JP2003100510A - xDSLモデムトランス用磁心材料 - Google Patents

xDSLモデムトランス用磁心材料

Info

Publication number
JP2003100510A
JP2003100510A JP2001269721A JP2001269721A JP2003100510A JP 2003100510 A JP2003100510 A JP 2003100510A JP 2001269721 A JP2001269721 A JP 2001269721A JP 2001269721 A JP2001269721 A JP 2001269721A JP 2003100510 A JP2003100510 A JP 2003100510A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thd
magnetic core
transformer
core material
mol
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001269721A
Other languages
English (en)
Inventor
Yuji Sezai
勇司 瀬在
Kazunori Hirai
一法 平井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TDK Corp filed Critical TDK Corp
Priority to JP2001269721A priority Critical patent/JP2003100510A/ja
Priority to US10/193,167 priority patent/US6773619B2/en
Priority to EP02015642A priority patent/EP1279651A3/en
Priority to CN02126878A priority patent/CN1397962A/zh
Publication of JP2003100510A publication Critical patent/JP2003100510A/ja
Priority to HK03104805.4A priority patent/HK1052578A1/zh
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Magnetic Ceramics (AREA)
  • Soft Magnetic Materials (AREA)
  • Coils Or Transformers For Communication (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】xDSL用のモデムトランス用磁心として好適
な、総高調波歪の小さいかつ温度特性のすぐれた、モデ
ムトランス用の磁心材料を提供すること。 【解決手段】このため、本発明では、MnO:22.0
〜39.0モル%及びZnO:7.5〜25.0モル%
を含み、残部が実質的にFe2 3 からなる基本成分中
に、さらにCoO換算で0.02〜0.50重量%のC
o酸化物を含有するxDSLモデムトランス用磁心材料
の組成であって、モデムトランスのTHDを25℃にお
いて−84dB以下とし、かつ−40〜+85℃の広温
度帯域において−77.0dB以下としたxDSLモデ
ムトランス用磁心材料を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばADSL
(Asymmetric Digital Subsc
riber Line:非対称デジタル加入者回線)、
VDSL(Very high−bit rate D
igitalSubscriber Line)等のx
DSLと称される種々のデジタル加入者回線におけるモ
デム(変復調装置)で使用されるトランスの磁心材料に
係り、特にデータ通信時の伝送波形のTHD(Tota
l Harmonic Distortion:総高調
波歪)の温度特性に優れたトランス用Mn−Zn−Co
系フェライト材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近来、各種電子機器分野では、機器の小
型化、薄型化、高性能化等の要求が高まっている。通信
機器の分野でみると、ISDN(統合ディジタル通信
網)等のインターフェース用のパルストランスや、アナ
