JP2003105045A - 多層構造重合体粒子およびその製造方法 - Google Patents

多層構造重合体粒子およびその製造方法

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JP2003105045A
JP2003105045A JP2001300290A JP2001300290A JP2003105045A JP 2003105045 A JP2003105045 A JP 2003105045A JP 2001300290 A JP2001300290 A JP 2001300290A JP 2001300290 A JP2001300290 A JP 2001300290A JP 2003105045 A JP2003105045 A JP 2003105045A
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resin component
reaction step
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JP2001300290A
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English (en)
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Ryotaro Kuribayashi
亮太郎 栗林
Takashi Yamashita
山下  隆
Kazutoshi Terada
和俊 寺田
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Kuraray Co Ltd
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 流動性および耐溶剤性に優れた性能を付与で
きる多層構造体粒子を提供する。 【解決手段】 (1)少なくとも1つのゴム成分層また
は架橋性樹脂成分層(I)を内部に有し、かつ少なくと
も一つの下記熱可塑性樹脂成分層(II)を少なくとも
最外部に有する、2以上の層からなる多層構造重合体粒
子であって; (2)熱可塑性樹脂成分層(II)のうち最外部に位置
する層に層状粘土鉱物が分子状に分散し; (3)熱可塑性樹脂成分層(II)のうち最外部に位置
する層を構成する重合体について、GPC法で測定され
た数平均分子量が30,000以下である;ことを特徴
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多層構造体粒子お
よびその製造方法に関する。さらに詳細には、本発明
は、耐溶剤性、機械的物性、成形加工性をバランスよく
具備するという特異な性能を発現させることが可能な、
分子状に分散した層状粘土鉱物を含有する多層構造体粒
子とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ビニル系高分子化合物と層状の粘土鉱物
からなる複合材料は、従来から提案されており、例え
ば、末端にビニル基を有するオニウム塩によりイオン交
換した粘土鉱物を用いる方法(特開昭63−21577
5号公報)、乳化重合による方法(国際公開97/00
910(WO97/00910)号公報、ジャーナル
オブ アプライド ポリマー サイエンス( Journal o
f Applied Polymer Science )61巻1117頁(19
96年)、ジャーナル オブ マテリアル サイエンス
( JOURNAL OF MATERIALS SCIENCE )33巻2883頁
(1998年)、ポリマー ブルテン( Polymer Bulle
tin )42巻619頁(1999年))、有機処理した
クレイを用いる方法(ジャーナル オブ マテリアル
サイエンスレター( JOURNAL OF MATERIALS SCIENCE LE
TTERS )18巻1761頁(1999年)、ジャーナル
オブ アプライド ポリマー サイエンス( Journal
ofApplied Polymer Science )75巻396頁(20
00年))等が知られている。これらの方法により得ら
れる複合材料は、耐熱性、熱安定性、引張強度や弾性率
等の機械的性質が向上すると報告されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、一般に
上記の方法で製造された複合材料は、溶融粘度が高く、
流動性も低いため、成形が困難であったり、成形方法が
限定されたりといった問題点を有しており、成形加工性
の改良が望まれていた。したがって、本発明の目的は、
成形加工性を低下させることなく耐溶剤性の改良された
複合材料を提供することにある。また、本発明の他の目
的は、該複合材料の製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らの一部は、多
層構造重合体粒子の層構造を特定の条件内に制御した場
合、弾性回復性(低永久ひずみ特性)、柔軟性、機械的
物性をバランスよく兼ね備えた成形品を与えることを見
出し、先に特許出願を行った(特開2001−1229
32号公報参照)。そして、本発明者らは、上記問題に
ついてさらに鋭意検討を進めた結果、多層構造重合体粒
子における熱可塑性樹脂成分層のうち最外部に位置する
