JP2003096366A - インク、インクセット及びインクジェット記録方法 - Google Patents

インク、インクセット及びインクジェット記録方法

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JP2003096366A
JP2003096366A JP2001291130A JP2001291130A JP2003096366A JP 2003096366 A JP2003096366 A JP 2003096366A JP 2001291130 A JP2001291130 A JP 2001291130A JP 2001291130 A JP2001291130 A JP 2001291130A JP 2003096366 A JP2003096366 A JP 2003096366A
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JP
Japan
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ink
recording medium
pigment
inks
mass
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Application number
JP2001291130A
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English (en)
Inventor
Isao Kobayashi
功 小林
Sadatoshi Nishibuchi
貞敏 西渕
Saori Nishio
さおり 西尾
Tomomi Yoshizawa
友海 吉沢
Yasuhiro Oka
靖博 岡
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Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速印字、写真画質のインクジェット記録を
行うことができるように境界にじみの発生を抑えたイン
ク、及び、高速印字、写真画質のインクジェット記録を
行うことができるインクジェット記録方法を提供する。 【解決手段】 アルミニウムの含有量が10ppb〜3
0ppmであるインク。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インク、インクセ
ット及び該インク又はインクセットを用いたインクジェ
ット記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、インクジェット記録は急速に画質
が向上し、さらに高速化も進んできており、インクジェ
ット記録は写真に迫りつつある。インクジェット記録で
高速化を進め、かつ写真同等画質(以下、写真画質と称
す)を得るためには、境界にじみを改良する必要があ
り、境界にじみをなくす技術の開発が進んでいる。
【0003】境界にじみをなくすためには、インク吸収
速度を速くするために空隙型のインク吸収層が用いられ
ることが知られている。これは主に無機顔料とバインダ
ーから構成され、インク吸収層中に空隙が形成されてお
り、インクはこの空隙に素早く吸収される。
【0004】また、他の境界にじみの課題を解決する手
段として、インク吸収層中に水溶性多価金属イオンを含
有させる技術が知られている。上記2つの手段を併用す
ることにより境界滲みはかなり改善される。
【0005】また、画像形成後にインクジェット画像を
放置した時に生じる滲みの課題を解決するために、染料
を固着させるための物質である染料固着剤をインク吸収
層中に添加しておくことがある。染料固着剤としては、
表面がカチオン性である無機顔料(アルミナ微粒子等)
や分子内に第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性
ポリマー等が挙げられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、写真画
質をインクジェット記録で達成するためには、さらに境
界滲みを改善する必要がある。
【0007】また、滲みを改善するために前記カチオン
性ポリマーを添加し過ぎるとかえってインク吸収速度が
遅くなり、インク吸収層の表面で凝集、結晶化(いわゆ
るブロンジング)が発生する場合がある。この場合、多
価金属イオンの存在により、ブロンジングがさらに促進
されることが多いという問題もある。
【0008】本発明は上記課題に鑑みてなされたもので
あり、本発明の目的は、高速印字、写真画質のインクジ
ェット記録を行うことができるように境界滲みの発生を
抑えたインク、インクセット、及び、高速印字、写真画
質のインクジェット記録を行うことができるインクジェ
ット記録方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は下記構成
によって達成された。
【0010】(1) アルミニウムの含有量が10pp
b〜30ppmであるインク。 (2) アルミニウムの含有量が300ppb〜10p
pmであるインク。
【0011】(3) 前記インクが顔料インクであるこ
とを特徴とする(1)又は(2)に記載のインク。
【0012】(4) 前記顔料インクのゼータ電位が4
0〜70mVであることを特徴とする(1)〜(3)の
いずれか1項に記載のインク。
【0013】(5) 前記インクの粘度が3.5〜6.
0mPa・sであることを特徴とする(1)〜(4)の
いずれか1項に記載のインク。
【0014】(6) 前記インクに含有される色材がブ
ラック用の色材であることを特徴とする(5)に記載の
インク。
【0015】(7) (1)〜(5)のいずれか1項に
記載のインクを少なくとも4つ有するインクセットであ
って、前記4つのインクが、色材として、C.I.ピグ
メントイエロー128を含有するインク、色材として、
C.I.ピグメントレッド122を含有するインク、色
材として、C.I.ピグメントブルー15:3を含有す
るインク、色材としてカーボンブラックを含有するイン
ク、であることを特徴とするインクセット。
【0016】(8) 複数のインクを吐出させ記録媒体
上に前記インクのインク滴を付着させて画像を形成する
インクジェット記録方法において、前記複数のインクの
うち2つ以上のインクがそれぞれ異なる色の色材を含有
し、かつ、(1)〜(6)のいずれか1項に記載のイン
クであり、前記画像の形成のため前記記録媒体上に前記
異なる色の色材を含有するインクを重ねる点を形成する
際に、該点のうち少なくとも1つは、前記記録媒体に先
に付着させたインク滴が完全に吸収される前に次のイン
ク滴を付着させる工程を少なくとも1つ用いて形成され
ることを特徴とするインクジェット記録方法。
【0017】(9) 複数のインクを吐出させ記録媒体
上に前記インクのインク滴を付着させて画像を形成する
インクジェット記録方法において、前記複数のインクが
(7)に記載のインクセットであり、前記画像の形成の
ため前記記録媒体上に前記異なる色の色材を含有するイ
ンクを重ねる点を形成する際に、該点のうち少なくとも
1つは、前記記録媒体に先に付着させたインク滴が完全
に吸収される前に次のインク滴を付着させる工程を少な
くとも1つ用いて形成されることを特徴とするインクジ
ェット記録方法。
【0018】(10) 前記記録媒体に先に付着させた
インク滴が50〜80体積%吸収されてから次のインク
滴を付着させることを特徴とする(8)又は(9)に記
載のインクジェット記録方法。
【0019】(11) 前記インクを吐出するインクジ
ェットプリンタの駆動周波数が15kHz以上であるこ
とを特徴とする(8)〜(10)のいずれか1項に記載
のインクジェット記録方法。
【0020】(12) 前記インク滴が1〜15plで
あることを特徴とする(8)〜(11)のいずれか1項
に記載のインクジェット記録方法。
【0021】(13) 前記インクと前記記録媒体のブ
リストー法による接触時間0.25秒でのインク吸収量
が10ml/m2以上であることを特徴とする(8)〜
(12)のいずれか1項に記載のインクジェット記録方
法。
【0022】(14) 前記記録媒体がインク吸収層を
有し、該インク吸収層にカチオン性ポリマーを含有する
ことを特徴とする(8)〜(13)のいずれか1項に記
載のインクジェット記録方法。
【0023】以下に本発明を詳細に説明する。本発明の
インクは、境界にじみが発生しにくいという効果を有す
る。このメカニズムは明らかではないが、本発明のイン
クが吐出されて記録媒体上に存在する状態となると、記
録媒体中へのインク溶媒の吸収によるインク滴中の濃度
変化によりインク滴中でアルミニウムを中心とした色材
の静電的な結合による軽い凝集が発生するものと思われ
る。これにより、インク滴中の色材の広がりが抑えら
れ、境界にじみが発生しにくくなっているものと思われ
る。
【0024】本発明のインクは、このように境界にじみ
が発生しにくいインクであることから、このインクを用
いることで、インクジェット記録の高画質かつ高速化を
達成することができる。即ち、インクジェット記録方法
については、従来は、境界にじみを避けるため、先のイ
ンクが吐出され記録媒体上で完全に吸収されてから次の
インクを吐出していたのであるが、本発明のインクを用
いることにより境界にじみの課題が無くなることから先
のインクが吐出され、記録媒体上で完全に吸収されない
うちに次のインクを吐出することが可能となる。従っ
て、高画質でありかつ高速印字を行うことができるイン
クジェット記録方法を提供することができる。
【0025】本発明のインクは、アルミニウムの含有量
が10ppb〜30ppmであるが、アルミニウム化合
物をインクに添加してアルミニウムの含有量を10pp
b〜30ppmに調整することができる。
【0026】アルミニウム化合物としては、例えば、ア
ルミニウムカチオンポリマーである塩基性ポリ水酸化ア
ルミニウム化合物(商品名Paho♯2S、Paho♯
3S(浅田化学製))、ポリ塩化アルミニウム(商品名
PAC(多木化学製))、塩化アルミニウム、塩化アル
ミニウム水和物、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウム
水和物、硫酸アルミニウムアンモニウム水和物、硫酸ア
ルミニウムカリウム水和物、硫酸アルミニウムナトリウ
ム水和物、硫酸アンモニウムアルミニウム水和物、硫酸
カリウムアルミニウム水和物、硫酸ナトリウムアルミニ
ウム水和物、酢酸アルミニウム水和物、硝酸アルミニウ
ム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム等が挙
げられる。
【0027】インク中のアルミニウムの含有量は、イン
クを超純水で希釈してから、市販のICP質量分析装置
で測定することで求めることができる。
【0028】アルミニウムの含有量が多くなりすぎる
と、インク中で凝集する場合があり、インクヘッドの目
詰まりを起こす可能性があるので注意する必要がある。
【0029】本発明のインクは、アルミニウムの含有量
が300ppb〜10ppmであることが好ましく、1
ppm〜10ppmであることが更に好ましい。この範
囲とすることで、境界にじみをより一層抑えることがで
きる。
【0030】本発明のインクは、さらに、水、インク溶
剤、及び色材を含有する。本発明に使用できるインク溶
剤としては水溶性の有機溶媒が好ましく、具体的にはア
ルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパ
ノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノー
ル、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノー
ル、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノー
ル、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類(例え
ば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリ
エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピ
レングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピ
レングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオー
ル、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオー
ル、チオジグリコール等)、多価アルコールエーテル類
(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エ
チレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコ
ールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェ
ニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテ
ル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチ
レングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコ
ールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチ
ルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテ
ル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテー
ト、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリ
エチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレン
グリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコー
ルジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロ
ピルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエー
テル等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエ
タノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジ
エタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モ
ルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、
ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラ
エチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチ
ルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジア
ミン等)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−
ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド
等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル
−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリド
ン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミ
ダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチル
スルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン
等)、スルホン酸塩類(例えば1−ブタンスルホン酸ナ
トリウム塩等)、尿素、アセトニトリル、アセトン等が
挙げられる。
【0031】ここでインク溶剤として、下記一般式
(1)で表される化合物を用いることが更に好ましい。
【0032】一般式(1) A−B 式中、Aは親水性置換基を含む基を表し、Bは疎水性基
を表す。
【0033】ここでAで表される親水性置換基としては
ヒドロキシ基、カルボキシル基、スルホキシド基、スル
ホン基、スルホン酸基、2−ケト−1−ピロリジニル基
等が挙げられる。中でもヒドロキシ基が好ましい。
【0034】Bは疎水性基を表し、好ましくは炭素原子
数3〜10の脂肪族或いは芳香族炭化水素基である。更
にBは炭素原子数4〜8の脂肪族基であることが好まし
い。
【0035】この一般式(1)で表される化合物は一般
的な界面活性剤と類似の構造を有しているが、界面活性
剤のような強力な界面活性作用を有さないことが好まし
い。一般的な界面活性剤は水溶液中で、低濃度でミセル
を形成する特徴を示す。上記一般式(1)で表される化
合物は、このようなミセル形成能力を有していないこと
が好ましい。これは強い界面活性作用を有する場合、分
子間の相互作用が強いため、1%を超え濃度が上昇する
と、インクの粘度を著しく増加させてしまう欠点がある
ためである。
【0036】上記一般式(1)で表される化合物のう
ち、好ましい例としては多価アルコールエーテル誘導体
及び炭素原子数4〜8の脂肪族1,2−ジオールが挙げ
られ、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチル
セロソルブ)、ジエチレングリコールモノブチルエーテ
ル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチ
レングリコールモノフェニルエーテル、1,2−ヘキサ
ンジオール、或いは1,2−ペンタンジオールから選ば
れる化合物であることがより好ましい。更に好ましくは
トリエチレングリコールモノブチルエーテル或いは1,
2−ヘキサンジオールである。
【0037】本発明において用いられるインク溶剤で
は、上記一般式(1)で表される化合物を、該インク溶
剤の5〜50%以上用いることが諸性能を向上させるた
め好ましい。ここで言う諸性能とは、例えばデキャップ
耐性(出力中にヘッド表面でインク溶媒が蒸発してしま
い、インク吐出速度が変動してしまう現象に対する耐
性)、ドット径(記録媒体表面での、記録ドットの直
径)、境界滲み等が挙げられる。
【0038】本発明において用いられるインク溶剤は、
上記一般式(1)で表される化合物を、インク溶剤の5
〜50%以上を用いることがデキャップ耐性やドット径
を拡大させて画質を向上させるため好ましい。インク溶
剤量を増加すればデキャップ耐性を向上することがで
き、インク溶剤のインク中における構成比率を45%よ
りも大きくすることで実用上の問題を減少することがで
きる。ただしドット径を拡大させて画質を向上させるた
めには、一般式(1)で表されるインク溶剤を含有させ
ることが好ましい。これらのインク溶剤は単独で用いて
も、又併用して用いても良い。
【0039】本発明において使用できる色材としては、
水溶性染料、分散染料、油性染料及び顔料が挙げられ、
特に顔料が好ましい。
【0040】本発明で用いることのできる水溶性染料と
しては、例えば、アゾ染料、メチン染料、アゾメチン染
料、キサンテン染料、キノン染料、フタロシアニン染
料、トリフェニルメタン染料、ジフェニルメタン染料等
を挙げることができ、その具体的化合物を以下に示す。
ただし、これら例示した化合物に限定されるものではな
い。
【0041】〔C.I.アシッドイエロー〕1、3、1
1、17、18、19、23、25、36、38、4
0、42、44、49、59、61、65、67、7
2、73、79、99、104、110、114、11
6、118、121、127、129、135、13
7、141、143、151、155、158、15
9、169、176、184、193、200、20
4、207、215、219、220、230、23
2、235、241、242、246 〔C.I.アシッドオレンジ〕3、7、8、10、1
9、24、51、56、67、74、80、86、8
7、88、89、94、95、107、108、11
6、122、127、140、142、144、14
9、152、156、162、166、168 〔C.I.アシッドレッド〕1、6、8、9、13、1
8、27、35、37、52、54、57、73、8
2、88、97、106、111、114、118、1
19、127、131、138、143、145、15
1、183、195、198、211、215、21
7、225、226、249、251、254、25
6、257、260、261、265、266、27
4、276、277、289、296、299、31
5、318、336、337、357、359、36
1、362、364、366、399、407、415 〔C.I.アシッドバイオレット〕17、19、21、
42、43、47、48、49、54、66、78、9
0、97、102、109、126 〔C.I.アシッドブルー〕1、7、9、15、23、
25、40、62、72、74、80、83、90、9
2、103、104、112、113、114、12
0、127、128、129、138、140、14
2、156、158、171、182、185、19
3、199、201、203、204、205、20
7、209、220、221、224、225、22
9、230、239、249、258、260、26
4、278、279、280、284、290、29
6、298、300、317、324、333、33
5、338、342、350 〔C.I.アシッドグリーン〕9、12、16、19、
20、25、27、28、40、43、56、73、8
1、84、104、108、109 〔C.I.アシッドブラウン〕2、4、13、14、1
9、28、44、123、224、226、227、2
48、282、283、289、294、297、29
8、301、355、357、413 〔C.I.アシッドブラック〕1、2、3、24、2
6、31、50、52、58、60、63、107、1
09、112、119、132、140、155、17
2、187、188、194、207、222 〔C.I.ダイレクトイエロー〕8、9、10、11、
12、22、27、28、39、44、50、58、7
9、86、87、98、105、106、130、13
2、137、142、147、153 〔C.I.ダイレクトオレンジ〕6、26、27、3
4、39、40、46、102、105、107、11
8 〔C.I.ダイレクトレッド〕2、4、9、23、2
4、31、54、62、69、79、80、81、8
3、84、89、95、212、224、225、22
6、227、239、242、243、254 〔C.I.ダイレクトバイオレット〕9、35、51、
66、94、95 〔C.I.ダイレクトブルー〕1、15、71、76、
77、78、80、86、87、90、98、106、
108、160、168、189、192、193、1
99、200、201、202、203、218、22
5、229、237、244、248、251、27
0、273、274、290、291 〔C.I.ダイレクトグリーン〕26、28、59、8
0、85 〔C.I.ダイレクトブラウン〕44、106、11
5、195、209、210、222、223 〔C.I.ダイレクトブラック〕17、19、22、3
2、51、62、108、112、113、117、1
18、132、146、154、159、169 〔C.I.ベイシックイエロー〕1、2、11、13、
15、19、21、28、29、32、36、40、4
1、45、51、63、67、70、73、91 〔C.I.ベイシックオレンジ〕2、21、22 〔C.I.ベイシックレッド〕1、2、12、13、1
4、15、18、23、24、27、29、35、3
6、39、46、51、52、69、70、73、8
2、109 〔C.I.ベイシックバイオレット〕1、3、7、1
0、11、15、16、21、27、39 〔C.I.ベイシックブルー〕1、3、7、9、21、
22、26、41、45、47、52、54、65、6
9、75、77、92、100、105、117、12
4、129、147、151 〔C.I.ベイシックグリーン〕1、4 〔C.I.ベイシックブラウン〕1 〔C.I.リアクティブイエロー〕2、3、7、15、
17、18、22、23、24、25、27、37、3
9、42、57、69、76、81、84、85、8
6、87、92、95、102、105、111、12
5、135、136、137、142、143、14
5、151、160、161、165、167、16
8、175、176 〔C.I.リアクティブオレンジ〕1、4、5、7、1
1、12、13、15、16、20、30、35、5
6、64、67、69、70、72、74、82、8
4、86、87、91、92、93、95、107 〔C.I.リアクティブレッド〕2、3、5、8、1
1、21、22、23、24、28、29、31、3
3、35、43、45、49、55、56、58、6
5、66、78、83、84、106、111、11
2、113、114、116、120、123、12
4、128、130、136、141、147、15
8、159、171、174、180、183、18
4、187、190、193、194、195、19
8、218、220、222、223、228、235 〔C.I.リアクティブバイオレット〕1、2、4、
5、6、22、23、33、36、38 〔C.I.リアクティブブルー〕2、3、4、5、7、
13、14、15、19、21、25、27、28、2
9、38、39、41、49、50、52、63、6
9、71、72、77、79、89、104、109、
112、113、114、116、119、120、1
22、137、140、143、147、160、16
1、162、163、168、171、176、18
2、184、191、194、195、198、20
3、204、207、209、211、214、22
0、221、222、231、235、236 〔C.I.リアクティブグリーン〕8、12、15、1
9、21 〔C.I.リアクティブブラウン〕2、7、9、10、
11、17、18、19、21、23、31、37、4
3、46 〔C.I.リアクティブブラック〕5、8、13、1
4、31、34、39 等が挙げられ、これら上記に列挙した染料は、「染色ノ
ート第21版」(出版;色染社)等に記載されている。
【0042】これら水溶性染料のなかでもフタロシアニ
ン染料が好ましい。フタロシアニン染料としては、無置
換あるいは中心元素を有するものが挙げられ、中心元素
としては金属、非金属のものが挙げられ、好ましくは銅
であり、より好ましくはC.I.ダイレクトブルー19
9が挙げられる。
【0043】上記分散染料として、特に好ましい具体例
を以下に示す。特に好ましい具体例としては、C.I.
