JP2003096680A - 退色性が改善された製紙用パルプの製造方法 - Google Patents
退色性が改善された製紙用パルプの製造方法Info
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Abstract
ルプの製造方法を提供する。 【解決手段】 広葉樹材を蒸解することによって、カッ
パー価が18〜23であり且つヘキセンウロン酸量が3
5〜45mmol/絶乾パルプkgである未漂白パルプ
を得、その後、アルカリ酸素脱リグニン処理を行い、元
素状塩素を使用しない多段漂白工程で漂白処理してIS
O白色度70〜89%、ウロン酸含有量10mmol/
絶乾パルプkg未満の漂白パルプを得ることを特徴とす
る退色性が改善された製紙用パルプの製造方法。
Description
し、更に詳しくは、環境負荷の低い退色性が改善された
製紙用パルプの製造方法に関する。
ス材料を化学薬品で蒸解後、アルカリ酸素脱リグニンさ
れ、塩素漂白(以下、C漂白と略す)−アルカリ抽出
(以下、E抽出と略す)−次亜塩素酸漂白(以下、H漂
白と略す)−二酸化塩素漂白(以下、D漂白と略す)か
らなるシーケンスで、ISO白色度80%以上のパルプ
として製造されてきた。
産業において、木材パルプのC漂白がダイオキシン類の
有機塩素系物質を発生させる原因になること、H漂白が
その原因物質であるクロロホルムの排出原因になること
が判明し、C漂白、H漂白などの有機塩素系物質を排出
する元素状塩素を使用しない漂白法(以下、ECF漂白
と略す)が採用されるようになってきている。この漂白
法の代表的シーケンスとしては、D−E−D−D漂白が
挙げられる。しかし、D漂白における二酸化塩素は多量
の電気エネルギーを使用して製造されるため、二酸化塩
素を大量に使用して製造された高白色度のパルプ(通常
ISO白色度90%以上のパルプ)は、環境に優しいパ
ルプとは言えない。二酸化塩素の使用量をできるだけ減
少させ、古紙脱墨パルプより若干高い白色度である、I
SO白色度70〜89%のパルプが環境負荷の少ない製
紙用パルプと言うことができるパルプである。
9%の製紙用パルプを得ようとする場合、ECF漂白の
代表的なシーケンスであるD−E−D−Dのシーケンス
で漂白すると、D漂白の薬品添加率を比較的低く抑える
ことができ、環境負荷の小さい製紙用木材パルプを製造
可能であるが、このようにして製造された漂白パルプは
長時間保存すると白色度が低下するといった欠点がある
ことが判明した。本発明は、ISO白色度70〜89%
で、環境負荷の比較的小さな製紙用パルプであって、長
期間保存しても退色による白色度低下の少ない製紙用、
特に酸性紙用の木材パルプの製造方法を提供することに
ある。
題を解決するため、D−E−D−Dのシーケンスで漂白
した多種類のISO白色度89%以下の製紙用木材パル
プの組成を鋭意分析し、解析したところ、長期保存によ
り白色度が低下するパルプにはヘキセンウロン酸含有量
が多いということを見出した。そして、該製紙用木材パ
ルプを、5時間沸騰水浴中で加熱酸加水分解し、この加
水分解液を、ODSカラムを使用して高速液体クロマト
グラフで分離し定量したところ、ヘキセンウロン酸量が
10mmol/絶乾パルプkg以上含まれていることを
見出した。
質を蒸解して得られる未漂白パルプをアルカリ酸素漂白
し、その後、多段漂白工程で元素状塩素を使用せずに漂
白処理してなる漂白パルプであって、該漂白パルプの過
マンガン酸カリウム値(JIS P 8206)が1.