層を構成する重合体について、GPC法で測定された数
平均分子量を30,000以下の範囲とすると共に分子
状の層状粘土鉱物を分散させることにより、成形加工性
や機械的物性等を低下させることなく、耐溶剤性を改良
されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】すなわち、本発明は、 A) (1)少なくとも1つのゴム成分層または架橋性
樹脂成分層(I)を内部に有し、かつ少なくとも一つの
下記熱可塑性樹脂成分層(II)を少なくとも最外部に
有する、2以上の層からなる多層構造重合体粒子であっ
て; (2)熱可塑性樹脂成分層(II)のうち最外部に位置
する層に層状粘土鉱物が分子状に分散し; (3)熱可塑性樹脂成分層(II)のうち最外部に位置
する層を構成する重合体について、GPC法で測定され
た数平均分子量が30,000以下である;ことを特徴
とする多層構造重合体粒子である。
【0006】また、本発明は、 B) (1)少なくとも1つの下記ゴム成分層(I)を
内部に有し、かつ少なくとも一つの下記熱可塑性樹脂成
分層(II)を少なくとも最外部に有する、2以上の層
からなる多層構造重合体粒子であって; (2)ゴム成分層(I)は、アクリル酸エステル50〜
99.99質量%、該アクリル酸エステルと共重合可能
な他の単官能性単量体49.99〜0質量%および多官
能性単量体0.01〜10質量%からなる単量体混合物
(i)の共重合によって形成される重合体層であり; (3)熱可塑性樹脂成分層(II)は、メタクリル酸エ
ステル40〜100質量%および該メタクリル酸エステ
ルと共重合可能な他の単量体60〜0質量%からなる単
量体(ii)の重合によって形成される重合体層であ
り; (4)熱可塑性樹脂成分層(II)のうち最外部に位置
する層に層状粘土鉱物が分子状に分散し; (5)熱可塑性樹脂成分層(II)のうち最外部に位置
する層を構成する重合体について、GPC法で測定され
た数平均分子量が30,000以下であり; (6)ゴム成分層(I)の総質量と熱可塑性樹脂成分層
(II)の総質量との比は、層(I)/層(II)にお
いて、30/70〜90/10の範囲内であり; (7)平均粒子径は150nm以下である;ことを特徴
とする多層構造重合体粒子である。
【0007】さらに、本発明は、 C) 層状粘土鉱物がスメクタイト系粘土鉱物および
/または膨潤性マイカである上記A)またはB)の多層
構造重合体粒子である。さらにまた、本発明は、 D) 層状粘土鉱物の含有量が、多層構造重合体粒子
の総量の0.1〜50質量%である上記A)〜C)のい
ずれかに記載の多層構造重合体粒子である。
【0008】そして、本発明は、 E) (1)層状粘土鉱物の存在下に、少なくとも一つ
のゴム成分層または架橋性樹脂成分層(I)を形成させ
るための重合反応工程(a)と少なくとも一つの熱可塑
性樹脂成分層(II)を形成させるための重合反応工程
(b)を、中心部の層の重合反応工程から順次外部の層
の重合反応工程を行うことによって、中心部から外部に
向かって順次層を形成させて多層構造重合体粒子を製造
する方法であって; (2)該重合反応工程(b)のうち最外部に位置する層
を形成させるための重合反応工程において、分子量調節
剤をその工程で使用する単量体の総量に対して0.4〜
10質量%の範囲となる割合で使用して重合反応を行
う;ことを特徴とする多層構造重合体粒子の製造方法で
ある。
【0009】また、本発明は、 F) (1)層状粘土鉱物の存在下に、少なくとも一つ
のゴム成分層(I)を形成させるための重合反応工程
(a)と少なくとも一つの熱可塑性樹脂成分層(II)
を形成させるための重合反応工程(b)を、中心部の層
の重合反応工程から順次外部の層の重合反応工程を行う
ことによって、中心部から外部に向かって順次層を形成
させ、熱可塑性樹脂成分層に分子状に分散した層状粘土
鉱物を存在させることを特徴とする複合材料の製造方法
であって、 (2)該重合反応工程(a)において、アクリル酸エス
テル50〜99.99質量%、該アクリル酸エステルと
共重合可能な他の単官能性単量体49.99〜0質量%
及び多官能性単量体0.01〜10質量%からなる単量
体混合物(i)を共重合させ; (3)該重合反応工程(b)において、メタクリル酸エ
ステル40〜100質量%及び該メタクリル酸エステル
と共重合可能な他の単量体60〜0質量%からなる単量
体(ii)を重合させ; (4)該重合反応工程(b)のうち最外部に位置する層
を形成させるための重合反応工程において、分子量調節
剤を単量体(ii)の総量に対して0.4〜10質量%
の範囲となる割合で使用して重合反応を行い; (5)全重合反応工程で使用するゴム成分層(I)の総
質量と熱可塑性樹脂成分層(II)の総質量との比は、
層(I)/層(II)において、30/70〜90/1
0の範囲内とし; (6)すべての重合反応工程が終了した時点における多
層構造重合体粒子の平均粒子径を150nm以下とす
る;ことを特徴とする多層構造重合体粒子の製造方法で
ある。
【0010】また、本発明は、 G) 上記A)〜D)の多層構造体粒子からなる複合
材料である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳しく説明
する。複合材料として使用することが可能である本発明
の多層構造重合体粒子は、少なくとも一つのゴム成分層
または架橋性樹脂成分層を内部に有し、かつ少なくとも
