JP2003092526A5 - - Google Patents
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Description
【発明の名称】弾性表面波フィルタ、及びそれを用いた通信機器
【特許請求の範囲】
【請求項1】圧電基板と、
前記圧電基板上に配置され、一対の互いに対向して配置された上部バスバー電極及び下部バスバー電極、及びそれぞれ、その上部バスバー電極及び下部バスバー電極のいずれかのバスバー電極から、そのいずれかのバスバー電極とは異なる方のバスバー電極の側に引き出された電極指複数を有するインターディジタルトランスデューサ電極であるIDT電極複数と、
前記圧電基板上に配置された複数の反射器電極と、
前記圧電基板上に配置された平衡型端子とを備え、
複数の前記IDT電極及び複数の前記反射器電極をそれぞれ弾性表面波の伝搬方向に沿って配置した縦モード型の弾性表面波フィルタであって、
複数の前記IDT電極のうち少なくとも1つのIDT電極は、3つ以上の分割IDT電極により構成されており、前記分割IDT電極は前記平衡型端子に電気的に接続され、
少なくとも2つの前記分割IDT電極は、等価的に直列接続されており、残りの前記分割IDT電極の少なくとも1つの分割IDT電極は、前記少なくとも2つの分割IDT電極に並列に接続されている弾性表面波フィルタ。
【請求項2】前記複数の分割IDT電極それぞれの電極指の本数の比は、所定のインピーダンス値を有するように予め調整されている請求項1記載の弾性表面波フィルタ。
【請求項3】前記複数の分割IDT電極はそれぞれ互いに他の前記分割IDT電極の電荷を打ち消し合わないように、同相関係及び/または逆相関係に配置されている請求項2記載の弾性表面波フィルタ。
【請求項4】前記第2の分割IDT電極は、前記第1の分割IDT電極と前記第3の分割IDT電極との間に同相関系で配置されており、
前記上部バスバー電極の前記第1の分割IDT電極に対応する部分と前記上部バスバー電極の前記第2の分割IDT電極に対応する部分とが前記平衡型端子の一方に接続され、かつ前記下部バスバー電極の前記第2の分割IDT電極に対応する部分と前記下部バスバー電極の前記第3の分割IDT電極に対応する部分とが前記平衡型端子の他方に接続され、
前記下部バスバー電極の前記第1の分割IDT電極に対応する部分と前記上部バスバー電極の前記第3の分割IDT電極に対応する部分とは接続されている請求項1記載の弾性表面波フィルタ。
【請求項5】前記第2の分割IDT電極は、前記第1の分割IDT電極と前記第3の分割IDT電極との間に配置されており、
前記下部バスバー電極の前記第1の分割IDT電極に対応する部分と前記上部バスバー電極の前記第2の分割IDT電極に対応する部分とが接続され、かつ前記下部バスバー電極の前記第2の分割IDT電極に対応する部分と前記下部バスバー電極の前記第3の分割IDT電極に対応する部分とが接続され、
前記第1の分割IDT電極の上部バスバー電極と前記第3の分割IDT電極の下部バスバー電極とは接続されている請求項1記載の弾性表面波フィルタ。
【請求項6】前記複数の分割IDT電極は、第1、第2、第3、及び第4の分割IDT電極から構成されている請求項3記載の弾性表面波フィルタ。
【請求項7】前記複数の分割IDT電極は、前記第1、第2、第3、及び第4の分割IDT電極の順に配置されており、
前記上部バスバー電極の前記第1の分割IDT電極に対応する部分と、前記上部バスバー電極の前記第3の分割IDT電極に対応する部分と、前記上部バスバー電極の前記第4の分割IDT電極に対応する部分とは同相関係で接続されており、
前記下部バスバー電極の前記第1の分割IDT電極に対応する部分と、前記下部バスバー電極の前記第2の分割IDT電極に対応する部分と、前記下部バスバー電極の前記第4の分割IDT電極に対応する部分とは、接続されている請求項6記載の弾性表面波フィルタ。
【請求項8】前記複数の電極指における、隣接する一対の電極指の実質上全ての組は、それぞれ同相関係にあり、
かつ前記複数の電極指の実質上全ては、それぞれの電荷が互いに他を打ち消し合わないように接続されている請求項7記載の弾性表面波フィルタ。
【請求項9】前記上部バスバー電極の前記第2のIDT電極に対応する部分は接地されており、
前記下部バスバー電極の前記第3のIDT電極に対応する部分は接地されている請求項7記載の弾性表面波フィルタ。
【請求項10】前記上部バスバー電極の前記第2のIDT電極に対応する部分は、前記下部バスバー電極の前記第3のIDT電極に対応する部分と接続されている請求項7記載の弾性表面波フィルタ。
【請求項11】前記接続するとは、前記第2の分割IDT電極と前記第3の分割IDT電極とが隣接する部位の一対の前記電極指のうち前記第2の分割IDT電極の電極指を前記上部電極の前記第2の分割IDT電極に対応する部分と前記下部電極の前記第3の分割IDT電極に対応する部分にともに接続し、
一対の前記電極指のうち、前記第3の分割IDT電極の電極指を前記下部電極の前記第3の分割IDT電極に対応する部分と前記上部電極の前記第2の分割IDT電極に対応する部分とにともに接続することである請求項10記載の弾性表面波フィルタ。
【請求項12】3個の前記IDT電極は、第1、第2、及び第3のIDT電極であり、
前記第1のIDT電極の両側には、それぞれ前記第2のIDT電極及び前記第3のIDT電極が配置されており、
前記第2のIDT電極の前記第1のIDT電極とは逆側、及び前記第3のIDT電極の前記第1のIDT電極とは逆側にそれぞれ前記反射器電極が配置されている請求項1記載の弾性表面波フィルタ。
【請求項13】前記第2のIDT電極の上部バスバー電極は、不平衡型端子に接続されており、その上部バスバー電極は接地されており、
前記第3のIDT電極の下部バスバー電極は、前記不平衡型端子に接続されており、その下部バスバー電極は接地されている請求項12記載の弾性表面波フィルタ。
【請求項14】圧電基板と、前記圧電基板上に配置された複数のIDT電極及び複数の反射器電極とを有する縦モード型の弾性表面波フィルタを複数個備え、
前記複数個の弾性表面波フィルタは、多段に接続されており、
前記複数個の弾性表面波フィルタのうち少なくとも入力側の弾性表面波フィルタ及び/または出力側の弾性表面波フィルタには、請求項1記載の弾性表面波フィルタが用いられており、前記複数個の弾性表面波フィルタのうち少なくとも入力側の弾性表面波フィルタ及び/または出力側の弾性表面波フィルタの前記圧電基板は、請求項1記載の弾性表面波フィルタの圧電基板が用いられている弾性表面波フィルタ。
【請求項15】前記複数個とは2個であり、
前記複数個の弾性表面波フィルタとは、第1の弾性表面波フィルタ及び第2の弾性表面波フィルタであり、
前記第1、及び第2の弾性表面波フィルタは、それぞれ少なくとも3個のIDT電極から構成されており、
前記第1、及び第2の弾性表面波フィルタは、縦続きに接続されており、
前記第1、及び第2の弾性表面波フィルタは、それぞれ少なくとも2個のIDT電極を用いて2箇所で接続されており、
前記IDT電極の一方の信号の位相と、前記IDT電極の他方の信号の位相とが逆相である請求項14記載の弾性表面波フィルタ。
【請求項16】2個の前記IDT電極によって構成され、
2個の前記IDT電極のうち少なくとも1個のIDT電極には、請求項1記載のIDT電極が用いられており、
前記IDT電極の前記上部バスバー電極の前記第1の分割IDT電極に対応する部分及び/またはそのIDT電極の前記上部バスバー電極の前記第2の分割IDT電極に対応する部分は前記平衡型端子の一端に接続されており、
前記IDT電極の前記下部バスバー電極の前記第2の分割IDT電極に対応する部分及び/またはそのIDT電極の下部バスバー電極の前記第3の分割IDT電極に対応する部分は前記平衡型端子の他端に接続されている弾性表面波フィルタ。
【請求項17】5個の前記IDT電極によって構成され、
5個の前記IDT電極のうち少なくとも1個のIDT電極には、請求項1記載のIDT電極が用いられており、
前記IDT電極の前記上部バスバー電極の前記第1の分割IDT電極に対応する部分及び/またはそのIDT電極の前記上部バスバー電極の前記第2の分割IDT電極に対応する部分は前記平衡型端子の一端に接続されており、
前記IDT電極の前記下部バスバー電極の前記第2の分割IDT電極に対応する部分及び/またはそのIDT電極の下部バスバー電極の前記第3の分割IDT電極に対応する部分は前記平衡型端子の他端に接続されている弾性表面波フィルタ。
【請求項18】送信波を出力する送信回路と、
受信波を入力する受信回路とを備えた通信機器であって、
前記送信回路および/または前記受信回路には、請求項1記載の弾性表面波フィルタが用いられている通信機器。
【請求項19】圧電基板と、
前記圧電基板上に配置され、一対の互いに対向して配置された上部バスバー電極及び下部バスバー電極、及びそれぞれ、その上部バスバー電極及び下部バスバー電極のいずれかのバスバー電極から、そのいずれかのバスバー電極とは異なる方のバスバー電極の側に引き出された電極指複数を有するインターディジタルトランスデューサ電極であるIDT電極複数と、
前記圧電基板上に配置された複数の反射器電極と、
前記圧電基板上に配置された平衡型端子と、
複数の前記IDT電極及び複数の前記反射器電極をそれぞれ弾性表面波の伝搬方向に沿って配置した縦モード型の弾性表面波フィルタであって、
複数の前記IDT電極のうち少なくとも1つのIDT電極は、2つの分割IDT電極により構成されており、前記2つの分割IDT電極の一方は上部バスバー電極で前記平衡型端子に電気的に接続され、前記2つの分割IDT電極の他の一方は下部電極で前記平衡型端子に電気的に接続され、
前記2つの分割IDT電極は、等価的に直列接続されている弾性表面波フィルタ。
【請求項20】前記圧電基板上に配置された不平衡型端子をさらに加え、
前記2つの分割IDT電極を挟んで隣接配置された2つのIDT電極は、前記2つの分割IDT電極に並列に接続されており、
前記2つのIDT電極の一方の上部バスバー電極と、前記2つのIDT電極の他方の下部バスバー電極は前記不平衡型端子と電気的に接続されている請求項19記載の弾性表面波フィルタ。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、平衡型端子を有する縦モード型弾性表面波フィルタ、及びそれを用いた通信機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
弾性表面波(SAW)を用いたエレクトロメカニカル機能部品は、波の音速が数km/sであり、波のエネルギーが伝搬媒体の表面に集中する性質を有することからハードウェアの高密度化の流れの中で注目され、インタディジタルトランスデューサ(IDT電極)電極の開発と薄膜作成技術、表面加工技術の進歩によって、レーダ用遅延線、テレビジョン受像機用帯域フィルタなどに実用化され、現在では、無線通信機器送受信回路のRF、IF段のフィルタとして広く使用されている。
【0003】
近年、対雑音特性の良好化を目的としてICなどの半導体部品の平衡化が進み、RF段に使用される弾性表面波フィルタにおいても平衡化が求められている。
また、近年では、前後に配置されるICとのインピーダンス整合の観点から、弾性表面波のインピーダンスを制御することが求められている。従来より、RF段のフィルタとしては、縦モード型の弾性表面波フィルタが広く用いられている。
【0004】
以下、従来の平衡型入出力端子を有する縦モード型の弾性表面波フィルタについて説明する。
【0005】
図19に従来の平衡型入出力端子を有する縦モード型の弾性表面波フィルタの構成を示す。図19において、弾性表面波フィルタは、圧電基板1001上に、入力IDT電極1002a、1002bと反射器電極1003a、1003bと出力IDT電極1004を形成することにより構成される。入力IDT電極1002a、1002bの同じ側の電極指を入力端子INに接続し、他方を接地する。また、出力IDT電極1004の上側の電極指は一方の出力端子OUT1に接続され、出力IDT電極1004の下側の電極指は他方の出力端子OUT2に接続される。以上の構成とすることにより平衡型の出力端子を有する弾性表面波フィルタが得られる。
【0006】
これに対して、IF段に使用される横モード型の弾性表面波フィルタにおいては、特開平10−261937でインピーダンスの制御が可能となることが示されている。図20に横モード型弾性表面波フィルタにおける従来の構成を示す。
【0007】
図20において、1101は圧電基板であり、この圧電基板1101の上に、IDT電極1102aと反射器電極1102b、1102cとによって構成されるエネルギー閉じこめ型の第1の弾性表面波共振器が形成されている。また、圧電基板1101の上には、IDT電極1103aと反射器電極1103b、1103cとによって構成されるエネルギー閉じこめ型の第2の弾性表面波共振器が形成されている。第2の弾性表面波共振器を構成するIDT電極1103aは、第1、第2および第3の分割IDT電極1104a、1104b及び1104cの3つのグループの接続により構成されている。第1、第2および第3の分割IDT電極1104a、1104b及び1104cは、すべて同相に配置されるとともに、第1の分割IDT電極1104aの上部電極と第2の分割IDT電極1104bの上部電極が接続され、第2の分割IDT電極1104bの下部電極と第3の分割IDT電極1104cの下部電極が接続されることにより、第2の弾性表面波共振器を構成するIDT電極1103a が形成される。そして、これら2個の第1及び第2の弾性表面波共振器は 近接して配置されており、その間に音響結合が生じることによって、弾性表面波フィルタが構成される。
【0008】
さらに、IDT電極1102aの上部電極および下部電極はそれぞれ平衡型入力端子INに接続されている。また、IDT電極1103aを構成する第1の分割IDT電極1104aの上部電極および第2の分割IDT電極1104bの上部電極は平衡型出力端子OUTの一方に接続され、第2の分割IDT電極1104bの下部電極および第3の分割IDT電極1104cの下部電極は平衡型出力端子OUTの他方に接続され、第1の分割IDT電極1104aの下部電極および第3の分割IDT電極1104cの上部電極は接地されることにより平衡型入出力端子を形成する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図19の縦モード型の弾性表面波フィルタでは、フィルタ特性が所望のものになるように設計すると、設計したフィルタ特性に応じて平衡側のインピーダンスもほぼ決まってしまい、設計の自由度が少ない。
【0010】
すなわち、上述の弾性表面波フィルタにおいては、平衡側のインピーダンスは電極指の本数と上下の電極指の交差する長さ等によりほぼ決定されるため、所望のインピーダンスとフィルタ特性を得るのには構造上の限界があるという課題があった。
【0011】
また、図20の横モード型の弾性表面波フィルタは狭帯域な特性を有しており、広帯域な特性を必要とするRF段のフィルタには適していない。さらに、上述の構成においては、2個の第1及び第2の弾性表面波共振器を近接配置する必要があるため、平衡型端子をそれぞれの上部電極あるいは下部電極から引き出す必要があり、IDT電極を完全な対称構造とすることができなかった。これは、現在、主流となっているPDCやGSM、あるいはDCSなどの、特に、周波数が800MHz帯や2GHz帯のシステムにおけるRF段のフィルタに適用する場合には、この非対称性、及び引き出し電極による寄生成分の影響から平衡型端子の平衡度が劣化するという課題があった。
【0012】
すなわち、図20の横モード型弾性表面波フィルタでは、狭帯域のフィルタ特性しか得られず、また、RF段のフィルタとして用いた場合には平衡度が劣化するという課題があった。
【0013】
本発明は、上記従来のこのような課題を克服し、良好な平衡度を有し、入出力インピーダンスの制御が可能な弾性表面波フィルタ及び通信機器を提供することを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
第一の本発明は、圧電基板と、
前記圧電基板上に配置され、一対の互いに対向して配置された上部バスバー電極及び下部バスバー電極、及びそれぞれ、その上部バスバー電極及び下部バスバー電極のいずれかのバスバー電極から、そのいずれかのバスバー電極とは異なる方のバスバー電極の側に引き出された電極指複数を有するインターディジタルトランスデューサ電極であるIDT電極複数と、
前記圧電基板上に配置された複数の反射器電極と、
前記圧電基板上に配置された平衡型端子とを備え、
複数の前記IDT電極及び複数の前記反射器電極をそれぞれ弾性表面波の伝搬方向に沿って配置した縦モード型の弾性表面波フィルタであって、
複数の前記IDT電極のうち少なくとも1つのIDT電極は、3つ以上の分割IDT電極により構成されており、前記分割IDT電極は前記平衡型端子に電気的に接続され、
少なくとも2つの前記分割IDT電極は、等価的に直列接続されており、残りの前記分割IDT電極の少なくとも1つの分割IDT電極は、前記少なくとも2つの分割IDT電極に並列に接続される弾性表面波フィルタである。
【0015】
第二の本発明は、前記複数の分割IDT電極それぞれの電極指の本数の比は、
所定のインピーダンス値を有するように予め調整されている第一の本発明の弾性表面波フィルタである。
【0016】
第三の本発明は、前記複数の分割IDT電極はそれぞれ互いに他の前記分割IDT電極の電荷を打ち消し合わないように、同相関係及び/または逆相関係に配置されている第二の本発明の弾性表面波フィルタである。
【0017】
第四の本発明は、前記第2の分割IDT電極は、前記第1の分割IDT電極と前記第3の分割IDT電極との間に同相関系で配置されており、
前記上部バスバー電極の前記第1の分割IDT電極に対応する部分と前記上部バスバー電極の前記第2の分割IDT電極に対応する部分とが前記平衡型端子の一方に接続され、かつ前記下部バスバー電極の前記第2の分割IDT電極に対応する部分と前記下部バスバー電極の前記第3の分割IDT電極に対応する部分とが前記平衡型端子の他方に接続され、
前記下部バスバー電極の前記第1の分割IDT電極に対応する部分と前記上部バスバー電極の前記第3の分割IDT電極に対応する部分とは接続されている第一の本発明の弾性表面波フィルタである。
【0018】
第五の本発明は、前記第2の分割IDT電極は、前記第1の分割IDT電極と前記第3の分割IDT電極との間に配置されており、
前記下部バスバー電極の前記第1の分割IDT電極に対応する部分と前記上部バスバー電極の前記第2の分割IDT電極に対応する部分とが接続され、かつ前記下部バスバー電極の前記第2の分割IDT電極に対応する部分と前記下部バスバー電極の前記第3の分割IDT電極に対応する部分とが接続され、
前記第1の分割IDT電極の上部バスバー電極と前記第3の分割IDT電極の下部バスバー電極とは接続されている第一の本発明の弾性表面波フィルタである。
【0019】
