0、RAM130、ROM140、出力インターフェイ
ス150を備えた電子制御ユニットとして構成してお
り、入力インターフェイス110には、機関回転数及び
クランク軸の回転角を検出するクランク角センサ20、
アクセルペダルの踏み込み量となるアクセル開度に応じ
た信号を出力するアクセル開度センサ22、コモンレー
ル8の燃料圧力を検出するコモンレール圧センサ24、
吸入空気の圧力を検出する吸気圧センサ26、吸気側カ
ムシャフト(図示せず)のカム角度を検出するカム角セ
ンサ28、機関冷却水の水温を検出する水温センサ3
0、吸入空気の温度を検出する吸気温センサ32などの
各種センサの検出結果などが入力される。そして、入力
インターフェイス110に与えられた各信号は、必要に
応じて変換されてCPU120に送られ、CPU120
ではこれらの各信号や、RAM130、ROM140等
に記憶されている制御処理プログラムや各種データをも
とに、燃料の噴射量、噴射時期、圧力などの制御値を演
算する。演算された制御信号は出力インターフェイス1
50で適切な信号に変換されて高圧ポンプ11や個々の
インジェクタ4等に送られる。なお、吸気側カムシャフ
トには、吸気弁の開閉時期を変更し得る可変バルブタイ
ミング装置60が設けられており、可変バルブタイミン
グ装置60の動作制御もECU100によって実行され
る。
【0021】このようにECU100では、個々のイン
ジェクタ4の動作制御を行って、燃料の噴射量、噴射時
期を制御しており、コモンレール式の燃料噴射制御装置
を構成しているため、各気筒の1燃焼サイクル内に複数
回の燃料噴射を行うことが可能である。そこで、機関出
力トルクを発生させるべく概ね圧縮行程上死点付近で行
われる主噴射とは別に、主噴射から進角側又は遅角側に
時間間隔を隔てて副噴射を行うようにしている。副噴射
としては、パイロット噴射(前噴射)、ポスト噴射(後
噴射)、HC供給用噴射、排気上死点噴射が挙げられ
る。
【0022】パイロット噴射は主噴射に先立って少量の
燃料を噴射する副噴射であり、例えば圧縮上死点前(以
下、「圧縮上死点前」を「BTDC」と記す)70°〜
0°クランク角(以下、「クランク角」を「CA」と記
す)程度で行われる。主噴射に対する時期的間隔が大き
いときには予混合気を形成し、小さいときには主噴射に
よって噴射された燃料を着火燃焼させるための着火源を
形成する。なお、このパイロット噴射は、複数回に分け
て実行することも可能であり、従って予混合気形成用の
パイロット噴射と着火源形成用のパイロット噴射との双
方の噴射を行うこともできる。
【0023】ポスト噴射は燃焼ガス又は排気ガス中のH
Cを完全燃焼させて機関から排出されるすすを低減する
ため、主噴射が完了した後に行われる副噴射である。こ
のポスト噴射は燃焼室内に燃焼火炎が残存している間に
行われるのが好ましく、例えば主噴射完了後のBTDC
0°〜−30°CA(圧縮上死点後0°〜30°CA)
程度に行われる。
【0024】HC供給用噴射は、NOx還元触媒7に還
元剤としてHC(炭化水素)を供給するための副噴射で
あり、例えばBTDC−150°〜−210°CA程度
に行われる。HC供給用噴射による燃料は完全燃焼する
ことなく、NOx還元触媒7に到達し、流入するNOx
を還元する。
【0025】排気上死点噴射は、吸入空気と噴霧燃料と
の予混合時間を十分に確保して予混合を促進させるた
め、排気行程の上死点付近となる、BTDC320°〜
340°CA程度に行われる副噴射である。また、排気
上死点噴射は、ピストンが上死点付近に現れた際に噴射
するため、噴射された燃料が気化せずに液状のまま直接
気筒の内壁面に到達して、気筒内壁面の潤滑油膜を洗い
流してしまう、いわゆるボアフラッシングの発生を十分
に低減させることができる。従って、例えば機関回転数
が4000rpm程度の高い回転数になると、パイロッ
ト噴射を分割して実行しても許容レベル以上の噴霧燃料
がシリンダボアに衝突する場合があり、このような場合
には、副噴射の噴射タイミングとして、前述したパイロ
ット噴射に加えて排気上死点噴射も含められ、それぞれ
の噴射時期や噴射量が設定される。なお、排気上死点噴
射も分割して実行することも可能である。
【0026】各種の副噴射が行われるか否かは、機関の
