JP2003082587A - 電磁波シールド性に優れた人工皮革 - Google Patents

電磁波シールド性に優れた人工皮革

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JP2003082587A
JP2003082587A JP2001276378A JP2001276378A JP2003082587A JP 2003082587 A JP2003082587 A JP 2003082587A JP 2001276378 A JP2001276378 A JP 2001276378A JP 2001276378 A JP2001276378 A JP 2001276378A JP 2003082587 A JP2003082587 A JP 2003082587A
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JP2001276378A
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Masayuki Fujimoto
雅之 藤本
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Kuraray Co Ltd
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、柔軟で一体感を持った風合いと優
れた折れ皺感を有し、耐屈曲性、耐摩耗性等の機械的物
性を保持しながら、電磁波シールド性に優れた高級感の
ある人工皮革を比較的安価に提供するものである 【解決手段】 表面層(A)、樹脂中間層(B)及び基
体層(C)から構成され、かつ該樹脂中間層(B)が1
00%モジュラス30〜80kg/cmの弾性重合体
を主体とした樹脂と導電性金属またはその化合物からな
る導電層及び該導電層の両面に配置されたクリアー樹脂
からなる補強層により構成され、該クリアー樹脂が10
0%モジュラス30〜80kg/cmの弾性重合体を
主体とした樹脂であることを特徴とする人工皮革。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、柔軟で一体感を持った
風合い、優れた折れ皺感を有し、耐屈曲性、耐摩耗性等
の機械的物性を保有すると同時に、電磁波シールド性に
優れた人工皮革に関するものである。
【0002】近年、コンピューターをはじめとするデジ
タル方式の電子機器の急激な普及に伴い、電磁波障害の
防止が急務となっている。デジタル機器は、高周波パル
スを発生させ同期信号として用いられるが、この同期信
号が、電磁波の発生源とされる。電子回路を組込んだ機
器から放射される電磁波は、妨害波となり、他の機器に
悪影響をおよぼし誤動作を誘発する、いわゆる電磁波障
害を起こすことになる。
【0003】このように電磁波障害が近年顕在化してき
ている一因として、高分子化学の発達により、電子機器
の筐体のプラスチック化が進んでいることが挙げられ
る。特殊な樹脂を除いて、プラスチックはそれ自身絶縁
体であり、高周波に対して反射、吸収の性質はない。従
って、電磁波障害を防止する方法としては、電子機器内
部で発生する電磁波が外部へ放射されないように遮蔽す
ることが第一であり、さらに防衛としては、他の電子機
器から放出される電磁波が侵入しないように影響を受け
る側の電子機器の外部で遮蔽する必要がある。
【0004】また、最近では電磁波が原因で起こるアレ
ルギー性疾患として、電磁波過敏症が新しい現代病の一
つとされる。そしてパソコン、携帯電話等から放射され
る電磁波が人体に与える影響を防御する必要がある。
【0005】
【従来の技術】そこで樹脂の導電化が検討され、樹脂筐
体にはコーティング法及び導電フィラー混入法が採用さ
れている。前者は、導電性塗料、金属溶射、蒸着・スパ
ッタリング、メッキ等であり、後者はカーボン繊維、メ
タルパウダー・カーボン、金属繊維、無機フレークのメ
ッキ物等である。しかし、これらはプラスチック筐体に
シールド特性をもたらす方法であって、高級感や柔軟な
風合い・タッチを有する人工皮革に電磁波シールド性を
付与するものではなかった。
【0006】従来、人工皮革への電磁波シールド性を付
与する方法としては、例えば特開平11−247074
号公報、特開2000−273762号公報で提案され
ているように導電性金属を含有する繊維からなるシート
状物を積層する方法や、特開平11−229000号公
報で天然皮革について提案されているように導電性金属
を含む樹脂からなる導電層をシート状物の表面または裏
面に貼付ける、あるいは塗布するなどの方法により、皮
革様シートの構成の一部として導電性金属を含む導電層