5以下であり、かつISO白色度が70〜89%である
退色性の改善された酸性紙用漂白パルプ(特願2001
−073423号明細書)を提案した。またヘキセンウ
ロン酸含有量が10mmol/絶乾パルプkg以下であ
り、かつ、ISO白色度が70〜89%である退色性の
改善された酸性紙用漂白パルプも同時提案した。
法については、酸処理によって除去する方法(特表平1
0−508346号公報)や酸処理とオゾンを組み合わ
せた方法(特開平2000−290887号公報)、酸
性下で過酸化水素とモリブデン酸塩を組み合わせる方法
(特開平2001−192991号公報)等が近年提案
されているが、いずれも、漂白コストが大幅に高くなる
上、設備コストもかなり高くなる。
化塩素段へ添加することで、漂白完成パルプのヘキセン
ウロン酸含有量を低減できることも判明しているが、二
酸化塩素の添加量が増加する分だけコストが上がり、環
境負荷も増加する。また、白色度89%以下の製紙用パ
ルプを生産する場合、特に過酸化水素を併用した漂白シ
ーケンスを用いた場合には、二酸化塩素添加量が少なく
てすむが、ヘキセンウロン酸の除去効果が弱い。以上の
ように、これまでのパルプ製造法によっては、環境負荷
の低減と退色性改善という要求を同時に満足させること
は困難であった。
動については、これまでにZHI-HUAJIANGらが未漂白パル
プのヘキセンウロン酸含有量は蒸解初期に増加し、蒸解
後期に減少することを報告している(TAPPI JOURNAL, V
ol.83, No.1, 2000,p167-175,Hexenuronic acid grou
ps in pulping and bleaching chemistry )。また、Ca
trin A-S. Gustavssonらは、蒸解温度が高い程、アルカ
リ添加率が多い程ヘキセンウロン酸が減少することを報
告している(Nordic Pulp and Paper Research Journa
l, Vol.15, No.2, 2000, p160-167, The influence of
cooking conditions on the degradation of hexenuron
ic acid, xylan, glucomannan and cellulose during k
raft pulping of softwood)。しかし、漂白完成パルプ
のヘキセンウロン酸含有量との関係は判っておらず、ま
してや蒸解条件が完成パルプの退色性へ与える影響につ
いても全く言及されていない。また、漂白パルプの退色
性を改善する蒸解方法についても明らかにされていなか
った。
が完成パルプの退色性に影響を与えることを見出し、ヘ
キセンウロン酸を蒸解工程で減少させる方法について多
角的に検討した結果、蒸解初期で生成したヘキセンウロ
ン酸を蒸解後期で除去するよりも、蒸解初期にヘキセン
ウロン酸の生成量をできるだけ少なくして、蒸解工程か
ら得られる未漂白パルプのヘキセンウロン酸含有量を少
なくし、その後、アルカリ脱リグニン工程を介して、多
段漂白工程で元素状塩素を使用しない、環境負荷の少な
い漂白処理を施すことにより、完成漂白パルプ中に残留
するヘキセンウロン酸を減少させ、該ヘキセンウロン酸
に起因する退色による白色度の低下を抑え得ることを見
出した。
は、以下の各発明を包含する。 (1)広葉樹材を蒸解することによって、カッパー価が
18〜23でありかつヘキセンウロン酸量が35〜45
mmol/絶乾パルプkgである未漂白パルプを得、そ
の後、アルカリ酸素脱リグニン処理を行い、元素状塩素
を使用しない多段漂白工程で漂白処理してISO白色度
70〜89%、ヘキセンウロン酸含有量が10mmol
/絶乾パルプkg未満の漂白パルプを得ることを特徴と
する退色性が改善された製紙用パルプの製造方法。
30〜155℃の温度で、アルカリ添加率12〜17質
量%、硫化度20〜30%で蒸解することにより製造さ
れた未漂白パルプであることを特徴とする(1)項記載
の退色性が改善された製紙用パルプの製造方法。
法によって製造されたISO白色度70〜89%でヘキ
センウロン酸含有量が10mmol/絶乾パルプkg未
満の退色性が改善された製紙用パルプを主パルプ成分と
する酸性紙。
漂白パルプにおける「ヘキセンウロン酸含有量」とは、
未漂白パルプや漂白パルプを5時間加熱酸加水分解し、