一つの熱可塑性樹脂成分層を少なくとも最外層として有
する。このような多層構造重合体粒子を構成する層の数
としては、2層以上であればよく、例えば、多層構造重
合体粒子は2層で構成されていても3層で構成されてい
てもよく、また4層以上で構成されていてもよい。具体
例として、2層構造の場合は、層(I)(中心層)/層
(II)(最外層)の構成であり、3層構造の場合は、
層(I)(中心層)/層(I)(中間層)/層(II)
(最外層)、層(I)(中心層)/層(II)(中間
層)/層(II)(最外層)または層(II)(中心
層)/層(I)(中間層)/層(II)(最外層)の構
成であり、4層構造の場合には、例えば、層(I)(中
心層)/層(II)(中間層)/層(I)(中間層)/
層(II)(最外層)の構成を有することができる。こ
れらの中でも、取扱性に優れる観点から、層(I)(中
心層)/層(II)(最外層)の2層構造、または層
(I)(中心層)/層(I)(中間層)/層(II)
(最外層)若しくは層(II)(中心層)/層(I)
(中間層)/層(II)(最外層)の3層構造のものが
好ましい。
【0012】本発明の多層構造重合体粒子は、少なくと
も一つのゴム成分層または架橋性樹脂成分層(I)を内
部に有し、かつ少なくとも一つの熱可塑性樹脂成分層
(II)を少なくとも最外層として有することを基本構
成とするが、多層構造重合体粒子に柔軟性を有する成形
品とすることができる機能を付与したい場合には、層
(I)にゴム成分を含むことが必要となる。ゴム成分層
または架橋性樹脂成分層を構成する単量体としては、ゴ
ム的性質あるいは不溶性硬質樹脂性能を付与できるもの
であれば特に制限されず、例えば、1官能性の単量体と
2官能性以上の多官能性単量体との組み合わせから、適
宜選択される。上記1官能性単量体の好ましい具体例と
しては、アクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチルなど
のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチルなどのメ
タクリル酸エステル類などを主体とするものが挙げら
れ、また上記多官能性単量体の好ましい例としては、ヘ
キサンジオールジ(メタ)アクリレートなどの架橋性単
量体;アリル(メタ)アクリレートなどのグラフト重合性
単量体などが挙げられる。また、熱可塑性樹脂成分層を
構成する単量体としては、熱可塑性樹脂を構成する単量
体であれば特に限定されず、1官能性単量体が通常使用
できるが、メタクリル酸エステル類を主体とする場合が
好ましく、メタクリル酸メチルを主体とするものが透明
性の観点から特に好ましく用いられる。
【0013】さらに、多層構造重合体粒子に柔軟性の機
能を付与する観点からは、 (a)ゴム成分層(I)が、アクリル酸エステル50〜
99.99質量%、好ましくは55〜99.9質量%、
該アクリル酸エステルと共重合可能な他の単官能性単量
体49.99〜0質量%、好ましくは44.9〜0質量
%および多官能性単量体0.01〜10質量%、好まし
くは0.1〜2質量%からなる単量体混合物の共重合に
よって形成される重合体層である; (b)熱可塑性樹脂成分層(II)が、メタクリル酸エ
ステル40〜100質量%、好ましくは60〜99質量
%、さらに好ましくは80〜99質量%および該メタク
リル酸エステルと共重合可能な他の単量体60〜0質量
%、好ましくは40〜1質量%、さらに好ましくは20
〜99質量%からなる単量体混合物の共重合によって形
成される重合体層である;および(3)ゴム成分層
(I)の総質量と熱可塑性樹脂成分層(II)の総質量
との比が、層(I)/層(II)において、30/70
〜90/10、好ましくは50/50〜90/10、よ
り好ましくは60/40〜80/20の範囲内である;
などの要件を満足することが望ましい。
【0014】上記ゴム成分層(I)を構成するアクリル
酸エステルとしては、特に限定されないが、その好まし
い例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、
アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オ
クチルなどのアルキル基の炭素数が1〜8のアクリル酸
アルキルエステルが挙げられる。多官能性単量体として
は、特に限定されないが、その好ましい例としては、ア
リルアクリレート、アリルメタクリレート、ヘキサンジ
オールジアクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレ
ートなどが挙げられる。また、該アクリル酸エステルと
共重合可能な他の単官能性単量体としては、特に限定さ
れないが、その好ましい例としては、メタクリル酸メチ
ルなどのアルキル基の炭素数が1〜10のメタクリル酸
アルキルエステルなどが挙げられる。また、上記熱可塑
性樹脂成分層(II)を構成するメタクリル酸エステル
としては、特に限定されないが、その好ましい例として
はメタクリル酸メチルなどのアルキル基の炭素数が1〜
8のメタクリル酸アルキルエステルが挙げられ、メタク
リル酸メチルが特に好ましい。該メタクリル酸エステル
と共重合可能な他の単量体としては、特に限定されない
が、その好ましい例として、アクリル酸メチルなどのア
ルキル基の炭素数が1〜8のアクリル酸アルキルエステ
ルが挙げられる。
【0015】本発明の多層構造重合体粒子においては、
