JP2003081599A - パワーアシスト装置 - Google Patents

パワーアシスト装置

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JP2003081599A
JP2003081599A JP2001279966A JP2001279966A JP2003081599A JP 2003081599 A JP2003081599 A JP 2003081599A JP 2001279966 A JP2001279966 A JP 2001279966A JP 2001279966 A JP2001279966 A JP 2001279966A JP 2003081599 A JP2003081599 A JP 2003081599A
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JP2001279966A
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Hisashi Nakamura
久 中村
Hiroyuki Suzuki
博之 鈴木
Tomohiro Honda
朋寛 本田
Yuko Matsuda
祐子 松田
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Toyoda Koki KK
Original Assignee
Toyoda Koki KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 各作業環境、作業内容、或いは装置の各操作
形態等に適合させ易く、操作性、使用効率、安全性等の
高いパワーアシスト装置を実現する。 【解決手段】 横軸Sは所定の運搬経路上での出発点
(S=S1 )からの距離を表しており、S=S2 成る点
が到着点である。ポテンシャルφ,抵抗係数ρ,アシス
ト比αの下付きの添字R0は経路上の値を示している。
各関数値は予定されている所定の運搬形態に応じた各領
域区分(加速領域Z1 ,略等速領域Z2 ,減速領域
3 ,位置付け調整領域Z4 )毎に設定されている。例
えば、グラフ(a)の到着点にφR0の極小点が設定して
あるのは、この到着点に容易に物体を置く(位置付け
る)ためである。例えばこの様に、各変数φ,ρ,αの
各作業領域における設定は、予め予定されている各作業
内容の各特性に応じて好適化することができ、これによ
り、案内手段等を容易かつ効果的に構成することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、移動又は姿勢変更
すべき操作対象の物体を操作する操作者の例えば操作力
H等に代表される操作意思を検出又は推定する操作意思
検出/推定手段を有し、その操作意思に基づいて決定・
出力されるアシスト力Aによりその操作力Hを補助する
パワーアシスト装置に関する。
【0002】
【従来の技術】上記の技術分野に属する従来技術として
は、例えば、公開特許公報「特開平7−61800:補
助装置により空中に支持された荷重を移動させるための
操作方法及びそのための操作部」に記載されているもの
等が一般に知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一般に、これらの補助
装置(パワーアシスト装置)を利用する際の作業形態
(装置の操作形態)としては、例えば以下の様なものが
考えられる。 (1)操作対象の物体の運搬 (a)略等速度の運搬操作 (b)加速操作 (c)減速操作 (d)運搬速度の調整操作 (e)運搬方向の転換操作 (f)運搬方向の調整操作 (g)停止操作 (h)緊急回避操作 (i)緊急停止操作
【0004】(2)操作対象の物体の姿勢変更 (a)所望の軸回りの回転/回動運動 (b)組み付けや位置合せ等の際の微調整操作 ただし、これら(1),(2) の各種の諸操作の中には、複数
の操作を互いに適当に組み合わせて同時に実行可能なも
のも勿論含まれている。
【0005】これらの各種の諸操作については、例えば
物体の運搬経路や組み付け作業場所等の動作の内容や形
態などが、予めある程度具体的に計画又は予見されてい
る場合が有る。しかしながら、前記の従来技術等におい
