JP2003086884A - 半導体レーザの製造方法および製造装置 - Google Patents

半導体レーザの製造方法および製造装置

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JP2003086884A
JP2003086884A JP2001273737A JP2001273737A JP2003086884A JP 2003086884 A JP2003086884 A JP 2003086884A JP 2001273737 A JP2001273737 A JP 2001273737A JP 2001273737 A JP2001273737 A JP 2001273737A JP 2003086884 A JP2003086884 A JP 2003086884A
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semiconductor laser
film
laser chip
target
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JP2001273737A
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Tomoki Yamamoto
智樹 山本
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Rohm Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】半導体レーザチップの端面に、安定な光学定数
を有するアルミナ膜を成膜することができる半導体レー
ザの製造方法および製造装置を提供する。 【解決手段】ロードロック式のスパッタ装置の処理室内
に、半導体レーザチップを搬入する(ステップS1
0)。処理室に酸素ガスを導入する(ステップS1
1)。プレスパッタを行い、不安定なシリコン原子を活
性化された酸素と結合させ除去する(ステップS1
2)。処理室内の雰囲気調整を行う(ステップS1
3)。半導体レーザチップの両端面に端面保護膜として
のアルミナ膜を成膜する(ステップS14)。半導体レ
ーザチップの反射側端面にアモルファスシリコン膜を形
成する(ステップS15)。以上の処理が施された半導
体レーザチップを処理室から搬出する(ステップS1
6)。以上の工程を所望の回数繰り返す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、半導体レーザチ
ップの端面に端面保護膜としてのアルミナ膜を形成して
作製される半導体レーザの製造方法およびそのような半
導体レーザのための製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体レーザは、半導体レーザチップの
両端面に端面保護膜を成膜して作製される。半導体レー
ザチップの一方端面(反射側端面)には、端面保護膜と
してのアルミナ膜とアモルファスシリコン膜との多層構
造の膜が形成され、半導体チップの内部で生じた光の大
部分をチップ内部に反射する反射膜としての特性を有す
る。半導体レーザチップの他方の端面(レーザ出射側端
面)には、アルミナ膜の単膜からなる端面保護膜が形成
され、この膜は、半導体チップの内部に一部の光を反射
しつつ、外部に大量の光を取り出すことができる半透膜
としての性質を有する。
【0003】このような構成の半導体レーザを製造する
ための製造装置は、アルミナターゲットおよびアモルフ
ァスシリコンターゲットが配置された処理室と、この処
理室に対して処理対象の半導体レーザチップを搬入し、
処理後の半導体レーザチップを搬出する搬入/搬出機構
とを備えている。処理室は、真空装置を用いて所望の真
空状態に保持される。この状態で、アルミナまたはアモ
ルファスシリコンターゲットを用いたスパッタリングが
行われ、これにより、処理室内の半導体レーザチップの
端面にアルミナ膜またはアモルファスシリコン膜が成膜
される。
【0004】搬入/搬出機構は、ゲートバルブを介して
処理室に結合されたロード/アンロード室を備えてい
る。このロード/アンロード室は、真空装置に接続され
ていて、必要に応じて内部を真空状態にすることができ
る。処理対象の半導体レーザチップを処理室に搬入する
ときには、ロード/アンロード室にその半導体レーザチ
ップを収容し、このロード/アンロード室を気密に密閉
する。この状態で、ロード/アンロード室が処理室と同
等の真空状態とされる。それに引き続き、上述のゲート
バルブが開かれて、ロード/アンロード室から処理室内
へと半導体レーザチップが搬入される。その後に、ゲー
トバルブを閉鎖し、アルミナまたはアモルファスシリコ
ンターゲットを用いたスパッタリングが行われる。処理
後の半導体レーザチップを処理室から取り出す場合に
は、上述の搬入操作と逆の搬出操作が行われることにな
る。
【0005】このような構成の製造装置は、ロードロッ
ク式と呼ばれ、アルミナ膜およびアモルファスシリコン
膜を成膜するための処理室が、常時真空状態に保持され
る。そのため、1つのバッチの半導体レーザチップに対
する処理が終了するたびに処理室を開放してしまう構成
の製造装置に比較して、格段に高い生産性を実現できる
というメリットがある。このような構成の製造装置を用
いて半導体レーザを製造する場合には、処理室に搬入さ
れた半導体レーザチップのレーザ出射側端面にアルミナ
膜がまず成膜される。続いて、反射側端面にアルミナ膜
が成膜される。アルミナ膜の成膜はアルミナをターゲッ
トとしたスパッタリングによって行われる。この後に、
アモルファスシリコンターゲットを用いたスパッタリン