運転状態に応じて定められ、各種副噴射の噴射時期、噴
射量の設定処理は、ECU100で実行される。
【0027】インジェクタ4のノズル先端部にデポジッ
トが付着堆積する場合があるが、ECU100では、こ
のデポジットの生成を抑制するような次のような燃料噴
射制御を実行している。
【0028】図3に、デポジットの生成を抑制する燃料
噴射の制御処理例を示す。なお、図3で示す制御ルーチ
ン1は所定時間毎の割り込みによって実行される。
【0029】まずステップ102では、機関回転数Ne
とアクセル開度Accpとを読み込む。ROM140に
は、機関出力トルクを要求トルクに一致させるために最
適な燃料噴射時期が、機関回転数Neとアクセル開度A
ccpとから得られるマップの形で記憶されており、こ
のときの機関回転数Neとアクセル開度Accpとから
該当する主噴射の燃料噴射時期を読み込む。またROM
140には、機関回転数Neとアクセル開度Accpと
に応じて、1組の(主噴射の噴射量Q、噴射圧力PC)
が予め規定された(Q、PC)マップが記憶されてお
り、続くステップ104では、ステップ102で読み込
んだ関回転数Neとアクセル開度Accpとをもとに、
(Q、PC)マップから主噴射の噴射量(噴射時間)Q
と主噴射の噴射圧力PCを設定する。また、ここで設定
された噴射圧力PCは、後述する分割パイロット噴射
(分割副噴射)の燃料噴射圧力として、そのまま設定さ
れる。
【0030】また、ROM140には、噴射量Qと機関
回転数Neとに応じて、分割パイロット噴射の噴射回数
と、個々の分割パイロット噴射の噴射時期と噴射量が規
定されたマップが予め記憶されており、ステップ106
では、主噴射の噴射量Qと機関回転数Neとをもとに、
このマップから対応する分割パイロット噴射の噴射条件
をそれぞれ設定する。
【0031】このようにして各噴射条件を設定した後、
ステップ107に進み、主噴射の噴射量の補正処理を実
行する。ステップ104で設定した主噴射の噴射量は、
分割パイロット噴射が実行されない場合を想定して設定
された噴射量であり、この段階で分割パイロット噴射の
噴射条件が確定したため、主噴射の噴射量Qに対して、
実行する分割パイロット噴射に応じた所定の補正を実行
する。
【0032】そしてステップ108に進み、ステップ1
06で設定した分割パイロット噴射の噴射条件及びステ
ップ107で補正した主噴射の噴射条件に応じた制御信
号を出力インターフェイス150に対して出力し、燃料
噴射を実行させる。
【0033】この後、ステップ110に進み、このルー
チンで設定した噴射条件で燃料噴射を実行した場合に、
インジェクタ4のノズル先端部における噴孔近傍に、デ
ポジットが生成しやすい状況かを判断する。
【0034】インジェクタ4のノズル先端部にデポジッ
トが堆積し易い原因としては、次の2つの要因が挙げら
れる。まず、インジェクタ4のノズル温度が高い場合で
ある。この実施形態で示すように、副噴射としてパイロ
ット噴射を複数回に分割して実施する分割パイロット噴
射を実行する場合などには、インジェクタ4の作動回数
が増加するため、これが原因となってインジェクタ4の
ノズル温度を上昇させ、デポジットを生成させる要因と
なる。もう一つの要因としては、インジェクタ4のノズ
ル内を流通する燃料の流速が小さい場合である。このよ
うな分割パイロット噴射を実行すると、所定の燃料を複
数回に分けて噴射することになるため、1回の噴射によ
る燃料噴射量が減少して、これがデポジットを生成する
要因ともなる。
【0035】また、図4に示すように、ノズル先端温度
が高いほどHC悪化度が増す傾向があり、インジェクタ
4のノズル内を通過する燃料の流速が高い流速Bに比べ
て、流速が低い流速Aの方が、ノズル先端温度の増加に
対するHC悪化度が大きくなっている。さらに、図5に
示すように、一定条件の分割パイロット噴射を連続して
実行すると、図5の例では経過時間がおよそ5時間を越
えると、次第にHC悪化度が増している。図4や図5の
ような結果となるのは、デポジットの生成が大きく関係
していると考えられ、このことよりデポジットの生成量
とHC悪化度とは強い相関があるといえる。
【0036】このような関係を考慮して、本実施形態に
