JP2003096526A - 銅張積層板用圧延銅箔およびその製造方法 - Google Patents

銅張積層板用圧延銅箔およびその製造方法

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JP2003096526A JP2002207814A JP2002207814A JP2003096526A JP 2003096526 A JP2003096526 A JP 2003096526A JP 2002207814 A JP2002207814 A JP 2002207814A JP 2002207814 A JP2002207814 A JP 2002207814A JP 2003096526 A JP2003096526 A JP 2003096526A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】COF等の構成材料として、極ファインピッチ加
工が施される銅張積層板(特に二層銅張積層板)に最適
な圧延銅箔を提供することである。 【解決手段】無酸素銅(C1020)にAgを添加した銅合金
であり、質量割合にて0.07〜0.5%のAgを含有し、Oが10
ppm以下、Sが10 ppm以下であり、Bi、Pb、Sb、Se、As、
Fe、TeおよびSnの合計濃度が10 ppm以下であり、厚みが
18μm未満である銅張積層板用圧延銅箔。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は極ファインピッチ加工が
施される銅張積層板に最適な圧延銅箔を提供する。特に
この圧延銅箔は二層銅張積層板に好適である。また、こ
の圧延銅箔を用いた二層銅張積層板は、チップオンフレ
ックス(Chip on Flexible Printed Circuit;以下COF
と称す。)の導電材として好適である。
【0002】
【従来の技術】電子機器の電子回路にはプリント配線板
が多く用いられる。プリント配線板は基材となる樹脂の
種類によって、硬質銅張積層板(リジット基板)と、可
撓性銅張積層板(フレキシブル基板)とに大別される。
フレキシブル基板は可撓性を持つことを特徴とし、可動
部の配線に用いられる他に、電子機器内で折り曲げた状
態で収納することも可能であるために、省スペース配線
材料としても用いられている。また、基板自体が薄いこ
とから、半導体パッケージのインターポーザー用途ある
いは液晶ディスプレイ(LCD)のICテープキャリアと
しても用いられている。
【0003】従来、LCDでは、テープ・キャリア・パッ
ケージ(Tape Carrier Package;以下TCPと称す。)と
よばれるタブ(Tape Automated Bonding;以下TAB)用
テープキャリアを用いたパッケージが用いられ、その採
用が回路の薄型化、多ピン化、ファインピッチ化を可能
とした。しかし最近、TAB方式に代わり、COF方式が用い
られるようになり、特に携帯電話のLCDやプラズマディ
スプレー用途においてCOFの需要が急速に伸びている。
【0004】図1にTCPとCOFの断面構造を比較して示
す。両者とも、ポリイミド等の樹脂フィルムに銅箔等を
貼り付けた銅張積層板に対し、エッチング加工により銅
の配線パターンを形成した後、金バンプを介してICチッ
プを搭載したものであるが、構造および製法に違いがあ
る。
【0005】図2にICチップがインナーリード接続され
るときの状況を示す。TCPでは、IC搭載部のフィルムに
デバイスホールが開口されるためインナーリードが突出
しており、この突出した部分(Flying Lead)がIC側の
金バンプと熱圧着される。インナーリードのピッチが狭
くなると突出した部分(Flying Lead)に変形が生じる
という問題があり、これがTCPにおけるファインピッチ
化の制約となっていた。一方、COFではポリイミド上の
銅箔にICを接合するため、突出した部分(Flying Lea
d)の変形に伴うファインピッチ化の障害がない。すな
わち、TCPに対し、銅配線をさらに薄くし、銅配線パタ
ーンをさらにファインピッチ化することが可能となる。
銅箔を用いたCOFのピッチは40μmピッチ(リード幅20μ
m)まで到達しており、さらなるファインピッチ化が進
められている。一方、TCPでは将来的にも40μmピッチが
限界といわれている。
【0006】また、基材となる銅張積層板として、TCP
ではポリイミドフィルムと銅箔とを接着剤で張り合わせ
た三層材が用いられるが、COFでは接着剤を使用せずに
ポリイミドフィルムと銅箔とを一体化した二層材が用い
られる。エポキシ樹脂やアクリル樹脂などの接着剤の耐
熱性は、フィルムのポリイミドと比較してかなり劣る。
したがって、接着剤を用いていない二層材は三層材より
も耐熱性に優れ、電子部品の半田接合等において高温下
に晒しても銅箔とフィルムとの接着力が低下しない。近
年、環境への影響から鉛フリーはんだの使用が広まって
いるが、従来の鉛はんだと比較して融点が高くなるため
に、基板の耐熱性が重視される。
【0007】さらに、三層板では厚さが50〜100μm程度
のポリイミドフィルムが使用されるのに対し、二層板で
はポリイミドフィルムの厚さは20〜40μm程度であり接
着剤層もない。このように二層板は基板が薄いことから
耐折曲げ性に優れる。この特徴を生かすためにも、銅箔
の極薄化が求められる。
【0008】ポリイミド樹脂を基材とする二層積層板の
主な製造方法として、メタライジング法、ラミネー
ト法、キャスティング法がある。のメタライジング
法はポリイミドフィルム上にCrなどの金属をスパッタリ
ングなどで薄く蒸着し、その上に所定の厚みの銅をスパ
ッタリングまたはめっきで形成する方法であり、銅箔を
使用しない。のラミネート法は銅箔をポリイミドフィ
ルムに直接に積層する方法である。のキャスティング
法は、ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミック酸を
含むワニスを、銅箔上に塗布して加熱硬化させ、銅箔上
にポリイミド皮膜を形成する方法である。銅箔を用いる
では、銅を蒸着すると比較し、銅との高い接着力
が得られるが、銅箔の薄肉化に技術的な限界があるため
ファインピッチ化には不利であった。
【0009】以上のことより、二層積層板の構成材料と
してCOFに組み込まれる銅箔には、次の特性が要求され
る。 (1)厚み:ファインピッチ化のためには銅箔を薄くす
る必要がある。現時点のCOFでは厚み12μmの銅箔を用い
40μmピッチ(回路幅20μm)まで到達しているが、今後
のファインピッチ化の動向を考慮すると、厚さ10μm以
下の銅箔が要求されることは明らかである。
【0010】(2)導電率:銅箔が薄くなり、また回路
幅が狭くなると、従来より増して、直流抵抗損失が小さ
いことが求められる。 (3)強度:銅箔が薄くなると、ハンドリングで変形し
やすくなるため、より高い強度が要求される。
【0011】(4)耐熱性: 二層積層板の製造工程に
おいて、例えばキャスティング法ではポリアミック酸か
