JP2021524650A - 拡散障壁を有する電子エミッタ向けの金属保護層 - Google Patents

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Abstract

100nm以下の直径を有するエミッタを、保護キャップ層、並びにエミッタ・保護キャップ層間拡散障壁と併用する。保護キャップ層はエミッタ外表面上に配する。保護キャップ層にモリブデン又はイリジウムを含有させる。そのエミッタにて電子ビームを生成することができる。そのエミッタをパルス駆動することができる。

Description

本件開示は被覆付電子エミッタに関する。
(関連出願への相互参照)
本願では2018年5月25日付米国暫定特許出願第62/676735号に基づき優先権を主張するので、ここに参照によってその開示内容を繰り入れることにする。
小さなチップ(尖端)直径(例.100nm以下)を有していて電子放出に用いられるエミッタは真空コンディションに影響される。真空コンディション次第で電界放出性能が劣化しうる。通常の電子エミッタには保護被覆がなく、酸化や炭素ビルドアップから守られていない。超高真空(UHV)コンディション下での電子ビーム放出中にはそのカソードチップの表面上に炭素層が成長する。UHV環境における表面酸化も起きやすい。従来構成は清掃、例えば酸化層又は炭素層のそれに対しロバストでない。真空由来分子(例.水素、一酸化炭素、酸素、窒素及び水)もカソードチップ上に吸着しうるし、そのことが電界放出電流の低下及び電界放出電流の不安定性につながりうる。
シリコンは、よく確立されているシリコンマイクロファブリケーション技術があるため、電子エミッタとして用いられるナノチップの作成向けの良好な候補素材である。しかしながらシリコン製エミッタはかなり酸化しやすく、それによりエミッタチップが酸化シリコンに変化してしまう。酸化シリコンの仕事関数は高いので、酸化シリコンがあるとチップが電子放出に関し動作不能となる。エミッタ上における酸化シリコンの存在により安定性も影響を受ける。システム寿命に亘りその発生を防げるはっきりとした方法はない。
米国特許出願公開第2008/0287030号 米国特許出願公開第2008/0261337号 米国特許第5800233号
そのため、電子エミッタ及び動作方法の改良が求められている。
第1実施形態では装置が提供される。本装置は、その直径が100nm以下のエミッタを有する。そのエミッタの外表面上には保護キャップ層が配される。その保護キャップ層はモリブデンを含有するものとする。エミッタの直径は15nm未満とされうる。保護キャップ層の厚みは1nm〜20nmとされうる。
拡散障壁をエミッタ・保護キャップ層間に配してもよい。その拡散障壁にはTiN、炭素、BC、硼素又はニオブを含有させうる。
保護キャップ層は、少なくとも放出エリア内にピンホールがないものとされうる。
保護キャップ層の不純物は10未満とされうる。その不純物には炭素、酸化物、溶解ガスたる酸素、ナトリウム又はカリウムが含まれうる。
保護キャップ層のポロシティは25%以下とされうる。
保護キャップ層のパッキング密度は0.92以上とされうる。
第1実施形態のエミッタを有する電子源、ステージ及び検出器によりシステムが構成されうる。
第2実施形態では装置が提供される。本装置は、その直径が100nm以下のエミッタを有する。そのエミッタの外表面上には保護キャップ層が配される。その保護キャップ層にはイリジウムを含有させうる。エミッタの直径は15nm未満とされうる。保護キャップ層の厚みは1nm〜20nmとされうる。
拡散障壁をエミッタ・保護キャップ層間に配してもよい。その拡散障壁にはTiN、炭素、BC、硼素又はニオブを含有させうる。
保護キャップ層は、少なくとも放出エリア内にピンホールがないものとされうる。
保護キャップ層の不純物は10未満とされうる。その不純物には炭素、酸化物、溶解ガスたる酸素、ナトリウム又はカリウムが含まれうる。
保護キャップ層のポロシティは25%以下とされうる。
保護キャップ層のパッキング密度は0.92以上とされうる。
第2実施形態のエミッタを有する電子源、ステージ及び検出器によりシステムが構成されうる。
第3実施形態では方法が提供される。本方法では、その外表面上に保護キャップ層が配されているエミッタを準備する。エミッタ直径は100nm以下とする。そのエミッタに電界を印加する。そのエミッタから電子ビームを発生させる。そのエミッタをパルス駆動することでそのエミッタから吸着物を除去する。
保護キャップ層にはモリブデン、イリジウム、ルテニウムその他の素材を含有させうる。
本件開示の性質及び目的についてのより遺漏なき理解のためには、以下の添付図面と併せ後掲の詳細記述を参照すべきである。
本件開示に係る電子放出システムの実施形態の正面図である。 本件開示に係る方法のフローチャートである。 本件開示に係る別の方法のフローチャートである。 本件開示に係るシステムの実施形態を示す図である。 エクストラクタ電流及びプローブ電流に関し実験結果を示す図である。 エクストラクタ電流及びプローブ電流に関し別例での実験結果を示す図である。 1nm厚ニオブ膜上に堆積された5nm厚モリブデン膜を有するシリコン製エミッタの明視野像を示す図である。 本件開示に係る別の方法のフローチャートである。 30秒毎の500ms幅パルスによるエクストラクタ電流経時変化図である。 定常放出・パルス放出間ノイズ比較図である。 シリコン上に1nm厚ニオブ製拡散障壁がありその上に5nm厚モリブデン被覆がある際の定常電界放出・パルス電界放出間安定性比較図である。 シリコン上に5nm厚モリブデン被覆がある際の定常電界放出・パルス電界放出間安定性比較図である。 パルス電界放出を描いた図である。 イリジウム膜がその上に堆積されているシリコン製エミッタの明視野像を描いた図である。 1nm厚BC上を5nm厚ルテニウムで以て覆ったエミッタに関し、8時間の定常電界放出及びそれに続く8時間のパルス駆動下電界放出における隣接収集データポイント間百分率相対エクストラクタ電流変化ΔI/Iの毎時計数値を比較する図である。
