JP2003094493A - 樹脂歯車成形金型及び樹脂歯車成形品の成形方法 - Google Patents
樹脂歯車成形金型及び樹脂歯車成形品の成形方法Info
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- JP2003094493A JP2003094493A JP2001288780A JP2001288780A JP2003094493A JP 2003094493 A JP2003094493 A JP 2003094493A JP 2001288780 A JP2001288780 A JP 2001288780A JP 2001288780 A JP2001288780 A JP 2001288780A JP 2003094493 A JP2003094493 A JP 2003094493A
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- molding
- resin gear
- cavity
- temperature
- core
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- Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 外周面に転写部である歯部を有する樹脂歯車
成形品の非転写面部分に確実にひけを発生させ、高い転
写面精度が得られる樹脂歯車成形品の成形方法、並びに
該成形方法を可能にする樹脂歯車成形金型を提供する。 【解決手段】 ギヤ駒5を備えたコアプレート22と、
コア入れ子21とからなる第一の金型と、キャビティプ
レート32とキャビティ入れ子31とからなる第二の金
型とによって構成される樹脂歯車成形金型であって、該
樹脂歯車成形金型は、歯車のリム2内周面を形成する面
に隣接した位置に、選択的にひけを誘導するひけ誘導手
段10と、コアプレート22及びキャビティプレート3
2を単一制御する第一次温調手段8と、コア入れ子21
及びキャビティ入れ子31をそれぞれ局所的に個別制御
する第二次温調手段9とを備える樹脂歯車成形金型とす
る。
成形品の非転写面部分に確実にひけを発生させ、高い転
写面精度が得られる樹脂歯車成形品の成形方法、並びに
該成形方法を可能にする樹脂歯車成形金型を提供する。 【解決手段】 ギヤ駒5を備えたコアプレート22と、
コア入れ子21とからなる第一の金型と、キャビティプ
レート32とキャビティ入れ子31とからなる第二の金
型とによって構成される樹脂歯車成形金型であって、該
樹脂歯車成形金型は、歯車のリム2内周面を形成する面
に隣接した位置に、選択的にひけを誘導するひけ誘導手
段10と、コアプレート22及びキャビティプレート3
2を単一制御する第一次温調手段8と、コア入れ子21
及びキャビティ入れ子31をそれぞれ局所的に個別制御
する第二次温調手段9とを備える樹脂歯車成形金型とす
る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラスチック成形
品の成形方法及び樹脂歯車成形金型に関し、特に外周面
に歯部を有する高精度な樹脂歯車成形品を得る為の樹脂
歯車成形方法及びその樹脂歯車成形金型に関する。
品の成形方法及び樹脂歯車成形金型に関し、特に外周面
に歯部を有する高精度な樹脂歯車成形品を得る為の樹脂
歯車成形方法及びその樹脂歯車成形金型に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチック歯車等のプラスチック成形
部品は、金属歯車などに比べて、低騒音性、耐腐蝕性、
及び量産性に優れる他、軽量化などの種々の利点を有す
ることから、精密機械、例えば、複写機、カメラなどの
動力伝達部などに使用されるケースが増えている。
部品は、金属歯車などに比べて、低騒音性、耐腐蝕性、
及び量産性に優れる他、軽量化などの種々の利点を有す
ることから、精密機械、例えば、複写機、カメラなどの
動力伝達部などに使用されるケースが増えている。
【0003】ギヤ精度については、JISに検査規格が