らポリイミドを合成する際に、300 ℃程度の温度で10分
から1時間程度の加熱処理が行われる。この温度は、三
層積層板における接着剤硬化温度(150 ℃程度)と比較
して高い。熱処理で銅箔が軟化するとハンドリング性が
悪くなるため、300 ℃で1時間程度の加熱処理で銅箔が
軟化しないことが望まれる。また、耐熱性が高い二層積
層板の特徴を生かすためにも、その素材である銅箔に高
い耐熱性が要求される。
【0012】(5)表面粗さ:フィルムとの接着面にお
ける銅箔表面の粗さが大きいと、エッチングで回路を形
成する際に樹脂に銅が残るエッチング残が生じ、またエ
ッチング直線性が低下して回路幅が不均一になりやす
い。このためファインピッチ化するためには、銅箔の表
面粗さを小さくする必要がある。さらに、パソコンや移
動体通信等の電子機器では電気信号が高周波化している
が、電気信号の周波数が1GHz以上になると、電流が導体
の表面にだけ流れる表皮効果の影響が顕著になり、表面
の凹凸で電流伝送経路が変化してインピーダンスが増大
する影響が無視できなくなる。この点からも銅箔の表面
粗さが小さいことが望まれる。
【0013】(6)均一なエッチング性:ファインピッ
チ化する上では、金属組織等に起因してエッチング性に
異方性が生じないことが従来に増して要求される。 (7)耐折曲げ性:耐折曲げ性が優れる二層積層板の特
徴をさらに生かすためには、耐折曲げ性に優れる銅箔を
用いることが望ましい。プリント配線板の導電材となる
銅箔はその製造方法の違いにより電解銅箔と圧延銅箔に
分類される。電解銅箔は硫酸銅めっき浴からチタンやス
テンレスのドラム上に銅を電解析出して製造される。圧
延銅箔の製造では、インゴットを溶製し、これを熱間圧
延で板にした後、再結晶焼鈍と冷間圧延を繰り返し、最
後に冷間圧延で所望の厚みの箔に仕上げる。このよう
に、圧延ロールにより塑性加工して製造されるので、圧
延ロールの表面形態が箔の表面に転写した平滑な表面が
得られる。なお、本明細書では、最後の仕上げ冷間圧延
を“最終圧延”、最終圧延の直前の再結晶焼鈍を“最終
焼鈍”、最終焼鈍の直前の冷間圧延を“中間圧延”と称
する。
【0014】従来、COFでは主として電解銅箔が用いら
れてきたが、この理由として厚みが18μmより薄い銅
箔を、圧延により製造することが技術的に困難である、
圧延銅箔は300 ℃の加熱で容易に軟化する、集合組
織に起因しエッチング性に異方性が生じる、こと等が挙
げられる。一方、圧延銅箔の電解銅箔に対する長所とし
て、圧延で与える歪を調整することにより高い強度を
得ることができる、表面粗さが小さい、耐折曲げ性
に優れる、等の特徴がある。したがって、〜の短所
を改善できれば、圧延銅箔は電解銅箔よりもCOFに適し
た導電材となり得る。
【0015】以上、COFおよびその素材である二層積層
板を例にとり、極ファインピッチ化を進める上で銅箔に
要求される特性を述べてきたが、COF用途以外の二層積
層板あるいは三層積層板においても、極ファインピッチ
加工を受けるものでは同じことが銅箔に要求される。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】COF等の構成材料とし
て、極ファインピッチ加工が施される銅張積層板(特に
二層銅張積層板)に最適な圧延銅箔を提供することであ
る。
【0017】
【課題を改善するための手段】以上の問題点を解決すべ
く、本発明者は、以下の発明を成した。 (1)Cuに0.07 〜0.5 %のAgを添加した銅合金であり、
Sが10 ppm以下、Bi、Pb、Sb、Se、As、Fe、TeおよびSn
の合計濃度が10 ppm以下、CuとAgの合計濃度が99.96 %
以上であり、厚みが18μm未満である可撓性銅張積層板
用の圧延銅箔。 (2)Cuに0.07 〜0.5 %のAgを添加した銅合金であり、
Sが10 ppm以下、Bi、Pb、Sb、Se、As、Fe、TeおよびSn
の合計濃度が10 ppm以下、CuとAgの合計濃度が99.96 %
以上であり、厚みが18μm未満である二層可撓性銅張積
層板の導電体として使用される圧延銅箔。
【0018】(3)Cuに0.07 〜0.5 %のAgを添加した銅
合金であり、 Sが10 ppm以下、Bi、Pb、Sb、Se、As、F
e、TeおよびSnの合計濃度が10 ppm以下、CuとAgの合計
濃度が99.96 %以上であり、厚みが18μm未満であること
を特徴とするチップオンフレックス(Chip on Flexible
Printed Circuit)の導電体として使用される圧延銅
箔。 (4)O濃度が60 ppm以下であることを特徴とする上記
(1)〜(3)記載の圧延銅箔。 (5)質量割合にて、1〜5 ppmのPを含有する上記
(1)〜(4)記載の圧延銅箔。
【0019】(6)Zr、Ti、Mg、Ca、Si、Al、Mnおよび
Crの各濃度が、1 ppm以下である上記(1)〜(5)記
載の圧延銅箔。 (7)圧延面と平行な断面の組織を観察した場合に、直
径が2μmを超える介在物または析出物の平均個数が、0.
01個/mm2以下である上記(1)〜(6)記載の圧延銅
箔。 (8)厚みが10μm以下である上記(1)〜(7)記載
の圧延銅箔。 (9)樹脂フィルムと張り合わせられた後、エッチング
加工により幅が20μm以下の電極リードが形成される上
記(1)〜(8)記載の圧延銅箔。
【0020】(10)最大幅が10μmを超えるピンホー
ルの平均個数が、1 m2の面積に対し、10個以下である上
記(1)〜(9)記載の圧延銅箔。 (11)圧延上がりの引張強さが400 MPa以上であり、3
00 ℃で1時間焼鈍後の引張強さが300 MPa以上であり、
導電率が95 %IACS以上である上記(1)〜(10)記載
の圧延銅箔。 (12)接触粗さ計を用いて圧延方向と直角な方向に測
定した最大高さ(Ry)が、1μm以下である上記(1)
〜(11)記載の圧延銅箔。 (13)圧延面において再結晶焼鈍後に圧延面でのX線
回折で求めた200面の積分強度(I (200) )が、微粉末
銅のX線回折で求めた200面の積分強度(I0 (200))に対
し、I (200) /I0 (200) ≦ 10となる上記(1)〜(1
2)記載の圧延銅箔。
【0021】(14)次の〜の工程を順次行うこと
を特徴とする請求項1〜13の圧延銅箔の製造方法、 溶銅中のO濃度を10 ppm以下に下げ、必要に応じてPを
添加し、その後Agを添加する工程、 溶銅を鋳造してインゴットとし、熱間圧延により厚さ
が3 mm〜20 mmの板を得る工程、 冷間圧延と再結晶焼鈍を繰り返し、最後に冷間圧延で
厚みが18μm以下の銅箔を得る工程。ただし、ア)最終
の冷間圧延加工度が88〜98 %、イ)最終冷間圧延前の再
結晶焼鈍(最終焼鈍)後の平均結晶粒径が30μm以下、
ウ)最終焼鈍前の冷間圧延加工度を95 %以下とする。
【0022】(15)上記(1)〜(13)記載の圧延
銅箔の樹脂との接着面に銅または銅合金めっきが施さ
れ、このめっき面において、接触粗さ計を用いて圧延方
向と直角な方向に測定した最大高さ(Ry)が2μm以下で
