JP2003089836A - Ni基合金および鍛造加工用金型 - Google Patents

Ni基合金および鍛造加工用金型

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JP2003089836A
JP2003089836A JP2001284055A JP2001284055A JP2003089836A JP 2003089836 A JP2003089836 A JP 2003089836A JP 2001284055 A JP2001284055 A JP 2001284055A JP 2001284055 A JP2001284055 A JP 2001284055A JP 2003089836 A JP2003089836 A JP 2003089836A
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JP2001284055A
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Kimiharu Sudo
公治 須藤
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Honda Motor Co Ltd
Proterial Ltd
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Honda Motor Co Ltd
Hitachi Metals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】鍛造加工用金型の寿命を長期化させることによ
って、鍛造加工に対する設備投資を低廉化するとともに
鍛造加工品の生産効率を向上させる。 【解決手段】鍛造加工用金型10は、組成がインコネル
718(登録商標)相当のNi基合金からなる。そし
て、このNi基合金における金属組織中には、長径が
0.5nm以上である析出物が700個/μm2以上の
割合で存在する。この析出物の一部は、長径と短径の和
を2で除したものとして定義される平均径が25nm〜
1μmである大析出物が10個/μm2以上の割合で存
在する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた強度、硬度
および靱性を有するNi基合金および該Ni基合金から
なる鍛造加工用金型に関する。
【0002】
【従来の技術】図4に、自動車の変速機等に用いられる
歯車1を示す。この歯車1は、大径部2と、該大径部2
に比して小径な小径部3とを有し、小径部3の側周壁部
には外歯4が設けられている。
【0003】この歯車1は、例えば、熱間鍛造加工によ
り製造されている。すなわち、SCR420H、SCM
420HまたはHNCM(いずれもJIS規格)等から
なる図示しないリング状ワークが1100〜1200℃
程度に加熱された後に金型内に配置され、次に、パンチ
等で押圧されて歯車1に対応する形状に塑性変形され
る。この際には、金型に設けられた歯部形成部によっ
て、リング状ワークの外壁部に外歯4が形成される。熱
間鍛造加工には、ワークが再結晶により軟化するので加
工硬化がなく、このため、ワークの延性が大きくなるの
で容易に加工を施すことができるという利点がある。
【0004】このような熱間鍛造加工用の金型の原材料
としては、安価であることや様々な形状の金型を容易に
作製することができるということから、高速度工具鋼や
マルエージ鋼等のいわゆる熱間ダイス鋼が広く使用され
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
に歯車1を熱間鍛造加工で製造する場合、リング状ワー
クから金型に熱が伝達されるので、必然的に金型の温度
も上昇する。具体的には、725℃程度、瞬間的には1
100℃程度まで到達することがある。
【0006】このような状態で熱間鍛造加工をおよそ3
000回ほど繰り返して行うと、金型に摩耗や欠けが発
生する。したがって、寸法が所定の基準に満たない不良
歯車が形成されてしまうので、鍛造加工装置を停止させ
た上で金型を新しいものに交換する必要がある。
【0007】しかしながら、この際、鍛造作業が中断さ
れるので、歯車1の生産効率が下降してしまう。また、
金型を頻繁に交換する必要があることから、熱間鍛造加
工に対する設備投資が高騰してしまうという不具合もあ
る。
【0008】以上から諒解されるように、一般的な熱間
鍛造加工用金型には、該金型の寿命が短いために鍛造加
工品の生産効率を向上させることが困難であり、しか
も、加工コストを上昇させてしまうという不具合が顕在
化している。そこで、長寿命な金型が希求されているも
のの、そのような金型は未だに得られていない。
【0009】本発明は上記した問題を解決するためにな
されたもので、析出物の存在によって硬度、強度および
靱性が向上した析出硬化型のNi基合金および鍛造加工
用金型を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに、本発明は、50〜55質量%のNi、17〜21
質量%のCr、2.8〜3.3質量%のMo、合計で
4.75〜5.5質量%のTaとNb(ただしTaは
0.1質量%以下)、0.65〜1.15質量%のT
i、0.2〜0.8質量%のAlを含有し、残部がFe
および不可避的不純物であるNi基合金であって、電子
線の透過厚さを10nmに標準化するとき、透過型電子
顕微鏡にて二次元的に観察される金属組織中に長径が
0.5nm以上である析出物が700個/μm2以上の
割合で存在し、かつ前記析出物として、以下の式(1)
で定義される平均径が25nm〜1μmである大析出物
が含まれていることを特徴とする。 平均径=(長径+短径)/2 …(1)
【0011】すなわち、このNi基合金の組成は、イン
コネル718(登録商標)の主成分の組成に相当する。
なお、組成がインコネル718相当である市販Ni基合
金の金属組織中には、このような大析出物は認められな
い。
【0012】このような析出物および大析出物が金属組
織中に含有されているNi基合金では、熱応力が発生し
た場合や機械的応力が加えられた場合、これら析出物お
よび大析出物の存在によって伝播することが著しく抑制
される。このため、強度、硬度および靱性に優れるよう
になる。すなわち、本発明に係るNi基合金は、いわゆ
る析出硬化型合金である。
【0013】なお、本発明に係るNi基合金は、0.0
8質量%以下のCo、0.01質量%以下のB、0.0
8質量%以下のCu、0.08質量%以下のC、0.3
5質量%以下のSi、0.35質量%以下のMn、0.