あり、単一ピッチ誤差、隣接ピッチ誤差、累積ピッチ誤
差、歯溝の振れ、歯筋誤差、歯形誤差、の6項目が挙げ
られており、とりわけ、歯面の歯筋誤差は、精度が出し
にくく、その歯車の等級が歯筋誤差で決定されることが
多い。
あり、単一ピッチ誤差、隣接ピッチ誤差、累積ピッチ誤
差、歯溝の振れ、歯筋誤差、歯形誤差、の6項目が挙げ
られており、とりわけ、歯面の歯筋誤差は、精度が出し
にくく、その歯車の等級が歯筋誤差で決定されることが
多い。
【0004】歯筋誤差精度を向上させる成形方法として
は、リム部裏側にひけを誘導して歯面の中央にひけが生
じることを回避する手法が提案されている。しかしなが
ら、前記手法は、肉厚部である歯部中央においては、樹
脂の冷却が遅い為、非転写部へのひけ誘導による転写部
の面精度向上効果が得られ易いが、肉薄部分であるリム
の先端部においては、金型内での樹脂の冷却が速い為、
樹脂の冷却固化が速やかに進行し、単に非転写部にひけ
を誘導するだけでは歯面端部の面精度向上が図られ難
い。
は、リム部裏側にひけを誘導して歯面の中央にひけが生
じることを回避する手法が提案されている。しかしなが
ら、前記手法は、肉厚部である歯部中央においては、樹
脂の冷却が遅い為、非転写部へのひけ誘導による転写部
の面精度向上効果が得られ易いが、肉薄部分であるリム
の先端部においては、金型内での樹脂の冷却が速い為、
樹脂の冷却固化が速やかに進行し、単に非転写部にひけ
を誘導するだけでは歯面端部の面精度向上が図られ難
い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】すなわち、非転写部に
ひけを誘導することによって転写部の面精度を向上させ
るためには、転写面部分の樹脂が冷却固化する前に、非
転写面部分に確実にひけを発生させる必要がある。
ひけを誘導することによって転写部の面精度を向上させ
るためには、転写面部分の樹脂が冷却固化する前に、非
転写面部分に確実にひけを発生させる必要がある。
【0006】本発明は、上記問題の解消を目的とし、特
に外周面に転写部である歯部を有する樹脂歯車成形品の
非転写面部分に確実にひけを発生させ、高い転写面精度
が得られる樹脂歯車成形品の成形方法、並びに該成形方
法を可能にする樹脂歯車成形金型を提供することを課題
とするものである。
に外周面に転写部である歯部を有する樹脂歯車成形品の
非転写面部分に確実にひけを発生させ、高い転写面精度
が得られる樹脂歯車成形品の成形方法、並びに該成形方
法を可能にする樹脂歯車成形金型を提供することを課題
とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1に記載の発明は、ギヤ駒を備えたコアプレ
ートと、コア入れ子とからなる第一の金型と、キャビテ
ィプレートとキャビティ入れ子とからなる第二の金型と
によって構成される樹脂歯車成形金型であって、該樹脂
歯車成形金型は、歯車のリム内周面を形成する面に隣接
した位置に、選択的にひけを誘導するひけ誘導手段と、
コアプレート及びキャビティプレートを単一制御する第
一次温調手段と、コア入れ子及びキャビティ入れ子をそ
れぞれ局所的に個別制御する第二次温調手段とを備える
樹脂歯車成形金型とする。
に、請求項1に記載の発明は、ギヤ駒を備えたコアプレ
ートと、コア入れ子とからなる第一の金型と、キャビテ
ィプレートとキャビティ入れ子とからなる第二の金型と
によって構成される樹脂歯車成形金型であって、該樹脂
歯車成形金型は、歯車のリム内周面を形成する面に隣接
した位置に、選択的にひけを誘導するひけ誘導手段と、
コアプレート及びキャビティプレートを単一制御する第
一次温調手段と、コア入れ子及びキャビティ入れ子をそ
れぞれ局所的に個別制御する第二次温調手段とを備える
樹脂歯車成形金型とする。
【0008】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の樹脂歯車成形金型において、前記ひけ誘導手段は、樹
脂歯車成形金型外部に設けられた圧縮気体導入装置から
なる樹脂歯車成形金型とする。請求項3に記載の発明
は、請求項7又は8に記載の樹脂歯車成形金型におい
