JP2003082433A - 被削性に優れた片状黒鉛鋳鉄及びその製造方法 - Google Patents

被削性に優れた片状黒鉛鋳鉄及びその製造方法

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Toshihito Manabe
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  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】被削性の向上を図ることができると共に、製造
コストの増大を抑制することの可能な被削性に優れた片
状黒鉛鋳鉄及びその製造方法を提供する。 【解決手段】被削性に優れた片状黒鉛鋳鉄は、2.5〜
4.0重量%のC、1.7〜2.8重量%のSi、0.
4〜0.9重量%のMn、0.2重量%以下のP、0.
15重量%以下のS、重量%で100〜400ppmの
Nを含有し、残部がFe及び不可避不純物からなる。こ
の片状黒鉛鋳鉄に切削加工を施す場合、切削工具の刃部
摩耗量が少なくなって、被削性が向上する。Fe、C、
Si、Mn、P及びSを含有した溶湯に対して、接種剤
を接種する接種工程と、Nを含有した添加材を添加する
添加工程とを行って各成分を所定量となるように調製
し、次いで鋳造することにより、被削性に優れた片状黒
鉛鋳鉄が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被削性を改良して
なる被削性に優れた片状黒鉛鋳鉄及びその製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】汎用の片状黒鉛鋳鉄は、その被削性が悪
いため、切削加工等を必要とするような部材として用い
るには適さない。一般に、汎用の片状黒鉛鋳鉄の被削性
に影響を及ぼす因子としては、硬さ、黒鉛長さ、共晶セ
ル(共晶組織を持つ結晶粒のような集団)、成分組成等
が主に挙げられ、これらのうちの共晶セル、すなわち片
状黒鉛鋳鉄中の共晶セル数(片状黒鉛鋳鉄の単位面積当
たりの共晶セルの個数)を増加させることで、片状黒鉛
鋳鉄の被削性が向上することが知られている。そこで従
来、片状黒鉛鋳鉄中の共晶セル数を増加させる方法とし
て、片状黒鉛鋳鉄中のリン(P)や硫黄(S)の含有量
を増加させたり、片状黒鉛鋳鉄にセリウム(Ce)等の
希土類元素を添加したりする等の方法が考えられてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来技術に係る片状黒鉛鋳鉄中の共晶セル数を増加さ
せる方法では、以下に記すような問題があった。
【0004】すなわち、片状黒鉛鋳鉄中のリンや硫黄の
含有量を増加させる方法では、リンや硫黄の含有量が増
加するのに伴って、片状黒鉛鋳鉄の硬さも増加する傾向
となるため、片状黒鉛鋳鉄の被削性を向上させるには限
界があり、片状黒鉛鋳鉄の被削性は十分なものとならな
かった。また、希土類元素を添加する方法では、片状黒
鉛鋳鉄中の共晶セル数を増加させることは可能であるも
のの、希土類元素が片状黒鉛鋳鉄中の他成分(例えば硫
黄)と反応し易く、しかも高価であるため、希土類元素
の添加による片状黒鉛鋳鉄の被削性の向上効果が薄れる
と共に、実用的ではない。
【0005】本発明は、上述した実情に鑑みてなされた
ものであり、その目的は、被削性の向上を図ることがで
きると共に、製造コストの増大を抑制することの可能な
被削性に優れた片状黒鉛鋳鉄及びその製造方法を提供す
ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上述した実
情に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、Fe、C、Si、M
n、P及びS等を含有してなる溶湯中に、微量(所定
