JP2003103349A - 鋼の連続鋳造方法及び設備 - Google Patents

鋼の連続鋳造方法及び設備

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JP2003103349A JP2002022450A JP2002022450A JP2003103349A JP 2003103349 A JP2003103349 A JP 2003103349A JP 2002022450 A JP2002022450 A JP 2002022450A JP 2002022450 A JP2002022450 A JP 2002022450A JP 2003103349 A JP2003103349 A JP 2003103349A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 捕捉される気泡、非金属介在物及び鋳片表面
偏析、モールドフラックス起因の表面欠陥や内部介在的
の少ない鋳片を鋳造して、高品質の金属製品の製造を可
能とする。 【解決手段】 鋳型10の長辺方向に3個以上の電磁石
(28)を配置し、隣り同士の交流コイル24で発生す
る磁場を実質反転させることで、溶鋼に位相が実質反転
する振動電磁界を作用させ、且つ、直流コイル34によ
り鋳型の厚み方向に静磁界を重畳することで、局所的な
流動を励起させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼の連続鋳造方法
及び設備に係り、特に、磁界印加による鋳型内溶鋼流動
の改善に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車用鋼板を中心として、鋼製
品の品質向上要求が厳しくなり、スラブ段階から清浄度
の優れた高品質のスラブの要求が高まっている。スラブ
の欠陥には、介在物や気泡に起因するものや、溶鋼中の
成分の偏析に起因するものがあり、鋳型内の流動は、こ
れらと深い関係があるため、多くの研究、発明がなされ
てきた。その一つとして、磁界を用いた鋳型内流動制御
方法が考えられている。
【0003】例えば、(A)移動磁界に直流磁界を重畳
したものとして、特開平10−305353号公報に
は、鋳型長辺を挟み対向する上下2段の磁極を鋳型長辺
背面に配置し、(1)下側に配置した磁極に直流静磁界
と交流移動磁界とが重畳された磁界とする、あるいは、
(2)上側に配置した磁極に直流静磁界と交流移動磁界
とが重畳された磁界とし、下側に配置した磁極に直流静
磁界を印加する鋳型内溶鋼流動の制御方法が開示されて
いる。
【0004】特許第3067916号公報には、複数個
設置した電気コイルに適当なリニア駆動用交流電流と制
動用直流電流を流すことにより、鋳型内溶鋼流動を制御
する装置が開示されている。
【0005】特開平5−154623号公報には、位相
が120度ずつずれた交流移動磁界と直流静磁界とを重
畳する鋳型内流動制御方法が開示されている。
【0006】特開平6−190520号公報には、浸漬
ノズル吐出孔の上方に置いた磁石により、幅方向全域に
静磁界と高周波磁界を重畳して作用させると共に、吐出
孔の下方に置いた磁石により、静磁界を作用させる鋼の
鋳造方法が開示されている。
【0007】又、(B)上部直流磁界と下部移動磁界を
組合せたものとして、特開昭61−193755号公報
には、浸漬ノズルから吐出された溶鋼流を包囲する位置
に静磁場をかけ、流速を低下させると共に、静磁場より
も下流位置に電磁撹拌装置を設置して水平方向に撹拌す
る電磁撹拌方法が開示されている。
【0008】又、(C)上部移動磁界と下部直流磁界を
組合わせたものとして、特開平6−226409号公報
には、湯面から吐出孔(下向き50度以上)の間に極芯
中心を設置した磁石により移動磁界を作用させると共
に、極芯中心を浸漬ノズルより下部に設置した磁石によ
り静磁場を作用させる鋳造方法が開示されている。
【0009】特開平9−262651号公報には、浸漬
ノズル下端よりも上部に電磁撹拌用磁石を設置し、浸漬
ノズル下端よりも下部に移動磁界と静磁界が印加できる
磁石を設置し、鋼種や鋳造速度に応じて静磁場と移動磁
場を使い分ける鋳造方法が開示されている。
