JP2003104717A - 非晶質シリカの製造方法 - Google Patents

非晶質シリカの製造方法

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JP2003104717A
JP2003104717A JP2001299820A JP2001299820A JP2003104717A JP 2003104717 A JP2003104717 A JP 2003104717A JP 2001299820 A JP2001299820 A JP 2001299820A JP 2001299820 A JP2001299820 A JP 2001299820A JP 2003104717 A JP2003104717 A JP 2003104717A
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calcium silicate
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Toshifumi Teramura
敏史 寺村
Noribumi Isu
紀文 井須
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Kenzai Gijutsu Kenkyusho KK
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Clion Co Ltd
Kenzai Gijutsu Kenkyusho KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アスベストまたはアスベストを含有する珪酸
カルシウム系化合物から、短時間かつ少ない処理工数の
もとに、元の繊維あるいは粒子の形状をほぼ保持した非
晶質シリカを高分解率で効率的に製造する方法の提供。 【解決手段】 アスベストまたはアスベストを含有する
珪酸カルシウム系化合物を出発物質とし、この出発物質
(固形分)と、濃度を5〜50重量%に調整した酢酸水
溶液(溶媒)とを、溶媒/固形分の重量比が10〜50
となるように混合分散させたスラリーを、炭酸ガス圧4
〜50MPa、温度70〜300℃の条件下で超臨界流
体処理し、固体として析出する非晶質シリカを回収す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アスベストまたは
アスベストを含有する珪酸カルシウム系化合物を出発物
質として非晶質シリカを効率的に製造する方法、さらに
詳しくは、アスベストまたはアスベストを含有する珪酸
カルシウム系化合物から、短時間かつ少ない処理工数の
もとに、元の繊維あるいは粒子の形状をほぼ保持した非
晶質シリカを高分解率で効率的に製造する方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】アスベストは、主として石綿スレートな
どの建築材料や自動車のブレーキパッドなどの分野にお
いて古くから使用されてきたが、発がん性を持つため
に、現在ではその使用が規制されている。そして、規制
前のアスベスト含有建材を用いている建築物の解体作業
においては、それに伴う粉塵や解体廃材そのものの処分
についての安全性が問題となっている。
【0003】そこで最近では、アスベストの無害化処
理、さらには新たな利用法を開発するための試みがなさ
れており、その中の一つの方法として、繊維状のアスベ
ストを硫酸または塩酸などの鉱酸で処理することによ
り、アスベストの元の繊維の形状を保持した形の非晶質
シリカを製造する方法(登録特許第1820509号)
が知られている。
【0004】しかし、この方法は、強酸を使用している
ために、アスベストからマグネシウム成分が溶脱すると
共に、残存する非晶質シリカ自身もその一部が強酸に溶
解してしまい、繊維形状が一部崩壊し易いという問題が
あるばかりか、強酸を扱うため処理時に人体への安全性
に注意を払う必要があり、さらには、処理後のマグネシ
ウムを含む酸を中和する工程を必要とすることから、工