て、前記ひけ誘導手段は、コア入れ子及びキャビティ入
れ子の一部を被成形体の面から離隔させる手段を有する
樹脂歯車成形金型とする。
の樹脂歯車成形金型において、前記ひけ誘導手段は、樹
脂歯車成形金型外部に設けられた圧縮気体導入装置から
なる樹脂歯車成形金型とする。請求項3に記載の発明
は、請求項7又は8に記載の樹脂歯車成形金型におい
て、前記ひけ誘導手段は、コア入れ子及びキャビティ入
れ子の一部を被成形体の面から離隔させる手段を有する
樹脂歯車成形金型とする。
【0009】請求項4に記載の発明は、外周面に転写部
である歯部を備えた樹脂歯車成形品を成形する成形方法
において、コアプレート及びキャビティプレートを第一
次温調手段によって単一制御し、コア入れ子及びキャビ
ティ入れ子を第二次温調手段によってそれぞれ局所的に
個別制御し、かつ、前記第二次温調手段による温度制御
は、歯車のリム内周面先端側の温度が歯面中央内周面側
の温度よりも高くする制御とし、ひけ誘導手段によっ
て、歯車のリム内周面と隣接する面に選択的にひけを誘
導する樹脂歯車成形品の成形方法とする。
である歯部を備えた樹脂歯車成形品を成形する成形方法
において、コアプレート及びキャビティプレートを第一
次温調手段によって単一制御し、コア入れ子及びキャビ
ティ入れ子を第二次温調手段によってそれぞれ局所的に
個別制御し、かつ、前記第二次温調手段による温度制御
は、歯車のリム内周面先端側の温度が歯面中央内周面側
の温度よりも高くする制御とし、ひけ誘導手段によっ
て、歯車のリム内周面と隣接する面に選択的にひけを誘
導する樹脂歯車成形品の成形方法とする。
【0010】請求項5に記載の発明は、請求項4に記載
の樹脂歯車成形品の成形方法において、前記第二次温調
手段による温度制御は、射出充填開始時からひけ誘導終
了時迄実施し、その後、均一冷却する樹脂歯車成形品の
成形方法とする。請求項6に記載の発明は、請求項4又
は5に記載の樹脂歯車成形品の成形方法において、前記
第二次温調手段による温度制御は、コア入れ子側の設定
温度をキャビティ入れ子側の設定温度より相対的に高く
設定する樹脂歯車成形品の成形方法とする。
の樹脂歯車成形品の成形方法において、前記第二次温調
手段による温度制御は、射出充填開始時からひけ誘導終
了時迄実施し、その後、均一冷却する樹脂歯車成形品の
成形方法とする。請求項6に記載の発明は、請求項4又
は5に記載の樹脂歯車成形品の成形方法において、前記
第二次温調手段による温度制御は、コア入れ子側の設定
温度をキャビティ入れ子側の設定温度より相対的に高く
設定する樹脂歯車成形品の成形方法とする。
【0011】請求項7に記載の発明は、請求項4ないし
6のいずれかに記載の樹脂歯車成形品の成形方法におい
て、前記ひけ誘導手段による非転写部へのひけの誘導
は、樹脂歯車成形金型外部から圧縮気体を導入すること
により行う樹脂歯車成形品の成形方法とする。請求項8
に記載の発明は、請求項4ないし6のいずれかに記載の
樹脂歯車成形品の成形方法において、前記ひけ誘導手段
による非転写部へのひけの誘導は、コア入れ子及びキャ
ビティ入れ子の一部を被成形体面から離隔させることに
より行う樹脂歯車成形品の成形方法とする。
6のいずれかに記載の樹脂歯車成形品の成形方法におい
て、前記ひけ誘導手段による非転写部へのひけの誘導
は、樹脂歯車成形金型外部から圧縮気体を導入すること
により行う樹脂歯車成形品の成形方法とする。請求項8
に記載の発明は、請求項4ないし6のいずれかに記載の
樹脂歯車成形品の成形方法において、前記ひけ誘導手段
による非転写部へのひけの誘導は、コア入れ子及びキャ
ビティ入れ子の一部を被成形体面から離隔させることに
より行う樹脂歯車成形品の成形方法とする。
【0012】請求項9に記載の発明は、請求項4ないし
8のいずれかに記載の樹脂歯車成形品の成形方法におい
て、前記第一次温調手段の設定温度は、前記第二次温調
手段の設定温度より低くする樹脂歯車成形品の成形方法
とする。
8のいずれかに記載の樹脂歯車成形品の成形方法におい
て、前記第一次温調手段の設定温度は、前記第二次温調
手段の設定温度より低くする樹脂歯車成形品の成形方法