ディスパーズイエロー5、42、54、64、79、8
2、83、93、99、100、119、122、12
4、126、160、184:1、186、198、1
99、204、224及び237;C.I.ディスパー
ズオレンジ13、29、31:1、33、49、54、
55、66、73、118、119及び163;C.
I.ディスパーズレッド54、60、72、73、8
6、88、91、92、93、111、126、12
7、134、135、143、145、152、15
3、154、159、164、167:1、177、1
81、204、206、207、221、239、24
0、258、277、278、283、311、32
3、343、348、356及び362;C.I.ディ
スパーズバイオレッド33;C.I.ディスパーズブル
ー56、60、73、87、113、128、143、
148、154、158、165、165:1、16
5:2、176、183、185、197、198、2
01、214、224、225、257、266、26
7、287、354、358、365及び368;並び
にC.I.ディスパーズグリーン6:1及び9等が挙げ
られる。一方、上記油性染料としては、以下に限定され
るものではないが、特に好ましい具体例としては、例え
ば、C.I.ソルベント・ブラック3、7、27、29
及び34;C.I.ソルベント・イエロー14、16、
19、29、56及び82;C.I.ソルベント・レッ
ド1、3、8、18、24、27、43、51、72、
73、132及び218;C.I.ソルベント・バイオ
レット3;C.I.ソルベント・ブルー2、11及び7
0;C.I.ソルベント・グリーン3及び7;並びに
C.I.ソルベント・オレンジ2等が挙げられる。
【0044】本発明に使用できる顔料としては、従来公
知の有機及び無機顔料が使用できる。例えばアゾレー
キ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料
等のアゾ顔料や、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペ
リレン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、
ジオキサンジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリ
ノン顔料、キノフタロニ顔料等の多環式顔料や、塩基性
染料型レーキ、酸性染料型レーキ等の染料レーキや、ニ
トロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光
顔料等の有機顔料、カーボンブラック等の無機顔料が挙
げられる。
【0045】具体的な有機顔料を以下に例示する。マゼ
ンタ又はレッド用の顔料としては、C.I.ピグメント
レッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグ
メントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.
I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド1
5、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメン
トレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:
1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグ
メントレッド122、C.I.ピグメントレッド12
3、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメ
ントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、
C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメント
レッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.
I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
【0046】オレンジ又はイエロー用の顔料としては、
C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメント
オレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.
I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエ
ロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.
ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー
74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグ
メントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー12
8、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げられ
る。
【0047】グリーン又はシアン用の顔料としては、
C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブ
ルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、
C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブ
ルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられ
る。
【0048】ブラック用の顔料としては、カーボンブラ
ック(C.I.Pigment Black 7、ケッ
チェンブラックEC、デンカブラックHS−100、ア
セチレンブラック等)がある。
【0049】水性インクに用いられる顔料の含有量は、
インク全質量に対して1〜10質量%であるのが好まし
い。
【0050】本発明のインクは、好ましくは一色以上
で、少なくとも二つの濃度の異なる同色水性インクから
構成されるインクジェット画像記録液セットとして用い
ることが望ましい。二色以上において、少なくとも二つ
の濃度の異なる同色水性インクから構成される水性イン
クセットとして用いることがより好ましく、三色以上に
おいて少なくとも二つの濃度の異なる同色水性インクか
ら構成されるインクセットとして用いることが更に好ま
しい。これにより、本発明のインクを用いて形成された
インクジェット画像の境界にじみをより抑えることがで
きる。これは低濃度の水性インクを用いることで、粒状
感を減少させ、いわゆる「ざらつき」のない高画質画像
を形成することが可能となるからである。
【0051】しかし、このように濃色と淡色のインクを
併用することにより、インク付着量が多くなり、境界滲
みが生じやすくなる。
【0052】ここで人間の視感度の高いマゼンタインク
或いはシアンインクにおいて濃度の異なる少なくとも二
つの水性インクを用いることが好ましい。
【0053】この濃度が異なる水性インクセットの濃度
比は任意な値として良いが、滑らかな階調再現を行うた
めには、高濃度インクと低濃度インクとの比[(低濃度
インクの濃度)/(高濃度インクの濃度)]は、0.1
〜1.0の間にあることが好ましく、0.2〜0.5の
間にあることが更に好ましく、0.25〜0.4の間に
あることが特に好ましい。
【0054】また、本発明のインクセットは、少なくと
もイエローインク、マゼンタインク、シアンインク、ブ
ラックインクが本発明のインクで構成され、これらのイ
ンクは色材として、C.I.ピグメントイエロー128
を含有するインク、色材として、C.I.ピグメントレ
ッド122を含有するインク、色材として、C.I.ピ
グメントブルー15:3を含有するインク、色材として
カーボンブラックを含有するインクであるが、このイン
クセットを用いて形成されたインクジェット画像は境界
滲みを特に抑えることができる。
【0055】本発明においては必要に応じて顔料分散剤
を使用してもよく、使用できる顔料分散剤としては、例
えば高級脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエステル
硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、ナ
フタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシ
アルキレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシアル
キレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン
ポリオキシプロピレングリコール、グリセリンエステ
ル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸ア
ミド、アミンオキシド等の活性剤、或いはスチレン、ス
チレン誘導体、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸、
アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イ
タコン酸、イタコン酸誘導体、フマル酸、フマル酸誘導
体から選ばれた2種以上の単量体からなるブロック共重
合体、ランダム共重合体及びこれらの塩を挙げることが
できる。
【0056】顔料の分散方法としては、ボールミル、サ
ンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘ
ンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザ
ー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカ
ー等各種を用いることができる。
【0057】前記顔料と顔料分散剤を用い、前記分散方
法によって得られた顔料分散体の粗粒分を除去する目的
で遠心分離装置を使用することも、フィルターを使用す
ることも好ましく用いられる。
【0058】水性インクに使用する顔料分散体の平均粒
径は10〜200nmであることが好ましく、10〜1
50nmがより好ましく、10〜100nmが更に好ま
しい。顔料分散体の平均粒径が200nm以下であると
光沢メディアに記録した画像の光沢感が増し、トランス
ペアレンシーメディアに記録した画像では顕著に透明感
がでる。又、顔料分散体の平均粒径が10nm以上とす
ると顔料分散体の安定性がよくなり、インクの保存安定
性が向上する。
【0059】顔料分散体の粒径測定は、光散乱法、電気
泳動法、レーザードップラー法等を用いた市販の粒径測