その中に含有される熱可塑性樹脂成分層(II)のうち
最外部に位置する層を構成する重合体についてGPC法
で測定された数平均分子量が30,000以下であるこ
とが重要である。数平均分子量が30,000を超える
場合には、多層構造重合体粒子またはそれからなる複合
材料の溶融流動性が低下する場合があり好ましくない。
数平均分子量の下限については、必ずしも厳密な制限は
ないが、生産工程の通過性の点からは、数平均分子量は
1,000を下回らないことが好ましい。弾性回復性お
よび生産工程での通過性の両立の点からは、数平均分子
量を3,000〜20,000の範囲内とすることが特
に好ましい。
【0016】さらに、本発明の多層構造重合体粒子にお
いては、特に粒子径の限定はなく通常600nm以下程
度のものが使用できるが、多層構造重合体粒子から得ら
れる複合材料あるいはそれから得られる成形品などによ
り良好な弾性回復率や溶融流動性を与えるためには、多
層構造重合体粒子の平均粒子径は150nm以下である
ことが好ましい。平均粒子径の下限値については、特に
限定されるものではないが、多層構造重合体粒子の所定
の層構造を形成させやすい観点からは、平均粒子径は3
0nm以上であることが好ましい。多層構造重合体粒子
の平均粒子径は80〜120nmであることがより好ま
しい。
【0017】本発明の多層構造重合体粒子に含有される
層状粘土鉱物は、最外部の熱可塑性樹脂成分層中で分子
状に分散し得るものであれば特に限定されないが、一般
にはケイ酸4面体が2次元シート状に結合したフィロケ
イ酸塩が挙げられる。上記フィロケイ酸塩の具体例とし
ては、タルク系粘土鉱物(4面体層:8面体層=2:
1、層間イオン:なし、8面体層同型置換:Al3+
Mg2+、化学構造式:SiMg10(O
H))、モンモリロナイト(層間イオン:主にN
、8面体層同型置換:Al3+→Mg2+、化学構
造式:E(交換性カチオン)Si(Al2−xMg
)O10(OH)・nHO)、バンデライト(4
面体層同型置換:Si4+→Al3+、化学構造式:E
(Si4― Al)Al10(OH)・nH
O)、サポナイト(層間イオン:Na、4面体層同
型置換:Si4+→Al3+、化学構造式:E(Si
4−xAl)Mg10(OH)・nHO)、
ヘクトライト(層間イオン:Na、8面体層同型置
換:Al3+→Mg2+、Li、化学構造式:E
(Mg3−xLi)O10(OH)・nH
O)等のスメクタイト系粘土鉱物(4面体層:8面体
層=2:1)、バーミキュライト系粘土鉱物(4面体
層:8面体層=2:1、層間イオン:Mg2+、4面体
層同型置換:Si4+→Al3+、8面体層同型置換:
なし、またはAl3+→Mg2+、化学構造式:Mg
x/2(Si4−xAl)Al10(OH)・n
O、またはMg /2(Si4−xAl)Mg
10(OH)・nHO)、カオリナイト系粘土鉱物
(4面体層:8面体層=1:1、層間イオン:なし、同
型置換:なし)、マスコバイト(層間イオン:K、4
面体層同型置換:Si4+→Al3+、化学構造式:K
(Si4−xAlx)Al10(OH))、フ
ロゴバイト(層間イオン:K、4面体層同型置換:S
4+→Al3+、8面体層同型置換:Al3+→Mg
2+、化学構造式:K(Si4−xAlx)Mg
(OH))等のマイカ(4面体層:8面体層=
2:1)等が挙げられ、好ましくは水中で膨潤するスメ
クタイト系粘土鉱物、膨潤性マイカ(層間イオン:Na
またはLi、8面体層同型置換:Al3+→Mg
2+、Li)であり、天然のものでも合成されたもの
でもよい。これらのうちでスメクタイト系粘土鉱物およ
び/または膨潤性マイカがが流動性、耐溶剤性などの観
点から好ましい。
【0018】本発明においては、層状粘土鉱物が多層構
造重合体粒子の最外層に分子状に分散していることが必
要である。ここで言う分子状に分散とは、層状粘土鉱物
のケイ酸4面体が2次元シート状に結合したフェロケイ
酸塩の1次粒子の状態で分散していること、層状粘土鉱
物のケイ酸4面体の2次元シートの層間に他の分子が挿
入された状態で分散していること、または層状粘土鉱物
のケイ酸4面体の2次元シートが剥離した状態で分散し
ていることなどのいずれかの状態をいう。層状粘土鉱物
が多層構造重合体粒子の最外層に分子状に分散していな
い場合には、良好な流動性、耐溶剤性が得られず好まし
くない。
【0019】本発明の多層構造重合体粒子中に含有され
る層状粘土鉱物の量は、本発明の所期の効果が得られる
量でよく特に制限されないが、多層構造重合体粒子の総
量の0.1〜50質量%の範囲であることが好ましく、
1〜20質量%の範囲であることがより好ましい。層状
粘土鉱物の量が上記の範囲内にある場合は耐溶剤性およ
び成形加工性のより好ましい改善効果が得られる。
【0020】上記層状粘土鉱物は、最外部に位置する層
を構成する熱可塑性樹脂成分層に配合される必要があ
り、最外部に位置する層を構成する熱可塑性樹脂成分層
にのみ配合されていることが好ましい。最外部に位置す
る層を構成する熱可塑性樹脂成分層に配合されていない
と、耐溶剤性などの改良効果が不十分になる。
【0021】本発明の多層構造重合体粒子の製造方法と
しては、従来より公知の方法に順ずる方法を採用するこ
とができ、例えば、ゴム成分層または架橋性樹脂成分層
を形成させるための重合反応工程と熱可塑性樹脂成分層
を形成させるための重合反応工程とを中心部の層の重合
反応工程から順次外部の層の重合反応工程を行うことに
