JP2003089898A - 錫系合金の電解メッキ処理方法ならびに電解メッキ浴の管理方法 - Google Patents

錫系合金の電解メッキ処理方法ならびに電解メッキ浴の管理方法

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JP2003089898A
JP2003089898A JP2001282449A JP2001282449A JP2003089898A JP 2003089898 A JP2003089898 A JP 2003089898A JP 2001282449 A JP2001282449 A JP 2001282449A JP 2001282449 A JP2001282449 A JP 2001282449A JP 2003089898 A JP2003089898 A JP 2003089898A
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plating bath
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Masateru Ichikawa
雅照 市川
Hiroyuki Kamata
弘之 鎌田
Shoji Mimura
彰治 味村
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Fujikura Ltd
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Fujikura Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子機器等の部品や配線基板の接続部等の被
メッキ処理部材の表面処理を電解メッキ処理方法によっ
て行う場合、鉛を含まない錫系合金を用いること、かつ
前記電解メッキ浴を安定して維持できる電解メッキ処理
方法とその電解メッキ浴の管理方法を提供する。 【解決手段】 本発明は、錫系合金の電解メッキ処理と
して、錫と少なくとも1種の銅、銀、ビスマスを含む酸
性電解メッキ浴中に、錫からなる陽極と被メッキ処理部
材からなる陰極を、同時に浸漬、同時に引き上げる電解
メッキ処理方法とすること。また前記電解メッキ処理を
行わないときの電解メッキ浴の管理を、前記錫陽極と酸
に不溶性の材料からなる陰極を用い、かつ前記陽極には
微小電流を流しておくことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子機器等の部品
や配線基板の接続部等の表面処理に関し、より詳細には
電子機器への実装時に半田付けされる部品、コネクタに
装着される配線基板の接続部等に、錫系合金を電解メッ
キ処理する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、電子機器等における半田付けされ
る部品やコネクタに装着される配線基板の接続部等に
は、その表面に錫を主成分とする半田めっき処理が施さ
れる。そしてこのような半田合金としては、錫に鉛を数
%〜40%程度含む錫―鉛系の半田合金が用いられてき
た。しかし、この様な鉛を含む半田を用いた電子機器等
が、酸性雨等に曝されると鉛が溶出し動植物や人体に影
響することから、鉛を含まない半田合金が検討されてい
る。その様な鉛を含まない半田合金としては、錫を主成
分としこれに銅、銀、ビスマス等を添加したものであ
る。また、このような半田合金は、鉛を含まないだけで
なく半田付け性の向上やウイスカの発生防止からも好ま
しいものとされている。しかしながら、錫に銅、銀、ビ
スマスを含む合金の電解メッキをする場合には、錫に
銅、銀、ビスマスを含む合金板を陽極に用いても、銅、
銀、ビスマスが錫より標準電極電位が高いため、錫がこ
れらの金属より優先的に溶解し、メッキ液中の各金属イ
オン比率を正確に制御することが困難な問題がある。
【0003】前述の錫と銅、銀、ビスマスからなる半田
合金の一つである、錫―銅合金めっき浴に関する提案
が、特開2001−107287号公報として見られ
る。その内容は、この種の合金めっきにおける銅の置換
析出を防止し、得られる皮膜の密着性の改善やめっき浴
の安定性を改善しようとするもので、具体的には、Sn
2+イオンおよびCu2+イオン、アルカンスルホン酸、ア
ルカノールスルホン酸および硫酸から選ばれる酸の1種
以上、およびチオ尿素系化合物からなる酸性Sn−Cu