ある圧延めっき箔。
【0023】(16)上記(1)〜(13)記載の圧延
銅箔または上記(15)記載の圧延めっき箔を用いた二
層銅張積層板。 (17)上記(16)記載の二層銅張積層板を用いたチ
ップオンフレックス(Chip on Flexible Printed Circu
it)。 (18)エッチング加工により形成された電極リードの
幅が、20μm以下である上記(17)記載のチップオン
フレックス(Chip on Flexible Printed Circuit)。
【0024】以下本発明に関して、詳細に説明する。銅
は導電性が優れた材料であるが耐熱性が劣る。摺動屈曲
性(高サイクル疲労特性)が要求されるフレキシブル回
路基板では、主として純銅が用いられているが、この用
途では、接着剤硬化のための熱処理(150〜200℃)で銅
箔が再結晶軟化することが要求されるためである(特許
第3009383号)。一方、本発明の用途では、熱処理後の
強度が特に重視され、基板に加工後に摺動屈曲変形が加
えられることは少ない。したがって、摺動屈曲性を多少
犠牲にしてでも、銅に合金元素を添加して耐熱性を改善
することが必要となる。添加元素としては、銅の特徴で
ある導電率を低下させない元素を選定する必要がある。
なお、銅箔が再結晶しないことによる屈曲性の低下は、
銅箔および基板を薄くし曲げ部外周での歪を小さくする
ことによって補償できる。
【0025】合金中に非金属介在物、析出物、ガス欠陥
などの内部欠陥が存在すると、極薄くまで圧延したとき
に、銅箔を貫通する穴(ピンホール)が発生して回路が
断線する原因になる。また、エッチング時の介在物の溶
け残りや脱落により回路の形状(直線性)に異常が生じ
ることもある。したがって、ファインピッチ化のために
は、内部欠陥の発生を防止し、清浄な合金組織を得るこ
とが極めて重要である。
【0026】本発明者は、耐熱性を改善するための添加
元素としてAgを選択した。Cu中にAgを添加しても導電率
はほとんど低下しない。また、AgはCuより非活性(貴)
なため、Cu中でAgが酸化物、硫化物などの非金属介在物
を形成することがない。また、鋳塊中にブローホール等
のガス欠陥を生成させる原因にもならない。さらに、固
体Cu中のAgの溶解度は200 ℃で0.1 %(本明細書ではmas
s%およびmass ppmをそれぞれ%およびppmと表示する)を
超えるため、少量の添加なら析出物が生成することはな
い。
【0027】純銅には無酸素銅(JIS規格C1020)とタフ
ピッチ銅(JIS規格C1100)の二種類がある。タフピッチ
銅は200 ppm程度のOを含有しているのに対し、無酸素銅
中のOは10 ppm以下である。過剰のOはCu2Oの非金属介在
物粒子を形成するため、本発明の銅箔では無酸素銅にAg
を添加することが前提となる。通常、無酸素銅の耐熱性
はタフピッチ銅よりも高いため、この点からも無酸素銅
を選択することが望ましい。無酸素銅の溶製では、電気
銅を原料として溶解し、CおよびCOの脱酸反応を利用し
てO濃度を低下させる。C、COの脱酸反応を促進してより
低い濃度までOを下げ合金の清浄度を高めるためには、
溶湯を減圧下に保持すれば良い。ただし、特別な真空設
備を必要とし、また製造コストが増大する。一方、C、C
Oによる脱酸後にPを極微量添加し、残留したOをPに固定
して無害化する方策も効果的であり、特別な設備を必要
せず製造コストもそれほど増加しないため、工業的には
この方策の方が現実的である。
【0028】無酸素銅を溶製する際には脱酸以外の精練
を行わないため、電気銅が含有する不純物は無酸素銅中
にそのまま残留する。このような不純物として、S、B
i、Pb、Sb、Se、As、Fe、TeおよびSnがあげられる。こ
れらのうちSは無酸素銅を溶製する過程で溶湯が汚染さ
れ、その濃度が増加することがある。さらに、Sは電気
銅中の濃度が比較的高く、また固体Cu中の溶解度が非常
に低く(600 ℃で1 ppm程度)そのほとんどがCu2Sの非
金属介在物となるため、特に注意が必要である。S以外
の介在物についても、清浄な組織を得るためには、それ
ぞれの濃度が低い方が望ましく、そのためには不純物の
含有量が低い電気銅を原料に用いる必要がある。なお、
S、Bi、Pb、Sb、Se、As、Fe、TeおよびSn以外の元素に
ついては、無酸素銅溶湯中では意図的に添加しなけれ
ば、問題になる濃度(>1 ppm)に含有されることはな
い。
【0029】本発明者は、不純物を制限した無酸素銅
に、種々の濃度のAgを添加したインゴットを製造した。
そして、このインゴットを熱間圧延で10 mmの板に加工
した後、焼鈍と圧延を繰り返し、種々の工程で厚さ9μm
まで圧延した。加工過程の材料および9μmまで圧延した
材料の組織、特性、品質、製造性を評価し、そのデータ
を解析して以下の知見を得た。
【0030】(1)導電率:図3にAgの添加による無酸
素銅の導電率の変化を示す。測定が容易なことから厚み
0.2 mmの再結晶組織の試料を用い、四端子法により20℃
での導電率を測定している。1 %のAgを添加しても、導
電率の低下は5 %IACS以下であり、実用的に問題ないレ
ベルである。
【0031】(2)強度:純銅を高加工度で圧延した後
に再結晶させると立方体集合組織が著しく発達する。す
わわち、(100)面が圧延方向および圧延面と平行になる
ように結晶が配列する。Cu結晶の<100>方向の変形抵抗
は小さく、また立方体組織の発達に伴い再結晶粒が粗大
化するため、立方体組織が発達すると特に圧延方向と平
行または直角な方向の強度が顕著に低下する(T.Hatan
o, Y.Kurosawa and J.Miyake: Journal of Electronic
Materials, vol.29, No.5 (2000), pp611-616)。この
ような立方体方位が発達した材料は、圧延した際の加工
硬化量が少ない。また、立方体方位は圧延後にも残留す
る。その結果、最終焼鈍で立方体集合組織が発達する
と、最終圧延後の強度が著しく低下する。したがって、
高強度化のためには、最終圧延加工度(転位強化)、
圧延前の結晶粒径(粒界強化)、添加元素による固
溶強化の他に、結晶方位の影響を考慮しなければなら
ない。Ag添加については、への寄与の他、Agの添加が
立方体集合組織の発達を阻害し、その結果として強度が
高くなる効果()もあることを見出した。立方体方位
が抑制される現象は、Ag≧0.07 %の範囲で認められた。
【0032】製造プロセスに関しては、最終圧延加工度
を高くすれば強度が上昇する。また、結晶方位の点から
は、最終焼鈍における立方体方位の発達を抑制する必要
があり、そのためには中間圧延での圧延加工度が高くな
り過ぎないように配慮する必要がある。 (3)耐熱性:Agを添加することによりCuの耐熱性が向
上する。その効果として、300 ℃で1時間加熱した際の
引張強さの低下量が小さくなり、0.07 %以上のAg添加で
300 MPa以上の引張強さを保つことが可能となる。上述
した立方体方位抑制効果をも考慮すると、好ましいAg添
