JP2003082413A - 鋼の焼入れ方法及び装置 - Google Patents

鋼の焼入れ方法及び装置

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JP2003082413A JP2001277680A JP2001277680A JP2003082413A JP 2003082413 A JP2003082413 A JP 2003082413A JP 2001277680 A JP2001277680 A JP 2001277680A JP 2001277680 A JP2001277680 A JP 2001277680A JP 2003082413 A JP2003082413 A JP 2003082413A
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cooling water
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Kuniaki Kakiuchi
邦昭 垣内
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 時間焼入れ(time quenching)を用いた鋼の
焼入れ方法及び装置を提供する。浸炭焼入れ、高周波焼
入れの欠点を解消する。 【解決手段】 この発明に係る鋼の焼入れ方法は、冷却
液を鋼に噴射する噴射冷却部と、所定の操作により前記
噴射を遮断する遮蔽部とを備える噴射冷却装置を用意す
るステップと、予め設定された冷却条件に基づき、前記
冷却液の温度を設定するステップと、所定の温度に加熱
された鋼を前記噴射冷却装置にセットするステップと、
前記冷却条件に基づき前記遮蔽部を制御することによ
り、噴射冷却と空冷を交互に切り換えるステップとを備
える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、鋼材の外周部で
引張り強さや硬さの大きい特性をもつ部品を製作するた
めの鋼の焼入れ方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】曲げやねじりを受ける機械部品では、外
周部で大きな応力を生ずるが中心部の応力は極めて小さ
くなる。したがって、このような力を受ける機械部品で
は外周部のみ強度が強ければよい。
【0003】鋼材の外周部で引張り強さの大きい特性を
もつ部品を製作する方法として、浸炭焼入れ、高周波焼
入れなどが行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、浸炭焼入れで
は処理時間が長くかかり、高周波焼入れでは装置価格が
高価である。そこで、本発明では時間焼入れ(time que
nching)を用いた鋼の焼入れ方法及び装置を提供する。
【0005】鋼材でこのような特性をもつ部品を製作す
ることができれば、曲げやねじりを受ける軸を合金鋼で
はなく、機械構造用炭素鋼で作ることができ、残留応力
の有効活用ができる。また、焼入性のよい材料を用いた
小径の軸類では焼き割れを防止し、耐磨耗性の向上、疲
労寿命の向上が期待できる。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明に係る鋼の焼入
れ方法は、冷却液を鋼に噴射する噴射冷却部と、所定の
操作により前記噴射を遮断する遮蔽部とを備える噴射冷
却装置を用意するステップと、予め設定された冷却条件
に基づき、前記冷却液の温度を設定するステップと、所
定の温度に加熱された鋼を前記噴射冷却装置にセットす
るステップと、前記冷却条件に基づき前記遮蔽部を制御
することにより、噴射冷却と空冷を交互に切り換えるス
テップとを備えるものである。
【0007】好ましくは、さらに、実験で求めた前記鋼
の冷却曲線をシミュレーションによる冷却曲線と比較す
ることにより、温度拡散率及び冷却能を求めるステップ
と、前記温度拡散率及び前記冷却能のもとで、複数の冷
却条件に基づくシミュレーションによる冷却曲線を連続
冷却変態曲線(continuous cooling transformation:
CCT曲線)と比較することにより、前記冷却条件を求
めるステップとを備える。
【0008】この発明に係る鋼の焼入れ装置は、鋼に水
を噴射してこれを冷却する水噴射冷却装置と、水の噴射
による冷却と空冷の切り換えを制御する冷却制御部と、
冷却水の温度を調整するための加熱手段と、前記冷却水
を貯蔵する冷却水タンクと、前記冷却水を前記冷却水タ
ンクからくみ出して前記水噴射冷却装置に送るためのポ
ンプと、冷却水を一定圧力で噴射するための圧力タンク