とする。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を図
面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態で
ある樹脂歯車成形金型の断面図である。本実施形態にお
ける樹脂歯車成形金型は、コア入れ子21及びコアプレ
ート22と、コアプレート22に固定された歯部を有す
るギヤ駒5と、コア入れ子21の中心部に嵌合するセン
ターコアピン33とからなる可動金型(第一の金型)
と、キャビティ入れ子31及びキャビティプレート32
からなる固定金型(第二の金型)とによって構成されて
いる。
面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態で
ある樹脂歯車成形金型の断面図である。本実施形態にお
ける樹脂歯車成形金型は、コア入れ子21及びコアプレ
ート22と、コアプレート22に固定された歯部を有す
るギヤ駒5と、コア入れ子21の中心部に嵌合するセン
ターコアピン33とからなる可動金型(第一の金型)
と、キャビティ入れ子31及びキャビティプレート32
からなる固定金型(第二の金型)とによって構成されて
いる。
【0014】本発明の樹脂歯車成形金型は、歯車のリム
内周面を形成する面に隣接した位置に、非転写部に選択
的にひけを誘導するひけ誘導手段10を備えている。図
1に示したのは、ひけ誘導手段10として、金型外部に
圧縮気体導入装置を設けた例である。また、図2は、ひ
け誘導手段の第二の実施形態を示す断面図である。ひけ
誘導手段としては、コア入れ子及びキャビティ入れ子の
一部を被成形体面から離隔させる手段であっても良い。
図2に示したのは、入れ子駒移動装置11を用いる例で
ある。上記いずれのひけ誘導手段も、簡単な金型構造及
び装置であって、非転写面に確実にひけを形成する手段
である。
内周面を形成する面に隣接した位置に、非転写部に選択
的にひけを誘導するひけ誘導手段10を備えている。図
1に示したのは、ひけ誘導手段10として、金型外部に
圧縮気体導入装置を設けた例である。また、図2は、ひ
け誘導手段の第二の実施形態を示す断面図である。ひけ
誘導手段としては、コア入れ子及びキャビティ入れ子の
一部を被成形体面から離隔させる手段であっても良い。
図2に示したのは、入れ子駒移動装置11を用いる例で
ある。上記いずれのひけ誘導手段も、簡単な金型構造及
び装置であって、非転写面に確実にひけを形成する手段
である。
【0015】更に、本発明の樹脂歯車成形金型は、コア
プレート22、キャビティプレート32の両プレートを
単一制御する第一次温調手段8と、コア入れ子21、キ
ャビティ入れ子31の両入れ子をそれぞれ局所的に個別
制御する第二次温調手段9とを備える。一般に、射出成
形金型のキャビティプレートとコアプレートは、型締
め、型開き時に両プレートに埋設されたガイドブッシュ
及びガイドピンにより、嵌合及び離脱を行うようになっ
ているため、両プレート間の温度差が大きくなると熱膨
張差のため嵌合部にかじりを生じ、成形不能となる。し
かしながら、本発明の樹脂歯車成形金型では、コアプレ
ート22、キャビティプレート32の両プレートに関し
ては、第一次温調手段8により、同温設定による単一制
御を行い、第二次温調手段9により、コア入れ子21、
キャビティ入れ子31の両入れ子に対しての局所的な個
別制御を行う為、かじりの発生がない安定した成形を実
施することができる。
プレート22、キャビティプレート32の両プレートを
単一制御する第一次温調手段8と、コア入れ子21、キ
ャビティ入れ子31の両入れ子をそれぞれ局所的に個別
制御する第二次温調手段9とを備える。一般に、射出成
形金型のキャビティプレートとコアプレートは、型締
め、型開き時に両プレートに埋設されたガイドブッシュ
及びガイドピンにより、嵌合及び離脱を行うようになっ
ているため、両プレート間の温度差が大きくなると熱膨
張差のため嵌合部にかじりを生じ、成形不能となる。し
かしながら、本発明の樹脂歯車成形金型では、コアプレ
ート22、キャビティプレート32の両プレートに関し
