JP2003100244A - 電子ビーム源 - Google Patents

電子ビーム源

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JP2003100244A
JP2003100244A JP2001293399A JP2001293399A JP2003100244A JP 2003100244 A JP2003100244 A JP 2003100244A JP 2001293399 A JP2001293399 A JP 2001293399A JP 2001293399 A JP2001293399 A JP 2001293399A JP 2003100244 A JP2003100244 A JP 2003100244A
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chip
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electron
electron beam
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Masao Murota
無漏田正雄
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Jeol Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】水素イオン衝撃に起因する電子銃チップの仕事
関数の悪化を防止するとともに、長時間使用後に変化し
た電子銃チップの形状を効率よく修復する。 【解決手段】電子銃チップ3はその表面に、アルミニウ
ムや炭素等の水素イオン衝撃に対する耐性を有する材料
の薄膜が形成されて、タングステンフィラメント4にス
ポット溶接後、金でロウ付けされいる。更に、引出しア
ノード5は、Al 23等の水素吸収の少ない主材料の表
面を、金、TiN、AlN等の水素吸収の少ない材料で
コーティングされて陽電極とされている。更に、電子銃
チップ3に対する加熱電流パルス調整装置10からの加
熱電流パルスおよび逆電荷電圧調整装置9からの逆電荷
電圧の付与をチップ修復ディジタル制御装置11でディ
ジタル制御することにより、電子銃チップ3に対して加
熱フラッシングおよび形状修復が行われる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子顕微鏡(透過
型、走査型)などに用いられ、電子ビームを放出する電
界放出冷陰極(チップ)を有する冷陰極電界放出電子銃
を備え、チップにマイナスの引出し電圧を付与すること
でチップから電子ビームが放出するようになっている電
子ビーム源の技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】図8に示すように、電子顕微鏡(透過
型、走査型)1などの電子ビーム源に用いられる冷陰極
電界放出電子銃(以下、単に電子銃ともいう)2は、タ
ングステンW(111)、W(310)またはW(10
0)方位単結晶を主材料とする長さ2mm弱の先端が尖
らせた電子銃チップ(陰極)3をタングステンフィラメ
ント4に取り付けたものである。
【0003】また、この電子銃チップ3と対をなす引出
しアノード(陽極、通常はアース電位)5が電子銃チッ
プ3から数mm〜10mm離れた位置に取り付けられ
る。これらの電子銃2および引出しアノード5は、真空
ポンプ6により排気されて真空状態にされた真空室7の
中に置かれている。そして、引出し電圧スイッチ18を
オンして、電子銃チップ3を陰極、引出しアノード5を
陽極とする引出し電源17からの引出し電圧を付与する
と、電子銃チップ3から電子ビーム8が引き出される。
また、一定時間使用したとき、電子銃チップ3に加熱電
源19からの加熱電圧による熱を加えることにより、電
子銃チップ3の表面の吸着物質や凹凸を除去するフラッ
シングが行われる。その場合、この従来の電子ビーム源
は、電子銃チップ3およびタングステンフィラメント4
を備えた電子銃2、引出しアノード5、引出し電源1
7、引出し電圧スイッチ18および加熱電源19から構
成されている。なお、20は電子銃2を支持する高圧碍
子である。
【0004】電子銃チップ3に用いられるタングステン
W(111)、(310)または(100)方位単結晶
は電子ビームを引き出すエネルギが比較的少ない、すな
わち、仕事関数が小さいことから使われており、引き出
すときのチップ温度が他の材料よりも低く(つまり、冷
たい)、熱による電子ビームのゆらぎが他の材料よりも
少ない利点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この従
来の冷陰極電界放出電子銃2においては、次の2つの問
題点がある。第1の問題点は次の通りである。電子銃2
は真空ポンプ6で真空排気を行っているにもかかわら