適用する内燃機関に関して、デポジットが生成し易い状
況を予め実験的に求めることができ、その結果を図6に
示す。図6は機関回転数Neに対する平均有効圧Pme
を示しており、噴射量限界線Lの下側にあって、斜線で
示す領域がデポジットの生成領域Sである。機関回転数
Neと平均有効圧Pmeとの関係が、この領域内にある
状況下でデポジット生成しやすいことが実験的に求めら
れた。
【0037】そこで、ステップ110では、平均有効圧
Pmeは出力トルクの排気量換算値であるため、例えば
今回のルーチンで設定された1燃焼サイクルにおける総
燃料噴射量をもとに平均有効圧Pmeを算出するととも
に、このときの機関回転数Neと算出した平均有効圧P
meをもとに、今回のルーチンで設定した噴射条件が図
6におけるデポジットの生成領域S内にあるか否かを判
断する。
【0038】今回のルーチンで設定した噴射条件がデポ
ジットの生成領域Sの外側にある場合には、ステップ1
10で「No」と判断されてステップ112に進み、後
述する経過時間の積算値Taが設定中であるかが判断さ
れるが、この時点では積算値Ta=0であって未設定で
あるため、「No」と判断されて、このままこのルーチ
ンを終了する。
【0039】これに対し、今回のルーチンで設定した噴
射条件がデポジットの生成領域S内にある場合には、ス
テップ110で「Yes」と判断されてステップ114
に進み、噴射条件が生成領域S内である間の経過時間
(機関運転時間)をタイマで計時し、この間の経過時間
の積算値Taを算出する。
【0040】続くステップ116では、ステップ114
で算出した積算値Taが所定のしきい値T1(例えばT
1=1時間)より短い時間であるかを判断し、「Ye
s」の場合には、このままこのルーチンを終了する。
【0041】次のルーチンにおけるステップ110にお
いて、設定した噴射条件がデポジットの生成領域S内に
ある場合には、ステップ114に進み、この間の経過時
間を前回のルーチンで算出した積算値Taに加えて積算
値Taの値を更新する。
【0042】これに対し、設定した噴射条件がデポジッ
トの生成領域Sの領域外にある場合には、ステップ11
0からステップ112に進み、経過時間の積算値Taが
設定中であるため、「Yes」と判断されてステップ1
18に進む。
【0043】そしてステップ118では、このルーチン
で設定した噴射条件が、インジェクタ4のノズル先端部
に堆積しつつあるデポジットを除去させ得るキャンセル
領域内となる噴射条件であるかが判断される。
【0044】例えば機関運転状態が高負荷の場合には、
短時間に多量の燃料がインジェクタ4から噴出されるた
め、インジェクタ4のノズル先端部にデポジットが生成
・堆積していた場合であっても、この多量の燃料噴射に
よってデポジットが除去される。したがってこの実施形
態では、図6のグラフに示すように、平均有効圧Pme
が所定のしきい値Pmethより大きい領域を、このよう
にしてデポジットが除去され得るキャンセル領域として
規定しており、このルーチンで設定した噴射条件が、こ
のキャンセル領域内の噴射条件であるかを判断する。
【0045】この判断より、キャンセル領域外の噴射条
件である場合には、ステップ118で「No」と判断さ
れてこのルーチンを終了するが、キャンセル領域内の場
合には「Yes」と判断されてステップ120に進み、
生成したデポジットが除去されたため、デポジットの生
成領域S内となる機関運転時間の積算値Taをゼロにリ
セットして、このルーチンを終了する。
【0046】一方、この積算値Taがゼロにリセットさ
れない状況が続くと、次第に積算値Taが増加してい
き、この積算値Taが所定のしきい値T1を越えると、
ステップ116で「No」と判断されて、ステップ12
2に進み、以下に説明する制御ルーチン2を起動させ
る。そして、続くステップ124では、この後、後述す
る起動要求があるまで、この制御ルーチン1の起動を禁
止する起動禁止処理を実行し、続くステップ126で積
算値Taをゼロにリセットして、このルーチンを終了す
る。
【0047】なお、図3のフローチャートでは、噴射条
件がキャンセル領域にある場合には(ステップ118で
「Yes」)、直ちにデポジットが除去されたものとし
て判断したが、たとえば、キャンセル領域内となる噴射