程が繁雑でコストアップになるという問題があった。
【0005】そればかりか、上記の方法は、主にアスベ
ストを出発物質とする方法であり、アスベストを含有す
る石綿スレート板などのセメント系2次製品に適用した
場合には、その主結合剤である珪酸カルシウム系化合物
が強酸に対して分解および溶解してしまうため、元の繊
維あるいは粒子の形状が崩壊しやすく、固液分離時のろ
過性が著しく損なわれ、作業性の低下を招くという問題
もあった。
【0006】一方、珪酸カルシウム系化合物を出発物質
として、元の形状を保持した非晶質シリカを製造する方
法の従来例としては、(1)珪酸カルシウム系化合物を
酸性溶液中で処理する方法(特開昭61−6118号公
報、特開平10−323559号公報)、(2)炭酸ガ
スと珪酸カルシウム系化合物とを反応させた後に酸処理
する方法(特公昭51−14809号公報、特開平9−
255323号公報)、および(3)表面張力低減剤の
存在下で前記(1)または(2)の処理を行う方法(特
開2000−34118号公報)などが知られている。
【0007】しかし、これらの従来法においては、いず
れも弱酸を使用していることから、酸に対する安定性の
高いアスベストを処理することは困難であるばかりか、
処理後のカルシウムを含む酸を中和する工程を余分に必
要とし、工程的に繁雑であるという問題もあった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従
来技術における問題点の解決を課題として検討した結果
達成されたものである。
【0009】したがって、本発明の目的は、アスベスト
またはアスベストを含有する珪酸カルシウム系化合物か
ら、短時間かつ少ない処理工数のもとに、元の繊維の形
状をほぼ保持した非晶質シリカを高分解率で効率的に製
造する方法およびこの方法により得られた非晶質シリカ
を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を達成するために鋭意検討した結果、酢酸の存在下に
炭酸ガスを超臨界流体とする超臨界流体処理を行うこと
により、アスベストまたはアスベストを含有する珪酸カ
ルシウム系化合物を出発原料とする場合であっても、短
時間の処理で容易に元の繊維あるいは粒子の形状をほぼ
保った非晶質シリカが得られ、かつ、溶液中に溶脱した
マグネシウム成分またはマグネシウム/カルシウム成分
を処理後の反応系から加圧状態で排出することにより、
容易に非晶質シリカとマグネシウム成分またはマグネシ
ウム/カルシウム成分とを分離することができ、従来の
技術では炭酸化の後に酸洗浄を行っていた工程を大幅に
短縮ないし省略できることを見出し、本発明に到達し
た。
【0011】すなわち、本発明は、アスベストまたはア
スベストを含有する珪酸カルシウム系化合物を出発物質
とし、このアスベストまたはアスベストを含有する珪酸
カルシウム系化合物(固形分)と、濃度を5〜50重量
%に調整した酢酸水溶液(溶媒)とを、溶媒/固形分の
重量比が10〜50となるように混合した混合液を、炭
酸ガス圧4〜50MPa、温度70〜300℃の条件下
で超臨界流体処理し、固体として析出する非晶質シリカ
を回収することを特徴とする非晶質シリカの製造方法を
提供するものである。
【0012】なお、本発明の非晶質シリカの製造方法に
おいては、前記アスベストがクリソタイルを主成分とす
るアスベストであること、前記混合液中の酢酸のモル数
がアスベスト中のMgOまたはアスベストを含有する珪
酸カルシウム系化合物中の(MgO+CaO)のモル数
の2〜4倍であること、前記超臨界流体処理をオートク
レーブを用いて行なうこと、および前記超臨界流体処理
を終了した後の反応系から、溶液部分を加圧状態で排出
して、この溶液部分に含まれる酢酸マグネウムまたは酢
酸マグネシウム/酢酸カルシウムを分離析出させると共
に、前記反応系に残留した固体状の非晶質シリカを反応
系から回収することが、いずれも好ましい条件であり、
これらの条件を適用することにより、さらに好ましい効
果の取得を期待することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の構成および効果