合金めっき浴とすることによって上記問題点を解決でき
るとしている。さらにその電解めっき方法についても、
被めっき物を陰極として前記めっき浴中に浸漬し、陽極
としては金属スズ、スズー銅合金等の電極を用い、カソ
ードロック、噴流等の攪拌下、10〜50℃程度の温度
条件で、0.1〜100A/dm2程度で電解すればよ
いとの記載が見られる。
【0004】しかしながらこの様な電解メッキ処理にお
いては、錫(Sn)を陽極として用いて電解メッキ処理
を行うと、前述したように標準(電極)電位が銅(C
u)、銀(Ag)、ビスマス(Bi)の方が高いため、
メッキ液中でSnとの置換反応が生じ、Sn陽極が溶解
しCu、Ag、BiなどのイオンがSn陽極に析出す
る。この様な現象が起こると、メッキ液中のCu、A
g、Biが無駄に消費されることになり、またメッキ液
のCu、Ag、Bi等の濃度を正確に制御することが難
しくなる問題がある。さらに、前述の電解メッキ処理を
行なわないときの前記電解メッキ浴の管理方法について
は、何も対応が考えられていない。
【0005】また、前述の様なSn系合金めっきの電解
処理に関する提案として、特開2000−319793
号公報が見られる。この発明では、Sn−Bi系、Sn
−Ag系、Sn−Cu系合金を用いるに当たり、Snに
対するBi、Ag及びCuの含有量を、それぞれ2.0
〜10.0%、1.0〜10.0%、0.5〜1.0%
に設定し、特殊波形(サイリスター方式の6相半波で整
流された電流をさらにパルス波形として取り出す)によ
る電界処理を行うことにより、Sn−Bi系に起こるリ
フロー時のめっき層の剥がれの問題、まためっき層を溶
融したときに生じる皮膜寄り(メルト寄り)を防止する
ことが可能であると記載されている。
【0006】しかしながら、この発明の記載にもSn系
合金のメッキ浴中における、Snを陽極として用いて電
解メッキ処理した場合の添加金属である、Bi、Ag、
Cuの電極への析出の問題や、前記メッキ浴中のBi、
AgおよびCu量の正確な制御に関する解決方法はなん
ら開示されていない。また、前記電解メッキ処理を行な
わないときの前記添加金属の濃度を制御する為の、前記
メッキ浴の管理方法に関しても全く配慮されていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】よって本発明が解決し
ようとする課題の第1は、鉛を含まないSn系合金の電
解メッキ処理方法に関し、Snを主成分としCu、A
g、Bi等の1種あるいは複数含むSn系合金の電解メ
ッキ処理方法において、Snを陽極として用いた場合に
も、Sn陽極へのCu、AgやBiの析出がなく、前記
メッキ浴中での前記添加金属の濃度を正確に制御するこ
とができ、そのことによって前記添加金属の無駄のない
Sn系合金の電解メッキ処理が可能であり、また、得ら
れる電子機器の部品やコネクタに装着される配線基板の
接続部の表面処理状態も好ましく、かつ鉛による環境問
題等を生じないSn系合金の電解メッキ処理方法を提供
することにある。
【0008】更に第2の課題は、前記電解メッキ処理を
行わないときの前記電解メッキ浴の管理をも行なうこと
によって、前記電解メッキ浴の前記添加金属の減少を防
止して、電解メッキ浴の濃度を正確に制御でき、またそ
の後電解メッキ処理を行なう場合には、電解メッキ浴を
再調整する等の必要もなく電解メッキ処理作業が行なえ
るようにした、Sn系合金の電解メッキ浴の管理方法を
提供することにある。
【0009】また第3の課題は、前述のSn系合金を用
いた電解メッキ処理方法を、連続方式あるいはバッチ方
式として実施する場合の、実用的な方法を提供すること
にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】以上のような課題を解決
するためには、請求項1に記載するように、錫を主成分
とし銅,銀、ビスマスの少なくとも1種を含む錫系合金
を用いる電解メッキ処理方法において錫を陽極、被メッ
キ処理部材を陰極とし、前記陽極ならびに陰極を同時に
前記錫合金のメッキ浴中に浸漬して電解メッキ処理を行
い,前記メッキ処理終了後、前記陽極ならびに陰極を同
時に引き上げる方法とすることにより解決できる。
【0011】本発明は請求項2に記載するように、前記
錫系合金の電解メッキ浴中で、錫系合金としての銅、
銀、ビスマスのそれぞれの添加元素量を、電解メッキ浴
中の全イオン濃度に対する添加元素のイオン濃度の比率