ては、第一次温調手段8により、同温設定による単一制
御を行い、第二次温調手段9により、コア入れ子21、
キャビティ入れ子31の両入れ子に対しての局所的な個
別制御を行う為、かじりの発生がない安定した成形を実
施することができる。
【0016】第一次温調手段8は、例えば、流路に温調
された液体又は気体を流す等により温調を行う手段であ
る。また、第二次温調手段9には、例えば、加熱ヒータ
ー等を用いることができる。両プレート、両入れ子に
は、各々に熱電対等の温度検出手段7が埋設されてお
り、この検出結果を基に、高精度且つ微細な温度制御が
可能な構成となっている。
された液体又は気体を流す等により温調を行う手段であ
る。また、第二次温調手段9には、例えば、加熱ヒータ
ー等を用いることができる。両プレート、両入れ子に
は、各々に熱電対等の温度検出手段7が埋設されてお
り、この検出結果を基に、高精度且つ微細な温度制御が
可能な構成となっている。
【0017】次に、本発明の樹脂歯車成形品の成形方法
について説明する。図3は、本発明の樹脂歯車成形金型
により製造される樹脂歯車の例である。この樹脂歯車
は、歯部1と、リム2と、ウェブ3及びボス4とで構成
され、ポリアセタール、ポリカーボネート等の熱可塑性
樹脂を射出成形することにより一体成形されるものであ
る。その精度に関しては、いかに歯部1の歯筋誤差の精
度向上を図るかが、高精度な樹脂歯車成形品を得るため
のポイントとなる。通常、肉厚となるリム2とウェブ3
との交点にあたる歯面中央内周面側に比べ、肉薄である
リム2の内周面の先端側は、金型内での樹脂の冷却が速
い為、樹脂の冷却固化が速やかに進行し、歯面端部の面
精度向上が図られ難い。
について説明する。図3は、本発明の樹脂歯車成形金型
により製造される樹脂歯車の例である。この樹脂歯車
は、歯部1と、リム2と、ウェブ3及びボス4とで構成
され、ポリアセタール、ポリカーボネート等の熱可塑性
樹脂を射出成形することにより一体成形されるものであ
る。その精度に関しては、いかに歯部1の歯筋誤差の精
度向上を図るかが、高精度な樹脂歯車成形品を得るため
のポイントとなる。通常、肉厚となるリム2とウェブ3
との交点にあたる歯面中央内周面側に比べ、肉薄である
リム2の内周面の先端側は、金型内での樹脂の冷却が速
い為、樹脂の冷却固化が速やかに進行し、歯面端部の面
精度向上が図られ難い。
【0018】そこで、本発明の樹脂歯車成形品の成形方
法では、第二次温調手段9により、リム2の内周面先端
側の温度が、歯面中央内周面側の温度よりも高くなるよ
うに制御しながら、リム2の内周面と隣接する面に選択
的にひけを誘導する。ひけの誘導手段は、図1に示した
圧縮気体導入装置10であっても、図2に示した入れ子
駒移動装置11であってもよい。ひけ誘導手段10又は
11の動作によって、リム2の内周面と隣接する面の温
度が低下し、選択的ひけを発生させる。一方、リム2の
内周面先端側の温度は、歯面中央内周面側の温度よりも
高くなるようにバランスをとって制御されているため、
冷却固化が速く進むこともなく、歯面端部に及ぶ面精度
の向上が得られる。これにより、歯筋誤差精度の良好な
樹脂歯車成形品を得ることができる。
法では、第二次温調手段9により、リム2の内周面先端
側の温度が、歯面中央内周面側の温度よりも高くなるよ
うに制御しながら、リム2の内周面と隣接する面に選択
的にひけを誘導する。ひけの誘導手段は、図1に示した
圧縮気体導入装置10であっても、図2に示した入れ子
駒移動装置11であってもよい。ひけ誘導手段10又は
11の動作によって、リム2の内周面と隣接する面の温
度が低下し、選択的ひけを発生させる。一方、リム2の
内周面先端側の温度は、歯面中央内周面側の温度よりも
高くなるようにバランスをとって制御されているため、
冷却固化が速く進むこともなく、歯面端部に及ぶ面精度
の向上が得られる。これにより、歯筋誤差精度の良好な
樹脂歯車成形品を得ることができる。
【0019】また、上記リム2の内周面先端側の温度を
歯面中央内周面側の温度よりも常に高くする温度制御
は、射出充填開始時からひけ誘導終了時迄実施し、その
後、均一冷却を図ることが好ましい。また、キャビティ