加量は0.07 %以上であり、Agの上限値は原料コストと極
薄箔の製造性および品質から決定されるべきである。
【0033】製造プロセスに関しては、最終圧延加工度
を高くすれば強度が上昇するものの耐熱性が低下するた
め、圧延圧延加工度を決定する上では、強度だけではな
く耐熱性をも考慮する必要がある。
【0034】(4)ピンホール:銅箔を極薄くまで圧延
すると、銅箔の厚みを貫通して穴(ピンホール)が発生
する。とくに10μm以下に圧延する場合にはピンホール
の発生が顕著になる。ピンホールの発生は、介在物、析
出物等の存在により助長される。そこで、前述したよう
に、適正な合金元素の選定および不純物の制御により、
介在物、析出物の発生を抑えている。また、研究の過程
で、本発明者らはAgを添加するとピンホールの発生頻度
が減少することを発見した。そのメカニズムは解明でき
ていないが、極薄銅箔の製造技術として非常に重要な知
見であった。さらに、圧延加工度が高くなると、ピンホ
ール数が増加することも判明した。とくに、最終圧延加
工度が98 %を超えると、ピンホールの発生数が著しく増
加した。また、圧延ロールの粗さが大きくなるとピンホ
ールが発生しやすくなることもわかった。
【0035】(5)エッチング性:銅箔が介在物や析出
物を含有していると、エッチング加工の際にこれらが溶
け残り、エッチング加工で形成したCuリードの端面か
ら介在物や析出物が突出する。そこで、介在物や析出物
の発生を防ぐため、合金元素の選定に配慮し、また不純
物を厳密に制御している。また、上述したように、純銅
の再結晶集合組織は立方体方位となるが、この立方体集
合組織が発達すると、エッチングに異方性が生じる。立
方体方位の発達度は0.07 %以上のAg添加で低下し、また
最終焼鈍前の圧延加工度を低くすると抑制される。
【0036】本発明は、上記知見に基づき、CuにAgを添
加した合金を、極ファインピッチ用の極薄銅箔として最
適化したものである。一方、AgはCuによく添加される元
素であるため、CuにAgを添加した素材を銅箔に用いるこ
とは、過去に比較的多く提案されている。しかし、以下
に示すように、過去に提案されたCu-Ag合金では、極フ
ァインピッチ化が不可能であった。
【0037】特開平05-138206では、無酸素銅にSn、Z
r、Agの1種以上を合計で0.01〜0.5 %添加し、さらに最
終圧延加工度を90 %以上として、強度を高めた圧延銅合
金箔が、TCP(TAB)用の銅箔として提案されている。添
加元素のなかのZrは、極めて活性なため介在物やガス欠
陥の原因となりやすく、また固体Cu中の溶解度が少ない
ため析出物を形成する。したがって、例えば10μm以下
の極薄い銅箔を製造する上では、絶対に添加を避けなけ
ればならない元素である。
【0038】このような元素として、Zr以外にTi、Mg、
Ca、Si、Al、Mn、Cr等があげられる。また、最終圧延加
工度について、高強度を得るための下限値は規定されて
いるが、上限値は考慮されていない。ピンホールが発生
しやすい極薄箔の製造においては、加工度の上限値をも
考慮しなければならない。以上の二例からも明らかなよ
うに、この発明では、銅箔の極薄化、および回路の極フ
ァインピッチ化に対する配慮が欠落している。したがっ
て、この発明を、TCPよりも極薄化とファインピッチ化
が求められるCOF等の用途の銅箔に展開することはでき
ない。事実、実施例における銅箔の厚みは25μmまたは1
8μmであり、COF用銅箔としては厚すぎる。
【0039】特開平11-140564では、0.05〜0.35 %のAg
を添加した厚さ5〜25μmの銅箔が提案されている。この
銅箔はCu2Oを多量に含有するタフピッチ銅をベースとし
たものである。主な用途は電線被覆材である。この用途
では介在物、ピンホール等の欠陥への要求度が低いた
め、タフピッチ銅の使用が可能であったと思われる。Ag
を添加する理由は、再結晶後の伸びを高くするためであ
る。本発明の銅箔は、Agを添加して耐熱性を高めている
ため、銅張積層板に加工する際の熱処理で再結晶軟化し
ない。したがって再結晶組織での伸びが問題になること
はない。ただし、本発明で認められたAgを添加しピンホ
ールが減少した現象は、Ag添加で再結晶後の伸びが増加
する現象と、機構の点で関連がある可能性がある。いず
れにしても、特開平11-140564の銅箔をCOF用に利用する
ことはできない。同様にタフピッチ銅にAgを添加した発
明として、特開2000-212661がある。
【0040】特開2001-11550では、無酸素銅またはタフ
ピッチ銅に0.005〜0.25 %のAgを添加し、耐熱性と強度
を改善した銅箔を提案している。対象とする主な用途は
リチウムイオン電池の負極集電体であり、この用途につ
いても介在物、ピンホール等の欠陥に関する要求品質は
COFと比べると格段に低い。Hを低く抑え、銅箔の欠陥を
防止するという意図はみられるものの、そのままCOFに
適用することはできない。なお、特開2001-11550では銅
箔中の水素濃度を2 ppm以下に規定しているが、Cu中のH
の溶解度は500 ℃でも0.2 ppm以下であり、温度が低く
なると溶解度はさらに指数的に低下する(A.J.Phillip
s: Trans. AIME, vol.171 (1997), pp.17-46.)。ま
た、Cu中のHの拡散速度は極めて速い。これらのことか
ら考えても明らかなように、通常の銅箔中の水素濃度は
2 ppmよりはるかに低く、特開2001-11550は従来の銅箔
の特徴を発明として規定したに過ぎない。
【0041】さらに過去に溯ると、Agを添加した銅箔に
関する発明として、特開昭59-78592、特開昭63-21504
4、特開平01-056841、特開平01-056842等が公表されて
いるが、前述した発明と同様に銅箔の極薄化および回路
の極ファインピッチ化に対する配慮が欠落している。
【0042】本発明の限定理由を、以下に説明する。 (1)Ag:強度、耐熱性を改善するために添加する。
また、Agを添加することにより、Cuの再結晶集合組織で
ある立方体方位の発達が抑制され、立方体方位の発達に
伴う強度低下やエッチングの異方性を軽減できる。さら
にAgを添加するとピンホールの発生頻度が低下する。以
上のようなAgの効果は、Agが0.07%以上の範囲で認めら
れる。一方、Agが0.5 %を超えると圧延加工性が低下
し、圧延の過程で箔が破断することがある。また、Agは
高価なため、原料コストの点からも必要以上の添加を避
けるべきである。そこでAg濃度を0.07〜0.5 %とした。
【0043】(2)リードの幅および銅箔の厚み:COF
に用いられる銅箔に対しては、幅20μm以下のリードに
エッチング加工が可能な厚みと品質が要求される。幅20
μmのリードに加工するためには銅箔の厚みを18μmより
薄くすることが必要であり、リード幅が15μm以下にな
ると厚みが10μm以下の銅箔が求められる。
【0044】(3)ピンホール:銅箔にピンホール(厚
みを貫通する穴)が存在すると、回路が断線することが
ある。従来問題にならなかった幅10μm程度の微小なピ