ある種の実施形態により特許請求の範囲記載の主題を説明するが、他の諸実施形態、例えば本願中で説明する長所及び特徴を皆は提供しない諸実施形態もまた、本件開示の技術的範囲内にある。本件開示の技術的範囲から離隔することなく、様々な構造的、論理的、処理ステップ的及び電子的改変をなすことができる。従って、本件開示の技術的範囲を定義するすべは別項の特許請求の範囲への参照以外にない。
本願開示の諸実施形態では、電子流安定性が高く寿命が長いエミッタ、並びにエミッタ動作方法を提供する。本願開示の通り、そのエミッタのチップをモリブデン及び/又はイリジウム製の保護キャップ層で以て被覆する。モリブデンやイリジウムでシリコン製のチップを被覆することで、n型シリコン又はp型シリコン製エミッタに比べ放出電流が多くなり且つ放出電流安定性が良好になる。加えて、そのモリブデンやイリジウムの表面を、水素分子、熱を持った水素分子、水素プラズマその他のプラズマを用い、炭素汚染や酸化について清掃することができる。本願開示の諸実施形態は、既存システムを改修して組み込めるので、再設計コストが抑制される。
保護キャップ層を適宜選定することで、吸着分子を金属部から容易に清掃除去することが可能となり、且つ保護キャップ層無しの場合に比べ長く金属面を清浄に保てるようになる。吸着分子は、加熱、紫外光、電子刺激脱離により、或いは強電界を用い、チップから清掃除去することができる。超高真空コンディション下でさえも、保護キャップ層無しだとシリコン製カソードチップの表面上での炭素層成長が電子ビーム放出中になおも起こりうるし、それらの面の酸化も同様である。保護キャップ層には酸化及び炭素ビルドアップに対する抵抗力がある。
図1は電子放出システム100の正面図であり、これはエミッタ101及びエミッタ実装機構102を有している。電子放出システム100は、自電子放出システム100を取り巻く環境又は空間中に電子を放出するよう構成されている。エミッタ101は第1セクション103、第2セクション104及び丸み付チップ105を有している。第1セクション103は円筒状とすることができる。丸み付チップ105を除く第2セクション104は概ね円錐台状とすることができる。第2セクション104は第1セクション103の遠位端上に配することができる。第2セクション104により、あるテーパリング幅又は直径で以て第1セクション103・丸み付チップ105間をつなぐことができる。第1セクション103及び第2セクション104は全体として丸くすることができるが、第1セクション103及び第2セクション104のどちらにも、その結晶構造によるファセット(切子面)が現れうる。丸み付チップ105は第2セクション104の遠位端上に配されており、概ね切頭球とすることができる。丸み付チップ105には少なくとも部分的に、或いは全面的に、丸み付けすることができる。本願記載の形状以外の形状にすることもできる。
第1セクション103、或いは第1セクション103及び第2セクション104のことを、エミッタ101の「シャフト」と表すことができる。エミッタ101のシャフトはエミッタ実装機構102によって保持される。
エミッタ101、第1セクション103、第2セクション104及び丸み付チップ105の寸法は多様たりうる。エミッタ101のシャフト又はエミッタ101それ自体を、長さ及び直径双方に関しnmスケール又はμmスケールとすることができる。
エミッタ101はエミッタコア110及び保護キャップ層111を有している。保護キャップ層111はエミッタコア110の外表面上に配されている。エミッタコア110の外表面全体を保護キャップ層111で覆ってもよいし、一部しか覆わなくてもよい。即ち、エミッタ101の露出面のうち100%を保護キャップ層111で覆ってもよいし、100%未満を覆うのでもよい。とはいえ、エミッタ101のうち少なくとも丸み付チップ105、或いはエミッタ101のうち少なくとも放出エリアを、保護キャップ層111で覆った方がよい。
エミッタコア110はシリコンその他の物質とすればよい。保護キャップ層111はモリブデン、イリジウム、或いはモリブデンとイリジウムの合金とすることができる。他の諸物質をモリブデン及び/又はイリジウムと合金化することもできる。モリブデンやイリジウムは90%超の純度、例えば99%超の純度がよい。一例としては、シリコン製冷電界エミッタを、マイクロファブリケーションプロセスを用い構築する。その上で、モリブデン及び/又はイリジウムのスパッタリング薄膜を、そのシリコン製冷電界エミッタ上に堆積させる。