第六の本発明は、前記複数の分割IDT電極は、第1、第2、第3、及び第4の分割IDT電極から構成されている第三の本発明の弾性表面波フィルタである。
【0020】
第七の本発明は、前記複数の分割IDT電極は、前記第1、第2、第3、及び第4の分割IDT電極の順に配置されており、
前記上部バスバー電極の前記第1の分割IDT電極に対応する部分と、前記上部バスバー電極の前記第3の分割IDT電極に対応する部分と、前記上部バスバー電極の前記第4の分割IDT電極に対応する部分とは同相関係で接続されており、
前記下部バスバー電極の前記第1の分割IDT電極に対応する部分と、前記下部バスバー電極の前記第2の分割IDT電極に対応する部分と、前記下部バスバー電極の前記第4の分割IDT電極に対応する部分とは、接続されている第六の本発明の弾性表面波フィルタである。
【0021】
第八の本発明は、前記複数の電極指における、隣接する一対の電極指の実質上全ての組は、それぞれ同相関係にあり、
かつ前記複数の電極指の実質上全ては、それぞれの電荷が互いに他を打ち消し合わないように接続されている第七の本発明の弾性表面波フィルタである。
【0022】
第九の本発明は、前記上部バスバー電極の前記第2のIDT電極に対応する部分は接地されており、
前記下部バスバー電極の前記第3のIDT電極に対応する部分は接地されてい
る第七の本発明の弾性表面波フィルタである。
【0023】
第十の本発明は、前記上部バスバー電極の前記第2のIDT電極に対応する部分は、前記下部バスバー電極の前記第3のIDT電極に対応する部分と接続されている第七の本発明の弾性表面波フィルタである。
【0024】
第十一の本発明は、前記接続するとは、前記第2の分割IDT電極と前記第3の分割IDT電極とが隣接する部位の一対の前記電極指のうち前記第2の分割IDT電極の電極指を前記上部電極の前記第2の分割IDT電極に対応する部分と前記下部電極の前記第3の分割IDT電極に対応する部分にともに接続し、
一対の前記電極指のうち、前記第3の分割IDT電極の電極指を前記下部電極の前記第3の分割IDT電極に対応する部分と前記上部電極の前記第2の分割IDT電極に対応する部分とにともに接続することである第十の本発明の弾性表面波フィルタである。
【0025】
第十二の本発明は、3個の前記IDT電極は、第1、第2、及び第3のIDT電極であり、
前記第1のIDT電極の両側には、それぞれ前記第2のIDT電極及び前記第3のIDT電極が配置されており、
前記第2のIDT電極の前記第1のIDT電極とは逆側、及び前記第3のIDT電極の前記第1のIDT電極とは逆側にそれぞれ前記反射器電極が配置されている第一の本発明の弾性表面波フィルタである。
【0026】
第十三の本発明は、前記第2のIDT電極の上部バスバー電極は、不平衡型端子に接続されており、その上部バスバー電極は接地されており、
前記第3のIDT電極の下部バスバー電極は、前記不平衡型端子に接続されており、その下部バスバー電極は接地されている第十二の本発明の弾性表面波フィルタである。
【0027】
第十四の本発明は、圧電基板と、前記圧電基板上に配置された複数のIDT電極及び複数の反射器電極とを有する縦モード型の弾性表面波フィルタを複数個備え、
前記複数個の弾性表面波フィルタは、多段に接続されており、
前記複数個の弾性表面波フィルタのうち少なくとも入力側の弾性表面波フィルタ及び/または出力側の弾性表面波フィルタには、第一の本発明の弾性表面波フィルタが用いられており、前記複数個の弾性表面波フィルタのうち少なくとも入力側の弾性表面波フィルタ及び/または出力側の弾性表面波フィルタの前記圧電基板は、第一の本発明の弾性表面波フィルタの圧電基板が用いられている弾性表面波フィルタである。
【0028】
第十五の本発明は、前記複数個とは2個であり、
前記複数個の弾性表面波フィルタとは、第1の弾性表面波フィルタ及び第2の弾性表面波フィルタであり、
前記第1、及び第2の弾性表面波フィルタは、それぞれ少なくとも3個のIDT電極から構成されており、
前記第1、及び第2の弾性表面波フィルタは、縦続きに接続されており、
前記第1、及び第2の弾性表面波フィルタは、それぞれ少なくとも2個のIDT電極を用いて2箇所で接続されており、
前記IDT電極の一方の信号の位相と、前記IDT電極の他方の信号の位相とが逆相である第十四の本発明の弾性表面波フィルタである。
【0029】
第十六の本発明は、2個の前記IDT電極によって構成され、
2個の前記IDT電極のうち少なくとも1個のIDT電極には、第一の本発明のIDT電極が用いられており、
前記IDT電極の前記上部バスバー電極の前記第1の分割IDT電極に対応する部分及び/またはそのIDT電極の前記上部バスバー電極の前記第2の分割IDT電極に対応する部分は前記平衡型端子の一端に接続されており、
前記IDT電極の前記下部バスバー電極の前記第2の分割IDT電極に対応する部分及び/またはそのIDT電極の下部バスバー電極の前記第3の分割IDT電極に対応する部分は前記平衡型端子の他端に接続されている弾性表面波フィルタである。
【0030】
第十七の本発明は、5個の前記IDT電極によって構成され、
5個の前記IDT電極及び複数の前記反射器電極をそれぞれ弾性表面波の伝搬方向に沿って配置した縦モード型の弾性表面波フィルタであって、
5個の前記IDT電極のうち少なくとも1個のIDT電極は、第五の本発明のインターディジタルトランスデューサのIDT電極であり、
前記インターディジタルトランスデューサの前記IDT電極の前記上部バスバー電極の前記第1の分割IDT電極に対応する部分及び/またはそのIDT電極の前記上部バスバー電極の前記第2の分割IDT電極に対応する部分は平衡型端子の一端に接続されており、
前記IDT電極の前記下部バスバー電極の前記第2の分割IDT電極に対応する部分及び/またはそのIDT電極の前記株IDT電極の前記第3の分割IDT電極に対応する部分は前記平衡型端子の他端に接続されている弾性表面波フィルタである。
【0031】
第十八の本発明は、送信波を出力する送信回路と、
受信波を入力する受信回路とを備えた通信機器であって、
前記送信回路および/または前記受信回路には、第一の本発明の弾性表面波フィルタが用いられている通信機器である。
【0032】
第十九の本発明は、圧電基板と、
前記圧電基板上に配置され、一対の互いに対向して配置された上部バスバー電極及び下部バスバー電極、及びそれぞれ、その上部バスバー電極及び下部バスバー電極のいずれかのバスバー電極から、そのいずれかのバスバー電極とは異なる方のバスバー電極の側に引き出された電極指複数を有するインターディジタルトランスデューサ電極であるIDT電極複数と、
前記圧電基板上に配置された複数の反射器電極と、
前記圧電基板上に配置された平衡型端子と、
複数の前記IDT電極及び複数の前記反射器電極をそれぞれ弾性表面波の伝搬方向に沿って配置した縦モード型の弾性表面波フィルタであって、
複数の前記IDT電極のうち少なくとも1つのIDT電極は、2つの分割IDT電極により構成されており、前記2つの分割IDT電極の一方は上部バスバー電極で前記平衡型 端子に電気的に接続され、前記2つの分割IDT電極の他の一方は下部電極で前記平衡型端子に電気的に接続され、
前記2つの分割IDT電極は、等価的に直列接続されている弾性表面波フィルタである。
【0033】
第二十の本発明は、前記圧電基板上に配置された不平衡型端子をさらに加え、
前記2つの分割IDT電極を挟んで隣接配置された2つのIDT電極は、前記2つの分割IDT電極に並列に接続されており、
前記2つのIDT電極の一方の上部バスバー電極と、前記2つのIDT電極の他方の下部バスバー電極は前記不平衡型端子と電気的に接続されている第十九の本発明の弾性表面波フィルタである。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0035】
まず、本発明の実施の形態におけるインターディジタルトランスデューサ(以下IDT電極と呼ぶ)についてその概要のみを説明する。
【0036】
図1に、本発明の実施の形態におけるIDT電極2104を示す。IDT電極2104は、圧電基板2101上に配置されており、圧電基板上を伝搬する弾性表面波を電気信号に変換し、また、電気信号を圧電基板上を伝搬する弾性表面波に変換する電極である。
【0037】
IDT電極2104は、第1、第2および第3の分割IDT電極2104a、2104b及び2104cの3つに分割されており、3つの分割IDT電極2104a、2104b、2104cのグループの接続により構成されている。
【0038】
ここで、第1の分割IDT電極2104aと第2の分割IDT電極2104bと第3の分割IDT電極2104cはそれぞれ同相に配置されている。また、第1、及び第2の分割IDT電極2104a、2104bにおける上部電極2105a、2105bは電気的に接続され、平衡型出力端子の一端T1に接続される。第2、及び第3の分割IDT電極2104b、2104cにおける下部電極2106b、2106cは電気的に接続され、平衡型出力端子の他端T2に接続される。また、第1の分割IDT電極2104aにおける下部電極2106a、第3の分割IDT電極2104cにおける上部電極2105cは接地される。
【0039】
次に、このような本実施の形態の動作を説明する。
【0040】
IDT電極2104は圧電基板上を伝搬する弾性表面波を電気信号に変換して、平衡型出力端子T1及びT2に出力する。
【0041】
また、これとは逆に平衡型出力端子T1及びT2を入力端子として使用することも出来る。この場合、IDT電極2104はT1及びT2から入力された電気信号を圧電基板101上を伝搬する弾性表面波に変換する。
【0042】
このように本実施の形態のIDT電極2104は、電気信号を弾性表面波に変換することが出来、また弾性表面波を電気信号に変換することが出来る。
【0043】
本実施の形態のIDT電極2104を、第1の分割IDT電極2104aと第2の分割IDT電極2104bと第3の分割IDT電極2104cに分割し、さらに第1、第2、第3の分割IDT電極2104a、2104b、2104cそれぞれの電極指の本数比を変化させた場合、T1及びT2におけるインピーダンス値は変化するが、IDT電極2104の周波数特性は殆ど変化しないという特徴を有している。
【0044】
従ってIDT電極2104の電極指の本数や幅、電極指間の中心間隔などを調整することにより所望の周波数特性が得られた際、さらに、電極指の本数や幅、隣り合う電極指どうしの中心間隔などを固定したままで、IDT電極2104の第1、第2、及び第3の分割IDT電極2104a、2104b、2104cの電極指の本数比を調整するだけで、得られた所望の周波数特性を実質上変えることなくインピーダンスのみを変更することが出来る。このように本実施の形態のIDT電極2104は、インピーダンスの制御が可能であるという優れた特徴を有する。
【0045】
また、図2に、IDT電極2104とは電極指の配置等が異なったIDT電極183aを示す。IDT183aは、図1のIDT2104と同様に第1、第2および第3の分割IDT電極184a、184b、184cの3つに分割されており、3つの分割IDT電極184a、184b、184cのグループの接続により構成されている。
【0046】
従って、図2のIDT電極183aも図1のIDT2104と同様にインピーダンスの制御が可能であるという優れた特徴を有する。
【0047】
次に、本発明のより詳しい各実施の形態について説明する。
【0048】
(実施の形態1)
まず、本発明の実施の形態1について説明する。
【0049】
図3に、実施の形態1における弾性表面波フィルタの概略図を示す。
【0050】
図3において、2101は圧電基板であり、この圧電基板2101の上に、周期構造ストリップライン状に交差する電極パターンを構成することによって、弾性表面波を励起させることができる。圧電基板2101の上には、入力IDT電極2102a、2102bと反射器電極2103a、2103bと出力IDT電極2104によって構成される縦モード型の弾性表面波フィルタが形成されている。
【0051】
このような各IDT電極は、1対の対向する櫛形電極から構成されおり、各櫛形電極は、電極指と電極指の引き出し元である電極(上部電極または下部電極)とから構成されている。
【0052】
上述の弾性表面波フィルタにおいて、入力IDT電極2102a、2102bの上部電極は入力端子Sに接続され、入力IDT電極2102a、2102bの下部電極は接地されている。さらに図19に示されるように、引き出し電極を用いることなく、出力IDT電極2104は、第1、第2および第3の分割IDT電極2104a、2104b及び2104cの3つに分割されており、3つの分割IDT電極2104a、2104b、2104cのグループの接続により構成されている。ここで、第1の分割IDT電極2104aと第2の分割IDT電極2104bと第3の分割IDT電極2104cはそれぞれ同相に配置されている。また、第1、及び第2の分割IDT電極2104a、2104bにおける上部電極2105a、2105bは電気的に接続され、平衡型出力端子の一端T1に接続される。第2、及び第3の分割IDT電極2104b、2104cにおける下部電極2106b、2106cは電気的に接続され、平衡型出力端子の他端T2に接続される。また、第1の分割IDT電極2104aにおける下部電極2106a、第3の分割IDT電極2104cにおける下部電極2106cは接地される。さらに、図19に示されるように、引き出し電極を用いることなく、上下バスバー電極に直接信号線を接続することにより、対称性の確保、寄生成分の低減が実現でき、平衡度を改善することができる。
【0053】
ここで、上述した同相について説明する。
【0054】
先ず、隣接する2つの電極指(即ち、隣接する一対の電極指)の構造的な配置関係について述べる。
【0055】
即ち、隣接する2つの電極指が同相関係にあるとは、それら2つの電極指の一方が、上部電極と接続されて上側から下側へ向けて伸びており、他方が下部電極に接続されて下側から上側に向けて伸びている接続関係の状態にあることを言う。ここで、上側と下側の電極の電荷は異なるものとする。又、隣接する2つの電極指間のピッチ(中心間距離)は、1/2×λであるとする。尚、上記電極指間のピッチは、(m+1/2)×λでもよい。
【0056】
一方、もしも、上記電極指間のピッチが(m+1)×λである場合には上記同相関係は、その意味内容が上記説明と完全に逆転する。すなわち、隣接する2つの電極指が同相関係にあるとは、それらの電極指間のピッチが(m+1)×λであり、かつ、それらの電極指の何れもが、上部電極と接続されているか、または隣接する2つの電極指間のピッチが(m+1)×λであり、下部電極と接続されている関係にある場合を言う。ここで、λは励起された弾性表面波の波長であり、m=0,1,2,3,・・・であるとする。
【0057】
なお、上述したように第1、及び第2の分割IDT電極2104a、2104bにおける上部電極2105a、2105bは電気的に接続され、平衡型出力端子の一端T1に接続され、第2、及び第3の分割IDT電極2104b、2104cにおける下部電極2106b、2106cは電気的に接続され、平衡型出力端子の他端T2に接続される。このように平衡型出力端子の一端T1及び他端T2はそれぞれ上下逆側に接続されているので、上記同相関係にある隣接する2つの電極指がともに平衡型端子に接続された上部電極または下部電極から引き出されている場合には、それぞれの電荷の正負が逆になる。また、上記同相関係にある隣接する2つの電極指のいずれか一方が平衡型端子に接続された上部電極または下部電極から引き出されており、他方が接地されている上部電極または下部電極から引き出されている場合には、接地されている方の上部電極または下部電極から引き出されている電極指の電荷は、平衡型端子に接続された上部電極または下部電極から引き出されている方の電極指の電荷を打ち消すことはない。従って、いずれの場合であっても、このような2つの電極指は、弾性表面波を互いに打ち消し合わないように励起するまたは弾性表面波を互いに打ち消し合わないように励振されることが出来る。
【0058】
なお、全ての電極指は、実質上同相としているが、これは、間引き等により一部の電極指の配置が異なる場合があってもよいことを意味し、電極指全体として弾性表面波が励振される構成であればよいことを意味している。
【0059】
また、このことは、実施の形態1のみならず、実施の形態1及び実施の形態1以降の各実施の形態でも同様である。
【0060】
また、本実施の形態においては入力IDT電極2102aと分割IDT電極2104aの隣接する電極指は下部電極より同方向に引き出されており、かつ、入力IDT電極2102bと分割IDT電極2104cの隣接する電極指は上部電極より同方向に引き出されている構成としているが、この位置関係は電極指の本数などにより変わるものであり、この位置関係とは異なった位置関係であってもよく、弾性表面波がうち消されることなく励振される位相関係でありさえすればよい。
【0061】
なお、本実施の形態の入力IDT電極2102a、2102b、出力IDT電極2104はそれぞれ本発明のIDT電極の例であり、本実施の形態の入力IDT電極2102a、2102b、出力IDT電極2104の各IDT電極の上部電極及び下部電極はそれぞれ本発明の上部バスバー電極及び下部バスバー電極の例である。
【0062】
以上のように構成される実施の形態1における弾性表面波フィルタについて、以下、その動作を説明する。
【0063】
図4は実施の形態1の容量等価回路図であり、Ca、CbおよびCcはそれぞれ第1、第2、及び第3の分割IDT電極2104a、2104b、2104cの容量であり、Ca、CbおよびCcの合成容量が出力IDT電極2104の総容量Coutとなり、以下の式で表される。すなわち、第1の分割IDT電極2104aと第3の分割IDT電極2104cとが直列に接続され、第2の分割IDT電極2104bがそれらと並列に接続される構成となる。
【0064】
【数1】
Cout=(Ca・Cb+Cb・Cc+Cc・Ca)/(Ca+Cc)
ここで、出力IDT電極2104に含まれる電極指の対数をNとし、分割前の容量をC0、第1、第2、及び第3の分割IDT電極2104a、2104b、2104cのそれぞれの対数をNa、Nb、Ncとすると、次式が成り立つ。
【0065】
【数2】
N=Na+Nb+Nc
C0=Ca+Cb+Cc
Ca=(Ca+Cb+Cc)×Na/(Na+Nb+Nc)=C0×Na/(Na+Nb+Nc)
Cb=(Ca+Cb+Cc)×Nb/(Na+Nb+Nc)=C0×Nb/(Na+Nb+Nc)
Cc=(Ca+Cb+Cc)×Nc/(Na+Nb+Nc)=C0×Nc/(Na+Nb+Nc)
よって、分割後の合成容量Coutは以下のようになる。
【0066】
【数3】
Cout=C0×(Na・Nb+Nb・Nc+Nc・Na)/{(Na+Nc)×N}
弾性表面波フィルタにおけるインピーダンスはIDT電極の容量が支配的であるので、すなわち、分割IDT電極2104a、2104b、2104cの対数Na、Nb、Ncを変えることにより、入力IDT電極2104の総容量Coutを制御し、そして、インピーダンスを制御することが可能になる。
