JP2003103405A - 切削工具及びホルダー付き工具 - Google Patents

切削工具及びホルダー付き工具

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JP2003103405A
JP2003103405A JP2001302829A JP2001302829A JP2003103405A JP 2003103405 A JP2003103405 A JP 2003103405A JP 2001302829 A JP2001302829 A JP 2001302829A JP 2001302829 A JP2001302829 A JP 2001302829A JP 2003103405 A JP2003103405 A JP 2003103405A
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JP
Japan
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cutting tool
hard coating
base material
cutting
tool
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JP2001302829A
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Hideki Kato
英喜 加藤
Makoto Nomura
誠 野村
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Niterra Co Ltd
Original Assignee
NGK Spark Plug Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 基材とその表面に設けられた硬質
被膜とを有して成る切削工具において、残留圧縮応力に
基づいて発生する前記硬質被膜の自己破損等の欠点を解
消し、耐摩耗性や耐溶着性等の切削性能を安定的かつ良
好に発揮することのできる切削工具及びこれを用いたホ
ルダー付き工具を提供すること。 【解決手段】 基材2と該基材の表面に設けられ
た硬質被膜3とを有して成る切削工具において、前記硬
質被膜は、その最大厚が1〜6μmであり、前記基材の
稜線を形成する前記基材の2面のなす角の仮想的な二等
分線7に沿った厚みdが前記最大厚の0〜50%である
部分を有することを特徴とする切削工具及びこれを用い
たホルダー付き工具。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、切削工具及びホル
ダー付き工具に関し、更に詳しくは、耐摩耗性に優れた
硬質被膜を有して成る切削工具及びこれを使用したホル
ダー付き工具に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、基材とその表面に設けられた硬質
被膜とを有して成る切削工具は、その硬質被膜の残留圧
縮応力が大きいと、耐欠損性や耐熱衝撃性にすぐれた性
能を発揮することが知られている。特にTiAlN系の
PVD(物理蒸着法)コーティング膜は、被覆工程で行
われるTiAlのイオン化に高エネルギーが必要である
ので、TiN膜やTiCN膜に比べ、その被膜中に存在
する残留圧縮応力が大きい傾向があった。そのためTi
AlN系のPVDコーティング膜は、耐欠損性や耐熱衝
撃性にすぐれた性能を発揮する。
【0003】しかし逆に、前記PVDコーティング膜
は、残留圧縮応力が高いために、特に刃先が鋭い(鋭角
な刃先の)切削工具に使用した場合、自分の応力に耐え
られずに、自己破壊を起こし、剥離を生ずる場合があっ
た。その結果その切削工具は、基材が露出し、耐摩耗
性、耐溶着性及び耐熱衝撃性等の切削性能が安定しない
ことがあり、最悪の場合、切削性能の低下を招くことが
あった。
【0004】そのため、各PVDの装置メーカーや切削
工具メーカーは、剥離を生じない範囲に被覆条件を調整
し、コーティングを実施している。しかしながら、現状
では、コーティングロットのバラツキや基材の形状及び
表面状態等の影響で、剥離を完全に抑制するまでには到
っておらず、このように調製したPVDコーティング膜
であっても、電子顕微鏡で拡大して見ると、微少な剥離
が多数存在していた。
【0005】また、剥離を生じないコーティングを調製