で0.5〜10%の範囲とすることを特徴とする。ま
た、本発明は請求項3に記載するように、前記の電解メ
ッキ処理を行わない時の前記メッキ浴の管理として、酸
に不溶性の材料からなる電極を陰極、錫を陽極とし、前
記電解メッキ浴中で前記錫陽極に0.01〜1mA/c
2の電流を流すことによって電解メッキ浴中の添加金
属である錫や銅、銀、ビスマス濃度を、目的とする濃度
に制御しておくことが可能となる。
【0012】さらには、請求項4に記載されるように、
前記電解メッキ処理方法ならびに前記電解メッキ浴の管
理方法を適宜組み合わせて、順次繰り返して行えるよう
に構成することによって、連続方式としてあるいはバッ
チ方式として、錫系合金の電解メッキ処理が行なえる様
になる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳しく説明する。
まずSn系合金の電解メッキ処理方法を行なうにあた
り、Snならびに添加金属であるCu、Ag、Biの少
なくとも1種を必要濃度含む電解メッキ浴を用意する。
ついで、陽極としてSnからなる例えばSn板をセット
する。さらに、被メッキ処理部材として、電子機器に用
いる部品類あるいはコネクタに装着する配線基板の接続
部等を陰極側に配置する。この様な準備が終わったら、
前記陽極としてのSn板と陰極側に配置した被メッキ処
理部材を前記電解メッキ浴上に移動し、前記陽極と陰極
を同時に前記メッキ浴中に浸漬する。そして必要時間電
解メッキ処理を行い、前記処理が終了したら前記陽極な
らびに陰極を同時に引き上げる。この様な電解メッキ処
理方法とすることによって、前記メッキ浴中のCu、A
g、Biイオンが陽極のSn板上に析出することを極力
抑えることができるので、前記Sn系合金メッキ浴のC
u、Ag、Biの濃度を常に希望する組成濃度に維持で
きることになる。
【0014】そして前記電解メッキ処理方法において
は、前記添加金属元素であるCu、Ag、Biの濃度
を、Sn系合金の添加金属元素とした場合に、全イオン
濃度に対する添加金属元素のイオン濃度の比率を0.5
〜10%となるようにすることが好ましい。これは、こ
の様な添加量とすることによって前記メッキ浴中のC
u、Ag、Biの置換反応を極力抑えて、純Sn陽極へ
の析出を防止するとともに、被メッキ処理部材へのSn
の電解メッキ処理を十分に行なうために必要な濃度範囲
である。
【0015】また、前述の電解メッキ処理方法におい
て、Snからなる陽極と被メッキ処理部材からなる陰極
を、前記メッキ浴中に同時に浸漬し、同時に引き上げる
処理方法とするのは、この様な電解処理方法とすること
によって、Sn陽極上へのCu、Ag、Biイオンの析
出を極力抑える為である。
【0016】さらにまた、前述の様な電解メッキ処理方
法が終わった後、続いて電解メッキ処理を行わない場合
には、以下の様な電解メッキ浴の管理方法を実施する。
すなわち、陰極を前記被メッキ処理部材から酸に不溶性
の材料からなる電極に変え、陽極であるSnともに前記
電解メッキ浴中に浸漬し、前記陽極に0.01〜1mA
/cm2の電流を流し続けるものである。この様な処理
方法を続けることにより、前記メッキ浴のSnや前記の
添加金属であるCu、Ag、Biイオン濃度を目的とす
る範囲に管理することが可能となる。このことは、再度
電解メッキ処理方法を行なう場合に、電解メッキ浴の調
整が不要となり好都合である。また、前記電流の範囲を
0.01〜1mA/cm2とするのは、0.01mA/
cm2未満では、前記金属イオンの析出防止効果が不十
分であり、また、1mA/cm2を超える電流を流す
と、陰極に前記金属の被膜が析出して無駄になる。
【0017】さらに、前記陰極として使用する材料を酸
に不溶性の電極材料としたのは、この電解メッキ浴が酸
性であることと共に、(通電しない状態の)前記メッキ
浴中に陰極の材料が溶解して、メッキ浴中に不純物とし
ての金属イオンが混入しないようにする為である。その
ため前記陰極材料としては、プラチナ(Pt)電極、炭
素(C)電極等を用いるのが好ましい。また、この陰極
はダミー電極として利用され、この陰極上には若干の金
属の析出は見られるが、この陰極の大きさを変えて電流
密度を制御することにより、添加金属イオンの消費量を
問題にならない量に抑えることができる。このときの電
流密度を100mA/cm2以上とすると、水素発生反
応の起こる割合が大きくなり、添加金属イオンの消費量
をさらに低くすることが可能である。