定機器により求めることが出来る。又、透過型電子顕微
鏡による粒子像撮影を少なくとも100粒子以上に対し
て行い、この像をImage−Pro(メディアサイバ
ネティクス製)等の画像解析ソフトを用いて統計的処理
を行うことによっても求めることが可能である。
【0060】本発明のインクは、粘度が3.5〜6.0
mPa・sであることが好ましい。粘度をこの範囲とす
ることで境界にじみの発生をより抑え高画質な画像を形
成することができる。
【0061】インクの粘度の測定は、市販の粘度測定器
を用いて測定することができる。本発明のインクは、ラ
テックスを含有しても良い。本発明におけるラテックス
とは媒質中に分散状態にあるポリマー粒子のことを指
す。ポリマーの種類の例としてはスチレン−ブタジエン
共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエ
ン共重合体、アクリル酸エステル共重合体、ポリウレタ
ン、シリコン−アクリル共重合体及びアクリル変性フッ
素樹脂等があるが、中でもアクリル酸エステル、ポリウ
レタン及びシリコン−アクリル共重合体が好ましい。
【0062】ラテックスの製造に用いられる乳化剤とし
ては低分子量の界面活性剤が用いられるのが一般的であ
るが、中では高分子量の界面活性剤(例えば可溶化基が
ポリマーにグラフト結合しているタイプや可溶化基を持
つ部分と不溶性の部分を連結させたブロックポリマーの
タイプ等がある)を乳化剤として用いたり、或いは可溶
化基をラテックスの中心ポリマーに直接結合させること
により乳化剤を用いずに分散されているラテックスも存
在する。この乳化剤に高分子量の界面活性剤を用いるラ
テックス及び乳化剤を使用しないラテックスはソープフ
リーラテックスと呼ばれている。本発明に使用するラテ
ックスとしては乳化剤の種類、形態を問わないが、イン
クの保存安定性に優れるソープフリーラテックスを用い
ることがより好ましい。
【0063】又、最近は中心ポリマーが均一であるラテ
ックス以外にポリマー粒子の中心部と外縁部で組成を異
にしたコア・シェルタイプのラテックスも存在するが、
このタイプのラテックスも好ましく用いることができ
る。
【0064】本発明におけるラテックスの平均粒径は1
50nm以下が好ましく、50nm以下がより好まし
い。
【0065】ラテックスの平均粒子径は光散乱法式やレ
ーザードップラー法式を用いた市販の測定装置を使用し
て簡便に計測することが可能である。
【0066】本発明におけるラテックスの固形分添加量
はインクの全質量に対して0.1〜10質量%であり、
0.3〜5質量%以下であることが特に好ましい。添加
量0.1質量%未満では耐水性に関して十分な効果を発
揮することが難しく、又10質量%を越えると経時でイ
ンク粘度の上昇や顔料分散粒径の増大が起こりやすいな
どインク保存性の点で問題が生じることが多い。
【0067】本発明におけるインクにはこの他に防腐
剤、防黴剤、粘度調整剤等を必要に応じて含有しても良
い。
【0068】本発明のインクジェット記録方法に用いら
れる記録媒体は、通常インクジェットの記録に用いられ
る記録媒体であれば何でもよいが、支持体上にインク吸
収層を有する記録媒体が好ましい。インク吸収層は、親
水性バインダーと微粒子を含有する水溶性塗布液を支持
体上に塗布し、空隙を有する層を形成したものであるこ
とが好ましい。
【0069】本発明で用いることのできる微粒子として
は、無機微粒子や有機微粒子を用いることができるが、
特には、高光沢で、かつ高発色濃度が得られ、更に微粒
子が容易に得やすいことから無機微粒子が好ましい。そ
のような無機微粒子としては、例えば、軽質炭酸カルシ
ウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリ
ン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、
二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸
亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、ケイソ
ウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質
シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアル
ミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、
ゼオライト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料等を
挙げることができる。上記無機微粒子は、1次粒子のま
ま用いても、また、2次凝集粒子を形成した状態で使用
することもできる。
【0070】本発明においては、記録媒体で高品位なプ
リントを得る観点から、無機微粒子として、アルミナ、
擬ベーマイト、コロイダルシリカもしくは気相法により
合成された微粒子シリカが好ましく、気相法で合成され
た微粒子シリカが、特に好ましい。この気相法で合成さ
れたシリカは、表面がAlで修飾されたものであっても
良い。表面がAlで修飾された気相法シリカのAl含有
率は、シリカに対して質量比で0.05〜5%のものが
好ましい。
【0071】上記無機微粒子の粒径は、いかなる粒径の
ものも用いることができるが、平均粒径が1μm以下で
あることが好ましい。1μmを越えると、光沢性や発色
性が低下しやすく、そのため、特には、0.2μm以下
が好ましく、0.1μm以下が最も好ましい。粒径の下
限は特に限定されないが、無機微粒子の製造上の観点か
ら、概ね0.003μm以上、特に0.005μm以上
が好ましい。
【0072】上記無機微粒子の平均粒径は、多孔質層の
断面や表面を電子顕微鏡で観察し、100個の任意の粒
子の粒径を求めて、その単純平均値(個数平均)として
求められる。ここで、個々の粒径は、その投影面積に等
しい円を仮定した時の直径で表したものである。
【0073】また、微粒子の分散度は、光沢性や発色性
の観点から0.5以下が好ましい。0.5を越えると光
沢やプリント時の発色性が低下しやすい。特に、0.3
以下が好ましい。ここで、微粒子の分散度とは、上記平
均粒径を求めるのと同様に電子顕微鏡でインク吸収層の
微粒子を観察し、その粒径に標準偏差を平均粒径で割っ
たものを示す。
【0074】上記微粒子は、1次粒子のままで、あるい
は2次粒子もしくはそれ以上の高次凝集粒子でインク吸
収層中に存在していても良いが、上記の平均粒径は、電
子顕微鏡で観察したときにインク吸収層中で独立の粒子
を形成しているものの粒径を言う。
【0075】上記微粒子の水溶性塗布液における含有量
は、5〜40質量%であり、特に7〜30質量%が好ま
しい。
【0076】インク吸収層に含有される親水性バインダ
ーとしては、特に制限はなく、従来公知の親水性バイン
ダーを用いることができ、例えば、ゼラチン、ポリビニ
ルピロリドン、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルア
ミド、ポリビニルアルコール等を用いることができる
が、ポリビニルアルコールが特に好ましい。
【0077】ポリビニルアルコールは、無機微粒子との
相互作用を有しており、無機微粒子に対する保持力が特
に高く、更に、吸湿性の湿度依存性が比較的小さなポリ
マーであり、塗布乾燥時の収縮応力が比較的小さいた
め、本発明の課題である塗布乾燥時のひび割れに対する
適性が優れる。本発明で好ましく用いられるポリビリル
アルコールとしては、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得
られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチ
オン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有
するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビ
ニルアルコールも含まれる。
【0078】酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビ
ニルアルコールは、平均重合度が300以上のものが好
ましく用いられ、特に平均重合度が1000〜5000
のものが好ましく用いられる。ケン化度は、70〜10
0%のものが好ましく、80〜99.5%のものが特に
好ましい。
【0079】カチオン変成ポリビニルアルコールとして
は、例えば、特開昭61−10483号に記載されてい
るような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基
を上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有す
るポリビニルアルコールであり、これらはカチオン性基
を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重
合体をケン化することにより得られる。
【0080】ポリビニルアルコールは、重合度や変性の
種類違いなどの2種類以上を併用することもできる。特
に、重合度が2000以上のポリビニルアルコールを使
用する場合には、予め、無機微粒子分散液に重合度が1
000以下のポリビニルアルコールを無機微粒子に対し
て0.05〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%
添加してから、重合度が2000以上のポリビニルアル
コールを添加すると、著しい増粘が無く好ましい。
【0081】インク吸収層の親水性バインダーに対する
微粒子の比率は、質量比で2〜20倍であることが好ま
しい。質量比が2倍未満である場合には、多孔質層の空
隙率が低下し、充分な空隙容量が得にくくなるだけでな
く、過剰の親水性バインダーがインクジェット記録時に
膨潤して空隙を塞ぎ、インク吸収速度を低下させる要因
となる。一方、この比率が20倍を越える場合には、イ
ンク吸収層を厚膜で塗布した際に、ひび割れが生じやす
くなり好ましくない。特に好ましい親水性バインダーに
対する微粒子の比率は、2.5〜12倍、最も好ましく
は3〜10倍である。
【0082】本発明で用いられる記録媒体はカチオン性
ポリマーを含有することが好ましい。これによりより境
界にじみを抑えることができる。
【0083】カチオン性ポリマーはインク吸収層に対し
て0.1〜10質量%含有するのが好ましくこの範囲に
することにより一段と滲みを抑えることができる。カチ
オン性ポリマーはインク吸収層に対して0.3〜3質量
%含有するのが特に好ましい。
【0084】カチオン性ポリマーの例としては、ポリエ
チレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、
ジシアンジアミドポリアルキレンポリアミン縮合物、ポ
リアルキレンポリアミンジシアンジアミドアンモニウム
塩縮合物、ジシアンジアミドホルマリン縮合物、エピク
ロルヒドリン・ジアルキルアミン付加重合物、ジアリル