するために、被膜の膜厚を薄くする手法をとるケースも
ある。
【0006】しかしその場合には、膜厚が薄いので、性
能も低下する傾向があり、性能的に満足のいくものは得
られなかった。
【0007】またPVDコーティング膜は、剥離が生じ
ていなくても、これを備えた切削工具を切削加工に使用
した場合、切削時に過酷な力がその刃先に加わるので、
加工初期においてより広範囲に剥離する場合があり、そ
の残留応力が切削性能に悪影響を及ぼすことが認められ
た。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこの様な事情
に着目してなされたものであって、その目的は、基材と
その表面に設けられた硬質被膜とを有して成る切削工具
において、残留圧縮応力に基づいて発生する前記硬質被
膜の自己破損等の欠点を解消し、耐摩耗性や耐溶着性等
の切削性能を安定的かつ良好に発揮することのできる切
削工具及びこれを用いたホルダー付き工具を提供するこ
とにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
のこの発明は、基材と該基材の表面に設けられた硬質被
膜とを有して成る切削工具において、前記硬質被膜は、
その最大厚が1〜6μmであり、前記基材の稜線を形成
する前記基材の2面のなす角の仮想的な二等分線に沿っ
た、稜線における厚みが前記最大厚の0〜50%である
ことを特徴とする切削工具であり、前記切削工具の好適
な態様において、前記基材は、サーメット、超硬合金、
セラミック及びハイスよりなる群から選択される少なく
とも一種の硬質材料であり、前記硬質被膜は、物理蒸着
法により前記基材の表面に設けられて成り、前記硬質被
膜は、TiAlN系である。
【0010】また他の発明は、前記いずれかの切削工具
と、該切削工具を所定の部分に装着可能とするホルダー
とを有して成ることを特徴とするホルダー付き工具であ
り、このホルダー付き工具はフライス加工用工具又は溝
入れ加工用工具に好適である。
【0011】
【発明の実施の形態】この発明に係る切削工具は、基材
と該基材の表面に設けられた硬質被膜とを有して成る。
【0012】この基材は、硬質材料で形成されることが
でき、特にサーメット、超硬合金、セラミック及びハイ
スよりなる群から選択される少なくとも一種の硬質材料
で形成されることができる。
【0013】超硬合金としては、高融点金属の炭化物粉
末をFe、Co、Ni等の鉄系金属で焼結結合した複合
合金を挙げることができる。この発明における基材を形
成する超硬合金としては、WC−Co系超硬合金、WC
−TiC−Co系超硬合金、WC−TaC−Co系超硬
合金、WC−TiC−Ta(Nb)C−Co系超硬合金
等を挙げることができる。また、場合によっては、WC
−Ni合金及びWC−Ni−Cr合金も使用することが
できる。
【0014】前記サーメットとしては、Ti−Mo
−Ni等のTiC−Ni−Mo(MoC)系サーメッ
ト、TiC−TiN−Ni−Mo及びTiC−TiN−
Ni−MoC等のTiC−TiN−Ni−Mo(Mo
C)系サーメット、TiC−TiN−WC−TaC−
Mo−Ni−Co系サーメット、Cr−Ni系サ
ーメット、Al−Feサーメット、Al
Crサーメット等を挙げることができる。
【0015】前記セラミックとしては、純Al
セラミック、Al−Ti系セラミック、Al
−ZrO系セラミック、Al−Zr複合化合
物系セラミック等を挙げることができる。
【0016】前記ハイスとしては、例えばSKH4A及
びSKH55を挙げることができる。
【0017】なお、用途によっては、基材として焼結ダ
イヤモンド、立方晶窒化ホウ素焼結体も使用することが
できる。
【0018】上記各種の硬質材料の中でも、超硬合金が
好ましく、特に、WC−TiC−Ta(Nb)C−Co
系超硬合金が好ましく、特にWC−Co系超硬合金のK
種が好ましい。
【0019】基材の形状としては、ホルダー付き工具に
装着される切削工具の形状を挙げることができ、インサ
ート、チップ等の切削工具に仕上げることができる公知
の形状を挙げることができる。
【0020】基材は、例えば、前記各種の材料の粉末を
所定の形状に成形し、焼結することにより得ることがで
き、それ自体公知の製造方法により得ることができる。
【0021】前記硬質被膜は、切削工具に高硬度及び高
耐磨耗性等の機能を付与する膜である。
【0022】前記硬質被膜の材料は、切削工具に高硬度
及び高耐磨耗性等の機能を付与することができ、前記基