ログ信号を伝送する電話回線とディジタル信号を取扱う
情報端末機やコンピュータとの接続に用いられるモデム
用トランスにおいては、トランスを小型化、薄型化、高
性能化(高インピーダンス化すなわち高インダクタンス
化)するためには、高透磁率の磁心(特開平6−263
447号公報、特開平7−94314号公報、特開平7
−169612号公報、特開平7−211530号公
報、特開平7−278764号公報、特開平7−297
034号公報、特開平8−85821号公報、特開平8
−97045号公報、特開平9−246034号公報、
特開平10−12447号公報、特開平10−3351
30号公報)や、薄型形状のトランス(特開平7−20
1582号公報、特開平7−201585号公報、特開
平7−201588号公報、特開平7−201589号
公報、特開平7−201590号公報)等が求められて
いる。
【0003】また、インターネットの急速な普及によ
り、ISDN等に比べ大容量のデータをより高速に通信
できる通信方式への需要が高まり、xDSL(ディジタ
ル加入者回線)という新しい通信技術が開発されてきて
おり、xDSL技術の中には前記ADSLやさらに通信
速度を高めた前記VDSL等がある。
【0004】xDSLでは、ディジタル信号とアナログ
信号とを変換するモデムが必要であり、このモデムには
ラインと絶縁するためにトランスが必要となる。
【0005】xDSL技術は、伝送速度が非常に高速で
(ADSL:16kb/s〜9Mb/s、VDSL:
1.5Mb/s〜52Mb/s)高周波数帯域で使用さ
れるため、モデムに使用されるトランスは、ISDN等
に比べインピーダンスを高くするためのインダクタンス
は小さくてよいので、ISDN等に比べてトランスの磁
心材料の透磁率は小さくてよい。
【0006】一方でこのようなxDSLによる高速デー
タ通信において、高精度でデータ信号を伝送するために
は、モデムで使用されるトランスは、伝送波形の歪みや
ノイズが小さく伝送エラーの発生割合がより小さくなけ
ればならないので、THDの小さくなる磁心材料が求め
られる。このためには、磁心材料は、交流磁場中での磁
気損失(渦電流損失、ヒステリシス損失、残留損失)が
小さくなければならない。
【0007】なお、THDとは(1)式で表されるよう
に、データ通信時の入力データの基本信号に対する、総
高調波とノイズ成分の割合のことを意味するので、伝送
波形の歪みやノイズが小さいほど、THDは小さくな
る。
【0008】
【数1】
【0009】THDを小さくするための磁心材料とし
て、すでにMn−Zn系フェライト材料について、特願
2000−279101号として特許出願ずみである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで上記のように
xDSLによる高速データ通信において高精度でデータ
信号を伝送するためには、モデムで使用されるトランス
にはTHDの小さくなる磁心材料が求められることにな
るが、使用される環境を考えると、広い温度帯域(−4
0〜+85℃)でTHDの小さくなる磁心材料が好まし
い。前記特許出願には広い温度帯域(−40〜+85
℃)でTHDの小さくなるMn−Zn系フェライト磁心
材料が示されているが、この出願に示されているMn−
Zn系フェライト磁心材料は、図9に示す如く、広温度
帯域(−40〜+85℃)でTHDが小さくなるもの
の、−10℃付近でTHDが極小となり、極小温度を境
にTHDは数dB劣化している。このためよく使用され
る25℃付近でTHDの値を小さくすることが要求され
る。
【0011】したがって本発明の目的はこのような課題
を解決するために、Mn−Zn系フェライト磁心にCo
を適量固溶させることにより磁心材料の交流磁場中での
磁気損失を広温度帯域で小さくしてトランスのTHD特
性の温度依存性を小さくし、広温度帯域におけるトラン
スのTHDの値を小さくするとともに、25℃付近にお
けるTHDの値を小さく、しかもTHDの温度依存性の
小さなものを提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の前記目的は、下
記(1)、(2)により達成することができる。
【0013】(1)MnO:22.0〜39.0モル%
及びZnO:7.5〜25.0モル%を含み、残部が実
質的にFe2 3 からなる基本成分中に、さらにCoO
換算で0.02〜0.50重量%のCo酸化物を含有す
るxDSLモデムトランス用磁心材料の組成であって、