グによって、反射側端面のアルミナ膜上にアモルファス
シリコン膜が成膜される。その後、半導体レーザチップ
が処理室外に搬出される。
【0006】続いて、別のバッチに属する半導体レーザ
チップが処理室に搬入されて、同様の手順でアルミナ膜
およびアモルファスシリコン膜がレーザ出射側端面およ
び反射側端面にそれぞれ成膜される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】したがって、処理室内
では、アルミナをターゲットとして用いたスパッタリン
グと、アモルファスシリコンをターゲットとして用いた
スパッタリングとが交互に行われることになる。ところ
が、アルミナ膜を成膜するときに、その前にアモルファ
スシリコンターゲットを用いたスパッタリングを行った
ときの残留シリコン原子が処理室内の雰囲気(たとえば
アルゴン雰囲気)中に大量に浮遊している。そのため、
アルミナ膜中に処理室内の残留シリコン原子が取り込ま
れ、アルミナ膜の膜質が悪化し、その光学定数が変動す
るという問題がある。
【0008】アルミナ膜の光学定数は、半導体レーザの
端面保護膜の反射率を左右するから、半導体レーザの発
振特性に影響がある。すなわち、端面保護膜が所望の反
射率を有することができなければ、半導体レーザの発振
特性が悪くなる。そこで、この発明の目的は、上述の技
術的課題を解決し、安定な光学特性を有するアルミナ膜
を含む端面保護膜を半導体レーザチップの端面に成膜す
ることができ、これにより所望の発振特性の半導体レー
ザを製造することができる方法、およびこのような方法
の実施に適した製造装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段および発明の効果】上記の
目的を達成するための請求項1記載の発明は、半導体レ
ーザチップの端面に端面保護膜としてのアルミナ膜を形
成して半導体レーザを製造する方法であって、端面保護
膜を形成すべき半導体レーザチップを処理室に搬入する
工程と、上記処理室内で酸素プラズマを生成させて、処
理室内に存在する化学的に不安定な物質を除去する浄化
工程と、この浄化工程の後に、上記処理室内において、
スパッタリングにより、上記端面保護膜を構成するアル
ミナ膜を上記半導体レーザチップの端面に形成する工程
とを含むことを特徴とする半導体レーザの製造方法であ
る。
【0010】酸素プラズマの生成に先立って、処理室内
に酸素ガスを導入する工程が実行されてもよい。その場
合、酸素ガスは単独で導入されてもよく、酸素ガスと不
活性ガスとの混合ガスとして導入されてもよい。この方
法によれば、処理室内で酸素プラズマを生成させ、これ
により活性化された酸素と処理室内に存在する不安定な
物質とを結合させることによって、処理室内の不安定な
物質を排除することができる。こうして、処理室内の浄
化が行われた後に、スパッタリングによって半導体レー
ザチップの端面に端面保護膜を構成するアルミナ膜が成
膜される。したがって、このアルミナ膜には、その成膜
前に処理室内に存在していた汚染物質が混入することが
ない。
【0011】よって、この発明の方法によって形成され
たアルミナ膜は、所望の光学定数を確実に有することが
できるから、端面保護膜は確実に所望の反射率を有する
ことができる。これによって、一定の発振特性を有する
半導体レーザを作製することができる。半導体レーザチ
ップの処理室への搬入は、浄化工程の前に行われてもよ
いし、浄化工程の後に行われてもよい。
【0012】請求項2記載の発明は、上記浄化工程は、
上記処理室内で、シリコン原子を含むターゲット(たと
えば、α−SiターゲットまたはSiO2ターゲット)
を使用したスパッタリングの後に行われることを特徴と
する請求項1記載の半導体レーザの製造方法である。シ
リコン原子を含むターゲットを使用したスパッタリング
の後には、処理室内には化学的に不安定なシリコン原子
が存在している。この状態でアルミナ膜を成膜すれば、
アルミナ膜中にシリコン原子が取り込まれ、アルミナ膜
の光学定数に悪影響を及ぼす。そこで、この発明では、
シリコン原子を含むターゲットを使用したスパッタリン
グの後にアルミナ膜を成膜する場合には、処理室内で酸
素プラズマを生成させる。これにより、不安定なシリコ
ン原子を活性化された酸素と結合させ、処理室内から不
安定なシリコン原子が排除される。こうして、所望の光
学定数を有するアルミナ膜を安定に形成することができ
る。
【0013】請求項3記載の発明は、第1の半導体レー
ザチップを処理室に搬入する工程と、上記処理室内にお
いて、上記第1の半導体レーザチップの端面に、シリコ
ンをターゲットとしたスパッタリングによって、アモル
ファスシリコン膜を成膜する工程と、上記第1の半導体
レーザチップを上記処理室から搬出する工程と、第2の
半導体レーザチップを上記処理室に搬入する工程と、上
記処理室内において、上記第2の半導体レーザチップの
端面に、スパッタリングによって、アルミナ膜を成膜す
る工程と、上記アモルファスシリコン膜の成膜工程の後
であって、上記第2の半導体レーザチップの端面にアル
ミナ膜を成膜する工程よりも前に、上記処理室内で酸素
プラズマ生成させて、上記処理室内の不安定なシリコン
原子を除去する浄化工程とを含むことを特徴とする半導
体レーザの製造方法である。
【0014】この方法によれば、第1の半導体レーザチ
ップを処理室に搬入して、その端面に、シリコンをター
ゲットとしたスパッタリングによってアモルファスシリ
コン膜が成膜される。この第1の半導体レーザチップを
処理室から搬出した後に、第2の半導体レーザチップが
当該処理室に搬入される。そして、この処理室内におい
て、スパッタリングにより、第2の半導体レーザチップ
の端面にアルミナ膜が成膜される。