【0010】特開2000−271710号公報には、
浸漬ノズル内にArガスを吹き込みながら鋼を鋳造する
時に、浸漬ノズルから出た直後の溶鋼流に磁束密度が
0.1テスラ以上の静磁場を作用させ、その上部で電磁
撹拌装置により連続的に撹拌、あるいは、撹拌方向を周
期的に変化させる方法が開示されている。
【0011】特開昭61−140355号公報には、鋳
型長辺側に鋳型内に供給される溶鋼電流を制御するよう
に配された静磁場を有し、上方に移動磁界発生装置を配
して、溶鋼上表面を水平断面中央から短辺側へ流動させ
る鋳型及び鋳型上方の構造が開示されている。
【0012】特開昭63−119959号公報には、モ
ールド上部に、溶鋼に水平流動を生じさせる電磁撹拌装
置、モールド下部に、浸漬ノズルからの吐出流を減速す
るための電磁ブレーキを設置して、浸漬ノズルから出る
吐出流を制御する技術が開示されている。
【0013】特許第2856960号公報には、連続鋳
型内の溶鋼湯面に静磁場を用い、連鋳用ノズルとしてス
トレートノズルを使用し、吐出口部に進行磁場を用い、
その下部に静磁場を用いる鋳型内溶鋼流動制御技術が開
示されている。
【0014】又、(D)直磁磁界を単独で印加するもの
として、特開平3−258442号公報には、鋳型長辺
側に対向して設置した、長辺とほぼ同じ長さの電磁石に
より静磁場を作用させる電磁ブレーキが開示されてい
る。
【0015】特開平8−19841号公報には、鋳型幅
中央ないし鋳型短辺より内側の所定位置から両端部近傍
にかけて、鋳型上方側へ曲げるか傾斜させた磁極を、幅
中央部で浸漬ノズル吐出孔より下部に設置し、直流磁場
あるいは低周波交流磁場を作用させることによって鋳型
内の溶鋼流動を制御する方法が開示されている。
【0016】国際公開特許WO95/26243号公報
には、鋳型全幅にわたって、ほぼ均一な磁束密度分布を
有する直流磁場を、鋳型厚み方向に加えて、浸漬ノズル
からの吐出流を制御することにより、メニスカス流速を
0.20〜0.40m/sに制御する技術が開示されて
いる。
【0017】特開平2−284750号公報には、鋳片
幅全体に鋳型厚み方向の均一な静磁界を、浸漬ノズル吐
出孔の上部、下部に作用させ、溶鋼吐出流に効果的な制
動力を与え、流れを均一化する技術が開示されている。
【0018】又、(E)直流磁界又は移動磁界を印加す
るものとして、特開平9−262650号公報には、浸
漬ノズル吐出孔の下部に設けた複数のコイルに直流電流
を流すことにより静磁界を印加したり、交流電流を流す
ことにより移動磁界を印加したりすることにより溶鋼流
動を制御する鋳造方法が開示されている。
【0019】「材料とプロセス」vol3(1990)第2
56頁には、浸漬ノズルからの吐出流に交流移動磁場を
作用させることにより、吐出溶鋼流を制動(EMLS)
したり、加速(EMLA)したりする技術が開示されて
いる。
【0020】又、(F)移動磁界のみを印加するものと
して、特開平8−19840号公報には、電磁誘導によ
って鋳型内の溶鋼流動を制御する際に、周波数1〜15
Hzの静止交流磁場を溶鋼に印加する技術が開示されて
いる。
【0021】「鉄と鋼」66(1980)第797頁に
は、スラブ連鋳機において、電磁撹拌により鋳型壁に沿
った水平方向の溶鋼旋回流を得る技術(M−EMS)が
開示されている。
【0022】しかしながら上記各公報に記載された技術
では、モールドパウダーを巻込んだり、又、凝固界面へ
の介在物、気泡の捕捉を防止できず、鋳片の表面品質が
充分に向上しないという問題があった。
【0023】又、(G)振動磁界のみを印加するものと
して、特許第2917223号公報には、時間的に移動
しない低周波交流静止磁界を付与し、凝固直前に低周波
電磁振動を励起させることによって、凝固前面の柱状デ
ンドライトを破断させ、溶融金属中に浮遊させて、凝固
組織の微細化、中心偏析の低減を目指す方法が開示され
ているが、鋳片の表面欠陥を低減する効果は小さい。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】近年の表面品質ニーズ
の高まり、コストダウンの要求から、更なる鋳片表面の
品質改善技術が望まれており、より効果的な鋳型内流動