よって、中心部から外部に向かって順次層を形成させる
方法により多層構造重合体粒子を製造することができ
る。
【0022】本発明の多層構造重合体粒子を製造するた
めの好ましい方法の態様としては、例えば、(1)層状
粘土鉱物の存在下に、少なくとも一つのゴム成分層また
は樹脂成分層(I)を形成させるための重合反応工程
(a)と少なくとも一つの熱可塑性樹脂成分層(II)
を形成させるための重合反応工程(b)を、中心部の層
の重合反応工程から順次外部の層の重合反応工程を行う
ことによって、中心部から外部に向かって順次層を形成
させて多層構造重合体粒子を製造方法であって、(2)
該重合反応工程(b)のうち最外部に位置する層を形成
させるための重合反応工程において、分子量調整剤をそ
の工程で使用する単量体の総量に対して0.4〜10質
量%の範囲となる割合で使用して重合反応を行う;こと
により製造する方法を挙げることができる。
【0023】また、多層構造重合体粒子に柔軟性の機能
を付与する観点から好ましい態様としては、例えば、 (1)層状粘土鉱物の存在下に、少なくとも一つのゴム
成分層(I)を形成させるための重合反応工程(a)と
少なくとも一つの熱可塑性樹脂成分層(II)を形成さ
せるための重合反応工程(b)を、中心部の層の重合反
応工程から順次外部の層の重合反応工程を行うことによ
って、中心部から外部に向かって順次層を形成させ、熱
可塑性樹脂成分層に分子状に分散した層状粘土鉱物を存
在させることを特徴とする複合材料の製造方法であっ
て、 (2)該重合反応工程(a)において、アクリル酸エス
テル50〜99.99質量%、該アクリル酸エステルと
共重合可能な他の単官能性単量体49.99〜0質量%
及び多官能性単量体0.01〜10質量%からなる単量
体混合物(i)を共重合させ; (3)該重合反応工程(b)において、メタクリル酸エ
ステル40〜100質量%及び該メタクリル酸エステル
と共重合可能な他の単量体60〜0質量%からなる単量
体(ii)を重合させ; (4)該重合反応工程(b)のうち最外部に位置する層
を形成させるための重合反応工程において、分子量調節
剤を単量体(ii)の総量に対して0.4〜10質量%
の範囲となる割合で使用して重合反応を行い; (5)全重合反応工程で使用するゴム成分層(I)の総
質量と熱可塑性樹脂成分層(II)の総質量との比は、
層(I)/層(II)において、30/70〜90/1
0の範囲内とし; (6)すべての重合反応工程が終了した時点における多
層構造重合体粒子の平均粒子径を150nm以下とす
る;ことを特徴とする多層構造重合体粒子の製造方法を
挙げることができる。
【0024】上記の重合方法については特に制限はな
く、例えば、通常の多層構造重合体粒子を製造するため
の公知の重合法に準じて、乳化重合法、懸濁重合法、溶
液重合法、またはこれらの組み合わせなどを採用するこ
とができる。例えば、乳化重合では公知の手段に従い、
第1層目から層状粘土鉱物の存在下に重合を行い、次い
で各層を形成させるための重合を行うことにより、最外
層に層状粘土鉱物を含有する多層構造重合体粒子を得る
ことができる。乳化重合の温度としては、必ずしも限定
されず通常0〜100℃である。ここで使用する乳化剤
としては、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウ
ム、及びステアリン酸ナトリウム等の脂肪族のアルカリ
金属塩;ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪族アルコール
の硫酸エステル塩;ロジン酸カリウム等のロジン酸塩;
ドデシルベンゼンスルホン酸等のアルキルアリルスルホ
ン酸等;ポリオキシエチレンアルキル燐酸ナトリウム等
の燐酸エステル塩が挙げられ、これらは、1種類ないし
2種類以上の組合せで用いられる。また、乳化重合で使
用する重合開始剤としては、特に限定されないが、ラジ
カル重合開始剤が一般的に用いられる。該ラジカル重合
開始剤の具体例としては、過硫酸塩、アゾビスイソブチ
ロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド等の過酸化物を
挙げることができ、これらは単独で用いることができる
し、2種以上を併用してもよい。またラジカル重合開始
剤としては、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプ
ロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタン
ハイドロパーオキサイド等の有機ハイドロパーオキサイ
ド類と、遷移金属塩等の還元剤との組合せによるレドッ
クス系開始剤を使用することもできる。
【0025】上記のとおり、公知の乳化重合法に従って
所定の単量体混合物の所定量を順次重合させることによ
り、所定の重合体層を、粒子の中心部から外部に向かっ
て段階的に形成させることができるが、本発明の多層構
造重合体粒子を製造するためには、少なくとも最外層を
形成させるための重合反応工程において、分子量調節剤
を、その工程で使用する単量体の総量に対して0.4〜
10質量%の範囲内となる割合で使用することが重要で
ある。通常の多層構造体粒子を製造する場合、最外部の
熱可塑性樹脂成分層を形成させるための重合反応におい
て使用される分子量調節剤の使用量は、一般に単量体に
対して0〜0.3質量%程度であるが、このように0.