ては、上記の個々の作業形態(装置の操作形態)に対す
る特段の配慮や特段の処置が何らなされておらず、この
ため、従来は例えば以下の様な問題が生じる場合が有っ
た。
【0006】(問題1)予め物体の運搬方向が決まって
いる場合でも、物体の運搬中に物体(運搬物)がその運
搬方向と略垂直な方向に振動したりふらついたりするこ
とがある。また、運搬方向等の操作方向を誤った場合に
も、正しい場合と同様に、その操作力の方向にアシスト
されてしまうため、誤操作の修正が難しくなる場合が有
る。 (問題2)組み付けや位置合せ等の際の微調整作業中
に、操作力が必要以上に増幅されてしまい、調整作業が
困難となることがある。 (問題3)作業範囲内や作業範囲近傍に障害物が有る場
合、障害物を避けながら運搬作業等を実施しなければな
らない場合が有るが、作業に慣れていない者がその運搬
作業等を実施する時等には、障害物と運搬物との衝突が
生じ易かったり、或いは、その様な衝突を確実に回避す
るために運搬操作に掛かる時間が必要以上に長くなった
りすることがある。
【0007】(問題4)運搬物の運動量が大きく成り過
ぎてしまった場合に、停止操作が遅れたり、或いは停止
操作の力が弱かったりすると、その運搬物と他の物体
(障害物等)とが衝突してしまうことがある。 (問題5)作業に慣れていない者が運搬作業等の操作を
実施する際等には、効率的な運搬経路や操作形態を自ら
見出すのに、長い時間が掛かることがある。特に、上記
の(問題1)、(問題2)等は、既存の補助装置(パワ
ーアシスト装置)の操作にある程度慣れた者や熟練者に
よっても、従来から指摘されている問題である。
【0008】本発明は、上記の課題を解決するために成
されたものであり、その目的は、障害物の位置等の各作
業場所の作業環境や、或いは作業者の作業内容に関係す
るパワーアシスト装置の操作形態等に適合した、より操
作性の高いパワーアシスト装置を実現することである。
また、本発明の更なる目的は、機能設計、方式設計、製
造、機能拡張、保守等の比較的容易な、より実現性の高
いパワーアシスト装置の実現方式を提案することであ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段、並びに、作用及び発明の
効果】上記の課題を解決するためには、以下の手段が有
効である。即ち、第1の手段は、移動又は姿勢変更すべ
き操作対象の物体を操作する操作者の例えば操作力H等
に代表される操作意思を検出又は推定する操作意思検出
/推定手段を有し、その操作意思に基づいて決定・出力
されるアシスト力Aにより操作力Hを補助するパワーア
シスト装置において、更に、物体が位置する領域区分、
物体の位置r、所定のスカラー場、又は所定のベクトル
場に基づいて、アシスト力Aを決定するアシスト力演算
手段を設けることである。ただし、本明細書の表記にお
いて、上記の各記号H,A,rはそれぞれベクトルを表
すものとする。
【0010】また、上記の操作意思を検出或いは推定す
る手段としては、力覚センサ等が考えられるが、本発明
の操作意思検出/推定手段は、公知の力覚センサに限定
されるものではなく、人の各部の動きや姿勢、位置等か
ら、パワーアシスト装置に対する人の操作意思を検知で
きる手段であれば何でも良い。この様な手段としては、
例えば公知の音声認識手段等も勿論含まれる。
【0011】上記の本発明の第1の手段によれば、操作
力H等に基づいて決定されるアシスト力Aに対して、物
体の位置や或いはその領域区分に応じて、適度の補正を
加えることが可能となる。このため、各位置又は作業領
域毎に予め予見又は計画されている作業の特性に応じ
て、アシスト力Aを随時補正又は最適化することが可能
となる。
【0012】図1は、本発明を6軸の機械系(アシスト
装置)に適用した1適用例を例示する模式的な斜視図で
ある。原点Oを通る図中の回転軸は、鉛直方向(z軸方
向)に対して傾いている。即ち、3次元直交座標系
(ξ,η,ζ)は、3次元直交座標系(x,y,z)を
原点Oを不動点として任意に傾けた座標系である。上記
の様な手段としては、例えば、仮想的に定義されたポテ
ンシャルφの勾配∇φに比例する力「f=−m∇φ」を
運搬物(質量m)に対して常時作用させる方式等が考え
られる。例えばこの様な手段により、任意に設定された
回転軸の回りを運搬物が回転運動又は回動運動し易い様