を設ける方法が提案されている。しかし、これらの方法
では導電性金属を付与した繊維シートを積層することに
より、人工皮革の風合いが著しく損なわれ、折れ皺が大
きくなり品位が低下する。また実用上、屈曲回数の多い
部分では、導電性金属を有する繊維が切断されて電磁波
シールド性が低下するなどの欠点があった。また、後者
の導電性金属を含有する樹脂からなる導電層を表面また
は裏面に貼付ける方法では、初期の電磁波シールド効果
は得られるが屈曲及び摩耗により、導電層が劣化してし
まうため電磁波シールド性が低下してしまうものであっ
た。また、用途によっては裏面に接着剤を使用して電子
機器と貼付けるときに、接着剤に含有する有機溶剤が、
電磁波シールド材を把持する樹脂を溶かし、電磁波シー
ルド被膜の均一性を損なうといった問題があった。他
方、金属蒸着法では、蒸着量によっては風合い硬化によ
り、高級感が出ないといった問題があり、生産性が低く
コストが高くなる傾向があった。さらに近年はパソコ
ン、携帯電話等の飛躍的な普及がみられるが、これらに
対する電磁波対策は未だ十分ではない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を解決し、耐屈曲性、耐摩耗性等の機械的物性を保持し
ながら、柔軟で一体感を持った風合いと優れた折れ皺感
を有し、電磁波シールド性に優れた高級感のある人工皮
革を比較的安価に提供するものである。すなわち、本発
明の人工皮革を電子機器の筐体に貼り付けまたは、樹脂
筐体の成型時に填め込み成型することにより、電子機器
内部で発生する電磁波の放射を遮蔽し、同時に外部から
進入する電磁波を遮蔽する効果をもたらすものである。
さらにノート型パソコンや携帯電話器等の可搬型電子機
器の単調なプラスチック筐体にファッション性を付与
し、柔軟な手触り感など従来にない商品性を付与するこ
とができる。また、VDT(視覚表示装置)作業時の電
磁波シールド用チョッキ、エプロン、帽子などの保護
具、またはOA機器設置室の壁装材として使用可能な人
工皮革を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】前述の問題を解決するた
めに本発明者らは鋭意検討を行った結果、表面層
(A)、樹脂中間層(B)及び基体層(C)から構成さ
れ、かつ該樹脂中間層(B)が100%モジュラス30
〜80kg/cmの弾性重合体を主体とした樹脂と導
電性金属またはその化合物からなる導電層及び該導電層
の両面に配置された顔料無添加のクリアー樹脂からなる
補強層により構成され、該クリアー樹脂が100%モジ
ュラス30〜80kg/cmの弾性重合体を主体とし
た樹脂であることを特徴とする人工皮革によって耐屈曲
性、耐摩耗性等の機械的物性を保持しながら、良好な柔
軟性、風合い、折れ皺感を有し、電磁波シールド性に優
れた高級感の有る人工皮革が得られることを見い出し
た。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明において、基体層(C)
は、極細繊維の絡合不織布と高分子弾性体から構成され
る。極細繊維の製造方法は、公知の方法が用いられる
が、好ましくは溶解性または分解性の異なる2種以上の
ポリマーを混合紡糸、海島型複合紡糸、分割型複合紡糸
等により得られた極細繊維発生型繊維の一部を抽出また
は分解除去して極細繊維とする方法が用いられる。
【0010】極細繊維発生型繊維を構成する極細繊維と
なるポリマーの例としては、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレ
フタレート等の芳香環を含むポリエステル類、ナイロン
−6、ナイロン−66、ナイロン−12あるいはそれら
の共重合体等のポリアミド類、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン等で代表されるのポリオレフィン類などから選ば
れた公知の繊維形成性ポリマーであればよく、特に限定
されるものではない。
【0011】また繊維から抽出または分解除去されるポ
リマーの例として、該繊維形成ポリマーと溶剤または分
解剤に対する溶解性または分解性を異にする成分であっ
て、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−
プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、
ポリスチレン、スチレン−アクリル系モノマー共重合
体、スチレン−エチレン共重合体等のポリマーから選ば
れた少なくとも一種のポリマーが挙げられる。
【0012】これらのポリマーを使用して作製した極細
繊維発生型繊維の単繊維繊度は、特に限定されず用途に