ず、使用時間が経過するにつれて引き出される電子ビー
ム8の電流量が減少し、放置すると、電子銃チップ3が
急速に劣化し、場合によっては破壊するおそれもある。
電子ビーム8の長時間使用による電流量の減少の原因
は、真空中に残存するカーボン化合物や酸素、引出しア
ノード5、真空室7の壁などの金属等から出るガスが電
子銃チップ3の表面に吸着したり、電子銃チップ3の表
面をスパッターしたりすることで減少し、電子銃チップ
3の仕事関数が悪化するものとされている。
【0006】そこで、一定の使用時間が過ぎると、電子
銃チップ3に加熱電源19から電流を加えて表面吸着物
質や凹凸を除去するフラッシング技術、あるいは引出し
アノード5などを定期的に加熱して使用時のガス放出を
抑えるなどの汚染防止技術が採用されている。しかし、
図9に示すようにフラッシングを加えた後、電子ビー
ム8への水素ガス吸着により電子ビーム8の電流量が急
減し、低いレベルの電流量で低位安定状態になり、
かつ電流量が長時間にわたり逓減するという問題があ
る。そして、その後前述と同様に電子銃チップ3が急速
に劣化してしまう。
【0007】そのために、一定の大きさの電流量を得る
ためには、より強い電界、つまり多くの電位エネルギ
(引出し電圧)を引出しアノード5に与えなければなら
ないが、強い電界を引出しアノード5に与えると、ガス
が多く電子銃チップ3の先端に衝突してスパッタした
り、あるいは吸着したりし、また強い電流が電子銃チッ
プ3の先端温度を高めるため、電子銃チップ3の形状変
化を促進する原因になってしまう。
【0008】また、電子銃チップ3が取り付けられてい
るタングステンフィラメント4およびロウ付け材料に含
まれる不純物が電子銃チップ3に拡散し、電子ビーム8
のノイズの原因になる問題がある。
【0009】ところで、このような問題について考察す
ると、フラッシングの後に急激に電子ビームの電流量が
低下する問題は電子銃チップ3の表面に汚染物質の吸着
だけでは説明が付かないので、真空室7の真空中の残留
ガスの分析を行った。分析の結果、水素のスペクトルの
ピークが観察され、真空中に水素が残留していることが
判明した。更に、水素の分子が電子銃2から引き出され
た(放出された)電子ビームに当たると、この水素の分
子はプラスの水素イオンとなり、数百万ボルト以上と言
われる陰極のW(310)、W(100)またはW(1
11)の電子銃チップ3の先端に衝突することが判明し
た。
【0010】また、電気系、スラム等から拡散してくる
水素と水素イオン衝撃、残留ガスの陽イオン(Ar+
He+)は、 (1) 金属内部に拡散して水素化物WHxを形成し、仕事
関数を悪化させ、電流量を低位均衡(約1/10)まで
低下させる。 (2) 電子銃チップ3の表面を陽イオン(Ar+,He+
衝撃して粗くする。 という問題を生じる。
【0011】次に、第2の問題点は次の通りである。電
子銃チップ3の形状は当初は尖っているが、使用時間が
経過すると、電子放出(電流付加)に伴う発熱とフラッ
シング時の加熱により、電子銃チップ3の先端が丸くな
るばかりでなく、陽イオンのスパッターによりその表面
が粗くなって電子銃チップ3の形状が変化してしまう。
このように変化した電子銃チップ3の形状を修復する方
法として、電子銃チップ3に通常とは逆のプラス電圧を
印加して加熱するリモルディング法が考案されている
が、先端の電界強度が測定し難いばかりでなく、実用的
には制御の再現性が得難く、元の尖った同一形状に修復
することは容易でない。そのために、引き出される電子
ビーム8は太くかつばらつきのあるビームになるという
問題もあり、実用化には至っていない。
【0012】本発明はこのような問題に鑑みてなされた
ものであって、その目的は、水素イオン衝撃に起因する
電子銃チップの仕事関数の悪化を防止できるとともに、
長時間使用後に変化した電子銃チップの形状を効率よく
修復することのできる電子ビーム源を提供することであ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】前述の課題を解決するた
めに、請求項1の発明の電子ビーム源は、冷陰極電界放
出電子銃の電子銃チップを陰極とし、引出しアノードを
陽極とする引出し電圧を付与することにより、前記電子
銃チップから電子ビームを放出する電子ビーム源におい
て、前記電子銃チップの表面に、水素イオン衝撃に対す
る耐性を有する材料の薄膜(W−Al合金、炭化タング
ステン等)が形成されていることを特徴としている。
【0014】また、請求項2の発明は、前記水素イオン
衝撃に対する耐性を有する材料が、アルミニウムまたは
炭素であることを特徴としている。更に、請求項3の発
明は、前記電子銃チップがタングステンからなる主材料
に前記薄膜が形成されて構成されているとともに、タン
グステンフィラメントに溶接後、金でロウ付けされて支
持されていることを特徴としている。更に、請求項4の
発明は、前記引出しアノードが、酸化アルミニウム(A