ジメチルアンモニウムクロライド重合物、ジアリルジメ
チルアンモニウムクロライド・SO2共重合物、ポリビ
ニルイミダゾール、ビニルピロリドン・ビニルイミダゾ
ール共重合物、ポリビニルピリジン、ポリアミジン、キ
トサン、カチオン化澱粉、ビニルベンジルトリメチルア
ンモニウムクロライド重合物、(2−メタクロイルオキ
シエチル)トリメチルアンモニウムクロライド重合物、
ジメチルアミノエチルメタクリレート重合物、(メタ)
アクリル酸エチルトリメチルアンモニウムクロライドな
どが挙げられる。また、これらの共重合体も好ましく用
いられる。
【0085】カチオン性ポリマーとしては、第1級〜第
3級アミノ基および第4級アンモニウム塩基を有するも
のが好ましく用いられるが、経時での変色や耐光性の劣
化が少ないことから、第4級アンモニウム塩基を有する
カチオン性ポリマーが好ましい。
【0086】また、化学工業時報平成10年8月15,
25日に述べられるカチオン性ポリマー、三洋化成工業
株式会社発行「高分子薬剤入門」に述べられる高分子染
料固着剤が例として挙げられる。
【0087】インク吸収層を形成する水溶性塗布液中に
は、各種の添加剤を添加することができる。そのような
添加剤としては、例えば、架橋剤、界面活性剤(カチオ
ン、ノニオン、アニオン、両性)、白地色調調整剤、蛍
光増白剤、防黴剤、粘度調整剤、低沸点有機溶媒、高沸
点有機溶媒、ラテックスエマルジョン、退色防止剤、紫
外線吸収剤、多価金属化合物(水溶性もしくは非水溶
性)、マット剤、シリコンオイル等が挙げられるが、中
でもカチオン媒染剤は、印字後の耐水性や耐湿性を改良
するために好ましい。
【0088】架橋剤としては、従来公知の架橋剤を使用
することができ、無機系架橋剤(例えば、クロム化合
物、アルミニウム化合物、ジルコニウム化合物、ホウ酸
類など)や有機系架橋剤(例えば、エポキシ系架橋剤、
イソシアネート系架橋剤、アルデヒド系架橋剤、N−メ
チロール系架橋剤、アクリロイル系架橋剤、ビニルスル
ホン系架橋剤、活性ハロゲン系架橋剤、カルボジイミド
系架橋剤、エチレンイミノ系架橋剤等)等を使用するこ
とができる。
【0089】これらの架橋剤は、親水性バインダーに対
して、概ね1〜50質量%であり、好ましくは2〜40
質量%である。
【0090】親水性バインダーがポリビニルアルコール
類であり、微粒子がシリカである場合、架橋剤として
は、ホウ酸類やジルコニウム化合物などの無機系架橋剤
およびエポキシ系架橋剤が、特に好ましい。
【0091】特に好ましい態様として、ポリビニルアル
コールとシリカ微粒子を用いた場合には、ほう酸または
その塩を用いることにより、水溶性塗布液の温度を低下
させた際に、その粘度が大きく上昇し、塗膜面に強い風
を吹き付けても塗膜の乱れが大幅に抑制され、高速塗布
が容易になることから好ましい。ほう酸またはその塩と
しては、硼素原子を中心原子とする酸素酸およびその塩
のことを示し、具体的には、オルトほう酸、メタほう
酸、次ほう酸、四ほう酸、五ほう酸およびそれらの塩
(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩
など)が含まれる。
【0092】ホウ酸またはその塩の使用量は、塗布液の
無機微粒子やポリビニルアルコールの濃度、pH等によ
り広範に変わり得るが、ポリビニルアルコールに対して
概ね5〜60質量%、好ましくは10〜40質量%であ
る。
【0093】本発明のインクジェット記録方法に用いら
れる記録媒体に用いることができる支持体としては、吸
水性支持体(例えば、紙など)や非吸水性支持体を用い
ることができるが、より高品位なプリントが得られる観
点から、非吸水性支持体が好ましい。
【0094】好ましく用いられる非吸水性支持体として
は、例えば、ポリエステル系フィルム、ジアセテート系
フィルム、トリアテセート系フィルム、ポリオレフィン
系フィルム、アクリル系フィルム、ポリカーボネート系
フィルム、ポリ塩化ビニル系フィルム、ポリイミド系フ
ィルム、セロハン、セルロイド等の材料からなる透明ま
たは不透明のフィルム、あるいは基紙の両面をポリオレ
フィン樹脂被覆層で被覆した樹脂被覆紙、いわゆるRC
ペーパー等が用いられる。
【0095】上記支持体上に、前記の水溶性塗布液を塗
布するに当たっては、表面と塗布層との間の接着強度を
大きくする等の目的で、支持体にコロナ放電処理や下引
処理等を行うことが好ましい。さらに、本発明のインク
ジェット記録用紙は、必ずしも無色である必要はなく着
色された支持体であってもよい。
【0096】本発明で好ましく用いられ支持体は、透明
ポリエステルフィルム、不透明ポリエステルフィルム、
不透明ポリオレフィン樹脂フィルムおよび紙の両面をポ
リオレフィン樹脂でラミネートした紙支持体であるが、
特に好ましいのは、請求項5に係る発明であるポリオレ
フィン樹脂でラミネートした紙支持体であり、オーバー
コート液を少量塗布した場合には、実質的に乾燥を不要
とすることができる。
【0097】以下、最も好ましいポリオレフィンの代表
であるポリエチレンでラミネートした紙支持体について
説明する。
【0098】原紙表面および裏面を被覆するポリエチレ
ンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)また
は高密度のポリエチレン(HDPE)であるが、他のL
LDPEやポリプロピレン等も一部使用することができ
る。
【0099】また、塗布層側のポリエチレンに層は、写
真用印画紙で広く行われているようにルチルまたはアナ
ターゼ型の酸化チタンをポリエチレン中に添加し、不透
明度および白色度を改良したものが好ましい。酸化チタ
ン含有量は、ポリエチレンに対して、1〜20質量%、
好ましくは2〜15質量%である。
【0100】ポリエチレン被覆紙は、光沢紙として用い
ることも、また、ポリエチレンを原紙表面上に溶融押し
出してコーティングする際に、いわゆる型付け処理を行
って通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目
等の微粒面を形成したものも本発明で使用することがで
きる。
【0101】原紙の表裏のポリエチレンの使用量は、水
系塗布組成物の膜厚やバック層を設けた後で低湿および
高湿化でのカールを最適化するように選択されるが、本
発明に係る水系塗布組成物を塗布する側のポリエチレン
層としては20〜40μm、バック層側が10〜30μ
mの範囲であることが好ましい。
【0102】上記支持体のインク吸収層側には、インク
吸収層との接着性を改良する目的で、下引き層を設ける
ことが好ましい。下引き層のバインダーとしては、ゼラ
チンやポリビニルアルコール等の親水性ポリマーやTg
が−30〜60℃のラテックスポリマーなどが好まし
い。これらバインダーは、記録用紙1m2当たり0.0
01〜2gの範囲で用いられる。下引き層中には、帯電
防止の目的で、従来公知のカチオン性ポリマーなどの帯
電防止剤を少量含有させることができる。
【0103】上記支持体のインク吸収層側と反対側の面
には、滑り性や帯電特性を改善する目的でバック層を設
けることもできる。バック層のバインダーとしては、ゼ
ラチンやポリビニルアルコール等の親水性ポリマーやT
gが−30〜60℃のラテックスポリマーなどが好まし
く、またカチオン性ポリマーなどの帯電防止剤や各種の
界面活性剤、更には平均粒径が0.5〜20μm程度の
マット剤を添加することもできる。バック層の厚みは、
概ね0.1〜1μmであるが、バック層がカール防止の
ために設けられる場合には、概ね1〜20μmの範囲で
ある。また、バック層は2層以上から構成されていても
良い。
【0104】下引き層やバック層の塗設に当たっては、
支持体表面のコロナ処理やプラズマ処理などの表面処理
を併用することが好ましい。
【0105】本発明のインクジェット記録方法は、イン
クジェットプリンタから、次々とインクを吐出して記録
媒体上にインク滴を付着させて画像を形成する記録方法
である。画像を形成するために、記録媒体上に異なる色
の色材を含有するインクを重ねる点を形成することが必
要となる場合があるが、本発明のインクジェット記録方
法は、このとき記録媒体上に異なる色の色材を含有する
インクを重ねる点を形成するときのインク滴の付着させ
る時間間隔を従来よりも短くすることで画像形成の高速
化を達成しているのである。従来のインクジェット記録
方法は、記録媒体上に異なる色の色材を含有するインク
を重ねる点を形成する場合、先に着させたインク滴が完
全に記録媒体に吸収されるだけの時間の間隔をとってか
ら、先のインク滴が付着した点に次のインク滴を付着さ
せてインクを重ねた点を形成させていた。しかし本発明
においては、記録媒体に先に付着したインク滴が完全に
記録媒体に吸収される前に次のインク滴を先のインク滴
が付着した点に付着させることに特徴がある。この場
合、従来のインクを用いると先のインクが完全に吸収さ
れていない状態で次のインクが重なることから境界にじ
みが顕著に発生してしまうのであるが、本発明のインク
を用いることにより境界にじみの発生を抑えることがで
き、これにより、高速印刷、かつ高画質を達成すること
ができる。
【0106】本発明のインクジェット記録方法におい
て、「記録媒体上に異なる色の色材を含有するインクを
重ねる点を形成する」とは、イエローの色材を含有する
インク、マゼンタの色材を含有するインク、シアンの色
材を含有するインク、ブラックの色材を含有するインク
から選ばれる少なくとも2つのインクを記録媒体上で重
ねた部分を形成することをいう。記録媒体上に異なる色
材を含有するインクを重ねた点は、異なる色材を含有す
るインク同士が完全に一致して重なっておらず部分的に
重なっている様な場合であっても、インク同士が接触し
ているのであれば境界滲みを抑えるという本発明の効果
を得ることができるので含めることとする。
【0107】本発明において、記録媒体上に先に付着さ
せたインク滴が完全に吸収される前に次のインク滴を付
着させる工程を少なくとも1つ用いるとは、以下のよう
になる。
【0108】異なる色の色材を含有するインクを重ねる
点は、記録媒体上に異なる色の色材を含有するインク滴
を次々順番に付着させていくことでインクを重ねて形成
するのであるが、本発明のインクジェット記録方法は、
このときに記録媒体に付着させるインク滴の順番の中で
連続した順番の2つインク滴のうち、順番の前のものを
先のインク滴、順番の後のものを次のインク滴とし、こ
の先のインク滴が記録媒体に完全に吸収される前に次の
インク滴を付着させるという工程を異なる色の色材を含
有するインクを重ねる点を形成する際に少なくとも1つ
用いているものである。
【0109】例えば、色材の異なる3つのインクa、
b、cを重ねた点を形成する場合、記録媒体上に1番目
にインク滴a、2番目にインク滴b、3番目にインク滴
cを付着させてインクを重ねる点を形成するとすると、
1番目のインク滴aと2番目のインク滴bについては、
インク滴aが先のインク滴となり、インク滴bが次のイ
ンク滴となる。また、2番目のインク滴bと3番目のイ
ンク滴cについては、インク滴bが先のインク滴とな
り、インク滴cが次のインク滴となる。本発明のインク