オプション的な拡散障壁112をエミッタ101・保護キャップ層111間に配してもよい。その拡散障壁112によりエミッタコア110・保護キャップ層111間拡散が防止又は低減される。拡散障壁112は、例えばTiN、炭素、BC、硼素、ニオブその他の物質とすればよい。拡散障壁112の厚みを適宜選定することで拡散、例えばエミッタコア110のシリコン内への金属の拡散を、防止又は低減することができる。一例に係る拡散障壁112の厚みは1〜2nmであるが、より厚手な層にすることもできる。拡散障壁112を厚手にすると輝度が下がる結果になりうるが、用途によってはこれを許容しうることもある。拡散障壁112内酸素含量を制御することで、存在する酸素の量を最小化させてもよい。例えば、拡散障壁112付加前に、アルゴンプラズマを用いてエミッタ101から金属酸化物を除去することができる。一例としては、そのアルゴンプラズマ、拡散障壁112及び保護キャップ層111を同じチャンバ内で適用・付加することで、真空が破れないようにする。
保護キャップ層111を、拡散障壁112抜きで直接、エミッタ101に付加することもできる。その例たるモリブデン製保護キャップ層111を、拡散障壁112抜きでエミッタ101上で試験したところ、許容しうる性能が得られた。
保護キャップ層111により、エミッタ101を、酸化及び炭素ビルドアップに対し抵抗力のあるものにすることができる。保護キャップ層111を、比較的低いスパッタ収率を有していてイオンによる腐食に耐えうるものに、することもできる。モリブデンやイリジウムの薄膜は、水素分子、熱を持った水素分子、水素プラズマその他のプラズマを用いることで、炭素ビルドアップ及び酸化について清掃することができる。保護キャップ層111は低いスパッタ収率を有するものにすることができ、それによりそれをイオンによる腐食に耐えうるものにすることができる。モリブデンやイリジウムも低いスパッタ収率を有しており、これはそれらの薄膜がイオンによる腐食に耐えうることを意味している。スパッタ収率が低いことで、モリブデンやイリジウムは、逆流イオンにより引き起こされるイオン衝撃からエミッタチップを保護するための、良好な候補となっている。
モリブデンとイリジウムはどちらも高い融点を有している(モリブデンは約2623℃でイリジウムは約2446℃)。高融点であるので、保護キャップ層111を熱的に安定なものとすることができる。加熱中の再結晶は、保護キャップ層111では望ましくない。保護キャップ層111には、加熱(例.ジュール加熱及び/又は電界放出中のノッティンガム効果)による構造的変化を膜に何ら引き起こすことなく、数百μAに上る電流を放出しうることが、必要とされよう。好ましくは、堆積された保護キャップ層111が、放出が暖電界放出モードで実行される(例.エミッタが約500℃までも加熱される)際、並びに10−11〜10−10Torrなる真空レベルに達するまでベーク中に真空チャンバが加熱される(例.300℃までも加熱される)際に、安定であるべきである。
エミッタ実装機構102の構成を、図1に描かれているそれとは異なるものにすることができる。その一例は、エミッタ実装機構102が、ヘアピン脚用電極を有するセラミクス製絶縁体上に着座させる態でタングステン製ヘアピンを用い、エミッタチップを支持するものである。そのヘアピンを加熱することで、フラッシュ洗浄を実行することや、エミッタ温度を熱電界放出(TFE)値(例.約1800K)まで上げることができる。接地参照電源によりエミッタ用バイアス電圧、例えば約5kVを供給することができる。場合によっては1〜2kVのバイアス電圧が用いられる。
丸み付チップ105は、電子放出システム100周囲の減圧真空中に自由電子を放出するよう構成されている。電子放出システム100又はその周囲に電界を印加することで、電子を発生させることができる。帯電プレートその他の技術を用い、その電界を印加することができる。
エミッタ101に備わる放出エリアは1μm未満とすることができる。例えば、エミッタ101の放出エリアを100nm以下としてもよい。その放出エリアは丸み付チップ105の外表面107の一部たりうる。
丸み付チップ105が均一に丸み付けされていても不均一に丸み付けされていてもよい。丸み付チップ105が平坦な放出ファセット109を有していてもよい。例えば、平坦放出ファセット109が小さな<100>方位ナノフラットなる形態で存していてもよい。この平坦放出ファセット109を用いることで、よく平行化された電子ビームを生成することができる。一例としては平坦放出ファセット109により1μm未満の放出エリアを提供することができる。
また例えば、丸み付チップ105を全体として半球状又は回転放物面状とし、それに平坦放出ファセットを設けてもよいし、設けなくてもよい。これらの形状であれば電子放出をより広範に分散させうるので、電子光学系内通過電子集団をより小さく明るいものとすることができる。
所望の丸み付チップ105を実現するため表面結晶性を制御してもよい。
モリブデンやイリジウムの膜厚を適宜設計することで、電子放出を改善することができる。保護キャップ層111被覆後のエミッタチップ直径、例えば図1にて線113により描かれているそれを小さくすれば、電子ビームを高輝度にすることができる。それには保護キャップ層111の厚みを薄くすればよい。1nm〜20nm厚のモリブデン及び/又はイリジウム被覆を用いるとよく、その枠内で0.1nm刻みのどのような値、どのような値域を用いてもよい。厳密な厚みはエミッタ101の初期チップ直径により左右されうる。例えば、チップ半径が1nm〜50nmの範囲内である場合、1nm〜20nm厚範囲内のモリブデン又はイリジウム製保護キャップ層を用いることができる。輝度低下が許容されるならより厚い保護キャップ層にすることもできる。一例として、10nm厚保護キャップ層111を2nm厚拡散障壁112付で試験した。密被覆を、イオン若しくはマグネトロンスパッタリング、原子層堆積(ALD)その他の方法で堆積させることで、濃密、均一な保護キャップ層111を得ることができる。密被覆とされうるのは、例えばホモジニアス、均一でありそのパッキング密度が約80%超のものである。その厚みはエミッタ101の半径により左右されうるので、20nm超なる厚手な保護キャップ層111が用いられることもありうる。