量)のNを積極的に含有させるようにすれば、得られる
片状黒鉛鋳鉄の被削性を向上させることが可能であると
いうことを見出し、本発明の被削性に優れた片状黒鉛鋳
鉄及びその製造方法を完成するに至った。
【0007】すなわち、請求項1に記載の発明の被削性
に優れた片状黒鉛鋳鉄は、2.5〜4.0重量%のC、
1.7〜2.8重量%のSi、0.4〜0.9重量%の
Mn、0.2重量%以下のP、0.15重量%以下の
S、重量%で100〜400ppmのNを含有し、残部
がFe及び不可避不純物からなることをその要旨として
いる。
【0008】ここで、Cを2.5〜4.0重量%に設定
したのは、Cが2.5重量%未満の場合、良好な黒鉛形
状(片状)が得られないおそれがあり、Cが4.0重量
%を超える場合、片状黒鉛鋳鉄の硬さが低下しすぎて製
品機能上問題が生じてしまうおそれがあるからである。
【0009】また、Siを1.7〜2.8重量%に設定
したのは、Siが1.7重量%未満の場合、チルが発生
し易くなって片状黒鉛鋳鉄の被削性の低下を招いてしま
うおそれがあり、Siが2.8重量%を超える場合、片
状黒鉛鋳鉄の硬さが低下しすぎて製品機能上問題が生じ
てしまうおそれがあるからである。
【0010】更に、Mnを0.4〜0.9重量%に設定
したのは、Mnが0.4重量%未満の場合、片状黒鉛鋳
鉄中の黒鉛が粗大化して片状黒鉛鋳鉄の被削性が悪化し
てしまうおそれがあり、Mnが0.9重量%を超える場
合、片状黒鉛鋳鉄が硬くなりすぎて被削性の低下を招い
てしまうおそれがあるからである。
【0011】また、Pを0.2重量%以下に設定したの
は、Pが0.2重量%を超えると、片状黒鉛鋳鉄中のリ
ン化合物が増えて片状黒鉛鋳鉄が硬くなってしまうおそ
れがあり、Sを0.15重量%に設定したのは、Sが
0.15重量%を超えると、片状黒鉛鋳鉄中の硫黄化合
物(例えば硫化マンガン等)が増えて片状黒鉛鋳鉄が硬
くなってしまうおそれがあるからである。なお、本発明
の片状黒鉛鋳鉄においては、Pを0.2重量%以下、S
を0.15重量%以下に設定したが、P及びSの両成分
とも0重量%を含まない趣旨であり、P及びSの両成分
は必須成分となっている。
【0012】加えて、Nを重量%で100〜400pp
mとなるように設定したのは、Nが100ppm未満の
場合、片状黒鉛鋳鉄における被削性の向上効果が得られ
ないおそれがあり、Nが400ppmを超える場合、片
状黒鉛鋳鉄にガス欠陥不良が多発してしまうおそれがあ
るからである。
【0013】請求項1に記載の発明によれば、片状黒鉛
鋳鉄は、2.5〜4.0重量%のC、1.7〜2.8重
量%のSi、0.4〜0.9重量%のMn、0.2重量
%以下のP、0.15重量%以下のS、重量%で100
〜400ppmのNを含有し、残部がFe及び不可避不
純物からなるため、片状黒鉛鋳鉄の被削性の向上が図ら
れる。すなわち、本発明の片状黒鉛鋳鉄を切削加工等す
る際において、切削工具等の刃(刃部)の摩耗量が抑制
されると共に、片状黒鉛鋳鉄が良好な状態で切削加工等
され得ることとなる。また、片状黒鉛鋳鉄の被削性を向
上させる成分として、微量のNが用いられているだけな
ので、片状黒鉛鋳鉄の製造コストの増大が極力抑えられ
る。
【0014】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の被削性に優れた片状黒鉛鋳鉄において、共晶セル数が
250〜700個/平方センチメートルであることをそ
の要旨としている。ここで、共晶セル数とは、片状黒鉛
鋳鉄の単位面積(1平方センチメートル)当たりの共晶
セル(共晶組織を持つ結晶粒のような集団)の個数をい
う。本発明の被削性に優れた片状黒鉛鋳鉄の共晶セル数
を250〜700個/平方センチメートルに設定したの
は、共晶セル数が250個/平方センチメートル未満の
場合、片状黒鉛鋳鉄における被削性の向上効果が得られ
ないおそれがあり、共晶セル数が700個/平方センチ