【0067】
例えば、インピーダンスの制御は次のように行うことが出来る。まず、所望のフィルタ特性を得るために設計時に入力IDT電極2104の対数N、電極指のピッチなどを決定する。次に、入力IDT電極2104の対数Nを固定したままで、分割IDT電極2104a、2104b、2104cの対数Na、Nb、Ncを変化させる。そうすると、数3から弾性表面波フィルタのインピーダンスを求めることが出来る。従って、数3を用いて所望のインピーダンスが得られるようなNa、Nb、Ncを決定することが出来る。このように、Nを固定し、Na、Nb、Ncの比を変えた場合には、弾性表面波フィルタのフィルタ特性は大きく変化しないことがわかっている。従って、本実施の形態の弾性表面波フィルタを用いることにより、所望のフィルタ特性を得るとともに、所望のインピーダンスを得るようにインピーダンスの制御を行うことが可能である。
【0068】
例えば、分割前の出力IDT電極のインピーダンスをZ0、容量をC0とした場合、分割IDT電極2104a、2104b,2104cの対数が等しいときには、すなわちNa=Nb=Ncとしたときには、Coutは1/2×C0となり、Coutは分割前の半分となる。また、数3から明らかなように、第2の分割IDT電極の対数Nbを少なくするにつれて、Coutは減少し、第2の分割IDT電極Nbの対数Nbを零にした場合には、Coutは1/4×C0になる。すなわち、この場合にはインピーダンスは分割前のほぼ4倍になる。
【0069】
従って、分割IDT電極の対数比を変えることによりインピーダンスが制御可能な縦モード型の弾性表面波フィルタが得られる。
【0070】
また、弾性表面波フィルタを実装する場合には、入力端子あるいは出力端子へ接続するためにパッド電極が必要となる。図5に示すのは、パッド電極を有する弾性表面波フィルタの概略図である。入力側パッド電極2301は引き回し電極2302a、2302bを介して入力IDT電極2102a、2102bに接続される。また、第1、及び第2の出力側パッド電極2303a、2303bはそれぞれ出力IDT電極の上側、及び下側に配置される。第1の出力側パッド電極2303aは第1の分割IDT電極2104aの上部バスバー電極2105aと第2の分割IDT電極の上部バスバー電極2105bに接続され、第2の出力側パッド電極2303bは第2の分割IDT電極2104bの下部バスバー電極2106bと第3の分割IDT電極2104cの下部バスバー電極2106cに接続される。このように、出力側の平衡型端子T1、T2の構造の対称性を保つことにより、バランス特性の優れた弾性表面波フィルタを実現することが出来る。
【0071】
なお、それぞれのパッド電極からの取り出しに関しては、ワイヤーを用いて取り出しても、フェースダウン実装によりパッド電極から直接取り出してもかまわない。
【0072】
なお、図3においては、分割IDT電極2104aと分割IDT電極2104cの電極指本数が同数であり、入力IDT電極2102aと分割IDT電極2104aの隣接する電極指は下部のバスバー電極より同方向に引き出されており、かつ、入力IDT電極2102bと分割IDT電極2104cの隣接する電極指は上部のバスバー電極より同方向に引き出されているとしたが、これは、図6に示すように、入力IDT電極2102aと分割IDT電極2104aの隣接する電極指はお互いに交差するようにそれぞれのバスバー電極から引き出され、かつ、入力IDT電極2102bと分割IDT電極2104cの隣接する電極指はお互いに交差するようにそれぞれのバスバー電極から引き出されていても、弾性表面波が打ち消されることなく励振される位置関係であれば、弾性表面波フィルタとしての特性は同様に得られる。
【0073】
なお、第1、第3の分割IDT電極2104a、2104cの分割対数を同数とし、分割IDT電極2104bの上下の電極指の本数を同数とすれば、平衡型出力端子のそれぞれに接続されるIDT電極指の対数は同じとなり、このような構成とすることにより、平衡度に優れる弾性表面波フィルタが得られる。
【0074】
なお、本実施の形態では、入力IDT電極2102a、2102bのそれぞれの上部のバスバー電極は入力端子Sに接続され、入力IDT電極2102a、2102bのそれぞれの下部のバスバー電極は接地されているとして説明したが、これに限らない。図12に示すように、入力IDT電極2102aの上部のバスバー電極と入力IDT電極2102bの下部のバスバー電極とが入力端子Sに接続され、入力IDT電極2102aの下部のバスバー電極と入力IDT電極2102bの上部のバスバー電極とが接地されていても構わない。あるいは、逆に入力IDT電極2102aの下部のバスバー電極と入力IDT電極2102bの上部のバスバー電極とが入力端子Sに接続され、入力IDT電極2102aの上部のバスバー電極と入力IDT電極2102bの下部のバスバー電極とが接地されていても構わない。すなわち、入力端子Sからの信号経路は構造的に上下逆側からの接続となる。また、入力IDT電極2102a及び2102bにおける電極指の配置は弾性表面波が打ち消し合わないような構成となる。
【0075】
また、図12においては入力IDT電極2102aと分割IDT電極2104aの隣接する電極指はそれぞれ上部バスバー電極と下部バスバー電極より交差するように引き出されており、かつ、入力IDT電極2102bと分割IDT電極2104cの隣接する電極指は上部電極より同方向に引き出されている。このため、入力IDT電極2102aと分割IDT電極2104a〜2104cとの接続が上下逆側となり、バランス特性改善効果が得られている。このような位置関係は電極指の本数などにより変わるものであるが、この位置関係とは異なった位置関係であってもよく、弾性表面波がうち消されることなく励振される位相関係でありさえすればよい。
【0076】
このような構成にすることにより、入力端子Sに接続される入力IDT電極2102a及び2102bからの引き出し配線と出力端子T1、T2に接続されるIDT電極2104からの引き出し配線との空間的な結合による平衡度の劣化を抑えることができ、さらに良好な平衡度を有する弾性表面波フィルタが得られる。
【0077】
なお、分割IDT電極を出力側として説明したが、これは入力側であっても同じである。この場合には、入力側のインピーダンスの制御が出来るものである。
【0078】
また、本実施の形態では、出力IDT電極2104が分割IDT電極2104a、2104b、2104cに分割されているとして説明したが、入力IDT電極2102a及び/または入力IDT電極2102bが、分割IDT電極に分割されて平衡型端子構成としても構わない。この場合には、入力側と出力側の両方が平衡型端子となりインピーダンスが制御出来るものである。
【0079】
なお、本実施の形態では、出力IDT電極2104は、分割IDT電極2104a、2104b、2104cの3つに分割されているとして説明したが、4つ、5つ、またはそれ以上の個数の分割IDT電極に分割されていても構わない。
【0080】
なお、出力IDT電極2104が、2つの分割IDT電極に分割されている場合、すなわち分割IDT電極2104bの電極指の本数が零の場合には、上部電極を平衡型端子T1に接続し、下部電極を平衡型端子T2に接続することが実現でき、平衡型端子間のアイソレーションを確保することが出来る。すなわち、図13に出力IDT電極2104が2つの分割IDT電極に分割されている場合を示す。図13では、入力IDT電極2102aの上部電極と入力IDT電極2102bの下部電極とが不平衡型端子Sに接続される構成とすることにより、入力IDT電極2102aの引き出し配線とT1、入力IDT電極2102bの引き出し配線とT2の空間的な結合による平衡度の劣化を抑えることが出来る。
【0081】
なお、本実施の形態の弾性表面波フィルタは、出力IDT電極2104が1個と、入力IDT電極2102a、2102bが2個の合計3個のIDT電極から構成されているとして説明したが、これに限らない。本実施の形態の弾性表面波フィルタは、2個、5個、7個など任意の個数のIDT電極から構成されていても構わない。
【0082】
なお、本実施の形態においては、第1、及び第2の分割IDT電極2104a、2104bにおける上部電極2105a、2105bは電気的に接続されるとしたが、これはそれぞれの上部電極を共通化して一つとしてもかまわない。また、第2、及び第3の分割IDT電極2104b、2104cにおける下部電極2106b、2106cは電気的に接続されるとしたが、これはそれぞれの下部電極を共通化して一つとしてもかまわない。
【0083】
また、図5に示したように、パッド電極2303a、2303bを用いる場合には、第1及び第2の分割IDT電極2104a、2104bにおける上部電極2105a、2105bを直接電気的に接続せず、パッド電極2303aを介して電気的に接続させても構わない。同様に第2及び第3の分割IDT電極2104b、2104cにおける下部電極2106b、2106cを直接電気的に接続せず、パッド電極2303bを介して電気的に接続させても構わない。
【0084】
また、分割IDT電極2104cにおける上部電極2105c及び分割IDT電極2104aにおける下部電極2106aの接地の方法に関して、入力IDT電極2102a、2102bの接地電極とは分離して、独立に接地しても構わないし、あるいは分割IDT電極2104cにおける上部電極2105cと分割IDT電極2104aにおける下部電極2106aとを実際に接地する代わりにそれらを電気的に接続することにより仮想接地としても構わない。なお、仮想接地とする場合とは、図4の容量等価回路で接地を除いた構成に相当する。これらの場合にはGNDからの信号の回り込みによる特性劣化を抑えることが出来る。
【0085】
また、本実施の形態においては、入力側を不平衡型とし、出力側を平衡型としているので、本実施の弾性表面波フィルタは平衡−不平衡の変換の役割も担うこととなる。すなわち、本実施の形態の弾性表面波フィルタはバランサーとしても機能することが出来る。
【0086】
以上のように、本実施の弾性表面波フィルタは、平衡型端子を有するとともに、弾性表面波フィルタの入出力インピーダンスも制御できるものである。
【0087】
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2の弾性表面波フィルタについて図面を参照して説明する。図7に、実施の形態2における弾性表面波フィルタの概略図を示す。
【0088】
図7において、2501は圧電基板であり、この圧電基板2501の上に、周期構造ストリップライン状に交差する櫛型電極パターンを構成することによって、弾性表面波を励起させることができる。圧電基板2501の上には、入力IDT電極2502a、2502bと反射器電極2503a、2503bと出力IDT電極2504によって構成される縦モード型の弾性表面波フィルタが形成されている。
【0089】
上述の弾性表面波フィルタにおいて、入力IDT電極2502aの上部電極は一方の入力端子S1に接続され、入力IDT電極2502bの上部電極は他方の入力端子S2に接続され、入力IDT電極2502a、2502bの下部電極は接地されている。本実施の形態2は入力IDT電極2502a、2502bが平衡型となっている点で、実施の形態1と異なる。
【0090】
また、S1とS2とは平衡型端子を構成し、入力IDT電極2502a、2502bにS1及びS2からそれぞれ入力される信号は互いに位相が逆相になっている。また、入力IDT電極2502aと分割IDT電極2504aの隣接する電極指はそれぞれ下部と上部のバスバー電極より交差するように引き出されており、かつ、入力IDT電極2502bと分割IDT電極2504cの隣接する電極指は上部のバスバー電極より同方向に引き出されている。この位置関係は電極指の本数などにより変わるものであり、この位置関係とは異なった位置関係であってもよく、弾性表面波がうち消されることなく励振される位相関係でありさえすればよい。
【0091】
さらに、出力IDT電極2504は、第1、第2および第3の分割IDT電極2504a、2504b及び2504cの3つのグループの接続により構成されている。ここで、第1の分割IDT電極2504aと第2の分割IDT電極2504bと第3の分割IDT電極2504cとはそれぞれ同相に配置されている。第1、及び第2の分割IDT電極2504a、2504bにおける上部電極2505a、2505bは電気的に接続され、平衡型出力端子の一端T1に接続される。第2、及び第3の分割IDT電極2504b、2504cにおける下部電極2506b、2506cは電気的に接続され、平衡型出力端子の他端T2に接続される。また、第1の分割IDT電極2504aにおける下部電極2506a、第3の分割IDT電極2504cにおける下部電極2506cは接地される。
【0092】
以上のように構成される実施の形態2における弾性表面波フィルタは、実施の形態1と、入力端子が平衡型という点と、入力IDT電極の配置についてのみ異なるだけであり、出力IDT電極における分割の方法やその動作及び、効果に関しては同様である。
【0093】
さらに、上記の構成においては、入力IDT電極2502a、2502bへの信号は逆相であるため、空間的な結合による特性劣化を抑えることが出来、入力IDT2502a、2502bと出力IDT2504との直接的な結合による平衡度の劣化を小さくすることができる。
【0094】
なお、本実施の形態においては、第1、及び第2の分割IDT電極2504a、2504bにおける上部電極2505a、2505bは電気的に接続されるとしたが、これはそれぞれの上部電極を共通化して一つとしてもかまわない。また、第2、及び第3の分割IDT電極2504b、2504cにおける下部電極2506b、2506cは電気的に接続されるとしたが、これはそれぞれの下部電極を共通化して一つとしてもかまわない。また、実施の形態1と同様にパッド電極を用いる場合には、第1及び第2の分割IDT電極2504a、2504bにおける上部電極2505a、2505bを直接電気的に接続せず、実施の形態1と同様にパッド電極を介して電気的に接続させても構わない。同様に第2及び第3のIDT電極2504b、2504cにおける下部電極2506b、2506cを実施の形態1と同様に直接電気的に接続せず、パッド電極を介して電気的に接続させても構わない。
【0095】
また、分割IDT電極2504cにおける上部電極2505c及び分割IDT電極2504aにおける下部電極2506aの接地の方法に関して、入力IDT電極2502a、2502bの接地電極とは分離して、独立に接地するか、あるいは分割IDT電極2504cにおける上部電極2505cと分割IDT電極2504aにおける下部電極2506aとを電気的に接続しても構わない。
【0096】
このように、本実施の形態に関しては、上述の弾性表面波フィルタを左右対称の構成としても、得られる効果は同様である。
【0097】
(実施の形態3)
以下、本発明の実施の形態3の弾性表面波フィルタについて図面を参照して説明する。図8に、実施の形態3における弾性表面波フィルタの概略図を示す。
【0098】
図8において、2601は圧電基板であり、この圧電基板2601の上に、周期構造ストリップライン状に交差する電極パターンを構成することによって、弾性表面波を励起させることができる。圧電基板2601の上には、入力IDT電極2102a、2102bと反射器電極2103a、2103bと出力IDT電極2104によって構成される縦モード型の弾性表面波フィルタが形成され、この構成においては実施の形態1で示される弾性表面波フィルタと同様である。
【0099】
上述の弾性表面波フィルタにおいて、入力IDT電極2102a、2102bの上部電極は、反射器電極2602a、2602bとIDT電極2603とにより形成される弾性表面波共振子2604を直列に介して入力端子Sに接続される。さらに、弾性表面波共振子2604と入力IDT電極2102a、2102bの上部電極の間には、反射器電極2605a、2605bとIDT電極2606とにより形成される弾性表面波共振子2607が並列に接続され、弾性表面波共振子2607の一端は接地されている。
【0100】
上述の弾性表面波における通過特性を図9に示す。図9(a)に分割前の構成、すなわち出力IDT電極として図19に示す従来構成を用いたときの通過特性を示す。図9(a)において、出力IDTの対数は18対とし、出力インピーダンスは50Ωに設計している。図9(b)は、第1、第2、及び第3の分割IDT電極2104a、2104b、2104cの対数をそれぞれ6対とし、出力インピーダンスを100Ωと設計した時の特性である。図9の通過特性に関して、出力側のインピーダンスの条件は、(a)を50Ω(b)を100Ωとして評価したときの結果である。図9(b)において、出力IDT電極の合成容量は分割前に比べて1/2の大きさとなり、インピーダンスは2倍の100Ωとなる設計である。図9(b)より分割IDT電極を用いた弾性表面波フィルタの波形は、分割前の図9(a)とほぼ同等の通過特性を得ていながら、出力インピーダンスを変化させることを実現している。
【0101】
なお、本実施の形態においては、入力IDT電極2102a、2102bと入力端子Sとの間に直列に弾性表面波共振子2604と並列に弾性表面波共振子2607を配置しているが、これは、図10に示すように、縦モード型の弾性表面波フィルタを配置して、2段構成の弾性表面波フィルタとしても構わない。
【0102】
図10において、2801は圧電基板であり、1段目の弾性表面波フィルタ2802は入力IDT電極2803と反射器電極2804a、2804bと出力IDT電極2805a、2805bによって構成される。入力IDT電極2803の上部電極は入力端子Sに接続され、下部電極は接地されている。出力IDT電極2805aの上部電極は接地され、下部電極は2段目の弾性表面波フィルタ2806の入力IDT電極2102aに接続される。また、出力IDT電極2805bの上部電極は接地され、下部電極は2段目の弾性表面波フィルタ2806の入力IDT電極2102bに接続される。ここで、2段目の弾性表面波フィルタ2806は実施の形態1で示した図3の構成と同様の構成である。
【0103】
すなわち、1段目の弾性表面波フィルタ2802の入力IDT電極2803と出力IDT電極2805aの隣接する電極指は下部のバスバー電極より同方向に引き出されており、かつ、入力IDT電極2803と出力IDT電極2805cの隣接する電極指は下部のバスバー電極より同方向に引き出されている。この場合には、1段目の弾性表面波フィルタ2801の出力IDT電極2805a、2805bからは同相信号が2段目の弾性表面波フィルタ2806に伝えられる。
【0104】
なお、ここで、1段目の弾性表面波フィルタ2802の入力IDT電極2803と出力IDT電極2805aの隣接する電極指は下部電極より同方向に引き出されており、かつ、入力IDT電極2803と出力IDT電極2805bの隣接する電極指は下部電極より同方向に引き出されているとしたが、これは、入力IDT電極2805と出力IDT電極2805aの隣接する電極指はお互いに交差するようにそれぞれの電極から引き出され、かつ、入力IDT電極2803と出力IDT電極2805bの隣接する電極指はお互いに交差するようにそれぞれの電極から引き出されていても、出力IDT電極2805a、2805bは弾性表面波が打ち消し合わない位相関係であれば、弾性表面波フィルタとしての特性は同様に得られる。