の制御が必要となっている。
【0025】本発明は、前記従来の問題点を解決するべ
くなされたもので、モールドフラックスの巻き込みを抑
制し、鋳片の内部品質を向上させると共に、介在物、気
泡の凝固核への捕捉を抑制して、鋳片の表面品質を向上
できる、鋼の連続鋳造方法及び設備を提供することを目
的とする。
【0026】
【発明を解決するための手段】本発明は、鋼の連続鋳造
に際して、連続鋳造用鋳型の鋳型長辺方向に3個以上の
電磁石を配置し、隣り同士のコイルで発生する磁場を実
質反転させることで、溶鋼に位相が実質反転する振動電
磁界を作用させ、且つ、鋳型の厚み方向に静磁界を重畳
することで、局所的な流動を誘起させるようにして、前
記課題を解決したものである。
【0027】又、前記隣り同士のコイルで発生する磁場
を、隣り同士のコイルに位相が実質的に逆の交流電流を
通電するか、あるいは、コイルの巻き線方向を逆にして
同位相の交流電流を通電することで、実質反転させるよ
うにしたものである。
【0028】又、最大の交流磁界の磁束密度を1000
ガウス未満、直流磁界を3000ガウス以下とするか、
及び/又は、振動磁界の周波数を1Hzから8Hzとし
たものである。
【0029】本発明は、又、鋼の連続鋳造設備におい
て、相対する長辺と短辺から構成され溶鋼を保持し凝固
させる鋳型と、該鋳型の長辺方向に3個以上の磁極を有
し、隣接する磁極同士が異なる極性で且つ該極性が所定
の周期で反転し、前記鋳型内の溶鋼にマクロ的な溶鋼流
動のない振動磁界を発生させる振動磁界発生装置と、前
記鋳型の短辺幅方向に直流磁界を発生させる直流磁界発
生装置と、を備えることにより、前記課題を解決したも
のである。
【0030】又、前記振動磁界発生装置が、前記鋳型の
長辺方向に沿って3個以上の櫛歯を有する櫛歯状鉄芯と
該各櫛歯に配設されたコイルとからなる電磁石、該コイ
ルに所定の周波数、所定の位相の交流電流を供給する交
流電源とからなるようにしたものである。
【0031】本発明では、鋳型の厚み方向の流速分布を
規定する。即ち、厚み中央付近では流速を小さくしてモ
ールドフラックスの巻き込みを抑えつつ、鋳型壁面に近
い凝固界面の流速を大きくして、気泡、介在物の洗浄効
果を与え、凝固核への補足を抑制する。
【0032】このための方法として、交流磁場の印加方
法を工夫する必要があり、モデル実験及びシミュレーシ
ョン計算を実施した結果、以下の結論に至った。
【0033】1.特開平6−190520に示されるよ
うな、厚み方向の磁場では、交流電流の表皮効果を利用
して、凝固界面あるいは溶鋼表面にローレンツ力を集中
させていたが、これだけでは、効率的に凝固界面のみに
ローレンツ力を集中できず、凝固界面にローレンツ力を
集中させるためには、磁力線分布を制御する必要があ
る。
【0034】2.このための方法として、幅方向に交互
に位相が反転する電磁石を配置して、交番させることが
効果的である。厚み方向に磁界を振動させる場合には、
電磁力を鋳型壁面、即ち、凝固界面に集中することがで
きなくなるため、幅方向に磁界を振動させる必要があ
る。ここで、交互の電磁石に通電する電流の位相は実質
反転する必要があり、そのためには、位相は130°以
上異なることが必要である。
【0035】3.このためのコイル構造としては、図1
に例示する如く、幅方向に3つ以上の磁極を有する櫛歯
状鉄芯に交流コイル24を巻き、且つ、隣り同士の電流
の位相を実質反転させることで、幅方向の磁界を振動さ
せることができる。図において、10は鋳型、12は浸
漬ノズル、14は溶鋼(斜線部は低速領域)である。
【0036】4.更に、直流コイル34を設けて、静磁
界を重畳させることにより、F=J×B(ここにF:ロ
ーレンツ力、J:誘導電流、B:磁場)の磁場B項が大
きくなるために、ローレンツ力Fを増加させることがで
きるが、更に、ローレンツ力の向きが、重畳しない場合
と大きく異なり、流動も変化して、幅方向及び鋳造方向
の流動が大きくなるので、凝固界面に捕捉される気泡、
介在物の洗浄効果が期待できる。
【0037】5.又、重畳することにより、厚み中央で
の流速を低減でき、モールドフラックスの巻き込みも防
止できる。
【0038】図2(正面図)、図3(図2のIII−III線