よって任意に繊度を選ぶことができるが、得られるシー
トの風合いが優れることから、0.5〜10デシテック
ス、より好ましくは2デシテックス〜7デシテックスで
ある。また、カット長もその用途により任意に選ぶこと
ができる。また、基体層(C)を構成する繊維の極細繊
維化後の繊度は、平均1.0デシテックス以下であるこ
とが得られるシートの風合いの点で好ましく、より好ま
しくは0.5デシテックス以下、更に好ましくは0.1
デシテックス以下である。
【0013】この極細繊維発生型繊維をカードで開繊、
ウェバーを通してランダムウェブまたはクロスラップウ
ェブを形成し、得られたウェブを所望の目付重量及び厚
さに積層する。ついでウェブは、従来公知の方法でニー
ドルパンチ等の繊維絡合処理を施して不織布とする。該
不織布の見掛密度は、柔軟な風合いを有する皮革様シー
トを得るためには0.1〜0.6g/cmであること
が好ましく、0.15〜0.55g/cmであること
がより好ましい。見掛密度が0.6g/cmより大き
くなると、得られるシートがゴムライクな風合いとなる
傾向がある。一方、見掛密度が0.1g/cmより小
さくなると、充実感および腰感が劣り、得られる人工皮
革の風合いが損なわれる。
【0014】ニードルパンチ工程におけるパンチ数は、
使用する針の形状やウェブの厚さにより異なるが、一般
に200〜2500パンチ/cmの範囲で設定され
る。一般的に極細繊維発生型繊維のニードルパンチにお
いて、ニードルパンチ条件が強すぎる場合には極細繊維
発生型繊維の切断や繊維割れがおこり絡合が向上せず、
またニードルパンチ条件が弱すぎる場合には厚さ方向に
並ぶ繊維数の不足をまねき絡合が向上しない。ニードル
パンチにより得られた不織布の目付重量は100〜30
00g/mの範囲が好ましい。
【0015】ニードルパンチされた不織布は、表面を平
滑化し厚さを規制するため、厚さ方向にプレスすること
が好ましい。プレス方法は、複数の加熱ロール間を通す
方法、予熱した不織布を冷却ロール間に通す方法等、従
来公知の方法が利用でき、極細繊維発生型繊維中の海成
分すなわちポリエチレンなどの低溶融粘度成分の溶融・
圧着により不織布を平滑化することが出来る。プレスす
ることにより不織布の厚さが好ましくは5〜30%、よ
り好ましくは10〜25%減少する程度の条件をとる。
厚さ減少率が少ない場合は、不織布密度が粗く、構成繊
維の低溶融粘度成分の溶融・圧着が不足となるため、後
工程の高分子弾性体付与時に不織布の形態維持が困難と
なる。すなわち、不織布に加わる張力に対応できず、繊
維絡合が乱れ、得られる基体層の密度斑を生じることに
なる。また、厚さ減少率が過剰の場合は、不織布密度が
過密になるため、高分子弾性体の含浸不足または含浸斑
を生ずることになる。
【0016】本発明の基体層(C)に用いられる高分子
弾性体は、従来から皮革様シートを製造する際に使用さ
れている高分子弾性体であればよい。このような高分子
弾性体として、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、
ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、弾性を有する
ポリスチレン系樹脂、弾性を有するポリオレフィン系樹
脂などがあるが、この中でも得られる皮革様シートに優
れた風合いを与えることから、ポリウレタン系樹脂が好
適に使用される。
【0017】また、樹脂の付与方法はポリウレタンのジ
メチルホルムアミド(以下、DMFと略す。)溶液を不
織布に含浸し、水中で湿式凝固、脱洗する湿式凝固法を
採用すれば、より天然皮革調の風合いを得ることができ
る。またポリウレタンエマルジョン、アクリルエマルジ
ョンのように、水系で分散された水性エマルジョンを使
用すれば、本発明方法で得られる皮革様シートは有機溶
剤を使用することなく製造することができる。不織布に
高分子弾性体を付与して得られる基体層(C)の厚さ
は、得られる人工皮革の用途により任意に選択でき、特
に制限されるものではないが、厚さ0.5〜2.5mm程
度であることが好ましく、0.5〜2.0mm程度であ
ることがより好ましい。また、見掛密度は0.200〜
0.500g/cmの範囲であることが好ましい。
【0018】導電性金属またはその化合物を含有する樹
脂中間層(B)を構成する樹脂は、公知の高分子弾性体
でよく、好ましくは基体層(C)と表面層(A)を構成
する樹脂と相溶性または接着性の良好な樹脂であり、よ
り好ましくは、ポリウレタン系、アクリル系等の樹脂で
あり、さらに好ましくは、ポリカーボネート系、エーテ
ル系ポリウレタンである。該樹脂中間層(B)を構成す
る樹脂の100%モジュラスは30〜80kg/cm
の範囲であることが得られるシートの風合い及び耐屈曲