条件が所定時間継続した場合に、デポジットが除去され
たものとして判断してもよい。
【0048】このように制御ルーチン1の制御の下で、
分割パイロット噴射を実施していたが、デポジットの生
成領域S内での機関運転の積算時間がしきい値T1を越
えて長くなったため、次の制御ルーチン2ではデポジッ
トの生成を抑制する制御を実行する。この制御ルーチン
2では、パイロット噴射を複数回に分割して実施する分
割パイロット噴射から、パイロット噴射を1回だけ実施
する単発パイロット噴射に切り換える。このように単発
パイロット噴射に切り換えることで、パイロット噴射の
燃料噴射時期が1回にまとまるため、一回の燃料噴射量
が増大してインジェクタノズル内を流通する燃料の流速
が高められると共に、インジェクタの作動頻度も減少す
るので、デポジットの生成がより抑制される。
【0049】図7に制御ルーチン2のフローチャートを
示す。なお、この制御ルーチン2は、制御ルーチン1の
起動が禁止されている間、所定時間毎の割り込みによっ
て実行される。
【0050】まず、ステップ202では、機関回転数N
eとアクセル開度Accpとを読み込み、続くステップ
204では、ステップ202で読み込んだ関回転数Ne
とアクセル開度Accpとをもとに、主噴射の噴射時期
を設定するとともに、前述した(Q、PC)マップから
主噴射の噴射量(噴射時間)Qと主噴射の噴射圧力PC
を設定する。また、ここで設定された噴射圧力PCは、
後述する単発パイロット噴射(単発副噴射)の燃料噴射
圧力として、そのまま設定される。
【0051】また、ROM140には、噴射量Qと機関
回転数Neとに応じて、単発パイロット噴射の噴射時期
と噴射量が規定されたマップが予め記憶されており、ス
テップ206では、主噴射の噴射量Qと機関回転数Ne
とをもとに、このマップから対応する単発パイロット噴
射の噴射条件を設定する。
【0052】このようにして各噴射条件を設定した後、
ステップ207に進み、主噴射の噴射量の補正処理を実
行する。ステップ204で設定した主噴射の噴射量は、
単発パイロット噴射が実行されない場合を想定して設定
された噴射量であり、この段階で単発パイロット噴射の
噴射条件が確定したため、主噴射の噴射量Qに対して、
実行する単発パイロット噴射に応じた所定の補正を実行
する。
【0053】そしてステップ208に進み、ステップ2
06で設定した単発パイロット噴射の噴射条件及びステ
ップ207で補正した主噴射の噴射条件に応じた制御信
号を出力インターフェイス150に対して出力し、燃料
噴射を実行させる。
【0054】この後、ステップ210に進み、このルー
チンで設定した噴射条件で燃料噴射を実行した場合に、
インジェクタ4のノズル先端部にデポジットが生成しや
すい状況かを判断する。この判断は、制御ルーチン1の
ステップ110と同様に実施して、今回のルーチンで設
定した噴射条件が図6におけるデポジットの生成領域S
内にあるか否かを判断する。
【0055】今回のルーチンで設定した噴射条件がデポ
ジットの生成領域Sの外側にある場合には、ステップ2
10で「No」と判断されてステップ212に進み、後
述する経過時間の積算値Tbが設定中であるかが判断さ
れるが、この時点では積算値Tb=0であって未設定で
あるため、「No」と判断されて、このままこのルーチ
ンを終了する。
【0056】これに対し、今回のルーチンで設定した噴
射条件がデポジットの生成領域S内にある場合には、ス
テップ210で「Yes」と判断されてステップ214
に進み、噴射条件が生成領域S内である間の経過時間
(機関運転時間)をタイマで計時し、この間の経過時間
の積算値Tbを算出する。
【0057】続くステップ216では、ステップ214
で算出した積算値Tbが所定のしきい値T2(例えばT
2=1時間)より短い時間であるかを判断し、「Ye
s」の場合には、このままこのルーチンを終了する。
【0058】次のルーチンにおけるステップ210にお
いて、設定した噴射条件がデポジットの生成領域S内に
ある場合には、ステップ214に進み、この間の経過時
間を前回のルーチンで算出した積算値Tbに加えて積算
値Tbの値を更新する。
【0059】これに対し、設定した噴射条件がデポジッ