モデムトランスのTHDを25℃において−84dB以
下とし、かつ−40〜+85℃の広温度帯域において−
77.0dB以下としたxDSLモデムトランス用磁心
材料を提供する。
【0014】(2)MnO:22.0〜39.0モル%
及びZnO:7.5〜25.0モル%を含み残部が実質
的にFe2 3 からなる基本成分中に、さらにCoO換
算で0.05〜0.50重量%のCo酸化物を含有する
xDSLモデムトランス用磁心材料の組成であって、モ
デムトランスのTHDを25℃において−84dB以下
とし、かつ−40〜+85℃の広温度帯域において−8
0.0dB以下としたxDSLモデムトランス用磁心材
料を提供する。
【0015】これにより下記の作用効果を奏する。
【0016】(1)MnOを22.0〜39.0モル
%、ZnOを7.5〜25.0モル%、残部を実質的に
Fe2 3 からなる基本成分中にさらにCoO換算で
0.02〜0.50重量%のCo酸化物を含有したxD
SLモデム用磁心材料を提供することにより、モデムト
ランスのTHD特性の温度依存性が小さく、25℃温度
付近の状態を改善するとともに、広温度帯域においてモ
デムトランスのTHDを−77dB以下と小さくするこ
とができ、このためxDSLのモデムの使用される環境
温度において、高速データ通信における伝送波形の歪み
やノイズが小さくなり、伝送エラーの発生を防止するこ
とができ、高精度でデータ信号を伝送することができ
る。
【0017】(2)MnO:22.0〜39.0モル%
及びZnO:7.5〜25.0モル%を含み残部が実質
的にFe2 3 からなる基本成分中に、さらにCoO換
算で0.05〜0.50重量%のCo酸化物を含有した
xDSLモデム用磁心材料を提供することにより、モデ
ムトランスのTHD特性の温度依存性が小さく、更に2
5℃温度付近の状態を改善するとともに、広温度帯域に
おいてモデムトランスのTHDを−80.0dB以下と
小さくすることができ、このためxDSLのモデムの使
用される環境温度において、高速データ通信における伝
送波形の歪みやノイズがさらに小さくなり、伝送エラー
の発生を防止することができ、さらに高精度でデータ信
号を伝送することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の一実施の形態を表1及び
図1〜図4にもとづき説明する。表1は本発明の実施例
及び比較例を示すサンプルの温度変化を与えたときのT
HDの測定値の特性を示し、図1はTHD測定を行った
磁心の形状を示し、図2はTHD測定の回路図を示し、
図3は表1のCoO含有量に対するTHDの温度特性を
示す測定値をグラフで表したものであり、図4はTHD
の広周波数帯域特性を示す。
【0019】本発明において、主成分の出発原料として
Fe2 3 、Mn3 4 、ZnOを使用し、これにCo
Oを複合添加、含有させた。具体的には、MnO:2
2.0〜39.0モル%及びZnO:7.5〜25.0
モル%を含み残部が実質的にFe2 3 からなる基本成
分中に、さらにCoO換算で0〜1.00重量%のCo
酸化物を含有する成分組成とした。
【0020】また副成分としてはSiO2 :30〜23
0ppm、CaO:100〜2200ppm、Nb2
5 :0〜300ppm、V2 5 :0〜500ppm、
MoO3 :0〜400ppm、ZrO:0〜300pp
m、Bi2 3 :0〜800ppm、SnO2 :0〜3
500ppm、NiO:0〜2000ppm、Ti
3 :0〜4000ppm、P:0〜100ppmのう
ち2種以上を含有せしめる。
【0021】出発原料を秤量し、湿式混合した後乾燥さ
せ、大気中で2時間900℃で仮焼成した。
【0022】これにより得られた仮焼成体に副成分を添
加し、粉砕することにより混合した。混合後、適当なバ
インダー、例えばポリビニールアルコールを加え、スプ
レードライヤー等にて造粒し、図1に示す如く、EP形
状にて成形した。さらに得られた成形体を、酸素濃度を
制御した雰囲気下において約1400℃で焼成して、図
1に示す如き、Mn−Zn−Co系フェライト焼結体を
得た。
【0023】次いでこのMn−Zn−Co系フェライト
焼結体をトランスの磁心として用い、THD測定を行っ
た。
【0024】評価条件について説明する。磁心は、図1
に示す如く、EP形状の磁心1を使用した。すなわち中
脚部2と外脚部3を底板部4で接続して磁心1を構成す
る。中脚部2は円柱状に形成され、外脚部3はその断面