【0015】このアルミナ膜の成膜よりも前に、処理室
内で酸素プラズマが生成され、不安定なシリコン原子が
活性化された酸素原子と結合して排除される。したがっ
て、処理室内ではアモルファスシリコン膜の成膜と、ア
ルミナ膜の成膜とが交互に行われるけれども、アルミナ
膜中にシリコン原子が取り込まれることはない。このよ
うにして、安定な光学定数を有するアルミナ膜を確実に
成膜することができる。
【0016】請求項4記載の発明は、上記半導体レーザ
チップの搬入および搬出が、上記処理室内をほぼ真空に
保持した状態で行われる(いわゆるロードロック式)こ
とを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の半
導体レーザの製造方法である。この発明では、半導体レ
ーザチップの搬入および搬出は、処理室内をほぼ真空に
保持した状態で行われる。したがって、アルミナ膜やア
モルファスシリコン膜の成膜のためにスパッタリングを
行うたびに処理室を真空状態とするための操作を行う必
要がないから、良好な生産性を実現できる。
【0017】この発明の方法を適用する場合には、処理
室を常時真空状態に保持することができるから、処理室
内に生じた不安定な物質を排除することが困難な場合が
ある。しかし、この発明によれば、処理室内で酸素プラ
ズマを生成させることにより化学的に不安定な物質を少
なくともアルミナ膜の成膜に先立って排除することがで
きる。したがって、良好な光学定数を有するアルミナ膜
を確実に形成することができる。
【0018】いわゆるロードロック式の製造装置を用い
て半導体レーザチップの端面に端面保護膜としてのアル
ミナ膜を形成するとすれば、本発明の方法を採用しない
限り、アルミナ膜の光吸収係数を零にすることができな
い。請求項5記載の発明は、処理室内において、この処
理室内に置かれた半導体レーザチップの端面に、シリコ
ンをターゲットとしたスパッタリングによって、アモル
ファスシリコン膜を成膜する工程と、上記処理室内にお
いて、この処理室内に置かれた半導体レーザチップの端
面に、スパッタリングによって、アルミナ膜を成膜する
工程と、上記アモルファスシリコン膜の成膜工程の後で
あって、アルミナ膜を成膜する工程よりも前に、上記処
理室内で酸素プラズマ生成させて、上記処理室内の不安
定なシリコン原子を除去する浄化工程とを含むことを特
徴とする半導体レーザの製造方法である。
【0019】この発明においても、同一の処理室内にお
いてシリコンをターゲットとしたスパッタリングによる
アモルファスシリコン膜の成膜と、スパッタリングによ
るアルミナ膜の成膜とが行われる。アルミナ膜を成膜す
るときには、それに先立って処理室内で酸素プラズマが
生成され、処理室内の不安定なシリコン原子が除去され
る。したがって、半導体レーザチップの端面には、良好
な光学定数を有するアルミナ膜を成膜することができ
る。
【0020】半導体レーザチップのレーザ出射側端面に
アルミナ膜の単層からなる端面保護膜を形成し、半導体
レーザチップの反射側端面に、端面保護膜としてのアル
ミナ膜と、このアルミナ膜の表面に積層されたアモルフ
ァスシリコン膜との複合膜を形成して、半導体レーザが
製造されてもよい。この場合には、たとえば、一つの半
導体レーザチップのレーザ出射側端面にアルミナ膜を成
膜し、続いて当該半導体レーザチップの反射側端面に同
じくアルミナ膜を成膜し、さらに、レーザ反射側端面の
アルミナ膜上にアモルファスシリコン膜を形成すること
によって、半導体レーザチップを作製するようにしても
よい。
【0021】一つの半導体レーザチップの端面に形成さ
れる一対のアルミナ膜およびアモルファスシリコン膜
は、一つの処理室内におけるスパッタリングによって形
成されてもよい。この場合には、一つの半導体レーザチ
ップの反射側端面にアモルファスシリコン膜が成膜され
た後、この半導体レーザチップが処理室から搬出され
る。続いて処理室に搬入される別の半導体レーザチップ
に対する最初の成膜処理は、アルミナ膜の成膜となる。
すなわち、処理室内では、シリコンをターゲットとした
スパッタリングと、アルミナをターゲットとしたスパッ
タリングとが交互に行われることになる。
【0022】半導体レーザチップの端面保護膜の形成順
序は、必ずしも上述の通りでなくともよい。たとえば、
半導体レーザチップの反射側端面にアルミナ膜を成膜
し、このアルミナ膜上にアモルファスシリコン膜を積層
して成膜するとともに、その後に、半導体レーザチップ
のレーザ出射側端面にアルミナ膜を成膜することとして
もよい。この場合には、反射側端面にアモルファスシリ
コン膜を形成した後であって、レーザ出射側端面にアル
ミナ膜を成膜するよりも前に、処理室内に酸素プラズマ
を生成させればよい。
【0023】請求項6記載の発明は、上記処理室内をほ
ぼ真空に保持した状態で、上記処理室に対して半導体レ
ーザチップを搬入または搬出する工程をさらに含むこと
を特徴とする請求項5記載の半導体レーザの製造方法で
ある。この発明によれば、処理室を真空状態に常時保持
することができるので、半導体レーザの生産性を向上で
きる。しかも、アルミナ膜の成膜よりも前に酸素プラズ
マを処理室内で生成させることにより、処理室内を浄化
することができるから、良好な光学定数を有するアルミ
ナ膜を確実に成膜することができる。
【0024】請求項7記載の発明は、上記浄化工程は、
上記処理室内の雰囲気に酸素を添加する工程と、この酸
素が添加された雰囲気中でアルミナターゲットを所定時
間プレスパッタする工程とを含むことを特徴とする請求
項1ないし6のいずれかに記載の半導体レーザの製造方
法である。プレスパッタは、たとえば、処理室内に置か
れたすべてのターゲットをシャッタで遮蔽した状態で、