に沿う水平断面図)、図4(図2のIV−IV線に沿う垂直
断面図)に、磁極28の数が4個の場合について、本発
明の振動磁界で誘起される、ある時点の溶湯流動を、電
磁場解析と流動解析によって計算した例をもとにして、
模式的に示す。又、図5(正面図)、図6(図5のVI−
VI線に沿う水平断面図)、図7(図5のVII−VII線に沿
う垂直断面図)に、次の時点の溶湯流動を模式的に示
す。
【0039】本発明では、図8に示す如く、次式に示す
ローレンツ力Fに応じて発生する流れの向きが、印加電
流Iと同じ周期で反転する。
【0040】F∝J×Bt …(1) Bt=Bdc+Bac>0 …(2) ここで、Jは誘導電流、Btは合計磁場、Bdcは直流
磁場、Bacは交流磁場である。
【0041】6.この際の交流電流の周波数は、低すぎ
ると十分な流動が励起されず、高すぎると、溶鋼が電磁
場に追随しなくなるので、1Hzから8Hzの範囲が適
当である。
【0042】7.コイルの巻き方向を逆にすれば、電流
の位相が同じでも、磁場の位相を反転することができ
る。
【0043】8.特許第2917223号には、時間的
に移動しない低周波交流静止磁界を付与し、凝固前面に
低周波電磁振動を励起させることによって、凝固前面の
柱状デンドライトを破断させ、溶融金属中に浮遊させ
て、凝固組織の微細化、中心偏析の低減を目指す方法が
開示されているが、デンドライトが破断するような大き
な電磁力を付与すると、溶湯上面のモールドフラックス
を巻き込んで、表面品質を劣化させてしまう。よって、
交流振動磁界の磁束密度は1000ガウス未満が望まし
い。なお、コイル配置によっては、1000ガウス以上
でもデンドライトが破断しないようにできる場合があ
る。
【0044】9.更に、特許第2917223号の方法
では、デンドライトの破断が起こって、柱状晶組織から
等軸晶組織に変化してしまう。極低炭素鋼などでは、柱
状晶組織のみの方が、圧延時に、集合組織として制御し
易くなるため、等軸晶化することで、結晶方位を揃え難
くなるという問題がある。このため、電磁力によって、
凝固前面のデンドライトが破断しないことが重要であ
る。
【0045】以上の知見から、鋳型長辺方向に磁界を振
動させつつ、厚み方向に直流磁界を印加することによ
り、鋳型長辺方向及び鋳造方向に従来と大きく異なる流
動を誘起させ、凝固界面のみを効率的に振動させて、気
泡、介在物の捕捉を抑制し、鋳片の表面品質を大幅に向
上させることができる。
【0046】
【発明の実施の形態】以下図面を参照して、本発明の実
施形態を詳細に説明する。
【0047】本発明の実施に好適な、鋼の連続鋳造設備
の一例を、水平断面の模式図で図9に示す。図におい
て、10が鋳型、12が浸漬ノズル、20が振動磁界発
生装置、22が櫛歯状鉄芯、24がコイル、26a、2
6bが交流電源、28が磁極、30が静磁界発生装置で
ある。
【0048】本発明では、相対する長辺と短辺からなる
鋳型10内の溶鋼に、磁界を印加しながら連続鋳造す
る。印加する磁界は、鋳型の長辺方向に振動する磁界
(以下、振動磁界ともいう)と厚み方向の静磁界とす
る。印加する振動磁界は、鋳型の長辺方向を印加方向と
する交流磁界で、その向きを周期的に反転させ、溶鋼の
マクロ的流動を誘起することのない磁界である。
【0049】振動磁界は、例えば、図9に示すような振
動磁界発生装置20を使用して、発生させることができ
る。図9に示す振動磁界発生装置20では、鋳型の長辺
方向に3個以上(図では12個)の櫛歯を有する櫛歯状
鉄芯22を用いて、これら櫛歯にコイル24を配設して
磁極28とする。磁極28は、隣接する磁極同士が互い
に異なる極性(N、S極)を有するように、コイルの巻
き方及びコイルに流す交流電流を調整する。隣接する磁
極同士が互いに異なる極性(N、S極)とするために
は、隣接する磁極同士のコイルの巻き方を反対方向とし
コイルに流す電流を同位相で所定の周波数を有する交流
電流とするか、あるいは隣接する磁極同士のコイルの巻
き方を同方向としコイルに流す電流を隣接する磁極同士
で位相がずれた、所定の周波数を有する交流電流とする
のが好ましい。隣接する磁極に流す交流の位相のずれ
は、実質的に位相が反転する、130°以上230°以
下とするのが好ましい。
【0050】なお、交流電流の所定の周波数としては、