内側の線が円柱状の中脚部2の軸を中心とする凹状の円
弧を含むように形成されている。
【0025】この磁心1は2個1組で使用され、中脚部
2、外脚部3が互いに重なる状態で使用される。このと
き中脚部2は1次巻線と2次巻線とが巻回されたボビン
に挿入される。インダクタンスを適切な値に調整するた
めに必要に応じて磁心の中脚部2にΔGのギャップを設
ける。
【0026】すなわちギャップを設ける場合、磁心1の
少なくとも1つはその中脚部2の底板4からの高さh1
と外脚部3の底板4からの高さh2 が、h2 =h1 +Δ
Gとなり、2つの磁心1を重ねて使用したとき少なくと
もΔGのギャップが存在する。
【0027】巻線はリーケージインダクタンスを小さく
するために1次巻線を2分割して、1次巻線(70ター
ン)−2次巻線(140ターン)−1次巻線(70ター
ン)というサンドイッチ巻きとした。このようなトラン
スを、オーディオアナライザに接続し、THDを測定し
た。
【0028】オーディオアナライザとしては、Audi
o Precision 社製のSystem2を使用
し、図2に示す如く、1次巻線Npを10Ωの抵抗を直
列接続して端子t1、t2に接続し、2次巻線Nsには
50Ωの抵抗を並列接続して端子t3、t4に接続す
る。なお測定機のジェネレータ側には40Ωの抵抗が直
列に接続されているので、トランスの1次側には50Ω
の抵抗が直列に接続されていることになる。
【0029】このようなトランスの1次巻線Npに、端
子t1、t2より、トランスの1次巻線側両端の電圧
2.5V、周波数5KHzのデータ信号を入力し、その
2次巻線Ns側に出力される伝送波形を端子t3、t4
より入力して分析し、THDを測定した。
【0030】このとき、トランスを恒温槽THに格納
し、表1に示す如く、トランスを85℃から−40℃ま
での8段階で保持しTHDを測定した。またトランスの
構成は、MnOを24.0モル%、ZnOを23.2モ
ル%、残部が実質的にFe2 3 (52.8モル%)か
らなる基本成分中に、CoOを、表1に示す如く、0.
02重量%、0.05重量%、0.10重量%、0.2
5重量%、0.50重量%、1.00重量%含有させた
ものと、このCoOを含有させないもので構成した。
【0031】
【表1】
【0032】そしてこれらCoOの添加量にもとづき、
測定温度を−40℃、−30℃、−15℃、0℃、25
℃、40℃、60℃、85℃と変化させることにより、
表1に示す如きTHDの各測定値が得られた。図3はこ
の測定値をグラフで示したものである。
【0033】表1及び図3より下記のことが明らかであ
る。CoO換算でCo酸化物を0.02〜0.50重量
%の範囲で含有する場合は、CoO無添加の場合に比較
してTHDの変化状態を−40〜+85℃という広い温
度で小さくすることができた。そして0.02重量%未
満の場合はその効果は小さく、さらに1.00重量%の
場合は、無添加の場合よりも広い温度範囲でTHDが大
きくなっていることがわかる。このようにCoOの添加
量が0.02重量%未満の少なすぎると広温度範囲での
低THD化の効果は少なく、1.00重量%以上にCo
Oを過剰に加えると逆にTHDが劣化することがわか
る。従ってCoO換算で0.02〜0.50wt%の場
合が、THDを広い温度帯域でピーク値をあまり下げる
ことなく、その変化を少なくするのに効果的であること
がわかる。
【0034】また図3より25℃前後の特性が、そのピ
ーク値をほとんど小さくすることなく平坦状態に、つま
りCoOの添加量が0の時よりTHDが改善されている
ことがわかる。
【0035】しかも、表1より明らかなように、CoO
が無添加の場合はTHDの最大値と最小値との差(d
B)の値は9.9dBと大きく、その比(最小/最大
(%))は13.2%と大きいものが、CoOを0.0
2重量%添加するだけで−40℃側の低温度のTHDを
改善するとともにそのTHDの最大値と最小値との差
(dB)は7.6dBと減少し、その比も9.9%と改
善されることがわかる。
【0036】そしてCoOの添加量を0.05〜0.5
0重量%とすればすべての広温度帯域でTHDを−8
0.0dB以下と小さくするのみならずそのTHDの最
大値と最小値との差(dB)を3.9dB以下に改善す
ることができる。
【0037】更にCoOの添加量を0.25〜0.50
重量%とすることによりすべての広温度帯域でTHDを
−82.1dB以下と非常に小さくできるのみならず、
そのTHDの最大値と最小値との差(dB)との差を