性の点で重要であり、より好ましくは35〜75kg/
cm、さらに好ましくは40〜60kg/cmのも
のである。100%モジュラスが30kg/cm未満
の場合は成膜性不良及び強度不足の傾向があり、80k
g/cm を越えると風合いが硬くなり、柔軟性と耐屈
曲性に欠ける傾向がある。
【0019】本発明の導電性金属またはその化合物を含
有する樹脂中間層(B)に含有させる導電性金属または
その化合物は従来公知の金、銀、銅、鉄、亜鉛、ニッケ
ル、又はそれらの化合物等の導電性を有するものであれ
ばいずれも使用することができるが、価格及び酸化劣化
の欠点の少ないことなど、実用性の点から銅又はニッケ
ルから選ばれた少なくとも1種を使用することが好まし
い。さらに構成する樹脂への劣化影響の少ない点からニ
ッケルがより好ましい。導電性金属またはその化合物と
該金属を含有させるバインダー樹脂との比率は、金属換
算で、重量比で70/30〜95/5の範囲が好まし
く、さらに好ましくは80/20〜90/10の範囲で
ある。導電性金属またはその化合物の含有率が70%よ
り少なければシールド効果が低下する傾向にあり、90
%を越えると耐屈曲性および風合いが低下する傾向にあ
る。ここで、該金属を含有する樹脂中に無機顔料、有機
顔料等の少量の着色剤を添加して色付けすることは、風
合い、耐屈曲性等に悪影響を及ぼさない程度であれば差
し支えない。
【0020】樹脂中間層(B)を構成する導電層を付与
する方法は、グラビアコーター、コンマコーター、スプ
レー等の各手段を用いることができるが、コーティング
の容易性及びコスト面からグラビアコーターによる方法
が好ましい。特にグラビアコーター法では、導電性金属
またはその化合物含有樹脂が金網状に反復転写される結
果、網目状交点が増加し、膜を形成するのであるが、他
の方法に比し、変動しやすい樹脂中の導電性金属または
その化合物粒子の分散安定性に特長がある。樹脂中間層
(B)を構成する導電層の厚さは、好ましくは5〜30
0μmの範囲であり、より好ましくは20〜100μmで
ある。5μmに満たない場合は、屈曲による導電層の破
壊や、コーティング斑による電磁波シールド性の低下が
起こり易く、300μmを超えると風合い硬化の問題が
起こり易い。
【0021】導電性金属またはその化合物を含有する導
電層は、導電性金属またはその化合物が樹脂中に前述の
比率で均一に分散されていれば十分な電磁波シールド効
果は発現されるが、金属粒子含有による該導電層の機械
的強度低下を防止し、屈曲性や層間接着性等の耐性向上
を目的として、該導電層の両側をさらに導電性金属また
はその化合物を含有しない樹脂からなる補強層で補強す
る必要がある。この補強層を構成する樹脂をクリアー樹
脂と称し、着色顔料等を実質的に含有しない樹脂であ
り、該樹脂の100%モジュラスは導電層を構成する樹
脂と同様の30〜80kg/cmの樹脂を用いること
が重要であり、好ましくは40〜60kg/cmであ
る。すなわち導電性金属またはその化合物を含有する該
導電層の両面をクリアー樹脂からなる補強層で包囲する
ことにより、該樹脂中間層(B)自体の耐屈曲性及び耐
久性向上に寄与する導電層補強効果と表面層(A)、樹
脂中間層(B)、基体層(C)各層間の接着性を高めるプ
ライマー効果を同時に付与することができ、得られる人
工皮革の電磁波シールド性能の耐久化と柔軟な風合い
(しなやかさ)を維持できる効果がある。
【0022】樹脂中間層(B)を構成する補強層を付与
する方法は、グラビアコーター、コンマコーター、スプ
レー等の各手段を用いることができるが、コーティング
の容易性及びコスト面からグラビアコーターによる方法
が好ましい。具体的には、100%モジュラスが30〜
80kg/cmのポリカーボネート・エーテル系ポリ
ウレタン15%を主体とするDMF溶液を、希釈溶剤
(イソプロピルアルコール50/トルエン50)を用い
て希釈し、これをグラビアコーターにて片側の補強層の
厚さ2〜50μm程度となるよう塗布することが好まし
く、より好ましくは5〜30μmである。2ミクロンに
満たない場合補強層としての効果が低下する傾向があ
り、50μmを越えると得られる人工皮革の風合いがゴ
ムライクになる傾向がある。そして導電層を挟んで反対
側の補強層も同様の厚みであることが好ましい。さらに
該補強層をバインダーとして表面層(A)、樹脂中間層
(B)、基体層(C)それぞれの層を接着する接着剤層
を兼ねることがコスト面でもっとも好ましい。補強層を
構成するクリアー樹脂には、本発明の目的を損なわない
範囲で添加物が加えられていても良い。
【0023】本発明の表面層(A)の最表面がスエード
様の立毛を有する場合、極細繊維の絡合不織布と弾性重
合体から構成されるが、極細繊維化後の繊度は平均0.