015質量%以下のP、および0.015質量%以下の
Sをさらに含有するものであってもよい。
【0014】大析出物は、10個/μm2以上の割合で
金属組織中に存在することが好ましい。10個/μm2
未満である場合、該大析出物によって応力の伝播を抑制
することが容易ではなくなるので、Ni基合金の諸特性
を向上させる効果に乏しくなる。
【0015】析出物および大析出物の組成は、主にNi
3Nb、すなわち、γ”相である。インコネル718相
当のNi基合金は、このγ”相により諸特性が向上す
る。勿論、Ni3(Al,Ti)、すなわち、γ’相が
析出物または大析出物に含まれていてもよい。
【0016】また、金属組織中の母材粒子の結晶粒度が
ASTM規格でNo.8以上であることが好ましい。こ
こで、ASTM規格では、結晶粒度の数字が大きくなる
ほど結晶粒の平均断面積が小さくなる。本発明に係るN
i基合金においては、金属組織中の母材粒子の結晶粒の
平均断面積が小さいことが好ましい。この場合、金属組
織中を応力が伝播することが一層困難となり、結局、上
記の諸特性をより向上させることができるからである。
具体的には、多くの場合、該Ni基合金におけるCスケ
ールのロックウェル硬度が40を超えるようになる。
【0017】また、本発明は、Ni基合金からなる鍛造
加工用金型であって、前記Ni基合金は、50〜55質
量%のNi、17〜21質量%のCr、2.8〜3.3
質量%のMo、合計で4.75〜5.5質量%のTaと
Nb(ただしTaは0.1質量%以下)、0.65〜
1.15質量%のTi、0.2〜0.8質量%のAlを
含有し、残部がFeおよび不可避的不純物であり、電子
線の透過厚さを10nmに標準化するとき、透過型電子
顕微鏡にて二次元的に観察される金属組織中に長径が
0.5nm以上である析出物が700個/μm2以上の
割合で存在し、かつ前記析出物には、以下の式(1)で
定義される平均径が25nm〜1μmである大析出物が
含まれていることを特徴とする。 平均径=(長径+短径)/2 …(1)
【0018】すなわち、本発明に係る鍛造加工用金型
は、上記したNi基合金から構成されている。換言すれ
ば、この金型は、強度、硬度および靱性に優れ、このた
めに鍛造加工を繰り返し行っても摩耗や欠けが発生し難
い。したがって、金型の交換頻度が著しく減少するので
金型に要するコストが低廉化し、結局、鍛造加工に対す
る設備投資を低廉化することができる。また、鍛造作業
を中断する頻度も減少するので、鍛造加工製品の生産効
率も向上する。
【0019】なお、本発明に係る鍛造加工用金型を構成
するNi基合金には、上記した成分に加え、0.08質
量%以下のCo、0.01質量%以下のB、0.08質
量%以下のCu、0.08質量%以下のC、0.35質
量%以下のSi、0.35質量%以下のMn、0.01
5質量%以下のP、および0.015質量%以下のSが
さらに含有されていてもよい。
【0020】上記したように、応力の伝播を確実に抑制
することができるということから、大析出物が10個/
μm2以上の割合で存在することが好ましい。
【0021】また、この金型の諸特性が優れている理由
は、析出物および大析出物にγ”相が含まれていること
による。勿論、γ’相が含まれていてもよい。
【0022】そして、この金型を構成するNi基合金に
おける金属組織中の母材粒子の結晶粒度は、ASTM規
格でNo.8以上であることが好ましい。この場合、金
型の諸特性が一層優れたものとなるからである。例え
ば、該金型におけるCスケールのロックウェル硬度が4
0を超えるようになることがある。
【0023】なお、この金型は、好適には熱間鍛造加工
において使用することができる。この場合、Ni基合金
の金属組織中に新たな析出物が析出することに伴って該
金型の諸特性が維持され、これにより金型の寿命が長期
化するからである。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る鍛造加工用金
型につき該金型を構成するNi基合金との関係で好適な
実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明す
る。
【0025】本実施の形態に係る鍛造加工用金型(以
下、単に金型ともいう)の概略縦断面斜視図を図1に示