処理室内に高周波電界を印加することによって、特にア
ルミナターゲットとシャッタとの間でプラズマを生成さ
せる処理であってもよい。
【0025】この発明によれば、処理室内の雰囲気(た
とえばアルゴン雰囲気)に酸素を添加した状態で、アル
ミナターゲットをプレスパッタすることによって、酸素
プラズマが処理室内に生成される。これにより、スパッ
タリングのための設備を用いて、処理室内に酸素プラズ
マを生成させることができるから、半導体レーザ製造装
置の構成が複雑化したり、そのコストが過度に高くなっ
たりすることがない。請求項8記載の発明は、半導体レ
ーザチップの端面に端面保護膜としてのアルミナ膜を形
成して半導体レーザを製造するための装置であって、ア
ルミナを含む第1ターゲットおよびシリコン原子を含む
第2ターゲットが配置され、内部が真空状態に保持され
る処理室と、この処理室を真空状態に保持しつつ、半導
体レーザチップを当該処理室に対して搬入および搬出す
る搬入・搬出機構と、上記第2ターゲットを用いたスパ
ッタリングを行わせて、上記処理室内の半導体レーザチ
ップの端面にシリコン原子を含む膜を形成する手段と、
上記処理室内で酸素プラズマを生成させて、上記処理室
内の化学的に不安定な物質を除去する浄化手段と、上記
浄化手段によって上記処理室内が浄化された後に、上記
第1ターゲットを用いたスパッタリングを行わせて、上
記処理室内の半導体レーザチップの端面にアルミナ膜を
成膜させる手段とを含むことを特徴とする半導体レーザ
製造装置である。
【0026】この装置を用いることによって、上述の製
造方法を実施することができる。この製造装置を用いて
作製された半導体レーザの端面保護膜を構成するアルミ
ナ膜は、シリコン原子の混入がなく、優れた光学定数を
有することができる。具体的には、光吸収のほとんどな
いアルミナ膜を形成することができる。上記第2ターゲ
ットは、請求項9記載のように、シリコンターゲットで
あってもよい。また、上記第2ターゲットが酸化シリコ
ンターゲットのようなシリコン原子を含む他の種類のタ
ーゲットである場合にも、この発明を適用することによ
って、シリコンの混入のない良好なアルミナ膜を成膜で
きる。
【0027】請求項10記載の発明は、上記浄化手段
は、上記処理室内の雰囲気に酸素を添加する手段と、上
記処理室内の雰囲気に酸素が添加された状態で上記第1
ターゲットを所定時間プレスパッタさせる手段とを含む
ことを特徴とする請求項8または9記載の半導体レーザ
製造装置である。この構成により請求項7に記載した製
造方法を実施することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下では、この発明の実施の形態
を、添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、この
発明の一実施形態に係る製造方法によって作製されるべ
き半導体レーザの構成を簡略化して示す斜視図である。
また、図2は、上記半導体レーザの横断面図である。こ
の半導体レーザは、半導体レーザチップ10の両端面に
端面保護膜11,12をそれぞれ形成し、一方の端面に
は端面保護膜12の上にさらにアモルファスシリコン膜
13を形成して構成される。端面保護膜11,12は、
レーザ光が取り出されるレーザ出射側端面、および半導
体レーザチップ10内で発生した光の大部分をチップ内
に反射する反射側端面にそれぞれ形成されており、たと
えばスパッタ成膜されたアルミナの単膜からなる。反射
側端面には、端面保護膜12の上に、たとえばスパッタ
成膜されたアモルファスシリコン膜13が形成されてお
り、これにより、2層構造の反射膜が形成されている。
【0029】図2に示すように、半導体レーザチップ1
0は、GaAs等の化合物半導体基板1上に、n型クラ
ッド層2、活性層3、p型クラッド層4、p型コンタク
ト層5をこの順に積層して構成されている。p型クラッ
ド層4の膜厚方向中間部付近には、チップ内に流れる電
流を半導体レーザチップ10の中心軸付近に狭搾するた
めの電流阻止層6が設けられている。さらに、化合物半
導体基板1の表面(n型クラッド層2とは反対側の表
面)には、n側電極7がオーミック接触している。同様
に、p型コンタクト層5の露出表面には、p側電極8が
オーミック接触している。
【0030】図3は、上述の構造の半導体レーザの製造
工程を概説するためのフローチャートである。化合物半
導体基板1の上に、n型クラッド層2(ステップS
1)、活性層3(ステップS2)、p型クラッド層4
(ステップS3)、電流阻止層6(ステップS4)、お
よびp型コンタクト層5(ステップS5)を順次結晶成
長する。これらは、1枚の大きな化合物半導体基板上
に、図2に示す半導体レーザ素子の個片部を密に配した
状態に形成される。
【0031】その後、化合物半導体基板1(n型クラッ
ド層2とは反対側の面)をラッピング処理し、試料を所
望の厚さに薄くする(ステップS6)。続いて、p型コ
ンタクト層5が形成されている面にp側電極8を形成
し、化合物半導体基板1側にn側電極7を形成する(ス
テップS7)。そして、劈開により個々の半導体レーザ
素子に対応する個片に切り出し、チップ化する(ステッ
プS8)。得られた半導体レーザチップの両端面に端面
保護膜11,12を形成し、これらのうち一方の端面に
アモルファスシリコン膜13を形成する(ステップS
9)。
【0032】図4は、端面保護膜11,12およびアモ
ルファスシリコン膜13を形成するためのスパッタ装置
の処理室の構造を示す図解的な断面図である。処理室2
1の内部には電極22と電極23a,23bとが対向配
置されている。一方側の電極22の表面上には、半導体
レーザチップ10(図4では複数個)が試料保持板24