材上に被膜を形成することができれば特に制限はなく、
例えば金属と非金属とから成る材料を挙げることができ
る。
【0023】前記金属としては、例えばTi、Al、
W、Mo、Cr、Ta、Sn、Y、Ce、Si、Hf、
Zr及びNb並びにこれらから成る合金を挙げることが
できる。前記合金としては、例えばTiAl、TiSi
及びTiSnを挙げることができ、さらにこれらの合金
に他の金属成分を混合したもの、例えばTiAlに4
a、5a、6a族金属やSi、Yおよび希土類元素等の
金属成分を固溶した組成の合金でもよい。
【0024】前記非金属としては、例えばN、C、O及
びBを挙げることができる。
【0025】これらの金属と非金属とから成る化合物と
しては、例えばTiC、TiN、Ti(C,N)、Al
、TiAlN、CrN、WN、MnN、WC、Zr
C、TaC、MoSi、Si及びSiCを挙げ
ることができる。これらの中でもTiC、TiN、Ti
(C,N)、及びTiAlNが好ましく、特にTiAlN
が好適である。TiAlNは、耐磨耗性及び耐熱性が大
きく、またPVD等により容易に被膜を形成させること
ができる点で好ましい。
【0026】前記前記硬質被膜の材料において、これを
構成する金属と非金属との含有率は、前記機能が好適に
発揮されれば特に制限はなく、目的に応じて適宜決定す
ることができる。また前記化合物を構成する金属として
合金を用いた場合においては、その合金における、その
合金を形成する複数の金属の含有率も、前記機能が好適
に発揮されれば特に制限はなく、目的に応じて適宜決定
することができる。
【0027】前記硬質被膜は、その最大厚が1〜6μm
である。前記最大厚が1μm未満であると、所望の切削
性能、すなわち高い耐磨耗性及び耐溶着性を得ることが
できず、前記最大厚が6μmを越えると、前記硬質被膜
の残留応力が大きくなるので、被膜の自己破壊が生じ、
切削性能が低下する。なお、前記硬質皮膜における最大
厚が認められる部位は、基材における平面部分乃至湾曲
面である。より具体的には、インサート又はチップと称
される切削工具においては、逃げ面乃至すくい面にて、
硬質皮膜の最大厚を認めることができる。
【0028】前記硬質被膜は、前記基材の稜線を形成す
る前記基材の2面のなす角の仮想的な二等分線に沿った
厚みが前記最大厚の0〜50%である部分を有する。
【0029】稜線における膜厚につき、より具体的に、
図1を参照しながら、説明する。
【0030】図1に示すように切削工具1は、基材2と
その表面上に設けられた硬質被膜3とを有して成る。基
材2は、面5と、面5とともに稜線4を形成する面6と
を有する。
【0031】ここで面5と面6とが成す角の二等分線7
を考える。図1においては、この角の大きさをαと表記
している。二等分線7に沿った硬質被膜3の厚みをdと
する。「前記基材の稜線を形成する前記基材の2面のな
す角の仮想的な二等分線に沿った厚みが前記最大厚の0
〜50%である」とは、この厚みdが硬質被膜3の最大
厚の0〜50%であることをいう。
【0032】厚みdが硬質被膜3の最大厚の0〜50%
であると、稜線4付近に存在する硬質被膜形成物質の量
が減少することから、硬質被膜3の残留応力を開放させ
ることができ、その結果、硬質被膜3の残留圧縮応力が
低減し、加工初期に生じる硬質被膜3の剥離現象を抑制
することができる。厚みdが硬質被膜3の最大厚の50
%を越えると、硬質被膜3の残留応力を効果的に開放さ
せることができるほど稜線4付近に存在する硬質被膜形
成物質の量が減少しないので、硬質被膜3の残留圧縮応
力の低減及び加工初期に生じる硬質被膜3の剥離現象の
抑制を図ることができない。なお、この発明において
は、厚みdが0%である場合を含む。
【0033】この発明における切削工具においては、前
記基材のすべての稜線におけるすべての部分に対して厚
みdが前記最大厚の0〜50%である必要はない。この
発明における切削工具の硬質被膜においては、この発明
の目的を達成することができるように、前記硬質被膜の
残留応力を低減させることのできるように、厚みdが前
記最大厚の0〜50%である部分を少なくとも稜線の一
部に有していればよい。なお、切削工具の切れ刃となり
得るところの、前記基材の稜線において、その稜線の長
さに対して少なくとも50〜100%の稜線部分におけ
る硬質皮膜の厚みdが前記最大厚の0〜50%である
と、最も前記の残留応力を開放する効果が大きい。
【0034】前記硬質被膜の構造は、その厚みが前記条