メートルを超える場合、引け性が大きくなって片状黒鉛
鋳鉄に引け不良が発生し易くなってしまうおそれがある
からである。
【0015】上記請求項2に記載の発明によれば、片状
黒鉛鋳鉄の共晶セル数が250〜700個/平方センチ
メートルに設定されているため、請求項1に記載の発明
の作用が確実に奏される。また、片状黒鉛鋳鉄の引け不
良の発生が抑制される。
【0016】請求項3に記載の発明の被削性に優れた片
状黒鉛鋳鉄の製造方法は、少なくともFe、C、Si、
Mn、P及びSを含有した溶湯に対して、接種剤を接種
する接種工程と、Nを含有した添加材を添加する添加工
程とを行うことにより、Cを2.5〜4.0重量%、S
iを1.7〜2.8重量%、Mnを0.4〜0.9重量
%、Pを0.2重量%以下、Sを0.15重量%以下、
Nを重量%で100〜400ppm、残部をFe及び不
可避不純物となるように調製し、次いで鋳造することを
その要旨としている。
【0017】上記請求項3に記載の発明は、請求項1に
記載の被削性に優れた片状黒鉛鋳鉄の製造方法に関する
ものである。この製造方法によれば、溶湯に対して接種
工程と添加工程とを行うことにより、片状黒鉛鋳鉄中の
各成分を所定量となるように調製できるため、鋳造後に
被削性に優れた片状黒鉛鋳鉄を得ることが可能となる。
また、片状黒鉛鋳鉄の被削性を向上させるために、Nを
含有した添加材を添加しているだけなので、片状黒鉛鋳
鉄の製造コストの増大が極力抑えられる。
【0018】請求項4に記載の発明は、請求項3に記載
の被削性に優れた片状黒鉛鋳鉄の製造方法において、前
記接種工程を取鍋接種により行うと共に、該取鍋接種と
同時に前記添加工程を行うことをその要旨としている。
【0019】上記請求項4に記載の発明によれば、請求
項3に記載の発明の作用に加えて、接種工程の取鍋接種
と同時に添加工程が行われるため、製造工程の簡素化及
び作業性の向上が図られる。また、接種工程が初期接種
の取鍋接種であるため、湯流れ接種や鋳型内接種等の後
期接種を行わなくても、被削性に優れた片状黒鉛鋳鉄を
得ることが可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の被削性に優れた片状黒鉛
鋳鉄は、鉄(Fe)を主成分として、2.5〜4.0重
量%の炭素(C)と、1.7〜2.8重量%のケイ素
(Si)と、0.4〜0.9重量%のマンガン(Mn)
と、0重量%よりも多く、かつ、0.2重量%以下のリ
ン(P)と、0重量%よりも多く、かつ、0.15重量
%以下の硫黄(S)と、重量%で100〜400ppm
の窒素(N)と、不可避不純物とを含有すると共に、鋳
鉄中の黒鉛形状が片状をなしている必要がある。
【0021】この片状黒鉛鋳鉄においては、その被削性
を考慮すると、共晶セル数が、250〜700個/平方
センチメートルであることが好ましい。また、共晶セル
数は、300〜700個/平方センチメートル、400
〜700個/平方センチメートル、500〜700個/
平方センチメートルであることがより好ましく、600
〜700個/平方センチメートル、610〜640個/
平方センチメートル、625〜650個/平方センチメ
ートル、630〜660個/平方センチメートル、64
0〜690個/平方センチメートル、650〜680個
/平方センチメートルであることが更に好ましい。
【0022】本発明の被削性に優れた片状黒鉛鋳鉄の製
造方法は、まず、少なくとも鉄、炭素、ケイ素、マンガ
ン、リン及び硫黄を含有した溶融金属(溶湯)に対し
て、接種剤を接種する接種工程と、窒素を含有した添加
材を添加する添加工程とを行う。そして、接種工程と添
加工程との両工程により、溶融金属中における鉄、炭
素、ケイ素、マンガン、リン、硫黄、窒素及び不可避不
純物を前述した所定量となるように調製し、次いで鋳造
して片状黒鉛鋳鉄を製造する。