とを備える鋼の焼入れ装置であって、前記水噴射冷却装
置は、所定の間隔で放射状に設けられ、前記冷却水をそ
の中心に向けて噴出する複数の冷却水噴出ノズルと、前
記中心に設けられ、鋼をその内部に収納する回転自在の
収納筒と、前記収納筒の外側にその外周が設けられ、そ
の一部に切り欠きが設けられ、この切り欠きを通して前
記冷却水が前記鋼に噴射されるとともに前記切り欠き部
を前記冷却水噴射ノズルと異なる方向に向けることによ
り鋼に対する前記冷却水の噴射を遮断する、前記収納筒
と同軸で回転自在の円筒と、前記収納筒を回転させる第
1駆動部と、前記円筒を回転させる第2駆動部とを備
え、前記冷却制御部は前記第2駆動部を制御して、前記
切り欠き部を前記冷却水噴出ノズルに向ける第1位置、
前記切り欠き部を前記冷却水噴出ノズルと異なる方向に
向ける第2位置のいずれかに前記円筒の位置を設定する
ものである。
【0009】
【発明の実施の形態】この発明の実施の形態について図
面を参照して説明を加える。
【0010】図1はこの焼入れ装置の全体構成を示す図
である。100は鋼に水を噴射してこれを冷却する水噴
射冷却装置、101は噴射による冷却と空冷とを0.1
秒単位で制御するためのコンピュータ(冷却制御部)、
102は冷却水Wの温度を調整するための加熱手段(ガ
スコンロ)、103は冷却水Wを貯蔵する冷却水タン
ク、104は冷却水Wを冷却水タンク103からくみ出
して水噴射冷却装置100に送るためのポンプ、105
は各噴射口へ冷却水を分配するための圧力タンクであ
る。タンク105から水噴射冷却装置100へ多数のチ
ューブが接続され、これらの中を一定圧力又は一定速度
の冷却水Wが通る。
【0011】図2(a)は水噴射冷却装置100の上面
図、図2(b)は同装置の側面図(断面図)を示す。1
は装置の底板である。2は装置の底板1、上板3及び下
板6を保持することにより装置全体を支える4つの支柱
である。3は装置の上板である。4は上板3に回転自在
に取りつけられた円筒である。円筒4はその一部が切り
かかれていて、この切り欠きの部分を通して冷却水が試
料に噴射される。他方、円筒4を回転させて前記切り欠
き部を冷却水噴射ノズル12とは異なる方向に向けるこ
とにより、試料に対する冷却水の噴射を遮断することが
できる。
【0012】5は円筒4の上端に取りつけられたプーリ
ーである。6は装置の下板である。7は下板6に取りつ
けられ、試料収納筒10の下端を受ける円筒軸受けであ
る。8は試料収納部10を下端に設けられた試料収納筒
受けである。9は円筒4で試料収納筒10を保持するた
めに両者を結ぶ試料収納筒保持部である。保持部9は単
なるスペーサであり円筒4と試料収納筒10のいずれに
も固定されていないので、円筒4と試料収納筒10は同
じ軸を中心に互いに回転可能である。
【0013】10は試料をその内部に収納する試料収納
筒である。試料収納筒10は円柱状の試料の大きさに併
せて作られている。試料の出し入れは試料収納筒10の
上部から行うことができる。11は円筒軸受け7と試料
収納筒受けの間に設けられたベアリングである。12は
冷却水Wを試料収納筒10に対して噴出する冷却水噴出
ノズルである。冷却水噴出ノズル12は60度間隔で放
射状に設けられ、それぞれの位置の冷却水噴出ノズル1
2の数は各7本である。図2の水噴射冷却装置100は
合計で42本の冷却水噴出ノズル12をもつ。6方向に
多数の冷却水噴出ノズル12をもち、さらに試料収納筒
10が回転自在であるため、試料表面を均一に冷却する
ことが可能である。
【0014】13は円筒4を回転させるためのリバーシ
ブルモータである。14は試料収納筒10を回転させる
ためのベルト(オーリング)である。15はモータ16
の軸に取りつけられたプーリーである。16は試料収納
筒10を回転させるためのシンクロナスモータである。
17はプーリー5と18を結びモータ13の回転力を円
筒4に伝達してこれを回転させるコネクティングロッド
である。18はプーリー、19はモータ13の正逆転を
切り換えるリレーである。
【0015】モータ13で円筒4を回転させることによ
り、試料に対する冷却手法を冷却水Wによる噴射冷却と
円筒4の内部の空気の対流による空冷とを切り換えるこ
とができる。円筒4を30度回転させるだけで冷却手法
を切り換えることができるので、本装置において噴射冷
却と空冷を迅速に切り換えることができる。
【0016】本装置に求められる条件は以下の4つであ
る。 (1)水の噴射冷却、空冷が0.1秒単位で制御が行え
ること (2)試験片に水が均一にあたること (3)水温の管理、調節が行えること (4)試験片の取り付け、取り出しが容易であること
【0017】図1、図2の装置は、以下に述べるように