ンホールも、幅が20μm以下のリードでは断線の原因と
なる。断線が生じた部品は検査で排除され、歩留を低下
させる。そこで、幅が10μmを超えるピンホールの個数
を、1 m2の銅箔面積に対し10個以下に規定した。ピンホ
ールの頻度が10個/m2以下であれば、その歩留低下へ
の影響は許容できる。
【0045】(4)介在物、析出物:銅箔中に介在物や
析出物等の異相が存在すると、圧延の際の変形挙動がマ
トリックスのCu-Ag合金と異なるため、介在物や析出物
の周囲に空隙が生じ、ピンホールの発生が助長される。
また、介在物や析出物が、エッチング加工の際に溶け残
ってCu配線の端面から突出することによって回路が短絡
する危険性もある。以上のような弊害は直径が2μmを
越える介在物で認められ、その頻度が0.01個/mm2を超え
ると弊害を無視できなきなくなる。そこで、直径が2μm
を超える介在物または析出物の個数を0.01個/mm2以下に
規定した。なお、介在物の形が楕円状、棒状、線状など
の場合には、図4に示すように、介在物の直径を長軸
(L1)と短軸(L2)との平均値で定義した。
【0046】(5)不純物:介在物や析出物は、素材中
の不純物が原因で生成する。そこで、不純物を次のよう
に規定した。 O濃度を10 ppm以下に調整した溶銅すなわち無酸素銅
溶湯Agを添加した素材を用いる。溶銅(インゴット)に
おける“10 ppm以下”のO濃度を、銅箔に加工後のO濃度
に換算すると“60 ppm以下”となる。これは、箔に加工
すると、分析試料の質量に対する表面積の割合が著しく
大きくなることにより、後述する一般的分析法でOを分
析する場合、分析試料表面の酸化膜および吸着水膜によ
りO分析値が約50 ppm増加するためである。 硫化物介在物の原因となる硫黄を10 ppm以下とする。
より好ましいS濃度は5 ppm以下である。 無酸素銅で問題となる不純物であるBi、Pb、Sb、Se、
As、Fe、TeおよびSnの合計濃度を10 ppm以下とする。よ
り好ましい濃度は5 ppm以下である。 無酸素銅溶湯を用いれば、S、Bi、Pb、Sb、Se、As、F
e、Te及びSn以外の不純物元素の各濃度(Hを除く)は、
これらを溶湯中に意図的に添加しない限り、1 ppmを超
えることはない。
【0047】(6):鋳造直前の溶湯に微量のPを添
加すると、溶湯中の残留Oが酸化りんとして固定され、
粗大で有害な酸化物介在物の生成を回避できる。酸化り
んは微小であり、ピンホールの生成などに対して無害で
ある。Pはインゴットへの残留量が1〜5 ppmになるよう
に添加すればよい。Pが1 ppm未満ではOを無害化する効
果が得られない。また、Pが5 ppmを超えると、粗大なCu
3Pが生成し逆効果である。 (7)Zr、Ti、Mg、Ca、Si、Al、Mn、Cr:無酸素銅溶製
の際に、銅箔の強度を高めるため、活性な合金元素を添
加することがある。しかし、活性な元素は、介在物発生
やガス欠陥生成の原因となる。したがって、本発明で
は、このような元素の添加を避けなければならない。Cu
に添加される代表的な活性元素は、Zr、Ti、Mg、Ca、S
i、Al、MnおよびCrである。そこで、これら元素の各濃
度を1 ppm以下に規制した。
【0048】(8)銅箔の強度:銅箔が薄くなり、また
リード幅が細くなると、ハンドリングの際等に銅箔が変
形しやすくなるため、変形に耐え得る強度が求められ
る。具体的には、圧延上がりの引張強さで400 MPa以
上、300 ℃で1時間加熱後の引張強さで300 MPa以上の強
度が必要である。300 ℃で1時間の熱処理は、ポリイミ
ドの接着、ICチップの接合等での熱履歴を想定したもの
である。熱処理時点での銅箔はポリイミドフィルムに貼
り付けられているため、銅箔単体の場合ほどは強度が要
求されない。完全に再結晶した後の銅の引張強さは200
MPa程度であるので、300℃で1時間加熱しても半軟化し
ない程度の耐熱性が要求される。
【0049】(9)銅箔の導電率:95%IACS以上の導電
率があれは十分である。図3に示したように、本発明の
銅箔ではこの導電率が容易に得られる。 (10)表面粗さ:圧延ロールの粗さが大きいと、ピン
ホールの頻度が増加する。材料の表面粗さはロールの表
面粗さの影響を受け、表面粗さの大きなロールで圧延す
ると、材料の表面粗さも大きくなる。そこで、銅箔表面
の最大高さ(Ry)を1μm以下に規定する。この粗さの範
囲では、ロール粗さがピンホールに影響しない。
【0050】(11)粗化めっき表面の粗さ:銅箔の樹
脂との接着表面には、樹脂との接着性を改善するため
に、Cu、Cu-Ni、Cu-Co等の粒子を電気めっきで形成する
粗化処理が施されている。これは、銅箔表面に凹凸を形
成し、この凹凸を樹脂に食い込ませて機械的な接着強度
を得る、いわゆるアンカー効果で接着性を改善するもの
である。その粗化めっきの粗さが大きすぎると、具体的
には最大高さ(Ry)が2μmを超えると、エッチングで
回路を形成する際に樹脂に粗化めっき金属(Cu、Cu-N
i、Cu-Co等)が残り、エッチング直線性が低下して回路
幅が不均一になる、高周波電流を流し電流が銅箔表層
を流れる状態(表皮効果)になったときのインピーダン
スが増大する、等の弊害が現われる。そこで、粗化めっ
き面のRyを2μm以下に規定する。
【0051】(12)立方体集合組織:立方体集合組織
が発達すると強度が低下する。また、エッチング性に異
方性が現われる。そこで、最終圧延後の圧延面表面にお
いてX線回折で求めた200面の積分強度(I (200) )を、 I (200) /I0 (200) ≦ 10 と規定する。ここで、I0 (200) は微粉末銅(方位がラ
ンダムな試料)における200面の積分強度である。
【0052】(13)製造工程:本発明の圧延銅箔は、
冷間圧延と再結晶焼鈍を繰り返し、最後に冷間圧延で所
定の厚みに仕上げる。この一連の工程における最終の圧
延加工度が88%より低いと、その前の熱処理および圧延
条件を調整しても400MPa以上の引張強さが得られない。
また、最終の圧延加工度が98%を超えるとピンホールの
発生が顕著になり、耐熱性も低下する。そこで、最終圧
延加工度を88〜98%に規定する。ピンホールの観点か
ら、より望ましい加工度の範囲は88〜95%である。ここ
で、圧延加工度(r)は次式で与えられる。 r = (t0−t) / t0 × 100 (%) (t0:圧延前の厚み、
t:圧延後の厚み)
【0053】さらに、400 MPa以上の引張強さを得るた
めに最終焼鈍で結晶粒径を30μm以下に調整する。ここ
で、本発明での結晶粒径は、切断法(JIS H 0501)に準
じ、所定長さの線分により完全に切られる結晶粒数を数
える方法で求めた値であり、圧延面に平行な断面の結晶
組織を現出し測定している。
【0054】一方、中間圧延での圧延加工度が95 %を超
えると、Agを添加していても、次工程の焼鈍で立方体集
合組織が著しく発達し、最終圧延後の立方体集組織の発
達度が上記範囲を超える。また、次工程の焼鈍におい
て、立方体方位の発達に伴って再結晶粒が異常成長し、