【0105】
また、この位置関係は電極指の本数などにより変わるものであり、この位置関係とは異なった位置関係であってもよく、弾性表面波がうち消されることなく励振される位相関係でありさえすればよい。
【0106】
また、本実施の形態においては、入力IDT電極2102a、2102bと入力端子Sとの間に直列に弾性表面波共振子2604と並列に弾性表面波共振子2607を配置しているが、図11に示すように、縦モード型の弾性表面波フィルタを配置して、2段構成の弾性表面波フィルタとしても構わない。
【0107】
図11において、2901は圧電基板であり、1段目の弾性表面波フィルタ2902は入力IDT電極2903と反射器電極2904a、2904bと出力IDT電極2905a、2905bによって構成される。入力IDT電極2903の上部電極は入力端子Sに接続され、下部電極は接地されている。出力IDT電極2905aの上部電極は接地され、下部電極は2段目の弾性表面波フィルタ2906の入力IDT電極2502aに接続される。また、出力IDT電極2905bの上部電極は接地され、下部電極は2段目の弾性表面波フィルタ2906の入力IDT電極2502bに接続される。ここで、2段目の弾性表面波フィルタ2906は実施の形態2で示した構成と同様の構成である。
【0108】
さらに、1段目の弾性表面波フィルタ2902の出力IDT電極2905a、2905bは逆相となるような位置関係となる。すなわち、1段目の弾性表面波フィルタ2902の出力IDT電極2905a、2905bからは逆相信号が2段目の弾性表面波フィルタ2906に伝えられる。
【0109】
以上のような構成とすることにより、1段目の弾性表面波フィルタ2902の出力IDT電極2905a、2905bからの信号は逆相となるため、2段目の弾性表面波フィルタまでの経路での空間的な結合による特性の劣化を抑えることができ、2段目の弾性表面波フィルタ2906における入力IDT電極2502a、2502bと出力IDT2504との直接的な結合による平衡度の劣化を小さくすることができる。
【0110】
なお、本実施の形態において、1段目と2段目の両方に、分割IDT電極を用いた弾性表面波フィルタを配置することにより、入力側と出力側の両方のインピーダンスを制御することが可能となる。
【0111】
また、本発明の弾性表面波フィルタはインピーダンスの制御が可能であり、これを移動体通信機器に用いることにより、ICなどのインピーダンス整合がとりやすくなり、高性能な通信機器を実現できる。
【0112】
このように、本実施の形態によれば、平衡型端子を有する入出力インピーダンスが制御可能な縦モード型弾性表面波フィルタを提供することができるという長所を有する。
【0113】
なお、本発明の弾性表面波フィルタを送信回路及び/または受信回路に用いた通信機器も本発明に属する。
【0114】
(実施の形態4)
以下、本発明の実施の形態4の弾性表面波フィルタについて図面を参照して説明する。図14に、実施の形態4における弾性表面波フィルタの概略図を示す。
【0115】
図14において、2101は圧電基板であり、この圧電基板2101の上に、周期構造ストリップライン状に交差する櫛型電極パターンを構成することによって、弾性表面波を励起させることができる。圧電基板2101の上には、入力IDT電極2102a、2102bと反射器電極2103a、2103bと、出力IDT電極2104によって構成される縦モード型の弾性表面波フィルタが形成されている。
【0116】
上述の弾性表面波フィルタにおいて、入力IDT電極2102aの上部電極及び入力IDT電極2102bの上部電極は、ともに不平衡型の入力端子Sに接続され、入力IDT電極2102a及び入力IDT電極2102bの下部電極はともに接地されている。
【0117】
また出力IDT電極2104は、第1、第2、第3、及び第4の分割IDT電極2104b1、2104a、2104c、2104b2の4つに分割されており、4つの分割IDT電極2104b1、2104a、2104c、2104b2のグループの接続により構成されている。ここで、第1の分割IDT電極2104b1と第2の分割IDT電極2104a、第3の分割IDT電極2104cと第4の分割IDT電極2104b2とは、それぞれ同相に配置されている。
【0118】
すなわち、出力IDT電極2104は、実施の形態1の図1の出力IDT電極2104の第2の分割IDT電極2104bをさらに2つに分割して分割IDT電極2104b1、分割IDT電極2104b2とし、分割IDT電極2104b及び分割IDT電極2104b2をそれぞれ分割IDT電極2104a及び分割IDT電極2104bの外側に配置した構成である。
【0119】
また、第1の分割IDT電極2104b1の上部電極2105b1、第3の分割IDT電極2104cの上部電極2105c、及び第4の分割IDT電極2104b2の上部電極2105b2は、平衡型出力端子の一端T1に接続される。また、第1の分割IDT電極2104b1の下部電極2106b1、第2の分割IDT電極2104aの下部電極2106a、及び第4のIDT電極2104b2の下部電極2106b2は、平衡型出力端子の他端T2に接続されている。
【0120】
そして、第2の分割IDT電極2104aの上部電極2105a及び第3の分割IDT電極2104cの下部電極は、ともに接地されている。
【0121】
以上のように構成される実施の形態4における弾性表面波フィルタについて、以下、その動作を説明する。
【0122】
図15は実施の形態4の容量等価回路図であり、Cb1、Ca、Cc、およびCb2はそれぞれ第1、第2、第3、第4の分割IDT電極2104b1、2104a、2104c、2104b2の容量であり、Cb1、Ca、Cc、及びCb2の合成容量が出力IDT電極2104の総容量Coutとなり、以下の式で表される。すなわち、第2の分割IDT電極2104aと第3の分割IDT電極2104cとが直列に接続され、第1の分割IDT電極b1及び第4の分割IDT電極がそれぞれ、第2の分割IDT電極2104aと第3の分割IDT電極2104cとに対して並列に接続される構成となる。
【0123】
【数4】
Cout=(Ca・(Cb1+Cb2)+Cb・(Cb1+Cb2) ・Cc+Cc・Ca)/(Ca+Cc)
ただし、図3の第2の分割IDT電極2104bの電極指の対数と第1の分割IDT電極2104b1の電極指対の数と第4の分割IDT電極2104b2の電極指対との合計数とが等しいものとする。
【0124】
数4は、数1のCbの部分を(Cb1+Cb2)に置き換えたものに相当する。従って、実施の形態1で説明したのと同様にして、本実施の形態の弾性表面波フィルタについても分割IDT電極2104b1、2104a、2104c、2104b2それぞれの電極指の対数Nb1、Na、Nc、Nb2を変えることにより、入力IDT電極2104の総容量Coutを制御する、すなわち、インピーダンスを制御することが可能になる。
【0125】
これ以外は実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
【0126】
なお、実施の形態4においても上記各実施の形態で説明した種々の変形例を適用できることはいうまでもない。
【0127】
(実施の形態5)
以下、本発明の実施の形態5の弾性表面波フィルタについて図面を参照して説明する。図16に、実施の形態5における弾性表面波フィルタの概略図を示す。
【0128】
図16において、2101は圧電基板であり、この圧電基板2101の上に、周期構造ストリップライン状に交差する櫛型電極パターンを構成することによって、弾性表面波を励起させることができる。圧電基板2101の上には、入力IDT電極2102a、2102bと反射器電極2103a、2103bと、出力IDT電極2104によって構成される縦モード型の弾性表面波フィルタが実施の形態4と同様に形成されている。
【0129】
上述の弾性表面波フィルタにおいて、入力IDT電極2102aの上部電極及び入力IDT電極2102bの上部電極は、ともに不平衡型の入力端子Sに接続され、入力IDT電極2102a及び入力IDT電極2102bの下部電極はともに接地されている。
【0130】
また出力IDT電極2104は、実施の形態4と同様に第1、第2、第3、及び第4の分割IDT電極2104b1、2104a、2104c、2104b2の4つに分割されており、4つの分割IDT電極2104b1、2104a、2104c、2104b2のグループの接続により構成されている。
【0131】
また、第1の分割IDT電極2104b1の上部電極2105b1、第3の分割IDT電極2104cの上部電極2105c、及び第4の分割IDT電極2104b2の上部電極2105b2は、電気的に接続されて、平衡型出力端子の一端T1に接続される。また、第1の分割IDT電極2104b1の下部電極2106b1、第2の分割IDT電極2104aの下部電極2106a、及び第4のIDT電極2104b2の下部電極2106b2は、電気的に接続されて、平衡型出力端子の他端T2に接続されている。
【0132】
すなわち、実施の形態4とは異なり、第3の分割IDT電極2104cの上部電極2105cと第4の分割IDT電極2104b2の上部電極2105b2とは電気的に接続されてから平衡型出力端子の一端T1に接続されている。同様に、実施の形態4とは異なり、第1の分割IDT電極2104b1の下部電極2106b1と第2の分割IDT電極2104aの下部電極2106aとは電気的に接続されてから平衡型出力端子の他端T2に接続されている。
【0133】
さらに、実施の形態4とは異なり、第2の分割IDT電極2104aの上部電極2105aから引き出されている電極指のうち第3の分割IDT電極2104cの電極指に隣接する電極指は、第3の分割IDT電極2104cの下部電極2106cにも接続している。そして、第3の分割IDT電極2104cの下部電極2106cから引き出されている電極指尾のうち第2の分割IDT電極2104aの電極指に隣接している電極指は第2の分割IDT電極2104aの上部電極2105aにも接続している。
【0134】
すなわち、実施の形態5ではいずれの分割IDT電極2104b1、2104a、2104c、2104b2も接地されていない。
【0135】
以上のように構成される実施の形態5における弾性表面波フィルタについて、以下、その動作を実施の形態4との相違点を中心に説明する。
【0136】
図17は実施の形態5の容量等価回路図であり、Cb1、Ca、Cc、およびCb2はそれぞれ第1、第2、第3、第4の分割IDT電極2104b1、2104a、2104c、2104b2の容量であり、Cb1、Ca、Cc、及びCb2の合成容量が出力IDT電極2104の総容量Coutとなり、これは実施の形態4で示した数4で表される。
【0137】
すなわち、実施の形態5では、出力IDT電極2104のいずれの分割IDT電極をも接地しない代わりに、第2の分割IDT電極2104aの上部電極2105aと第3の分割IDT電極2104cの下部電極2106cとを電気的に接続することによって、仮想接地を実現した。
【0138】
従って、実施の形態4と同等の効果を得ることが出来ることに加え、さらに、本実施の形態では、IDT電極2104のいずれの分割IDT電極も接地されていないので、信号の接地からの回り込みによる特性劣化をも防ぐことが出来、特にバランス特性を改善することが出来る。
【0139】
なお、実施の形態5においても上記各実施の形態で説明した種々の変形例を適用できることはいうまでもない。
【0140】
なお、本実施の形態の弾性表面波フィルタを左右対称の構成としても、得られる効果は同様である。
【0141】
なお、本発明の圧電基板は、単結晶の圧電材料から形成されるものであっても構わないし、所定の基板上に圧電材料の薄膜を形成した基板であっても構わない。また、単結晶の圧電材料とは、例えば、LiNbO3、LiTaO3、水晶や、その他にLi2B4O7などを用いることができ、薄膜として用いる圧電材料としては、ZnO系薄膜、AlN等を用いることが出来る。また、所定の基板上に圧電材料の薄膜を形成した基板とは、例えばシリコン基板上にダイアモンド薄膜を形成し、その後ZnOなどの圧電材料をスパッタリングなどにより成膜して圧電材料の薄膜にした基板である。
【0142】
(実施の形態6)
以下、本発明の実施の形態6の通信機器について図面を参照にして説明する。
【0143】
図18に示すのは、本発明の弾性表面波フィルタ、または平衡型フィルタを用いた通信機器1001のブロック図である。図18において、送信回路から出力される送信信号は、送信増幅器1002、送信フィルタ1003、スイッチ1004を介してアンテナ1005より送信される。また、アンテナ1005より受信された受信信号は、スイッチ1004、受信フィルタ1006、受信増幅器1007を介して受信回路に入力される。
【0144】
ここで、送信増幅器1002は平衡型であり、スイッチ1004は不平衡型であるので、送信フィルタ1003は不平衡−平衡型端子を有する構成となる,また,受信増幅器1007は平衡型であり、スイッチ1004は不平衡型であるので、受信フィルタ1006は不平衡−平衡型端子を有する構成となる。
【0145】
本発明の実施の形態の弾性表面波フィルタ、または平衡型フィルタを通信機器1001の送信フィルタ1003、または受信フィルタ1006に適用することにより、バランス特性の劣化による送信時の変調精度劣化を抑えることができ、また.バランス特性の劣化による受信時の感度劣化を抑えることができ、高性能な通信機器を実現することができる。
【0146】
なお、本実施の形態6において、送信フィルタ1003、 受信フィルタ1006を不平衡−平衡型として説明したが、これはスイッチ1004が平衡型の場合には、送信フィルタ1003、受信フィルタ1006を平衡型とすればよい。
【0147】
また、スイッチ1004が平衡型であり、送信増幅器1002または受信増幅器1007が不平衡型の場合には、送信フィルタ1003または受信フィルタ1006の平衡型と不平衡型の入出力端子を入れ替えることにより同様の効果が得られる。
【0148】
また、通信機器1001において、送信と受信とを切り換える手段としてスイッチ1004を用いて説明したが,これは共用器であってもかまわない。
【0149】
なお、本実施の形態の弾性表面波フィルタは、平衡型端子間に整合回路としてのインダクタンスを付加することなく、インピーダンス整合が可能となる。従って、本実施の形態の弾性表面波フィルタを移動体通信機器に適用することにより移動体通信機器のさらなる小型化を実現することが出来る。
【0150】
また、本発明における圧電基板としては、STカット水晶やLiTaO3,LiNbO3,Li2B4O7,La3Ga3SiO14等を基板として使用することができる。また、電極材料としては、膜厚制御の容易な比較的密度の小さいアルミニウムを用いるのが好ましいが、金電極の使用も可能である。
【0151】
さらに、本発明は、上述した様な弾性表面波のみでなく、弾性表面波の一種である、すべり波(Surface Skimming Balk Wave)や擬似表面波(Pseudo suface waves)等を利用した共振器にも適用できる。
【0152】
【発明の効果】
以上説明したところから明らかなように、本発明は、良好な平衡度を有し、入出力インピーダンスの制御が可能な弾性表面波フィルタ及び通信機器を提供することが出来る。
【0153】
また、本発明は、所望の入出力インピーダンスを有するインターディジタルトランスデューサ、弾性表面波フィルタ、及び通信機器を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態におけるインターディジタルトランスデューサの概要を示
す構成図
【図2】本発明の実施の形態におけるもう一つのインターディジタルトランスデューサ
の概要を示す構成図
【図3】本発明の実施の形態1における弾性表面波フィルタの構成図
【図4】本発明の実施の形態1における弾性表面波フィルタの容量等価回路図
【図5】本発明の実施の形態1におけるパッド電極を有する弾性表面波フィルタの構成
図
【図6】本発明の実施の形態1における弾性表面波フィルタの他の構成図
【図7】本発明の実施の形態2における弾性表面波フィルタの構成図
【図8】本発明の実施の形態3における弾性表面波フィルタの構成図
【図9】(a)従来の弾性表面波フィルタの構成図
(b)本発明の実施の形態3における弾性表面波フィルタの構成図
【図10】本発明の実施の形態3における弾性表面波フィルタの他の構成図
【図11】本発明の実施の形態3における弾性表面波フィルタの他の構成図
【図12】本発明の実施の形態1における弾性表面波フィルタの他の構成図
【図13】本発明の実施の形態1における弾性表面波フィルタの他の構成図
【図14】本発明の実施の形態4における弾性表面波フィルタの構成図
【図15】本発明の実施の形態4における弾性表面波フィルタの容量等価回路図
【図16】本発明の実施の形態5における弾性表面波フィルタの構成図
【図17】本発明の実施の形態5における弾性表面波フィルタの容量等価回路図
【図18】本発明の実施の形態6における通信機器の構成を示す図
【図19】従来の弾性表面波フィルタの構成図
【図20】従来の横モード型弾性表面波フィルタの構成図
【符号の説明】
184a 第1の分割IDT電極
184b 第2の分割IDT電極
184c 第3の分割IDT電極
2101 圧電基板
2102a、2102b 入力IDT電極
2103a、2103b 反射器電極
2104 出力IDT電極
2104a 第1の分割IDT電極
2104b 第2の分割IDT電極
2104c 第3の分割IDT電極
2105a、2105b、2105c 上部電極
2106a、2106b、2106c 下部電極
2301 入力側パッド電極
2303a 第1の出力側パッド電極
2303b 第2の出力側パッド電極
2302a、2302b 引き回し配線
2501 圧電基板
2502a、2502b 入力IDT電極
2503a、2503b 反射器電極
2504 出力IDT電極
2504a、2504b、2504c 分割IDT電極
2505a、2505b、2505c 上部電極
2506a、2506b、2506c 下部電極
2601 圧電基板
2602a、2602b 反射器電極
2603 IDT電極
2604 弾性表面波共振子
2605a、2605b 反射器電極
2606 IDT電極
2607 弾性表面波共振子
2801 弾性表面波共振子
2802 1段目の弾性表面波フィルタ
2803 入力IDT電極
2804a、2804b 反射器電極
2805a、2805b 出力IDT電極
2806 2段目の弾性表面波フィルタ
2901 圧電基板
2902 1段目の弾性表面波フィルタ
2903 入力IDT電極
2904a、2904b 反射器電極
2905a、2905b 出力IDT電極
2906 2段目の弾性表面波フィルタ
