JP2003089006A - チャックにおける防振ダンパ - Google Patents

チャックにおける防振ダンパ

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ワークの振動に確実に追従して振動を良好に
防止すると共に、多様なワークに対応するように汎用性
を持たせた防振ダンパを提供する。 【解決手段】 チャックに固着される固定ケーシング1
内に進退動作する進退ケーシング2と、進退ケーシング
2の先端部に独立して進退動作するダンパヘッド3を設
け、固定ケーシング1と進退ケーシング2とを流体シリ
ンダとして空気により突出動作させ、ダンパヘッド3を
進退ケーシング2内に配置したコイルバネ10により先
端方向へ常時付勢させ、ワークの形状に応じて進退動作
する部材を進退ケーシング2とし、ワークの振動に応じ
て進退動作する部材をダンパヘッド3として別体とし
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばタイヤホイ
ールのような薄肉のワークを、チャックに保持して回転
加工する際に、ワークに生じる振動を防止するチャック
における防振ダンパに関する。
【0002】
【従来の技術】薄肉のワークであるタイヤホイールの外
周部を加工する場合、タイヤホイールをチャックに保持
して回転させて加工する。このような工程で使用するワ
ーク保持チャックは図4に示すように構成され、タイヤ
ホイール12をチャック16の軸線Mに直交交差する面
を有するストッパ18で位置決めして、チャック本体の
先端に設けたコレットチャック19でタイヤホイール1
2の中心孔をその内径内側から圧接把持すると共にタイ
ヤホイール12の芯出をし、その把持部分から離れて自
由端となっているタイヤホイール12のリム部12aの
端部(チャック軸線と交差(直交)する面で、以下リム
端Eとする。)を、チャック本体周囲に設けた防振ダン
パ20を当接させて支持し加工時のびびり(振動)を防
止するようにしている。
【0003】この従来の防振ダンパ20は、図5(a)
に示すようにエアー圧力、或いはスプリングにより図示
上方のワーク方向に付勢されて進退動作するダンパピン
22を有し、タイヤホイール12のリム端Eを軸線Mに
平行な方向から支持することで、この状態でチャック1
6を回転させてワーク外周を加工した際に、タイヤホイ
ール12に振動が生じてもその振動に追従してダンパピ
ン22を進退動作させることで振動を防止していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】タイヤホイールの場
合、同じホイール径であってもリム部12aの幅(以
下、リム幅とする。)が異なる場合があり、そうすると
リム端Eの軸線M方向位置が違ってくる。そのため、上
記防振ダンパ20は異なるリム幅に対応できるようにダ
ンパピン22のストロークが比較的大きく設定されてい
る。
【0005】しかし、ダンパピン22のストロークを大
きく設定するとダンパピン22の質量がそれに応じて大
きくなり、チャックの回転により発生する遠心力が大き
くなる。すると、図5(b)に示すようにダンパピンに
よりリム端Eに作用する実質的なピン推力Pxは、ダン
パピン22を突出させるエアー或いはスプリング力によ
る推力P1からダンパピン22に発生する遠心力F1に
摩擦係数μを乗じた抗力P2を差し引いたものであるか
ら、ダンパピンの質量Mが大きく、チャック回転が高速
化した場合は、抗力P2が増加して、実質的なピン推力
Pxは減衰する。その結果、リム部12aがダンパピン
22から軸線M方向に離れるように振動したときには、
そのびびりにダンパピン22が追従できずに振動防止効
果が低下する問題があった。これを解消するには、エア
ー圧を高く設定する或いはスプリング力を大きく設定す
る等の対応策が考えられるが、そうするとワークを取付
ける場合に大きくしたダンパピン22の突出力によりリ
ム端Eが変形する恐れがあり好ましくない。
【0006】そこで、本発明の課題は、ワークの振動に
良好に追従して振動を防止すると共に、多様なワークに
対応するように汎用性を持たせた防振ダンパを提供する
ことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、請求項1の発明は、ワークを保持して回転操作する