ジェット記録方法は、インク滴aが完全に吸収される前
にインク滴bを付着させる工程を用いる、又は、インク
滴bが完全に吸収される前にインク滴cを付着させる工
程を用いる、又は、インク滴aが完全に吸収される前に
インク滴bを付着させる工程とインク滴bが完全に吸収
される前にインク滴cを付着させる工程を共に用いるの
いずれかということになる。
【0110】本発明のインクジェット記録方法は、記録
媒体上に異なる色材を含有するインクを重ねる点を形成
する際に、該点の少なくとも1つについて、記録媒体に
先に付着したインク滴が完全に吸収される前に次のイン
ク滴を付着させて形成させることで、印字の高速化を行
うことができるが、形成される画像のうちの中で異なる
色の色材を重ねる点のより多くがこの工程を用いること
が好ましく、最も好ましくは異なる色の色材を含有する
インクを重ねる点すべてにおいてこの工程を用いること
が好ましい。これにより、より一段と印字を高速化させ
ることができる。
【0111】さらに、異なる色の色材を含有するインク
を重ねる点の個々についても、印字をより高速化させる
ためにはこの工程をより多く用いることが好ましく、最
も好ましくは異なる色の色材を含有するインクを重ねて
いく工程すべてで先のインク滴が記録媒体に完全に吸収
される前に次のインク滴を付着させていくようにするこ
とである。
【0112】本発明のインクジェット記録方法は、先に
付着させたインクが記録媒体に完全に吸収される前に次
のインク滴を付着させる工程を有することで本発明の効
果を得ることができるが、先に付着させたインク滴が5
0〜80体積%吸収された後に、次のインク滴を付着さ
せることで、より一段と高速で画像形成することがで
き、かつ境界にじみの発生を一段と抑えることができ高
画質を維持することができるので好ましい。
【0113】本発明のインクジェット記録方法は、先に
付着させたインクが記録媒体に完全に吸収される前に次
のインク滴を付着させる工程を有するのであるが、この
ように記録媒体にインク滴を付着させていくための時間
を設定する場合には、インク滴が記録媒体に吸収された
体積と時間との関係を示したブリストー法で作成したブ
リストー吸収曲線を用いるのが好ましい。本発明のイン
クジェット記録方法に用いるインクと記録媒体のブリス
トー吸収曲線を作成し、このブリストー吸収曲線を用い
て、先のインク滴が記録媒体に完全に吸収される時間よ
り短い時間で次のインク滴を記録媒体に付着させるよう
にすることで先のインクが完全に吸収される前に次のイ
ンクを付着させるようにすることができる。
【0114】逆に、インクジェット記録方法に用いるイ
ンクと記録媒体のブリストー吸収曲線を用いることで、
インクジェット記録方法が先に付着させたインクが記録
媒体に完全に吸収される前に次のインク滴を付着させる
工程を有するどうかを、インク滴を付着させていく時間
間隔から確認することもできる。
【0115】本発明でいうブリストー法とは、短時間で
の紙及び板紙の液体吸収挙動を測定する方法であり、詳
しくは、J.TAPPI紙パルプ試験方法No.51−
87紙及び板紙の液体吸収性試験方法(ブリストー法)
に準じて測定される。
【0116】具体的な測定方法の一例を、以下に説明す
る。インク吸収量の測定法としては、記録媒体を25
℃、50%RHの雰囲気下で12時間以上放置した後、
例えば、熊谷理機工業株式会社製の液体動的吸収性試験
機であるBristow試験機II型(加圧式)を用いて
測定する。なお、上記の測定方法では、測定に純水(イ
オン交換水)が使用されているが、本発明においては、
測定に記録媒体に用いられるインクを用いる。
【0117】例として、それぞれ異なる色の色材を含有
する3つのインクa、b、cを用い、記録媒体上に1番
目にインク滴a、2番目にインク滴b、3番目にインク
滴cを重ねる点を形成するときに、インク滴aが100
1(0<r1<1)(体積%)吸収されてから、インク
滴bを付着させ、更にインク滴bが100r2(0<r2
<1)(体積%)吸収されてから、インク滴cを付着さ
せる場合の時間の求め方法を説明する。
【0118】まず記録媒体とインクa、b、cについ
て、ブリストー吸収曲線を予め作成する。画像形成に用
いるインクの違いでは、ブリストー吸収曲線の差は10
ml吸収する時間は±10%の範囲内程度とほとんど差
が無いので、一番はじめに記録媒体に付着させるインク
のブリストー吸収曲線を用いる。ここでは、記録媒体と
インクaのブリストー吸収曲線となりこのグラフを図1
に示す。
【0119】図1を用いて説明すると、インク滴aを記
録媒体にV1(ml)付着させ、インク滴aが100r1
(体積%)吸収されるのに要する時間t1は、記録媒体
にインク滴aがr11(ml)吸収されるのに要する時
間であるから、t1は図1の√t1より求めることがで
き、t1の時点でインク滴bを記録媒体にV2(ml)付
着させる。
【0120】記録媒体にインク滴aを付着させてからイ
ンク滴bが100r2(体積%)、即ちr22(ml)
吸収されるのに要する時間t2は、t1と、さらにt1
時点からインク滴aで吸収されずにいる(1−r1)V1
とV2の和の体積の100r2体積%、即ちr2{(1−
1)V1+V2}(ml)が記録媒体に吸収されるのに
要する時間を足したものである。従ってt2は図1の√
2より求めることができ、t2の時点でインク滴cを記
録媒体に付着させる。
【0121】更に、インク滴d、インク滴eと重ねてい
くような場合でも、ブリストー吸収曲線を用いて同様の
方法でインク滴を付着させていく時間を求めて設定する
ことができる。
【0122】本発明のインクジェット記録方法に用いら
れるインクと記録媒体は、該インクと記録媒体とで作成
したブリストー吸収曲線において接触時間0.25秒で
のインク吸収量が10ml/m2以上であることが好ま
しく、さらに好ましくは15ml/m2以上である。こ
のようなインクと記録媒体の組み合わせを用いること
で、より一段と高速で画像形成を行うことができる。
【0123】本発明のインクジェット画像形成方法で用
いることができるインクジェットプリンタのインクジェ
ットヘッドはオンデマンド方式でもコンティニュアス方
式でも構わないが、高速印字のため、15kHz以上の
駆動周波数を用いるオンデマンド方式が好ましく、本発
明によれば、このような高速駆動でも境界滲みが発生し
ない。
【0124】また、記録媒体に付着させるインク滴の液
適量は、1〜15plが好ましく、1〜7plが更に好
ましく、これにより一段と境界滲みの発生を抑えること
ができる。
【0125】
【実施例】以下、本発明の実施例を挙げて説明するが、
本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、
実施例中で「%」は、特に断りのない限り質量%を表
す。
【0126】《記録媒体の作製》 [記録媒体1の作製] 〔シリカ分散液D1、D2の調製〕予め均一に分散され
ている1次粒子の平均粒径が約0.012μmの気相法
シリカ(日本アエロジル社製:A200)を25%、水
溶性蛍光増白剤UVITEXNFW LIQUID(チ
バスペシャリティーケミカルズ社製)を0.3%含むシ
リカ分散液B1(pH=2.3、エタノール1質量%含
有)の400Lを、n−プロパノールを10%およびエ
タノールを2%含有する水溶液C1(pH=2.5、サ
ンノブコ社製の消泡剤SN381を2g含有)の110
Lに、室温で3000rpmで攪拌しながら添加した。
次いで、ホウ酸とほう砂の1:1質量比の混合水溶液A
1(各々3%の濃度)の54Lを攪拌しながら徐々に添
加した。
【0127】次いで、三和工業株式会社製の高圧ホモジ
ナイザーで、3000N/cm2の圧力で分散し、全量
を純水で630Lに仕上げて、ほぼ透明なシリカ分散液
D1を得た。
【0128】一方、上記シリカ分散液B1の400L
を、n−プロパノール10%およびエタノールを2%含
有する水溶液C2(pH=2.5)の120Lに、室温
で3000rpmで攪拌しながら添加し、次いで、上記
混合水溶液A1の52Lを攪拌しながら徐々に添加し
た。
【0129】次いで、三和工業株式会社製の高圧ホモジ
ナイザーで3000N/cm2の圧力で分散し、全量を
純水で630Lに仕上げて、ほぼ透明なシリカ分散液D
2を得た。
【0130】上記シリカ分散液D1、D2を、30μm
の濾過精度を有するアドバンテック東洋社製のTCP−
30タイプのフィルターを用いて濾過を行った。
【0131】〔オイル分散液の調製〕ジイソデシルフタ
レート20kgと酸化防止剤(AO−1)20kgとを
45kgの酢酸エチルに加熱溶解し、酸処理ゼラチン8
kg、サポニン10.5kgを含有するゼラチン水溶液
210Lと55℃で混合し、高圧ホモジナイザーで乳化
分散した後、全量を純水で300Lに仕上げて、オイル
分散液を調製した。
【0132】
【化1】
【0133】〔塗布液の調製〕上記調製した各分散液を
使用して、以下に記載の各添加剤を順次混合して、塗布
液を調製した。なお、各添加量は塗布液1L当たりの量
で表示した。
【0134】 (第1層用塗布液:最下層) シリカ分散液D1 580ml ポリビニルアルコール(クラレ社製:PVA203)10%水溶液 5ml ポリビニルアルコール(クラレ社製:PVA235) 6.5%水溶液 290ml オイル分散液 30ml ラテックス分散液(昭和高分子社製 AE803) 42ml エタノール 8.5ml 純水で全量を1000mlに仕上げる (第2層用塗布液) シリカ分散液D1 600ml ポリビニルアルコール(クラレ社製:PVA203)10%水溶液 5ml ポリビニルアルコール(クラレ社製:PVA235) 6.5%水溶液 270ml オイル分散液 20ml ラテックス分散液(昭和高分子社製:AE803) 22ml エタノール 8ml 純水で全量を1000mlに仕上げる (第3層用塗布液) シリカ分散液D2 630ml ポリビニルアルコール(クラレ社製:PVA203)10%水溶液 5ml ポリビニルアルコール(クラレ社製:PVA235) 6.5%水溶液 270ml オイル分散液 10ml ラテックス分散液(昭和高分子社製 AE803) 5ml エタノール 3ml 純水で全量を1000mlに仕上げる (第4層用塗布液:最上層) シリカ分散液D2 660ml ポリビニルアルコール(クラレ社製:PVA203)10%水溶液 5ml ポリビニルアルコール(クラレ社製:PVA235) 6.5%水溶液 250ml ベタイン型界面活性剤−1の4%水溶液 3ml サポニンの25%水溶液 2ml エタノール 3ml 純水で全量を1000mlに仕上げる
【0135】
【化2】
【0136】上記の様にして調製した各塗布液を、20
μmの濾過精度を持つアドバンテック東洋社製のTCP
D−30フィルターで濾過した後、TCPD−10フィ
ルターで濾過した。
【0137】〔記録媒体の塗布〕次に、上記の各塗布液
を下記に記載の湿潤膜厚となるよう、40℃で両面にポ
リエチレンを被覆した紙支持体上に、スライドホッパー
型コーターを用いて4層同時塗布した。
【0138】〈湿潤膜厚〉 第1層:42μm 第2層:39μm 第3層:44μm 第4層:38μm なお、上記紙支持体は、幅が約1.5m、長さが約40