についてさらに詳細に説明する。
【0014】本発明の非晶質シリカの製造方法において
出発物質として用いるアスベストの代表例としては、蛇
紋岩などから産出される繊維状のクリソタイルを主成分
とするものが挙げられるが、リザーダイト、アンチゴラ
イトなどの蛇紋石鉱物、ブルーサイトなどの不純物が含
まれていてもよい。また、アスベストを原料として用い
ている石綿スレート板、珪酸カルシウム板、中空押出
板、新生瓦および保温材板などの珪酸カルシウム系化合
物からなる建築材料またはその産業廃棄物を出発物質と
して用いることもでき、その場合にはリサイクルの観点
からの好ましい結果を実現することができる。
【0015】また、上記のアスベストまたはアスベスト
を含有する珪酸カルシウム系化合物は、スラリー、スラ
リーの脱水ケーキ、長繊維、粉末のいずれの形態であっ
てもよいが、酢酸水溶液の濃度と溶媒/固形分比との調
整が容易である点では粉末が好ましい。
【0016】本発明の非晶質シリカの製造方法は、酢酸
水溶液を溶媒、炭酸ガスを超臨界流体とする超臨界流体
処理を基本とするものである。
【0017】本発明において、超臨界流体処理とは、臨
界温度および臨界圧力を超えた状態にある流体、すなわ
ち炭酸ガスにより、不要となる成分である珪酸マグネシ
ウムまたは珪酸マグネシウム/珪酸カルシウムをもとの
形態を保持した非晶質シリカとマグネシウム塩/カルシ
ウム塩に分離する技術である。本発明では、炭酸高圧下
でアスベストまたはアスベストを含有する珪酸カルシウ
ム系化合物と酢酸が化学反応して酢酸マグネシウムまた
は酢酸マグネシウム/酢酸カルシウムを生成し、この酢
酸マグネシウムまたは酢酸マグネシウム/酢酸カルシウ
ムが溶液中に溶解すると共に、生成する非晶質シリカが
固体として析出することになる。
【0018】したがって、超臨界流体処理を終了した後
の反応系から、溶液部分を加圧状態で排出して、この溶
液部分に含まれる酢酸マグネシウムまたは酢酸マグネシ
ウム/酢酸カルシウムを分離析出させると共に、前記反
応系に残留した固体状の非晶質シリカを反応系から分離
回収することにより、元の繊維あるいは粒子の形状をほ
ぼ保持した非晶質シリカを高分解率で得ることができる
のである。
【0019】上記超臨界流体処理の反応系としては、密
閉系の反応容器、主としてオートクレーブが使用される
が、密閉系であれば、圧送ポンプと放圧弁とを備えた反
応塔および高圧釜なども使用することができる。
【0020】上記超臨界流体処理の処理条件としては、
アスベストまたはアスベストを含有する珪酸カルシウム
系化合物(固形分)と、濃度を5〜50重量%、好まし
くは10〜30重量%に調整した酢酸水溶液(溶媒)と
を、溶媒/固形分の重量比が10〜50、好ましくは2
0〜40となるように混合した混合液を、炭酸ガス圧4
〜50MPa、好ましくは10〜40MPa、温度70
〜300℃、好ましくは150〜300℃の条件で処理
することが重要である。
【0021】使用する酸としては、酢酸以外の酸でも可
能ではあるが、強酸では得られる非晶質シリカの外形が
崩壊するため好ましくない。特に塩酸を使用する場合
は、塩素分によって反応容器(オートクレーブ)の材質
である金属を激しく腐食させるため好ましくない。さら
には、アスベストまたはアスベストを含有する珪酸カル
シウム系化合物から溶脱したマグネシウムイオンまたは
マグネシウムイオン/カルシウムイオンを溶解する能力
が高い酸であることが好ましい。これは、反応の副産物
であるマグネシウム塩またはマグネシウム塩/カルシウ
ム塩と非晶質シリカを分離する操作が不必要になるため
である。したがって、弱酸であると共にカルシウム溶解
能力が高く、かつ取り扱いが容易で、安価な酢酸が最適
である。
【0022】酢酸水溶液の酢酸濃度は5〜50重量%の
範囲が好ましく、5重量%未満である場合は反応に長時
間を要するようになり、また50重量%を超えると反応
が急激に起こり、出発物質としてのアスベストまたはア
スベストを含有する珪酸カルシウム系化合物の外形が崩
壊しやすくなるため好ましくない。酢酸濃度が特に10