1〜8Hzとするのが好ましく、より好ましくは3〜6
Hzである。図9に示す例は、隣接する磁極で、コイル
の巻き方を同方向としてコイルに流す交流電流を位相が
異なる(実質的に位相が反転する)ものとする場合であ
るが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0051】本発明では、隣接する磁極同士が互いに異
なる極性を有するため、隣接する磁極間で溶鋼に作用す
る電磁力とその隣りの磁極間で溶鋼に作用する電磁力と
は、その向きがほぼ反対となり、溶鋼のマクロな流動が
誘起されることはない。又、本発明では、コイルに流す
電流を交流電流とするため、各磁極の極性が所定の周期
で反転し、鋳型の長辺幅方向で凝固界面近傍の溶鋼に振
動を誘起させることができる。これにより、凝固界面へ
の介在物、気泡の捕捉を抑制することができ、鋳片の表
面品質を顕著に向上させることができる。
【0052】コイルに流す交流電流の周波数が1Hz未
満では、低すぎて十分な流動が誘起されない。一方、8
Hzを超えると、溶鋼が振動磁界に追従しなくなり、磁
界印加の効果が少なくなる。このため、コイルに流す交
流電流の周波数を1〜8Hzとし、振動磁界の振動周期
を1/8〜1sとするのが好ましい。
【0053】なお、本発明では、印加する振動磁界の磁
束密度は1000ガウス未満とするのが好ましい。磁束
密度が1000以上になると、デンドライトを破断する
だけでなく、湯面変動が大きくなり、モールドフラック
スの巻き込みを助長するという問題がある。
【0054】又、本発明では、上記した振動磁界の印加
に加えて、静磁界を印加する。静磁界は、図9に示すよ
うに、鋳型10の長辺側に静磁界発生装置30を設置
し、鋳型の短辺方向(鋳型の厚さ方向)の向きに印加す
る。
【0055】鋳型の厚さ方向に静磁界を印加することに
より、鋳型中央部付近の溶鋼流速を減少させることがで
き、モールドフラックスの巻き込みを防止できる。な
お、振動磁界の印加に静磁界の印加を、重畳させること
により、F=J×BにおけるB項を大きくできるため、
更にローレンツ力を増加させることができるという効果
もある。
【0056】又、本発明では、印加する静磁界の磁束密
度は200ガウス以上3000ガウス以下とするのが好
ましい。磁束密度が200ガウス未満では溶鋼流速の低
減効果が少なく、また3000ガウスを超えると制動が
大きすぎて不均一凝固を引き起こすという問題がある。
【0057】図9は、鋳型10の長辺側に、振動磁界発
生装置20と、静磁界発生装置30とを配設した例を示
す。静磁界発生装置30は、鋳型の長辺側に鋳型を挟ん
で一対の磁極を配し、流す電流を直流電流として直流電
源32からコイル34に流し、鋳型の厚さ方向に静磁界
を印加する。静磁界発生装置30と振動磁界発生装置2
0の設置位置は、垂直方向で同じ位置としても、又、異
ならせてもいずれでもよい。
【0058】
【実施例】次に、実施例に基づき、本発明について、更
に詳細に説明する。
【0059】約300トンの溶鋼を転炉で溶製し、RH
処理によって極低炭素鋼のAlキルド鋼とし、連続鋳造
機でスラブを鋳造した。代表的な溶鋼成分を表1に示
す。
【0060】
【表1】
【0061】なお、スラブの幅は1500〜1700m
m、厚みは220mm、溶鋼のスループット量は4〜5
トン/分の範囲とした。
【0062】又、コイル構造として、図1に示した如
く、幅方向に12等分した櫛歯状の鉄芯を用い、幅方向
に交互に位相が反転する磁場を発生するように配置し
た。交流磁界による磁束は最大2000ガウスとした。
又、静磁界による磁束は最大4000ガウスとした。
【0063】表2に、実験条件及び実験結果をまとめて
示す。
【0064】
【表2】
【0065】鋳片の表面偏析は、スラブ研削後、エッチ
ングを行い、目視観察によって1m 2当たりの偏析個数
を調査した。又、冷間圧延後のコイルの表面欠陥を目視
検査し、欠陥サンプルを採取後、欠陥部を分析すること
によって、モールドフラックスによる欠陥個数を調査し
た。介在物量は、鋳片の1/4厚みの位置からスライム
抽出法によって介在物を抽出後、重量を測定した。表面
偏析、モールドフラックス欠陥及び介在物量とも、指数