2502a、2502b 入力IDT電極
2504 出力IDT電極
【特許請求の範囲】
【請求項1】圧電基板と、
前記圧電基板上に配置され、一対の互いに対向して配置された上部バスバー電極及び下部バスバー電極、及びそれぞれ、その上部バスバー電極及び下部バスバー電極のいずれかのバスバー電極から、そのいずれかのバスバー電極とは異なる方のバスバー電極の側に引き出された電極指複数を有するインターディジタルトランスデューサ電極であるIDT電極複数と、
前記圧電基板上に配置された複数の反射器電極と、
前記圧電基板上に配置された平衡型端子とを備え、
複数の前記IDT電極及び複数の前記反射器電極をそれぞれ弾性表面波の伝搬方向に沿って配置した縦モード型の弾性表面波フィルタであって、
複数の前記IDT電極のうち少なくとも1つのIDT電極は、3つ以上の分割IDT電極により構成されており、前記分割IDT電極は前記平衡型端子に電気的に接続され、
少なくとも2つの前記分割IDT電極は、等価的に直列接続されており、残りの前記分割IDT電極の少なくとも1つの分割IDT電極は、前記少なくとも2つの分割IDT電極に並列に接続されている弾性表面波フィルタ。
【請求項2】前記複数の分割IDT電極それぞれの電極指の本数の比は、所定のインピーダンス値を有するように予め調整されている請求項1記載の弾性表面波フィルタ。
【請求項3】前記複数の分割IDT電極はそれぞれ互いに他の前記分割IDT電極の電荷を打ち消し合わないように、同相関係及び/または逆相関係に配置されている請求項2記載の弾性表面波フィルタ。
【請求項4】前記第2の分割IDT電極は、前記第1の分割IDT電極と前記第3の分割IDT電極との間に同相関系で配置されており、
前記上部バスバー電極の前記第1の分割IDT電極に対応する部分と前記上部バスバー電極の前記第2の分割IDT電極に対応する部分とが前記平衡型端子の一方に接続され、かつ前記下部バスバー電極の前記第2の分割IDT電極に対応する部分と前記下部バスバー電極の前記第3の分割IDT電極に対応する部分とが前記平衡型端子の他方に接続され、
前記下部バスバー電極の前記第1の分割IDT電極に対応する部分と前記上部バスバー電極の前記第3の分割IDT電極に対応する部分とは接続されている請求項1記載の弾性表面波フィルタ。
【請求項5】前記第2の分割IDT電極は、前記第1の分割IDT電極と前記第3の分割IDT電極との間に配置されており、
前記下部バスバー電極の前記第1の分割IDT電極に対応する部分と前記上部バスバー電極の前記第2の分割IDT電極に対応する部分とが接続され、かつ前記下部バスバー電極の前記第2の分割IDT電極に対応する部分と前記下部バスバー電極の前記第3の分割IDT電極に対応する部分とが接続され、
前記第1の分割IDT電極の上部バスバー電極と前記第3の分割IDT電極の下部バスバー電極とは接続されている請求項1記載の弾性表面波フィルタ。
【請求項6】前記複数の分割IDT電極は、第1、第2、第3、及び第4の分割IDT電極から構成されている請求項3記載の弾性表面波フィルタ。
【請求項7】前記複数の分割IDT電極は、前記第1、第2、第3、及び第4の分割IDT電極の順に配置されており、
前記上部バスバー電極の前記第1の分割IDT電極に対応する部分と、前記上部バスバー電極の前記第3の分割IDT電極に対応する部分と、前記上部バスバー電極の前記第4の分割IDT電極に対応する部分とは同相関係で接続されており、
前記下部バスバー電極の前記第1の分割IDT電極に対応する部分と、前記下部バスバー電極の前記第2の分割IDT電極に対応する部分と、前記下部バスバー電極の前記第4の分割IDT電極に対応する部分とは、接続されている請求項6記載の弾性表面波フィルタ。
【請求項8】前記複数の電極指における、隣接する一対の電極指の実質上全ての組は、それぞれ同相関係にあり、
かつ前記複数の電極指の実質上全ては、それぞれの電荷が互いに他を打ち消し合わないように接続されている請求項7記載の弾性表面波フィルタ。
【請求項9】前記上部バスバー電極の前記第2のIDT電極に対応する部分は接地されており、
前記下部バスバー電極の前記第3のIDT電極に対応する部分は接地されている請求項7記載の弾性表面波フィルタ。
【請求項10】前記上部バスバー電極の前記第2のIDT電極に対応する部分は、前記下部バスバー電極の前記第3のIDT電極に対応する部分と接続されている請求項7記載の弾性表面波フィルタ。
【請求項11】前記接続するとは、前記第2の分割IDT電極と前記第3の分割IDT電極とが隣接する部位の一対の前記電極指のうち前記第2の分割IDT電極の電極指を前記上部電極の前記第2の分割IDT電極に対応する部分と前記下部電極の前記第3の分割IDT電極に対応する部分にともに接続し、
一対の前記電極指のうち、前記第3の分割IDT電極の電極指を前記下部電極の前記第3の分割IDT電極に対応する部分と前記上部電極の前記第2の分割IDT電極に対応する部分とにともに接続することである請求項10記載の弾性表面波フィルタ。
【請求項12】3個の前記IDT電極は、第1、第2、及び第3のIDT電極であり、
前記第1のIDT電極の両側には、それぞれ前記第2のIDT電極及び前記第3のIDT電極が配置されており、
前記第2のIDT電極の前記第1のIDT電極とは逆側、及び前記第3のIDT電極の前記第1のIDT電極とは逆側にそれぞれ前記反射器電極が配置されている請求項1記載の弾性表面波フィルタ。
【請求項13】前記第2のIDT電極の上部バスバー電極は、不平衡型端子に接続されており、その上部バスバー電極は接地されており、
前記第3のIDT電極の下部バスバー電極は、前記不平衡型端子に接続されており、その下部バスバー電極は接地されている請求項12記載の弾性表面波フィルタ。
【請求項14】圧電基板と、前記圧電基板上に配置された複数のIDT電極及び複数の反射器電極とを有する縦モード型の弾性表面波フィルタを複数個備え、
前記複数個の弾性表面波フィルタは、多段に接続されており、
前記複数個の弾性表面波フィルタのうち少なくとも入力側の弾性表面波フィルタ及び/または出力側の弾性表面波フィルタには、請求項1記載の弾性表面波フィルタが用いられており、前記複数個の弾性表面波フィルタのうち少なくとも入力側の弾性表面波フィルタ及び/または出力側の弾性表面波フィルタの前記圧電基板は、請求項1記載の弾性表面波フィルタの圧電基板が用いられている弾性表面波フィルタ。
【請求項15】前記複数個とは2個であり、
前記複数個の弾性表面波フィルタとは、第1の弾性表面波フィルタ及び第2の弾性表面波フィルタであり、
前記第1、及び第2の弾性表面波フィルタは、それぞれ少なくとも3個のIDT電極から構成されており、
前記第1、及び第2の弾性表面波フィルタは、縦続きに接続されており、
前記第1、及び第2の弾性表面波フィルタは、それぞれ少なくとも2個のIDT電極を用いて2箇所で接続されており、
前記IDT電極の一方の信号の位相と、前記IDT電極の他方の信号の位相とが逆相である請求項14記載の弾性表面波フィルタ。
【請求項16】2個の前記IDT電極によって構成され、
2個の前記IDT電極のうち少なくとも1個のIDT電極には、請求項1記載のIDT電極が用いられており、
前記IDT電極の前記上部バスバー電極の前記第1の分割IDT電極に対応する部分及び/またはそのIDT電極の前記上部バスバー電極の前記第2の分割IDT電極に対応する部分は前記平衡型端子の一端に接続されており、
前記IDT電極の前記下部バスバー電極の前記第2の分割IDT電極に対応する部分及び/またはそのIDT電極の下部バスバー電極の前記第3の分割IDT電極に対応する部分は前記平衡型端子の他端に接続されている弾性表面波フィルタ。
【請求項17】5個の前記IDT電極によって構成され、
5個の前記IDT電極のうち少なくとも1個のIDT電極には、請求項1記載のIDT電極が用いられており、
前記IDT電極の前記上部バスバー電極の前記第1の分割IDT電極に対応する部分及び/またはそのIDT電極の前記上部バスバー電極の前記第2の分割IDT電極に対応する部分は前記平衡型端子の一端に接続されており、
前記IDT電極の前記下部バスバー電極の前記第2の分割IDT電極に対応する部分及び/またはそのIDT電極の下部バスバー電極の前記第3の分割IDT電極に対応する部分は前記平衡型端子の他端に接続されている弾性表面波フィルタ。
【請求項18】送信波を出力する送信回路と、
受信波を入力する受信回路とを備えた通信機器であって、
前記送信回路および/または前記受信回路には、請求項1記載の弾性表面波フィルタが用いられている通信機器。
【請求項19】圧電基板と、
前記圧電基板上に配置され、一対の互いに対向して配置された上部バスバー電極及び下部バスバー電極、及びそれぞれ、その上部バスバー電極及び下部バスバー電極のいずれかのバスバー電極から、そのいずれかのバスバー電極とは異なる方のバスバー電極の側に引き出された電極指複数を有するインターディジタルトランスデューサ電極であるIDT電極複数と、
前記圧電基板上に配置された複数の反射器電極と、
前記圧電基板上に配置された平衡型端子と、
複数の前記IDT電極及び複数の前記反射器電極をそれぞれ弾性表面波の伝搬方向に沿って配置した縦モード型の弾性表面波フィルタであって、
複数の前記IDT電極のうち少なくとも1つのIDT電極は、2つの分割IDT電極により構成されており、前記2つの分割IDT電極の一方は上部バスバー電極で前記平衡型端子に電気的に接続され、前記2つの分割IDT電極の他の一方は下部電極で前記平衡型端子に電気的に接続され、
前記2つの分割IDT電極は、等価的に直列接続されている弾性表面波フィルタ。
【請求項20】前記圧電基板上に配置された不平衡型端子をさらに加え、
前記2つの分割IDT電極を挟んで隣接配置された2つのIDT電極は、前記2つの分割IDT電極に並列に接続されており、
前記2つのIDT電極の一方の上部バスバー電極と、前記2つのIDT電極の他方の下部バスバー電極は前記不平衡型端子と電気的に接続されている請求項19記載の弾性表面波フィルタ。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、平衡型端子を有する縦モード型弾性表面波フィルタ、及びそれを用いた通信機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
弾性表面波(SAW)を用いたエレクトロメカニカル機能部品は、波の音速が数km/sであり、波のエネルギーが伝搬媒体の表面に集中する性質を有することからハードウェアの高密度化の流れの中で注目され、インタディジタルトランスデューサ(IDT電極)電極の開発と薄膜作成技術、表面加工技術の進歩によって、レーダ用遅延線、テレビジョン受像機用帯域フィルタなどに実用化され、現在では、無線通信機器送受信回路のRF、IF段のフィルタとして広く使用されている。
【0003】
近年、対雑音特性の良好化を目的としてICなどの半導体部品の平衡化が進み、RF段に使用される弾性表面波フィルタにおいても平衡化が求められている。
また、近年では、前後に配置されるICとのインピーダンス整合の観点から、弾性表面波のインピーダンスを制御することが求められている。従来より、RF段のフィルタとしては、縦モード型の弾性表面波フィルタが広く用いられている。
【0004】
以下、従来の平衡型入出力端子を有する縦モード型の弾性表面波フィルタについて説明する。
【0005】
図19に従来の平衡型入出力端子を有する縦モード型の弾性表面波フィルタの構成を示す。図19において、弾性表面波フィルタは、圧電基板1001上に、入力IDT電極1002a、1002bと反射器電極1003a、1003bと出力IDT電極1004を形成することにより構成される。入力IDT電極1002a、1002bの同じ側の電極指を入力端子INに接続し、他方を接地する。また、出力IDT電極1004の上側の電極指は一方の出力端子OUT1に接続され、出力IDT電極1004の下側の電極指は他方の出力端子OUT2に接続される。以上の構成とすることにより平衡型の出力端子を有する弾性表面波フィルタが得られる。
【0006】
これに対して、IF段に使用される横モード型の弾性表面波フィルタにおいては、特開平10−261937でインピーダンスの制御が可能となることが示されている。図20に横モード型弾性表面波フィルタにおける従来の構成を示す。
【0007】
図20において、1101は圧電基板であり、この圧電基板1101の上に、IDT電極1102aと反射器電極1102b、1102cとによって構成されるエネルギー閉じこめ型の第1の弾性表面波共振器が形成されている。また、圧電基板1101の上には、IDT電極1103aと反射器電極1103b、1103cとによって構成されるエネルギー閉じこめ型の第2の弾性表面波共振器が形成されている。第2の弾性表面波共振器を構成するIDT電極1103aは、第1、第2および第3の分割IDT電極1104a、1104b及び1104cの3つのグループの接続により構成されている。第1、第2および第3の分割IDT電極1104a、1104b及び1104cは、すべて同相に配置されるとともに、第1の分割IDT電極1104aの上部電極と第2の分割IDT電極1104bの上部電極が接続され、第2の分割IDT電極1104bの下部電極と第3の分割IDT電極1104cの下部電極が接続されることにより、第2の弾性表面波共振器を構成するIDT電極1103a が形成される。そして、これら2個の第1及び第2の弾性表面波共振器は 近接して配置されており、その間に音響結合が生じることによって、弾性表面波フィルタが構成される。
【0008】
さらに、IDT電極1102aの上部電極および下部電極はそれぞれ平衡型入力端子INに接続されている。また、IDT電極1103aを構成する第1の分割IDT電極1104aの上部電極および第2の分割IDT電極1104bの上部電極は平衡型出力端子OUTの一方に接続され、第2の分割IDT電極1104bの下部電極および第3の分割IDT電極1104cの下部電極は平衡型出力端子OUTの他方に接続され、第1の分割IDT電極1104aの下部電極および第3の分割IDT電極1104cの上部電極は接地されることにより平衡型入出力端子を形成する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図19の縦モード型の弾性表面波フィルタでは、フィルタ特性が所望のものになるように設計すると、設計したフィルタ特性に応じて平衡側のインピーダンスもほぼ決まってしまい、設計の自由度が少ない。
【0010】
すなわち、上述の弾性表面波フィルタにおいては、平衡側のインピーダンスは電極指の本数と上下の電極指の交差する長さ等によりほぼ決定されるため、所望のインピーダンスとフィルタ特性を得るのには構造上の限界があるという課題があった。
【0011】
また、図20の横モード型の弾性表面波フィルタは狭帯域な特性を有しており、広帯域な特性を必要とするRF段のフィルタには適していない。さらに、上述の構成においては、2個の第1及び第2の弾性表面波共振器を近接配置する必要があるため、平衡型端子をそれぞれの上部電極あるいは下部電極から引き出す必要があり、IDT電極を完全な対称構造とすることができなかった。これは、現在、主流となっているPDCやGSM、あるいはDCSなどの、特に、周波数が800MHz帯や2GHz帯のシステムにおけるRF段のフィルタに適用する場合には、この非対称性、及び引き出し電極による寄生成分の影響から平衡型端子の平衡度が劣化するという課題があった。
【0012】
すなわち、図20の横モード型弾性表面波フィルタでは、狭帯域のフィルタ特性しか得られず、また、RF段のフィルタとして用いた場合には平衡度が劣化するという課題があった。
【0013】
本発明は、上記従来のこのような課題を克服し、良好な平衡度を有し、入出力インピーダンスの制御が可能な弾性表面波フィルタ及び通信機器を提供することを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
第一の本発明は、圧電基板と、
前記圧電基板上に配置され、一対の互いに対向して配置された上部バスバー電極及び下部バスバー電極、及びそれぞれ、その上部バスバー電極及び下部バスバー電極のいずれかのバスバー電極から、そのいずれかのバスバー電極とは異なる方のバスバー電極の側に引き出された電極指複数を有するインターディジタルトランスデューサ電極であるIDT電極複数と、
前記圧電基板上に配置された複数の反射器電極と、
前記圧電基板上に配置された平衡型端子とを備え、
複数の前記IDT電極及び複数の前記反射器電極をそれぞれ弾性表面波の伝搬方向に沿って配置した縦モード型の弾性表面波フィルタであって、
複数の前記IDT電極のうち少なくとも1つのIDT電極は、3つ以上の分割IDT電極により構成されており、前記分割IDT電極は前記平衡型端子に電気的に接続され、
少なくとも2つの前記分割IDT電極は、等価的に直列接続されており、残りの前記分割IDT電極の少なくとも1つの分割IDT電極は、前記少なくとも2つの分割IDT電極に並列に接続される弾性表面波フィルタである。
【0015】
第二の本発明は、前記複数の分割IDT電極それぞれの電極指の本数の比は、
所定のインピーダンス値を有するように予め調整されている第一の本発明の弾性表面波フィルタである。
【0016】
第三の本発明は、前記複数の分割IDT電極はそれぞれ互いに他の前記分割IDT電極の電荷を打ち消し合わないように、同相関係及び/または逆相関係に配置されている第二の本発明の弾性表面波フィルタである。
【0017】
第四の本発明は、前記第2の分割IDT電極は、前記第1の分割IDT電極と前記第3の分割IDT電極との間に同相関系で配置されており、
前記上部バスバー電極の前記第1の分割IDT電極に対応する部分と前記上部バスバー電極の前記第2の分割IDT電極に対応する部分とが前記平衡型端子の一方に接続され、かつ前記下部バスバー電極の前記第2の分割IDT電極に対応する部分と前記下部バスバー電極の前記第3の分割IDT電極に対応する部分とが前記平衡型端子の他方に接続され、
前記下部バスバー電極の前記第1の分割IDT電極に対応する部分と前記上部バスバー電極の前記第3の分割IDT電極に対応する部分とは接続されている第一の本発明の弾性表面波フィルタである。
【0018】
第五の本発明は、前記第2の分割IDT電極は、前記第1の分割IDT電極と前記第3の分割IDT電極との間に配置されており、
前記下部バスバー電極の前記第1の分割IDT電極に対応する部分と前記上部バスバー電極の前記第2の分割IDT電極に対応する部分とが接続され、かつ前記下部バスバー電極の前記第2の分割IDT電極に対応する部分と前記下部バスバー電極の前記第3の分割IDT電極に対応する部分とが接続され、
前記第1の分割IDT電極の上部バスバー電極と前記第3の分割IDT電極の下部バスバー電極とは接続されている第一の本発明の弾性表面波フィルタである。
【0019】
第六の本発明は、前記複数の分割IDT電極は、第1、第2、第3、及び第4の分割IDT電極から構成されている第三の本発明の弾性表面波フィルタである。
【0020】
第七の本発明は、前記複数の分割IDT電極は、前記第1、第2、第3、及び第4の分割IDT電極の順に配置されており、