〜30重量%の範囲であることが、反応速度と得られる
非晶質シリカの外形の保持性の観点からさらに好まし
い。
【0023】溶媒/固形分の重量比は10〜50の範囲
が好ましく、50を超えると液体の量が多く固形物の量
が少なくなり、また10未満では粘度が高くなり反応が
不均質になると共に、反応により溶脱する酢酸マグネシ
ウムまたは酢酸マグネシウム/酢酸カルシウムが析出し
やすくなって、非晶質シリカとの分離操作が必要になる
ため好ましくない。溶媒/固形分の重量比が特に20〜
40の範囲であることが、反応の均質性と反応速度、な
らびにマグネシウムまたはマグネシウム/カルシウムと
非晶質シリカとの分離のしやすさの点でさらに好まし
い。
【0024】なお、酢酸水溶液の酢酸濃度と溶媒/固形
分の重量比から、添加する酢酸のモル数が求められる
が、この酢酸のモル数は処理するアスベストまたはアス
ベストを含有する珪酸カルシウム系化合物中のMgOモ
ル数または(MgO+CaO)モル数の2〜4倍、特に
3〜4倍とすることが好ましい。酢酸モル数が2倍未満
の場合は、アスベストまたはアスベストを含有する珪酸
カルシウム系化合物が完全に分解せずに残存すると共
に、溶脱したカルシウムから生成する炭酸マグネシウム
または炭酸マグネシウム/炭酸カルシウムが非晶質シリ
カ上に析出しやすくなるという好ましくない傾向を生じ
る。また、酢酸モル数が4倍を越える場合は、非晶質シ
リカは得られるが、反応後の溶液中に酢酸成分が過剰に
残存することから、中和工程が必要となるため好ましく
ない。
【0025】次に、上記の割合で酢酸水溶液とアスベス
トまたはアスベストを含有する珪酸カルシウム系化合物
とを混合した混合液を、反応容器、好ましくはオートク
レーブに充填し、炭酸ガスで4〜50MPaの範囲の圧
力に加圧し、70〜300℃の範囲の温度で超臨界流体
処理する。
【0026】ここで、炭酸ガスの圧力は、高圧であるほ
ど反応速度が大きくなることから、可能な限り高圧で処
理を行なうことが好ましいが、あまりに高圧にする場合
には、装置設備ならびにそのコストが大きくなるため、
通常は40MPaまでとすることが好ましい。また、4
MPa未満の炭酸ガス圧では、反応に長時間を必要とす
るため好ましくない。
【0027】加熱温度は70〜300℃が好ましく、7
0℃未満では反応速度が小さくなり、また300℃を越
える場合は反応速度はさらに大きくなるものの、装置設
備のコストが大きくなるため、いずれの場合も好ましく
ない。反応速度および反応装置のバランスから150〜
300℃の範囲の処理温度がさらに好ましい。
【0028】処理時間は30分から30時間が好ましい
が、用いるアスベストまたはアスベストを含有する珪酸
カルシウム系化合物の繊維長や粒度によって処理時間が
異なる。例えば、粉砕したアスベストを用いる場合は6
時間程度で反応が終了するが、長繊維のアスベストを用
いる場合は、炭酸ガス圧、処理温度、溶媒/固形分の重
量比、および酢酸/MgOモル比の各条件によっては5
〜60時間の処理が必要である。これは、長繊維の場合
は反応性に乏しく、さらに結晶表面から内部まで反応が
進みにくいことによるものと考えられる。
【0029】超臨界流体処理が終了した後は、加圧条件
下で反応容器内の液体を分離する。このためには反応容
器に液体取り出し口を設置しておく必要がある。例え
ば、オートクレーブ下部に出発物質が通過しない網など
を設置しておくことにより、液体を最下部に設置した液
体取り出し口からバルブの開閉によって取り出すことが
できる。
【0030】このようにして反応容器から取り出した液
体を、そのまま噴霧乾燥すれば酢酸マグネシウムまたは
酢酸マグネシウム/酢酸カルシウムの微粒子が得られ、
噴霧用のノズル形状や流速を変えることによって、分離
析出する微粒子の大きさや形状を制御することができ
る。また、液体をそのまま蒸発乾固することも可能であ
る。オートクレーブ内の液体を完全に取り出すには、炭
酸ガスや圧縮空気などの加圧気体を用いることが好まし
い。
【0031】そして、反応容器に残留した固体状物を分
離回収することにより、もとの形状をほぼ保持した非晶