23)等の水素吸収の少ない主材料の表面を、金、T
iN、AlN等の水素吸収の少ない材料でコーティング
されて陽電極とされた陽極引出しアノードであることを
特徴としている。
【0015】更に、請求項5の発明は、冷陰極電界放出
電子銃の電子銃チップを陰極とし、引出しアノードを陽
極とする引出し電圧を付与することにより、前記電子銃
チップから電子ビームを放出する電子ビーム源におい
て、更に、電子銃チップの形状を修復するチップ形状修
復装置を備え、このチップ形状修復装置は、前記逆電荷
電圧調整装置および前記加熱電流パルス調整装置を制御
するチップ修復ディジタル制御装置とからなり、前記電
子銃チップに対する前記加熱電流パルスの付与をディジ
タル制御することにより、前記電子銃チップの表面付着
物の除去、前記電子銃チップの凹凸の修復、水素イオン
衝撃で生じたWHx固溶体から水素の焼出し等を行うた
めの加熱フラッシング機能を有することを特徴としてい
る。
【0016】更に、請求項6の発明は、冷陰極電界放出
電子銃の電子銃チップを陰極とし、引出しアノードを陽
極とする引出し電圧を付与することにより、前記電子銃
チップから電子ビームを放出する電子ビーム源におい
て、更に、電子銃チップの形状を修復するチップ形状修
復装置を備え、このチップ形状修復装置は、前記電子銃
チップに前述の引出し電圧と逆極性の逆電荷電圧を付与
する逆電荷電圧調整装置と、前記電子銃チップに加熱電
流パルスを付与する加熱電流パルス調整装置と、前記逆
電荷電圧調整装置および前記加熱電流パルス調整装置を
制御するチップ修復ディジタル制御装置とからなり、前
記電子銃チップに対する前記加熱電流パルスの付与をデ
ィジタル制御することにより、前記電子銃チップの表面
付着物の除去、前記電子銃チップの凹凸の修復、水素イ
オン衝撃で生じたWHx固溶体から水素の焼出し等を行
うための加熱フラッシング機能、および前記電子銃チッ
プに対する前記逆電荷電圧の付与および前記電子銃チッ
プに対する前記加熱電流パルスの付与をそれぞれディジ
タル制御することにより、電子銃チップの形状を修復す
るチップ形状修復機能の少なくとも1つを有することを
特徴としている。
【0017】更に、請求項7の発明は、前記チップ修復
ディジタル制御装置は、形状修復中の前記電子銃チップ
の先端径を修復目標とする最適先端径に修復とするよう
に、前記電子銃チップに対する前記逆電荷電圧の付与お
よび前記加熱電流パルスの付与をそれぞれディジタル制
御することを特徴としている。
【0018】
【作用】このように構成された本発明の電子ビーム源に
おいては、電子銃チップがその表面に、アルミニウム、
Al−W合金、炭化タングステン、炭素などの水素イオ
ン衝撃への耐性の強い材料の薄膜が形成されることか
ら、水素イオン衝撃に起因する電子銃チップの仕事関数
の悪化が防止される。これにより、フラッシング後の急
激な電子ビーム電流量の低下が防止され、従来の電子ビ
ーム源よりも高いレベルの電流量が安定して得られるよ
うになる。
【0019】また、電子銃チップが金でタングステンフ
ィラメントにスポット溶接等で溶された後にロウ付され
ることから、その金の原子表面移動によりチップ表面の
凹凸(荒れ)が埋められて、チップ表面が滑らかになる
ので、電子ビームのノイズが少なくなるとともに、電子
ビームが安定する。
【0020】更に、引出しアノードが、Al23等の水
素吸収が少なく、水素拡散の起こりにくい主材料の表面
を、金、TiN、AlN等の水素吸収の少ない材料でコ
ーティングして陽電極とした陽極引出しアノードにされ
ることから、電子銃チップへの水素イオン衝撃の量が減
少し、電子銃チップから引き出される電子ビーム電流量
の低下が防止される。
【0021】更に、電子銃チップが加熱フラッシングさ
れることから、電子銃チップ表面の付着物除去、電子銃
チップ表面の凹凸などの表面荒れの修正、水素イオン衝
撃によるWHx固溶体の水素焼出しが効果的に行われ、
しかも、それらの各々に最適の条件でコンピュータによ
りディジタル制御が行われるので、電子銃チップの仕事
関数が従来より効率よく改善される。
【0022】更に、長時間の使用で変形した電子銃チッ
プの形状を修復するために、使用時の電圧の極性とは逆
極性(+)の電圧が任意に電子銃チップに付与されると
ともに、加熱電流パルスが電子銃チップにコンピュータ
によりディジタル制御で付与されることから、電子銃チ
ップの形状が元の形状に再現性良く修復されるようにな
る。更に、修復中の電子銃チップの先端径が修復の目標
とする最適径に修復制御されるので、チップ形状の再現
性が更に一層高まる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明の実施
の形態について説明する。図1は、本発明に係る電子ビ
ーム源の実施の形態の一例が適用された走査型電子顕微
鏡を模式的に示す図である。なお、本発明の電子ビーム
源は、この走査型電子顕微鏡に限定されることなく、透