前記上部バスバー電極の前記第1の分割IDT電極に対応する部分と、前記上部バスバー電極の前記第3の分割IDT電極に対応する部分と、前記上部バスバー電極の前記第4の分割IDT電極に対応する部分とは同相関係で接続されており、
前記下部バスバー電極の前記第1の分割IDT電極に対応する部分と、前記下部バスバー電極の前記第2の分割IDT電極に対応する部分と、前記下部バスバー電極の前記第4の分割IDT電極に対応する部分とは、接続されている第六の本発明の弾性表面波フィルタである。
【0021】
第八の本発明は、前記複数の電極指における、隣接する一対の電極指の実質上全ての組は、それぞれ同相関係にあり、
かつ前記複数の電極指の実質上全ては、それぞれの電荷が互いに他を打ち消し合わないように接続されている第七の本発明の弾性表面波フィルタである。
【0022】
第九の本発明は、前記上部バスバー電極の前記第2のIDT電極に対応する部分は接地されており、
前記下部バスバー電極の前記第3のIDT電極に対応する部分は接地されてい
る第七の本発明の弾性表面波フィルタである。
【0023】
第十の本発明は、前記上部バスバー電極の前記第2のIDT電極に対応する部分は、前記下部バスバー電極の前記第3のIDT電極に対応する部分と接続されている第七の本発明の弾性表面波フィルタである。
【0024】
第十一の本発明は、前記接続するとは、前記第2の分割IDT電極と前記第3の分割IDT電極とが隣接する部位の一対の前記電極指のうち前記第2の分割IDT電極の電極指を前記上部電極の前記第2の分割IDT電極に対応する部分と前記下部電極の前記第3の分割IDT電極に対応する部分にともに接続し、
一対の前記電極指のうち、前記第3の分割IDT電極の電極指を前記下部電極の前記第3の分割IDT電極に対応する部分と前記上部電極の前記第2の分割IDT電極に対応する部分とにともに接続することである第十の本発明の弾性表面波フィルタである。
【0025】
第十二の本発明は、3個の前記IDT電極は、第1、第2、及び第3のIDT電極であり、
前記第1のIDT電極の両側には、それぞれ前記第2のIDT電極及び前記第3のIDT電極が配置されており、
前記第2のIDT電極の前記第1のIDT電極とは逆側、及び前記第3のIDT電極の前記第1のIDT電極とは逆側にそれぞれ前記反射器電極が配置されている第一の本発明の弾性表面波フィルタである。
【0026】
第十三の本発明は、前記第2のIDT電極の上部バスバー電極は、不平衡型端子に接続されており、その上部バスバー電極は接地されており、
前記第3のIDT電極の下部バスバー電極は、前記不平衡型端子に接続されており、その下部バスバー電極は接地されている第十二の本発明の弾性表面波フィルタである。
【0027】
第十四の本発明は、圧電基板と、前記圧電基板上に配置された複数のIDT電極及び複数の反射器電極とを有する縦モード型の弾性表面波フィルタを複数個備え、
前記複数個の弾性表面波フィルタは、多段に接続されており、
前記複数個の弾性表面波フィルタのうち少なくとも入力側の弾性表面波フィルタ及び/または出力側の弾性表面波フィルタには、第一の本発明の弾性表面波フィルタが用いられており、前記複数個の弾性表面波フィルタのうち少なくとも入力側の弾性表面波フィルタ及び/または出力側の弾性表面波フィルタの前記圧電基板は、第一の本発明の弾性表面波フィルタの圧電基板が用いられている弾性表面波フィルタである。
【0028】
第十五の本発明は、前記複数個とは2個であり、
前記複数個の弾性表面波フィルタとは、第1の弾性表面波フィルタ及び第2の弾性表面波フィルタであり、
前記第1、及び第2の弾性表面波フィルタは、それぞれ少なくとも3個のIDT電極から構成されており、
前記第1、及び第2の弾性表面波フィルタは、縦続きに接続されており、
前記第1、及び第2の弾性表面波フィルタは、それぞれ少なくとも2個のIDT電極を用いて2箇所で接続されており、
前記IDT電極の一方の信号の位相と、前記IDT電極の他方の信号の位相とが逆相である第十四の本発明の弾性表面波フィルタである。
【0029】
第十六の本発明は、2個の前記IDT電極によって構成され、
2個の前記IDT電極のうち少なくとも1個のIDT電極には、第一の本発明のIDT電極が用いられており、
前記IDT電極の前記上部バスバー電極の前記第1の分割IDT電極に対応する部分及び/またはそのIDT電極の前記上部バスバー電極の前記第2の分割IDT電極に対応する部分は前記平衡型端子の一端に接続されており、
前記IDT電極の前記下部バスバー電極の前記第2の分割IDT電極に対応する部分及び/またはそのIDT電極の下部バスバー電極の前記第3の分割IDT電極に対応する部分は前記平衡型端子の他端に接続されている弾性表面波フィルタである。
【0030】
第十七の本発明は、5個の前記IDT電極によって構成され、
5個の前記IDT電極及び複数の前記反射器電極をそれぞれ弾性表面波の伝搬方向に沿って配置した縦モード型の弾性表面波フィルタであって、
5個の前記IDT電極のうち少なくとも1個のIDT電極は、第五の本発明のインターディジタルトランスデューサのIDT電極であり、
前記インターディジタルトランスデューサの前記IDT電極の前記上部バスバー電極の前記第1の分割IDT電極に対応する部分及び/またはそのIDT電極の前記上部バスバー電極の前記第2の分割IDT電極に対応する部分は平衡型端子の一端に接続されており、
前記IDT電極の前記下部バスバー電極の前記第2の分割IDT電極に対応する部分及び/またはそのIDT電極の前記株IDT電極の前記第3の分割IDT電極に対応する部分は前記平衡型端子の他端に接続されている弾性表面波フィルタである。
【0031】
第十八の本発明は、送信波を出力する送信回路と、
受信波を入力する受信回路とを備えた通信機器であって、
前記送信回路および/または前記受信回路には、第一の本発明の弾性表面波フィルタが用いられている通信機器である。
【0032】
第十九の本発明は、圧電基板と、
前記圧電基板上に配置され、一対の互いに対向して配置された上部バスバー電極及び下部バスバー電極、及びそれぞれ、その上部バスバー電極及び下部バスバー電極のいずれかのバスバー電極から、そのいずれかのバスバー電極とは異なる方のバスバー電極の側に引き出された電極指複数を有するインターディジタルトランスデューサ電極であるIDT電極複数と、
前記圧電基板上に配置された複数の反射器電極と、
前記圧電基板上に配置された平衡型端子と、
複数の前記IDT電極及び複数の前記反射器電極をそれぞれ弾性表面波の伝搬方向に沿って配置した縦モード型の弾性表面波フィルタであって、
複数の前記IDT電極のうち少なくとも1つのIDT電極は、2つの分割IDT電極により構成されており、前記2つの分割IDT電極の一方は上部バスバー電極で前記平衡型 端子に電気的に接続され、前記2つの分割IDT電極の他の一方は下部電極で前記平衡型端子に電気的に接続され、
前記2つの分割IDT電極は、等価的に直列接続されている弾性表面波フィルタである。
【0033】
第二十の本発明は、前記圧電基板上に配置された不平衡型端子をさらに加え、
前記2つの分割IDT電極を挟んで隣接配置された2つのIDT電極は、前記2つの分割IDT電極に並列に接続されており、
前記2つのIDT電極の一方の上部バスバー電極と、前記2つのIDT電極の他方の下部バスバー電極は前記不平衡型端子と電気的に接続されている第十九の本発明の弾性表面波フィルタである。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0035】
まず、本発明の実施の形態におけるインターディジタルトランスデューサ(以下IDT電極と呼ぶ)についてその概要のみを説明する。
【0036】
図1に、本発明の実施の形態におけるIDT電極2104を示す。IDT電極2104は、圧電基板2101上に配置されており、圧電基板上を伝搬する弾性表面波を電気信号に変換し、また、電気信号を圧電基板上を伝搬する弾性表面波に変換する電極である。
【0037】
IDT電極2104は、第1、第2および第3の分割IDT電極2104a、2104b及び2104cの3つに分割されており、3つの分割IDT電極2104a、2104b、2104cのグループの接続により構成されている。
【0038】
ここで、第1の分割IDT電極2104aと第2の分割IDT電極2104bと第3の分割IDT電極2104cはそれぞれ同相に配置されている。また、第1、及び第2の分割IDT電極2104a、2104bにおける上部電極2105a、2105bは電気的に接続され、平衡型出力端子の一端T1に接続される。第2、及び第3の分割IDT電極2104b、2104cにおける下部電極2106b、2106cは電気的に接続され、平衡型出力端子の他端T2に接続される。また、第1の分割IDT電極2104aにおける下部電極2106a、第3の分割IDT電極2104cにおける上部電極2105cは接地される。
【0039】
次に、このような本実施の形態の動作を説明する。
【0040】
IDT電極2104は圧電基板上を伝搬する弾性表面波を電気信号に変換して、平衡型出力端子T1及びT2に出力する。
【0041】
また、これとは逆に平衡型出力端子T1及びT2を入力端子として使用することも出来る。この場合、IDT電極2104はT1及びT2から入力された電気信号を圧電基板101上を伝搬する弾性表面波に変換する。
【0042】
このように本実施の形態のIDT電極2104は、電気信号を弾性表面波に変換することが出来、また弾性表面波を電気信号に変換することが出来る。
【0043】
本実施の形態のIDT電極2104を、第1の分割IDT電極2104aと第2の分割IDT電極2104bと第3の分割IDT電極2104cに分割し、さらに第1、第2、第3の分割IDT電極2104a、2104b、2104cそれぞれの電極指の本数比を変化させた場合、T1及びT2におけるインピーダンス値は変化するが、IDT電極2104の周波数特性は殆ど変化しないという特徴を有している。
【0044】
従ってIDT電極2104の電極指の本数や幅、電極指間の中心間隔などを調整することにより所望の周波数特性が得られた際、さらに、電極指の本数や幅、隣り合う電極指どうしの中心間隔などを固定したままで、IDT電極2104の第1、第2、及び第3の分割IDT電極2104a、2104b、2104cの電極指の本数比を調整するだけで、得られた所望の周波数特性を実質上変えることなくインピーダンスのみを変更することが出来る。このように本実施の形態のIDT電極2104は、インピーダンスの制御が可能であるという優れた特徴を有する。
【0045】
また、図2に、IDT電極2104とは電極指の配置等が異なったIDT電極183aを示す。IDT183aは、図1のIDT2104と同様に第1、第2および第3の分割IDT電極184a、184b、184cの3つに分割されており、3つの分割IDT電極184a、184b、184cのグループの接続により構成されている。
【0046】
従って、図2のIDT電極183aも図1のIDT2104と同様にインピーダンスの制御が可能であるという優れた特徴を有する。
【0047】
次に、本発明のより詳しい各実施の形態について説明する。
【0048】
(実施の形態1)
まず、本発明の実施の形態1について説明する。
【0049】
図3に、実施の形態1における弾性表面波フィルタの概略図を示す。
【0050】
図3において、2101は圧電基板であり、この圧電基板2101の上に、周期構造ストリップライン状に交差する電極パターンを構成することによって、弾性表面波を励起させることができる。圧電基板2101の上には、入力IDT電極2102a、2102bと反射器電極2103a、2103bと出力IDT電極2104によって構成される縦モード型の弾性表面波フィルタが形成されている。
【0051】
このような各IDT電極は、1対の対向する櫛形電極から構成されおり、各櫛形電極は、電極指と電極指の引き出し元である電極(上部電極または下部電極)とから構成されている。
【0052】
上述の弾性表面波フィルタにおいて、入力IDT電極2102a、2102bの上部電極は入力端子Sに接続され、入力IDT電極2102a、2102bの下部電極は接地されている。さらに図19に示されるように、引き出し電極を用いることなく、出力IDT電極2104は、第1、第2および第3の分割IDT電極2104a、2104b及び2104cの3つに分割されており、3つの分割IDT電極2104a、2104b、2104cのグループの接続により構成されている。ここで、第1の分割IDT電極2104aと第2の分割IDT電極2104bと第3の分割IDT電極2104cはそれぞれ同相に配置されている。また、第1、及び第2の分割IDT電極2104a、2104bにおける上部電極2105a、2105bは電気的に接続され、平衡型出力端子の一端T1に接続される。第2、及び第3の分割IDT電極2104b、2104cにおける下部電極2106b、2106cは電気的に接続され、平衡型出力端子の他端T2に接続される。また、第1の分割IDT電極2104aにおける下部電極2106a、第3の分割IDT電極2104cにおける下部電極2106cは接地される。さらに、図19に示されるように、引き出し電極を用いることなく、上下バスバー電極に直接信号線を接続することにより、対称性の確保、寄生成分の低減が実現でき、平衡度を改善することができる。
【0053】
ここで、上述した同相について説明する。
【0054】
先ず、隣接する2つの電極指(即ち、隣接する一対の電極指)の構造的な配置関係について述べる。
【0055】
即ち、隣接する2つの電極指が同相関係にあるとは、それら2つの電極指の一方が、上部電極と接続されて上側から下側へ向けて伸びており、他方が下部電極に接続されて下側から上側に向けて伸びている接続関係の状態にあることを言う。ここで、上側と下側の電極の電荷は異なるものとする。又、隣接する2つの電極指間のピッチ(中心間距離)は、1/2×λであるとする。尚、上記電極指間のピッチは、(m+1/2)×λでもよい。
【0056】
一方、もしも、上記電極指間のピッチが(m+1)×λである場合には上記同相関係は、その意味内容が上記説明と完全に逆転する。すなわち、隣接する2つの電極指が同相関係にあるとは、それらの電極指間のピッチが(m+1)×λであり、かつ、それらの電極指の何れもが、上部電極と接続されているか、または隣接する2つの電極指間のピッチが(m+1)×λであり、下部電極と接続されている関係にある場合を言う。ここで、λは励起された弾性表面波の波長であり、m=0,1,2,3,・・・であるとする。
【0057】
なお、上述したように第1、及び第2の分割IDT電極2104a、2104bにおける上部電極2105a、2105bは電気的に接続され、平衡型出力端子の一端T1に接続され、第2、及び第3の分割IDT電極2104b、2104cにおける下部電極2106b、2106cは電気的に接続され、平衡型出力端子の他端T2に接続される。このように平衡型出力端子の一端T1及び他端T2はそれぞれ上下逆側に接続されているので、上記同相関係にある隣接する2つの電極指がともに平衡型端子に接続された上部電極または下部電極から引き出されている場合には、それぞれの電荷の正負が逆になる。また、上記同相関係にある隣接する2つの電極指のいずれか一方が平衡型端子に接続された上部電極または下部電極から引き出されており、他方が接地されている上部電極または下部電極から引き出されている場合には、接地されている方の上部電極または下部電極から引き出されている電極指の電荷は、平衡型端子に接続された上部電極または下部電極から引き出されている方の電極指の電荷を打ち消すことはない。従って、いずれの場合であっても、このような2つの電極指は、弾性表面波を互いに打ち消し合わないように励起するまたは弾性表面波を互いに打ち消し合わないように励振されることが出来る。
【0058】
なお、全ての電極指は、実質上同相としているが、これは、間引き等により一部の電極指の配置が異なる場合があってもよいことを意味し、電極指全体として弾性表面波が励振される構成であればよいことを意味している。
【0059】
また、このことは、実施の形態1のみならず、実施の形態1及び実施の形態1以降の各実施の形態でも同様である。
【0060】
また、本実施の形態においては入力IDT電極2102aと分割IDT電極2104aの隣接する電極指は下部電極より同方向に引き出されており、かつ、入力IDT電極2102bと分割IDT電極2104cの隣接する電極指は上部電極より同方向に引き出されている構成としているが、この位置関係は電極指の本数などにより変わるものであり、この位置関係とは異なった位置関係であってもよく、弾性表面波がうち消されることなく励振される位相関係でありさえすればよい。
【0061】
なお、本実施の形態の入力IDT電極2102a、2102b、出力IDT電極2104はそれぞれ本発明のIDT電極の例であり、本実施の形態の入力IDT電極2102a、2102b、出力IDT電極2104の各IDT電極の上部電極及び下部電極はそれぞれ本発明の上部バスバー電極及び下部バスバー電極の例である。
【0062】
以上のように構成される実施の形態1における弾性表面波フィルタについて、以下、その動作を説明する。
【0063】
図4は実施の形態1の容量等価回路図であり、Ca、CbおよびCcはそれぞれ第1、第2、及び第3の分割IDT電極2104a、2104b、2104cの容量であり、Ca、CbおよびCcの合成容量が出力IDT電極2104の総容量Coutとなり、以下の式で表される。すなわち、第1の分割IDT電極2104aと第3の分割IDT電極2104cとが直列に接続され、第2の分割IDT電極2104bがそれらと並列に接続される構成となる。
【0064】
【数1】
Cout=(Ca・Cb+Cb・Cc+Cc・Ca)/(Ca+Cc)
ここで、出力IDT電極2104に含まれる電極指の対数をNとし、分割前の容量をC0、第1、第2、及び第3の分割IDT電極2104a、2104b、2104cのそれぞれの対数をNa、Nb、Ncとすると、次式が成り立つ。
【0065】
【数2】
N=Na+Nb+Nc
C0=Ca+Cb+Cc
Ca=(Ca+Cb+Cc)×Na/(Na+Nb+Nc)=C0×Na/(Na+Nb+Nc)
Cb=(Ca+Cb+Cc)×Nb/(Na+Nb+Nc)=C0×Nb/(Na+Nb+Nc)
Cc=(Ca+Cb+Cc)×Nc/(Na+Nb+Nc)=C0×Nc/(Na+Nb+Nc)
よって、分割後の合成容量Coutは以下のようになる。
【0066】
【数3】
Cout=C0×(Na・Nb+Nb・Nc+Nc・Na)/{(Na+Nc)×N}
弾性表面波フィルタにおけるインピーダンスはIDT電極の容量が支配的であるので、すなわち、分割IDT電極2104a、2104b、2104cの対数Na、Nb、Ncを変えることにより、入力IDT電極2104の総容量Coutを制御し、そして、インピーダンスを制御することが可能になる。
【0067】