内の樹脂からの放熱量は、キャビティの形状によって異
なる為、温度検出手段7による検出結果を基に、可変さ
せながら温度制御を行うものとする。これにより、非転
写面部分に確実にひけを発生させると共に、ひけの誘導
に伴って生じる温度分布の不均一が解消される。その結
果、歯面中央のみならず、歯面端部の面精度をも向上さ
せることができる。具体的にはウェブ厚bが、リム厚a
に比して厚く、その割合がa<0.5bの関係にある高
剛性樹脂歯車成形品に対しても十分な効果を発揮する。
歯面中央内周面側の温度よりも常に高くする温度制御
は、射出充填開始時からひけ誘導終了時迄実施し、その
後、均一冷却を図ることが好ましい。また、キャビティ
内の樹脂からの放熱量は、キャビティの形状によって異
なる為、温度検出手段7による検出結果を基に、可変さ
せながら温度制御を行うものとする。これにより、非転
写面部分に確実にひけを発生させると共に、ひけの誘導
に伴って生じる温度分布の不均一が解消される。その結
果、歯面中央のみならず、歯面端部の面精度をも向上さ
せることができる。具体的にはウェブ厚bが、リム厚a
に比して厚く、その割合がa<0.5bの関係にある高
剛性樹脂歯車成形品に対しても十分な効果を発揮する。
【0020】更に、コア入れ子21及びキャビティ入れ
子31に対する第二次温調手段9による局所的な温度差
制御を行うにあたり、コア入れ子側の設定温度をキャビ
ティ入れ子側の設定温度よりも相対的に高く設定するこ
とが好ましい。これは、固定金型側から可動金型側へと
溶融樹脂が充填されるという樹脂流動の順位、及びラン
ナー部樹脂やノズル部からの受熱により、可動金型に含
まれるコア入れ子側に比べ、固定金型に含まれるキャビ
ティ入れ子側の方が高温になりやすいためである。コア
入れ子側の設定温度をキャビティ入れ子側の設定温度よ
りも相対的に高く設定することにより、コア入れ子側と
キャビティ入れ子側の温度差が解消され、歯筋面の傾き
が少ない高精度な樹脂歯車成形品を得ることができる。
子31に対する第二次温調手段9による局所的な温度差
制御を行うにあたり、コア入れ子側の設定温度をキャビ
ティ入れ子側の設定温度よりも相対的に高く設定するこ
とが好ましい。これは、固定金型側から可動金型側へと
溶融樹脂が充填されるという樹脂流動の順位、及びラン
ナー部樹脂やノズル部からの受熱により、可動金型に含
まれるコア入れ子側に比べ、固定金型に含まれるキャビ
ティ入れ子側の方が高温になりやすいためである。コア
入れ子側の設定温度をキャビティ入れ子側の設定温度よ
りも相対的に高く設定することにより、コア入れ子側と
キャビティ入れ子側の温度差が解消され、歯筋面の傾き
が少ない高精度な樹脂歯車成形品を得ることができる。
【0021】図4は、金型温度による歯筋誤差の傾きの
変化を示した図である。コア入れ子側(可動金型)とキ
ャビティ入れ子側(固定金型)の設定温度を、例えばど
ちらも80℃と等しくした場合は、図4(b)のように
歯筋誤差に傾きをもった形状となる。一方、コア入れ子
側(可動金型)の設定温度を85℃とし、キャビティ入
れ子側(固定金型)の設定温度80℃よりも高くする
と、図4(a)に示すように、歯筋の傾きが少なく、良
好な形状を得ることができる。このように歯筋誤差は、
固定金型と可動金型との温度差によってその傾きが変化
する。従って、上述したような精密でバランスのとれた
温度制御により、高精度な樹脂歯車成形品を得ることが
できる。尚、設定温度は、用いる樹脂、キャビティの形
状等によって異なるため、それぞれに適した設定温度範
囲内で調整することが好ましい。
変化を示した図である。コア入れ子側(可動金型)とキ
ャビティ入れ子側(固定金型)の設定温度を、例えばど
ちらも80℃と等しくした場合は、図4(b)のように
歯筋誤差に傾きをもった形状となる。一方、コア入れ子
側(可動金型)の設定温度を85℃とし、キャビティ入
れ子側(固定金型)の設定温度80℃よりも高くする
と、図4(a)に示すように、歯筋の傾きが少なく、良
好な形状を得ることができる。このように歯筋誤差は、
固定金型と可動金型との温度差によってその傾きが変化