00mのロール状に巻かれた下記の支持体を用いた。
【0139】使用した紙支持体は、含水率が8%で、坪
量が170gの写真用原紙表面を、アナターゼ型酸化チ
タンを6%含有するポリエチレンを厚さ35μmで押し
出し溶融塗布し、裏面には厚さ40μmのポリエチレン
を押し出し溶融塗布した。表面側は、コロナ放電した
後、ポリビニルアルコール(クラレ社製 PVA23
5)を記録媒体1m2当たり0.05gになるように下
引き層を塗布し、裏面側にはコロナ放電加工した後、T
gが約80℃のスチレン・アクリル酸エステル系ラテッ
クスバインダー約0.4g、帯電防止剤(カチオン性ポ
リマー)0.1gおよび約2μmのシリカ0.1gをマ
ット剤として含有するバック層を塗布した。
【0140】インク受容層用塗布液の塗布後の乾燥は、
5℃に保った冷却ゾーンを15秒間通過させて膜面の温
度を13℃にまで低下させたあと、複数設けた乾燥ゾー
ンの温度を適宜設定して乾燥を行った後、ロール状に巻
き取って比較の記録媒体1を得た。記録媒体1の中心線
平均表面粗さ(Ra値A)を後述の方法で測定した結
果、0.21μmであった。
【0141】[記録媒体2の作製]記録媒体1の作製方
法において、シリカ分散液D1の調製時の、水溶液C1
にカチオン性ポリマーP−1を12%含有させ、シリカ
分散液D2の調製時の、水溶液C2にカチオン性ポリマ
ーP−2を12%含有させ、オイル分散液の調製時のサ
ポニン10.5kgを含有するゼラチン水溶液にカチオ
ン性ポリマーP−1を2.9kg含有させる以外は、記
録媒体1の作製方法と同様にして記録媒体2を作製し
た。
【0142】
【化3】
【0143】 《インクの作製》 〔顔料インク1の調製〕 (顔料分散液の調製) 〈イエロー顔料分散体1の調製〉 C.I.ピグメントイエロー128 20質量% スチレン−アクリル酸共重合体(分子量10,000、酸価120) 12質量% ジエチレングリコール 15質量% イオン交換水 53質量% 上記各添加剤を混合し、0.3mmのガラスビーズを体
積率で60%充填した横型ビーズミルを用いて分散し、
イエロー顔料分散体1を得た。得られたイエロー顔料の
平均粒径は112nmであった。
【0144】 〈マゼンタ顔料分散体1の調製〉 C.I.ピグメントレッド122 25質量% ジョンクリル61(アクリル−スチレン系樹脂、ジョンソン社製) 固形分で18質量% ジエチレングリコール 15質量% イオン交換水 42質量% 上記各添加剤を混合し、0.3mmのガラスビーズを体
積率で60%充填した横型ビーズミルを用いて分散し、
マゼンタ顔料分散体1を得た。得られたマゼンタ顔料の
平均粒径は105nmであった。
【0145】 〈シアン顔料分散体1の調製〉 C.I.ピグメントブルー15:3 25質量% ジョンクリル61(アクリル−スチレン系樹脂、ジョンソン社製) 固形分として15質量% グリセリン 10質量% イオン交換水 50質量% 上記各添加剤を混合し、0.3mmのガラスビーズを体
積率で60%充填した横型ビーズミルを用いて分散し、
シアン顔料分散体1を得た。得られたシアン顔料の平均
粒径は87nmであった。
【0146】 〈ブラック顔料分散体1の調製〉 カーボンブラック 20質量% スチレン−アクリル酸共重合体(分子量7,000、酸価150) 10質量% グリセリン 10質量% イオン交換水 60質量% 上記各添加剤を混合し、0.3mmのガラスビーズを体
積率で60%充填した横型ビーズミルを用いて分散し、
ブラック顔料分散体1を得た。得られたブラック顔料の
平均粒径は75nmであった。
【0147】 〈顔料イエロー濃インク1の調製〉 イエロー顔料分散体1 15質量% エチレングリコール 10質量% ジエチレングリコール 10質量% トリエチレングリコールモノブチルエーテル 6質量% 界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社) 0.1質量% イオン交換水 58.9質量% 以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ
過し、本発明の水性顔料インクであるイエロー濃インク
1を調製した。該インク中の顔料の平均粒径は120n
mであり、表面張力γは36mN/mであった。
【0148】 〈顔料イエロー淡インク1の調製〉 イエロー顔料分散体1 3質量% エチレングリコール 15質量% ジエチレングリコール 10質量% トリエチレングリコールモノブチルエーテル 6質量% 界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社) 0.1質量% イオン交換水 65.9質量% 以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ
過し、本発明の水性顔料インクであるイエロー淡インク
1を調製した。該インク中の顔料の平均粒径は118n
mであり、表面張力γは37mN/mであった。
【0149】 〈顔料マゼンタ濃インク1の調製〉 マゼンタ顔料分散体1 15質量% エチレングリコール 10質量% ジエチレングリコール 10質量% トリエチレングリコールモノブチルエーテル 6質量% 界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社) 0.1質量% イオン交換水 58.9質量% 以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ
過し、本発明の水性顔料インクであるマゼンタ濃インク
1を調製した。該インク中の顔料の平均粒径は113n
mであり、表面張力γは35mN/mであった。
【0150】 〈顔料マゼンタ淡インク1の調製〉 マゼンタ顔料分散体1 3質量% エチレングリコール 15質量% ジエチレングリコール 10質量% トリエチレングリコールモノブチルエーテル 6質量% 界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社) 0.1質量% イオン交換水 65.9質量% 以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ
過し、本発明の水性顔料インクであるマゼンタ淡インク
1を調製した。該インク中の顔料の平均粒径は110n
mであり、表面張力γは37mN/mであった。
【0151】 〈顔料シアン濃インク1の調製〉 シアン顔料分散体1 10質量% エチレングリコール 10質量% ジエチレングリコール 10質量% トリエチレングリコールモノブチルエーテル 6質量% 界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社) 0.1質量% イオン交換水 63.9質量% 以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ
過し、本発明の水性顔料インクであるシアン濃インク1
を調製した。該インク中の顔料の平均粒径は95nmで
あり、表面張力γは36mN/mであった。
【0152】 〈顔料シアン淡インク1の調製〉 シアン顔料分散体1 2質量% エチレングリコール 15質量% ジエチレングリコール 10質量% トリエチレングリコールモノブチルエーテル 6質量% 界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社) 0.2質量% イオン交換水 66.8質量% 以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ
過し、本発明の水性顔料インクであるシアン淡インク1
を調製した。該インク中の顔料の平均粒径は92nmで
あり、表面張力γは33mN/mであった。
【0153】 〈顔料ブラック濃インク1の調製〉 ブラック顔料分散体1 10質量% エチレングリコール 10質量% ジエチレングリコール 10質量% トリエチレングリコールモノブチルエーテル 6質量% 界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社) 0.1質量% イオン交換水 63.9質量% 以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ
過し、本発明の水性顔料インクであるブラック濃インク
1を調製した。該インク中の顔料の平均粒径は85nm
であり、表面張力γは35mN/mであった。
【0154】 〈顔料ブラック淡インク1の調製〉 ブラック顔料分散体1 2質量% エチレングリコール 15質量% ジエチレングリコール 10質量% トリエチレングリコールモノブチルエーテル 6質量% 界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社) 0.1質量% イオン交換水 66.9質量% 以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ
過し、本発明の水性顔料インクであるブラック淡インク
1を調製した。該インク中の顔料の平均粒径は89nm
であり、表面張力γは36mN/mであった。
【0155】〔染料インク1の調製〕以下に記載の方法
に従って、染料インク1を調製した。
【0156】 〈染料イエローインク1〉 C.I.Acid Yellow23 3質量% ジエチレングリコール 15質量% ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 0.01質量% トリエチレングリコールモノブチルエーテル 6質量% 水で100質量%に仕上げる 〈染料マゼンタインク1〉 C.I.Direct Red227 3質量% ジエチレングリコール 19質量% ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 0.01質量% トリエチレングリコールモノブチルエーテル 6質量% 水で100質量%に仕上げる 〈染料シアンインク1〉 C.I.Direct Blue199 3質量% ジエチレングリコール 15質量% ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 0.01質量% トリエチレングリコールモノブチルエーテル 6質量% 水で100質量%に仕上げる 〈染料ブラックインク1〉 C.I.Food Black2 4質量% ジエチレングリコール 15質量% ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 0.01質量% トリエチレングリコールモノブチルエーテル 6質量% 水で100質量%に仕上げる 顔料インク1、染料インク1のアルミニウム含有量は、
各インク1gを超純水で希釈して100mlとし、IC
P質量分析装置(VGエレメンタル社製PQ−Ω)で質
量数27で測定して求め、すべてのインクのアルミニウ
ム含有量が5ppb未満であった。
【0157】さらに、顔料インク1、染料インク1の各
インクの粘度を山一電機社製のMODEL DD−1を
用いて25℃で測定したところ、すべてのインクが2.
