JP2003094255A - 圧延用ロールの放電加工方法 - Google Patents

圧延用ロールの放電加工方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ロールの表面にPPIが400を超える非常
に微細な凹凸を形成することができる圧延用ロールの放
電加工方法を提供する。 【解決手段】 圧延用ロール1を回転させながらその表
面に沿って配置された2組の電極群2,3により放電ダ
ル加工を施す。これらの電極群2,3は異なる加工条件
にセットされており、圧延用ロール1の同一表面を異な
る加工条件で同時に放電加工する。2組の電極群2,3
を異なる狙い粗度(例えば1.0μRaと2.0μRa)
にセットすることにより、PPI=500を達成でき
る。またこの圧延用ロール1を用いれば鮮映性に優れた
圧延鋼板を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼板の冷間圧延等
に用いられる圧延用ロールの放電加工方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】圧延用ロールの表面に放電ダル加工を施
すことにより微細な凹凸を形成し、ロールのグリップ力
を高めることは従来から知られている。この凹凸の程度
即ち表面粗度は、PPI(peak per inch)という指標
で示すことができる。PPIは凹凸面をバンド幅=±
0.625μRaの平面で切断し、1インチの間に通過
した山数の合計値として定義される。そして圧延用ロー
ル表面のPPIが大きいほど、鮮映性に優れた圧延鋼板
を得ることができる。
【0003】しかし、圧延用ロールを回転させながらそ
の表面に沿って一列に配置された電極群により放電ダル
加工を施す従来の放電加工方法では、加工条件(放電加
工の狙い粗度)を様々に変化させてもPPIが400を
超える表面を得ることはできなかった。すなわち、狙い
粗度が大きいとロール表面が粗面となるためにPPIが
小さくなり、狙い粗度を小さくするとロール表面の粗大
な凹凸に細かい凹凸が付加されるのみでプロフィールの
うねりはそのままが残り、やはりPPIを大きくするこ
とはできなかった。
【0004】さらに、先ず狙い粗度を大きくして1回目
の放電加工を行ったのち、狙い粗度を小さくして2回目
の放電加工を行うことも考えられるが、ロール表面の凹
凸状態は後に行われた2回目の放電加工により決定され
てしまうためPPIの増加にはつながらず、上記したよ
うにPPIが400を超える表面を得ることはできなか
った。しかもこの方法では放電加工時間が長くかかり、
例えば1回目の放電加工に60分、2回目の放電加工に
40分を要するとすれば、合計100分を要するという
問題もあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記した従来
の問題点を解決し、圧延用ロールの表面に放電加工によ
ってPPIが400を超える非常に微細な凹凸を形成す
ることができる圧延用ロールの放電加工方法を提供する
ためになされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めになされた本発明は、圧延用ロールを回転させながら
その表面に沿って配置された電極群により放電ダル加工
を施すに際し、異なる加工条件にセットされた2組の電
極群をロール軸線と直交する同一平面上に配置し、ロー
ルの同一表面を異なる加工条件で同時に放電加工するこ
とを特徴とするものである。なお、2組の電極群を異な
る狙い粗度にセットして放電加工を行なうことが好まし
い。
【0007】本発明によれば、圧延用ロールの同一表面
を異なる加工条件で同時に放電加工することにより、以
下に説明するようにPPIが400を超える非常に微細
な凹凸を形成することができ、しかも放電加工時間が長
くなることもない。このため本発明により放電加工され
た圧延用ロールを用いれば、鮮映性に優れた圧延鋼板を
得ることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照しつつ、本発明
の実施形態を示す。図1に示すように、本発明では圧延
用ロール1の表面に沿って2組の電極群2、3を配置す
る。各電極群2,3は図2に示すように一列に配置され
た多数の電極よりなり、圧延用ロール1はロール軸線の
回りに回転するとともに軸線方向にも往復移動され、表
面全体が均一に放電加工されるようになっている。電極
群2、3は加工液4を収納したタンク5の底部に設けら
れており、加工液4中で放電加工を行なうことは従来と
同様である。
【0009】電極群2と電極群3とは、ロール軸線と直
交する同一平面上に配置されている。実際には隣接する
電極のロール軸線方向のピッチは例えば40mm程度と
狭いので、電極群2を構成する電極と電極群3を構成す
る電極とを半ピッチ程度ずらせても差し支えなく、上記
の「同一平面上」とは数学的に厳密な意味に限定されるも
のではなく、回転する圧延用ロール1の同一表面が電極
群2の電極と電極群3の電極とによって放電加工を受け
ることができればよい。
【0010】本発明では2組の電極群2、3を異なる加
工条件1と加工条件2とにセットし、圧延用ロール1の
同一表面を異なる加工条件1,2で同時に放電加工す
る。加工条件には加工電流、通電時間、加工時間などが
あるが、実用上これらは「狙い粗度」として集約すること
ができる。狙い粗度は平均面粗さRaで示され、その加
工条件で放電加工を行なった場合に得られる表面粗さを
意味する。また狙い粗度が示されれば、それに応じて加
工電流、通電時間、加工時間などを設定することは当業
者には容易であるから、以下の説明では加工条件を狙い
粗度で表現する。
【0011】例えば電極群2の加工条件1を狙い粗度
1.0μRaとし、電極群3の加工条件2を狙い粗度2.
0μRaとし、圧延用ロール1の表面を同時に放電加工
した場合の表面状態の変化を説明する。ロール表面を狙
い粗度2.0μRaの電極群3により放電加工すると図
3の第1列に示すような凹凸状となり、このまま同一加