件を満たしていれば、単層であっても、二重層以上の多
重層であってもかまわない。硬質皮膜が多重層である場
合、各層を形成する材料が相違していても同じであって
も良い。前記硬質被膜を多重層にする場合には、その硬
質被膜は、前述の材料の中から適宜選択される材料によ
り形成される複数の硬質材料層を積層させることによっ
て形成することができる。
【0035】前記硬質被膜の形成方法としては、前述の
条件を満たす硬質被膜を形成することができれば特に制
限はなく、例えばPVD及びCVDを挙げることができ
る。特にPVDは、CVDよりも低温でコーティング処
理を行うことができるので、得られる切削工具の強度が
大きいという利点を有する。特にPVDにより形成され
た硬質被膜は、特に耐ピッチング性に優れ、断続切削に
適するので、フライス切削に好適に使用することができ
る。またPVDによれば、切削工具のじん性の低下を招
くことがないという利点がある。
【0036】前記PVDとしては、例えば真空蒸着法、
スパッタリング法及びイオンプレーティング法を挙げる
ことができる。これらの中で、イオンプレーティング法
が、耐磨耗性、耐摩擦性及び耐食性の大きい被膜を好適
に形成することができ、複雑な形状を有する基材上に均
一な厚みを有する被膜を形成することができ、また廃液
を生じない等の利点があるので特に好ましい。
【0037】前記イオンプレーティング法としては、例
えば通常のイオンプレーティング法、反応性イオンプレ
ーティング法、反応性HCD法、ARE法、高周波イオ
ンプレーティング法、クラスタイオンプレーティング法
及びアークイオンプレーティング法を挙げることができ
る。これらの中で、アークイオンプレーティング法が、
TiAl等をコーティングするときに必要な高エネルギ
ーを容易に得ることができ、得られる被膜の基材に対す
る密着性が良いという利点があるので、特に好適に使用
される。
【0038】アークイオンプレーティング法により切削
工具を製造する一例を以下に説明する。
【0039】図4に示すようなアークイオンプレーティ
ング装置(アークイオン式PVD装置)22を用い、そ
の真空チャンバ内のターンテーブル24上に基材25を
配置する。真空チャンバ23内に反応ガス、例えばN
を供給しながら、ターンテーブル24を介して基材25
にバイアス電源(−)を印加するとともに、硬質被膜の
材料となる金属、例えばTiAl合金を備えた蒸発源で
あるカソード26にアーク電圧(−)を印加する。
【0040】こうすることによってカソード26から例
えばTi及びAl等の金属イオンが基材25の表面に蒸
着するとともに、これと供給されたNガスとが反応
し、基材25表面に例えば(Ti、Al)N等の硬質被
膜が形成される。硬質被膜の膜厚は、被覆時間を調整す
ることによって、調整することができる。
【0041】被覆条件の一例を、以下に示す。 金属材料:Ti/Al=1のTiAl合金 反応ガス圧:1.20Pa 基材温度:600℃ バイアス圧力:−100V アーク電流:50V この発明に係る切削工具は、前記硬質被膜が前記の条件
を満たすように形成されれば、上記製造方法に特に制限
はない。
【0042】例えば、この発明に係る切削工具は、前記
基材全体に最大厚が1〜6μmとなるように硬質被膜を
形成させた後、その稜線部分の前記硬質被膜を削り取っ
て、前記条件を満たす硬質被膜を形成することにより製
造することができる。またこの発明に係る切削工具は、
前記基材の稜線部分をマスキングして、その基材上に前
記条件を満たすように硬質被膜を形成することにより製
造することもできる。
【0043】このようにして得られた切削工具にブラス
ト処理を行ったり、この切削工具の刃先処理を少なくし
たりすることにより、その硬質被膜が前記条件を満たす
ようにしてこの発明に係る切削工具を得ることもでき
る。
【0044】いずれの製造方法によるにせよ、この発明
に係る切削工具の形状および大きさは、この発明の目的
を達成することができれば特に制限はなく、使用目的等
に応じて適宜決定することができる。
【0045】この発明に係る切削工具の一具体例を図2
及び図3に示す。図2は、この発明に係る切削工具であ
る切削工具11の斜視図である。切削工具1は、例えば
JIS規格K10相当の超硬合金(WC−Co系)から
成る基材をISO規格SPGN120312に規定され
る形状に研磨加工し、その表面に、前記条件を満たすT
iAlN系の硬質被膜12を設けて成るスローアウェイ
切削工具である。すなわち切削工具1においては、硬質