【0018】次に陽極として使用されるSn電極につい
て述べると、前述の電解メッキ処理時や電解メッキ処理
を行なわない時の前記メッキ浴の管理方法において、使
用するSn電極の大きさは、電解メッキ処理条件によっ
て種々選択すれば良い。
【0019】さらにまた本発明においては、前述した電
解メッキ処理方法および電解メッキ処理を行なわないと
きの前記メッキ浴の管理方法を、連続方式として実施す
る場合にも十分実用的なものとするため、図1に示す方
法とするのがよい。
【0020】すなわち、前述のように電解メッキ処理時
においては、まず陽極であるSn電極2と電子機器の部
材や配線基板の接続部等の被メッキ処理部材からなる陰
極3を準備する。(図1(a))ついで、この陽極2と
陰極3を電解メッキ槽5上に移動し(図1(b))、両
電極を同時にメッキ浴中1に浸漬して電解メッキ処理を
行う。(図1(c))そして電解メッキ終了後は、陽極
2と陰極3を同時に引き上げる。(図1(d))このよ
うな操作は、自動的に行うことができる機構となってい
ることが好ましい。そして、続いて電解メッキ処理を行
なう場合には、被メッキ処理部材を自動的に交換して陰
極3とし、前述の操作が繰り返される。
【0021】また、続いて電解メッキ処理を行なわない
場合には、前記電解メッキ浴を管理する為、ダミー電極
として作用する酸に不溶性の材料で作られた陰極4が、
前記被メッキ処理部材の陰極3と自動的に交換され(図
1e)、前記Sn陽極2とともに前記メッキ浴1中に浸
漬し、かつSn陽極には0.01〜1mA/cm2の電
流が流される。(図1f)
【0022】ついで、再度電解メッキ処理が必要となっ
た場合には、前記陽極2ならびに陰極4が引き上げられ
(図1g)、陰極として予め用意された被メッキ処理部
材からなる陰極3と自動的に交換し、電解メッキ処理の
準備を行う。(図1a)そして、前述の記載のように陽
極と陰極が同時に電解メッキ浴中に浸漬されて、電解メ
ッキ処理が行なわれる。この様な電解メッキ処理方法と
すれば、連続方式の電解メッキ処理を行うことが可能で
ある。また、この様な方法が自動化されていれば、Sn
系合金の電解メッキ処理方法として、大幅な作業性の向
上が期待できる。また前述のように、本発明のSn系合
金の電解メッキ浴は、陽極へ電解メッキ浴中の添加金属
の析出が極めて少ない為、前記メッキ浴は安定したもの
となり、前記添加金属の濃度が正確に制御できることに
なる。よってその都度、電解メッキ浴の添加金属の濃度
調整等の必要がなく、安定して電解メッキ処理方法が実
施でき、被メッキ処理部材の表面性等も好ましいものと
なる。
【0023】
【実施例】表1に示す内容の実験を行い100時間経過
後の電解メッキ浴中のSnやCu、Ag、Biのそれぞ
れの添加金属の濃度変化を測定した。実験に用いたメッ
キ槽5は、1000L(リットル)の電解メッキ浴1と
した。陽極2は、純Sn板からなり、表面積15000
cm2のものである。陰極3としての被メッキ処理部材
は、配線基板の接続部とした。そして、前記メッキ浴
は、アルカノールスルホン酸をベースにSn−Cu系、
Sn−Ag系、Sn−Bi系合金のメッキ液としてそれ
ぞれ使用した。従来例としては、Pb−Sn系のメッキ
液を使用した。実施例は、前記陽極2ならびに陰極3を
同時に前記メッキ浴に浸漬、電解処理終了後同時に浴か
ら引き上げ、100時間保持した。比較例ならびに従来
例は、電解処理終了後100時間浸漬したままの状態に
した。結果の判定は、電解メッキ浴中のSn、Cu、A
g、Biの濃度を測定し、それぞれの濃度が初期濃度と
比較して、その減少量が10%以下の場合は合格として
○印、それ以上の減少量のあるものは、不合格として×
印で示した。
【0024】
【表1】
【0025】表1から明らかな如く、本発明の電解メッ
キ処理である陽極ならびに陰極を電解メッキ浴中に同時
に浸漬し、同時に引き上げる実施例1〜6では、100
時間経過後においても、Sn濃度や添加金属であるC
u、Ag、Biのそれぞれの濃度変化がほとんどなく、
前記電解メッキ浴が安定していることが判る。初期濃度
に対して、10%以下の減少量である。これは、従来例
1として記載した、広く使用されているPb−Sn系の
電解メッキ浴と同等のものであることも確認されたが、
本発明の電解メッキ処理は有害なPbを含まないもので
あるから、前述したような環境問題等が生じることもな
い。これに対して、比較例1〜3に示した従来方法での
100時間浸漬後の電解メッキ浴中の前記添加金属がか