これらの条件を満足する。
【0018】(1)については、試験片の周りを6方向
に穴のあいた円筒4で囲み、噴射液はその穴を通って試
験片にあたる。そして適当な時間がたつとコンピュータ
で制御されているリバーシブルモータ13が回転すると
プーリー18が回転し、そのプーリー18に取りつけら
れているコネクティングロッド17を介してその円筒を
回転させて噴射液の試験片への当りを遮断する。このと
き、リレー19によってリバーシブルモータ13の電流
を逆転させている。そして、さらに適当な時間がたつと
前回とは逆にリバーシブルモータ13が回転し、再び噴
射液が円筒4の穴を通って試験片にあたる。これを繰り
返すことにより、水の噴射冷却、空冷を交互に行うこと
ができる。
【0019】(2)については、水6の噴射方向を6方
向の放射状としている。また、シンクロナスモータ16
がプーリー15を回転させることにより、オーリング1
4を介してベアリングが取りつけられている試験片の乗
る部分を回転させることにより、試験片自体を回転させ
水が均一に当るようにできる。噴射口は試験片に対して
垂直に10mm間隔で7つ配置されている。1つの噴射
口の内径は7mmで流量は0.0706(l/s)、よ
って流速は1.83(m/s)である。全部で噴射口は
42箇所あるので、全体の噴出量は約182(l/mi
n)である。
【0020】(3)については、装置の下にガスコンロ
102を置き、水温の調節をし、水温計も取り付け水温
の管理をする。
【0021】(4)については、試料収納筒9の上から
試料を内部に収納することができる。具体的には、炉か
ら装置への取り付けは試験片をペンチではさんで行い、
取り出す際には強力磁石を用いる。
【0022】次のこの発明の実施の形態に係る装置によ
る焼入れ方法について、図3のフローチャートを参照し
て説明する。
【0023】鋼材を焼入れした場合、臨界冷却速度より
も早く冷却されると焼入れ組織(martensite)が得ら
れ、それよりも遅い場合、未硬化組織(troostite及びs
orbite)が得られる。本発明の実施の形態では、焼入れ
の際の冷却を制御して外周部では焼入れ硬化組織、中心
部では未硬化組織を得ることを目的としている。機械的
性質を考えると外周部では250℃以下の温度で焼戻さ
れることが望ましい。そのために、噴射冷却と空冷が
0.1秒単位で制御できるようにコンピュータ101を
用い、6方向のノズル12から噴射される冷却液を瞬時
に遮断できるようにする。
【0024】試料収納部10に収納する試験片として、
例えば表1に示す化学成分のS45Cを用い、試験片は
直径20mm長さ150mmの円柱とする。
【0025】
【表1】 時間焼入れによって表面だけ硬化する焼入れ組織を得る
ためには冷却の制御が必要であり、そのためには試験片
の温度変化と温度分布を知っておく必要がある。このた
めに直径20mmの試験片の中心部に熱電対を挿入し、
冷却の際の温度変化を測定するとともに、数値計算によ
って冷却曲線と温度分布を推定する。実測値と計算値を
比較することにより、冷却条件を決定するためのパラメ
ータが得られる。
【0026】均一に加熱された半径Rの円柱を外周部よ
り冷却した場合において、円筒の半径rにおける温度θ
は、ニュートンの冷却の法則とフーリエの伝熱方程式よ
り、位置rと時間tの関数として求められる。
【0027】
【数1】 また、円筒表面については次式を満足しなければならな
い。
【0028】
【数2】 また、上式において半径Rをn分割した微小間隔をb、
微小時間をSとすると次のように書き換えることができ
る。流体について温度変化はないものとする。
【0029】・試験片表面
【数3】
【0030】・試験片内部
【数4】
【0031】・試験片中心については軸対象だから
【数5】 これら(7)(8)(9)式を用いてSとbに十分小さ
な値を代入して順次計算を行えば、円筒の温度変化を計
算することができる。
【0032】S1:温度拡散率Aと冷却能Hの推定 図4は実験により求めた冷却曲線(実線)と計算結果
(○)を示したものである。計算において温度拡散率A
を0.078(cm/s)、今回製作した装置の冷
却能Hを17(cm−1)、分割数を20とすると、7
00℃から400℃までの冷却速度が実験結果とよく一
致することが確かめられる。
【0033】S2:冷却条件の決定 温度拡散率Aを0.078(cm/s)、冷却能力
Hを17(cm−1)として、図5のCCT曲線と様々
な冷却条件のもとでの計算結果(例えば図6)を見比べ
て、以下のように試験片φ20の冷却条件を定める(S
3)。なお、図6において、最も下のプロットが表面温
度であり、最も上のプロットが中心温度である。また、