質シリカを高分解率で容易に得ることができ、得られる
非晶質シリカには液体の付着がほとんどないため、洗浄
などの工程を省略してそのまま実用に供することが可能
である。また、反応容器から取り出した液体から回収さ
れた酢酸マグネシウムまたは酢酸マグネシウム/酢酸カ
ルシウムも、洗浄などの工程を経ることなく、そのまま
所望の用途に供することができる。
【0032】かくして、本発明の製造方法により効率的
に得られた非晶質シリカは、出発物質の形状をほぼ保持
したものであり、高純度珪酸質原料として、建築用ある
いは土木資材などの分野における添加剤や補強繊維の用
途、あるいは触媒担体や吸着剤の用途などに広く利用す
ることができる。
【0033】
【実施例】以下に、実施例および比較例を挙げて、本発
明の構成・効果をさらに説明する。
【0034】[実施例1]クリソタイルを主成分とする
天然アスベストを粉砕することにより、55メッシュの
フルイ上の粉体を得た。この粉体に対して、溶媒/固形
分の重量比が20、酢酸/MgOモル比が4.0となる
ように、酢酸濃度約12重量%の酢酸水溶液を添加し撹
拌することにより混合液を調製した。
【0035】次いで、上記の混合液をオートクレーブに
入れ、オートクレーブに取り付けた配管から炭酸ガスを
圧送し、炭酸ガス圧40MPa、温度150℃の条件で
40時間超臨界流体処理を行った。
【0036】その後、オートクレーブ内部の溶液を、オ
ートクレーブに取り付けた液体取り出し口から溶液用の
配管を通して、かつ別の配管から炭酸ガスで加圧しなが
ら、完全に取り出すと共に、溶液用の配管先端に取り付
けたノズルから噴出させることにより、粉体を分離析出
させた。
【0037】オートクレーブ内に残った固体は、X線回
折から非晶質シリカであり、前記の溶液から得た粉体は
酢酸マグネシウムであることがわかった。
【0038】このように、天然アスベストのような長繊
維であっても、超臨界流体処理処理で完全に分解するこ
とができると共に、マグネシウム成分を分離することが
できた。
【0039】得られた非晶質シリカのX線回折から求め
た分解率は100%であり、電子顕微鏡観察により元の
繊維あるいは粒子の形状をほぼ保持していることが確認
できた。
【0040】[実施例2]実施例1と同じ天然アスベス
トの粉砕物を出発物質として用い、この粉体に対して、
溶媒/固形分の重量比が20、酢酸/MgOモル比が
3.0となるように、酢酸濃度約10重量%の酢酸水溶
液を添加し撹拌することにより混合液を調製した。
【0041】次いで、上記の混合液を実施例1と同様の
オートクレーブに供し、炭酸ガス圧20MPa、温度2
00℃の条件で20時間超臨界流体処理を行った。
【0042】その後、オートクレーブ内部の溶液を、オ
ートクレーブに取り付けた液体取り出し口から溶液用の
配管を通して、かつ別の配管から炭酸ガスで加圧しなが
ら、完全に取り出すと共に、溶液用の配管先端に取り付
けたノズルから噴出させることにより、粉体を分離析出
させた。
【0043】オートクレーブ内に残った固体は、X線回
折から非晶質シリカであり、前記の溶液から得た粉体は
酢酸マグネシウムであることがわかった。
【0044】得られた非晶質シリカのX線回折から求め
た分解率は100%であり、電子顕微鏡観察により元の
繊維あるいは粒子の形状をほぼ保持していることが確認
できた。
【0045】[実施例3]アスベストを含有する石綿ス
レート板を粉砕することにより、55メッシュのフルイ
上の粉体を得た。この粉体に対して、溶媒/固形分の重
量比が20、酢酸/MgO+CaOモル比が4.0とな
るように、酢酸濃度約12重量%の酢酸水溶液を添加し
撹拌することにより混合液を調製した。
【0046】次いで、上記の混合液を実施例1と同様の
オートクレーブに供し、炭酸ガス圧17MPa、温度2
00℃の条件で20時間超臨界流体処理を行った。
【0047】その後、オートクレーブ内部の溶液を、オ
ートクレーブに取り付けた液体取り出し口から溶液用の
配管を通して、かつ別の配管から炭酸ガスで加圧しなが
ら、完全に取り出すと共に、溶液用の配管先端に取り付
けたノズルから噴出させることにより、粉体を分離析出