トの生成領域Sの領域外にある場合には、ステップ21
0からステップ212に進み、経過時間の積算値Tbが
設定中であるため、「Yes」と判断されてステップ2
18に進む。
【0060】そしてステップ218では、このルーチン
で設定した噴射条件が、インジェクタ4のノズル先端部
に堆積しつつあるデポジットを除去させ得るキャンセル
領域内となる噴射条件であるかが判断される。この判断
も制御ルーチン1のステップ118と同様に、このルー
チンで設定した噴射条件から得られる平均有効圧Pme
が、しきい値Pmethよりも大きいキャンセル領域かを
判断する(図6参照)。
【0061】この判断より、キャンセル領域外の噴射条
件である場合には、ステップ218で「No」と判断さ
れてこのルーチンを終了するが、キャンセル領域内の場
合には「Yes」と判断されてステップ220に進む。
【0062】このようにステップ220に進む場合に
は、蓄積しつつあったデポジットが除去されたことにな
るため、このような場合には、この制御ルーチン2を終
了させて、再び制御ルーチン1によるデポジット堆積状
態の監視を開始する。
【0063】すなわち、ステップ219に進み、再び制
御ルーチン1のステップ122における起動要求がある
まで、この制御ルーチン2の起動を禁止する起動禁止処
理を実行し、続くステップ220で積算値Tbをゼロに
リセットする。そして、ステップ221に進み、再び制
御ルーチン1を起動させる処理を実行した後、このルー
チンを終了する。
【0064】一方、この積算値Tbがゼロにリセットさ
れない状況が続くと、次第に積算値Tbが増加してい
き、この積算値Tbが所定のしきい値T2を越えると、
ステップ216で「No」と判断されて、ステップ22
2に進み、以下に説明する制御ルーチン3を起動させ
る。そして、続くステップ224では、この後、再び制
御ルーチン1のステップ122における起動要求がある
まで、この制御ルーチン2の起動を禁止する起動禁止処
理を実行し、続くステップ226で積算値Tbをゼロに
リセットして、このルーチンを終了する。
【0065】なお、図7のフローチャートでは、噴射条
件がキャンセル領域にある場合には(ステップ218で
「Yes」)、直ちにデポジットが除去されたものとし
て判断したが、たとえば、キャンセル領域内となる噴射
条件が所定時間継続した場合に、デポジットが除去され
たものとして判断してもよく、この継続時間も制御ルー
チン1の場合に比べて、より長い時間を設定してもよ
い。
【0066】このように制御ルーチン2の制御の下、デ
ポジットの生成・堆積を抑制するために単発パイロット
噴射を実施していたが、デポジットの生成領域S内での
機関運転の積算時間がしきい値T2を越えて長くなった
ため、制御ルーチン3ではデポジットの生成をより抑制
する制御を実行する。この制御ルーチン3では、デポジ
ットの生成を十分に抑制するために、原則として燃料噴
射を主噴射のみに切り換える。燃料噴射を主噴射のみに
切り換えることで、燃料の噴射時期が主噴射の1回のみ
にまとめられるため、一回の燃料噴射量が増大してイン
ジェクタノズル内を流通する燃料の流速が高められると
共に、インジェクタの作動頻度も減少するので、デポジ
ットの生成がより抑制される。
【0067】図8に制御ルーチン3のフローチャートを
示す。なお、この制御ルーチン3は、制御ルーチン1及
び制御ルーチン2の起動が禁止されている間、所定時間
毎の割り込みによって実行される。
【0068】まず、ステップ302では、機関回転数N
eとアクセル開度Accpとを読み込み、続くステップ
304では、ステップ302で読み込んだ関回転数Ne
とアクセル開度Accpとをもとに、主噴射の噴射時期
を設定するとともに、前述した(Q、PC)マップから
主噴射の噴射量(噴射時間)Qと主噴射の噴射圧力PC
を設定する。また、ここで設定された噴射圧力PCは、
後述する排気上死点噴射の燃料噴射圧力として、そのま
ま設定される。
【0069】続くステップ306では、排気上死点噴射
の実行領域かを判断する。これは、燃料噴射を主噴射の
みとすると、燃焼騒音が増大したり、失火の懸念が高ま
る場合もあるため、このような場合には主噴射に加え
て、排気行程の上死点付近で燃料を噴射する排気上死点
噴射を実行する。これにより、燃焼室内に噴霧燃料と空