すとともに、該図1の平面図を図2に示す。略円筒体で
あるこの金型10は、図4に示される歯車1を形成する
ためのものであり、好ましくは熱間鍛造加工において使
用される。
【0026】図1および図2に示すように、この金型1
0の中央部には、該金型10の下端面で開口した大径の
大貫通孔12と、該大貫通孔12に比して小径の小貫通
孔14とが上下に連通して設けられている。そして、金
型10の上端面には、図示しない鍛造加工装置に該金型
10を取り付けるための円柱状凹部16が形成されてい
る。
【0027】このうち、小貫通孔14の内周壁部下端に
は、複数個の歯部形成用溝18が互いに等間隔で離間し
て設けられている。歯車1(図4参照)の外歯4は、リ
ング状ワークの肉がこの歯部形成用溝18(図1および
図2参照)内に塑性流動することによって成形される。
【0028】ここで、この金型10は、組成がインコネ
ル718に相当するNi基合金からなる。すなわち、該
金型10を構成するNi基合金には、50〜55質量%
のNi、17〜21質量%のCr、2.8〜3.3質量
%のMo、合計で4.75〜5.5質量%のTaとNb
(ただしTaは0.1質量%以下)、0.65〜1.1
5質量%のTi、0.2〜0.8質量%のAl、0.0
8質量%以下のCo、0.01質量%以下のB、0.0
8質量%以下のCu、0.08質量%以下のC、0.3
5質量%以下のSi、0.35質量%以下のMn、0.
015質量%以下のP、および0.015質量%以下の
Sが含有されており、かつ残部はFeおよび不可避的不
純物である。そして、このNi基合金を構成する金属組
織中には、電子顕微鏡等の観察結果から、母材粒子中に
分散した析出物が存在することが認められる。
【0029】このうち、母材粒子の結晶粒度は、AST
M(American Society for Testingand Materials)規
格でNo.8である。すなわち、結晶粒の平均断面積が
0.00049mm2程度のものである。
【0030】一方、析出物は、本実施の形態では、長径
が0.5nm以上であるものが金属組織中に約1100
個/μm2の割合で存在している。この割合は、市販品
であるインコネル718相当のNi基合金における析出
物が約2100個/μm2の割合で存在しているのに比
してやや少ない。
【0031】ここで、析出物の割合は、透過型電子顕微
鏡での観察結果から求められる。すなわち、この割合
は、Ni基合金のサンプルを透過型電子顕微鏡にて観察
する際に、二次元平面である視野中に現れた金属組織に
おける析出物の密度から算出されたものである。
【0032】析出物の密度は、サンプルの厚みにより変
動する。この理由は、サンプルの厚さ方向(電子線の透
過方向)において互いに異なる高さに位置する析出物が
全て視野に現れるからである。例えば、サンプルの厚み
が2倍となると、析出物の密度も2倍となる。
【0033】そこで、本実施の形態では、この密度を、
サンプルの厚さ、すなわち、電子線の透過厚さを10n
mに標準化して換算する。例えば、サンプルの厚さが1
5nmである場合、透過型電子顕微鏡の視野に現れた金
属組織中における析出物の密度を1.5で除すことによ
って上記した析出物の割合が算出される。同様に、電子
線の透過厚さが20nmである場合、金属組織中におけ
る析出物の密度を2で除せばよい。
【0034】なお、ここでいう長径とは、図3に示すよ
うに、透過型電子顕微鏡(TEM)にて写真撮影された
析出物の長手方向における両端部を2本の平行線L1、
L2で挟んだ際に最大距離となるときの間隔xを測定倍
率で除したものとして定義される。一方、図3における
yは、前記平行線L1、L2に直交する平行線M1、M
2で析出物を挟んだ際に最大距離となるときの間隔であ
り、このyを測定倍率で除したものが短径である。
【0035】そして、この析出物の一部は、以下の式
(1)で定義される平均径が25nm〜1μmである大
析出物である。 平均径=(長径+短径)/2 …(1)
【0036】この場合、大析出物は、金属組織中に約1
5個/μm2の割合で存在する。なお、平均径が1μm
を超える巨大析出物は、金型の諸特性の向上にはさほど
寄与しない。
【0037】大析出物の粒度分布は、比較的狭い。換言
すれば、大析出物の平均径は互いに略同等であり、バラ