過型電子顕微鏡などの、電子ビーム源を備えた他の装置
にも適用することができるが、以下の説明においては、
この走査型電子顕微鏡に本発明の電子ビーム源を適用し
て説明する。また、前述の従来例と同じ構成要素には同
じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0024】図1に示すように、本発明のこの例の電子
ビーム源を備えた走査型電子顕微鏡1は、電子ビーム8
を放出する電子銃チップ(陰極)3を有する冷陰極電界
放出電子銃2、タングステンフィラメント4、電子銃チ
ップ3と対をなす陽極の引出しアノード5、逆電荷電圧
調整装置9、加熱電流パルス調整装置10、電子銃チッ
プ3の修復をディジタル制御で行うコンピュータからな
るチップ修復ディジタル制御装置11を備えている。こ
の例の電子ビーム源は、電子銃チップ3およびタングス
テンフィラメント4を備えた電子銃2、引出しアノード
5、逆電荷電圧調整装置9、加熱電流パルス調整装置1
0、チップ修復ディジタル制御装置11、引出し電源1
7、引出し電圧スイッチ18および加熱電源19から構
成されている。
【0025】ところで、前述のような水素イオン衝撃を
少なくするために、この例の電子銃チップ3を次のよう
に構成している。すなわち、 図2に示すように、電子銃チップ3は、電子銃2の
電子ビーム8を引き出す、 タングステンW(310)
方位単結晶を主材料とし、このW(310)方位単 結
晶の材料の表面に、水素イオンスパッタリングに耐える
材料つまり水素イオ ン衝撃に耐える性質の強い材料の
薄膜を着けている。具体的な一例を説明する と、水素
イオンスパッタリングに対する防御耐性が強く、かつW
(310)の 表面に乗り易い材料であるアルミおよび
炭素を用い、まず電子銃チップ3の表 面にアルミ薄膜
12を蒸着などの適宜の薄膜形成方法で着けるととも
に、この アルミ薄膜12の表面に炭素薄膜13を同様
に蒸着などの方法で着ける。
【0026】 電子銃チップ3はタングステンフィラ
メント4にスポット溶接された後、金14でロウ付けさ
れている。すなわち、電子銃チップ3をタングステンフ
ィラメント4に溶着する材料に金14を用いている。こ
の金14の分子の一部は、フィラメント加熱時電子銃チ
ップ3の表面で原子移動の現象が起こり、水素イオンス
パッタリングによる電子銃チップ3の表面の荒れを埋め
て滑らかにする作用を生ずる。また、金14はロウ付け
材料としては不純物がなく、電子銃チップ3にノイズ発
生の影響を及ぼさない。そのため、エミッションノイズ
が低減される。
【0027】 図3に示すように、電子銃チップ3か
ら放出された電子ビーム8が引出しアノード5に当たる
と、引出しアノード5の金属の中から水素が吐き出され
る。そこで、引出しアノード5を、例えばAl23(多
結晶セラミックス、単結晶サファイア)などの水素吸収
の少ない材料15を用いるとともに、この材料15の表
面に、同じく水素吸収の少ない材質の金、TiN、Ai
Nなどのコーティングで薄膜16を形成して、陽電極の
機能を付与している。
【0028】次に、前述の第2の問題点について考察す
ると、一定時間使用経過後の丸く変形した電子銃チップ
3の先端は、W(310)、W(111)、W(11
0)、W(100)などの複数の方位結晶が現れて、方
位の結晶稜線および角から出た別々のビームが混じって
電子ビーム8が太くなる。そこで、図4に示すように、
この電子ビーム8が太くなった状態の電子銃チップ3に
前述のように通常使用時と逆電荷のプラス電位を印加す
るとともに、加熱電流パルス調整装置10により加熱電
流を加えると、各方位のタングステン結晶が各々独自の
原子運動を起こし、徐々にW(310)方位単結晶を電
子銃チップ3の先端方向に押し出す現象が生じる。しか
し、この原子運動は途中で止まってしまったり、あるい
は、行き過ぎて再びW(310)以外の方位がチップ先
端に出てしまったりして、原子運動の制御が難しいこと
が判明した。
【0029】そこで、この例の電子ビーム源では、前述
のように逆電荷電圧調整装置9、加熱電流パルス調整装
置10、およびチップ修復ディジタル制御装置11から
なるチップ形状修復装置を備えている。
【0030】逆電荷電圧調整装置9は、電子銃チップ3
の変形した形状を修復するために、電子銃チップ3に通
常使用時とは逆のプラス電位の電圧を与えるものであ
る。加熱電流パルス調整装置10は、電子銃チップ3の
形状修復のために、電子銃チップ3に加熱電流パルスを
印加するものである。
【0031】チップ修復ディジタル制御装置11は逆電
荷電圧調整装置9および加熱電流パルス調整装置10に
よる電子銃チップ3に対する加熱フラッシングをディジ
タルで最適制御するものである。このように、電子銃チ
ップ3に対する加熱フラッシングをディジタルで最適制
御することで、電子銃チップ3の表面付着物を除去する
とともに、電子銃チップ3の凹凸などの変形した形状を
元の形状に修復し、更に水素イオン衝撃で生じたWHx