【0023】接種剤としては、例えば、Fe−Si−A
l−Ca−Ba合金、Fe−Si−Al合金、Fe−S
i−Al−Ca合金、C−Fe−Si−Ca合金、Fe
−Si−Sr合金、Fe−Si−Mn合金等が挙げられ
る。窒素を含有した添加材としては、例えば、Fe−M
n−C−Si−N合金、Mn−N合金、Nを含有した加
炭剤、カルシウムシアナミド(石灰窒素)、フェリシア
ン化カリウム(赤血塩)、フェロシアン化カリウム(黄
血塩)等が挙げられる。
【0024】溶融金属に対して接種工程と添加工程とを
行う場合、接種工程を取鍋接種により行うと共に、該取
鍋接種と同時に添加工程を行うようにしてもよい。ま
た、接種工程と添加工程とを同時に行わなくてもよく、
溶融金属に対する接種剤及び添加材の添加はいつでもよ
い。但し、フェーディングを考慮する必要がある場合に
は、後述する後期接種を行うことが好ましい。
【0025】取鍋接種とは、取鍋の底に接種剤を置いた
状態で該取鍋内へ溶湯を注入することによって接種した
り、取鍋内への溶湯の注入時と同時に該溶湯の流れの中
に接種剤を供給して接種したり等する方法であり、初期
接種に相当する接種方法である。取鍋接種以外の接種方
法としては、湯流れ接種、鋳型内接種等の後期接種が挙
げられ、該後期接種を本発明の被削性に優れた片状黒鉛
鋳鉄の製造方法に採用することもできる。
【0026】
【実施例】以下、本発明を更に具体化した実施例、及
び、比較例について説明する。
【0027】(実施例)まず、実施例では、片状黒鉛鋳
鉄用溶融金属(溶湯)として、鉄を主成分とし、炭素
3.3〜3.4重量%、ケイ素1.9〜2.1重量%、
マンガン0.25〜0.35重量%、リン0.02〜
0.04重量%、硫黄0.09〜0.11重量%を含有
したものを用意した。なお、この溶融金属の出湯温度
は、1420〜1520℃とした。
【0028】そして、この溶融金属に対し、接種剤とし
てのFe−75%Si−1.7%Al−0.5%Ca−
0.7%Ba合金(%は重量%を表す)と、添加材とし
てのFe−71%Mn−1.8%C−1%Si−5%N
合金(%は重量%を表す)とを、取鍋接種(例えば、取
鍋の底に接種剤及び添加材を置いた状態で該取鍋内へ溶
融金属を注入することによる接種、いわゆる置き注ぎに
よる接種)により添加して、表1に示す成分組成となる
ように調製した。すなわち、鉄を主成分とし、炭素3.
40重量%、ケイ素2.16重量%、マンガン0.63
8重量%、リン0.044重量%、硫黄0.089重量
%、重量比で窒素が101ppmとなるように調製し
た。この場合、接種剤の接種工程と添加材の添加工程と
は、同時に行われたこととなる。
【0029】次に、上記のように調製された溶融金属を
取鍋から砂型内へ注湯して鋳造することにより、外径1
50mm、内径120mm、長さ300mmの円筒状の
テストピース(片状黒鉛鋳鉄)を得た。そして、得られ
たテストピースの共晶セル数を調査した。その結果を表
1に示す。表1に示すように、実施例の共晶セル数は、
439個/平方センチメートルであることがわかった。
【0030】
【表1】
【0031】また、テストピースに対して被削試験を行
った。この被削試験においては、京セラ製のCR701
5(母材WC+CoにTiCN−アルミナ−TiNをコ
ーティングしたもの)からなる刃部を備えた切削工具を
用いて、切削速度100m/min、送り量0.3mm
/rev、切込量0.5mmとなるように設定し、テス
トピースの外周面に対する4点の切削加工距離(160
m、640m、1590m、1910m)まで切削し
た。そして、各4点における切削工具の刃部の摩耗量を
それぞれ測定した。その結果を図1に示す。
【0032】図1に示すように、被削試験の試験結果か
ら、切削加工距離160mでは刃部摩耗量が0.042
mm、切削加工距離640mでは刃部摩耗量が0.06
9mm、切削加工距離1590mでは刃部摩耗量が0.