結晶粒径を30μm以下に調整することが困難となる。そ
こで、最終焼鈍前の圧延加工度を95 %以下に規定する。
【0055】以上述べた、各規定条件が銅箔の品質およ
び特性に及ぼす作用と効果を図5に整理してまとめた。
【0056】
【実施例】Ag添加量、P添加量および不純物濃度が異な
るインゴットを製造した。このインゴットを熱間圧延で
厚さ10 mmの板に加工し、その後、冷間圧延と再結晶焼
鈍を繰り返し、最後に冷間圧延で種々の厚みに仕上げ
た。この銅箔の特性および品質を下記の方法で調査し
た。
【0057】引張強さ: IPC規格(IPC-TM-650)に準
じ、室温で引張試験を行ない、引張強さを求めた。銅箔
を幅12.7 mm、長さ150 mmの短冊状に切断した。試料採
取は試料の長さ方向が圧延方向と一致するように行っ
た。この試料を、標点距離50 mm、速度50 mm/分で引張
り、試料が破断するときの引張強さを求めた。
【0058】立方体集合組織:圧延面のX線回折で求め
た(200)面強度の積分値(I)求めた。この値をあらかじ
め測定しておいた微粉末銅の(200)面強度の積分値
(I0)で割り、I/I0の値を計算した。なお、ピーク強
度の積分値の測定では、Co管球を用い、2θ=57〜63°
(θは回折角度)の範囲で行った。
【0059】介在物または析出物の個数:圧延面に平行
な断面を鏡面研磨し、走査型電子顕微鏡を用い、直径が
2μmを超える介在物または析出物の個数を測定した。観
察は1000 mm2の面積について行い、1 mm2あたりの個数
に換算した。
【0060】ピンホール個数:暗室内で銅箔の片面から
光を照射し、ピンホールを通過して反対側の面に漏れる
光を観察することにより、ピンホールの存在を検出し
た。その後、光学顕微鏡を用いて、各ピンホールの幅
(最大の径)を測定した。10 m2の面積に対してこの測
定を行い、1 m2あたりの個数に換算した。成分分析 :Sは燃焼−赤外線吸収法、Oは不活性ガス溶融
−赤外線吸収法、AgはICP−発光分光法で分析した。微
量不純物の分析には、ICP−質量分析法等を用いた。
【0061】表面粗さ:JISB0601に準じて、最大高さ
(Ry)を、基準長さ0.8 mm、評価長さ4 mm、カットオフ
値0.8 mm、送り速さ0.1 mm/秒の条件で測定した。この
測定を圧延方向と直角に、測定位置を変えて10回行な
い、10回の測定での最大値を求めた。エッチング性 :厚さが9μmで片面にCuを粗化めっきした
銅箔について、その粗化めっき面にキャスティング法に
よりポリイミド皮膜を形成した。その後銅箔上に、リー
ドを模して幅が20μm、長さ1 mmの矩形になるようにレ
ジストを塗布し、塩化第二銅溶液を用いてスプレーエッ
チングした。そして、図6に示すように、銅箔の下端の
幅が20μmになるときのWの値を求めた。
【0062】(1)実施例1(Ag濃度の引張強さに及ぼ
す影響) Ag濃度が圧延上がりの強度に及ぼす影響を示す。不純物
濃度が本発明の範囲内でAg濃度が異なる素材を用い、中
間圧延での加工度が93 %、最終圧延加工度が89%の条件
で厚み9μmの銅箔を製造した。最終焼鈍では再結晶粒が
粗大化しないように、圧延組織が消失する限界付近の条
件で行った。9μmまで圧延したときの圧延平行方向の引
張強さを表1、図7に示す。
【0063】
【表1】 なお、無酸素銅は電気銅からの不純物として10 ppm程度
のAgを含有する。Ag<0.07%の比較例No.1〜6では立方体
方位が著しく発達し結晶粒径が50μmを超え、引張強さ
は300 MPa以下であった。一方、Ag≧0.07 %の発明例No.
7〜10及び比較例No.11、12では結晶粒径が15μm程度で
安定しており、引張強さは400 MPaを超えている。Agが
0.05〜0.07 %において引張強さが急激に上昇している
が、これはAgが立方体集合組織の発達を抑制したためで
ある。Ag≧0.07%の範囲でのAg濃度増加によるゆるやか
な引張強さの上昇は、主としてAgの固溶強化によるもの
である。
【0064】(2)実施例2(Ag濃度の耐熱性に及ぼす
影響) Agが耐熱性に及ぼす影響を示す。不純物濃度が本発明の
範囲内でAg濃度が異なる素材を用い、厚みが9μmの銅箔
を製造した。中間圧延加工度は90 %、最終圧延加工度は
91 %とし、最終焼鈍では結晶粒径を20μmを目標に調整
した。9μmに圧延後の耐熱性は、半軟化温度および300
℃で1時間焼鈍後の引張強さで評価した。ここで、半軟
化温度とは引張強さが、焼鈍前の値と完全軟化後(ここ
では500℃で1時間焼鈍後)の値の中間の値になるときの
焼鈍温度であり、焼鈍時間が1時間の条件で求めてあ
る。評価の結果をAg濃度との関係で表2、図8に示す。
【0065】
【表2】 Ag<0.07 %の範囲ではAg濃度の増加に従い急激に軟化温
度が高くなり、Ag>0.07 %の範囲ではAg増加に対する軟
化温度の上昇率が減少している。その結果として、Ag>
0.07%の発明例No.19〜22及びNo.23、24では300 ℃で1時
間焼鈍後の引張強さが300 MPaを超えている。上述した
立方体方位抑制効果をも考慮すると、好ましいAg添加量
は0.07 %以上であることがわかる。なお、図8および9
から明らかなように、Agが0.5%を超える範囲において
は、Ag濃度を増しても引張り強さおよび耐熱性はほとん
ど改善されない。AgのコストおよびAg濃度増加に伴う導
電率の低下(図4)を考慮すると、Ag添加量を0.5%以
下に抑えるべきであり、0.5%を超えるNo.11、12、23、
24は比較例となる。
【0066】(3)実施例3(立方体集合組織、製造工
程が強度、耐熱性に及ぼす影響) Ag濃度が強度および耐熱性に及ぼす影響は、図7、8で
すでに説明したので、ここでは製造工程およびそれによ
る立方体集合組織の変化が強度と耐熱性に及ぼす影響に
関して表3を用いて説明する。
【表3】 表3の銅箔の厚みは17μmである。また、その不純物濃
度および表面粗さは本発明の規定範囲内であり、この範
囲ではこれらがピンホール個数に影響を及ぼすことはあ
っても、強度や耐熱性に影響することはない。なお、望
まれる引張強さは、圧延上がりで400 MPa以上、300 ℃
で1時間焼鈍後で300 MPa以上である。
【0067】No.25〜30ではAg濃度が約0.1%の場合につ
いて、最終圧延加工度を変化させている。加工度が高く
なると圧延上がりの引張強さが増加している。比較例N
o.25では加工度が88 %未満と低いため、最終圧延上がり
の引張強さが400 MPa以下であり、比較例No.30は加工度
が98 %を超えているため、耐熱性が低下し、300 ℃で1
時間焼鈍後の引張強さが300 MPaをやや下回っている。
【0068】No.31〜34ではAg濃度が約0.2 %の場合につ
いて中間圧延加工度を変化させている。図7で示したよ
うにAgを添加すると立方体集合組織の発達が抑制され、
発明例No.31、32は中間圧延加工度95 %以下において引
張強さが400 MPa以上である。しかしながら、比較例No.