ツキが少ない。
【0038】平均径がこのように大きな大析出物は、イ
ンコネル718相当のNi基合金からなる市販品には全
く認められない。すなわち、本実施の形態に係る金型1
0を構成するNi基合金の金属組織には、一般的なNi
基合金における金属組織中には認められない大析出物が
高い割合で含有されている。
【0039】これら析出物および大析出物の大部分の組
成は、Ni3Nb、すなわち、γ”相である。なお、組
成がNi3(Al,Ti)として表されるγ’相からな
るものが析出物および大析出物に含まれていてもよい。
【0040】このように、本実施の形態に係る金型10
は、市販品における析出物に比して大きく成長し、かつ
主にγ”相からなる析出物を金属組織中に含有するNi
基合金から構成されている。換言すれば、このNi基合
金は、析出物によって硬化された析出硬化型合金であ
り、優れた硬度、強度および靱性を兼ね備えている。な
お、上記したように、該Ni基合金において析出物が金
属組織中を占める割合は、市販品に比してやや低い。
【0041】このように構成された金型10のCスケー
ルのロックウェル硬度(以下、HRCとも表記する)
は、母材粒子の結晶粒度がASTM規格でNo.8未満
であるもの、換言すれば、粒度密度が大きいものに比し
て高くなる。具体的には、後者のHRCが最大でも40
であるのに対し、本実施の形態に係る金型10のHRC
は40を超える。このように硬度が高い金型は耐摩耗性
が良好であるので、長寿命なものとなる。
【0042】このようなNi基合金は、例えば、AST
M規格での結晶粒度がNo.8でありかつインコネル7
18相当の組成を有する非熱処理Ni基合金に対し、約
980℃での溶体化処理を2時間ほど行った後、約63
0℃で8時間ほどの第1次時効処理と、約740℃で8
時間ほどの第2次時効処理とを施すことにより得ること
ができる。すなわち、このNi基合金は、インコネル7
18相当の組成のNi基合金に対する一般的な時効処理
順序、すなわち、720℃で8時間の第1次時効処理、
620℃で8時間の第2次時効処理とは逆に、第2次時
効処理時の温度を高くすることによって得ることができ
る。
【0043】本実施の形態に係る金型10は、基本的に
は以上のように構成されるものであり、次にその作用効
果について説明する。
【0044】この金型10が取り付けられた鍛造加工装
置を使用しての熱間鍛造加工は、以下のようにして遂行
される。すなわち、まず、SCR420H、SCM42
0HまたはHNCM等からなるリング状ワーク(図示せ
ず)を1100〜1200℃程度に加熱した後、該リン
グ状ワークを金型10の大貫通孔12内に配置する。こ
の際、リング状ワークは、大貫通孔12の底部に載置さ
れる。
【0045】次に、リング状ワークをパンチ(図示せ
ず)で押圧する。この押圧により、リング状ワークの肉
が塑性流動して小貫通孔14に流入するとともに、小貫
通孔14に流入した肉の一部が歯部形成用溝18内に分
岐して流入する。なお、肉の塑性流動は、小貫通孔14
内に挿入された図示しないピンにより堰き止められる。
【0046】この際、鍛造加工装置内において近接した
支持部材により周囲が囲繞された金型10に対し、リン
グ状ワークから熱が伝達される。このため、金型10に
は熱応力が発生する。しかしながら、この金型10を構
成するNi基合金における金属組織には、上記したよう
に、平均径が互いに略同等である大析出物が分散してい
る。しかも、該金属組織中には、析出物が適度な密度で
含有されている。したがって、Ni基合金、すなわち、
金型10中で熱応力が伝播することは、これら析出物お
よび大析出物(主にγ”相)によって著しく抑制され
る。
【0047】要するに、本実施の形態に係る金型10
は、金属組織中に析出物および大析出物を含有すること
に起因して硬度、強度および靱性が向上したNi基合金
から構成されている。このため、熱応力に対する抵抗力
が高く、摩耗や欠けが発生し難い金型となる。具体的に
は、14700回程度の熱間鍛造加工を繰り返し行うこ
とができる。すなわち、本実施の形態に係る金型10
は、従来技術に係る金型に比して約5倍の寿命を有す
る。
【0048】さらに、熱間鍛造加工が行われている最
中、リング状ワークから熱が伝達されることにより金型