保護キャップ層111の外表面における直径を制御することで、電子ビームの特性(例.輝度、チップでの電界、電流電圧特性、電子・電子相互作用)をチューニングしてもよい。保護キャップ層111の外表面における直径は、エミッタコア110の直径、エミッタ101断面の両側にある保護キャップ層111の厚み、並びにエミッタ101断面の両側にあるオプション的な拡散障壁112の厚み、の総和で成り立っている。エミッタコア110の直径を選定する際には、例えば製造容易性、再現性、エミッタ間寸法変動性といった製造上の問題を考慮する。保護キャップ層111の厚みを選定する際には、その膜の品質、例えば粒構造、粒界、不連続性、表面可覆性、ピンホール、膜密度又は表面粗さが制御されよう。重要たりうるのは、そのエミッタを覆う保護キャップ層111を、とりわけそのエミッタ101のチップにて均一、濃密、不断で、その表面粗さがごく低いものにすることである。保護キャップ層111も側壁上で均一且つ共形な方がよい。電界浸透をハンドリングするため、保護キャップ層111の厚みの下方境界を単一モノレイヤにしてもよい。単一モノレイヤの上方における膜厚を適宜選択することで、その膜の品質を最適化することができる。エミッタコア110に保護キャップ層111を加味した合計直径を適宜選択することで、電子ビーム特性を最適化することができる。
丸み付チップ105の放出エリアは1μm未満とすることができる。丸み付チップ105の放出エリアを丸み付チップ105の全表面エリア相当とすることも、丸み付チップ105の一部表面エリア相当とすることもできる。例えば、放出エリアを平坦放出ファセット109に対応させてもよい。丸み付チップ105の放出エリアに突起がない方がよく、またそれを原子的に平滑なところとすることができる。
保護キャップ層111の全体又は一部分をピンホール無しにすることができる。例えば、エミッタ101のうち少なくとも放出エリアをピンホール無しにした方がよい。放出エリアはチップ付近の5〜10nm域その他のエリアとされよう。電子ビームを引っ張り出すのに必要な強い引出(エクストラクション)電界により、あらゆるピンホールの効果が拡大されうる。
保護キャップ層111の全体又は一部分をインクルージョン(異物混入)無しにすることができる。例えば、エミッタ101のうち少なくとも放出エリアをインクルージョン無しにした方がよい。
保護キャップ層111における最大不全直径又は長さ寸法は、1nm未満である方がよい。不全に含まれるのはその堆積膜内の余剰構造、例えばロッドやランプであり、これらはスパッタリングパラメタを通じ制御することができる。
保護キャップ層111は、10又は10未満の不純物を有するものとすることができる。不純物には炭素、酸化物、溶解ガスたる酸素、ナトリウム、カリウムその他の物質が含まれうる。不純物が保護キャップ層111の仕事関数に影響し、それが電子放出の均一性に影響することとなる。
保護キャップ層111のポロシティは25%以下がよい。保護キャップ層111のパッキング密度は0.92以上がよい。ポロシティ(P)は、以下の等式
Figure 2021524650
で以て、屈折率を用い定義し測ることができる。但し、nは堆積された薄膜の屈折率、nはバルク素材の屈折率である。
膜のパッキング密度(PD)は、以下の等式
Figure 2021524650
を用い、平均膜密度(ρ)及びバルク密度(ρ)の比として定義される。
膜屈折率とそのパッキング密度との間の相関は、以下の等式
Figure 2021524650
により表すことができる。
エミッタ101の表面のうち電界放出が起こるところは、金属原子によりホモジニアスに作成することができる。
保護キャップ層111により炭素汚染及び酸化が低減される。モリブデン、イリジウム又はそれらの合金は、水素分子、水素プラズマその他のプラズマにより清掃することができる。即ち、保護キャップ層111上に何らかの炭素汚染又は酸化があっても、例えば熱を持ったH 及び/又は酸素を用い除去することができる。
モリブデン又はイリジウムを含有する保護キャップ層111は電子電界放出に関し、或いは強電界存在時に、ロバストである。そうした保護キャップ層111はイオンスパッタリング及び清掃に対してもロバストである。
保護キャップ層111は、イオン若しくはマグネトロンスパッタリング、ALDその他、本件技術分野に習熟した者(いわゆる当業者)にとり既知の方法で堆積させることができる。これらの技術により、所望の密度及び均一性を有する保護キャップ層111の形成を実現することができる。
シリコンをモリブデン薄膜で以て被覆することで、小径チップのアレイを生産することができる。小さな直径(例.15nm以下の直径)を有するエミッタのアレイを、シリコンマイクロファブリケーション技術を用い作成することができる。シリコンを金属薄膜で以て被覆することで、その放出面を金属化することができる。この被覆テクノロジにより、構造不全のない高密度高純度被覆を提供することができる。金属薄膜内へのシリコンの拡散を防止又は低減するため、それらシリコン・金属薄膜間に拡散障壁を堆積させることができる。この拡散障壁はオプション的なものである。