チャックに取付けられ、前記ワークのチャック軸線方向
に対して交差する面を支持してワークを回転して加工す
る際に発生する振動を防止するチャックにおける防振ダ
ンパであって、前記チャックに対して、一体に取付けら
れる固定ケーシングと、チャック軸線方向に進退するよ
うに前記固定ケーシング内に嵌め込まれた進退ケーシン
グと、該進退ケーシングを突出させる作動手段と、チャ
ック軸線方向に進退するように進退ケーシングの先端に
設けたダンパヘッドと、該ダンパヘッドを突出付勢する
付勢手段とを備え、前記ダンパヘッドがワークの振動に
追従して進退動作することでワークの振動を防止するこ
とを特徴とする。
【0008】請求項2の発明は、請求項1の発明におい
て、付勢手段が、進退ケーシング内の該進退ケーシング
とダンパヘッドとの間に介在させた弾性部材から成るこ
とを特徴とする。
【0009】請求項3の発明は、請求項1又は2の発明
において、作動手段が流体であり、固定ケーシングと進
退ケーシングとが流体シリンダ構造であることを特徴と
する。
【0010】請求項4の発明は、請求項1又は2の発明
において、作動手段が、固定ケーシング内の該固定ケー
シングと進退ケーシングとの間に介在させて進退ケーシ
ングを常時突出付勢する弾性部材から成ることを特徴と
する。
【0011】請求項5の発明は、請求項1の発明におい
て、作動手段、付勢手段が共に圧縮空気であり、固定ケ
ーシングと進退ケーシング、及び進退ケーシングとダン
パヘッドとが夫々流体シリンダ構造であることを特徴と
する。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体化した実施の
形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に
係る防振ダンパの実施形態の一例を示す断面図であり、
1は防振ダンパの固定ケーシング、2は進退ケーシン
グ、3はダンパヘッドであり、全体は略円柱形状となっ
ている。固定ケーシング1は、進退ケーシング2を挿入
する挿入空間4aを貫通形成した筒部4とその底部を閉
塞する閉塞部5から成り、筒部4の側面には内部の挿入
空間4aにおいて進退ケーシング2を突出操作する作動
手段である圧縮空気を供給するための空気供給孔6が形
成されると共に、挿入空間4a下部には拡径されて空気
充填空間4bが設けられ、固定ケーシング1と進退ケー
シング2とは流体シリンダ構造となっている。
【0013】進退ケーシング2も筒部8とその下端を閉
塞する閉塞部9からなり、コイルバネ収納空間2a及び
ダンパヘッド挿入孔2bが形成され、コイルバネ収納空
間2aにはダンパヘッド3を突出付勢する付勢手段であ
るコイルバネ10が組み込まれると共に、フランジ部3
aを下端に有する略円柱形状のダンパヘッド3が先端部
のダンパヘッド挿入孔2bに軸線方向に対して摺動自在
に案内され、コイルバネ10がダンパヘッド3を常時上
方(ワーク方向)へ付勢している。
【0014】ダンパヘッド3は、頭部が進退ケーシング
2に対して出没するように配置され、フランジ部3aが
コイルバネ挿入空間2aとダンパヘッド挿入孔2bの間
に形成した段部11に係止して抜けを防止している。ま
た、進退ケーシング2は、空気供給孔6からの供給され
た空気の作用により突出動作して、図示S1幅の進退ス
トロークを有し、ダンパヘッド3は図示S2の進退動作
ストロークを有している。尚、12aはワークであるタ
イヤホイール12のリム部を示し、Eはリム端を示して
いる。そして、この防振ダンパは上記図4に示すタイヤ
ホイール保持チャック16の従来の防振ダンパ20に替
えて装着して使用でき、進退ケーシング2を操作する空
気は上記図5(a)に示すチャック16内に形成されて
いる空気導入孔21を介して図示しない外部供給手段か
ら供給される。
【0015】次に、上記防振ダンパを図4に示すタイヤ
ホイール保持チャックに従来の防振ダンパ20に替えて
装着した場合の作用を説明する。タイヤホイール12の
リム幅に関わらず、図1の実線で示すように、進退ケー
シング2が固定ケーシング1に十分入り込んだ状態から
空気供給孔6から圧縮空気を供給すると、進退ケーシン
グ2は、ダンパヘッド3の頭部をコイルバネ10のばね
力によで進退ケーシング2先端から突出した状態で突出
移動する。これによりダンパヘッド3の先端が先ずリム
端Eに当接する。
【0016】その後、更に進退ケーシング2が突出移動