を介して配置され、他方側の電極23a,23b上には
バッキングプレート25a,25bを介して、薄膜の原
料物質である第1および第2ターゲット26a,26b
が固定されている。第1ターゲット26aおよび第2タ
ーゲット26bは、互いに異なる種類のものであっても
かまわない。本装置により、アルミナ膜の成膜およびア
モルファスシリコン膜の成膜を行う場合は、第1ターゲ
ット26aはアルミナターゲット、第2ターゲット26
bはα−Siターゲットである。
【0033】ターゲット26a,26bの前方(バッキ
ングプレート25a,25bとは逆側)には、それぞれ
シャッタ27a,27bが、ターゲット26a,26b
と適当な距離をあけて配置されている。シャッタ27a
およびシャッタ27bは、各ターゲット26a,26b
の前方を遮蔽/開放可能な個別の遮蔽板であってもかま
わないし、1つのターゲット相当の大きさおよび形状の
穴を有する1枚の大きな遮蔽板が、穴の位置を移動させ
ることにより各ターゲット26a,26b前方を遮蔽/
開放可能なものであってもかまわない。
【0034】処理室21にはガス導入部Aと排気部Cと
が設けられている。ガス導入部Aには、流量コントロー
ルバルブB1を介したアルゴンガス供給源と、流量コン
トロールバルブB2を介した酸素ガス供給源とが配管で
結ばれている。排気部Cには真空ポンプP21が配管で
結ばれている。電極23aや電極23bは、マッチング
ボックス29Tを介した電源28Tに電気的に接続可能
な状態となっている。電極22は、接地されている。
【0035】シャッタ27a,27b、電源28T、マ
ッチングボックス29T、流量コントロールバルブB
1,B2、および真空ポンプP21は、コントローラ3
0により制御されるようになっている。成膜時には、流
量コントロールバルブB1をコントローラ30で制御し
て開き、ガス導入部Aからアルゴンなどの不活性ガスを
処理室21内に導入し、処理室21内を不活性ガス雰囲
気にする。併せて、真空ポンプP21をコントローラ3
0で制御して、排気部Cより処理室21内の排気を行
い、処理室21内部を所望の圧力の減圧状態とする。
【0036】アルミナ膜を成膜する場合、アルミナター
ゲット(第1ターゲット26a)を利用したスパッタ成
膜を行う。この場合、コントローラ30の制御により、
シャッタ27aが開放され、シャッタ27bが閉じら
れ、電源28Tがターゲット26a側の電極23aに接
続される。第2ターゲット26b側の電極23bには電
源28Tが接続されない。コントローラ30で電源28
Tを制御することにより、電極22,23a間に高周波
電界を発生させる。この高周波電界の作用により処理室
21内の不活性ガスをプラズマ状態とし、放電を起こさ
せる。
【0037】放電により処理室21内部で消費される高
周波電力の効率は、コントローラ30によって制御され
るマッチングボックス29Tで回路定数を調節すること
により、処理室21内部のインピーダンスが変わって
も、高く保持される。運動エネルギーを持った不活性ガ
スの原子がアルミナターゲットの表面に衝突すること
で、このターゲットを構成する原子が飛び出し、対向し
た半導体レーザチップ10の表面に到達し堆積する。こ
れにより、半導体レーザチップ10の表面にアルミナ膜
が形成される。
【0038】アモルファスシリコン膜を成膜する場合
も、同様にα−Siターゲット(第2ターゲット26
b)を利用したスパッタ成膜を行う。この実施形態で
は、処理室21内の浄化のために、適当なタイミングで
いわゆるプレスパッタ処理が行われる。プレスパッタに
際しては、コントローラ30はバルブB2を開き、ガス
導入部Aより酸素ガスを導入させ、処理室21内を所定
酸素分圧の雰囲気とする。次に、コントローラ30の制
御により、すべてのシャッタ27a,27bが閉じら
れ、電源28Tによりアルミナターゲット側の電極23
aに高周波電力が供給される。これにより、電極23a
と電極22との間に高周波電界を生じさせ、この高周波
電界の作用により放電を起こさせ、酸素プラズマを発生
させる。この場合、放電はシャッタ27aとアルミナタ
ーゲット(第1ターゲット26a)との間で起こるが、
第1ターゲット26aを構成する原子は、半導体レーザ
チップ10の表面には到達しない。ただし、シャッタ2
7aを閉じた状態でも、シャッタ27aと第1ターゲッ
ト26aとの間の空間は、密閉状態とはならず、側方等
で処理室21内に開放されている。
【0039】図5は、スパッタ装置全体の構成を概説す
るための図解的な概略図である。本装置は、いわゆるロ
ードロック式の装置であって、処理室21と、処理室2
1内を真空状態に保持しつつ半導体レーザチップ10の
搬入/搬出を行うための搬入/搬出機構36とを備え
る。搬入/搬出機構36は、ロード/アンロード室31
と、ロード/アンロード室31内に配置された搬送機構
35とを備えている。ロード/アンロード室31には、
ゲートバルブ32,33、リーク弁34、および排気部
Dが設けられている。ロード/アンロード室31は、ゲ
ートバルブ32を介して処理室21に結合している。排
気部Dには、配管により真空ポンプP31が結ばれてい
る。搬送機構35は、ロード/アンロード室31と処理
室21との間で試料保持板24を搬送するための機構で
ある。
【0040】図6は、図3のステップS9の工程を概説
するためのフローチャートであり、搬入/搬出機構36
の動作が示されている。ロード/アンロード室31内
に、未処理試料(端面保護膜11,12およびアモルフ
ァスシリコン膜13を形成していない半導体レーザチッ
プ10)を固定した試料保持板24が用意される。コン
トローラ30の制御により、真空ポンプP21,P31
が作動され、ロード/アンロード室31内部および処理
室21内部が、ともにほぼ真空の状態に保持される。コ