ある試験結果によれば、ナノチップを高背円柱状シリコンピラーの頂部に載せることで、電界増強を強めることができる。ナノチップやピラーはエミッタの例たりうる。それらシリコン製ナノチップは金属薄膜で以て冷電界放出向けに被覆されたものである。オプション的な拡散障壁をそれらシリコン・金属薄膜間に付加することで、金属薄膜内へのシリコンの拡散を低減又は防止することができる。これにより、シリコンが放出面へと拡散し、そこで生じうる酸化により不均一仕事関数が生じることが、低減又は防止される。SiOが生じた場合、その仕事関数が高いため電流も制限されかねない。試験したエミッタはシリコン製であったが、他素材でエミッタを作成することもできる。
シリコン製エミッタ上で試験した様々な金属被覆のうちイリジウム製保護キャップ層を有するエミッタが、電界放出安定性に関し最も見込みのある結果を示した。とはいえ、モリブデン及びイリジウムによりもたらされる安定性はプラチナ、ルテニウム、硼素又はタングステンの薄膜に勝っている。被覆の均一性が安定性に影響しうるものの、試験結果が示すところによれば、均一性に差はあれモリブデン・イリジウム間で性能は概ね類似している。即ち、イリジウム薄膜とモリブデン被覆との間に均一性の差があれ性能には影響しそうにない。
図2は本件開示に係る方法のフローチャートである。200では、外表面を有するエミッタを準備する。そのエミッタの直径は100nm以下とする。201では、そのエミッタの外表面に保護キャップ層を付加する。保護キャップ層はモリブデン及び/又はイリジウム含有のものとする。付加の仕方にはスパッタ堆積、ALD又はイオンスパッタリングが含まれうる。スパッタ堆積やALDであれば、所望の共形性を有する保護キャップ層を提供することができる。とりわけ、スパッタ堆積では、ポロシティ、ボイドの存在、並びに保護キャップ層におけるピンホールの存在が低減されよう。
図3は本件開示に係る別方法のフローチャートである。300では、保護キャップ層がその外表面上に配されているエミッタを準備する。そのエミッタの直径は100nm以下とする。その保護キャップ層はモリブデン及び/又はイリジウムを含有するものとする。301ではそのエミッタに電界を印加する。302ではそのエミッタから電子ビームを発生させる。エミッタは少なくとも10−9Torr、例えば5×10−10Torr〜5×10−11Torrの真空中で動作させるのがよい。5×10−11Torr未満、例えば10−12Torrにすることもできる。
電子ビーム生成時には約0.1kV〜10kVの引出電圧を用いればよく、その枠内で0.1kV刻みのあらゆる値、あらゆる値域を用いることができる。例えば、引出電圧を約0.5kV〜10kV、約1kV〜10kV、約1.5kV〜10kV或いは約2.5kV〜10kVとしてもよい。他の引出電圧にすることもできる。
保護キャップ層付エミッタに係る電界は約0.1V/nm〜5V/nmの範囲内とすることができ、その枠内で0.1V/nm刻みのあらゆる値、あらゆる値域を用いることができる。この電界はエミッタの外径(保護キャップ層の厚みを含む)に依存し変化しうる。大電流(例.10μA超)向けに5V/nm超の電界を用いることができる。
本件開示の諸実施形態を、レティクル及びウェハの検査及び計量システムにて用いることができる。所望の真空環境仕様を実現しうるようそれらシステムを構成することができる。そうしたシステムの例には、1個又は複数個の電子源を用いる電子ビーム式のウェハ又はレティクル検査システム、1個又は複数個の電子源を用いる電子ビーム式のウェハ又はレティクルレビューシステム、1個又は複数個の電子源を用いる電子ビーム式のウェハ又はレティクル計量システム、或いはウェハ又はレティクルの計量、レビュー又は検査にて用いられるX線を1本又は複数本の電子ビームを用い生成するため少なくとも1個の電子源が必要なシステムがある。そのエミッタからの電子ストリームを標本、例えば半導体ウェハその他のワークピースへと差し向けることができる。引出電極及び集束電極内を通じその電子ストリームを進行させることで、所望のビームエネルギ及びビーム電流を有する電子ビームを形成してもよい。1個又は複数個のレンズを用いることで、小さな電子ビームスポットを標本上に発生させることができる。デフレクタを用いることで、その電子ビームを走査運動させることができる。その標本をステージ上に載せることができ、そのステージを電子ビームに対し走査運動させることができよう。電子ビームを標本に射突させたときにその標本から二次電子及び後方散乱電子が放出させることができ、それらを検出器の方へと集め加速することができる。
本願記載の諸実施形態はシステム、例えば図4のシステム400内に組み込み又はそのシステム内で実行すればよい。システム400は出力捕捉サブシステムを有しており、それには少なくともエネルギ源及び検出器が備わっている。この出力捕捉サブシステムを電子ビーム式出力捕捉サブシステムとしてもよい。例えば、ある実施形態では、エネルギがウェハ404へと電子の態で差し向けられ、エネルギがウェハ404から電子の態で検出される。こうしてエネルギ源を電子ビーム源402としてもよい。図4に示したのはその種の実施形態の一つであり、出力捕捉サブシステムが電子カラム401を有しそれがコンピュータサブシステム407に結合されている。