させた。
【0048】オートクレーブ内に残った固体は、X線回
折から非晶質シリカであり、前記の溶液から得た粉体は
酢酸カルシウムと酢酸マグネシウムの混合物であること
がわかった。
【0049】このように、アスベストを含有する珪酸カ
ルシウム系化合物を出発物質として用いる場合にも、こ
れを短時間のオートクレーブ処理で完全に分解すること
ができると共に、マグネシウム成分およびカルシウム成
分を分離することができた。
【0050】そして、得られた非晶質シリカのX線回折
から求めた分解率は100%であり、電子顕微鏡観察に
より元の繊維あるいは粒子の形状をほぼ保持しているこ
とが確認できた。
【0051】[比較例1]実施例1と同じ天然アスベス
トの粉砕物を出発物質として用い、この粉体に対して、
溶媒/固形分の重量比が10となるように、溶媒として
水を添加し撹拌することにより混合液を調製した。
【0052】次いで、上記の混合液を実施例1と同様の
オートクレーブに供し、炭酸ガス圧23MPa、温度2
50℃の条件で70時間超臨界流体処理を行った。
【0053】その後、オートクレーブ内部の溶液を、オ
ートクレーブに取り付けた液体取り出し口から溶液用の
配管を通して、かつ別の配管から炭酸ガスで加圧しなが
ら、完全に取り出すと共に、溶液用の配管先端に取り付
けたノズルから噴出させることにより、粉体を分離析出
させた。
【0054】オートクレーブ内に残った固体は、X線回
折から未反応のアスベストと、非晶質シリカと、炭酸マ
グネウムとが共存したものであり、アスベストのX線回
折から求めた分解率は45%であった。また、溶液から
得られた粉体は炭酸マグネウムであることがわかった。
【0055】このように、炭酸ガスと水だけからなる反
応系では、アスベストが完全に分解できないばかりか、
マグネシウム成分の分離も不十分であった。
【0056】また、オートクレーブ内の固体は、電子顕
微鏡観察により観察したところ、一部分解したアスベス
トの表面に炭酸マグネシウム粒子が付着していることが
確認できた。
【0057】[比較例2]実施例1と同じ天然アスベス
トの粉砕物を出発物質として用い、この粉体に対して、
溶媒/固形分の重量比が20、酢酸/MgOモル比が
4.0となるように、酢酸濃度約12重量%の酢酸水溶
液を添加し撹拌することにより混合液を調製した。
【0058】次いで、上記の混合液を実施例1と同様の
オートクレーブに供し、炭酸ガスを供することなく、飽
和水蒸気圧1.7MPa、温度200℃で70時間反応
を行った。
【0059】その後、容器中の混合液を濾過し、固体を
分離した。
【0060】得られた固体は、X線回折から未反応のア
スベストと、酢酸マグネシウムとが共存したものであ
り、アスベストのX線回折から求めた分解率は39%で
あった。
【0061】このように、酢酸水溶液だけからなる反応
系では、アスベストが十分に分解できないばかりか、マ
グネシウム成分の分離も不十分であった。
【0062】また、オートクレーブ内の固体は、電子顕
微鏡観察により観察したところ、一部分解したアスベス
トの表面に酢酸マグネシウム粒子が付着していることが
確認できた。
【0063】[比較例3]実施例1と同じ天然アスベス
トの粉砕物を出発物質として用い、この粉体に対して、
溶媒/固形分の重量比が20、酢酸/MgOモル比が
4.0となるように、酢酸濃度約12重量%の酢酸水溶
液を添加し撹拌することにより混合液を調製した。
【0064】次いで、上記の混合液を実施例1と同様の
オートクレーブに供し、炭酸ガス圧7MPa、温度60
℃の条件で20時間超臨界流体処理を行った。
【0065】その後、オートクレーブ内部の溶液を、オ
ートクレーブに取り付けた液体取り出し口から溶液用の
配管を通して、かつ別の配管から炭酸ガスで加圧しなが
ら、完全に取り出すと共に、溶液用の配管先端に取り付
けたノズルから噴出させることにより、粉体を分離析出
させた。
【0066】オートクレーブ内に残った固体はX線回折
から未反応のアスベストと、非晶質シリカと、酢酸マグ
ネシウムとが共存したものとであり、アスベストのX線
回折から求めた分解率は53%であった。また、溶液か