被膜12は、その最大厚が1〜6μmであり、前記基材
の稜線を形成する前記基材の2面のなす角の仮想的な二
等分線上に沿った厚みが前記最大厚の0〜50%であ
る。
【0046】切削工具1は、ネガ型の切削工具である
が、この発明に係る切削工具においては、図3に示す切
削工具21のように、ポジ型の切削工具とすることもで
きる。
【0047】この発明に係る切削工具の使用方法は、従
来の切削工具と同様である。この発明に係る切削工具に
おいては、硬質被膜は、その最大厚が1〜6μmであ
り、前記基材の稜線を形成する前記基材の2面のなす角
の仮想的な二等分線上に沿った厚みの全部又は一部が前
記最大厚の0〜50%であるので、稜線における硬質被
膜の残留圧縮応力が低減している。このためこの発明に
係る切削工具は、従来の切削工具と同様に使用した場合
でも、稜線部分で自己破壊による硬質被膜の剥離が生じ
にくい。しかも切削工具における稜線を形成するための
2面における硬質皮膜はその最大厚が1〜6μmである
から、この2面においては残留圧縮応力が残存していて
この2面における硬質皮膜は大きな耐欠損性及び耐熱衝
撃性を維持している。このような理由から、この発明に
係る切削工具は、耐摩耗性、耐溶着性及び耐熱衝撃性等
の切削性能が良好である。
【0048】この発明に係る切削工具をホルダーに装着
することにより、ホルダー付き工具として使用すること
ができる。
【0049】前記ホルダー付き工具としては、この発明
に係る切削工具とホルダーとから形成することができれ
ば特に制限はなく、例えばバイト、ドリル、フライス及
びブローチを挙げることができる。
【0050】図5及び図6を用いて、前記ホルダー付き
工具の一具体例であるフライスカッター27について説
明する。図5は、フライスカッター27の平面図であ
り、図6は、フライスカッター27の正面図である。
【0051】図5及び図6に示したようにフライスカッ
ター27は、ホルダである略円柱状のカッターボディ本
体28を有し、カッターボディ本体28には、その先端
側(加工面側)の外周に沿って8箇所に切削部29が設
けられている。
【0052】つまりカッターボディ本体28の先端側の
外周に沿って8箇所に凹状の取り付け部30が設けら
れ、各取り付け部30内に切削工具11、切削工具11
を取り付けるための合金鋼製のカートリッジ31、及び
同じ合金鋼製のクサビ32等の部材が配置されて、その
各々において切削部29が形成されている。
【0053】なお図6ではフライスカッターの構造を明
瞭にするために、8つの切削部29のうち、2つの切削
部29には切削工具11が配置されておらず、1つの切
削部29には切削工具11及びクサビ32が配置されて
いない状態を示している。
【0054】フライスカッター27の使用方法は、従来
のフライスカッターと同様である。前述のように切削工
具11は、自己破壊による硬質被膜の剥離が生ずる傾向
が小さい。フライスカッター27は、11を有している
ので、従来のフライスカッターに比較して、耐摩耗性、
耐溶着性及び耐熱衝撃性等の切削性能が良好である。
【0055】
【実施例】以下、実施例によりこの発明をさらに具体的
に説明する。 (切削工具の作成)JIS規格K10相当の超硬合金を
ISO規格SPGN120312の形状に研磨可能し、
基材を作成した。
【0056】次に前述のアークイオンプレーティング装
置22を用いて、前述の被覆条件により、前記基材表面
に硬質被膜を形成させた。被覆時間を調整することによ
り種々の膜厚を有する前記硬質被膜を形成させた。
【0057】このようにして得られた各種切削工具に対
し、実施例1〜6においては、ブラスト処理を施し、そ
の切削工具の全稜線部の硬質被膜を除去し、その稜線を
形成する前記基材の2面のなす角の仮想的な二等分線上
に沿った硬質被膜の厚みが、その硬質被膜の最大厚の0
〜50%となるように調整した。一方前記各種切削工具
に対し、比較例1〜3においては、ブラスト処理を行わ
なかった。
【0058】実施例1〜6から、それぞれ試料No.2
〜5、No.8及びNo.9の切削工具が得られた。比
較例1〜3から、それぞれ試料No.1、No.6及び
No.7の切削工具が得られた。
【0059】(膜厚の測定)試料No.1〜9の切削工
具の最大厚、及び前記基材の稜線を形成する前記基材の
2面のなす角の仮想的な二等分線上に沿った厚み(以下
「稜線部厚」という)を測定し、前記最大厚に対する前
記稜線部厚の比率を求めた。
【0060】前記最大厚及び前記稜線部厚は、前記切削