4質量%未満の場合には、その層を構成する熱可塑性樹
脂成分の数平均分子量が高くなり、複合材料を成形して
得られる成形品の成形流動性が不十分となる場合があ
る。本発明の目的においては分子量調節剤の量は上記基
準において高々10質量%あれば十分であり、それ以上
の量を使用しても、もはやそれ以上の流動性付与効果の
向上はなく、むしろ複合材料における分子量調節剤の残
存量が多くなるので望ましくない。分子量調節剤を使用
する層に用いる単量体の総量に対して0.4〜5質量
%、より好ましくは0.6〜2%の範囲内となる割合で
使用することが望ましい。
【0026】分子量調節剤の具体例としては、n−オク
チルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、n−ド
デシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、メル
カプトエタノール等のメルカプタン類;ターピノーレ
ン、ジペンテン、t−テルピネン及び少量の他の環状テ
ルペン類よりなるテルペン混合物;クロロホルム、四塩
化炭素などのハロゲン化炭化水素などが挙げられる。こ
れらの中でも、n−オクチルメルカプタン等のアルキル
メルカプタンが好ましい。
【0027】乳化重合後、生成した重合反応系から得ら
れた多層構造重合体粒子の分離取得も、公知の手法に従
って行うことができ、例えば、酸析法、塩析法、スプレ
ードライ法、凍結凝固法などを採用することができる。
なお、分離取得された多層構造重合体粒子は、多層構造
重合体粒子の熱可塑性樹脂成分からなる最外層において
粒子間相互で部分的に融着していても差し支えない。上
記のような乳化重合およびそれに続く重合反応系からの
分離取得方法により、層状粘土鉱物が最外層の熱可塑性
樹脂成分層に分子状に分散した状態の多層構造重合体粒
子が得られる。本発明の多層構造重合体粒子には、本発
明の効果を損なわない範囲内で、必要に応じて、公知の
添加剤(例えば、ゴム、滑剤、酸化防止剤、可塑剤、光
安定剤、着色剤、帯電防止剤、難燃剤等)などを含有さ
せることができる。
【0028】本発明の多層構造重合体粒子はそのままで
使用することもできるが、多層構造重合体粒子を粉末
状、フレーク状、ペレット状などに加工して、あるいは
多層構造重合体粒子に、本発明の効果を損なわない範囲
内で、他の合成樹脂や公知の添加剤(例えば、ゴム、滑
剤、酸化防止剤、可塑剤、光安定剤、着色剤、帯電防止
剤、難燃剤等)、フィラー(ガラス繊維等の繊維補強
剤、無機充填剤等)等を含有させて粉末状、フレーク
状、ペレット状などに加工して、複合材料として用いて
もよい。
【0029】本発明の多層構造重合体粒子あるいはその
複合材料は、例えば、180〜280℃での押出成形、
射出成形、中空成形、カレンダ成形、圧縮成形、真空成
形、発泡成形等の成形法により、板状、フィルム又はシ
ート状、パイプ状、中空状、箱状等の任意の形状の成形
品に成形することができる。
【0030】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。な
お、実施例の中の各測定値は以下の評価法に従った。
【0031】(多層構造重合体粒子の平均粒子径の測
定)重合完了後のラテックスから採取した試料を用い
て、レーザー粒径解析装置PAR−III(大塚電子社
製)を用いて動的散乱法により測定し、キュムラント法
により解析して求めた。 (最外層を構成する重合体成分の数平均分子量の測定)
多層構造重合体粒子の試料を室温下にトルエン中で十分
に攪拌した後、遠心分離して得られた溶液を用いてGP
C法により測定して求めた値を、最外層を構成する重合
体成分の数平均分子量とした。 (層状粘土鉱物の分散状態の観察)多層構造重合体粒子
から得られたシートを4酸化ルテニウムで染色した後、
超薄切片を透過型電子顕微鏡H−7100FA(日立製
作所製)で観察した。 (引張破断強度、引張破断伸度の測定)オートグラフA
G−2000B(島津製作所製)を用いて、JIS K
6301に準じて測定した。 (硬度の測定)A型硬度計(オスカー製)を用いて、J
IS K 6301に準じて測定した。 (溶融粘度の測定)高化式フローテスタCFT−500
(島津製作所製)を用いて、230℃、50kgfで測
定した。 (溶剤性の測定)シートをアセトン中に浸漬し、溶解す
るのに要した時間を測定することにより評価した。
【0032】実施例1 窒素雰囲気下、攪拌翼、冷却管及び滴下ロートを装着し
た重合器に、蒸留水200質量部、乳化剤としてのネオ
ペレックスF−25(花王社製)1.8質量部、および
炭酸ナトリウム0.1質量部を加え、80℃に加熱して
均一に溶解させた。次いで、同温度でモンモリロナイト
(クニミネ工業社製:クニピアF、1次粒径:100〜
1000nm、陽イオン交換量(CEC):115me
q/100g))2.0質量部を20分おきに4回に分
けて添加し均一に溶解させた。次いで、同温度におい
て、ペルオキソ二硫酸カリウム0.05質量部を加えた
後、アクリル酸n−ブチル30質量部、メタクリル酸メ
チル13.5質量部、スチレン6.5質量部、メタクリ
ル酸アリル0.2質量部、および乳化剤としてのアデカ
コールCS−141E(旭電化社製)0.25質量部を
滴下ロートより1時間かけて滴下した。滴下終了後、さ
らに1時間反応を続け、ガスクロマトグラフィーで各単
量体がすべて消費されたことを確認した。次いで、得ら
れた共重合体ラテックスにペルオキソ二硫酸カリウム
0.025質量部を加えた後、アクリル酸n−ブチル2
0質量部、メタクリル酸メチル0.5質量部、スチレン
4.5質量部、メタクリル酸アリル0.1質量部、およ
び乳化剤としてのアデカコールCS−141E0.12
5質量部を滴下ロートより30分間かけて滴下した。滴
下終了後さらに1時間反応を続け、ガスクロマトグラフ
ィーで各単量体がすべて消費されたことを確認した。
【0033】さらに、得られた共重合体ラテックスにペ
ルオキソ二硫酸カリウム0.025質量部を加えた後、