同一時間での各プロットは、半径を20分割したそれぞ
れの位置温度を表す。各点の間隔は0.5mmである。
図6は、表面温度がt=2秒で80℃に達すると空冷
(冷却能0.058)となり、その状態で表面温度がt
=2.5秒で250℃に達すると再び噴射冷却(液冷:
冷却能17)となる。また、t=2.8秒〜3.8秒に
おいて再び空冷となる。
【0034】S3:設定された冷却条件 冷却条件(1):φ20の試験片を冷却液温度60℃で
2秒間噴射冷却後、0.5秒間隔の空冷と噴射冷却を1
5秒間繰り返す。
【0035】冷却条件(1)では、試験片の外周部のみ
Ms点に達し、焼入れ硬化するが、中心部は変態開始曲
線にあたり軟化する。また、外周部は中心部の熱によっ
て焼戻されるが、噴射冷却、空冷を繰り返すことにより
外周部の焼戻される温度を250℃以下にする。ステッ
プS2において、このような観点から冷却条件を決定す
る。
【0036】冷却条件を設定するにあたって配慮すべき
点はつぎのようなものである。 ・冷却液温度が高い(例えば80℃)と焼きが入らない
ため、冷却液温度は所定値以下であることが望ましい。 ・最初噴射冷却とし(例えば2秒)、その後ずっと空冷
のままとすると、焼きが入った後に焼戻しされることが
ある。したがって、焼き戻されないように空冷と噴射冷
却を交互に繰り返すことが望ましい。 ・表面が焼き戻されないように噴射冷却と空冷を繰り返
して表面温度を所定温度(例えば250℃)以下にする
場合において、最初の噴射冷却が所定時間(例えば2.
5秒)だと中心部近くまで焼きが入る。したがって、表
面のみに焼きを入れる場合、最初の噴射冷却を所定時間
より短く(例えば2秒)するとよい。 ・表面が焼き戻されないように、噴射冷却と空冷の間隔
は所定時間以下(例えば0.5秒)が望ましい。
【0037】S4:冷却液温度の設定 冷却液温度を60℃に設定する。
【0038】S5:試料を装置にセット φ20の試験片を焼入れ温度850℃に加熱後、装置に
セットする。
【0039】S6:冷却条件に基づき噴射冷却と空冷を
繰り返す。 冷却液温度60℃の水で2秒間噴射冷却後、0.5秒間
隔の空冷と噴射冷却を15秒間繰り返す(冷却条件
(1))。具体的には次の通りである。 0秒〜2秒:噴射冷却 2秒〜2.5秒:空冷 2.5秒〜3秒:噴射冷却 3秒〜3.5秒:空冷 3.5秒〜4秒:噴射冷却 ・・・ 14.5秒〜15秒:噴射冷却
【0040】図7は、本発明の実施の形態に係る装置/
方法により焼入れ処理された試料の硬さ分布曲線であ
る。この図によれば中心部で303HV、外周部で76
0HVとなり、ほぼ同心円状に外周部が硬化し、中心部
が柔らかい組織を得ることができる。
【0041】以上のように、直径20mmの試験片につ
いて噴射冷却を制御することによって、高周波焼入れと
同様な外周部で焼入れ硬化組織、中心部で未硬化組織が
得られた。
【0042】なお、均一な焼入れ処理を行うためには、
試料を均一に冷却する必要がある。例えば、6方向から
のびる冷却ノズルを互いに異なる高さに変化をつけるこ
とにより、試料の表面にノズルからの冷却液が直接当る
ようにすることが望ましい。また、水面の高さが低いと
噴射される冷却液の勢いが弱くなり、冷却速度に影響が
出てしまうので、水面を高くしておく(あるいはポンプ
による加圧を大きくする)ことが望ましい。
【0043】本発明は、以上の実施の形態に限定される
ことなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内
で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内
に包含されるものであることは言うまでもない。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、所定の冷却条件に基づ
き噴射冷却と空冷を繰り返すことにより、高周波焼入れ
と同様に、外周部は焼入れ硬化組織であり、中心部が未
硬化組織である鋼材を得ることができる。従来、この種
の鋼材は浸炭焼入れ、高周波焼入れなどにより得られた
が、それぞれ処理時間が長くかかる、装置価格が高価で
あるという問題があった。本発明にはこのような問題は
なく、安価な装置を用いつつ短い処理時間で、外周部は
焼入れ硬化組織であり中心部が未硬化組織である鋼材を
得ることができるのである。
【0045】鋼材でこのような特性をもつ部品を製作す
ることができれば、曲げやねじりを受ける軸を合金鋼で
はなく機械構造用炭素鋼で作ることができ、残留応力の
有効利用ができる。また、焼入れ性のよい材料を用いた
小径の軸類では焼き割れを防止し、耐磨耗性の向上、疲