ントローラ30の制御により、ゲートバルブ32が開か
れ、搬送機構35により、未処理試料を固定した試料保
持板24が、処理室21内へ搬入され、電極22上の所
定の位置に据え付けられる(ステップS10)。その
後、コントローラ30の制御により、ゲートバルブ32
は閉じられる。
【0041】コントローラ30の制御によりバルブB2
が開かれ、ガス導入部Aより酸素ガスが導入され、処理
室21内が所定の酸素分圧に調整される(ステップS1
1)。次に、アルミナターゲット(第1ターゲット26
a)をプレスパッタする(ステップS12)。すなわ
ち、コントローラ30の制御により、図4の説明で述べ
た動作によりシャッタ27aとアルミナターゲット(第
1ターゲット26a)との間に酸素プラズマが生成され
る。処理室21内の雰囲気中には、前回アモルファスシ
リコン膜13の成膜を行った(ステップS15)際に発
生した不安定なシリコン原子が多量に存在しているが、
この不安定なシリコン原子は、プレスパッタ(ステップ
S12)により活性化された酸素原子と結合して排除さ
れる。
【0042】コントローラ30の制御により、バルブB
1を制御したり、真空ポンプP21を作動させることに
より、処理室21内に、ガス導入部Aからアルゴンなど
の不活性ガスが導入されたり、排気部Cから排気が行わ
れ、処理室21内が所定の雰囲気に調整される(ステッ
プS13)。コントローラ30の制御により、図3の説
明で述べた動作により、アルミナターゲット(第1ター
ゲット26a)を用いたスパッタが行われ、半導体レー
ザチップ10の端面にアルミナ膜11,12が形成され
る(ステップS14)。成膜は、反射側端面、レーザ出
射側端面の順、またはその逆の順に行ってもかまわな
い。
【0043】次に、必要に応じて処理室21内の雰囲気
を調整した後、α−Siターゲット(第2ターゲット2
6b)を用いたスパッタが行われ、半導体レーザチップ
10の反射側端面に、アモルファスシリコン膜13が形
成される(ステップS15)。アモルファスシリコン膜
13の成膜は、コントローラ30の制御により、アルミ
ナ膜の成膜と同様の動作で行われる。コントローラ30
の制御により、真空ポンプP21,P31が動作され、
ロード/アンロード室31内部および処理室21内部
が、ともにほぼ真空の状態に保持される。コントローラ
30の制御により、ゲートバルブ32が開かれ、搬送機
構35により、以上の処理が施された試料を固定した試
料保持板24が、処理室21内からロード/アンロード
室31へ搬出される(ステップS16)。その後、コン
トローラ30の制御により、ゲートバルブ32は閉じら
れる。
【0044】以下、所望の回数だけ未処理試料の搬入工
程(ステップS10)から処理済み試料の搬出工程(ス
テップS16)までを繰り返す。このような製造方法に
よれば、アルミナ膜11,12の成膜を行うまでに、処
理室21内の雰囲気中に存在する不安定なシリコン原子
は排除されるので、アルミナ膜11,12中にシリコン
原子が取り込まれることはない。したがって、安定な光
学定数を有するアルミナ膜11,12を確実に成膜する
ことができる。
【0045】処理室21内でステップS11〜ステップ
S15の工程を実行している間、必要に応じてリーク弁
34を開いてロード/アンロード室31内を大気雰囲気
とし、ゲートバルブ33を開いて、処理済み試料を取り
出したり、未処理試料を搬入したりした後、ゲートバル
ブ33を閉じ、真空ポンプP31により、ロード/アン
ロード室31を真空にするという作業を行うことが可能
である。処理済み試料の装置外への搬出や未処理試料の
装置内への搬入は、装置内における試料の搬入/搬出を
行うべき空間を大気雰囲気にしたり、真空にしたりする
必要があるため、比較的長い時間を要する。本装置にお
いては、これらの操作を成膜処理と並行して行えるの
で、半導体レーザを良好な生産性で量産することができ
る。
【0046】表1は、端面保護膜であるアルミナ膜の形
成に関して、本発明の上記実施形態の製造方法を適用し
た場合(表1には本発明適用と略記)、および本発明不
適用の場合それぞれについて、得られたアルミナ膜の光
学定数として光吸収係数を測定しまとめたものである。
本発明不適用の場合とは、図6に示すフローチャート
で、酸素ガス導入の工程(ステップS11)およびプレ
スパッタの工程(ステップS12)を行わなかった場合
である。
【0047】
【表1】
【0048】光吸収係数は、本発明適用の場合は0cm
-1であるが、本発明不適用の場合は0.00825cm
-1である。すなわち、本発明を適用して得られたアルミ
ナ膜は光の吸収がないが、本発明を適用せずに得られた
アルミナ膜は光の吸収がある。これは、本発明を適用し
なかった場合は、アモルファスシリコン膜13成膜時に
発生した不安定なシリコン原子は、アルミナ膜を成膜す
るときまで除去される工程がないことによる。シリコン
原子は光を吸収するので、シリコン原子が取り込まれた
アルミナ膜は光を吸収する。すなわち、従来の方法で
は、この不安定なシリコン原子が必ずアルミナ膜中に取
り込まれ、アルミナ膜の光吸収係数が高くなる。
【0049】本発明適用の場合は、アルミナ膜にシリコ
ン原子が取り込まれることはない。したがって、安定な
光吸収係数を有するアルミナ膜を含む端面保護膜11,
12を半導体レーザチップ10の端面に成膜することが
でき、これにより所望の発振特性の半導体レーザを製造
することが可能である。図7は、上述の本発明の他の実
施形態に係る製造方法を概説するためのフローチャート
である。各工程の内容は図6の説明で述べたものと同様
であるが、この製造方法においては、実行する工程の順
序が図6とは異なる。
【0050】この製造方法では、未処理試料(端面保護