10の温度が上昇する。上記したように、本実施の形態
に係る金型10を構成するNi基合金は、約630℃で
8時間ほどの第1次時効処理と、約740℃で8時間ほ
どの第2次時効処理とを施すことにより得られるもので
あるので、析出物の析出が不完全である。このため、熱
間鍛造加工の最中、Ni基合金の金属組織中にさらなる
析出物が新たに析出する。この新たに析出した析出物に
よりNi基合金の硬度、強度および靱性がさらに向上す
ることも、金型10の寿命が著しく長期化する理由の1
つであると考えられる。
【0049】また、この金型10は、HRCが40を超
えることに起因して耐摩耗性が高いので、寿命が一層長
期化する。
【0050】このように、本実施の形態に係る金型10
は摩耗や欠けが発生し難いものであるので、交換頻度が
著しく少なくなる。このため、予備の金型を多数用意し
ておく必要がないので、鍛造加工に要するコストを低廉
化することができる。
【0051】また、交換頻度が少ないので、鍛造作業を
中断する頻度も少なくなる。したがって、歯車1の生産
効率が向上するという利点もある。
【0052】上記の鍛造加工過程において、小貫通孔1
4に流入した肉が小径部3となり、かつ歯部形成用溝1
8に流入した肉が外歯4となる。また、大貫通孔12内
において、該大貫通孔12の直径にまで拡径された大径
部2が成形される。これにより、製品としての歯車1が
得られるに至る。
【0053】なお、上記した実施の形態においては、金
型10を熱間鍛造加工用のものとして使用したが、冷間
鍛造加工に使用するようにしてもよい。
【0054】また、この実施の形態では、Ni基合金を
金型10に適用した場合を例示して説明したが、該Ni
基合金でタービンブレード等の構造材料やその他のもの
を構成するようにしてもよいことはいうまでもない。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るNi
基合金によれば、長径が0.5nm以上である析出物の
一部として、平均径が25nm〜1μmである大析出物
が金属組織中に含まれている。これら析出物および大析
出物の存在によって金属組織中で応力が伝播することが
著しく抑制されるので、市販されているNi基合金に比
して強度、硬度および靱性が優れたものとなるという効
果が達成される。
【0056】また、本発明に係る鍛造加工用金型によれ
ば、上記のNi基合金から構成されているので、例え
ば、熱間鍛造加工を繰り返して行っても摩耗や欠けが発
生し難い。このため、一般的な鍛造加工用金型に比して
著しく寿命が長期化する。したがって、金型の交換頻度
が著しく減少するので、鍛造加工に対する設備投資を低
廉化することができるとともに、鍛造加工製品の生産効
率を向上させることができるという効果が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る鍛造加工用金型の概略縦断
面斜視図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】析出物(大析出物)の長径および短径の定義を
説明する説明図である。
【図4】小径部に外歯を有する歯車の概略全体斜視図で
ある。
【符号の説明】
1…歯車 4…外歯 10…鍛造加工用金型 18…歯部形成用

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】50〜55質量%のNi、17〜21質量
    %のCr、2.8〜3.3質量%のMo、合計で4.7
    5〜5.5質量%のTaとNb(ただしTaは0.1質
    量%以下)、0.65〜1.15質量%のTi、0.2
    〜0.8質量%のAlを含有し、残部がFeおよび不可
    避的不純物であるNi基合金であって、 電子線の透過厚さを10nmに標準化するとき、透過型
    電子顕微鏡にて二次元的に観察される金属組織中に長径
    が0.5nm以上である析出物が700個/μm2以上
    の割合で存在し、 かつ前記析出物として、以下の式(1)で定義される平
    均径が25nm〜1μmである大析出物が含まれている
    ことを特徴とするNi基合金。 平均径=(長径+短径)/2 …(1)
  2. 【請求項2】請求項1記載のNi基合金において、0.