5〜3.0mPa・sの範囲内であった。
【0158】〔顔料インク2〜5、染料インク2〜5の
調製〕顔料インク1の各インクすべてにおいて、インク
中のアルミニウム含有量が表1に示す値となるように各
インクにポリ水酸化アルミニウム(商品名Paho♯2
S(浅田化学製))を添加し、さらに、粘度が表1に示
す値の範囲内となるように、各インク中のエチレングリ
コールを調製して顔料インク2〜5を調製した。
【0159】染料インク1の各インクすべてにおいて、
インク中のアルミニウム含有量が表1に示す値となるよ
うに各インクにポリ水酸化アルミニウム(商品名Pah
o♯2S(浅田化学製))を添加し、さらに、粘度が表
1に示す値の範囲内となるように、エチレングリコール
を添加して染料インク2〜5を調製した。
【0160】尚、各インクのアルミニウム含有量、粘度
の確認には、顔料インク1、染料インク1のアルミニウ
ム含有量、粘度の測定で用いた装置を用いた。
【0161】
【表1】
【0162】〈画像記録試料1〜14の作製及び評価〉
顔料インク1〜5、染料インク1〜5及び記録媒体1、
2を用いて、表2に示す組み合わせで、下記に記載の方
法に則り画像出力し、画像記録試料1〜14を作製し
た。
【0163】インクジェット記録方法としては、図2,
3に示すノズル孔径20μm、駆動周波数30kHz、
インク滴6pl、1色当たりのノズル数128、同色間
のノズル密度180dpiであるピエゾ型ヘッドを搭載
し、最大記録密度720×720dpiのオンデマンド
型のインクジェットプリンタを使用して、画像を出力し
た。ここで出力画像は、青、緑、赤及び黒の濃度の傾斜
を有する連続階調のストライプ画像(幅10mm、長さ
100mm)をお互いに隣接して配置した画像データに
基づいてプリントした。なお、本発明で言うdpiと
は、2.54cm(1inch)当たりのドット数をい
う。
【0164】画像記録試料1〜6,8〜13のインクジ
ェット画像形成における異なる色の色材を含有するイン
クを重ねる点の形成では、付着させるインク滴は最後に
付着されるインク滴を除いては、90体積%が記録媒体
に吸収されてから次のインク滴を付着するように時間設
定した。この時間設定には一番はじめに記録媒体に付着
させるインクと記録媒体で作成したブリストー吸収曲線
を用いた。画像記録試料7,14については、先のイン
ク滴の70体積%が記録媒体に吸収されてから次のイン
ク滴を付着するように時間設定した。尚、ブリストー測
定には、Bristow試験機II型(熊谷理機工業株式
会社製)を用いた。ブリストー吸収曲線は、横軸にイン
クが付着してからの吸収時間(秒)の平方根、縦軸にイ
ンク吸収量(ml/m2)とした。20m秒未満は接線
を引いて補間した。
【0165】図2、3に示すピエゾ型ヘッドについて説
明する。図2はヘッドの一部破断面を有する概略斜視図
であり、図3はヘッドのインク室部分の一例を示す概略
断面図である。
【0166】圧電材であるチタン酸ジルコン酸鉛による
下部基板1bと上部基板1cを接着剤6により接着して
形成する。下部基板1bと上部基板1cは図2の矢印の
ように逆方向に分極している。上部基板と下部基板にま
たがって複数の細長い溝2を形成する。これにより複数
の平行な隔壁4と溝2が形成される。
【0167】複数溝の内面には蒸着により電極膜3を設
ける。溝2に電極膜3を取りつけてから基板1の上面の
一部を段加工して段部35を形成する。接着剤6により
隔壁4の上面に蓋8を接着し、隔壁4の端面に接着剤に
より封溝片25を取りつける。複数溝の内面に形成され
た電極膜3の表面にパリレン等の絶縁膜17をコーティ
ングし、絶縁膜17の表面を酸素プラズマ処理により親
水化処理する。この親水化処理により気泡がヘッド内に
残存しにくくなり吐出安定性が向上する。溝2の開口す
る端面にノズル孔11を有するノズル板10を同じ接着
剤6により接着して溝2の1つおきにインク室9を形成
する。ノズル孔は各インク室に対応して設けられ、すな
わち溝2に対応して1つおきに設けられている。蓋8の
上部には共通溝5が彫られ、各インク室に連通するため
の孔12が設けられる。溝2は1つおきにノズル孔11
と連通孔12をともに有する。蓋8の上部にはインク供
給孔15を有する上板14が共通溝5の上部を覆うよう
に接着剤6により接着される。
【0168】電極膜はそれぞれ蓋8の段部35に露出し
ている引出し配線7につながっている。
【0169】インク供給孔15よりインクを供給し、図
1、2の並列する溝2の1つおきに形成されたインク室
9にインクを満たす。両隣のダミー溝9′にはインクは
供給されない。
【0170】引き出し線7に電気信号を送り、インク室
2aの電極膜とその両側のダミー溝の電極膜の間にイン
ク室の電極膜の電位が高電位となるように駆動電圧をか
けるとインク室2aの両側の隔壁が内側に向けて変形
し、インク室が収縮してインクが小滴となって吐出す
る。続いてインク室電極膜を接地すると、変形がなくな
りインクがインク室に吸い込まれる。
【0171】画像記録試料1〜14の作製時に吐出状況
を下記分類にて観察した。 〈出射性評価〉 ◎:出射の乱れは発生しなかった ○:一部のノズルで出射方向の曲がりが派生したがノズ
ル詰まりは発生しなかった ×:一部のノズルで出射方向の曲がり及びノズル詰まり
が発生したさらに画像記録試料1〜14について、以下
の基準で境界にじみの評価を行った。 〈境界にじみ評価〉画質の濃度を20人の観察者により
以下のように分類評価してもらい、最も多かった分類の
ものを採用した。同数の場合は分類評価の平均とした。 5:どの境界でも滲みが見られない 4:いずれか1つのカラー部分と黒の中間調部分の境界
の一部で滲みが見られる3:黒とカラーの最大濃度の境
界部分でも滲みが見られる 2:カラー同士の境界の一部で滲みが見られる 1:全ての色の境界で滲みが見られる 結果を表2に示す。
【0172】
【表2】
【0173】表2の結果より、本発明のインクを用いて
形成した画像記録試料は、先のインク滴が記録媒体に吸
収されないうちに次のインク滴を吐出することで高速に
画像形成を行っても、境界にじみが発生しないことが分
かった。さらに出射安定性にも優れていることが分かっ
た。特に画像記録試料7,14のように、先に吐出した
インク滴の70体積%分しか記録媒体に吸収されていな
いような状態で次のインク滴を吐出させることで高速画
像形成を行った画像記録試料であっても境界にじみがほ
とんど発生しなかった。
【0174】
【発明の効果】本発明によって、高速印字、写真画質の
インクジェット記録を行うことができるように境界にじ
みの発生を抑えたインク、インクセット、及び、高速印
字、写真画質のインクジェット記録を行うことができる
インクジェット記録方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクaと記録媒体のブリストー吸収曲線を示
すグラフである。
【図2】本発明に用いることができるヘッドの一部破断
面を有する概略斜視図である。
【図3】本発明に用いることができるヘッドのインク室
部分の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 基板 2 溝 2a インク室 3 電極膜 6 接着剤 8 蓋 9 インク室 9′ ダミー溝 14 上板 15 インク供給孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉沢 友海 東京都日野市さくら町1番地コニカ株式会 社内 (72)発明者 岡 靖博 東京都日野市さくら町1番地コニカ株式会 社内 Fターム(参考) 2C056 EA05 EA11 EC07 EC37 EE09 FA04 FC02 FC06 HA05 2H086 BA03 BA04 BA15 BA34 BA37 BA55 BA59 BA60 BA61 4J039 BA07 BA32 BE01 BE12 CA06 EA15 EA16 EA17 EA19 EA24 EA42 EA46 EA47 EA48 GA24

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウムの含有量が10ppb〜3
    0ppmであるインク。
  2. 【請求項2】 アルミニウムの含有量が300ppb〜
    10ppmであるインク。
  3. 【請求項3】 前記インクが顔料インクであることを特
    徴とする請求項1又は2に記載のインク。
  4. 【請求項4】 前記顔料インクのゼータ電位が40〜7
    0mVであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか
    1項に記載のインク。
  5. 【請求項5】 前記インクの粘度が3.5〜6.0mP
    a・sであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか
    1項に記載のインク。
  6. 【請求項6】 前記インクに含有される色材がブラック
    用の色材であることを特徴とする請求項5に記載のイン
    ク。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5のいずれか1項に記載のイ
    ンクを少なくとも4つ有するインクセットであって、前
    記4つのインクが、色材として、C.I.ピグメントイ
    エロー128を含有するインク、色材として、C.I.
    ピグメントレッド122を含有するインク、色材とし
    て、C.I.ピグメントブルー15:3を含有するイン
    ク、色材としてカーボンブラックを含有するインク、で
    あることを特徴とするインクセット。
  8. 【請求項8】 複数のインクを吐出させ記録媒体上に前
    記インクのインク滴を付着させて画像を形成するインク
    ジェット記録方法において、前記複数のインクのうち2
    つ以上のインクがそれぞれ異なる色の色材を含有し、か
    つ、請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクであ
    り、前記画像の形成のため前記記録媒体上に前記異なる
    色の色材を含有するインクを重ねる点を形成する際に、
    該点のうち少なくとも1つは、前記記録媒体に先に付着
    させたインク滴が完全に吸収される前に次のインク滴を
    付着させる工程を少なくとも1つ用いて形成されること
    を特徴とするインクジェット記録方法。
  9. 【請求項9】 複数のインクを吐出させ記録媒体上に前
    記インクのインク滴を付着させて画像を形成するインク
    ジェット記録方法において、前記複数のインクが請求項
    7に記載のインクセットであり、前記画像の形成のため
    前記記録媒体上に前記異なる色の色材を含有するインク
    を重ねる点を形成する際に、該点のうち少なくとも1つ
    は、前記記録媒体に先に付着させたインク滴が完全に吸
    収される前に次のインク滴を付着させる工程を少なくと
    も1つ用いて形成されることを特徴とするインクジェッ
    ト記録方法。
  10. 【請求項10】 前記記録媒体に先に付着させたインク
    滴が50〜80体積%吸収されてから次のインク滴を付
    着させることを特徴とする請求項8又は9に記載のイン
    クジェット記録方法。
  11. 【請求項11】 前記インクを吐出するインクジェット
    プリンタの駆動周波数が15kHz以上であることを特
    徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載のインク
    ジェット記録方法。
  12. 【請求項12】 前記インク滴が1〜15plであるこ
    とを特徴とする請求項8〜11のいずれか1項に記載の
    インクジェット記録方法。
  13. 【請求項13】 前記インクと前記記録媒体のブリスト
    ー法による接触時間0.25秒でのインク吸収量が10
    ml/m2以上であることを特徴とする請求項8〜12
    のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  14. 【請求項14】 前記記録媒体がインク吸収層を有し、
    該インク吸収層にカチオン性ポリマーを含有することを
    特徴とする請求項8〜13のいずれか1項に記載のイン
    クジェット記録方法。
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