5デシテックス以下であることが、得られるシートの風
合い・タッチと、きめ細かいライティング効果を得る点
で好ましく、より好ましくは0.1デシテックス以下、
更に好ましくは0.05デシテックス以下である。これ
らの繊度に変性できる極細繊維発生型繊維を使用し、公
知の方法で不織布化したものを使用することが好まし
い。また、該極細繊維を構成する繊維は基体層(C)を
構成する繊維と同種の繊維を用いることが、得られるス
エード調人工皮革の風合いおよび一体感に関して優れる
ことから好ましく用いられるが、目的によっては基体層
(C)を構成する繊維と異なる繊維を用いてもよい。ま
た、表面層(A)を構成する弾性重合体および含有方法
においても、同様理由により基体層(C)を構成する弾
性重合体および含有方法を用いることができるし、目的
によっては基体層(C)を構成する弾性重合体と異なる
樹脂を用いてもよい。表面層(A)の厚さは、用途によ
って所望の厚さにすることができるが、0.3〜1.5
mmの範囲が好ましい。0.3mmに満たない場合は、
導電性金属またはその化合物を含有する樹脂中間層
(B)が厚さ方向の表面部分に近づきすぎてスエード調
人工皮革の外観及び風合いが劣る傾向があり、1.5m
mを越える場合は、外観は良好であるが、該樹脂中間層
(B)および該基体層(C)を積層したときに風合いが
硬くなる傾向がある。
【0024】得られた表面層(A)の表面を、バフ、整
毛等、公知の方法により起毛した後、染色処理、柔軟処
理等を行いスエード調人工皮革、またはバフ条件を調整
しヌバック調人工皮革とすることができる。本発明のス
エード調人工皮革、またはヌバック調人工皮革とする場
合に、表面層(A)はあらかじめ前述の方法により仕上
げた後、基体層(C)と導電性金属またはその化合物を
含有する樹脂中間層(B)を介して積層することができ
る。また、表面層(A)の表面仕上げ処理を行う前に該
表面層(A)、樹脂中間層(B)、基体層(C)を積層
し、その後、該表面層(A)の表面に前述の方法で仕上
げ処理を行うことも可能である。
【0025】本発明の表面層(A)の最表面が銀面層を
有する場合、前述のスエード調人工皮革の表面層(A)
と同様手順で得た立毛を形成する前あるいは後の極細繊
維の絡合不織布と弾性重合体から構成される該表面層
(A)を基体とし、その表面に、主として弾性重合体よ
りなる銀面層を付与する。または該表面層(A)全体が
実質的に弾性重合体のみからなる銀面層とすることも可
能である。銀面層を構成する弾性重合体は、公知の高分
子弾性体でよいが、より好ましくは、その下の層を構成
する樹脂との相溶性の良好な樹脂であり、さらに好まし
くは、ポリウレタン系、アクリル系、ポリアミド系、ポ
リエステル系、ポリエチレン系、ポリオレフィン系等、
人工皮革に好適に使用される樹脂であり、中でも加工性
の容易さからポリウレタン系樹脂がもっとも好ましく用
いられる。また、目的によっては表面層(A)を構成す
る樹脂と異なる樹脂を用いてもよい。得られた表面層
(A)を、基体層(C)と、導電性金属またはその化合
物を含有する樹脂中間層(B)を介して積層し銀付調人
工皮革とする。
【0026】本発明の人工皮革が銀付調人工皮革である
場合、表面層(A)の厚さは、用途により所望の厚さに
することができるが、0.1〜1.5mmの範囲が好ま
しい。0.1mm以下の場合は、導電性金属またはその
化合物(以下導電性金属と総称場合もある)を含有する
樹脂中間層(B)が厚さ方向の表面部分に近づきすぎて
銀面調人工皮革の折れしわ等の外観及び風合いのバラン
スが劣る傾向があり、1.5mmを越える場合は、外観
は良好であるが、該(B)および基体層(C)の全体を
積層した時に風合いが硬くなる傾向がある。
【0027】前述の銀付調人工皮革の銀面層を形成する
方法において、表面層(A)の最表面に弾性重合体を主
体とする銀面層を形成する方法、すなわち前述のスエー
ド調人工皮革の表面層(A)と同様手順で得た極細繊維
の絡合不織布と弾性重合体から構成される表面層(A)
を基体として用い、該シートの表面に主として弾性重合
体よりなる銀面層を乾式法、湿式法あるいはそれらの組
み合わせにより形成する方法が用いられる。
【0028】乾式法は、予め離型紙等を支持体として作
製した弾性重合体を主体とするフィルムを該基体表面に
貼り合わせた後で前記支持体を剥離する方法や、溶融し
た弾性重合体を押出成形によりシート化しながら基体表
面を被覆する方法、また弾性重合体の溶液または分散液
をグラビア法、スプレー法、ナイフコート法などの各種
コーティング法により基体表面に塗布することにより銀
面層を形成する方法、さらにはそれら方法を組み合わせ
た方法であり、湿式法とは基体表面に弾性重合体を主体
とする溶液を塗布し、塗布した弾性重合体の非溶剤を含
む液体に浸漬あるいは塗布などの方法により接触させる
ことで前記弾性重合体を凝固させて銀面化する方法であ
って、銀面層用の弾性重合体の塗布・凝固工程は基体を
構成する弾性重合体の含浸・凝固工程と同時でもよく、