気との予混合状態を作り出すことができ、着火しやすい
雰囲気が形成されるため、燃焼騒音が抑制され、着火性
も向上する。
【0070】このような燃焼騒音や失火の問題が生じ得
る機関運転状態としては、例えば図9の斜線で示す領域
のように、機関回転数Neが比較的低く、かつ、燃料噴
射量が多い場合である。そこでステップ306では、こ
のとき設定された主噴射の燃料噴射量と機関回転数Ne
との関係が、図9の斜線で示す領域内にあるか否かを判
断し、この領域内にある場合には、排気上死点噴射を実
行する必要があると判断する。
【0071】主噴射の燃料噴射量と機関回転数Neとの
関係が、図9の斜線で示す領域の外側にある場合には、
ステップ306で「No」と判断されてステップ312
に進み、ステップ304で設定された主噴射の噴射条件
に応じた制御信号を、出力インターフェイス150に対
して出力して燃料噴射を実行させる。
【0072】これに対し、主噴射の燃料噴射量と機関回
転数Neとの関係が、図9の斜線で示す領域内にある場
合には、ステップ306で「Yes」と判断されてステ
ップ308に進み、排気上死点噴射の噴射条件を設定す
る。ROM140には、噴射量Qと機関回転数Neとに
応じて、排気上死点噴射の噴射時期と噴射量が規定され
たマップが予め記憶されており、ステップ308では、
主噴射の噴射量Qと機関回転数Neとをもとに、このマ
ップから対応する排気上死点噴射の噴射条件を設定す
る。
【0073】続くステップ310では、主噴射の噴射量
の補正処理を実行する。ステップ304で設定した主噴
射の噴射量は、排気上死点噴射が実行されない場合を想
定して設定された噴射量であり、この段階で排気上死点
噴射の噴射条件が確定したため、主噴射の噴射量Qに対
して、実行する排気上死点噴射に応じた所定の補正を実
行する。
【0074】そしてステップ312に進み、ステップ3
08で設定した排気上死点噴射の噴射条件及びステップ
310で補正した主噴射の噴射条件に応じた制御信号を
出力インターフェイス150に対して出力し、燃料噴射
を実行させる。
【0075】この後、ステップ314では、平均有効圧
Pmeをもとに、このルーチンで設定した噴射条件が、
インジェクタ4に堆積しつつあるデポジットを除去させ
得るキャンセル領域内となる噴射条件であるかが判断さ
れる(図6参照)。ステップ314で「No」と判断さ
れるとこのままこのルーチンが終了するため、ステップ
314で「No」と判断される間は、デポジットの生成
を十分に抑制させることを目的として燃料噴射が継続し
て実行されることになる。
【0076】この過程でステップ314で「Yes」と
判定された場合、すなわち、平均有効圧Pmeがしきい
値Pmethを越えるような、キャンセル領域内となる噴
射条件が設定された場合には、蓄積しつつあったデポジ
ットが除去されたことになるため、この制御ルーチン3
を終了させて、再び制御ルーチン1によるデポジット堆
積状態の監視を開始する。
【0077】すなわちステップ316に進んで、再び制
御ルーチン2のステップ222における起動要求がある
まで、この制御ルーチン3の起動を禁止する起動禁止処
理を実行する。そして、ステップ318に進み、再び制
御ルーチン1を起動させる処理を実行した後、このルー
チンを終了する。
【0078】なお、図8のフローチャートでは、噴射条
件がキャンセル領域にある場合には(ステップ314で
「Yes」)、直ちにデポジットが除去されたものとし
て判断したが、たとえば、キャンセル領域内となる噴射
条件が所定時間継続した場合に、デポジットが除去され
たものとして判断してもよく、この継続時間も制御ルー
チン1、2の場合に比べて、より長い時間を設定しても
よい。
【0079】次に他の実施形態について説明する。
【0080】このようにインジェクタ4にデポジットが
堆積している状況では、強制的にデポジットを除去する
燃料噴射制御を実行することも可能であり、このような
処理を行う制御ルーチン4について、図10のフローチ
ャートに沿って説明する。なお、制御ルーチン4はイグ
ニションスイッチのオン操作によって起動する。
【0081】まず、ステップ402では、デポジットの
付着・堆積状態が大であるかが判断される。これは、先