メタクリル酸メチル23.75質量部、アクリル酸メチ
ル1.25質量部、n−オクチルメルカプタン0.25
質量部、および乳化剤としてのアデカコールCS−14
1E0.125質量部を滴下ロートより30分間かけて
滴下した。滴下終了後さらに1時間反応を続け、ガスク
ロマトグラフィーで各単量体がすべて消費されたことを
確認し、重合を終了した。得られたラテックスにおける
多層構造重合体粒子の平均粒子径は91nmであった。
このラテックスを−20℃に24時間冷却して凝集させ
た後、凝集物を取り出し、40℃の熱水で3回洗浄し
た。60℃で2日間減圧乾燥して、凝集粉末状の多層構
造重合体粒子からなる複合材料[A−1](モンモリロ
ナイトの含有量:1.9%)を得た。なお、最外層を構
成する重合体成分の数平均分子量は、19,000であ
った。得られた粉末状のA−1から、圧縮成形機を用い
て、240℃にてシートを作成し、各種測定を行った。
なお、分散状態を観察した結果、モンモリロナイトは最
外層の熱可塑性樹脂成分層に分子状に分散していた。
【0034】実施例2 モンモリロナイトの代わりに膨潤性マイカ(コープケミ
カル社製:ソマシフME100、1次粒径:1〜5μ
m、CEC:110meq/100g)を用いた以外は
実施例1と同様な方法で、凝集粉末状の多層構造重合体
粒子からなる複合材料[A−2](膨潤性マイカの含有
量:2.1%)を得た。得られた粉末状のA−2から、
圧縮成形機を用いて、240℃にてシートを作製し、各
種測定を行った。得られた結果を表1に示す。なお、分
散状態を観察した結果、膨潤性マイカは最外層の熱可塑
性樹脂成分層に分子状に分散していた。
【0035】比較例1 窒素雰囲気下、攪拌翼、冷却管及び滴下ロートを装着し
た重合器に、蒸留水200質量部、乳化剤としてのネオ
ペレックスF−25(花王社製)0.6質量部、および
炭酸ナトリウム0.1質量部を加え、80℃に加熱して
均一に溶解させた。次いで、同温度において、ペルオキ
ソ二硫酸カリウム0.05質量部を加えた後、アクリル
酸n−ブチル30質量部、メタクリル酸メチル13.5
質量部、スチレン6.5質量部、メタクリル酸アリル
0.2質量部、および乳化剤としてのアデカコールCS
−141E(旭電化社製)0.25質量部を滴下ロート
より1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間
反応を続け、ガスクロマトグラフィーで各単量体がすべ
て消費されたことを確認した。次いで、得られた共重合
体ラテックスにペルオキソ二硫酸カリウム0.025質
量部を加えた後、アクリル酸n−ブチル20質量部、メ
タクリル酸メチル0.5質量部、スチレン4.5質量
部、メタクリル酸アリル0.1質量部、および乳化剤と
してのアデカコールCS−141E0.125質量部を
滴下ロートより30分間かけて滴下した。滴下終了後さ
らに1時間反応を続け、ガスクロマトグラフィーで各単
量体がすべて消費されたことを確認した。
【0036】さらに、得られた共重合体ラテックスにペ
ルオキソ二硫酸カリウム0.025質量部を加えた後、
メタクリル酸メチル23.75質量部、アクリル酸メチ
ル1.25質量部、n−オクチルメルカプタン0.25
質量部、および乳化剤としてのアデカコールCS−14
1E0.125質量部を滴下ロートより30分間かけて
滴下した。滴下終了後さらに1時間反応を続け、ガスク
ロマトグラフィーで各単量体がすべて消費されたことを
確認し、重合を終了した。得られたラテックスにおける
多層構造重合体粒子の平均粒子径は104nmであっ
た。このラテックスを−20℃に24時間冷却して凝集
させた後、凝集物を取り出し、40℃の熱水で3回洗浄
した。60℃で2日間減圧乾燥して、凝集粉末状の多層
構造重合体粒子[B−1]を得た。なお、最外層を構成
する重合体成分の数平均分子量は、13,000であっ
た。得られた粉末状のB−1から、圧縮成形機を用い
て、230℃にてシートを作成し、各種測定を行った。
得られた結果を表1に示す。
【0037】比較例2 n−オクチルメルカプタンを添加しない以外は実施例1
と同様な方法で、凝集粉末状の多層構造重合体粒子[B
−2](モンモリロナイトの含有量:2.0%)を得
た。なお、最外層を構成する重合体成分の数平均分子量
は、本条件下でのGPC法では分子量が高すぎるため測
定不可能であった。得られた粉末状のB−2から、圧縮
成形機を用いて、240℃にてシートを作製し、各種測
定を行った。得られた結果を表1に示す。なお、分散状
態を観察した結果、モンモリロナイトは最外層の熱可塑
性樹脂成分層に分子状に分散していた。
【0038】
【表1】
【0039】表1より、本発明の多層構造重合体粒子か
らなる複合材料を用いた実施例1および実施例2の場合
には、流動性および耐溶剤性に優れていることが分か
る。これに対して、層状粘土鉱物を含まない比較例1の
場合には耐溶剤性に劣り、最外層の数平均分子量が本発
明の範囲外である比較例2の場合には流動性に劣ること
が分かる。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、耐溶剤性、成形加工
性、機械的物性をバランスよく具備するという特異な性
能を発現させることが可能な多層構造重合体粒子および
複合材料が提供される。また、本発明の多層構造重合体
粒子の製造方法は、第1層目の重合から層状粘土鉱物を
系内に投入して多層構造重合体粒子を製造することによ
り、多層構造重合体粒子の最外層に層状粘土鉱物を含有
させることができるので、複合材料として有用な多層構
造重合体粒子の簡便な製法を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 AA00W AA01W BN02X BN03X BN06X BN12X BN14X 4J011 PA02 PA13 PA54 PC02 4J026 AA45 AC32 BA27 DB02 DB03 DB04 FA03 FA07 GA01 GA02