固溶体から水素を焼き出しするようになっている。具体
的には、チップ修復ディジタル制御装置11は逆電荷電
圧調整装置9をディジタル制御することにより、逆電荷
電圧調整装置9が前述の逆のプラス電位の電圧を電子銃
チップ3に段階的に与えるようにしているとともに、加
熱電流パルス調整装置10をディジタル制御することに
より、加熱電流パルス調整装置10が前述の加熱電流パ
ルスを電子銃チップ3に、その強さ、回数、時間、時間
間隔を制御して与えるようにしている。
【0032】そして、この例の電子ビーム源では、電子
銃チップ3に印加するプラス電位および加熱電流を次の
ように制御している。すなわち、図5に示すようにチッ
プ修復ディジタル制御装置11が、(1)フラッシング機
能、(2)チップ形状修復機能を行うために、逆電荷電圧
調整装置9および加熱電流パルス制御装置10に対して
それぞれの機能に応じた電流、電圧のディジタル制御を
行うようにしている。
【0033】(1)フラッシング機能は、 チップ表面に
付着する炭素化合物、水素などのコンタミネーション
(以下、コンタミともいう)の除去、 チップ表面の
荒れのスムージング、 水素イオン衝撃や拡散で生じ
るWHx固溶物を防止するための電子銃チップ3内にお
けるWHxの水素追い出しを行うものである。チップ修
復ディジタル制御装置11は、このフラッシング機能を
行うときは逆電荷電圧調整装置9をオンせず、逆電荷電
圧を電子銃チップ3に印加しないが、加熱電流パルス調
整装置10をオンして加熱電流パルスを電子銃チップ3
に印加している。このときの加熱電流パルスの波形
(A)は、図5に示すように比較的長い一定大きさのパ
ルスに設定されている。
【0034】(2)チップ形状修復機能は、一定時間使用
後に丸くなったチップ先端を、元の尖った先端形状に修
復するものであり、 標準利用における先端径(標準
利用先端径)への修復、 極細先端径への修復を行
う。この極細先端径はチップ先端がタングステン原子数
個レベルのチップ先端径である。
【0035】チップ修復ディジタル制御装置11は、
標準利用先端径への修復を行うときは、逆電荷電圧調
整装置9をオンして逆電荷電圧を電子銃チップ3に印加
し、かつ、加熱電流パルス調整装置10をオンして加熱
電流パルスをタングステンフィラメント4、電子銃チッ
プ3に付与している。このときの逆電荷電圧は一定の逆
電荷電圧V1ボルトに設定され、また、加熱電流パルス
の波形(B)は、図5に示すように比較的短い一定大き
さの波形であり、所定数のパルスを1セットとし、この
1セットをT1回繰り返すようにしている。
【0036】また、チップ修復ディジタル制御装置11
は、 極細先端径への修復を行うときは、逆電荷電圧
調整装置9をオンして電子銃チップ3に印加し、かつ、
加熱電流パルス調整装置10をオンして加熱電流パルス
をタングステンフィラメント4、電子銃チップ3に付与
している。このときの逆電荷電圧は可変電圧V2であ
り、この可変電圧V2は徐々に段階的に高められ、最初
最も小さい値のRVボルトを印加し、以後1回毎に+d
ボルト高め、加熱電流パルスが電子銃チップ3に付与さ
れている間、繰り返して高められて付与されている。ま
た、加熱電流パルスの波形は、図5に示すように2種類
のパルス波形(C1)および(C2)が設定されてい
る。パルス波形(C1)は比較的短く、大きさが最初大
きくて一定大きさだけ小さくなるパルス波形であり、ま
た、パルス波形(C2)は比較的短く、最初小さくて一
定大きさだけ大きくなるパルス波形である。そして、パ
ルス波形(C1)および(C2)においてそれぞれ所定
数のパルスを1組として、最初にパルス波形(C1)の
1組を設定し、続いてパルス波形(C2)の1組を設定
するセットをT2回繰り返している。
【0037】更に、この例の電子ビーム源では、このよ
うなチップ修復ディジタル制御において、修復中の電子
銃チップ3の先端径をその電子ビーム源の使用目的に応
じた最適の径に修復する装置も備えている。以下、この
修復装置について説明する。
【0038】一定時間の使用の後で丸くなったチップ先
端を、元の最適チップ先端径に修復する制御を、以下の
手順で行う。すなわち、 (1) 最適先端径の電子銃チップ3から、基準として、例
えば1μAのエミッション電流を引き出す最適径引出し
電圧L(t)ボルトを計測する。 (2) フラッシング直後の、逆電荷電圧による形状修復を
加える前の丸く変形した電子銃チップ3から1μAの電
流を引き出す電圧L(0)を計測する。 (3) 電子銃チップ3に加える加熱電流パルスの回数が増
えるにつれて、チップ先端は次第に修復されていくが、
これにつれて1μAのエミッション電流を得る引出し電
圧L(n){n回のパルスのときのL(n)と表す}は
次第に下がる方向に変化していくので、図6に示すよう
なW(310)結晶方位についての加熱電流パルス回数
(n)とエミッション電流1μAを引き出す引出し電圧