に説明した制御ルーチン1,2又は3をもとに判断する
ことができ、制御ルーチン1,2における経過時間の積
算値Ta或いはTbが、所定の積算値を越える場合にデ
ポジットの付着・堆積状態が大であると判断することが
できる。また、制御ルーチン3を実行中の場合には、デ
ポジットの付着・堆積が大であると判断することもでき
る。
【0082】ステップ402で「No」と判断された場
合にはこのルーチンを終了するが、「Yes」と判断さ
れた場合には、ステップ404に進み、機関負荷が無負
荷状態か否かを、駆動車輪と機関出力との間の連結が解
除されているアイドリング状態であるか否かをもとに判
断する。アイドリング状態でない場合にはこのルーチン
を終了するが、アイドリング状態の場合には次のステッ
プ406に進み、予め多量の燃料を噴射するように規定
した排気上死点噴射を開始する。これにより、インジェ
クタ4に付着・堆積したデポジットを効果的に除去する
ことができる。
【0083】そしてステップ408に進んで、所定の表
示ランプを点灯させて、デポジットを除去するための燃
料噴射制御が実行中であることを運転者に知らせる。
【0084】続くステップ410では、この排気上死点
噴射を開始して、予め規定した所定時間が経過したかを
判断し、「No」の場合には再びステップ406以降の
処理を繰り返し実行する。
【0085】そして排気上死点噴射を開始して予め規定
した所定時間が経過した場合には、ステップ410で
「Yes」と判断されてステップ412に進み、表示ラ
ンプを消灯させるなどの所定の終了処理を実行した後、
このルーチンを終了する。
【0086】以上説明した実施形態では、噴射条件がデ
ポジットの生成領域S内である間の経過時間(機関運転
時間)を計測する場合を例示したが、この例に限定する
ものではなく、例えば噴射条件がデポジットの生成領域
S内である間の機関走行距離を計測し、この積算距離が
所定の距離に達した時点で、同様の処理を実行すること
も可能である。
【0087】また、デポジットが生成し易い状況を把握
する際に平均有効圧Pmeを用いたが、例えば燃料噴射
量を用いて判断してもよく、例えば、1回の燃料噴射で
噴射される平均燃料噴射量や、1燃焼サイクルで噴射さ
れる総燃料噴射量などで代用することも可能である。
【0088】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1にかかる
内燃機関の燃料噴射制御装置によれば、デポジットが生
成しやすい生成領域での機関走行時間或いは機関走行距
離が所定値を越えた場合に、分割副噴射の分割回数をよ
り少ない回数に変更する第2設定手段を粗なる構成を採
用した。これにより、分割副噴射の回数を減少させるこ
とで、燃料噴射弁の作動頻度が減少させてノズル先端部
の温度が上昇することを抑えることができると共に、ノ
ズル内を流通する燃料の流速を高めることができるた
め、デポジットの生成を十分に抑制することがかのとな
る。
【0089】また、請求項5にかかる内燃機関の燃料噴
射制御装置によれば、デポジットが付着していると判定
した場合に、アイドリング時に排気上死点噴射を実行す
る実行手段を備えるので、走行中の運転状態に影響を及
ぼすことなく、効果的にデポジットを除去することが可
能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ディーゼルエンジンの全体的な構成を概略的に
示す構成図である。
【図2】ECUの構成と、ECUを中心とした信号の入
出力関係を示すブロック図である。
【図3】デポジットの生成を抑制する燃料噴射の制御処
理例を示すフローチャートである。
【図4】インジェクタのノズル先端温度とHC悪化度と
の関係を示すグラフである。
【図5】機関の継続運転時間とHC悪化度との関係を示
すグラフである。
【図6】デポジットの生成領域Sを示す説明図である。
【図7】デポジットの生成を抑制する燃料噴射の制御処
理例を示すフローチャートである。
【図8】デポジットの生成を抑制する燃料噴射の制御処
理例を示すフローチャートである。
【図9】排気上死点噴射の実行領域を示す説明図であ
る。
【図10】デポジットを除去するための燃料噴射の制御