2.0〜2.3dBと改善できる、つまり広温度帯域で
のTHDを平担なものとすることができる。
【0038】なお、THDの測定周波数を5KHzとし
た理由について説明する。図4に示す如き、低周波数に
おけるTHDよりも高周波数におけるTHDの方が小さ
な値を示し、優れた特性となるので、例えば5KHzで
のTHDの値を測定することにより、それより上の広周
波数帯域での特性を判断することができ、磁心材料につ
いてのより正確な評価ができることによる。
【0039】このように、Mn−Zn系フェライトに、
CoをCoO換算で0.02〜0.50重量%固溶させ
ることにより、THDを広温度帯域で小さくすることが
できる。
【0040】次に本発明の数値範囲の限定理由につい
て、更に説明する。
【0041】Mn−Zn−Co系フェライト材料の主成
分組成において、MnOの組成が39.0モル%より大
きくなるか、またはZnO組成が7.5モル%よりも小
さくなると、交流磁場中での磁心損失が大きくなりTH
Dの値が高くなる。
【0042】またMnOの組成が22.0モル%より小
さくなるか、またはZnOの組成が25.0モル%より
大きくなると、キュリー点が実使用温度領域まで低下
し、フェライトとしての特性が失われるものとなる。
【0043】そしてCoO換算で含有量が0.02重量
%未満の組成では広温度範囲での低THD化の効果は小
さく、0.50重量%を超えるとTHDが大きな値とな
り、THDが劣化するものとなる。
【0044】従って、Mn−Zn−Co系フェライト材
料が、MnO:22.0〜39.0モル%及びZnO:
7.5〜25.0モル%を含み、残部が実質的にFe2
3からなる基本成分中に、さらにCoO換算で0.0
2〜0.50重量%のCo酸化物を含有する成分組成範
囲から外れると、xDSLによる高速データ通信におけ
るモデムに使用されるトランス用磁心として使用した場
合、高精度でデータ信号を伝送することが困難となる。
【0045】そしてMn−Zn−Co系フェライト材料
の主成分組成がMnO:22.0〜39.0モル%およ
びZnO:7.5〜25.0モル%を含み、残部が実質
的にFe2 3 からなる基本成分中に、さらにCoO換
算で0.02〜0.50重量%のCo酸化物を含有する
成分組成から成る場合は、トランスのTHD特性の温度
依存性が小さく、広温度帯域においてトランスのTHD
特性の優れたMn−Zn−Co系フェライト磁心材料を
得ることができ、xDSLによる高速データ通信におけ
るモデムに使用されるトランス用磁心として使用したと
き、モデムの使用される環境温度において、トランスで
の伝送波形の歪みやノイズが小さく、伝送エラーの発生
を防止することができるため高精度でデータ信号を伝送
することができる。
【0046】ところで本発明は、Mn−Zn系フェライ
ト磁心にCoを適量固溶させることにより、磁心材料の
交流磁場中での磁気損失を広温度帯域で小さくして、ト
ランスのTHD特性の温度依存性を小さくし、広温度帯
域においてトランスのTHDを小さくするものである。
【0047】ここでCoを固溶させることにより、磁心
材料の交流磁場中での磁気損失を広温度帯域で小さくで
きる理由について説明する。
【0048】磁気損失を支配する因子として磁気異方性
定数K1がある。磁気損失は、磁気異方性定数K1の温
度変化にともない変化し、K1=0となる温度で磁気損
失は極小値となる。磁気損失を広温度帯域で小さくする
ためには、磁気異方性定数K1の温度依存性を小さくし
なければならない。
【0049】この定数はフェライトの主相であるスピネ
ル化合物の構成元素により異なるが、Mn−Zn系フェ
ライトの場合、Coイオンを導入することにより磁気異
方性定数K1の温度依存性を小さくし、磁気損失温度係
数の絶対値を小さくすることができる。すなわち、Fe
2 3 が50モル%付近の組成のMn−Zn系フェライ
トは磁気異方性定数K1が負の値を有するので、これに
正のK1値を有するCoフェライトを適量固溶させるこ
とにより、Mn−Zn系フェライトのK1=0となる温
度範囲を広げることができる。
【0050】このようなMn−Zn系フェライトにCo
Oを添加することにより磁気異方性定数K1の温度依存
性を小さくした例は過去にいくつかあるが(特開平6−
290925号公報、特開平8−191011号公報、
特公昭52−4753号公報、特公平4−33755号
公報、特公平8−1844号公報)、本発明はCoO添
加によりxDSLによる高速データ通信で使用されるモ