(ボルト)の関係の曲線を描く。 (4) 加熱電流パルスを加え続けて、T1回のパルスでチ
ップ先端は最適径に修復され、このとき、引出し電圧は
最適引出し電圧L(t)になる。 (5) 上記の基準化計測で得られた最適チップ先端径が得
られた加熱電流パルスの回数T1をチップ修復ディジタ
ル制御装置11にインプットしておく。これにより、加
熱電流パルスを回数T1付与することで、チップ形状を
簡単に修復の目標とする最適先端径に修復することがで
きるようになる。 (6) そして、定例的にチップ修復を実施するが、この定
例のチップ修復では、まず逆電荷電圧をオフにするとと
もに、パルス電流波形(B)の加熱電流パルスでフラッ
シングを行い、その後に、一定逆電荷電圧V1ボルトに
してパルス電流波形(B)の加熱電流パルスをT1回だ
けディジタル制御で電子銃チップ3に付加することによ
り、最適先端径が復元される。この最適チップ先端径は
標準利用先端径を示している。 (7) 更に、極細先端径に修復する場合は、パルス電流波
形(B)の加熱電流パルスをT1回だけチップに付加し
た後、ディジタル制御でパルス電流波形(C1)の1組
とパルス電流波形(C2)の1組とをセットにした加熱
電流パルスをT2回だけ電子銃チップ3に付加する。こ
れにより、チップ先端は極細先端径に修復され、このと
き、引出し電圧は極細先端径の引出し電圧L(s)にな
る。このようにして、この例の電子ビーム源におけるチ
ップ修復装置により、再現性のよいチップ修復が可能と
なる。
【0039】次に、このように構成された電子ビーム源
におけるチップ修復装置のチップ修復動作を説明する。
図7は、この動作のフローを示す図である。図7に示す
ように、まず、ステップS1で電子顕微鏡1の電子ビー
ム源の通常使用が行われ、電子銃チップ3に、スイッチ
18がオンされて引出し電源17の陰極の引出し電荷が
印加されるとともに、加熱電流パルス調整装置10から
引出し加熱電流が印加される。次いで、ステップS2で
電子顕微鏡1の電子ビーム源が一定時間通常使用された
か否かが判断され、電子ビーム源が一定時間通常使用さ
れていないと判断されると、そのまま、電子ビーム源が
一定時間通常使用されていないと判断される間はこのス
テップS2の処理が繰り返される。
【0040】ステップS2で電子ビーム源が一定時間通
常使用された判断されると、ステップS3で前述の電子
銃チップ3のフラッシングが行われる。このフラッシン
グでは、前述のように逆電荷電圧が電子銃チップ3に印
加されなく、パルス波形(A)の加熱電流パルスが電子
銃チップ3に印加される。所定のフラッシングが終了す
ると、ステップS4で前述のチップ形状修復が行われ
る。このチップ形状修復では、逆電荷電圧調整装置9か
ら前述の修復用の逆電荷電圧が電子銃チップ3に印加さ
れるとともに、加熱電流パルス調整装置10から前述の
修復用の加熱電流パルスがタングステンフィラメント
4、電子銃チップ3に印加される。
【0041】そして、まず、ステップS5で逆電荷電圧
調整装置9からの一定電圧V1の逆電荷電圧および加熱
電流パルス調整装置10からのパルス波形(B)の加熱
電流パルスによる標準利用先端径の修復が行われる。パ
ルス波形(B)の加熱電流パルスについては、ステップ
S6でパルス付与回数tをリセットし(t=0)、ステ
ップS7でパルス波形(B)の加熱電流パルスの1セッ
トが1回電子銃チップ3に付与される。次に、ステップ
S8でパルス付与回数tを1カウントアップし(t=t
+1)、次いでステップS9でパルス付与回数tが一定
値T1になった(t=T1)か否かが判断される。パル
ス付与回数tが一定値T1になっていないと判断される
と、ステップS7の処理に戻り、パルス付与回数tが一
定値T1になっていないと判断される間は、ステップS
7ないしS9の各処理が繰り返される。ステップS9で
パルス付与回数tが一定値T1になったと判断される
と、ステップS10で加熱電流パルスの付与が終了す
る。一方、逆電荷電圧については、ステップS11で逆
電荷電圧V1が電子銃チップ3に付与される。次に、ス
テップS12で加熱電流パルスの付与が終了したか否か
が判断され、加熱電流パルスの付与が終了していないと
判断されると、加熱電流パルスの付与が終了していない
と判断される間はこのステップS12の処理が繰り返さ
れる。ステップS12で加熱電流パルスの付与が終了し
たと判断されると、ステップS13で逆電荷電圧の付与
が終了する。このようにして、標準利用先端径の修復が
終了する。
【0042】次に、ステップS14で極細先端径の修復
か否かが判断され、極細先端径の修復でないと判断され
ると、ステップS15でチップ形状修復が終了し、ステ
ップS1の通常使用に戻る。ステップS14で極細先端
径の修復であると判断されると、ステップS16で逆電
荷電圧調整装置9からの可変電圧V2の逆電荷電圧およ
び加熱電流パルス調整装置10からの前述のパルス波形
(C1),(C2)の加熱電流パルスによる標準利用先
端径の修復が行われる。パルス波形(C1),(C2)