し、これにより、コイルバネ10を圧縮してダンパヘッ
ド3が相対的に進退ケーシング2内に没入して進退ケー
シング2の先端がリム端Eに当接してリム端Eを支持し
(この状態では、進退ケーシング2の先端とダンパヘッ
ド3の先端が面一となり、リム端Eに当接してい
る。)、タイヤホイール12はチャック16に保持され
る。リム幅が比較的大きい場合には、固定ケーシング1
から少しばかり進退ケーシング2が突出した位置でリム
端Eに当接し、リム幅が比較的小さい場合には、進退ケ
ーシング2は大きく突出してリム端Eに当接することに
なる。
【0017】この状態でチャック16が回転され、タイ
ヤホイール12が加工される。この加工の際に、リム端
Eが、リム端Eの当接している進退ケーシング2先端か
ら軸線方向で前方(図1で上方)に離れた位置で振動す
るときには、その振動はチャック回転で発生する遠心力
の影響が小さい小型軽量なダンパヘッド3の進退移動に
より吸収される。ダンパヘッド2は、進退ケーシング2
先端に対して所定量(進退動作ストロークS2)進退可
能となっているので、そのストロークSの範囲でリム端
Eの振動を受けることができ、ストロークを適宜設定す
ることで、比較的大きな振動も吸収する構造とすること
ができる。
【0018】このように、進退動作する部位を進退ケー
シングとその頭部に配置したダンパヘッドとで構成する
ことで、リム幅の変化にあわせて進退する部材を進退ケ
ーシング、ワークの振動により進退動作する部材をダン
パヘッドと作用部材を分離することができ、多様なワー
クに対応可能とするために防振ダンパのストロークを長
く即ち進退ケーシングを長く設定しても、振動に対応し
て進退動作する部位即ちダンパヘッドを大型化する必要
が無く小型軽量化のままにしておくことができ、ワーク
の振動に確実に追従させて良好な振動防止効果を維持す
ることができる。また、ダンパヘッドが小型であればそ
の付勢手段の付勢力も小さくできるため、結果としてワ
ークへの負荷も軽減でき加工精度の向上に貢献できる。
【0019】更に、進退ケーシングを突出操作する作動
手段を流体である空気とすることで、外部から進退ケー
シングの突出力の制御ができ、ワークの形状に応じて常
に最適な支持状態を得ることが可能であるし、空気を使
用することで進退ケーシングにも弾性を付与でき、ワー
クに対して柔軟に対応でき、更にワークへの負荷を軽減
できる。また、ダンパヘッドを進退動作させる付勢手段
を進退ケーシング内に配置した弾性部材であるコイルバ
ネとすることで、簡易な構成でダンパヘッドを付勢で
き、ワークの振動に確実に追従動作できる。
【0020】図2,図3は本発明の防振ダンパの他の形
態を示す構造説明図である。図2では、固定ケーシング
1と進退ケーシング2、及び、進退ケーシング2とダン
パヘッド3を夫々流体圧シリンダ構造とし、進退ケーシ
ングの作動手段及びダンパヘッド3の付勢手段を同一の
空間に供給される圧縮空気としている。また、図3で
は、作動手段、付勢手段を夫々独立したコイルバネ1
0,13としている。このように、圧縮空気は自体の圧
縮性のために弾性体としても作用させることができるた
め、作動手段と付勢手段の両方を兼用でき、上記第1の
実施形態のように、バネと流体の両方を備える場合に比
べて、構成が簡単になる。また、コイルバネを進退ケー
シングを進退させる作動手段として作用させて、作動手
段、付勢手段共にコイルバネを利用した場合にも、バネ
と流体の両方を備える場合に比べて、外部から流体を供
給操作する必要がなく、簡単な構成にできる。
【0021】尚、上記実施の形態では何れも作動手段の
流体として圧縮空気を使用しているが、油を用いて油圧
により進退ケーシングを進退操作しても良い。
【0022】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1の発明に
よれば、進退動作する部位を進退ケーシングとその先端
に配置したダンパヘッドとで構成することで、リム幅等
のワーク形状の変化にあわせて進退する部材を進退ケー
シング、ワークの振動により進退動作する部材をダンパ
ヘッドと作用部材を分離することができ、多様なワーク
に対応可能とするために防振ダンパのストロークを長く
即ち進退ケーシングを長く設定しても、振動に対応して
進退動作する部位即ちダンパヘッドを大型化する必要が
無く小型軽量化のままにしておくことができ、ワークの