デムのトランス用磁心において、トランスのTHD特性
の温度依存性を小さくし、広温度帯域においてトランス
のTHDを小さくするものであり、技術分野を全く異に
するものである。
【0051】すなわち特開平6−290925号公報、
特公平8−1844号公報、特開平8−191011号
公報は、いずれも電源用トランスに関するものであり、
モデムのトランス用磁心とは全くその目的、用途を異に
するものであり、本発明の用途発明とは全く異なるもの
である。特公昭52−4753号公報は透磁率の温度係
数を小さくするものであるが、本発明はxDSLモデム
トランス用磁心に係るものでありxDSLでは伝送速度
がきわめて速いためインピーダンスを高くするためのイ
ンダクタンスは小さくしてもよいので透磁率は小さくと
もよく、透磁率に関するものとはその目的用途を全く異
にするもので、本発明の用途発明とは全く異なるもので
ある。また特公平4−33755号公報に記載のものは
電源トランス及びインダクタンス素子に関するものであ
るが、前記と同様の理由により、本発明とはその目的、
用途を全く異にするもので、本発明の用途発明とは全く
異なるものである。
【0052】ところで本発明において、トランスの磁心
の形状は、上記図1に示したEP形状に限られるもので
はない。例えば図5に示す如く、EP形状磁心の量産性
を高めるために、矢印Aで示す如く、中脚部2′の頭部
分のみでなく、外脚部3′まで貫通させてΔGのギャッ
プ加工させた形状や、トロイダル形状の磁心、E形の磁
心を1対組み合わせたEE形状のもの、E形の磁心とI
形の磁心とを組み合わせたEI形状のもの、図6の平面
図(A)、斜視図(B)に示す如く、ディスク部11と
その周縁に一体に形成されるリング部12、13と、デ
ィスク部11の中央部に形成されるスラグ部14等を具
備するRM形状磁心10、図7の平面図(A)、断面図
(B)に示す如く、ディスク部21の周縁に一体に形成
されるリング部22、23と、切欠部24と、ディスク
部21の中心に一体に形成されるスラグ部25等を具備
するポット形状磁心20、図8に示す如く、接続部31
に側方脚部32、33と中間脚部34等を具備するEP
C形状磁心30等にも適用することができ、いずれの形
状においても、広温度帯域においてトランスのTHDを
小さくすることができる。
【0053】トランスのTHDの値が小さいほど、高速
データ通信において高精度でデータ信号を伝送すること
ができるわけであるが、xDSL用のモデムは25℃の
みならず広い温度帯域で使用されるので、トランスの磁
心材料としては、25℃付近のTHDが小さくかつ温度
依存性の小さい材料が望まれ、本発明はこれに好適なも
のである。
【0054】
【発明の効果】本発明により下記の効果を奏する。
【0055】(1)MnOを22.0〜39.0モル
%、ZnOを7.5〜25.0モル%、残部を実質的に
Fe2 3 からなる基本成分中にさらにCoO換算で
0.02〜0.50重量%のCo酸化物を含有したxD
SLモデム用磁心材料を提供することにより、モデムト
ランスのTHD特性の温度依存性が小さく、25℃温度
付近の状態を改善するとともに、モデムトランスのTH
Dを25℃において−84dB以下とし、かつ−40〜
+85℃の広温度帯域において−77dB以下と小さく
することができ、このためxDSLのモデムの使用され
る環境温度において、高速データ通信における伝送波形
の歪みやノイズが小さくなり、伝送エラーの発生を防止
することができ、高精度でデータ信号を伝送することが
できる。
【0056】(2)MnO:22.0〜39.0モル%
及びZnO:7.5〜25.0モル%を含み残部が実質
的にFe2 3 からなる基本成分中に、さらにCoO換
算で0.05〜0.50重量%のCo酸化物を含有した
xDSLモデム用磁心材料を提供することにより、モデ
ムトランスのTHD特性の温度依存性が小さく、更に2
5℃温度付近の状態を改善するとともに、モデムトラン
スのTHDを25℃において−84dB以下とし、かつ
−40〜+85℃の広温度帯域において−80.0dB
以下と小さくすることができ、このためxDSLのモデ
ムの使用される環境温度において、高速データ通信にお
ける伝送波形の歪みやノイズがさらに小さくなり、伝送
エラーの発生を防止することができ、さらに高精度でデ
ータ信号を伝送することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】THD測定を行ったEP磁心形状説明図であ