やはり図4に示す通り、電子カラム401は、電子を生成するよう構成された電子ビーム源402を有しており、1個又は複数個の素子403によりそれら電子がウェハ404へと集束されている。電子ビーム源402はエミッタ、例えば図1の電子放出システム100に備わるエミッタ101を有するものとすればよく、1個又は複数個の素子403には、例えばガンレンズ、アノード、ビーム制限アパーチャ、ゲートバルブ、ビーム流選択アパーチャ、対物レンズ及び/又は走査サブシステムを含めるとよい。電子カラム401に、本件技術分野で既知で好適な他の何れの素子を組み込んでもよい。電子ビーム源402が1個しか描かれていないが、システム400が複数個の電子ビーム源402を有していてもよい。
ウェハ404から戻ってきた電子(例.二次電子)は、1個又は複数個の素子405により検出器406へと集束させればよい。1個又は複数個の素子405には例えば走査サブシステムを含めるとよく、それを素子(群)403内の走査サブシステムと同じものとしてもよい。電子カラム401に、本件技術分野で既知で好適な他の何れの素子を組み込んでもよい。
図4に示した電子カラム401は、ある斜め入射角にてウェハ404に電子を差し向け別の斜め角にてそのウェハから電子を散乱させるよう構成されているが、理解し得るように、電子ビームをウェハに差し向けそこから散乱させる角度を好適な何れの角度としてもよい。加えて、その電子ビーム式出力捕捉サブシステムを、複数通りのモードを用い(例.様々な照明角、収集角等々で以て)ウェハ404の画像を生成するよう構成してもよい。電子ビーム式出力捕捉サブシステムに備わる複数通りのモードは、その出力捕捉サブシステムの何らかの画像生成パラメタが異なるものとなろう。
コンピュータサブシステム407を検出器406と電子通信させてもよい。ウェハ404の表面から戻ってきた電子を検出器406により検出することで、そのウェハ404の電子ビーム画像を形成してもよい。それら電子ビーム画像に、好適な何れの電子ビーム画像を含めてもよい。コンピュータサブシステム407を、検出器406の出力及び/又は電子ビーム画像を用い他機能又は付加的ステップを実行するよう構成してもよい。例えば、図3の方法又は図8の方法を実行するようコンピュータサブシステム407を構成することができる。
なお、本願にて図4を提示しているのは、電子ビーム式出力捕捉サブシステムの構成のあらましを描出するためである。本願記載の電子ビーム式出力捕捉サブシステムの構成を改変することで、商用の出力捕捉システムを設計する際通常行われている通り、出力捕捉サブシステムの性能を最適化してもよい。加えて、本願記載のシステムを、既存システムを用い(例.既存システムに本願記載の機能を付加することで)実現してもよい。その種のシステムでは、本願記載の諸方法がそのシステムのオプション的機能として(例.そのシステムの他機能に加え)提供されることもあろう。
ある実施形態ではシステム400が検査システムとされる。例えば、本願記載の電子ビーム式出力捕捉サブシステムを検査システムとして構成すればよい。別の実施形態ではシステム400が欠陥レビューシステムとされる。例えば、本願記載の電子ビーム式出力捕捉サブシステムを欠陥レビューシステムとして構成すればよい。更なる実施形態ではシステム400が計量システムとされる。例えば、本願記載の電子ビーム式出力捕捉サブシステムを計量システムとして構成すればよい。とりわけ、本願に記載され図4に示されている諸実施形態のシステム400を1個又は複数個のパラメタに関し修正することで、それらが用いられるであろう用途に従い異なる撮像能力を実現してもよい。その一例として、検査ではなく欠陥レビュー又は計量にそれを用いようとしている場合は、高めの分解能を呈するよう図4に示すシステム400を構成するのがよい。言い換えれば、図4に示す実施形態のシステム400が表しているのはシステム400に係る幾つかの一般的且つ多様な構成であり、多々あるやり方でそれを仕立てること、ひいては相異なる用途向けに多少とも好適な相異なる撮像能力を有する出力捕捉サブシステムを生み出すことができる。
システム400又は電子放出システム100の諸実施形態を、試料例えばウェハ及びレティクルの検査、欠陥レビュー及び/又は計量向けに構成してもよい。例えば、本願記載の実施形態を、共に、走査型電子顕微法(SEM)をマスク検査、レティクル検査、レティクル計量、ウェハ検査及びウェハ計量なる目的で用いるよう、構成してもよい。システム400又は電子放出システム100は、ウェハ又はレティクルの計量、レビュー又は検査向けにX線を生成する電子源として、構成することもできる。
とりわけ、本願記載の諸実施形態をコンピュータノード又はコンピュータクラスタと併用し、それを出力捕捉サブシステム例えば電子ビーム式インスペクタ又は欠陥レビューツール、マスクインスペクタ、仮想インスペクタその他のデバイスの構成部分としてもよいし、それに結合させてもよい。このようにして、本願記載の諸実施形態により、これに限られるものではないがウェハ検査、マスク検査、電子ビーム式検査及びレビュー、計量その他の用途を初め、様々な用途で用いうる出力を生成してもよい。図4に示すシステム400の特性は、そのシステムがどのような試料向けに出力を生成するのかを踏まえ上述の通り修正することができる。
室温電界放出、暖温電界放出又はフォトカソードモードでエミッタを動作させる場合、その最適合計圧力は10−9Torr以下、例えば5×10−10Torr〜5×10−11Torrとなろう。この動作圧力は、真空関連分子(例.HO、H、CO、CO、O、N又は炭化水素)の分圧全ての総和である。Hではその分圧の限界が10−12Torrとなるであろうし、他の何れの分子でも分圧は10−10Torr未満となろう。