工具を切断し、その断面を走査型電子顕微鏡により50
00倍の倍率で観察することにより求めた。
【0061】その結果を表1に示した。
【0062】(切削試験)試料No.1〜9の切削工具
に対して切削試験を行った。切削試験は、前述のカッタ
ーボディ本体28に前記各切削工具を装着し、得られた
ホルダー付き工具を用いて、以下の条件に従って被削材
を切削することにより行った。この試験を行った後、前
記各切削工具の磨耗量を測定した。図7に示したよう
に、切削試験に供した切削工具33の横逃げ面側34に
生じた旋削方向の摩耗高さを前記磨耗量(図7において
は「Vn」と表記)とした。
【0063】その結果を表1に示した。
【0064】 切削速度:300m/min 送り速度:0.15mm/刃 切り込み:1.5mm 被削材:FCD450 切削方式:乾式 加工時間:15分 刃先処理:0.05mm×25°
【0065】
【表1】
【0066】表1からも明らかなように、この発明に係
る切削工具は、比較品に対して切削性能が優れており、
これを実際の切削加工に使用した場合は、安定した切削
加工を長時間行うことが可能となる。
【0067】
【発明の効果】この発明に係る切削工具は、硬質被膜の
残留圧縮応力が小さいので、残留圧縮応力に基づく前記
硬質被膜の自己破損性が小さい。このためこの発明に係
る切削工具は、耐摩耗性や耐溶着性等の切削性能を安定
的かつ良好に、長期に渡って発揮することができる。
【0068】この発明に係るホルダー付き工具は、前記
切削工具を有するので、前記切削性能を安定的かつ良好
に、長期に渡って発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明の一例である切削工具1にお
ける稜線を形成する部分の拡大断面図である。
【図2】図2は、切削工具11の斜視図である。
【図3】図3は、切削工具21の斜視図である。
【図4】図4は、アークイオンプレーティング装置22
の説明図である。
【図5】図5は、フライスカッター27の平面図であ
る。
【図6】図6は、フライスカッター27の正面図であ
る。
【図7】図7は、逃げ面摩耗量の求め方を示す説明図で
ある。
【符号の説明】
1・・切削工具、2・・基材、3・・硬質被膜、4・稜
線、5・・面、6・・面、7・二等分線、11・・切削
工具、12・・硬質被膜、21・・切削工具、22・・
アークイオンプレーティング装置、23・・真空チャン
バ、24・・ターンテーブル、25・・基材、26・・
カソード、27・・フライスカッター、28・・カッタ
ーボディ本体、29・・切削部、30・・取り付け部、
31・・カートリッジ、32・・クサビ、33・・切削
工具、34・・横逃げ面、d・・厚み、Vn・・磨耗量
フロントページの続き Fターム(参考) 3C046 FF03 FF04 FF05 FF10 FF13 FF19 FF25 4K029 AA02 AA04 BA58 BD05 CA03 DD06 EA01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材と該基材の表面に設けられた硬質被
    膜とを有して成る切削工具において、前記硬質被膜は、
    その最大厚が1〜6μmであり、前記基材の稜線を形成
    する前記基材の2面のなす角の仮想的な二等分線に沿っ
    た、稜線における厚みが前記最大厚の0〜50%である
    ことを特徴とする切削工具。
  2. 【請求項2】 前記基材は、サーメット、超硬合金、セ
    ラミック及びハイスよりなる群から選択される少なくと
    も一種の硬質材料である請求項1に記載の切削工具。
  3. 【請求項3】 前記硬質被膜は、物理蒸着法により前記
    基材の表面に設けられている請求項1又は2に記載の切
    削工具。
  4. 【請求項4】 前記硬質被膜は、TiAlN系である請
    求項1〜3のいずれか1項に記載の切削工具。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の切
    削工具と、該切削工具を所定の部分に装着可能とするホ
    ルダーとを有して成ることを特徴とするホルダー付き工
    具。
  6. 【請求項6】 前記ホルダー付き工具が、フライス加工
    用工具又は溝入れ加工用工具である前記請求項5に記載
    のホルダー付き工具。
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