する。従って、上述したような精密でバランスのとれた
温度制御により、高精度な樹脂歯車成形品を得ることが
できる。尚、設定温度は、用いる樹脂、キャビティの形
状等によって異なるため、それぞれに適した設定温度範
囲内で調整することが好ましい。
【0022】加えて、第一次温調手段8によるコアプレ
ート22及びキャビティプレート32の設定温度は、第
二次温調手段9によるコア入れ子21及びキャビティ入
れ子31の設定温度より低く設定することが好ましい。
これにより、全体の成形サイクルを短縮することができ
る。その結果、高精度な樹脂歯車成形品を生産性良く得
ることができる。
ート22及びキャビティプレート32の設定温度は、第
二次温調手段9によるコア入れ子21及びキャビティ入
れ子31の設定温度より低く設定することが好ましい。
これにより、全体の成形サイクルを短縮することができ
る。その結果、高精度な樹脂歯車成形品を生産性良く得
ることができる。
【0023】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によ
り、歯車のリム内周面を形成する面に隣接した位置に、
選択的にひけを誘導するひけ誘導手段と、コアプレート
及びキャビティプレートを単一制御する第一次温調手段
と、コア入れ子及びキャビティ入れ子をそれぞれ局所的
に個別制御する第二次温調手段とを備えたことにより、
樹脂歯車成形品の歯面中央のみならず、歯面端部の面精
度をも向上させることができる樹脂歯車成形金型を提供
することができる。また、本発明の樹脂歯車成形品の成
形方法により、歯車のリム内周面と隣接する面に確実に
ひけを誘導し、歯面全体にわたって歯筋誤差精度が良好
な樹脂歯車成形品を得ることが可能な樹脂歯車成形品の
成形方法を提供することができる。
り、歯車のリム内周面を形成する面に隣接した位置に、
選択的にひけを誘導するひけ誘導手段と、コアプレート
及びキャビティプレートを単一制御する第一次温調手段
と、コア入れ子及びキャビティ入れ子をそれぞれ局所的
に個別制御する第二次温調手段とを備えたことにより、
樹脂歯車成形品の歯面中央のみならず、歯面端部の面精
度をも向上させることができる樹脂歯車成形金型を提供
することができる。また、本発明の樹脂歯車成形品の成
形方法により、歯車のリム内周面と隣接する面に確実に
ひけを誘導し、歯面全体にわたって歯筋誤差精度が良好
な樹脂歯車成形品を得ることが可能な樹脂歯車成形品の
成形方法を提供することができる。
【図1】本発明の第一の実施形態である樹脂歯車成形金
型の断面図である。
型の断面図である。
【図2】ひけ誘導手段の第二の実施形態を示す断面図で
ある。
ある。
【図3】本発明の樹脂歯車成形金型により製造される樹
脂歯車の例である。
脂歯車の例である。
【図4】金型温度による歯筋誤差の傾きの変化を示した
図である。
図である。
1 歯部
2 リム
3 ウェブ
4 ボス
5 ギヤ駒
6 樹脂歯車成形品
7 温度検出手段
8 第一次温調手段
9 第二次温調手段
10 ひけ誘導手段(圧縮気体導入装置)
11 ひけ誘導手段(入れ子駒移動装置)
12 ゲート
21 コア入れ子
22 コアプレート
31 キャビティ入れ子
32 キャビティプレート
33 センターコアピン
フロントページの続き
Fターム(参考) 3J030 BA01 BC01 BC08 CA01
4F202 AG13 AG22 AG26 AH12 AM34
AR06 AR11 CA11 CB01 CK41
CK43 CK52 CK90 CN01 CN05
CN21 CN27
4F206 AG13 AG22 AG26 AH12 AR064
AR11 JA07 JL02 JL05 JN21
JN27 JN43 JQ81
Claims (9)
- 【請求項1】 ギヤ駒を備えたコアプレートと、コア入
れ子とからなる第一の金型と、 キャビティプレートとキャビティ入れ子とからなる第二
の金型とによって構成される樹脂歯車成形金型であっ
て、 該樹脂歯車成形金型は、歯車のリム内周面を形成する面
に隣接した位置に、選択的にひけを誘導するひけ誘導手
段と、 コアプレート及びキャビティプレートを単一制御する第