あるいは基体をまず形成した後で被覆層用の弾性重合体
を塗布・凝固してもよい。また、表面層(A)全体を銀
面層にして樹脂中間層(B)と基体層(C)と積層して
もよい。このようにして形成した銀面層には、必要によ
り顔料あるいは染料を含有する弾性重合体の溶液あるい
は分散液をグラビア法あるいはスプレー法などで塗布、
乾燥することにより着色したり、エンボス処理を施して
天然皮革調あるいは幾何学模様等の所望の凹凸模様を形
成することも好ましく実施される。
【0029】
【実施例】次に本発明を具体的に実施例で説明するが、
本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。な
お、実施例中の部及び%はことわりのない限り重量に関
するものである。ここで以下の実施例および比較例にお
ける試験方法について説明する。 (a)目付重量 JIS L1096「一般織物試験方法」に従い、10cm×10cmの
試験片の質量(g)を測定し、m2当りの質量(g/m2)で
表す。 (b)厚さ JIS L1096「一般織物試験方法」に従い、初荷重23.5kPa
{240g/cm2}で10秒後に厚さ(mm)を測定。 (c)見掛密度 JIS L1096「一般織物試験方法」に従い測定。上記(a)
及び(b)の測定値から次式により1cm当たりの質量
(g/cm)を求めた。 見掛密度=W/(1000×t) W:1m2当たりの質量(g/
cm) t:厚さ(mm) (d)耐屈曲性 JIS K6545 「革の耐屈強性試験方法」による。ただし、
ここでは5万回屈曲後の試験の導電性を測定する。
【0030】(e)導電性 横河インスツルメンツ(株)製デジタルマルチメーター
Model:7534を用いる。測定器テスト棒2本の(+)及び
(−)の各先端部を測定片上で一定距離をおき、樹脂中
間層(B)の導電層の断面に接触させ、あるいは人工皮
革の裏面側から突き刺して樹脂中間層(B)の導電層に
接触させ、導通の有無を測定。この方法により耐屈曲性
試験機による屈曲前及び屈曲5万回後の導電性を測定す
る。屈曲5万回後の導電性測定は、屈曲試験後の試験片
を横方向に1mm間隔になるように剃刀で平行に切断
し、その両端の導電層にテスト棒を接触させるか、ある
いは人工皮革の裏面側から突き刺して樹脂中間層(B)
の導電層に接触させて導電性を測定する。そして、導電
性のあるものに関してのみ次に示す電磁波シールド性を
測定する。 (f)電磁波シールド性 電磁波シールドとは、電磁波のエネルギーを吸収または
反射させて、表面からのエネルギーが伝わって行くのを
妨げることである。この電磁波エネルギーをどの程度減
衰させることができるかということがシールド効果であ
り、その程度はデシベル[dB]で表される。国内では従
来から業界目安値[電磁シールドの最新技術と材料、
(株)シーエムシー発行、1998年版より引用]とし
て、電磁波シ−ルド効果は30[dB]以上を要求され
ている。
【0031】システムの概略 本発明の人工皮革の電磁波シールド効果は[図−1]に示
すブロックダイヤグラム方式により測定した。この測定
装置は、発振装置−測定セル−受信装置の系から構成さ
れ、発振源に高周波発振回路を用い、受信装置にはスペ
クトラム・アナライザーを使用。このシステムは、試験
片を挿入する測定セルに、(財)関西電子工業振興セン
ター(略称KEC)型を用いている。シールド効果はセルに
測定試料がない場合とある場合の電界レベルを測定、次
式により計算する。シールド効果(SE)の単位はデシ
ベル[dB]で表示される。 SE=20logE1−20logE2 ただし、 E1:試料のないときの電界強度 E2:試料のあるときの電界強度 スペクトラム・アナライザーは20logE1または20l
ogE2の値をブラウン管上に表示することができる電界
強度計である。この値と信号の減衰率の関係およびシー
ルド性の効果を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】実施例1 ポリアミド(ナイロン6)50部、ポリエチレン50部
よりなる混合紡糸繊維を延伸、捲縮、切断して繊度6デ
シテックス、繊維長51mmのステープルとし、これをカ
ードで開繊、ウェバーを通してクロスラップウェブを形
成し、得られた繊維ウェブを積層し、次いで従来公知の
方法でニードルパンチ等の繊維絡合処理をして不織布を
得た。この絡合不織布の目付重量は540g/m2、見掛
密度は0.300g/cm3であった。ついで該不織布にポ
リテトラメチレンエーテルグリコール系ポリウレタンを
主体とする、15%濃度のポリウレタンのDMF溶液を
含浸し、次いで温度38℃のDMF25%水溶液中に浸
漬して湿式凝固した後、熱トルエン中で複合繊維中の海
成分のポリエチレンを溶出除去して0.05デシテック
スのポリアミド極細繊維束状繊維からなる絡合不織布と
多孔質ポリウレタンが含浸された目付重量 462g/m
、厚さ1.30mmで繊維とポリウレタンとの重量比
が70/30の基体を得た。ついで厚さ方向に2分割ス
ライス後、該シート1枚の分割面をサンドペーパーでバ