    08質量%以下のCo、0.01質量%以下のB、0.
    08質量%以下のCu、0.08質量%以下のC、0.
    35質量%以下のSi、0.35質量%以下のMn、
    0.015質量%以下のP、および0.015質量%以
    下のSをさらに含有することを特徴とするNi基合金。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載のNi基合金におい
    て、前記大析出物が10個/μm2以上の割合で存在す
    ることを特徴とするNi基合金。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれか1項に記載のNi
    基合金において、前記析出物および前記大析出物には少
    なくともγ”相が含まれていることを特徴とするNi基
    合金。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれか1項に記載のNi
    基合金において、前記金属組織中の母材粒子の結晶粒度
    がASTM規格でNo.8以上であることを特徴とする
    Ni基合金。
  6. 【請求項6】請求項5記載のNi基合金において、Cス
    ケールのロックウェル硬度が40を超えることを特徴と
    するNi基合金。
  7. 【請求項7】Ni基合金からなる鍛造加工用金型であっ
    て、 前記Ni基合金は、50〜55質量%のNi、17〜2
    1質量%のCr、2.8〜3.3質量%のMo、合計で
    4.75〜5.5質量%のTaとNb(ただしTaは
    0.1質量%以下)、0.65〜1.15質量%のT
    i、0.2〜0.8質量%のAlを含有し、残部がFe
    および不可避的不純物であり、 電子線の透過厚さを10nmに標準化するとき、透過型
    電子顕微鏡にて二次元的に観察される金属組織中に長径
    が0.5nm以上である析出物が700個/μm2以上
    の割合で存在し、 かつ前記析出物として、以下の式(1)で定義される平
    均径が25nm〜1μmである大析出物が含まれている
    ことを特徴とする鍛造加工用金型。 平均径=(長径+短径)/2 …(1)
  8. 【請求項8】請求項7記載の金型において、前記Ni基
    合金が0.08質量%以下のCo、0.01質量%以下
    のB、0.08質量%以下のCu、0.08質量%以下
    のC、0.35質量%以下のSi、0.35質量%以下
    のMn、0.015質量%以下のP、および0.015
    質量%以下のSをさらに含有することを特徴とする鍛造
    加工用金型。
  9. 【請求項9】請求項7または8記載の金型において、前
    記大析出物が10個/μm2以上の割合で存在すること
    を特徴とする鍛造加工用金型。
  10. 【請求項10】請求項7〜9のいずれか1項に記載の金
    型において、前記析出物および前記大析出物には少なく
    ともγ”相が含まれていることを特徴とする鍛造加工用
    金型。
  11. 【請求項11】請求項7〜10のいずれか1項に記載の
    金型において、前記金属組織中の母材粒子の結晶粒度が
    ASTM規格でNo.8以上であることを特徴とする鍛
    造加工用金型。
  12. 【請求項12】請求項11記載の金型において、Cスケ
    ールのロックウェル硬度が40を超えることを特徴とす
    る鍛造加工用金型。
  13. 【請求項13】請求項7〜12のいずれか1項に記載の
    金型において、熱間鍛造加工用のものであることを特徴
    とする鍛造加工用金型。
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