その液をODSカラム(シリカゲル担体にオクタデシル
シリル基を化学結合した充填剤が詰められたカラム)を
用いて高速液体クロマトグラフで分離、定量して得られ
るヘキセンウロン酸の量を意味する。
するものではなく、植物学分類上、広葉樹と見なされる
ものであれば、ユーカリ、オーク、アカシア、ビーチ、
タンオーク、オルダー等、如何なるものでも良い。本発
明に使用される未漂白パルプを得るための蒸解法として
は、クラフト蒸解、ポリサルファイド蒸解、ソーダ蒸
解、アルカリサルファイト蒸解等の公知の蒸解法を用い
ることができるが、パルプ品質、エネルギー効率等を考
慮すると、クラフト蒸解法が好適に用いられる。
ラフト蒸解液の硫化度は5〜75%、好ましくは20〜
30%であり、有効アルカリ添加率は絶乾木材質量当た
り5〜30質量%、好ましくは12〜17質量%であ
り、蒸解温度は120〜170℃、好ましくは130〜
155℃であり、蒸解方式は、連続蒸解法あるいはバッ
チ蒸解法のどちらでも良く、連続蒸解釜を用いる場合
は、蒸解液を多点で添加する修正蒸解法でも良く、その
方式は特に問わない。
として、公知の環状ケト化合物、例えばベンゾキノン、
ナフトキノン、アントラキノン、アントロン、フェナン
トロキノン及び前記キノン系化合物のアルキル、アミノ
等の核置換体、あるいは前記キノン系化合物の還元型で
あるアントラヒドロキノンのようなヒドロキノン系化合
物、さらにはディールスアルダー法によるアントラキノ
ン合成法の中間体として得られる安定な化合物である
9,10−ジケトヒドロアントラセン化合物等から選ば
れた1種あるいは2種以上が添加されても良く、その添
加率は木材チップの絶乾質量当たり0.001〜1.0
質量%である。
未漂白化学パルプは、洗浄、粗選及び精選工程を経て、
公知のアルカリ酸素漂白法により脱リグニンされる。本
発明に使用されるアルカリ酸素漂白法は、公知の中濃度
法あるいは高濃度法がそのまま適用できるが、現在汎用
的に用いられているパルプ濃度が8〜15質量%で行わ
れる中濃度法が好ましい。
おいて、アルカリとしては苛性ソーダあるいは酸化され
たクラフト白液を使用することができ、酸素ガスとして
は、深冷分離法からの酸素、PSA(Pressure Swing Ad
sorption)からの酸素、VSA(Vacuum Swing Adsorpti
on)からの酸素等が使用できる。前記酸素ガスとアルカ
リは中濃度ミキサーにおいて中濃度のパルプスラリーに
添加され混合が十分に行われた後、加圧下でパルプ、酸
素及びアルカリの混合物を一定時間保持できる反応塔へ
送られ、脱リグニンされる。
り0.5〜3質量%、アルカリ添加率は0.5〜4質量
%、反応温度は80〜120℃、反応時間は15〜10
0分、パルプ濃度は8〜15質量%であり、この他の条
件は公知のものが適用できる。本発明では、アルカリ酸
素漂白工程において、上記アルカリ酸素漂白を連続して
複数回行い、できる限り脱リグニンを進めるのが好まし
い実施形態である。アルカリ酸素漂白が施されたパルプ
は次いで洗浄工程へ送られる。パルプは洗浄後、多段漂
白工程へ送られる。
に、酵素処理工程を設けることも可能である。前記酵素
処理工程で使用される酵素は、パルプと反応させること
により、JIS P 8206で測定されるパルプの過
マンガン酸カリウム価が低下するものであれば、いかな
る酵素でも良い。例えば、キシラナーゼ、リグニンパー
オキシダーゼ、マンガンパーオキシダーゼ、ラッカーゼ
等が知られいるが、勿論これらの酵素でも良く、未だ知
られていない酵素でも該当する酵素であれば良いことは
言うまでもない。また、これらの酵素は単独で用いても
良く、あるいは複合、混合して、さらには複数回に分け
て使用することもできる。これらの酵素のうち、キシラ
ナーゼと呼ばれるキシラン分解酵素は、漂白促進効果も
同時に有しており、好適に用いられる。
〜30質量%の範囲で行われる。パルプ濃度が1質量%
未満では、処理に大容量の設備を要するので適さない。
パルプ濃度が30質量%を超えると、パルプと酵素ある
いは培養物を均一に混合する点で問題が生じるので適さ
ない。
酵素の至適温度に近い処理温度がより好ましい。一般的
な酵素の場合、処理温度が10℃未満では反応が不十分
となる上、そのような温度を得ること自体に多大のコス
トを要するので適さない。一方、温度が90℃を超えて
高くなると、処理系を密閉化しないと熱ロスが大きくな