に、操作者の操作を支援、禁止、或いは案内(拘束)す
ることができる。
【0013】図2は、上記の図1の適用例におけるポテ
ンシャルφの設定要領を例示するグラフである。ここ
で、図2(a)は、上記の座標系(ξ,η,ζ)におい
てξη平面(ζ=0)上におけるポテンシャルφの分布
を示すグラフである。また、図2(b)は、φに極小値
−φ1 を与える点(ζ=0,r=R)を中心としたζ軸
方向のポテンシャルφの分布を示すグラフである。
【0014】ただし、ここで∇φは(∂φ/∂x,∂φ
/∂y,∂φ/∂z)なるベクトルであり、この勾配∇
φは各点毎に求めることができる。即ち、∇はスカラー
ポテンシャル(例:φ(r))の勾配を導出する周知の
微分演算子(ナブラ)である。また、∂/∂xは変数x
による偏微分を表す周知の演算子であるが、本発明を適
用するに当っては、偏微分演算子∂/∂xは必ずしも数
学的に厳密な意味を持つもので無くとも良く、通常、周
知の数値解析や工学等の分野で代替的に実施されている
差分演算等を行う演算子と解釈しても何ら差し支えな
い。この事情は、偏微分演算子∂/∂y,∂/∂zにつ
いても同様である。
【0015】例えば、上記の様にポテンシャルφの分布
を固定しておくことにより、「ζ=0,ξ2 +η2 =R
2 」を満たす円軌道に沿って運搬物を運動させることが
容易となる。図1、図2はあくまでも、本発明の1適用
例を例示するものに過ぎないが、例えばこの様なポテン
シャルφの設定は、所定の回転軸の回りで運搬物を円滑
に回転或いは回動させたい場合や、或いは、上記原点O
や回転軸に限らず、任意の点或いは線の上又は近傍に障
害物や進入禁止領域が存在する様な場合等にも勿論有効
である。
【0016】一般に、仮想的なスカラー場や或いはベク
トル場を導入し、これらを適当に用いて上記の特性を表
現し、その値に基づいてアシスト力Aを決定する手法を
採用した場合には、上記のアシスト力Aを極めて統一的
な演算手法に基づいて算出することができる。したがっ
て、特にこの様な手法を採用した場合には、機能設計、
方式設計、製造、機能拡張、保守等の比較的容易な、よ
り実現性の高いパワーアシスト装置を構成することも可
能或いは容易となる。以下、本発明の各種の手段につい
て、より具体的に詳しく説明する。
【0017】即ち、本発明の第2の手段は、上記の第1
の手段において、上記のスカラー場を仮想的なポテンシ
ャルφ(r)を用いて定義することである。これによ
り、例えば、その勾配∇φ(r)を用いれば、渦無しの
ベクトル場を容易に構成することができる。また、この
様なベクトル場は非常にイメージし易いため、システム
を設計、シミュレーション、製造、拡張、変更、保守す
る上で設計者や製造者にとって生産性の面で都合がよ
い。また、仮想的なポテンシャルφ(r)を用いてスカ
ラー場を定義した場合、各点毎に管理すべき値が高々1
つ(φの値)であるため、直截的にベクトル場を定義し
た場合よりも記憶しておくべきデータ量を比較的少量に
抑制することができる等の利点を得ることができる。
【0018】また、第3の手段は、上記の第1又は第2
の手段において、仮想的な抵抗係数ρ(r)を用いてス
カラー場を定義することである。ただし、この抵抗係数
ρ(r)は、物体の運動(速度ベクトルv、又は運動量
ベクトルp)に逆らう向きの仮想的な力を生成したり、
或いは機械系に実際に生じる摩擦等の、物体の運動に逆
らう向きの力を打ち消したりする際に用いるものであ
る。
【0019】したがって、抵抗係数ρの値の正負、若し
くは抵抗係数ρに付ける符号(+/−)は任意である。
例えば、適当な関数fを使って「アシスト力A=f(操
作力H)−Dv」等としても良い。ただし、ここで、D
は上記の抵抗係数ρに相当する粘性係数、vは物体の速
度である。この様なスカラー場を定義することにより、
物体が運動する方向や向きが予め分かっていない場合に
おいても、物体の運動を抑制したり、機械系に生じる摩
擦力を緩和したりする力を容易に生成することが可能と
なる。
【0020】また、第4の手段は、上記の第1乃至第3
の何れか1つの手段において、仮想的な外力b(r)、
又は、仮想的なポテンシャルの勾配∇φ(r)を用いて
ベクトル場を定義することである。例えば、仮想的なベ
クトルポテンシャル等を用いて、仮想的な外力b(r)