膜11,12の形成を行っていない半導体レーザチップ
10)を処理室21に搬入し(ステップT10)、雰囲
気調整を行い(ステップT11)、半導体レーザチップ
10の両端面にアルミナ膜を形成し(ステップT1
2)、反射側端面にアモルファスシリコン膜13を形成
(ステップT13)した後に、処理室21内に酸素ガス
を導入し(ステップT14)、プレスパッタを行う(ス
テップT15)。その後、以上の処理が施された試料
(処理済み試料)を処理室21からロード/アンロード
室31へと搬出する。以下、所望の回数だけ未処理試料
の搬入工程(ステップT10)から処理済み試料の搬出
工程(ステップT16)まで繰り返す。
【0051】以上の操作は、最初の実施形態と同様コン
トローラ30の制御により行われる。この製造方法によ
っても、アモルファスシリコン膜13の成膜(ステップ
T13)後で、次のアルミナ膜の成膜(ステップT1
2)までに、不安定なシリコン原子を除去する工程であ
るプレスパッタが行われる(ステップT15)ので、ア
ルミナ膜の成膜(ステップT12)を行うときには、処
理雰囲気中に不安定なシリコン原子は存在しない。した
がって、アルミナ膜中にシリコン原子が取り込まれるこ
とはないので、安定な光学定数を有する端面保護膜1
1,12を得ることができる。
【0052】また、上述の構成の装置(図4、図5)を
用いることで、このような安定な光学定数を有する端面
保護膜11,12を形成することが可能である。その
他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の変
更を施すことが可能である。たとえば、一つの半導体レ
ーザチップ10に対して、レーザ出射側端面にアルミナ
膜を形成する工程、反射側端面にアルミナ膜を形成する
工程、および反射側端面にアモルファスシリコン膜13
を形成する工程には、いくつか考え得る順序が存在す
る。その際、アモルファスシリコン膜13を形成する工
程と、その直後のアルミナ膜を形成する工程との間に、
プレスパッタなど、アモルファスシリコン膜13の成膜
に伴って生じた不安定なシリコン原子の除去工程が実施
されているならば、アルミナ膜中にシリコン原子が取り
込まれることはない。したがって、このような製造方法
によって、安定な光学特性を有するアルミナ膜を含む端
面保護膜11,12を得ることができる。
【0053】これまでの説明は、ターゲットは、アルミ
ナターゲット(第1ターゲット26a)とα−Siター
ゲット(第2ターゲット26b)の2つの例であった。
処理室21内には、さらにアモルファスシリコン膜13
を形成する目的以外のシリコン原子を含むターゲットが
あってもかまわない。たとえば、端面保護膜としてのア
ルミナ膜11,12とアモルファスシリコン膜13を成
膜するための処理室21内に、SiO2ターゲットがあ
り、何らかの目的のためにこのSiO2ターゲットを使
用したスパッタをも行う必要があったとする。このよう
な場合にも、SiO2ターゲットを使用したスパッタを
行った後には、処理室21内には、不安定なシリコン原
子が存在している。
【0054】しかし、アルミナ膜のスパッタ成膜を行う
前に酸素プラズマを伴うプレスパッタを行い、活性化さ
れた酸素原子とこの不安定なシリコン原子を結合させる
ことにより、不安定なシリコン原子を除去することが可
能である。したがって、アルミナ膜にシリコン原子が取
り込まれることはないので、安定な光学定数を有するア
ルミナ膜を得ることができる。以上の実施形態におい
て、レーザ出射側端面には端面保護膜11のみが形成さ
れた単層構造とされ、反射側端面には端面保護膜12の
上にアモルファスシリコン膜13が形成された2層構造
とされていたが、本発明は、これに限定されるものでは
ない。たとえば、これらの一方または双方が端面保護膜
12(11)とアモルファスシリコン膜13とが交互に
積層した多層膜であってもよい。その場合、各層の層厚
で反射率を調整することができるので、一方を反射側端
面として機能させ、他方をレーザ出射側端面として機能
させることができる。
【0055】このような構造の半導体レーザは、1つの
半導体レーザチップ10の端面に、端面保護膜12(1
1)とアモルファスシリコン膜13とを、交互に繰り返
し成膜することにより得ることができる。この場合で
も、アモルファスシリコン膜13の形成工程の後、次の
端面保護膜(アルミナ膜)12(11)形成工程の前に
プレスパッタ工程を実行することにより、端面保護膜1
2(11)中へのシリコン原子の混入を回避して、安定
な光学定数を有する端面保護膜を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る製造方法によって作
製されるべき半導体レーザの構成を簡略化して示す斜視
図である。
【図2】上記半導体レーザの横断面図である。
【図3】上記半導体レーザの製造方法を示すフローチャ
ートである。
【図4】本発明の一実施形態に係る製造方法に用いるス
パッタ成膜装置の処理室の構造を示す図解的な断面図で
ある。
【図5】図4のスパッタ成膜装置の全体的な構造を示す
図解的な概略図である。
【図6】端面保護膜形成プロセスの一例を示すフローチ
ャートである。
【図7】上記本発明の他の実施形態に係る製造方法を示
すフローチャートである。
【符号の説明】
10 半導体レーザチップ 11,12 端面保護膜 13 アモルファスシリコン膜 21 処理室 22 電極 23a 電極 23b 電極 24 試料保持板 25a バッキングプレート 25b バッキングプレート 26a 第1ターゲット 26b 第2ターゲット 27a シャッタ 27b シャッタ 28T 電源 29T マッチングボックス 30 コントローラ 31 ロード/アンロード室 32 ゲートバルブ 33 ゲートバルブ 34 リーク弁 35 搬送機構 36 搬入/搬出機構