動作圧力は動作モードにより変わることがある。例えば、動作圧力が放出機構及び表面活性化エネルギにより変わることがある。熱電界放出モードは、10−9Torr以下、例えば5×10−10Torr〜5×10−11Torrで動作させるとよい。5×10−11Torr未満、例えば10−12Torrにすることもできる。
動作圧力その他の真空パラメタはエミッタの汚染又は腐食に影響する。エミッタ周囲環境に係る粒子個数の増加、例えば湿気その他の粒子により引き起こされたそれが、質量損失の加速をもたらすことがありうる。仕事関数放出エリアが消失することがありうるし、引出電界に曝されるのは高仕事関数面のみであるから放出がほぼゼロに低下しうる。何であれ放出素材のピット発生により結晶学的崩壊が起き、それが仕事関数に影響することがありうる。
例えば、放出面の炭素汚染、特に低めの動作温度でのそれが、炭素の薄層が電子ストリーム放出面上に形成されているときに発生しうる。炭素質汚染物を発生させうるものには、揮発性の真空システム関連有機物(例.油又は潤滑剤)、研磨剤又は洗浄剤由来の残留物、綿棒又は清掃布由来の残留繊維その他の源泉がある。炭素膜は仕事関数が高い層を有する放出面を害し、放出電流の低下をもたらす。
また例えば、エミッタ構成素材の酸化、昇華又は蒸発が、湿気がもとで起きることがありうる。その結果、難燃性又は誘電性の素材が他の表面、例えば内表面、アパーチャ及びアノード表面上に形成されることがありうる。
炭素汚染、湿気損傷又は酸化を避けるべく、電子放出システム周囲の真空環境を制御する。その環境での動作圧力は動作モードに依存しうる。
図5に、拡散障壁を欠くシリコン製エミッタ上に5nm厚モリブデン製保護キャップ層があるものによる電界放出に関し、エクストラクタ電流及びプローブ電流(例.ファラデーカップでのそれ)に係る実験結果を示す。図6に、5nm厚イリジウム製保護キャップ層がシリコン製エミッタ上にありそれら保護キャップ層・エミッタ間にBC製拡散障壁がある別例における、エクストラクタ電流及びプローブ電流(例.ファラデーカップでのそれ)に係る実験結果を示す。これらの実験結果では、寿命問題なしに60μA〜120μAなる最大電流が現れた。これらのエミッタは信頼性良く働き、セトリング時間抜きで瞬時にターンオンした。
図7に、1nm厚ニオブ膜上に堆積された5nm厚モリブデン膜を有するシリコン製エミッタの明視野像を示す。図14には、その上に堆積されたイリジウム膜を有するシリコン製エミッタの明視野像が描かれている。
図8は他方法のフローチャートである。500では、自エミッタの外表面上に配された保護キャップ層及びオプション的な拡散障壁を有するエミッタを準備する。そのエミッタの直径は100nm以下とする。その保護キャップ層は、モリブデン及び/又はイリジウムを含有するものとすることができるが、他の素材例えばルテニウム又は硼素にすることもできる。501ではそのエミッタに電界を印加する。502ではそのエミッタから電子ビームを発生させる。エミッタは少なくとも10−9Torr例えば5×10−10Torr〜5×10−11Torrの真空中で動作させればよく、更には5×10−11Torr未満例えば10−12Torrで動作させてもよい。503ではそのエミッタをパルス駆動する。例えば、図9に、500ms幅、30秒毎のパルスによるエクストラクタ電流の経時チャートを示す。FC電流とはプローブ、例えばファラデーカップ(FC)における電流のことである。電圧パルスが原因となり、エクストラクタ電流及びプローブ電流の値に変化が生じうるものの、パルスとパルスの狭間の30秒間は電流が定常保持される。その結果が一連のパルス間電流「ステップ」である。この「ステップ」間プローブ電流変化は、定常的なビーム電流が得られるよう、電圧フィードバック補正システムで以て補正することができる。
図10は定常放出・パルス放出間ノイズ比較チャートである。エミッタを周期的にパルス駆動することにより放出電流を安定化することができ、パルス間ノイズレベルが1%未満のビーム電流を得ることができる。
短時間の大電流で以て周期的にエミッタをパルス駆動し、それによりチップの表面を清掃することで、パルスとパルスの狭間の期間における電界放出電流の安定性が改善される。パルスを周期的に印加することで、定常放出及び大電流の交番シーケンスの態にすることができる。ウェハの検査や計量計測は、大電流期間中は中断すればよく、それは100μsから500msに及ぶこととなろう。パルスは、例えば100〜500μs又は50〜500msのものとすることができる。エミッタをパルス駆動することで、そのエミッタ上の分子が除去されるため、安定性を改善することができる。これは加熱又は脱離を通じてのものであろう。
一例として、電流を30秒毎に500msのパルスで駆動してみた。電流レベルはパルスのたびにステップ関数的様相にてふらつくものの、パルスとパルスの狭間では電流が安定となり、ノイズが1%未満であることがパルス駆動データセット中のエクストラクタ電流及びファラデー電流双方にて観測された。
実験に際しデータセットの収集元とされたエミッタは、その上に1nm厚BCがありそれが5nm厚ルテニウムで覆われているものであり、8時間の定常電界放出に、パルス(30秒毎に500msに亘る20〜50μAパルス)駆動を伴う8時間の電界放出が続く態で、交番的に計測した。定常放出に対するパルス放出の安定性改善が観測され、またパルス駆動がターンオフした後に放出不安定性が戻ってきた。隣接電流データポイント間百分率相対エクストラクタ電流変化ΔI/Iの毎時計数値プロットであり、8時間の定常電界放出中のもの及びそれに続く8時間のパルス駆動下電界放出中のものを、図15に示す。