を構成すれば、渦有り場を形成することも容易である。
即ち、仮想的に想定される外力は必ずしも仮想的なポテ
ンシャルの勾配∇φ(r)や仮想的な抵抗係数ρ(r)
を用いて表現されていなくとも良い。
【0021】例えば、次式(1)〜(4)で表される形
に操作対象の物体の運動方程式を書くことができる。
【数1】 ma=F=H+A−mρ0 v−mg1 …(1)
【数2】 A=αGH+b(r) …(2)
【数3】 b(r)=−m∇φ(r)−mρ(r)v …(3)
【数4】 g1 =g(1−c1 ) …(4) ただし、ここで、b(r)は物体の位置ベクトルrに依
存する仮想的な外力(ベクトル)であり、aは操作対象
の物体に生じる加速度ベクトル、Fは物体に働く全力
(ベクトル)、−gは鉛直方向下向きの重力加速度ベク
トル、ρ0 はシステム内での抵抗係数の平均値である。
尚、ここでは暗に等方性を仮定して、ρ0及びρ(r)
はスカラーであるものとする。
【0022】また、Gは操作力Hに対する方向補正処理
が必要な際に有効にすべき射影行列又は回転行列で、特
段の方向補正処理が必要でない場合には、この行列Gは
3行×3列の単位行列に一致するものとする。また、α
はアシスト力Aの操作力Hに対するアシスト比(スカラ
ー)である。通常流体力学等では、式(1)右辺第3項
のρ0 の前の比例係数(m)には、物体の体積や表面積
等が充てられるが、パワーアシスト装置等の機械系の場
合には、機械系の内部の摩擦抵抗等が運動に抗する主な
抵抗となるため、式(1)右辺第3項の比例定数には物
体の質量mが充当されている。従って、後述の各実施例
においては、ρ0 、ρ(r)等の各抵抗係数の物理的な
次元は[力]/[運動量]=[時間]-1となっている。
【0023】また、上記の機械系のパラメータc1 (0
≦c1 ≦1)は、物体に対する重力(−mg)に抗して
鉛直方向上向きにモータ出力以外の機械的な反力が作用
する場合の、その機械的な反力の大きさの重力の大きさ
に対する比率を示すものであり、この比率は実際の具体
的な機械系の構成や状態に依存する。
【0024】例えば、上記に代表的な形態(形式)を例
示した様に、仮想的な外力b(r)を用いて、パワーア
シスト装置が出力すべきアシスト力Aを決定すれば、式
(2)、(3)等に従う統一的な演算手法によりアシス
ト力Aを算出できるため、アシスト力Aの補正処理が極
めて統一的、かつ、容易に構成可能となる。
【0025】また、第5の手段は、上記の第1乃至第4
の何れか1つの手段において、ポテンシャルφ(r)又
は抵抗係数ρ(r)等の所定のスカラー場、或いは、外
力b(r)又は勾配∇φ等の所定のベクトル場を動的に
変更又は再定義するフィールド可変手段を設けることで
ある。この様な手段によれば、リアルタイムに検知され
た具体的な個々の状況に応じて動的に、アシスト力Aを
より好適、或いは最適に補正することが可能又は容易と
なる。
【0026】また、第6の手段は、上記の第2乃至第5
の何れか1つの手段において、ポテンシャルφ(r)の
標準値又はデフォルト値を、重力調整パラメータγ(0
<γ≦1:定数)、鉛直方向座標z、及び重力加速度g
を用いて表すことである。例えば、次式(5)の様にポ
テンシャルφ(r)の標準値(デフォルト値)を定義し
ておくことにより、重力の影響の少ない運搬作業等を実
現することができる。ただし、ここで、c2 は任意定数
である。
【数5】 φ(r)=φ(z)=c2 −γg1 z …(5)
【0027】この場合、特にγ=1と設定しておけば、
丁度過不足無く質量mに作用する重力を打ち消すことが
でき、これにより物体に対する重力を感じない軽い操作
感を実現できる。また、0<γ<1(例:γ=0.9)と
設定することにより、操作者に物体の重量感をある程度
残しつつ、即ち、操作者に幾らかの操作実感を与えつ
つ、操作者の操作を十分に補助することができる。
【0028】また、第7の手段は、上記の第3乃至第6
の何れか1つの手段において、抵抗係数ρ(r)とし
て、或いは抵抗係数ρ(r)の代りに、各対角成分が各
座標方向の仮想的な抵抗係数を表す、3行×3列の対角
行列Ρ(r)を用いることである。例えば、前記の式
(1)、(3)のρ0 、ρ(r)等の各抵抗係数の代わ
りに、適当な対角行列を用いることができる。これによ