る。
【図2】THD測定の回路図である。
【図3】CoO含有量に対するTHDの温度特性の一例
である。
【図4】THDの広周波数帯域特性である。
【図5】図1の磁心形状におけるギャップ加工の量産性
向上状態加工説明図である。
【図6】RM形状磁心説明図である。
【図7】ポット形状磁心説明図である。
【図8】EPC形状磁心説明図である。
【図9】従来のMn−Zn系フェライト磁心材料を用い
たときのTHDの温度特性の一例である。
【符号の説明】
1 EP形状の磁心 2 中間脚 3 外脚部 4 底板部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G018 AA21 AA22 AA25 5E041 AA11 AB02 CA02 HB15 5E070 AA11 AB09 BB01

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】MnO:22.0〜39.0モル%及びZ
    nO:7.5〜25.0モル%を含み、残部が実質的に
    Fe2 3 からなる基本成分中に、さらにCoO換算で
    0.02〜0.50重量%のCo酸化物を含有するxD
    SLモデムトランス用磁心材料の組成であって、モデム
    トランスのTHDを25℃において−84dB以下と
    し、かつ−40〜+85℃の広温度帯域において−7
    7.0dB以下としたxDSLモデムトランス用磁心材
    料。
  2. 【請求項2】MnO:22.0〜39.0モル%及びZ
    nO:7.5〜25.0モル%を含み、残部が実質的に
    Fe2 3 からなる基本成分中に、さらにCoO換算で
    0.05〜0.50重量%のCo酸化物を含有するxD
    SLモデムトランス用磁心材料の組成であって、モデム
    トランスのTHDを25℃において−84dB以下と
    し、かつ−40〜+85℃の広温度帯域において−8
    0.0dB以下としたxDSLモデムトランス用磁心材
    料。
JP2001269721A 2001-07-17 2001-09-06 xDSLモデムトランス用磁心材料 Pending JP2003100510A (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001269721A JP2003100510A (ja) 2001-07-17 2001-09-06 xDSLモデムトランス用磁心材料
US10/193,167 US6773619B2 (en) 2001-07-17 2002-07-12 Magnetic core for transformer, Mn-Zn based ferrite composition and methods of producing the same
EP02015642A EP1279651A3 (en) 2001-07-17 2002-07-16 Magnetic core for transformer, Mn-Zn based ferrite composition and methods of producing the same
CN02126878A CN1397962A (zh) 2001-07-17 2002-07-17 变压器用磁芯和锰-锌基铁氧体混合物及其制造方法
HK03104805.4A HK1052578A1 (zh) 2001-07-17 2003-07-07 變壓器用磁芯和錳-鋅基鐵氧體混合物及其製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001216083 2001-07-17
JP2001-216083 2001-07-17
JP2001269721A JP2003100510A (ja) 2001-07-17 2001-09-06 xDSLモデムトランス用磁心材料

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003100510A true JP2003100510A (ja) 2003-04-04

Family

ID=26618832

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001269721A Pending JP2003100510A (ja) 2001-07-17 2001-09-06 xDSLモデムトランス用磁心材料