ら得た粉体は炭酸マグネシウムであることがわかった。
【0067】このように、炭酸ガス加圧下で酢酸とアス
ベストとを反応させたとしても、圧力・温度条件を適正
に制御しない場合には、アスベストを完全に分解するこ
とはできない。
【0068】以上の実施例1〜3および比較例1〜3の
処理条件および処理結果を表1にとりまとめた。
【表1】
【0069】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
アスベストまたはアスベストを含有する珪酸カルシウム
系化合物を出発物質として、短時間かつ少ない処理工数
のもとに、元の繊維あるいは粒子の形状をほぼ保持した
非晶質シリカを高分解率で効率的に得ることができると
共に、溶脱したマグネシウムまたはマグネシウム/カル
シウムを分離することができる。
【0070】そして、本発明の方法により得られた非晶
質シリカは、建築用あるいは土木資材などの分野におけ
る添加剤や補強繊維の用途、あるいは触媒担体や吸着剤
の用途などに、新たな高純度珪酸質原料として広く利用
することができる。
フロントページの続き Fターム(参考) 4G066 AA16A AA17A AA22B AA30A AA68A AA80A AB07A CA43 DA03 FA03 FA34 FA35 FA37 4G072 AA25 BB04 BB05 BB13 GG01 GG03 HH23 JJ11 JJ12 JJ30 JJ41 LL15 MM01 MM21 RR12

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アスベストまたはアスベストを含有する
    珪酸カルシウム系化合物を出発物質とし、このアスベス
    トまたはアスベストを含有する珪酸カルシウム系化合物
    (固形分)と、濃度を5〜50重量%に調整した酢酸水
    溶液(溶媒)とを、溶媒/固形分の重量比が10〜50
    となるように混合した混合液を、炭酸ガス圧4〜50M
    Pa、温度70〜300℃の条件下で超臨界流体処理
    し、固体として析出する非晶質シリカを回収することを
    特徴とする非晶質シリカの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記アスベストがクリソタイルを主成分
    とするアスベストであることを特徴とする請求項1記載
    の非晶質シリカの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記混合液中の酢酸のモル数が、アスベ
    スト中のMgOまたはアスベストを含有する珪酸カルシ
    ウム系化合物中の(MgO+CaO)のモル数の2〜4
    倍であることを特徴とする請求項1または2記載の非晶
    質シリカの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記超臨界流体処理をオートクレーブを
    用いて行なうことを特徴とする請求項1〜3のいずれか
    1項記載の非晶質シリカの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記超臨界流体処理を終了した後の反応
    系から、溶液部分を加圧状態で排出して、この溶液部分
    に含まれる酢酸マグネウムまたは酢酸マグネシウム/酢
    酸カルシウムを分離析出させると共に、前記反応系に残
    留した固体状の非晶質シリカを反応系から回収すること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の非晶質
    シリカの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008272582A (ja) * 2007-02-09 2008-11-13 Tokyo Kogei Univ アスベストの無害化処理方法及び炭酸マグネシウムの生成方法

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