労寿命の向上が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態に係る焼入れ装置の全
体構成図である。
【図2】 この発明の実施の形態に係る水噴射冷却装置
である。
【図3】 この発明の実施の形態に係る焼入れ方法のフ
ローチャートである。
【図4】 冷却曲線の実測値(実線)と計算結果(○)
を示したものである。
【図5】 CCT曲線である。曲線上の数字は組織成分
%(RAは残留オーステナイト、Zwはベイナイト)、
○内の数字は硬度RcおよびHs。
【図6】 噴射冷却と空冷を交互に繰り返した場合の冷
却曲線の計算結果である(S45Cφ20 2秒冷却曲
線(冷却条件(1))。
【図7】 本発明の実施の形態に係る装置/方法により
焼入れ処理された試料の硬さ分布曲線である。
【符号の説明】
1 底板 2 支柱 3 上板 4 円筒 5 プーリー 6 下板 7 円筒軸受け 8 試料収納筒受け 9 試料収納筒保持部 10 試料収納部 11 ベアリング 12 冷却水噴出ノズル 13 リバーシブルモータ 14 オーリング 15 プーリー 16 シンクロナスモータ 17 コネクティングロッド 18 プーリー 19 リレー 100 水噴射冷却装置 101 コンピュータ(冷却制御部) 102 加熱手段(ガスコンロ) 103 冷却水タンク 104 ポンプ 105 圧力タンク

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 冷却液を鋼に噴射する噴射冷却部と、所
    定の操作により前記噴射を遮断する遮蔽部とを備える噴
    射冷却装置を用意するステップと、 予め設定された冷却条件に基づき、前記冷却液の温度を
    設定するステップと、 所定の温度に加熱された鋼を前記噴射冷却装置にセット
    するステップと、 前記冷却条件に基づき前記遮蔽部を制御することによ
    り、噴射冷却と空冷を交互に切り換えるステップとを備
    える鋼の焼入れ方法。
  2. 【請求項2】 実験で求めた前記鋼の冷却曲線をシミュ
    レーションによる冷却曲線と比較することにより、温度
    拡散率及び冷却能を求めるステップと、 前記温度拡散率及び前記冷却能のもとで、複数の冷却条
    件に基づくシミュレーションによる冷却曲線を連続冷却
    変態曲線(continuous cooling transformation:CC
    T曲線)と比較することにより、前記冷却条件を求める
    ステップとを備えることを特徴とする請求項1記載の鋼
    の焼入れ方法。
  3. 【請求項3】 鋼に水を噴射してこれを冷却する水噴射
    冷却装置と、水の噴射による冷却と空冷の切り換えを制
    御する冷却制御部と、冷却水の温度を調整するための加
    熱手段と、前記冷却水を貯蔵する冷却水タンクと、前記
    冷却水を前記冷却水タンクからくみ出して前記水噴射冷
    却装置に送るためのポンプと、冷却水を一定圧力で噴射
    するための圧力タンクとを備える鋼の焼入れ装置であっ
    て、 前記水噴射冷却装置は、 所定の間隔で放射状に設けられ、前記冷却水をその中心
    に向けて噴出する複数の冷却水噴出ノズルと、 前記中心に設けられ、鋼をその内部に収納する回転自在
    の収納筒と、 前記収納筒の外側にその外周が設けられ、その一部に切
    り欠きが設けられ、この切り欠きを通して前記冷却水が
    前記鋼に噴射されるとともに前記切り欠き部を前記冷却
    水噴射ノズルと異なる方向に向けることにより鋼に対す
    る前記冷却水の噴射を遮断する、前記収納筒と同軸で回
    転自在の円筒と、 前記収納筒を回転させる第1駆動部と、 前記円筒を回転させる第2駆動部とを備え、 前記冷却制御部は前記第2駆動部を制御して、前記切り
    欠き部を前記冷却水噴出ノズルに向ける第1位置、前記
    切り欠き部を前記冷却水噴出ノズルと異なる方向に向け
    る第2位置のいずれかに前記円筒の位置を設定すること
    を特徴とする鋼の焼入れ装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011006771A (ja) * 2008-07-11 2011-01-13 Sanyo Special Steel Co Ltd 棒鋼移動焼入れ時の焼割れ防止冷却方法
JP2012007202A (ja) * 2010-06-23 2012-01-12 Neturen Co Ltd ワークの冷却方法及びワークの熱処理装置

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