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003100510A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019163190A (ja) * 2018-03-20 2019-09-26 株式会社トーキン 耐熱性高透磁率MnZnフェライト
JP2020132501A (ja) * 2019-02-25 2020-08-31 株式会社トーキン 耐熱性高透磁率MnZnフェライト

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019163190A (ja) * 2018-03-20 2019-09-26 株式会社トーキン 耐熱性高透磁率MnZnフェライト
JP2020132501A (ja) * 2019-02-25 2020-08-31 株式会社トーキン 耐熱性高透磁率MnZnフェライト
JP7160720B2 (ja) 2019-02-25 2022-10-25 株式会社トーキン 耐熱性高透磁率MnZnフェライト

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6773619B2 (en) Magnetic core for transformer, Mn-Zn based ferrite composition and methods of producing the same
KR101421455B1 (ko) 저손실 페라이트 및 이것을 사용한 전자 부품
US6114940A (en) BALUN transformer core material, BALUN transformer core and BALUN transformer
KR20010050934A (ko) 니켈망간아연을 기본물로 하는 페라이트
KR100444540B1 (ko) 디지털 가입자 회선 모뎀 트랜스용 자심 및 그 조성물
JP2000252112A (ja) 磁性体磁器組成物およびそれを用いたインダクタ部品
EP1569249A1 (en) Bead noise filter
JP2003100508A (ja) 低損失酸化物磁性材料
JP2003100510A (ja) xDSLモデムトランス用磁心材料
JPH09180925A (ja) Mn−Zn系ソフトフェライト
JP2003252680A (ja) Mn−Zn系フェライト、フェライト磁心及び通信機器用電子部品
JP4255044B2 (ja) 酸化物磁性材料及び酸化物磁性材料の製造方法
JP2003059712A (ja) Mn−Znフェライトおよび巻き線部品
JP3872372B2 (ja) xDSLモデムトランス用Mn−Zn系フェライト磁性材料及びその製造方法
JP2004006809A (ja) Mn−Zn系フェライト、フェライト磁心及び通信機器用電子部品
JP3469429B2 (ja) 酸化物磁性材料
JP2609853B2 (ja) データラインノイズフィルタ用フェライトコア
JP2003142311A (ja) Mn−Zn系フェライト
US5738949A (en) Inductive component having a core formed of high-permeability MnZn ferrites and encapsulated with insulating material
JP2907253B2 (ja) 高透磁率Mn―Zn系フェライト
JP3326892B2 (ja) 酸化物磁性材料
JP2003243217A (ja) Mn−Zn系フェライト
JPH0992520A (ja) 巻線素子のコア
KR100320944B1 (ko) 고주파 인덕터용 자성재료
JP2003342062A (ja) Mn−Zn系フェライト焼結体およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040702

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060922

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20061003

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20070213