なり減少していることがわかる。表1から明らかなよう
に、初期濃度に対して10%以上の減少が見られる。こ
の様な電解メッキ方法においては、メッキ浴中の添加金
属等を常にチェックしながら、減少した分を追加する等
の作業が必要になる。これに対して、本発明の電解メッ
キ処理方法ではその様な作業は全く必要がない。
【0026】また、本発明の電解メッキ処理方法におけ
る、Snに対する添加金属であるCu、Ag、Biの添
加濃度範囲は、それぞれSn合金として0.5〜10%
(Wt)の範囲で用いることができる事が確認できた。
このような添加量範囲は、半田付け性の向上、ウイスカ
発生の抑制から好ましい。
【0027】つぎに、電解メッキ処理を行なわない時の
電解メッキ浴の管理方法についての実験結果を示す。実
験は、陽極に純Sn板を、陰極にはプラチナ(Pt)電
極を使用し、電解メッキ浴中で前記Sn陽極に微小な電
流0.01〜0.1mA/cm2を100時間流した場
合と流さない場合について、電解メッキ浴中Sn濃度や
添加金属であるCu、Ag、Biの濃度変化を測定し
た。前記メッキ浴は、前述の実施例の場合と同様のもの
である。またそれぞれの実験条件は、表2に示すとおり
である。なお、従来例2として、Pb−Sn系のメッキ
浴を用いて、陽極に微小電流を流さない場合の結果を示
した。また、判定は前述の実施例と同様に、合格を○
印、不合格を×印で示した。
【0028】
【表2】
【0029】表2の実験結果から明らかな如く、本発明
の電解メッキ浴の管理方法のように、電解メッキ処理を
行なわない時には特定の微小電流を前記陽極に流してお
くことによって、前記電解メッキ浴のSn濃度や添加金
属であるCu、Ag、Biのそれぞれの濃度を安定して
維持することができる。このことは、続いて電解メッキ
処理の必要が生じた場合に、直ちに作業に対応できるこ
とになり好ましい。
【0030】以下により詳細に述べると、実施例7〜1
1に見られるように、前記陽極に流す電流密度が0.0
1〜1mA/cm2の範囲で、電解メッキ浴の添加金属
の濃度が安定したものであることがわかる。これに対
し、比較例7〜12で示すように電流密度が、2mA/
cm2あるいは0.006mA/cm2では、Sn濃度が
減少するものや前記添加金属のかなりの濃度低下が見ら
れる。表2から明らかな如く、初期濃度に対して10%
以上の減少となっている。また、比較例4〜6に示した
場合のように電流を流さない場合も、かなりの量の前記
添加金属の減少が見られる。表2から明らかな如く、1
0%以上の減少となる。さらに本発明の電解メッキ浴管
理方法は、従来例2として記載したPb−Sn系と比較
しても、遜色のないものであることも判る。しかも、本
発明の電解メッキ浴管理方法では、有害な鉛が含まれな
いので、鉛の流出等による環境問題も生じない。
【0031】さらに、本発明の電解メッキ処理方法にお
ける電解メッキ浴の管理方法では、添加金属であるC
u、Ag、Biの使用できるイオン濃度範囲について
も、実施例(7〜9、12〜14)に見られるように、
Sn系合金のイオン濃度に対してそれぞれ(0.5〜1
0%)の範囲で管理可能である事がわかる。この濃度範
囲ははんだ付け性、ウイスカ発生の抑制の点で好ましい
ものである。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のSn系合
金の電解メッキ処理方法は、錫からなる陽極ならびに被
メッキ部材の陰極を前記電解メッキ浴中に同時に浸漬
し、電解メッキ処理が終了後同時に引き上げる方法とす
ることにより、前記陽極に使用する純Sn電極上に添加
金属であるCu、Ag、Biの析出がなく、電解メッキ
処理方法を実施しても前記添加金属の減少が極めて少な
い。このことは、前記添加金属のムダがなく電解メッキ
浴が長時間安定しており、前記電解メッキ浴の管理に手
間がかからず、電解メッキ処理作業がスムースに行える
効果がある。この様なSn系合金の電解メッキ処理方法
によって処理される被メッキ処理部材は、その表面性等
においても好ましいものである。さらに、この電解メッ
キ処理方法は、Pbを含まないSn合金系であるにもか
かわらず、従来使用されている鉛―錫系合金メッキと同
等の効果を有しており、当然にPbの溶出等による環境
問題も生じないものである。
【0033】また、前記電解メッキ処理を行なわないと
きの前記電解メッキ浴の管理方法として、陰極に酸に不
溶性材料からなる電極を用い、陽極であるSnに、0.