長時間に亘り定常放出してきたエミッタを、単発的にパルス駆動してある短時間に亘り大電流にすると、全体的な安定性が改善される。ルテニウムその他の素材で被覆されたエミッタでは、1個のパルスで放出電流が13倍にも増しており、これは放出面における仕事関数の0.6eVに及ぶ下降に相当している。そのパルスの後、電流が元の電流に戻るまでに平均で5時間がかかっているが、これはエミッタチップの表面上に吸着物が再吸着されるのにかかる時間であろう。パルス駆動に発する効果は過渡的であるので、放出面を清浄に保つにはパルス駆動を周期的に適用する必要があろう。大略、より安定な放出が観測されるのは真空圧が低めのときであるので、真空が良好であれば、パルス駆動をさほど頻繁に適用する必要がなく又はパルス電流を小さめにしてもよい。
付加的な実験により示されたところによれば、放出安定化に対するパルス駆動の効果は、パルスを長めにすること及びパルス電流を多めにすることで改善される。
二通りの実験結果を示す。図11では、シリコン上に1nm厚ニオブ製拡散障壁がありその上に5nm厚モリブデン被覆がある場合につき、定常電界放出及びパルス電界放出の安定性を比べている。図12では、シリコン上に5nm厚モリブデン被覆がある場合につき定常電界放出及びパルス電界放出の安定性を比べている。
図13にはパルス電界放出が描かれている。ステップ関数電流がパルス毎に変化しているが、パルスとパルスの狭間では電流が定常的である。
本方法の各ステップは本願記載の通り実行されよう。その方法に、本願記載のコントローラ及び/又はコンピュータサブシステム(群)又はシステム(群)で実行できる他の何れのステップ(群)を含めてもよい。それらのステップを1個又は複数個のコンピュータシステムにより実行しうるところ、それを本願記載の諸実施形態の何れに従い構成するのでもよい。加えて、上述の諸方法を本願記載のシステム実施形態のうち何れで実行してもよい。
1個又は複数個の具体的実施形態との関連で本件開示につき記述してきたが、理解し得るように、本件開示の技術的範囲から離隔することなく他実施形態で本件開示を実施することができる。従って、本件開示は、別項の特許請求の範囲及びその合理的解釈によってのみ限定解釈される。

Claims (20)

  1. 100nm以下の直径を有するエミッタと、
    そのエミッタの外表面上に配された保護キャップ層と、
    を備え、その保護キャップ層がモリブデンを含有する装置。
  2. 請求項1に記載の装置であって、前記エミッタの直径が15nm未満である装置。
  3. 請求項1に記載の装置であって、前記保護キャップ層の厚みが1nm〜20nmである装置。
  4. 請求項1に記載の装置であって、更に、前記エミッタ・前記保護キャップ層間に拡散障壁が備わる装置。
  5. 請求項4に記載の装置であって、前記拡散障壁がTiN、炭素、BC、硼素又はニオブを含有する装置。
  6. 請求項1に記載の装置であって、前記保護キャップ層が有する不純物が10未満であり、その不純物に炭素、酸化物、溶解ガスたる酸素、ナトリウム又はカリウムが含まれる装置。
  7. 請求項1に記載の装置であって、前記保護キャップ層のポロシティが25%以下である装置。
  8. 請求項1に記載の装置であって、前記保護キャップ層のパッキング密度が0.92以上である装置。
  9. 請求項1に記載のエミッタを有する電子源、ステージ及び検出器を備えるシステム。
  10. 100nm以下の直径を有するエミッタと、
    そのエミッタの外表面上に配された保護キャップ層と、
    を備え、その保護キャップ層がイリジウムを含有する装置。
  11. 請求項10に記載の装置であって、前記エミッタの直径が15nm未満である装置。
  12. 請求項10に記載の装置であって、前記保護キャップ層の厚みが1nm〜20nmである装置。
  13. 請求項10に記載の装置であって、更に、前記エミッタ・前記保護キャップ層間に拡散障壁が備わる装置。
  14. 請求項13に記載の装置であって、前記拡散障壁がTiN、炭素、BC、硼素又はニオブを含有する装置。
  15. 請求項10に記載の装置であって、前記保護キャップ層が有する不純物が10未満であり、その不純物に炭素、酸化物、溶解ガスたる酸素、ナトリウム又はカリウムが含まれる装置。
  16. 請求項10に記載の装置であって、前記保護キャップ層のポロシティが25%以下である装置。
  17. 請求項10に記載の装置であって、前記保護キャップ層のパッキング密度が0.92以上である装置。
  18. 請求項10に記載のエミッタを有する電子源、ステージ及び検出器を備えるシステム。
  19. 自エミッタの外表面上に配された保護キャップ層を有するエミッタであり、100nm以下の直径を有するものを準備し、
    そのエミッタに電界を印加し、
    そのエミッタから電子ビームを発生させ、そして
    そのエミッタをパルス駆動することでそのエミッタから吸着物を除去する方法。
  20. 請求項19に記載の方法であって、前記保護キャップ層がモリブデン又はイリジウムを含有する方法。

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