33、34では、Ag添加しても中間圧延加工度が95%を超え
ると立方体集合組織の発達が無視できなくなり、これに
伴い最終焼鈍後の結晶粒も粗大化し、最終圧延上がりの
引張強さが400 MPaを下回っている。
【0069】No.35〜37ではAg濃度が約0.4 %の場合につ
いて最終焼鈍での結晶粒径を変化させている。結晶粒径
が大きくなると圧延上がりの引張強さが低下しており、
比較例No.37では30μmよりも大きいため、最終圧延上が
りの引張強さが400 MPaを下回っている。。
【0070】(4)実施例4(Ag濃度、不純物、P濃
度、表面粗さおよび最終圧延加工度がピンホールに及ぼ
す影響) Ag濃度、不純物、P濃度、表面粗さおよび最終圧延加工
度がピンホールに及ぼす影響を表4に基づいて説明す
る。表4の銅箔には、無酸素銅を用い、Zr、Ti、Mg、C
a、Si、Al、Mn、Crといった介在物の原因となる活性元
素は添加していないので、これら元素の各濃度は1 ppm
以下である。
【表4】 目標とするピンホールの個数は10個/m2であり、これを
超えると、20μm以下のリード幅の場合、リードが断線
する頻度が多くなり、狭ピッチでの使用ができなくな
る。
【0071】No.38〜43では、不純物濃度およびP添加量
がほぼ同等でAg濃度が異なる素材を、同じ製造工程で9
μmまで圧延したときに発生したピンホール数を比較し
ている。中間圧延加工度は93.3%であり、最終焼鈍での
結晶粒径は25μmを目標に調整してある。Agを0.07 %以
上添加したNo.40〜43のピンホールが、Agを添加してい
ない比較例No.38およびAg添加量が0.07 %未満の比較例N
o.39よりも著しく少ないことが示されている。
【0072】No.44〜46では、O濃度が異なり他の成分は
ほぼ同等である素材を、同じ製造工程で9μmまで圧延し
たときのピンホール数を比較した。O分析は、インゴッ
トから採取した試料および箔に加工後の試料に対しそれ
ぞれ実施している。中間圧延加工度は92.0 %であり、最
終焼鈍での結晶粒径は8μmを目標に調整してある。O濃
度が高くなると、直径が2μmを超える析出物又は介在物
の個数が増加し、同時にピンホール数が増加している。
発明例No.44、45は、Oが10 ppm以下のインゴットを用
い、箔でのO分析値が60 ppm以下になった例であり、こ
れらのピンホールは少ない。一方、Oが10 ppmを超える
インゴットから加工し、箔でのOが60 ppmを超えた比較
例No.46では、かなりの数のピンホールが発生してい
る。従って、O濃度が10 ppm以下である無酸素銅ベース
の素材を用い、箔でのO値を60 ppm以下に規制する必要
がある。
【0073】No.47〜49では、S濃度が異なり他の成分は
ほぼ同等である素材を、同じ製造工程で7μmまで圧延し
たときのピンホール数を比較している。中間圧延加工度
は93.3%であり、最終焼鈍での結晶粒径は20μmを目標に
調整してある。ピンホール数に関し、Oの場合と同じこ
とがいえる。No.50〜52では、Bi、Pb、Sb、Se、As、F
e、TeおよびSnの合計濃度(T)が異なり、その他成分が
ほぼ同等である素材を、同じ製造工程で9μmまで圧延し
たときのピンホール数を比較している。中間圧延加工度
は86.7 %であり、最終焼鈍での結晶粒径は10μmを目標
に調整してある。Tが増加すると、直径が2μmを超える
析出物または介在物の個数が増加し、同時にピンホール
数が増加している。合計濃度(T)が10 ppm以下である
発明例No.50、51ではピンホールは10個/m2以下である
が、10 ppmを超える比較例No.52ではピンホールが多く
発生している。
【0074】No.53〜57では、Ag濃度および不純物濃度
がほぼ同等でP濃度が異なる素材を、同じ製造工程で5μ
mまで圧延したときのピンホール数を比較している。中
間圧延加工度は90.0 %であり、最終焼鈍での結晶粒径は
20μmを目標に調整してある。Pを添加していないNo.53
およびP添加量が1 ppmを下回るNo.54のピンホール数
は、Pを1〜5 ppmの範囲で添加したNo.55、56のピンホー
ル数よりも多い。しかし、比較例No.57に示されている
ように、Pが5 ppmを超えて添加されるとピンホールが却
って増加している。
【0075】No.58〜62では、同一の素材について、最
終圧延での圧延ロールの粗さを変えて9μmまで圧延し、
圧延後の箔の最大高さ(Ry)とピンホール個数との関係
を求めている。中間圧延加工度は90.0 %であり、最終焼
鈍での結晶粒径は20μmを目標に調整してある。Ryが1μ
m以下の発明例No.58、59、60ではRyとピンホール個数の
間には相関が無く少ないが、Ryが1μmを超える比較例N
o.61、62ではRyの増加とともにピンホールが急激に増加
している。
【0076】No.63〜67では、同じ素材について、最終
圧延で同じ粗さの圧延ロールを用い、最終圧延加工度を
変化させている。中間圧延加工度を80 %にそろえ、最終
焼鈍での結晶粒径は15μmを目標に調整してある。最終
圧延加工度が高くなるとピンホールが増加しており、98
%以上を超える比較例No.67では、10個/m2を超えるピン
ホールが発生している。No.68〜72では、参考までに、
同じ素材について、最終圧延での圧延ロールの粗さと最
終圧延加工度をそろえ、異なる厚みまで圧延した結果を
示す。中間圧延加工度を89〜91 %の範囲に調整し、最終
焼鈍での結晶粒径は20μmを目標に調整している。厚み
が薄くなると、ピンホールが増加することが示されてい
る。なお、No.41の組成の合金に、Zrを5 ppm添加し、N
o.41と同じ条件で9μmまで圧延したところ、2μm以上
の介在物個数が0.016個/mm2に増加し、ピンホール個数
が12.4個/m2となった。
【0077】(5)実施例5(粗化めっき面の最大高さ
(Ry)とWとの関係) 表4のNo.41の銅箔に、平均厚さが約2μmのCu粗化めっ
きを施した。電析条件を変えることにより、めっき面の
粗さを変化させた。上記方法でエッチングしWの値を求
めた。粗化めっき面の最大高さ(Ry)とWとの関係を表
5、図9に示す。
【表5】 発明例No.73〜75は、Ryが2μm以下でWの増加は小さい。
しかしながら比較例No.76〜78に示すように、Ryが2μm
を超えるところから、Wが急激に増加し、エッチング形
状が劣化していることがわかる。なお、介在物が規定範
囲を超える表4のNo.52を同様にエッチングしたとこ
ろ、介在物が溶け残りリードの側面から突出した状況が
観察された。その出っ張りは最大で5μmであった。
【0078】
【発明の効果】本発明は、極ファインピッチ加工が施さ
れる銅張積層板に、好適な銅箔を提供する。この銅箔
は、清浄度を高めた無酸素銅に適量のAgを添加した合金