り、実際の物理的な抵抗係数ρ0 が等方性を示さない場
合等にも、前記の式(1)、(3)等の運動方程式をよ
り適切に記述することができる。
【0029】また、第8の手段は、上記の第7の手段に
おいて、対角行列Ρ(r)の各対角成分の標準値又はデ
フォルト値を、抵抗調整パラメータσ(0<σ≦1:定
数)、及び各座標方向kの物理的な実際の抵抗係数の平
均値ρ0kを用いて表すことである。例えば、パワーアシ
スト装置の機械系の物理的な抵抗係数が、x軸、y軸、
z軸の各方向には依存するものの、物体が実際にとる個
々の位置rには余り依存しないか、或いは殆ど依存しな
い場合、対角行列Ρの第1行第1列の成分(以下、「x
成分」と言う。)を「−σρ0x」成る値に設定しても良
い。ただし、ここで、ρ0xはx座標方向の物理的な実際
の抵抗係数の平均値である。
【0030】この場合、特にσ=1とすれば、式(1)
〜(3)から判る様に、丁度過不足無く実際のx軸方向
の抵抗力「−mρ0xx 」を打ち消すことができ、これ
により軽い操作感を実現できる。また、0<ρ0x<1
(例:ρ0x=0.8)と設定することにより、操作者に物
体の運動に抗する物理的な抵抗感をある程度残しつつ、
即ち、操作者に幾らかの操作実感を与えつつ、操作者の
操作を十分に補助することができる。また、更に、この
様な操作者に残すべき抵抗感にある程度の等方性を持た
せる等の目的で、上記のσの値を各軸毎に異なる係数と
しても良い。例えば、その様な場合には、対角行列Ρの
x成分を「−σx ρ0x」(0<σx ≦1)成る値に設定
すれば良い。その他の方向(例えば、直交座標系を用い
る場合、y軸方向とz軸方向)についても、σy ,σz
の各値を上記と同様に適当な値にそれぞれ設定すれば良
い。
【0031】また、第9の手段は、上記の第1乃至第8
の何れか1つの手段において、操作対象の物体の質量m
として、或いは、その質量mの代りに、各対角成分が各
座標方向毎の実効的な有効質量を表す、3行×3列の対
角行列Mを用いることである。即ち、3行×3列の対角
行列Mにより、機械系の一部分の質量をも含めた操作対
象の物体の各方向毎の有効質量(mx ,my ,mz )を
定義することができる。例えば、対角行列Mの第1行第
1列の成分(以下「対角行列Mのx成分」と言う。)を
x とする。他も同様とする。
【0032】一般に、操作対象の物体の運動に伴って各
軸方向に運動する機械系の一部分の質量をも含めた操作
対象全体の質量mx ,my ,mz は各軸毎に異なる。例
えば、図3〜図5に例示され、後述の第1実施例におい
て詳述されるパワーアシスト装置100の場合には、
「mx ≒my >mz 」成る関係が成り立っている。これ
は、鉛直方向(z軸方向)には鉛直方向駆動用のモータ
を移動する(運動させる)ことが無いが、水平方向には
鉛直方向駆動用のモータを目的の操作対象の物体と同時
に同方向に同じ距離だけ移動しなければならない機構を
採用しているためである。
【0033】したがって、操作対象の物体の質量mの代
わりに、上記の様な対角行列Mを用いることにより、前
記の式(1)、(3)等の運動方程式をより適切、或い
はより簡潔に記述することができる場合が有る。
【0034】また、第10の手段は、上記の第1乃至第
9の何れか1つの手段において、スカラー場、又はベク
トル場に基づいて、物体に作用する斥力、引力、又は摩
擦力等の仮想的な外力B(r)を生成し、アシスト力A
の1構成要素として外力B(r)を加算することによ
り、所定の進入禁止領域への物体の進入又は接近を防止
する排斥手段を設けることである。
【0035】例えば、上記の式(3)を用いる場合、左
辺のb(r)を上記の仮想的な外力B(r)と考え、式
(3)の右辺のφ(r)やρ(r)を上記のスカラー場
と考えれば良い。或いは、式(3)の右辺の∇φ(r)
を上記のベクトル場と考えても良い。例えばこの様に、
スカラー場、又はベクトル場を仮想的に定義し、その値
に基づいて仮想的な外力B(r)を生成することができ
る。したがって、例えば、上記の進入禁止領域のポテン
シャルφ(r)を予め高く設定しておくか、或いは進入
禁止領域周辺の抵抗係数ρ(r)を予め大きく設定して
おけば、物体が進入禁止領域に進入又は接近し難くな
る。即ち、上記の様な排斥手段は、ポテンシャルφ
(r)や、或いはスカラー場ρ(r)を予め適当に設定