振動に確実に追従させて良好な振動防止効果を維持する
ことができる。また、ダンパヘッドが小型であればその
付勢手段の付勢力も小さくでき、結果としてワークへの
負荷を軽減でき、加工精度の向上に貢献できる。
【0023】請求項2の発明によれば、請求項1の効果
に加えて、付勢手段が進退ケーシング内に介在された弾
性部材であるので、簡易な構成でダンパヘッドを付勢で
きる。
【0024】請求項3の発明によれば、請求項1又は2
の効果に加えて、固定ケーシングと進退ケーシングとが
流体シリンダ構造であるので、外部から進退ケーシング
の進退操作ができ、ワークの形状に応じて常に最適な当
接状態を得ることが可能である。
【0025】請求項4の発明によれば、請求項1又は2
の効果に加えて、作動手段が固定ケーシング内に介在さ
れた弾性部材であるので、外部から作動手段を供給操作
する必要が無く、簡易な構成にできる。
【0026】請求項5の発明によれば、作動手段、付勢
手段共に圧縮空気としたので、作動手段、付勢手段が兼
用され、構成が簡易になる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るチャックにおける防振ダンパの実
施形態の一例を示す断面図である。
【図2】防振ダンパの他の形態を示す構造説明図であ
る。
【図3】防振ダンパの他の形態を示す構造説明図であ
る。
【図4】防振ダンパを装着したタイヤホイール保持チャ
ックを示し、(a)は一部断面で示した側面説明図、
(b)は平面図である。
【図5】従来の防振ダンパを示し、(a)は断面図、
(b)はダンパピンに作用する応力の説明図である。
【符号の説明】
1・・固定ケーシング、2・・進退ケーシング、3・・
ダンパヘッド、6・・空気供給孔、10・・コイルバ
ネ、13・・コイルバネ、16・・チャック。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福井 克己 北海道苫小牧市字勇払145番1 トヨタ自 動車北海道株式会社内 (72)発明者 今井 明彦 兵庫県尼崎市猪名寺2丁目18番1号 株式 会社神崎高級工機製作所内 (72)発明者 上田 浩一 愛知県稲沢市六角堂東町5丁目6番地の10 Fターム(参考) 3C032 GG25 GG27 GG31 3J048 AA02 AB01 AC04 BC02 BE02 DA04 EA07

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ワークを保持して回転操作するチャック
    に取付けられ、前記ワークのチャック軸線方向に対して
    交差する面を支持してワークを回転して加工する際に発
    生する振動を防止するチャックにおける防振ダンパであ
    って、前記チャックに対して、一体に取付けられる固定
    ケーシングと、チャック軸線方向に進退するように前記
    固定ケーシング内に嵌め込まれた進退ケーシングと、該
    進退ケーシングを突出させる作動手段と、チャック軸線
    方向に進退するように進退ケーシングの先端に設けたダ
    ンパヘッドと、該ダンパヘッドを突出付勢する付勢手段
    とを備え、前記ダンパヘッドがワークの振動に追従して
    進退動作することでワークの振動を防止することを特徴
    とするチャックにおける防振ダンパ。
  2. 【請求項2】 付勢手段が、進退ケーシング内の該進退
    ケーシングとダンパヘッドとの間に介在させた弾性部材
    から成る請求項1記載のチャックにおける防振ダンパ。
  3. 【請求項3】 作動手段が流体であり、固定ケーシング
    と進退ケーシングとが流体シリンダ構造である請求項1
    又は2記載のチャックにおける防振ダンパ。
  4. 【請求項4】 作動手段が、固定ケーシング内の該固定
    ケーシングと進退ケーシングとの間に介在させて進退ケ
    ーシングを常時突出付勢する弾性部材から成る請求項1
    又は2記載のチャックにおける防振ダンパ。
  5. 【請求項5】 作動手段、付勢手段が共に圧縮空気であ
    り、固定ケーシングと進退ケーシング、及び進退ケーシ
    ングとダンパヘッドとが夫々流体シリンダ構造である請
    求項1記載のチャックにおける防振ダンパ。
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