を素材とし、適切な圧延と焼鈍のプロセスにより製造さ
れたものである。 (1)耐熱性および強度に優れるため微細加工後にも変
形することがない。 (2)また、ピンホールが少ないため、微細加工の際に
回路の断線が問題になることがない。 (3)さらにエッチング性にも優れている。 (4)特に、接着剤を使用しない二層積層板の用途、さ
らには二層積層板を用いたCOF(チップオンフレック
ス)の用途に最適である。
【0079】
【図面の簡単な説明】
【図1】COPとTCPの断面構造を示す。
【図2】ICチップが、インナーリード結合される一態
様を示す。
【図3】Agの添加による無酸素銅の導電率の変化を示
す。
【図4】介在物の代表的な形状とLとLを示す。
【図5】銅箔の規定条件と作用と効果を示す。
【図6】エッチング性を示すWの値を示す。
【図7】Agの添加による銅箔の圧延平行方向の引張強
さの変化を示す。
【図8】Agの添加による銅箔の半軟化温度と焼鈍後の
引張強さの変化を示す。
【図9】粗めっき面の最大高さ(R)とWとの関係を
示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22F 1/00 622 C22F 1/00 622 627 627 630 630A 630F 661 661A 681 681 683 683 685 685Z 686 686B 694 694A

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Cuに0.07 〜0.5 %(%は質量割合、以下同
    じ)のAgを添加した銅合金であり、 Sが10 ppm(ppmは
    質量割合、以下同じ)以下、Bi、Pb、Sb、Se、As、Fe、
    TeおよびSnの合計濃度が10 ppm以下、CuとAgの合計濃度
    が99.96 %以上であり、厚みが18μm未満であることを特
    徴とする可撓性銅張積層板用の圧延銅箔。
  2. 【請求項2】Cuに0.07 〜0.5 %のAgを添加した銅合金で
    あり、 Sが10 ppm以下、Bi、Pb、Sb、Se、As、Fe、Teお
    よびSnの合計濃度が10 ppm以下、CuとAgの合計濃度が9
    9.96 %以上であり、厚みが18μm未満であることを特徴
    とする二層可撓性銅張積層板の導電体として使用される
    圧延銅箔。
  3. 【請求項3】 Cuに0.07 〜0.5 %のAgを添加した銅合金
    であり、Sが10 ppm以下であり、Bi、Pb、Sb、Se、As、F
    e、TeおよびSnの合計濃度が10 ppm以下、CuとAgの合計
    濃度が99.96 %以上であり、厚みが18μm未満であること
    を特徴とするチップオンフレックス(Chip on Flexible
    Printed Circuit)の導電体として使用される圧延銅
    箔。
  4. 【請求項4】O濃度が60 ppm以下であることを特徴とす
    る請求項1〜3記載の圧延銅箔。
  5. 【請求項5】質量割合にて、1〜5 ppmのPを含有するこ
    とを特徴とする請求項1〜4記載の圧延銅箔。
  6. 【請求項6】Zr、Ti、Mg、Ca、Si、Al、MnおよびCrの各
    濃度が、1 ppm以下であることを特徴とする請求項1〜
    5記載の圧延銅箔。
  7. 【請求項7】 圧延面と平行な断面の組織を観察した場
    合に、直径が2μmを超える介在物または析出物の平均個
    数が、0.01個/mm2以下であることを特徴とする請求項1
    〜6記載の圧延銅箔。
  8. 【請求項8】 厚みが10 μm以下であることを特徴とす
    る請求項1〜7記載の圧延銅箔。
  9. 【請求項9】 樹脂フィルムと張り合わせられた後、エ
    ッチング加工により幅が20μm以下の電極リードが形成
    されることを特徴とする請求項1〜8記載の圧延銅箔。
  10. 【請求項10】 最大幅が10μmを超えるピンホールの平
    均個数が、1 m2の面積に対し、10個以下であることを特
    徴とする請求項1〜9記載の圧延銅箔。
  11. 【請求項11】 圧延上がりの引張強さが400 MPa以上で
    あり、300 ℃で1時間焼鈍後の引張強さが300 MPa以上で
    あり、導電率が95 %IACS以上であることを特徴とする請
    求項1〜10記載の圧延銅箔。
  12. 【請求項12】 接触粗さ計を用いて圧延方向と直角な
    方向に測定した最大高さ(Ry)が、1μm以下であるこ
    とを特徴とする請求項1〜11記載の圧延銅箔。
  13. 【請求項13】 圧延面において再結晶焼鈍後に圧延面
    でのX線回折で求めた200面の積分強度(I (200) )が、
    微粉末銅のX線回折で求めた200面の積分強度(I0
    (200) )に対し、I (200) /I0 (200) ≦ 10となること
    を特徴とする請求項1〜12記載の圧延銅箔。
  14. 【請求項14】次の(1)〜(3)の工程を順次行うこ
    とを特徴とする請求項1〜13の圧延銅箔の製造方法、
    (1)溶銅中のO濃度を10 ppm以下に下げ、必要に応じ
    てPを添加し、その後Agを添加する工程、(2)溶銅を
    鋳造してインゴットとし、熱間圧延により厚さが3 mm〜
    20 mmの板を得る工程、(3)冷間圧延と再結晶焼鈍を
    繰り返し、最後に冷間圧延で厚みが18μm以下の銅箔を
    得る工程。ただし、最終の冷間圧延加工度が88〜98
    %、最終冷間圧延前の再結晶焼鈍(最終焼鈍)後の平
    均結晶粒径が30μm以下、最終焼鈍前の冷間圧延加工
    度を95 %以下とする。
  15. 【請求項15】 請求項1〜13記載の圧延銅箔の樹脂
    との接着面に銅または銅合金めっきが施され、このめっ
    き面において、接触粗さ計を用いて圧延方向と直角な方
    向に測定した最大高さ(Ry)が2μm以下であることを特
    徴とする圧延めっき箔。
  16. 【請求項16】請求項1〜13記載の圧延銅箔または請
    求項15記載の圧延めっき箔を用いた二層銅張積層板。
  17. 【請求項17】請求項16記載の二層銅張積層板を用い
    たチップオンフレックス(Chip on Flexible Printed C
    ircuit)。
  18. 【請求項18】 エッチング加工により形成された電極
    リードの幅が、20μm以下であることを特徴とする請求
    項17記載のチップオンフレックス(Chipon Flexible
    Printed Circuit)。
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