しておくことにより容易に構成することができる。これ
により、危険区域への物体の接近や進入を防止すること
が容易又は可能となる。
【0036】また、第11の手段は、上記の第1乃至第
10の何れか1つの手段において、スカラー場、又はベ
クトル場に基づいて、物体に作用する引力、斥力、又は
摩擦力等の仮想的な外力B(r)を生成し、アシスト力
Aの1構成要素として外力B(r)を加算することによ
り、所定の軌道上又は運動領域内での物体の運動を促す
案内手段を設けることである。この様な案内手段は、上
記の排斥手段と略同様の方法により、容易に構成するこ
とができる。即ち、例えば、物体が位置することが望ま
しい領域又は点のポテンシャルφ(r)を比較的低くし
ておく等すれば良い。これにより、所望の軌道や運動領
域に沿って物体を運搬したり動かしたりすることが容易
又は可能となる。
【0037】また、第12の手段は、上記の第1乃至第
11の何れか1つの手段において、各作業領域において
計画又は予見される、加速動作、略等速動作、減速動
作、又は微細動作等の各作業内容の特性に応じて、抵抗
係数ρ(r)を設定する抵抗係数適合手段を設けること
である。
【0038】例えば、運搬作業をアシストする場合、上
記の仮想的に定義される抵抗係数ρ(r)は、減速動作
を行う際に比較的大きい方が望ましいものと一般的には
予想できる。したがって、この様な場合には、減速動作
が実行されると予期される範囲の抵抗係数を比較的大き
めに設定しておけば良い。この様な手段により、速度の
抑制制御を容易に実現することができる。また、この抵
抗係数ρ(r)は、仮想的に定義するものであるので、
負の値を設定しておいても良い。この様な設定によれ
ば、例えば上記の第8の手段の説明でも触れた様に、実
際に物理的に生じる抵抗力を打ち消す様な設定も可能と
なる。
【0039】また、第13の手段は、上記の第1乃至第
12の何れか1つの手段において、アシスト力Aの操作
力Hに対するアシスト比αの、絶対値又は各方向毎の成
分を、所望の値に設定又は変更するアシスト比調整手段
を設けることである。この様な調整手段は、自動的な調
整手段であっても、手動的な調整手段であっても良い。
例えば、操作ハンドル上或いは操作ハンドル付近に、こ
の様な調整を実施するための調整ツマミ等を設けても良
い。これにより、例えば、操作者は重い物体を運搬する
際には、手動操作でアシスト比αの絶対値を大きく再設
定する等の調整(最適化)を実施することができる様に
なる。また、この様な調整操作は、物体の質量mや或い
は運動量を計測する手段と組み合わせることにより、自
動化することも可能である。
【0040】また、第14の手段は、上記の第1乃至第
13の何れか1つの手段のアシスト力演算手段におい
て、物体の質量m、速度v、運動量p、又は位置rに基
づいて、アシスト力A、又は、アシスト力Aの操作力H
に対するアシスト比αを決定することである。
【0041】一般に、物体の質量mが大きな場合程、そ
の物体を加速する際には、大きな力が必要になる。ま
た、物体の運動量pが大きな場合程、物体を静止するた
めに大きな力が必要となる。これは、物体の静止摩擦力
が質量mに比例することや、或いは作業の効率が一定以
上であること(即ち、所定の作業に掛かる時間が一定時
間以内であること)が期待されること等に起因する。し
たがって、必要とされるアシスト力Aの大きさや、或い
は必要とされるアシスト比αの大きさは、物体の質量
m、速度v、運動量p、又は位置rに基づいて推定する
ことが可能であり、これらの推定により一定以上の作業
効率を確保することが可能となる。また、これらの推定
により、アシスト力Aが必要以上に、或いは操作者の予
想以上に、大きくなってしまう様な事態を回避すること
も可能となる。
【0042】また、上記の手段においては、例えば、物
体の速度vに応じて、アシスト比αを決定する手段等が
有効であると考えられる。例えば、物体の速度や速度変
動に基づいて、その物体の運動状態(例:停止状態、始
動状態、微小位置決め状態、定常作業状態、等速度作業
状態、減速状態、急停止状態、或いは急加速状態等)を
判定し、これらの各種の状態に対して最適なアシスト比
αを選択したり算出したりする様にしても良い。
【0043】また、第15の手段は、上記の第13又は