の加熱電流パルスについては、ステップS17でパルス
付与回数tをリセットし(t=0)、ステップS18で
パルス波形(C1)の加熱電流パルスの1組みが1回電
子銃チップ3に付与される。次に、ステップS19でパ
ルス波形(C2)の加熱電流パルスの1組みが1回電子
銃チップ3に付与される。これらのパルス波形(C
2),(C2)の1セットの付与が終了すると、ステッ
プS20でパルス付与回数tを1カウントアップし(t
=t+1)、次いでステップS21でパルス付与回数t
が一定値T2になった(t=T2)か否かが判断され
る。パルス付与回数tが一定値T2になっていないと判
断されると、ステップS18の処理に戻り、パルス付与
回数tが一定値T2になっていないと判断される間は、
ステップS18ないしS21の各処理が繰り返される。
ステップS21でパルス付与回数tが一定値T2になっ
たと判断されると、ステップS22で加熱電流パルスの
付与が終了する。一方、逆電荷電圧については、ステッ
プS23で最小電圧RVボルトの逆電荷電圧V2が電子
銃チップ3に付与される。次に、ステップS24で加熱
電流パルスの付与が終了したか否かが判断され、加熱電
流パルスの付与が終了していないと判断されると、この
ステップS25で逆電荷電圧V2がdボルトだけ高めら
れた(V2=V2+d)後、ステップS24の処理に戻
り、加熱電流パルスの付与が終了していないと判断され
る間は、ステップS24およびS25の各処理が繰り返
される。ステップS26で逆電荷電圧の付与が終了す
る。このようにして、極細先端径の修復が終了し、ステ
ップS15に移行して、チップ形状修復が終了し、ステ
ップS1の通常使用に戻る。
【0043】なお、図1に示す例の透過型電子顕微鏡1
において、前述の説明に述べられなかった他の構成要素
は、従来周知の透過型電子顕微鏡1の構成要素と同じで
ある。
【0044】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
に係る電子ビーム源によれば、電子銃チップに、アルミ
ニウム、炭素などの水素イオン衝撃への耐性の強い材料
の薄膜を形成しているので、水素イオン衝撃に起因する
電子銃チップの仕事関数の悪化を防止できる。その結
果、フラッシング後の急激な電子ビーム電流量の低下を
防止でき、従来の電子ビーム源よりも高いレベルの電流
量を安定して得ることができる。
【0045】また、電子銃チップを金でタングステンフ
ィラメントにスポット溶接等の溶接をした後にロウ付け
しているので、電子ビームのノイズを少なくできるとと
もに、その金の原子表面移動によりチップ表面の凹凸
(荒れ)を埋めて表面が滑らかになり、電子ビームを安
定させることができる。
【0046】更に、引出しアノードを、Al23等の水
素吸収の少ない主材料の表面を、金、TiN、AlN等
の水素吸収の少ない材料でコーティングして陽電極とし
た陽極引出しアノードにしているので、電子銃チップへ
の水素イオン衝撃の量を減少させることができ、電子銃
チップから引き出される電子ビーム電流量の低下を防止
できる。
【0047】更に、電子銃チップを加熱フラッシングす
ることにより、電子銃チップ表面の付着物除去、電子銃
チップ表面の凹凸などの表面荒れの修正、水素イオン衝
撃によるWHx固溶体の水素焼出しを効果的に行うこと
ができ、しかも、それらの各々に最適の条件でコンピュ
ータによりディジタル制御を行うことで、電子銃チップ
の仕事関数を従来より効率よく改善することができる。
【0048】更に、長時間の使用で変形した電子銃チッ
プの形状を修復するために、使用時の電圧の極性とは逆
極性の逆電荷電圧を電子銃チップにコンピュータにより
ディジタル制御で付与するとともに、加熱電流パルスを
電子銃チップにコンピュータによりディジタル制御で付
与しているので、電子銃チップの形状を元の形状に再現
性良く修復することができる。更に、修復中の電子銃チ
ップの先端径を修復の目標とする最適径最適径に修復制
御しているので、チップ形状の再現性を更に一層高める
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る電子ビーム源の実施の形態の一
例が適用された走査型電子顕微鏡を模式的に示す図であ
る。
【図2】 図1に示す例の電子ビーム源の冷陰極電界放
出電子銃を模式的に示す図である。
【図3】 図1に示す電子ビーム源の電子銃および引出
しアノードの部分を模式的に示す図である。
【図4】 図1に示す電子ビーム源の電子銃チップの形
状修復機構を模式的に示す図である。
【図5】 図4に示すチップ修復ディジタル制御装置の
機能を説明する図である。
【図6】 図5に示すチップ修復ディジタル制御装置の
加熱電流パルスによるチップ形状修復機能を説明する図
である。
【図7】 図1に示す走査型電子顕微鏡のフラッシング
動作およびチップ形状修復動作を行うためのフローを示
す図である。
【図8】 従来の走査型電子顕微鏡の電子ビーム源にお