化に際しては、全条件のうち、もっとも悪かったものを
10とし、それに対する線形な比で表示した。
【0066】表2からわかるように、振動磁界印加によ
って、表面偏析、モールドフラックスによる欠陥、気
泡、非金属介在物低減が可能となる。
【0067】ここで、振動磁界の強度が強すぎると、溶
湯表面のフラックスの巻き込みが大きくなって、表面品
質を悪化させ、周波数が高すぎると、磁界に溶湯が追随
できなくなって、凝固界面の洗浄効果が低下し、気泡、
介在物欠陥が増加しているものと推定される。
【0068】なお、前記説明においては、極数が12極
の櫛歯状の鉄芯が用いられていたが、磁極数や鉄芯の形
状はこれに限定されず、例えば鉄芯が分割されていても
かまわない。
【0069】
【発明の効果】本発明によれば、捕捉される気泡、非金
属介在物及び鋳片表面偏析、モールドフラックス起因の
表面欠陥や内部介在物の少ない鋳片を鋳造でき、高品質
の金属製品の製造が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いられる電磁石と鋳型を模式的に示
す水平断面図
【図2】本発明の原理を説明するための、磁場で誘起さ
れる、ある時点の溶湯流動の速度ベクトルの電磁場解析
と流動解析による計算結果を模式的に示す正面図
【図3】図2のIII−III線に沿う水平断面図
【図4】図2のIV−IV線に沿う垂直断面図
【図5】本発明の原理を説明するための、磁場で誘起さ
れる、磁極が反転した次の時点の溶湯流動の速度ベクト
ルの電磁場解析と流動解析による計算結果を模式的に示
す正面図
【図6】図5のVI−VI線に沿う水平断面図
【図7】図5のVII−VII線に沿う垂直断面図
【図8】本発明における印加電流と溶鋼流速の時間的な
変化状態の例を示す線図
【図9】連続鋳造設備の実施形態を模式的に示す水平断
面図
【符号の説明】
10…鋳型 12…浸漬ノズル 20…振動磁界発生装置 22…櫛歯状鉄芯 24…交流コイル 26a、26b…交流電源 28…磁極 30…静磁界発生装置 32…直流電流 34…直流コイル

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】連続鋳造用鋳型の鋳型長辺方向に3個以上
    の電磁石を配置し、 隣り同士のコイルで発生する磁場を実質反転させること
    で、溶鋼に位相が実質反転する振動電磁界を作用させ、
    且つ、鋳型の厚み方向に静磁界を重畳することで、局所
    的な流動を誘起させることを特徴とする鋼の連続鋳造方
    法。
  2. 【請求項2】前記隣り同士のコイルで発生する磁場を、
    隣り同士のコイルに位相が実質的に逆の交流電流を通電
    するか、あるいは、コイルの巻き線方向を逆にして同位
    相の交流電流を通電することで、実質反転させることを
    特徴とする請求項1に記載の鋼の連続鋳造方法。
  3. 【請求項3】最大の交流磁界の磁束密度が1000ガウ
    ス未満、直流磁界が3000ガウス以下であることを特
    徴とする請求項1又は2に記載の鋼の連続鋳造方法。
  4. 【請求項4】振動磁界の周波数が1Hzから8Hzであ
    ることを特徴とする、請求項1又は2に記載の鋼の連続
    鋳造方法。
  5. 【請求項5】相対する長辺と短辺から構成され溶鋼を保
    持し凝固させる鋳型と、 該鋳型の長辺方向に3個以上の磁極を有し、隣接する磁
    極同士が異なる極性で且つ該極性が所定の周期で反転
    し、前記鋳型内の溶鋼にマクロ的な溶鋼流動のない振動
    磁界を発生させる振動磁界発生装置と、 前記鋳型の短辺幅方向に直流磁界を発生させる直流磁界
    発生装置と、 を有することを特徴とする鋼の連続鋳造設備。
  6. 【請求項6】前記振動磁界発生装置が、前記鋳型の長辺
    方向に沿って3個以上の櫛歯を有する櫛歯状鉄芯と該各
    櫛歯に配設されたコイルとからなる電磁石、該コイルに
    所定の周波数、所定の位相の交流電流を供給する交流電
    源とからなることを特徴とする請求項5に記載の鋼の連
    続鋳造設備。
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