フィングしてから、含金錯塩酸性染料で青色に染色して
厚さ0.50mmの基体層(C)を得た。
【0034】基体層(C)の非バフィング面に、100
%モジュラスが45kg/cmで顔料無添加のポリカ
ーボネート・エーテル系無黄変型ポリウレタン15%の
DMF溶液に、希釈溶剤(イソプロピルアルコール50/
トルエン50)を加えて、岩田フォードカップNK-2型
(#4)粘度計にて25℃で25秒に調整したものを、
基体層(C)の非バフィング面に固形分で4g/m
なるようグラビアコーターにて塗布・乾燥し下部補強層
を付与した。次いで、導電性フィラーとして導電性金属
のニッケル粒子(2〜5μm径)を、ポリカーボネート
・エーテル系無黄変型ポリウレタン液をバインダーとし
て、固形分重量で85/15になるように混合・分散
し、更に希釈溶剤(イソプロピルアルコール50/トル
エン50)を加えて、岩田フォードカップNK-2型(#
4)粘度計にて25℃で25秒に調整し、下部補強層の
面に固形分で16g/mとなるようにグラビアコータ
ーにて塗布・乾燥し導電層を付与した。この導電層の上
部に、前記の下部クリアー樹脂膜付与と同一条件にて、
塗膜が固形分で4g/mになるようにグラビアコータ
ーにて塗布・乾燥し上部補強層を付与して、導電性金属
を含有する樹脂中間層(B)を得た。
【0035】次に表面層(A)を得るための処理をす
る。前記の基体シート(C)を得る際に2分割スライス
したもう一方のシートを使用して、分割面をサンドペー
パーで厚さ0.50mmに調整後、反対面をサンドペー
パーで研削・起毛し、立毛シートとした。この立毛シー
トを含金錯塩酸性染料で青色に染色し、機械揉み、整毛
を行い、表面層(A)を得た。この人工皮革の目付重量
は180g/m、厚さ0.50mmで、繊維とポリウ
レタンの比率は70/30であった。
【0036】前記ポリカーボネート・エーテル系無黄変
型ポリウレタン溶液に希釈溶剤(イソプロピルアルコー
ル50/トルエン50)を加えて、岩田フォードカップ
NK-2型(4#)粘度計にて25℃で25秒とし、これを
接着液として、表面層(A)の裏面に固形分で2g/m
相当分となるようにグラビアコーターで塗布し、乾燥
前の段階でグラビア処理面と上記基体層(C)と樹脂中
間層(B)の積層体の該(B)側の面を重ね合わせ、プ
レスロールを経由して積層後に100℃で2分間乾燥
し、目付重量400g/m、厚さ1.10mmのスエー
ド調人工皮革の電磁波シールド原反を得た。得られたス
エード調人工皮革は外観、風合いに優れ、耐屈曲性及び
電磁波シールド性ともに優れたものであった。そして、
得られた該スエード調人工皮革をノート型パソコンのプ
ラスチック筐体に貼り付けた結果十分な電磁波シールド
効果が得られた。
【0037】実施例2 実施例1と同様手段で得た目付重量 462g/m
厚さ1.30mmで繊維とポリウレタンとの重量比が7
0/30の基体シートを用い、ポリカーボネート・エス
テル系ポリウレタン液[大日精化工業(株)レザミンCU8
433HV 50部、レザミンCU8437HV 50部、白顔料20部]をコ
ンマコーターで350g/m(wet)塗布し、水中
に入れ凝固、脱洗、乾燥して多孔質表面層を有する基布
を得た。これを用いてグラビア着色及びエンボスによる
しぼ付けをして、目付重量530g/m、厚さ1.3
2mmの銀面層を有するシートを得た。次いで銀面層側
の表面より厚さ0.60mmになるように、分割スライ
スして表面層(A)を得た。表面層(A)を実施例1と
同様手順で得た基体層(C)と導電性金属を含有する樹
脂中間層(B)との積層体の樹脂中間層(B)側に実施
例1と同様の接着液にて積層して、目付重量450g/
、厚さ1.20mmの湿式法による銀付調人工皮革
を得た。得られた銀付調人工皮革は、外観、風合いに優
れ、耐屈曲性、電磁波シールド性ともに優れたものであ
った。そして、得られた該銀付調人工皮革をノート型パ
ソコンのプラスチック筐体に貼り付けた結果十分な電磁
波シールド効果が得られた。
【0038】実施例3 シボ付離型紙(リンテックTPR-8)の上面に、表皮層と
してポリエーテル系ポリウレタン(大日精化製、レザミ
ンME-8105LP)100部、茶色系顔料10部のポリウレ
タン樹脂溶液を、乾燥後厚さが50μmになるようにコ
ンマコーターで塗布、100℃で5分間乾燥した。この
上に接着層として2液型ポリエーテル系ポリウレタン
(大日精化製,レザミンUD8310)100部、NE架橋剤1
0部)の溶液を乾燥後厚さが30μmになるよう塗布
し、50℃で3分間乾燥して銀面層を得た。これを実施
例1と同様手順で得た極細繊維の絡合不織布と弾性重合
体から構成される表面層(A)の表面にラミネートし、
40℃中で3日間熟成してから離型紙を剥離し、銀付人
工皮革の表面層(A)を得た。次いで実施例1と同様に
ポリカーボネート・エーテル系無黄変型ポリウレタン溶
液に希釈溶剤(イソプロピルアルコール50/トルエン
50)を加えて、岩田フォードカップNK-2型(4#)粘度
計にて25℃で25秒とし、これを接着液として、表面