一次温調手段と、 コア入れ子及びキャビティ入れ子をそれぞれ局所的に個
別制御する第二次温調手段とを備えることを特徴とする
樹脂歯車成形金型。 - 【請求項2】 請求項1に記載の樹脂歯車成形金型にお
いて、 前記ひけ誘導手段は、樹脂歯車成形金型外部に設けられ
た圧縮気体導入装置からなることを特徴とする樹脂歯車
成形金型。 - 【請求項3】 請求項7又は8に記載の樹脂歯車成形金
型において、 前記ひけ誘導手段は、コア入れ子及びキャビティ入れ子
の一部を被成形体の面から離隔させる手段を有すること
を特徴とする樹脂歯車成形金型。 - 【請求項4】 外周面に転写部である歯部を備えた樹脂
歯車成形品を成形する成形方法において、 コアプレート及びキャビティプレートを第一次温調手段
によって単一制御し、 コア入れ子及びキャビティ入れ子を第二次温調手段によ
ってそれぞれ局所的に個別制御し、 かつ、前記第二次温調手段による温度制御は、歯車のリ
ム内周面先端側の温度が歯面中央内周面側の温度よりも
高くする制御とし、 ひけ誘導手段によって、歯車のリム内周面と隣接する面
に選択的にひけを誘導することを特徴とする樹脂歯車成
形品の成形方法。 - 【請求項5】 請求項4に記載の樹脂歯車成形品の成形
方法において、 前記第二次温調手段による温度制御は、射出充填開始時
からひけ誘導終了時迄実施し、その後、均一冷却するこ
とを特徴とする樹脂歯車成形品の成形方法。 - 【請求項6】 請求項4又は5に記載の樹脂歯車成形品
の成形方法において、 前記第二次温調手段による温度制御は、コア入れ子側の
設定温度をキャビティ入れ子側の設定温度より相対的に
高く設定することを特徴とする樹脂歯車成形品の成形方
法。 - 【請求項7】 請求項4ないし6のいずれかに記載の樹
脂歯車成形品の成形方法において、 前記ひけ誘導手段による非転写部へのひけの誘導は、樹
脂歯車成形金型外部から圧縮気体を導入することにより
行うことを特徴とする樹脂歯車成形品の成形方法。 - 【請求項8】 請求項4ないし6のいずれかに記載の樹
脂歯車成形品の成形方法において、 前記ひけ誘導手段による非転写部へのひけの誘導は、コ
ア入れ子及びキャビティ入れ子の一部を被成形体面から
離隔させることにより行うことを特徴とする樹脂歯車成
形品の成形方法。 - 【請求項9】 請求項4ないし8のいずれかに記載の樹
脂歯車成形品の成形方法において、 前記第一次温調手段の設定温度は、前記第二次温調手段
の設定温度より低くすることを特徴とする樹脂歯車成形
品の成形方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001288780A JP2003094493A (ja) | 2001-09-21 | 2001-09-21 | 樹脂歯車成形金型及び樹脂歯車成形品の成形方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001288780A JP2003094493A (ja) | 2001-09-21 | 2001-09-21 | 樹脂歯車成形金型及び樹脂歯車成形品の成形方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003094493A true JP2003094493A (ja) | 2003-04-03 |
Family
ID=19111366
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001288780A Pending JP2003094493A (ja) | 2001-09-21 | 2001-09-21 | 樹脂歯車成形金型及び樹脂歯車成形品の成形方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003094493A (ja) |
-
2001
- 2001-09-21 JP JP2001288780A patent/JP2003094493A/ja active Pending
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