ける電子銃および引出しアノードの部分を模式的に示す
図である。
【図9】 従来の電子ビーム源における電子銃チップの
フラッシング後の電子ビーム電流量の動きを説明する図
である。
【符号の説明】
1…走査型電子顕微鏡、2…冷陰極電界放出電子銃(電
子ビーム源)、3…電子銃チップ(陰極)、4…タング
ステンフィラメント、5…引出しアノード(陽極)、6
…真空ポンプ、7…真空室、8…電子ビーム、9…逆電
荷電圧調整装置、10…加熱電流パルス調整装置、11
…チップ修復ディジタル制御装置、12…アルミ薄膜、
13…炭素薄膜、14…金、15…Al23(多結晶セ
ラミックス、単結晶 サファイア)などの水素吸収の少
ない材料、16…水素吸収の少ない材質の金、TiN、
AiNなどの薄膜、17…引出し電源、18…引出し電
源スイッチ、19…加熱電源スイッチ、20…高圧碍子

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 冷陰極電界放出電子銃の電子銃チップを
    陰極とし、引出しアノードを陽極とする引出し電圧を付
    与することにより、前記電子銃チップから電子ビームを
    放出する電子ビーム源において、 前記電子銃チップの表面に、水素イオン衝撃に対する耐
    性を有する材料の薄膜が形成されていることを特徴とす
    る電子ビーム源。
  2. 【請求項2】 前記水素イオン衝撃に対する耐性を有す
    る材料は、アルミニウムまたは炭素であることを特徴と
    する請求項1記載の電子ビーム源。
  3. 【請求項3】 前記電子銃チップはタングステンからな
    る主材料に前記薄膜が形成されて構成されているととも
    に、タングステンフィラメントに溶接後、金でロウ付け
    されて支持されていることを特徴とする請求項1または
    2記載の電子ビーム源。
  4. 【請求項4】 前記引出しアノードは、Al23等の水
    素吸収の少ない主材料の表面を、金、TiN、AlN等
    の水素吸収の少ない材料でコーティングされて陽電極と
    された陽極引出しアノードであることを特徴とする請求
    項1ないし3のいずれか1記載の電子ビーム源。
  5. 【請求項5】 冷陰極電界放出電子銃の電子銃チップを
    陰極とし、引出しアノードを陽極とする引出し電圧を付
    与することにより、前記電子銃チップから電子ビームを
    放出する電子ビーム源において、 更に、電子銃チップの形状を修復するチップ形状修復装
    置を備え、このチップ形状修復装置は、前記逆電荷電圧
    調整装置および前記加熱電流パルス調整装置を制御する
    チップ修復ディジタル制御装置とからなり、 前記電子銃チップに対する前記加熱電流パルスの付与を
    ディジタル制御することにより、前記電子銃チップの表
    面付着物の除去、前記電子銃チップの凹凸の修復、水素
    イオン衝撃で生じたWHx固溶体から水素の焼出し等を
    行うための加熱フラッシング機能を有することを特徴と
    する電子ビーム源。
  6. 【請求項6】 冷陰極電界放出電子銃の電子銃チップを
    陰極とし、引出しアノードを陽極とする引出し電圧を付
    与することにより、前記電子銃チップから電子ビームを
    放出する電子ビーム源において、 更に、電子銃チップの形状を修復するチップ形状修復装
    置を備え、このチップ形状修復装置は、前記電子銃チッ
    プに前述の引出し電圧と逆極性の逆電荷電圧を付与する
    逆電荷電圧調整装置と、前記電子銃チップに加熱電流パ
    ルスを付与する加熱電流パルス調整装置と、前記逆電荷
    電圧調整装置および前記加熱電流パルス調整装置を制御
    するチップ修復ディジタル制御装置とからなり、 前記電子銃チップに対する前記加熱電流パルスの付与を
    ディジタル制御することにより、前記電子銃チップの表
    面付着物の除去、前記電子銃チップの凹凸の修復、水素
    イオン衝撃で生じたWHx固溶体から水素の焼出し等を
    行うための加熱フラッシング機能、および前記電子銃チ
    ップに対する前記逆電荷電圧の付与および前記電子銃チ
    ップに対する前記加熱電流パルスの付与をそれぞれディ
    ジタル制御することにより、電子銃チップの形状を修復
    するチップ形状修復機能の少なくとも1つを有すること
    を特徴とする電子ビーム源。
  7. 【請求項7】 前記チップ修復ディジタル制御装置は、
    形状修復中の前記電子銃チップの先端径を修復目標とす
    る最適先端径に修復とするように、前記電子銃チップに
    対する前記逆電荷電圧の付与および前記加熱電流パルス
    の付与をそれぞれディジタル制御することを特徴とする
    請求項6記載の電子ビーム源。
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