る上、一般的な酵素の場合、酵素自体が変性し、不活性
になるので適さない。
が、酵素の至適pHに近いpHがより好ましい。pHの
調整が必要な場合は、任意の酸性溶液又はアルカリ性溶
液を添加して調整することができる。前記のpH調整用
に用いられる溶液は、多段漂白シーケンスからの排水を
利用できることは言うまでもない。処理時間は、10分
以上であるが、時間については特に限定されない。
一酵素を用いて複数回酵素処理を行うこともできるし、
複数の酵素を用いて複数回酵素処理を行うこともでき
る。また、本発明の酵素処理は、既設あるいは新設を問
わず、反応塔、タンク、チェスト等の容器内で実施する
ことができる。また、耐圧容器内においては加圧状態で
の処理も可能である。酵素処理工程の終了後、パルプの
洗浄がなされ、洗浄されたパルプは多段漂白工程へと送
られる。
後、あるいは前記酵素処理工程後に、酸処理工程を設け
ることも可能である。また、特開平10−251986
号公報、特開平10−298886号公報に記載のよう
に、酸素及び/又は窒素加圧下で行っても構わない。更
に酸性下で過酸化水素を併用しても良い。酸処理工程の
終了後、パルプの洗浄がなされ、洗浄されたパルプは多
段漂白工程へと送られる。
塩素漂白段(D)、二段目にはアルカリ抽出段(E)が
用いられる。本発明の初段の二酸化塩素漂白段に用いら
れる二酸化塩素は、当業者にとって公知の多くの二酸化
塩素発生法より得られる二酸化塩素から選ぶことができ
るが、好適には、塩素を副生しない発生法から得られる
二酸化塩素が用いられる。本発明の初段の二酸化塩素段
でのpHは2〜6であり、pHを調整するために任意の
酸又はアルカリを補助的に添加することも可能である。
また、二酸化塩素処理時間、処理温度、パルプ濃度等の
その他の二酸化塩素漂白条件は、全て公知の条件を使用
することができる。
抽出段では、当業者にとって公知の多くのアルカリ化合
物から選ぶことができるが、苛性ソーダが最も使用しや
すく、好適に使用される。本発明のアルカリ抽出段で
は、酸素及び/又は過酸化水素を併用することもでき
る。アルカリ抽出処理時間、処理温度、パルプ濃度等の
その他のアルカリ抽出条件は、全て公知の条件を使用す
ることができる。
化塩素漂白段、アルカリ抽出段に続く3段目以降の漂白
段では、塩素及び次亜塩素酸塩以外の漂白薬品であれば
如何なる漂白薬品を用いても良いが、二酸化塩素、過酸
化水素、オゾン、過酸、等の一般的な漂白薬品が好適に
用いられる。3段目以降の段数も特に限定されるわけで
はないが、エネルギー効率、生産性等を考慮すると、合
計で3段あるいは4段で終了するのが好適である。
素及び次亜塩素酸塩を除く、二酸化塩素(D)、アルカ
リ(E)、酸素(O)、過酸化水素(P)、オゾン
(Z)、有機過酸等の公知の漂白剤と漂白助剤を挙げる
ことができる。また、本発明における多段漂白処理工程
での漂白シーケンスとして、例えば、D−E/O−D、
D−E/O−P−D、 D−E/O−D−D、D−E/
O−D−P、D−E/OP−D、D−E/O−Z−D、
Z−E/O−D、Z−E/OP−D、Z−E/OP−D
−P、Z−E/OP−P−D、Z−D−E/O−D、Z
−D−E/OP−D、Z/D−E/O−D、Z/D−E
/OP−D等を挙げることができる。また、多段漂白工
程中にエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ジエ
チレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)等によるキレ
ート剤処理段を挿入しても良い。
より具体的に説明するが、勿論本発明はこれらの実施例
に限定されるものではない。以下に示す実施例1〜3
は、ヘキセンウロン酸を減少させることを目的とした蒸
解方法で蒸解することにより製造された未漂白広葉樹ク
ラフトパルプを酸素脱リグニン処理し、D−E/O−P
−Dシーケンスで漂白を行ったものである。また、特に
示さない限り、カッパー価の測定、過マンガン酸カリウ
ム価の測定、パルプ白色度の測定、パルプの退色性の評
価はそれぞれ以下の方法で行った。なお、実施例及び比
較例における薬品の添加率は絶乾パルプ質量当たりの質
量%を示す。
った。
量 500mlのSUS製容器に十分にイオン交換水で洗浄
したパルプを絶乾パルプ5g量り取って入れ、蟻酸−蟻
酸ナトリウムバッファー10mmol/l溶液を用いて