例えば、インピーダンスの制御は次のように行うことが出来る。まず、所望のフィルタ特性を得るために設計時に入力IDT電極2104の対数N、電極指のピッチなどを決定する。次に、入力IDT電極2104の対数Nを固定したままで、分割IDT電極2104a、2104b、2104cの対数Na、Nb、Ncを変化させる。そうすると、数3から弾性表面波フィルタのインピーダンスを求めることが出来る。従って、数3を用いて所望のインピーダンスが得られるようなNa、Nb、Ncを決定することが出来る。このように、Nを固定し、Na、Nb、Ncの比を変えた場合には、弾性表面波フィルタのフィルタ特性は大きく変化しないことがわかっている。従って、本実施の形態の弾性表面波フィルタを用いることにより、所望のフィルタ特性を得るとともに、所望のインピーダンスを得るようにインピーダンスの制御を行うことが可能である。
【0068】
例えば、分割前の出力IDT電極のインピーダンスをZ0、容量をC0とした場合、分割IDT電極2104a、2104b,2104cの対数が等しいときには、すなわちNa=Nb=Ncとしたときには、Coutは1/2×C0となり、Coutは分割前の半分となる。また、数3から明らかなように、第2の分割IDT電極の対数Nbを少なくするにつれて、Coutは減少し、第2の分割IDT電極Nbの対数Nbを零にした場合には、Coutは1/4×C0になる。すなわち、この場合にはインピーダンスは分割前のほぼ4倍になる。
【0069】
従って、分割IDT電極の対数比を変えることによりインピーダンスが制御可能な縦モード型の弾性表面波フィルタが得られる。
【0070】
また、弾性表面波フィルタを実装する場合には、入力端子あるいは出力端子へ接続するためにパッド電極が必要となる。図5に示すのは、パッド電極を有する弾性表面波フィルタの概略図である。入力側パッド電極2301は引き回し電極2302a、2302bを介して入力IDT電極2102a、2102bに接続される。また、第1、及び第2の出力側パッド電極2303a、2303bはそれぞれ出力IDT電極の上側、及び下側に配置される。第1の出力側パッド電極2303aは第1の分割IDT電極2104aの上部バスバー電極2105aと第2の分割IDT電極の上部バスバー電極2105bに接続され、第2の出力側パッド電極2303bは第2の分割IDT電極2104bの下部バスバー電極2106bと第3の分割IDT電極2104cの下部バスバー電極2106cに接続される。このように、出力側の平衡型端子T1、T2の構造の対称性を保つことにより、バランス特性の優れた弾性表面波フィルタを実現することが出来る。
【0071】
なお、それぞれのパッド電極からの取り出しに関しては、ワイヤーを用いて取り出しても、フェースダウン実装によりパッド電極から直接取り出してもかまわない。
【0072】
なお、図3においては、分割IDT電極2104aと分割IDT電極2104cの電極指本数が同数であり、入力IDT電極2102aと分割IDT電極2104aの隣接する電極指は下部のバスバー電極より同方向に引き出されており、かつ、入力IDT電極2102bと分割IDT電極2104cの隣接する電極指は上部のバスバー電極より同方向に引き出されているとしたが、これは、図6に示すように、入力IDT電極2102aと分割IDT電極2104aの隣接する電極指はお互いに交差するようにそれぞれのバスバー電極から引き出され、かつ、入力IDT電極2102bと分割IDT電極2104cの隣接する電極指はお互いに交差するようにそれぞれのバスバー電極から引き出されていても、弾性表面波が打ち消されることなく励振される位置関係であれば、弾性表面波フィルタとしての特性は同様に得られる。
【0073】
なお、第1、第3の分割IDT電極2104a、2104cの分割対数を同数とし、分割IDT電極2104bの上下の電極指の本数を同数とすれば、平衡型出力端子のそれぞれに接続されるIDT電極指の対数は同じとなり、このような構成とすることにより、平衡度に優れる弾性表面波フィルタが得られる。
【0074】
なお、本実施の形態では、入力IDT電極2102a、2102bのそれぞれの上部のバスバー電極は入力端子Sに接続され、入力IDT電極2102a、2102bのそれぞれの下部のバスバー電極は接地されているとして説明したが、これに限らない。図12に示すように、入力IDT電極2102aの上部のバスバー電極と入力IDT電極2102bの下部のバスバー電極とが入力端子Sに接続され、入力IDT電極2102aの下部のバスバー電極と入力IDT電極2102bの上部のバスバー電極とが接地されていても構わない。あるいは、逆に入力IDT電極2102aの下部のバスバー電極と入力IDT電極2102bの上部のバスバー電極とが入力端子Sに接続され、入力IDT電極2102aの上部のバスバー電極と入力IDT電極2102bの下部のバスバー電極とが接地されていても構わない。すなわち、入力端子Sからの信号経路は構造的に上下逆側からの接続となる。また、入力IDT電極2102a及び2102bにおける電極指の配置は弾性表面波が打ち消し合わないような構成となる。
【0075】
また、図12においては入力IDT電極2102aと分割IDT電極2104aの隣接する電極指はそれぞれ上部バスバー電極と下部バスバー電極より交差するように引き出されており、かつ、入力IDT電極2102bと分割IDT電極2104cの隣接する電極指は上部電極より同方向に引き出されている。このため、入力IDT電極2102aと分割IDT電極2104a〜2104cとの接続が上下逆側となり、バランス特性改善効果が得られている。このような位置関係は電極指の本数などにより変わるものであるが、この位置関係とは異なった位置関係であってもよく、弾性表面波がうち消されることなく励振される位相関係でありさえすればよい。
【0076】
このような構成にすることにより、入力端子Sに接続される入力IDT電極2102a及び2102bからの引き出し配線と出力端子T1、T2に接続されるIDT電極2104からの引き出し配線との空間的な結合による平衡度の劣化を抑えることができ、さらに良好な平衡度を有する弾性表面波フィルタが得られる。
【0077】
なお、分割IDT電極を出力側として説明したが、これは入力側であっても同じである。この場合には、入力側のインピーダンスの制御が出来るものである。
【0078】
また、本実施の形態では、出力IDT電極2104が分割IDT電極2104a、2104b、2104cに分割されているとして説明したが、入力IDT電極2102a及び/または入力IDT電極2102bが、分割IDT電極に分割されて平衡型端子構成としても構わない。この場合には、入力側と出力側の両方が平衡型端子となりインピーダンスが制御出来るものである。
【0079】
なお、本実施の形態では、出力IDT電極2104は、分割IDT電極2104a、2104b、2104cの3つに分割されているとして説明したが、4つ、5つ、またはそれ以上の個数の分割IDT電極に分割されていても構わない。
【0080】
なお、出力IDT電極2104が、2つの分割IDT電極に分割されている場合、すなわち分割IDT電極2104bの電極指の本数が零の場合には、上部電極を平衡型端子T1に接続し、下部電極を平衡型端子T2に接続することが実現でき、平衡型端子間のアイソレーションを確保することが出来る。すなわち、図13に出力IDT電極2104が2つの分割IDT電極に分割されている場合を示す。図13では、入力IDT電極2102aの上部電極と入力IDT電極2102bの下部電極とが不平衡型端子Sに接続される構成とすることにより、入力IDT電極2102aの引き出し配線とT1、入力IDT電極2102bの引き出し配線とT2の空間的な結合による平衡度の劣化を抑えることが出来る。
【0081】
なお、本実施の形態の弾性表面波フィルタは、出力IDT電極2104が1個と、入力IDT電極2102a、2102bが2個の合計3個のIDT電極から構成されているとして説明したが、これに限らない。本実施の形態の弾性表面波フィルタは、2個、5個、7個など任意の個数のIDT電極から構成されていても構わない。
【0082】
なお、本実施の形態においては、第1、及び第2の分割IDT電極2104a、2104bにおける上部電極2105a、2105bは電気的に接続されるとしたが、これはそれぞれの上部電極を共通化して一つとしてもかまわない。また、第2、及び第3の分割IDT電極2104b、2104cにおける下部電極2106b、2106cは電気的に接続されるとしたが、これはそれぞれの下部電極を共通化して一つとしてもかまわない。
【0083】
また、図5に示したように、パッド電極2303a、2303bを用いる場合には、第1及び第2の分割IDT電極2104a、2104bにおける上部電極2105a、2105bを直接電気的に接続せず、パッド電極2303aを介して電気的に接続させても構わない。同様に第2及び第3の分割IDT電極2104b、2104cにおける下部電極2106b、2106cを直接電気的に接続せず、パッド電極2303bを介して電気的に接続させても構わない。
【0084】
また、分割IDT電極2104cにおける上部電極2105c及び分割IDT電極2104aにおける下部電極2106aの接地の方法に関して、入力IDT電極2102a、2102bの接地電極とは分離して、独立に接地しても構わないし、あるいは分割IDT電極2104cにおける上部電極2105cと分割IDT電極2104aにおける下部電極2106aとを実際に接地する代わりにそれらを電気的に接続することにより仮想接地としても構わない。なお、仮想接地とする場合とは、図4の容量等価回路で接地を除いた構成に相当する。これらの場合にはGNDからの信号の回り込みによる特性劣化を抑えることが出来る。
【0085】
また、本実施の形態においては、入力側を不平衡型とし、出力側を平衡型としているので、本実施の弾性表面波フィルタは平衡−不平衡の変換の役割も担うこととなる。すなわち、本実施の形態の弾性表面波フィルタはバランサーとしても機能することが出来る。
【0086】
以上のように、本実施の弾性表面波フィルタは、平衡型端子を有するとともに、弾性表面波フィルタの入出力インピーダンスも制御できるものである。
【0087】
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2の弾性表面波フィルタについて図面を参照して説明する。図7に、実施の形態2における弾性表面波フィルタの概略図を示す。
【0088】
図7において、2501は圧電基板であり、この圧電基板2501の上に、周期構造ストリップライン状に交差する櫛型電極パターンを構成することによって、弾性表面波を励起させることができる。圧電基板2501の上には、入力IDT電極2502a、2502bと反射器電極2503a、2503bと出力IDT電極2504によって構成される縦モード型の弾性表面波フィルタが形成されている。
【0089】
上述の弾性表面波フィルタにおいて、入力IDT電極2502aの上部電極は一方の入力端子S1に接続され、入力IDT電極2502bの上部電極は他方の入力端子S2に接続され、入力IDT電極2502a、2502bの下部電極は接地されている。本実施の形態2は入力IDT電極2502a、2502bが平衡型となっている点で、実施の形態1と異なる。
【0090】
また、S1とS2とは平衡型端子を構成し、入力IDT電極2502a、2502bにS1及びS2からそれぞれ入力される信号は互いに位相が逆相になっている。また、入力IDT電極2502aと分割IDT電極2504aの隣接する電極指はそれぞれ下部と上部のバスバー電極より交差するように引き出されており、かつ、入力IDT電極2502bと分割IDT電極2504cの隣接する電極指は上部のバスバー電極より同方向に引き出されている。この位置関係は電極指の本数などにより変わるものであり、この位置関係とは異なった位置関係であってもよく、弾性表面波がうち消されることなく励振される位相関係でありさえすればよい。
【0091】
さらに、出力IDT電極2504は、第1、第2および第3の分割IDT電極2504a、2504b及び2504cの3つのグループの接続により構成されている。ここで、第1の分割IDT電極2504aと第2の分割IDT電極2504bと第3の分割IDT電極2504cとはそれぞれ同相に配置されている。第1、及び第2の分割IDT電極2504a、2504bにおける上部電極2505a、2505bは電気的に接続され、平衡型出力端子の一端T1に接続される。第2、及び第3の分割IDT電極2504b、2504cにおける下部電極2506b、2506cは電気的に接続され、平衡型出力端子の他端T2に接続される。また、第1の分割IDT電極2504aにおける下部電極2506a、第3の分割IDT電極2504cにおける下部電極2506cは接地される。
【0092】
以上のように構成される実施の形態2における弾性表面波フィルタは、実施の形態1と、入力端子が平衡型という点と、入力IDT電極の配置についてのみ異なるだけであり、出力IDT電極における分割の方法やその動作及び、効果に関しては同様である。
【0093】
さらに、上記の構成においては、入力IDT電極2502a、2502bへの信号は逆相であるため、空間的な結合による特性劣化を抑えることが出来、入力IDT2502a、2502bと出力IDT2504との直接的な結合による平衡度の劣化を小さくすることができる。
【0094】
なお、本実施の形態においては、第1、及び第2の分割IDT電極2504a、2504bにおける上部電極2505a、2505bは電気的に接続されるとしたが、これはそれぞれの上部電極を共通化して一つとしてもかまわない。また、第2、及び第3の分割IDT電極2504b、2504cにおける下部電極2506b、2506cは電気的に接続されるとしたが、これはそれぞれの下部電極を共通化して一つとしてもかまわない。また、実施の形態1と同様にパッド電極を用いる場合には、第1及び第2の分割IDT電極2504a、2504bにおける上部電極2505a、2505bを直接電気的に接続せず、実施の形態1と同様にパッド電極を介して電気的に接続させても構わない。同様に第2及び第3のIDT電極2504b、2504cにおける下部電極2506b、2506cを実施の形態1と同様に直接電気的に接続せず、パッド電極を介して電気的に接続させても構わない。
【0095】
また、分割IDT電極2504cにおける上部電極2505c及び分割IDT電極2504aにおける下部電極2506aの接地の方法に関して、入力IDT電極2502a、2502bの接地電極とは分離して、独立に接地するか、あるいは分割IDT電極2504cにおける上部電極2505cと分割IDT電極2504aにおける下部電極2506aとを電気的に接続しても構わない。
【0096】
このように、本実施の形態に関しては、上述の弾性表面波フィルタを左右対称の構成としても、得られる効果は同様である。
【0097】
(実施の形態3)
以下、本発明の実施の形態3の弾性表面波フィルタについて図面を参照して説明する。図8に、実施の形態3における弾性表面波フィルタの概略図を示す。
【0098】
図8において、2601は圧電基板であり、この圧電基板2601の上に、周期構造ストリップライン状に交差する電極パターンを構成することによって、弾性表面波を励起させることができる。圧電基板2601の上には、入力IDT電極2102a、2102bと反射器電極2103a、2103bと出力IDT電極2104によって構成される縦モード型の弾性表面波フィルタが形成され、この構成においては実施の形態1で示される弾性表面波フィルタと同様である。
【0099】
上述の弾性表面波フィルタにおいて、入力IDT電極2102a、2102bの上部電極は、反射器電極2602a、2602bとIDT電極2603とにより形成される弾性表面波共振子2604を直列に介して入力端子Sに接続される。さらに、弾性表面波共振子2604と入力IDT電極2102a、2102bの上部電極の間には、反射器電極2605a、2605bとIDT電極2606とにより形成される弾性表面波共振子2607が並列に接続され、弾性表面波共振子2607の一端は接地されている。
【0100】
上述の弾性表面波における通過特性を図9に示す。図9(a)に分割前の構成、すなわち出力IDT電極として図19に示す従来構成を用いたときの通過特性を示す。図9(a)において、出力IDTの対数は18対とし、出力インピーダンスは50Ωに設計している。図9(b)は、第1、第2、及び第3の分割IDT電極2104a、2104b、2104cの対数をそれぞれ6対とし、出力インピーダンスを100Ωと設計した時の特性である。図9の通過特性に関して、出力側のインピーダンスの条件は、(a)を50Ω(b)を100Ωとして評価したときの結果である。図9(b)において、出力IDT電極の合成容量は分割前に比べて1/2の大きさとなり、インピーダンスは2倍の100Ωとなる設計である。図9(b)より分割IDT電極を用いた弾性表面波フィルタの波形は、分割前の図9(a)とほぼ同等の通過特性を得ていながら、出力インピーダンスを変化させることを実現している。
【0101】
なお、本実施の形態においては、入力IDT電極2102a、2102bと入力端子Sとの間に直列に弾性表面波共振子2604と並列に弾性表面波共振子2607を配置しているが、これは、図10に示すように、縦モード型の弾性表面波フィルタを配置して、2段構成の弾性表面波フィルタとしても構わない。
【0102】
図10において、2801は圧電基板であり、1段目の弾性表面波フィルタ2802は入力IDT電極2803と反射器電極2804a、2804bと出力IDT電極2805a、2805bによって構成される。入力IDT電極2803の上部電極は入力端子Sに接続され、下部電極は接地されている。出力IDT電極2805aの上部電極は接地され、下部電極は2段目の弾性表面波フィルタ2806の入力IDT電極2102aに接続される。また、出力IDT電極2805bの上部電極は接地され、下部電極は2段目の弾性表面波フィルタ2806の入力IDT電極2102bに接続される。ここで、2段目の弾性表面波フィルタ2806は実施の形態1で示した図3の構成と同様の構成である。
【0103】
すなわち、1段目の弾性表面波フィルタ2802の入力IDT電極2803と出力IDT電極2805aの隣接する電極指は下部のバスバー電極より同方向に引き出されており、かつ、入力IDT電極2803と出力IDT電極2805cの隣接する電極指は下部のバスバー電極より同方向に引き出されている。この場合には、1段目の弾性表面波フィルタ2801の出力IDT電極2805a、2805bからは同相信号が2段目の弾性表面波フィルタ2806に伝えられる。
【0104】
なお、ここで、1段目の弾性表面波フィルタ2802の入力IDT電極2803と出力IDT電極2805aの隣接する電極指は下部電極より同方向に引き出されており、かつ、入力IDT電極2803と出力IDT電極2805bの隣接する電極指は下部電極より同方向に引き出されているとしたが、これは、入力IDT電極2805と出力IDT電極2805aの隣接する電極指はお互いに交差するようにそれぞれの電極から引き出され、かつ、入力IDT電極2803と出力IDT電極2805bの隣接する電極指はお互いに交差するようにそれぞれの電極から引き出されていても、出力IDT電極2805a、2805bは弾性表面波が打ち消し合わない位相関係であれば、弾性表面波フィルタとしての特性は同様に得られる。