01〜1mA/cm2の電流を流しておくことによっ
て、Snならびに添加金属であるCu、Ag、Biの減
少がなく、電解メッキ浴の組成を安定して長時間維持す
ることができる。このことは、つづいて電解メッキ処理
を行なうに当たり、電解メッキ浴の調整を不要とし、電
解メッキ処理作業がスムースに行なえる効果がある。さ
らに、陰極に酸に不溶性の電極を用いたので、電解メッ
キ浴が不純物元素によって汚染されることもない。
【0034】さらにまた、前記電解メッキ処理としてS
n陽極と陰極を同時に電解メッキ浴中に浸漬、引き上げ
を行なう方法と、電解メッキ処理を行なわないときの前
記電解メッキ浴に前記陽極に微小電流(0.01〜1m
A/cm2)を流しておく電解メッキ浴の管理方法を適
宜組み合わせて行うことにより、バッチ方式あるいは連
続方式による電解メッキ処理方法を自由に選択して行な
える効果がある。また、電解メッキ浴のSnや添加金属
であるCu、Ag、Biの濃度も正確に長時間維持され
ているので、望ましいSn系合金の電解メッキ処理方法
であることは言うまでもない。そして当然に、得られる
被メッキ処理部材の表面性も好ましいものであり、用い
るSn系合金にはPbが含まれないので、Pbの溶出等
による環境問題も生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の電解メッキ処理方法を、連続
して実施する場合の一例を示す概略工程図である。
【符号の説明】
1・・・Sn系合金の電解メッキ浴、2・・・純Snか
らなる陽極、3・・・被メッキ処理部材からなる陰極、
4・・・Pt電極からなる陰極。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 味村 彰治 東京都江東区木場1丁目5番1号 株式会 社フジクラ内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 錫を主成分とし、銅、銀、ビスマスの少
    なくとも1種を含む錫系合金を用いる電解メッキ方法に
    おいて、錫を陽極、被メッキ処理部材を陰極とし、前記
    陽極ならびに陰極を同時に前記錫合金の電解メッキ浴中
    に浸漬して電解メッキ処理を行い、前記メッキ処理終了
    後前記陽極ならびに陰極を同時に引き上げることを特徴
    とする錫系合金の電解メッキ処理方法。
  2. 【請求項2】 前記錫系合金の電解メッキ浴中で、錫系
    合金としての銅、銀、ビスマスのそれぞれの添加元素量
    を、電解メッキ浴中の全イオン濃度に対する添加元素の
    イオン濃度の比率で0.5〜10%の範囲とすることを
    特徴とする請求項1記載の錫系合金の電解メッキ処理方
    法。
  3. 【請求項3】 前記錫系合金の電解メッキ浴で前記電解
    メッキ処理が行われていないときは、酸に不溶性の材料
    からなる電極を陰極として用い、錫を陽極としてこの陽
    極に0.01〜1mA/cm2の電流を流しておくこと
    を特徴とする錫系合金の電解メッキ浴の管理方法。
  4. 【請求項4】 錫を主成分とし、銅、銀、ビスマスの少
    なくとも1種を含む錫系合金を用いる電解メッキ方法に
    おいて、錫を陽極、被メッキ処理部材を陰極とし、前記
    陽極ならびに陰極を同時に前記錫系合金のメッキ浴中に
    浸漬して電解メッキ処理を行い、前記処理が終了後前記
    陽極ならびに陰極を同時に引き上げる方法と、前記錫の
    陽極および酸に不溶性材料からなる電極を陰極として、
    前記メッキ浴中に浸漬し、前記陽極に0.01〜1mA
    /cm2の電流を流し続ける電解メッキ浴の管理方法と
    を繰り返し行うことを特徴とする錫系合金の電解メッキ
    処理方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US9666547B2 (en) 2002-10-08 2017-05-30 Honeywell International Inc. Method of refining solder materials
KR102408207B1 (ko) * 2022-01-11 2022-06-14 설필수 주석 과용해를 제어할 수 있는 주석도금 방법

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US9666547B2 (en) 2002-10-08 2017-05-30 Honeywell International Inc. Method of refining solder materials
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