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4K029 AA06 BA35 BA44 BB02 BB10 BD01 CA05 FA09 5F058 BA20 BB01 BC03 BE10 BF12 5F073 AA03 AA84 CB02 DA33 DA35 EA29 5F103 AA08 DD27 HH03 LL03 PP01 RR05

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】半導体レーザチップの端面に端面保護膜と
    してのアルミナ膜を形成して半導体レーザを製造する方
    法であって、 端面保護膜を形成すべき半導体レーザチップを処理室に
    搬入する工程と、 上記処理室内で酸素プラズマを生成させて、処理室内に
    存在する化学的に不安定な物質を除去する浄化工程と、 この浄化工程の後に、上記処理室内において、スパッタ
    リングにより、上記端面保護膜を構成するアルミナ膜を
    上記半導体レーザチップの端面に形成する工程とを含む
    ことを特徴とする半導体レーザの製造方法。
  2. 【請求項2】上記浄化工程は、上記処理室内で、シリコ
    ン原子を含むターゲットを使用したスパッタリングの後
    に行われることを特徴とする請求項1記載の半導体レー
    ザの製造方法。
  3. 【請求項3】第1の半導体レーザチップを処理室に搬入
    する工程と、 上記処理室内において、上記第1の半導体レーザチップ
    の端面に、シリコンをターゲットとしたスパッタリング
    によって、アモルファスシリコン膜を成膜する工程と、 上記第1の半導体レーザチップを上記処理室から搬出す
    る工程と、 第2の半導体レーザチップを上記処理室に搬入する工程
    と、 上記処理室内において、上記第2の半導体レーザチップ
    の端面に、スパッタリングによって、アルミナ膜を成膜
    する工程と、 上記アモルファスシリコン膜の成膜工程の後であって、
    上記第2の半導体レーザチップの端面にアルミナ膜を成
    膜する工程よりも前に、上記処理室内で酸素プラズマ生
    成させて、上記処理室内の不安定なシリコン原子を除去
    する浄化工程とを含むことを特徴とする半導体レーザの
    製造方法。
  4. 【請求項4】上記半導体レーザチップの搬入および搬出
    が、上記処理室内をほぼ真空に保持した状態で行われる
    ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の
    半導体レーザの製造方法。
  5. 【請求項5】処理室内において、この処理室内に置かれ
    た半導体レーザチップの端面に、シリコンをターゲット
    としたスパッタリングによって、アモルファスシリコン
    膜を成膜する工程と、 上記処理室内において、この処理室内に置かれた半導体
    レーザチップの端面に、スパッタリングによって、アル
    ミナ膜を成膜する工程と、 上記アモルファスシリコン膜の成膜工程の後であって、
    アルミナ膜を成膜する工程よりも前に、上記処理室内で
    酸素プラズマ生成させて、上記処理室内の不安定なシリ
    コン原子を除去する浄化工程とを含むことを特徴とする
    半導体レーザの製造方法。
  6. 【請求項6】上記処理室内をほぼ真空に保持した状態
    で、上記処理室に対して半導体レーザチップを搬入また
    は搬出する工程をさらに含むことを特徴とする請求項5
    記載の半導体レーザの製造方法。
  7. 【請求項7】上記浄化工程は、 上記処理室内の雰囲気に酸素を添加する工程と、 この酸素が添加された雰囲気中でアルミナターゲットを
    所定時間プレスパッタする工程とを含むことを特徴とす
    る請求項1ないし6のいずれかに記載の半導体レーザの
    製造方法。
  8. 【請求項8】半導体レーザチップの端面に端面保護膜と
    してのアルミナ膜を形成して半導体レーザを製造するた
    めの装置であって、 アルミナを含む第1ターゲットおよびシリコン原子を含
    む第2ターゲットが配置され、内部が真空状態に保持さ
    れる処理室と、 この処理室を真空状態に保持しつつ、半導体レーザチッ
    プを当該処理室に対して搬入および搬出する搬入・搬出
    機構と、 上記第2ターゲットを用いたスパッタリングを行わせ
    て、上記処理室内の半導体レーザチップの端面にシリコ
    ン原子を含む膜を形成する手段と、 上記処理室内で酸素プラズマを生成させて、上記処理室
    内の化学的に不安定な物質を除去する浄化手段と、 上記浄化手段によって上記処理室内が浄化された後に、
    上記第1ターゲットを用いたスパッタリングを行わせ
    て、上記処理室内の半導体レーザチップの端面にアルミ
    ナ膜を成膜させる手段とを含むことを特徴とする半導体
    レーザ製造装置。
  9. 【請求項9】上記第2ターゲットがシリコンターゲット
    であることを特徴とする請求項8記載の半導体レーザ製
    造装置。
  10. 【請求項10】上記浄化手段は、 上記処理室内の雰囲気に酸素を添加する手段と、 上記処理室内の雰囲気に酸素が添加された状態で上記第
    1ターゲットを所定時間プレスパッタさせる手段とを含
    むことを特徴とする請求項8または9記載の半導体レー
    ザ製造装置。
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