【0105】
また、この位置関係は電極指の本数などにより変わるものであり、この位置関係とは異なった位置関係であってもよく、弾性表面波がうち消されることなく励振される位相関係でありさえすればよい。
【0106】
また、本実施の形態においては、入力IDT電極2102a、2102bと入力端子Sとの間に直列に弾性表面波共振子2604と並列に弾性表面波共振子2607を配置しているが、図11に示すように、縦モード型の弾性表面波フィルタを配置して、2段構成の弾性表面波フィルタとしても構わない。
【0107】
図11において、2901は圧電基板であり、1段目の弾性表面波フィルタ2902は入力IDT電極2903と反射器電極2904a、2904bと出力IDT電極2905a、2905bによって構成される。入力IDT電極2903の上部電極は入力端子Sに接続され、下部電極は接地されている。出力IDT電極2905aの上部電極は接地され、下部電極は2段目の弾性表面波フィルタ2906の入力IDT電極2502aに接続される。また、出力IDT電極2905bの上部電極は接地され、下部電極は2段目の弾性表面波フィルタ2906の入力IDT電極2502bに接続される。ここで、2段目の弾性表面波フィルタ2906は実施の形態2で示した構成と同様の構成である。
【0108】
さらに、1段目の弾性表面波フィルタ2902の出力IDT電極2905a、2905bは逆相となるような位置関係となる。すなわち、1段目の弾性表面波フィルタ2902の出力IDT電極2905a、2905bからは逆相信号が2段目の弾性表面波フィルタ2906に伝えられる。
【0109】
以上のような構成とすることにより、1段目の弾性表面波フィルタ2902の出力IDT電極2905a、2905bからの信号は逆相となるため、2段目の弾性表面波フィルタまでの経路での空間的な結合による特性の劣化を抑えることができ、2段目の弾性表面波フィルタ2906における入力IDT電極2502a、2502bと出力IDT2504との直接的な結合による平衡度の劣化を小さくすることができる。
【0110】
なお、本実施の形態において、1段目と2段目の両方に、分割IDT電極を用いた弾性表面波フィルタを配置することにより、入力側と出力側の両方のインピーダンスを制御することが可能となる。
【0111】
また、本発明の弾性表面波フィルタはインピーダンスの制御が可能であり、これを移動体通信機器に用いることにより、ICなどのインピーダンス整合がとりやすくなり、高性能な通信機器を実現できる。
【0112】
このように、本実施の形態によれば、平衡型端子を有する入出力インピーダンスが制御可能な縦モード型弾性表面波フィルタを提供することができるという長所を有する。
【0113】
なお、本発明の弾性表面波フィルタを送信回路及び/または受信回路に用いた通信機器も本発明に属する。
【0114】
(実施の形態4)
以下、本発明の実施の形態4の弾性表面波フィルタについて図面を参照して説明する。図14に、実施の形態4における弾性表面波フィルタの概略図を示す。
【0115】
図14において、2101は圧電基板であり、この圧電基板2101の上に、周期構造ストリップライン状に交差する櫛型電極パターンを構成することによって、弾性表面波を励起させることができる。圧電基板2101の上には、入力IDT電極2102a、2102bと反射器電極2103a、2103bと、出力IDT電極2104によって構成される縦モード型の弾性表面波フィルタが形成されている。
【0116】
上述の弾性表面波フィルタにおいて、入力IDT電極2102aの上部電極及び入力IDT電極2102bの上部電極は、ともに不平衡型の入力端子Sに接続され、入力IDT電極2102a及び入力IDT電極2102bの下部電極はともに接地されている。
【0117】
また出力IDT電極2104は、第1、第2、第3、及び第4の分割IDT電極2104b1、2104a、2104c、2104b2の4つに分割されており、4つの分割IDT電極2104b1、2104a、2104c、2104b2のグループの接続により構成されている。ここで、第1の分割IDT電極2104b1と第2の分割IDT電極2104a、第3の分割IDT電極2104cと第4の分割IDT電極2104b2とは、それぞれ同相に配置されている。
【0118】
すなわち、出力IDT電極2104は、実施の形態1の図1の出力IDT電極2104の第2の分割IDT電極2104bをさらに2つに分割して分割IDT電極2104b1、分割IDT電極2104b2とし、分割IDT電極2104b及び分割IDT電極2104b2をそれぞれ分割IDT電極2104a及び分割IDT電極2104bの外側に配置した構成である。
【0119】
また、第1の分割IDT電極2104b1の上部電極2105b1、第3の分割IDT電極2104cの上部電極2105c、及び第4の分割IDT電極2104b2の上部電極2105b2は、平衡型出力端子の一端T1に接続される。また、第1の分割IDT電極2104b1の下部電極2106b1、第2の分割IDT電極2104aの下部電極2106a、及び第4のIDT電極2104b2の下部電極2106b2は、平衡型出力端子の他端T2に接続されている。
【0120】
そして、第2の分割IDT電極2104aの上部電極2105a及び第3の分割IDT電極2104cの下部電極は、ともに接地されている。
【0121】
以上のように構成される実施の形態4における弾性表面波フィルタについて、以下、その動作を説明する。
【0122】
図15は実施の形態4の容量等価回路図であり、Cb1、Ca、Cc、およびCb2はそれぞれ第1、第2、第3、第4の分割IDT電極2104b1、2104a、2104c、2104b2の容量であり、Cb1、Ca、Cc、及びCb2の合成容量が出力IDT電極2104の総容量Coutとなり、以下の式で表される。すなわち、第2の分割IDT電極2104aと第3の分割IDT電極2104cとが直列に接続され、第1の分割IDT電極b1及び第4の分割IDT電極がそれぞれ、第2の分割IDT電極2104aと第3の分割IDT電極2104cとに対して並列に接続される構成となる。
【0123】
【数4】
Cout=(Ca・(Cb1+Cb2)+Cb・(Cb1+Cb2) ・Cc+Cc・Ca)/(Ca+Cc)
ただし、図3の第2の分割IDT電極2104bの電極指の対数と第1の分割IDT電極2104b1の電極指対の数と第4の分割IDT電極2104b2の電極指対との合計数とが等しいものとする。
【0124】
数4は、数1のCbの部分を(Cb1+Cb2)に置き換えたものに相当する。従って、実施の形態1で説明したのと同様にして、本実施の形態の弾性表面波フィルタについても分割IDT電極2104b1、2104a、2104c、2104b2それぞれの電極指の対数Nb1、Na、Nc、Nb2を変えることにより、入力IDT電極2104の総容量Coutを制御する、すなわち、インピーダンスを制御することが可能になる。
【0125】
これ以外は実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
【0126】
なお、実施の形態4においても上記各実施の形態で説明した種々の変形例を適用できることはいうまでもない。
【0127】
(実施の形態5)
以下、本発明の実施の形態5の弾性表面波フィルタについて図面を参照して説明する。図16に、実施の形態5における弾性表面波フィルタの概略図を示す。
【0128】
図16において、2101は圧電基板であり、この圧電基板2101の上に、周期構造ストリップライン状に交差する櫛型電極パターンを構成することによって、弾性表面波を励起させることができる。圧電基板2101の上には、入力IDT電極2102a、2102bと反射器電極2103a、2103bと、出力IDT電極2104によって構成される縦モード型の弾性表面波フィルタが実施の形態4と同様に形成されている。
【0129】
上述の弾性表面波フィルタにおいて、入力IDT電極2102aの上部電極及び入力IDT電極2102bの上部電極は、ともに不平衡型の入力端子Sに接続され、入力IDT電極2102a及び入力IDT電極2102bの下部電極はともに接地されている。
【0130】
また出力IDT電極2104は、実施の形態4と同様に第1、第2、第3、及び第4の分割IDT電極2104b1、2104a、2104c、2104b2の4つに分割されており、4つの分割IDT電極2104b1、2104a、2104c、2104b2のグループの接続により構成されている。
【0131】
また、第1の分割IDT電極2104b1の上部電極2105b1、第3の分割IDT電極2104cの上部電極2105c、及び第4の分割IDT電極2104b2の上部電極2105b2は、電気的に接続されて、平衡型出力端子の一端T1に接続される。また、第1の分割IDT電極2104b1の下部電極2106b1、第2の分割IDT電極2104aの下部電極2106a、及び第4のIDT電極2104b2の下部電極2106b2は、電気的に接続されて、平衡型出力端子の他端T2に接続されている。
【0132】
すなわち、実施の形態4とは異なり、第3の分割IDT電極2104cの上部電極2105cと第4の分割IDT電極2104b2の上部電極2105b2とは電気的に接続されてから平衡型出力端子の一端T1に接続されている。同様に、実施の形態4とは異なり、第1の分割IDT電極2104b1の下部電極2106b1と第2の分割IDT電極2104aの下部電極2106aとは電気的に接続されてから平衡型出力端子の他端T2に接続されている。
【0133】
さらに、実施の形態4とは異なり、第2の分割IDT電極2104aの上部電極2105aから引き出されている電極指のうち第3の分割IDT電極2104cの電極指に隣接する電極指は、第3の分割IDT電極2104cの下部電極2106cにも接続している。そして、第3の分割IDT電極2104cの下部電極2106cから引き出されている電極指尾のうち第2の分割IDT電極2104aの電極指に隣接している電極指は第2の分割IDT電極2104aの上部電極2105aにも接続している。
【0134】
すなわち、実施の形態5ではいずれの分割IDT電極2104b1、2104a、2104c、2104b2も接地されていない。
【0135】
以上のように構成される実施の形態5における弾性表面波フィルタについて、以下、その動作を実施の形態4との相違点を中心に説明する。
【0136】
図17は実施の形態5の容量等価回路図であり、Cb1、Ca、Cc、およびCb2はそれぞれ第1、第2、第3、第4の分割IDT電極2104b1、2104a、2104c、2104b2の容量であり、Cb1、Ca、Cc、及びCb2の合成容量が出力IDT電極2104の総容量Coutとなり、これは実施の形態4で示した数4で表される。
【0137】
すなわち、実施の形態5では、出力IDT電極2104のいずれの分割IDT電極をも接地しない代わりに、第2の分割IDT電極2104aの上部電極2105aと第3の分割IDT電極2104cの下部電極2106cとを電気的に接続することによって、仮想接地を実現した。
【0138】
従って、実施の形態4と同等の効果を得ることが出来ることに加え、さらに、本実施の形態では、IDT電極2104のいずれの分割IDT電極も接地されていないので、信号の接地からの回り込みによる特性劣化をも防ぐことが出来、特にバランス特性を改善することが出来る。
【0139】
なお、実施の形態5においても上記各実施の形態で説明した種々の変形例を適用できることはいうまでもない。
【0140】
なお、本実施の形態の弾性表面波フィルタを左右対称の構成としても、得られる効果は同様である。
【0141】
なお、本発明の圧電基板は、単結晶の圧電材料から形成されるものであっても構わないし、所定の基板上に圧電材料の薄膜を形成した基板であっても構わない。また、単結晶の圧電材料とは、例えば、LiNbO3、LiTaO3、水晶や、その他にLi2B4O7などを用いることができ、薄膜として用いる圧電材料としては、ZnO系薄膜、AlN等を用いることが出来る。また、所定の基板上に圧電材料の薄膜を形成した基板とは、例えばシリコン基板上にダイアモンド薄膜を形成し、その後ZnOなどの圧電材料をスパッタリングなどにより成膜して圧電材料の薄膜にした基板である。
【0142】
(実施の形態6)
以下、本発明の実施の形態6の通信機器について図面を参照にして説明する。
【0143】
図18に示すのは、本発明の弾性表面波フィルタ、または平衡型フィルタを用いた通信機器1001のブロック図である。図18において、送信回路から出力される送信信号は、送信増幅器1002、送信フィルタ1003、スイッチ1004を介してアンテナ1005より送信される。また、アンテナ1005より受信された受信信号は、スイッチ1004、受信フィルタ1006、受信増幅器1007を介して受信回路に入力される。
【0144】
ここで、送信増幅器1002は平衡型であり、スイッチ1004は不平衡型であるので、送信フィルタ1003は不平衡−平衡型端子を有する構成となる,また,受信増幅器1007は平衡型であり、スイッチ1004は不平衡型であるので、受信フィルタ1006は不平衡−平衡型端子を有する構成となる。
【0145】
本発明の実施の形態の弾性表面波フィルタ、または平衡型フィルタを通信機器1001の送信フィルタ1003、または受信フィルタ1006に適用することにより、バランス特性の劣化による送信時の変調精度劣化を抑えることができ、また.バランス特性の劣化による受信時の感度劣化を抑えることができ、高性能な通信機器を実現することができる。
【0146】
なお、本実施の形態6において、送信フィルタ1003、 受信フィルタ1006を不平衡−平衡型として説明したが、これはスイッチ1004が平衡型の場合には、送信フィルタ1003、受信フィルタ1006を平衡型とすればよい。
【0147】
また、スイッチ1004が平衡型であり、送信増幅器1002または受信増幅器1007が不平衡型の場合には、送信フィルタ1003または受信フィルタ1006の平衡型と不平衡型の入出力端子を入れ替えることにより同様の効果が得られる。
【0148】
また、通信機器1001において、送信と受信とを切り換える手段としてスイッチ1004を用いて説明したが,これは共用器であってもかまわない。
【0149】
なお、本実施の形態の弾性表面波フィルタは、平衡型端子間に整合回路としてのインダクタンスを付加することなく、インピーダンス整合が可能となる。従って、本実施の形態の弾性表面波フィルタを移動体通信機器に適用することにより移動体通信機器のさらなる小型化を実現することが出来る。
【0150】
また、本発明における圧電基板としては、STカット水晶やLiTaO3,LiNbO3,Li2B4O7,La3Ga3SiO14等を基板として使用することができる。また、電極材料としては、膜厚制御の容易な比較的密度の小さいアルミニウムを用いるのが好ましいが、金電極の使用も可能である。
【0151】
さらに、本発明は、上述した様な弾性表面波のみでなく、弾性表面波の一種である、すべり波(Surface Skimming Balk Wave)や擬似表面波(Pseudo suface waves)等を利用した共振器にも適用できる。
【0152】
【発明の効果】
以上説明したところから明らかなように、本発明は、良好な平衡度を有し、入出力インピーダンスの制御が可能な弾性表面波フィルタ及び通信機器を提供することが出来る。
【0153】
また、本発明は、所望の入出力インピーダンスを有するインターディジタルトランスデューサ、弾性表面波フィルタ、及び通信機器を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態におけるインターディジタルトランスデューサの概要を示
す構成図
【図2】本発明の実施の形態におけるもう一つのインターディジタルトランスデューサ
の概要を示す構成図
【図3】本発明の実施の形態1における弾性表面波フィルタの構成図
【図4】本発明の実施の形態1における弾性表面波フィルタの容量等価回路図
【図5】本発明の実施の形態1におけるパッド電極を有する弾性表面波フィルタの構成
図
【図6】本発明の実施の形態1における弾性表面波フィルタの他の構成図
【図7】本発明の実施の形態2における弾性表面波フィルタの構成図
【図8】本発明の実施の形態3における弾性表面波フィルタの構成図
【図9】(a)従来の弾性表面波フィルタの構成図
(b)本発明の実施の形態3における弾性表面波フィルタの構成図
【図10】本発明の実施の形態3における弾性表面波フィルタの他の構成図
【図11】本発明の実施の形態3における弾性表面波フィルタの他の構成図
【図12】本発明の実施の形態1における弾性表面波フィルタの他の構成図
【図13】本発明の実施の形態1における弾性表面波フィルタの他の構成図
【図14】本発明の実施の形態4における弾性表面波フィルタの構成図
【図15】本発明の実施の形態4における弾性表面波フィルタの容量等価回路図
【図16】本発明の実施の形態5における弾性表面波フィルタの構成図
【図17】本発明の実施の形態5における弾性表面波フィルタの容量等価回路図
【図18】本発明の実施の形態6における通信機器の構成を示す図
【図19】従来の弾性表面波フィルタの構成図
【図20】従来の横モード型弾性表面波フィルタの構成図
【符号の説明】
184a 第1の分割IDT電極
184b 第2の分割IDT電極
184c 第3の分割IDT電極
2101 圧電基板
2102a、2102b 入力IDT電極
2103a、2103b 反射器電極
2104 出力IDT電極
2104a 第1の分割IDT電極
2104b 第2の分割IDT電極
2104c 第3の分割IDT電極
2105a、2105b、2105c 上部電極
2106a、2106b、2106c 下部電極
2301 入力側パッド電極
2303a 第1の出力側パッド電極
2303b 第2の出力側パッド電極
2302a、2302b 引き回し配線
2501 圧電基板
2502a、2502b 入力IDT電極
2503a、2503b 反射器電極
2504 出力IDT電極
2504a、2504b、2504c 分割IDT電極
2505a、2505b、2505c 上部電極
2506a、2506b、2506c 下部電極
2601 圧電基板
2602a、2602b 反射器電極
2603 IDT電極
2604 弾性表面波共振子
2605a、2605b 反射器電極
2606 IDT電極
2607 弾性表面波共振子
2801 弾性表面波共振子
2802 1段目の弾性表面波フィルタ
2803 入力IDT電極
2804a、2804b 反射器電極
2805a、2805b 出力IDT電極
2806 2段目の弾性表面波フィルタ
2901 圧電基板
2902 1段目の弾性表面波フィルタ
2903 入力IDT電極
2904a、2904b 反射器電極
2905a、2905b 出力IDT電極
2906 2段目の弾性表面波フィルタ
2502a、2502b 入力IDT電極
2504 出力IDT電極
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