層(A)の裏面に固形分で2g/m相当分となるよう
にグラビアコーターで塗布し乾燥前の段階で、実施例1
と同様手段で予め作製した導電性金属を含有する樹脂中
間層(B)と基体層(C)との積層体の樹脂中間層
(B)側に重ね合わせ、プレスロールを経由して積層後
に100℃で2分間乾燥し、目付重量420g/m
厚さ1.15mmの電磁波シールド性乾式銀付人工皮革
を得た。得られた該乾式銀付人工皮革は、外観、風合い
に優れ、耐屈曲性及び電磁波シールド性ともに優れたも
のであった。そして、得られた該乾式銀付人工皮革をノ
ート型パソコンのプラスチック筐体に貼り付けた結果十
分な電磁波シールド効果が得られた。
【0039】比較例1 実施例1と同様製造方法ではあるが、表面層(A)と基
体層(C)間には導電性金属を含有する樹脂中間層
(B)を積層せずに実施例1の接着液で積層し、実施例
1の樹脂中間層(B)を基体層(C)の裏面、つまり、
得られる人工皮革の裏面に付与した。得られたスエード
調人工皮革は、初期の導電性及び電磁波シールド性を有
したが、屈曲5万回以前の段階で人工皮革裏面に付与し
た導電性金属を含有する樹脂膜が破損脱落し、導電性の
失われた部分が存在した。
【0040】比較例2 上記実施例1と同様製造方法で、導電性金属を含有する
樹脂中間層(B)において、導電性金属を含有する樹脂
膜の両側に補強層を付与しないこと以外は実施例1と同
条件にて作製した。得られたスエード調人工皮革は、初
期の導電性及び電磁波シールド性はあったが、屈曲5万
回後では導電塗膜層が破損し、導電性の失われた部分が
存在した。
【0041】比較例3 導電性金属を含有する樹脂中間層(B)において、導電
性金属含有樹脂膜及びそれを包囲する樹脂膜には、10
0%モジュラスが130kg/cmの樹脂を用いる以
外は上記実施例1と同条件にて作製した。このものは初
期の導電性及び電磁波シールド性は得られたが屈曲5万
回後では導電塗膜層が破損し、導電性の失われた部分が
存在した。また、風合いが硬くと折れしわも粗いものと
なった。
【0042】比較例4 導電性金属を含有する樹脂中間層(B)において、導電
性金属含有樹脂膜及びそれを包囲する樹脂膜には、10
0%モジュラスが17kg/cmの樹脂を用いる以外
は上記実施例1と同条件にて作製した。このものは、グ
ラビアコーターによる塗布・乾燥後の成膜性が悪く、導
電フィラーの均一な分散膜が形成できない問題が生じ
た。
【0043】比較例5 上記実施例1と同様製造方法で、導電性金属を含有する
樹脂中間層(B)の積層なしで、表面層(A)〜基体層
(C)間は実施例1の表面層(A)と樹脂中間層(B)
との積層条件に準じて貼合せてスエード調人工皮革を作
製した。得られたスエード調人工皮革は、当然ながら導
電性及び電磁波シールド性はなかった。
【0044】上記実施例及び比較例の人工皮革に関し、
導電性、電磁波シールド性(シールド効果)を測定、お
よび風合いを評価したものを表2に示す。
【0045】
【表2】
【0046】
【発明の効果】本発明の人工皮革は、人工皮革の高級感
ある風合い、手触り、外観、及び耐屈曲性を損なうこと
なく、電磁波シールド効果を維持するものである。本発
明の人工皮革を電子機器の筐体に貼付けまたは、樹脂等
の筐体成型時に填め込み成型をすることにより、電子機
器内部で発生する電磁波を放射せず、外部から進入する
電磁波を遮蔽する効果がある。特にノート型パソコンや
携帯電話器等の可搬型機器の単調なプラスチック筐体に
ファッション性を付与し、柔軟な手触り感を付与するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる電磁波シールド効果測定のた
めのブロック図

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面層(A)、樹脂中間層(B)及び基
    体層(C)から構成され、かつ該樹脂中間層(B)が1
    00%モジュラス30〜80kg/cmの弾性重合体
    を主体とした樹脂と導電性金属またはその化合物からな
    る導電層及び該導電層の両面に配置されたクリアー樹脂
    からなる補強層により構成され、該クリアー樹脂が10
    0%モジュラス30〜80kg/cmの弾性重合体を
    主体とした樹脂であることを特徴とする人工皮革。
  2. 【請求項2】 表面層(A)が0.5デシテックス以下
    の極細繊維の絡合不織布と弾性重合体からなり、その最
    表面が立毛を有する請求項1に記載のスエード調人工皮
    革。
  3. 【請求項3】 表面層(A)の最表面が、弾性重合体を
    主体とした銀面層からなる請求項1に記載の銀付調人工
    皮革。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の人工皮
    革をカバー材として用いた電子機器。
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