トータル300mlとした。その後、SUS製容器内を
窒素ガスで置換し、油恒温槽内で、110℃、5時間処
理した。SUS容器を流水冷却後、処理後のパルプ懸濁
液を洗浄液を含めて500mlにメスアップした後、ろ
過して、ろ液を資生堂社製ODSカラムを用いてHPL
C(高速液体クロマトグラフィー)にて分析し、2−f
uroic acidと5―carboxy−2−fu
raldehydeを定量した。定量に際し、算出式、
参考文献は、以下のものを使用した。
a、b(ng/μl)とした。 1)5―carboxy−2−furaldehyde
量(mmol/kg)=b×(500/1000)/
(10×10−3)/140.1 2)ヘキセンウロン酸含有量(mmol/l)=2−f
uroic acid量+5―carboxy−2−f
uraldehyde量
ps and its application in ECF and TCF blea
ching of kraft pulps International Pulp Bleaching Conference,April
14-18,1996,P43-51
パルプ3.0%加え、Tappi試験法T205os−
71(JIS P 8209)に従って坪量60g/m
2のシートを作製した。
測定した。
条件下で、48時間退色させ、退色前後のパルプ白色度
から下式に従いPC価を算出し、評価した。 PC価=(1−退色後白色度)2/2/退色後白色度−
(1−退色前白色度)2/2/退色前白色度
広葉樹混合木材チップを絶乾900g採取し、液比5、
絶乾チップ質量当たり活性アルカリ14%、蒸解液の硫
化度28%、蒸解温度150℃、蒸解時間150分の条
件下で実験用間接加熱用オートクレーブを用いてクラフ
ト蒸解し、その後廃液とパルプを分離し、パルプを10
カットのスクリーンプレートを備えたフラットスクリー
ンで精選してISO白色度31.1%、カッパー価2
2.9の広葉樹未漂白クラフトパルプを絶乾447g得
た。得られたパルプを5時間酸加水分解処理し、ヘキセ
ンウロン酸含有量を測定した。蒸解条件、カッパー価、
ヘキセンウロン酸(以下HexAと略す)含有量をまとめて
表1に示す。
トパルプ絶乾質量90.0gを採取し、絶乾パルプ質量
当たり苛性ソーダを1.5%添加し、次いでイオン交換
水で希釈してパルプ濃度を10%に調整し、間接加熱式
オートクレーブに入れ、ゲージ圧が5kg/cm
2(0.49MPa)となるように純度が99.9%の
市販の圧縮酸素ガスで加圧し、温度100℃で60分間
加熱し、中濃度法によりアルカリ酸素漂白を行った。得
られたパルプをイオン交換水で洗浄し、パルプ濃度30
%まで脱水濃縮を行った(以下脱水とは30%まで脱水
濃縮することを示す)。
素脱リグニン段後のパルプをプラスチック袋に入れ、イ
オン交換水を用いてパルプ濃度を14%に調整した後、
二酸化塩素を絶乾パルプに対して二酸化塩素換算で1.
2%添加し、パルプ濃度を10%に調整し、70℃で3
0分間処理した。反応終了後、得られたパルプについて
イオン交換水で洗浄し、脱水した。
パルプをプラスチック袋に入れ、イオン交換水を用いて
パルプ濃度を10%に調整した後、絶乾パルプ質量当た
り苛性ソーダを1.2%添加し、ステンレス製2リット
ル容の間接加熱式オートクレーブに入れ、ゲージ圧が
0.15MPaとなるように純度が99.9%の市販の
圧縮酸素ガスで加圧し、70℃で20分間反応させた。
その後、パルプスラリーをオートクレーブから取り出
し、プラスチック袋に移した後、D1段と同様に70℃
で70分間処理し、E/O段の抽出を行った。得られた
パルプをイオン交換水で洗浄、脱水した。
パルプ濃度を14%に調整したパルプに苛性ソーダを絶
乾パルプ質量に対して0.45%、過酸化水素を過酸化
水素換算で0.4%添加し、パルプ濃度を10%に調整
し、65℃で120分間処理した。反応終了後、得られ
たパルプについてイオン交換水で洗浄し、脱水した。
のパルプ濃度を14%に調整したパルプに二酸化塩素を
絶乾パルプ質量に対して二酸化塩素換算で0.2%添加
し、パルプ濃度を10%に調整し、70℃で180分間
処理した。反応終了後、得られたパルプについてイオン
交換水で洗浄し、漂白完成パルプを得た。このパルプの
ISO白色度は86.1%であった。得られたパルプの
白色度、ヘキセンウロン酸含有量、及びこの漂白パルプ