処理例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…エンジン本体、4…インジェクタ、7…NOx還元
触媒、8…コモンレール、60…可変バルブタイミング
装置、100…ECU
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3G084 AA01 BA13 BA15 CA03 CA09 DA33 EB02 EB22 FA00 FA02 FA10 FA11 FA20 FA38 3G301 HA02 JA14 KA07 LB11 MA19 MA23 NA06 NB11 NE06 PA07Z PA10Z PB08Z PE03Z PE08Z PE10Z PF03Z

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関の1燃焼サイクル内において、
    燃料の主噴射から時間間隔を経て副噴射を行うように、
    燃料噴射弁の動作制御を行う内燃機関の燃料噴射制御装
    置であって、 前記副噴射を複数回に分割して噴射する分割副噴射と前
    記主噴射との噴射条件を、機関運転状態をもとに設定す
    る第1設定手段と、 機関回転数と燃料噴射圧力とで規定される所定の範囲
    を、前記燃料噴射弁にデポジットを生成し得る生成領域
    として予め規定しており、前記第1設定手段で設定され
    た前記噴射条件が、この生成領域内であるか否かを、こ
    のときの機関回転数に応じて判定する判定手段と、 前記判定手段によって前記噴射条件が前記生成領域内で
    あると判定される間における、機関運転時間又は機関走
    行距離の少なくとも一方を積算する積算手段と、 前記積算手段の積算結果が所定のしきい値を越えた場合
    に、前記第1設定手段で設定された分割副噴射の分割回
    数をより少ない回数に変更して、前記主噴射及び副噴射
    の各噴射条件を設定する第2設定手段とを備える内燃機
    関の燃料噴射制御装置。
  2. 【請求項2】 前記第2設定手段では、副噴射として、
    前記主噴射に先立って圧縮行程中に1回のみ燃料噴射を
    実行する単発副噴射を設定する請求項1記載の内燃機関
    の燃料噴射制御装置。
  3. 【請求項3】 前記第2設定手段で変更した噴射条件
    が、前記生成領域内であるか否かを、このときの機関回
    転数に応じて再度判定する再判定手段と、 前記再判定手段によって前記噴射条件が前記生成領域内
    であると判定される間における、機関運転時間又は機関
    走行距離の少なくとも一方を再度積算する再積算手段
    と、 前記再積算手段の積算結果が所定のしきい値を越えた場
    合に前記単発副噴射を禁止すると共に、この単発副噴射
    を禁止した場合における主噴射の噴射条件を設定する第
    3設定手段とをさらに備える請求項2記載の内燃機関の
    燃料噴射制御装置。
  4. 【請求項4】 前記第3設定手段で設定された前記主噴
    射の噴射条件をもとに、排気行程上死点付近で燃料を噴
    射する排気上死点噴射を実行するか否かを判定し、排気
    上死点噴射を実行すると判定した場合に、主噴射及び排
    気上死点噴射の噴射条件を設定する第4設定手段をさら
    に備える請求項3記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  5. 【請求項5】 内燃機関の1燃焼サイクル内において、
    燃料の主噴射から時間間隔を経て副噴射を行うように、
    燃料噴射弁の動作制御を行う内燃機関の燃料噴射制御装
    置であって、 当該内燃機関の運転状態がアイドリング状態の際に、前
    記燃料噴射弁に所定量を超えるデポジットが付着してい
    るか否かを判定する判定手段と、 前記判定手段により、前記燃料噴射弁に所定量を超える
    デポジットが付着していると判定した場合に、排気行程
    上死点付近で燃料を噴射する排気上死点噴射を実行する
    実行手段とを備える内燃機関の燃料噴射制御装置。
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