086mm、切削加工距離1910mでは刃部磨耗量が
0.161mmであることがわかった。
【0033】(比較例)比較例では、片状黒鉛鋳鉄用溶
融金属(溶湯)として、表1に示した成分組成のものを
用意した。すなわち、鉄を主成分とし、炭素3.44重
量%、ケイ素2.10重量%、マンガン0.633重量
%、リン0.037重量%、硫黄0.097重量%、重
量比で窒素が61ppm含有したものを調製した。な
お、この溶融金属中の窒素は、不可避不純物の一部に相
当する。また、この溶融金属の出湯温度は、実施例と同
様である。
【0034】そして、この溶融金属を取鍋から砂型内へ
注湯して鋳造することにより、実施例と同形状のテスト
ピース(片状黒鉛鋳鉄)を得た。その後、得られたテス
トピースの共晶セル数を調査した。その結果を表1に示
す。表1に示すように、比較例の共晶セル数は、216
個/平方センチメートルであることがわかった。
【0035】また、テストピースに対して実施例と同様
の被削試験を行った。その結果を図1に示す。但し、比
較例の被削試験が実施例の被削試験と異なる点は、4点
の切削加工距離に加えて、切削加工距離1110mで被
削試験を行ったことにある。図1に示すように、被削試
験の試験結果から、切削加工距離160mでは刃部摩耗
量が0.056mm、切削加工距離640mでは刃部摩
耗量が0.083mm、切削加工距離1110mでは
0.139mm、切削加工距離1590mでは刃部摩耗
量が0.181mm、切削加工距離1910mでは刃部
磨耗量が0.236mmであることがわかった。
【0036】図1から理解できるように、実施例及び比
較例のテストピースにおける被削試験の試験結果を比較
した場合、実施例の方が切削工具の刃部摩耗量が少ない
ことがわかる。このことから、本実施例の片状黒鉛鋳鉄
の被削性が向上しているということを確認できた。すな
わち、本実施例のように、片状黒鉛鋳鉄中に窒素を積極
的に添加すると共に、各成分の組成を所定量となるよう
に調製すれば、鋳造により得られる片状黒鉛鋳鉄の被削
性を向上させることができると言える。
【0037】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1〜請求項
4に記載の発明によれば、片状黒鉛鋳鉄の被削性の向上
を図ることができると共に、片状黒鉛鋳鉄の製造コスト
の増大を抑制することができる。また、請求項2に記載
の発明によれば、片状黒鉛鋳鉄における引け不良の発生
を抑制できる。更に、請求項4に記載の発明によれば、
製造工程の簡素化及び作業性の向上を図ることができ
る。加えて、請求項4に記載の発明によれば、湯流れ接
種や鋳型内接種等の後期接種を行わなくても、被削性に
優れた片状黒鉛鋳鉄を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例及び比較例の被削試験において、切削加
工距離(m)に対する刃部摩耗量(mm)の関係を示す
グラフである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2.5〜4.0重量%のC、1.7〜
    2.8重量%のSi、0.4〜0.9重量%のMn、
    0.2重量%以下のP、0.15重量%以下のS、重量
    %で100〜400ppmのNを含有し、残部がFe及
    び不可避不純物からなることを特徴とする被削性に優れ
    た片状黒鉛鋳鉄。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の被削性に優れた片状黒
    鉛鋳鉄において、共晶セル数が250〜700個/平方
    センチメートルであることを特徴とする被削性に優れた
    片状黒鉛鋳鉄。
  3. 【請求項3】 少なくともFe、C、Si、Mn、P及
    びSを含有した溶湯に対して、接種剤を接種する接種工
    程と、Nを含有した添加材を添加する添加工程とを行う
    ことにより、Cを2.5〜4.0重量%、Siを1.7
    〜2.8重量%、Mnを0.4〜0.9重量%、Pを
    0.2重量%以下、Sを0.15重量%以下、Nを重量
    %で100〜400ppm、残部をFe及び不可避不純
    物となるように調製し、次いで鋳造することを特徴とす
    る被削性に優れた片状黒鉛鋳鉄の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の被削性に優れた片状黒
    鉛鋳鉄の製造方法において、前記接種工程を取鍋接種に
    より行うと共に、該取鍋接種と同時に前記添加工程を行
    うことを特徴とする被削性に優れた片状黒鉛鋳鉄の製造
    方法。
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