から製造した漂白パルプシートの48時間後のPC価を
測定し、表2に示した。
%、硫化度が24.0%であること以外は実施例1と同
様の処理を行い、ISO白色度36.1%、カッパー価
18.1の広葉樹未漂白クラフトパルプを得た。得られ
た広葉樹未漂白クラフトパルプをD1段の二酸化塩素添
加率を0.90%にする以外は実施例1と同様の処理を
行い漂白完成パルプを得た。多段漂白後のパルプのIS
O白色度は86.0%であった。
%、硫化度が25.0%であること以外は実施例1と同
様の処理を行い、ISO白色度32.3%、カッパー価
18.5の広葉樹未漂白クラフトパルプを得た。得られ
た広葉樹未漂白クラフトパルプをD1段の二酸化塩素添
加率を1.00%にする以外は実施例1と同様の処理を
行い漂白完成パルプを得た。多段漂白後のパルプのIS
O白色度は86.0%であった。
%、蒸解時間が45分であること以外は実施例1と同様
の処理を行い、ISO白色度35.9%、カッパー価1
6.0の広葉樹未漂白クラフトパルプを得た。得られた
広葉樹未漂白クラフトパルプをD1段の二酸化塩素添加
率を0.82%とした以外は実施例1と同様の処理を行
い漂白完成パルプを得た。多段漂白後のパルプのISO
白色度は86.2%であった。
%で、硫化度が32.0であること以外は実施例1と同
様の処理を行い、ISO白色度35.5%、カッパー価
16.5の広葉樹未漂白クラフトパルプを得た。得られ
た広葉樹未漂白クラフトパルプをD1段の二酸化塩素添
加率を0.84%とした以外は実施例1と同様の処理を
行い漂白完成パルプを得た。多段漂白後のパルプのIS
O白色度は85.9%であった。
2.0%であること以外は実施例1と同様の処理を行
い、ISO白色度37.7%、カッパー価13.4の広
葉樹未漂白クラフトパルプを得た。得られた広葉樹未漂
白クラフトパルプをD1段の二酸化塩素添加率を0.6
5%とした以外は実施例1と同様の処理を行い漂白完成
パルプを得た。多段漂白後のパルプのISO白色度は8
5.8%であった。
解条件と未漂白パルプの性質を表1に示す。
れた漂白完成パルプの性質を表2に示す。
較から明らかなように、比較例1〜3の一般的な蒸解方
法で製造された製紙用パルプの場合は、ヘキセンウロン
酸含有量が多く、その結果PC価も高く、パルプの退色
性が悪い。また実施例1〜3に示すように蒸解工程でヘ
キセンウロン酸の生成を抑制したものは比較例と同等の
白色度であっても、漂白完成パルプ中のヘキセンウロン
酸含有量が少なく、PC価も低く、パルプの退色性も良
いので長期保存性が優れていると言える。
プをアルカリ酸素漂白し、その後、元素状塩素、次亜塩
素酸塩を用いない多段漂白工程で処理してなる漂白完成
パルプにおいて、広葉樹未漂白パルプのヘキセンウロン
酸含有量が35〜45mmol/絶乾パルプkgであ
り、カッパー価が18〜23であり、かつISO白色度
を70〜89%とすることで、退色性が著しく改善され
ている環境負荷の低い漂白パルプを提供することが可能
となった。
Claims (3)
- 【請求項1】 広葉樹材を蒸解することによって、カッ
パー価が18〜23でありかつヘキセンウロン酸量が3
5〜45mmol/絶乾パルプkgである未漂白パルプ
を得、その後、アルカリ酸素脱リグニン処理を行い、元
素状塩素を使用しない多段漂白工程で漂白処理してIS
O白色度70〜89%、ヘキセンウロン酸含有量が10
mmol/絶乾パルプkg未満の漂白パルプを得ること
を特徴とする退色性が改善された製紙用パルプの製造方
法。 - 【請求項2】 前記未漂白パルプが、広葉樹材を130
〜155℃の温度で、アルカリ添加率12〜17質量
%、硫化度20〜30%で蒸解することにより製造され
た未漂白パルプであることを特徴とする請求項1記載の
退色性が改善された製紙用パルプの製造方法。 - 【請求項3】 請求項1又は2に記載の製紙用パルプの
製造方法によって製造されたパルプを主パルプ成分とす
る酸性紙。
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- 2001-09-26 JP JP2001292837A patent/JP4051910B2/ja not_active Expired - Lifetime
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