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)少なくとも1つのゴム成分層また
    は架橋性樹脂成分層(I)を内部に有し、かつ少なくと
    も一つの下記熱可塑性樹脂成分層(II)を少なくとも
    最外部に有する、2以上の層からなる多層構造重合体粒
    子であって; (2)熱可塑性樹脂成分層(II)のうち最外部に位置
    する層に層状粘土鉱物が分子状に分散し; (3)熱可塑性樹脂成分層(II)のうち最外部に位置
    する層を構成する重合体について、GPC法で測定され
    た数平均分子量が30,000以下である;ことを特徴
    とする多層構造重合体粒子。
  2. 【請求項2】 (1)少なくとも1つの下記ゴム成分層
    (I)を内部に有し、かつ少なくとも一つの下記熱可塑
    性樹脂成分層(II)を少なくとも最外部に有する、2
    以上の層からなる多層構造重合体粒子であって; (2)ゴム成分層(I)は、アクリル酸エステル50〜
    99.99質量%、該アクリル酸エステルと共重合可能
    な他の単官能性単量体49.99〜0質量%および多官
    能性単量体0.01〜10質量%からなる単量体混合物
    (i)の共重合によって形成される重合体層であり; (3)熱可塑性樹脂成分層(II)は、メタクリル酸エ
    ステル40〜100質量%および該メタクリル酸エステ
    ルと共重合可能な他の単量体60〜0質量%からなる単
    量体(ii)の重合によって形成される重合体層であ
    り; (4)熱可塑性樹脂成分層(II)のうち最外部に位置
    する層に層状粘土鉱物が分子状に分散し; (5)熱可塑性樹脂成分層(II)のうち最外部に位置
    する層を構成する重合体について、GPC法で測定され
    た数平均分子量が30,000以下であり; (6)ゴム成分層(I)の総質量と熱可塑性樹脂成分層
    (II)の総質量との比は、層(I)/層(II)にお
    いて、30/70〜90/10の範囲内であり;(7)
    平均粒子径は150nm以下である;ことを特徴とする
    多層構造重合体粒子。
  3. 【請求項3】 層状粘土鉱物がスメクタイト系粘土鉱物
    および/または膨潤性マイカである請求項1または2記
    載の多層構造重合体粒子。
  4. 【請求項4】 層状粘土鉱物の含有量が、多層構造重合
    体粒子の総量の0.1〜50質量%である請求項1〜3
    のいずれか1項に記載の多層構造重合体粒子。
  5. 【請求項5】 (1)層状粘土鉱物の存在下に、少なく
    とも一つのゴム成分層または架橋性樹脂成分層(I)を
    形成させるための重合反応工程(a)と少なくとも一つ
    の熱可塑性樹脂成分層(II)を形成させるための重合
    反応工程(b)を、中心部の層の重合反応工程から順次
    外部の層の重合反応工程を行うことによって、中心部か
    ら外部に向かって順次層を形成させて多層構造重合体粒
    子を製造する方法であって; (2)該重合反応工程(b)のうち最外部に位置する層
    を形成させるための重合反応工程において、分子量調節
    剤をその工程で使用する単量体の総量に対して0.4〜
    10質量%の範囲となる割合で使用して重合反応を行
    う;ことを特徴とする多層構造重合体粒子の製造方法。
  6. 【請求項6】 (1)層状粘土鉱物の存在下に、少なく
    とも一つのゴム成分層(I)を形成させるための重合反
    応工程(a)と少なくとも一つの熱可塑性樹脂成分層
    (II)を形成させるための重合反応工程(b)を、中
    心部の層の重合反応工程から順次外部の層の重合反応工
    程を行うことによって、中心部から外部に向かって順次
    層を形成させ、熱可塑性樹脂成分層に分子状に分散した
    層状粘土鉱物を存在させることを特徴とする複合材料の
    製造方法であって、 (2)該重合反応工程(a)において、アクリル酸エス
    テル50〜99.99質量%、該アクリル酸エステルと
    共重合可能な他の単官能性単量体49.99〜0質量%
    及び多官能性単量体0.01〜10質量%からなる単量
    体混合物(i)を共重合させ; (3)該重合反応工程(b)において、メタクリル酸エ
    ステル40〜100質量%及び該メタクリル酸エステル
    と共重合可能な他の単量体60〜0質量%からなる単量
    体(ii)を重合させ; (4)該重合反応工程(b)のうち最外部に位置する層
    を形成させるための重合反応工程において、分子量調節
    剤を単量体(ii)の総量に対して0.4〜10質量%
    の範囲となる割合で使用して重合反応を行い; (5)全重合反応工程で使用するゴム成分層(I)の総
    質量と熱可塑性樹脂成分層(II)の総質量との比は、
    層(I)/層(II)において、30/70〜90/1
    0の範囲内とし; (6)すべての重合反応工程が終了した時点における多
    層構造重合体粒子の平均粒子径を150nm以下とす
    る;ことを特徴とする多層構造重合体粒子の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜4の多層構造体粒子からなる
    複合材料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008071757A (ja) * 2006-09-11 2008-03-27 Lg Chem Ltd 粘土鉱物を含む電極合剤及びこれを用いた電気化学セル
JP2009138047A (ja) * 2007-12-04 2009-06-25 Kawamura Inst Of Chem Res 有機・無機複合体エマルジョンの製造方法

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