工条件で放電加工を継続しても狙い粗度である2.0μ
Raの凹凸面となるだけである。
【0012】しかし本発明では、ほぼ同時に狙い粗度
1.0μRaの異なる加工条件で電極群2による放電加
工が行なわれる。放電加工は主として山の頂点付近に対
して行なわれるため、図3の第2列に示すように山の頂
点付近が小さく破壊され山の頂点の数が増加する。そし
て再び狙い粗度2.0μRaの電極群3による放電加工
が行なわれて、図3の第3列に示すように各山の各頂点
が大きく破壊され、更に狙い粗度1.0μRaの放電加
工が行なわれて図3の第4列に示すように次第に山の高
さが減少すると同時に山の頂点の数が増える。本発明で
は上記のサイクルが何回も繰り返されるので表面の凹凸
は次第に細かくなり、例えば加工条件1を狙い粗度1.
0μRaとし、電加工条件2を狙い粗度2.0μRaと
した場合には、最終的に1.2μRaの表面粗さとな
り、そのPPIは従来到達できなかった500程度に達
する。
【0013】図4はRa=1.2μRaの表面を得るた
めに適した加工条件1,2の関係を、それぞれの狙い粗
度を縦軸yと横軸xとしたグラフで示したものである。
楕円で囲んだ領域がRa=1.2μRaの表面を得るた
めに適した領域であるが、加工条件1,2が接近すると
本発明の効果が得られなくなる。従って図示のとおり、
y=0.13x2+0.53x+0.68の曲線と、y=-0.
08x2+1.33x-0.62の曲線とで挟まれた中間領
域は避けねばならない。また楕円の位置は目的とする表
面粗さが大きくなると原点から離れる方向に移動するた
め、必ずしも図4の位置に限定されるものではない。
【0014】このように本発明によれば、2組の電極群
2、3を異なる加工条件1と加工条件2とにセットし、
圧延用ロール1の同一表面を異なる加工条件1,2で同
時に放電加工することによって、従来到達できなかった
PPI=500のレベルに到達することができる。この
ため、この圧延用ロール1を用いれば鮮映性に優れた圧
延鋼板を得ることができる。しかも加工時間は従来と変
わらず、2段階で放電加工を行なう場合のように長くな
ることもない。
【0015】
【実施例】以下に本発明の実施例を示す。長さ1900
mmの圧延用ロールを図1に示すように加工液(第3石
油類)中で回転させながら、異なる加工条件1,2にセ
ットされた2組の電極群により放電加工を行なった。加
工条件1は狙い粗度が1.0μRaであり、この狙い粗
度を達成するために加工電流4A,通電時間4.7μ
S、加工時間60分とした。また加工条件2は狙い粗度
が2.0μRaであり、この狙い粗度を達成するために
加工電流7.2A,通電時間5.0μS、加工時間60分
とした。
【0016】このようにして放電加工された圧延用ロー
ルの表面を測定したところ、Ra=1.2μRaであ
り、PPI=500であった。またこの圧延用ロールを
用いて鋼板を冷間圧延したところ、その鋼板(メッキ
後)の板粗度は0.8〜1.0μRaであり、鋼板(メッ
キ後)のPPIは400であり、転写率(板粗度/ロー
ル面粗度)は70%であった。またその鮮映性は良好で
あった。
【0017】これに対して従来のように狙い粗度1.0
μRaの単一条件のみで放電加工を行なった従来ロール
の表面はRa=1.0μRa、PPI=350であっ
た。またこの従来ロールを用いて鋼板を冷間圧延したと
ころ、その鋼板(メッキ後)の板粗度は0.8〜1.0μ
Raであり、鋼板(メッキ後)のPPIは250であ
り、転写率(板粗度/ロール面粗度)は70%であっ
た。しかし本発明により放電加工されたロールを用いた
場合に比較して、鮮映性に劣るものであった。なお何れ
のロールを用いた場合にも圧延寿命に変化は認められな
かった。
【0018】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の圧延用
ロールの放電加工方法によれば、異なる加工条件にセッ
トされた2組の電極群をロール軸線と直交する同一平面
上に配置し、ロールの同一表面を異なる加工条件で同時
に放電加工することにより、放電加工によってPPIが
400を超える非常に微細な凹凸を形成することができ
る。従って本発明により放電加工された圧延用ロールを
用いれば、鮮映性に優れた圧延鋼板を得ることができ
る。また、加工時間が延長されることもなく、圧延寿命
も従来と同様となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す断面図である。
【図2】本発明の実施形態を示す側面図である。
【図3】表面状態の変化を示す模式的な断面図である。
【図4】加工条件1,2の関係をそれぞれの狙い粗度を
縦軸yと横軸xとして示したグラフである。
【符号の説明】
1 圧延用ロール 2 電極群 3 電極群 4 加工液 5 タンク

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧延用ロールを回転させながらその表面
    に沿って配置された電極群により放電ダル加工を施すに
    際し、異なる加工条件にセットされた2組の電極群をロ
    ール軸線と直交する同一平面上に配置し、ロールの同一
    表面を異なる加工条件で同時に放電加工することを特徴
    とする圧延用ロールの放電加工方法。
  2. 【請求項2】 2組の電極群を異なる狙い粗度にセット
    する請求項1記載の圧延用ロールの放電加工方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP2687617B1 (en) * 2011-03-14 2020-05-20 Nippon Steel & Sumikin Stainless Steel Corporation High-purity ferritic stainless steel sheet with excellent corrosion resistance and anti-glare properties

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