第14の手段において、各作業領域Zi において計画又
は予見される、加速動作、略等速動作、減速動作、又は
微細動作等の各作業内容の特性に応じて、アシスト比α
を位置rの関数α(r)又は前記作業領域Zi の関数α
(i)として設定するアシスト比適合手段を設けること
である。
【0044】図8(c)は、後述の本発明の第1実施例
に係わるパワーアシスト装置100の制御に導入される
アシスト比αの所定の軌道上での値αR0(S)を例示す
るグラフである。ただし、グラフの横軸Sは、所定の軌
道上での出発点(S=S1 )からの距離を示すパラメー
タである。この例では、以下の様な領域区分が設定され
ている。 Z1 : 加速領域 Z2 : 略等速領域 Z3 : 減速領域 Z4 : 位置付け調整領域(停止作業領域)
【0045】加速領域Z1 と減速領域Z3 において、ア
シスト比αR0が比較的大きく設定されているのは、前記
と同様に、比較的大きな力が必要となるものと推定され
るためである。例えばこの様な、各作業領域の特性に応
じた設定により、一定以上の作業効率を確保することが
可能となる。また、これらの設定により、アシスト力A
が必要以上に、或いは操作者の予想以上に、大きくなっ
てしまう様な事態を回避することも可能となる。
【0046】また、第16の手段は、上記の第15の手
段において、所定の作業領域内でのアシスト比α(r)
を負値又は略0にすることにより、所定の作業領域内で
の微細動作を容易にする微細運動支援手段を設けること
である。
【0047】上述の図8(c)の位置付け調整領域Z4
では、軌道上におけるアシスト比α R0の値を小さく設定
している。これは位置付け作業では余り大きな力が必要
ないためである。また、更に、高い位置付け精度が要求
される例えば組み付け作業等の場合には、アシスト比α
を略0或いは負値にした方が、より高い位置付け精度が
えられる場合が有る。例えば、前記の式(1)〜(5)
において、重力調整パラメータγを1に、更に、抵抗調
整パラメータσも1に設定する等して、運動に対する抵
抗力や重力を殆ど過不足無く打ち消す様にできたとする
と、この場合には概ね次式(6)が成り立つ。
【数6】 ma=F=H+A=H+αGH=(1+α)H …(6) ただし、ここでは、物体の速度vが十分に小さいこと
と、行列Gが単位行列であることを仮定する。この様な
条件下で、操作対象の物体の他の部品への組み付け操作
等を行う際には、物体の加速度aは比較的小さい方が都
合がよいことが多い。したがって、例えばこの様な微細
作業を実施する際には、アシスト比αを略0或いは負値
(0>α>−1)にする方法が有効となる。以下、上記
の式(6)の(1+α)成る値を運動縮小比と呼ぶ。こ
の運動縮小比を所望の値に制御することにより、位置付
け作業(微細運動)がし易くなり、精度の高い位置付け
操作が可能となる。
【0048】また、第17の手段は、上記の第14乃至
第16の何れか1つの手段のアシスト力演算手段におい
て、物体の加速時に、アシスト力A、又はアシスト力A
の操作力Hに対するアシスト比αを、物体の質量mに対
して、略比例させるか又は略単調に増加させることであ
る。この様な手段により、物体の加速時に、物体の質量
mが大きくて、加速がし辛いという困難を解消すること
ができる。また、物体の質量mが小さくて、加速し過ぎ
てしまうと言う事態を防止することができる。
【0049】また、第18の手段は、上記の第14乃至
第17の何れか1つの手段のアシスト力演算手段におい
て、物体の減速時に、アシスト力A、又はアシスト力A
の操作力Hに対するアシスト比αを、運動量pの絶対
値、速度vの絶対値、又は質量mに対して略比例させる
か又は略単調に増加させることである。この様な手段に
より、物体の減速時に、物体の運動量pが大きくて、減
速がし辛いという困難を解消することができる。
【0050】また、第19の手段は、上記の第1乃至第
18の何れか1つの手段において、物体の運動量pの絶
対値が所定値p1 以上であり、操作力Hの絶対値が所定
値H 1 以上であり、かつ、これらの内積p・Hの値が略
0又は0以下のとき、仮想的な抵抗係数ρ(r)、又は
アシスト比αの値を所定値よりも大きく設定するか、或
いは、運動量pとは反対向きの力をアシスト力Aの1構
成要素として更に新たに追加する緊急回避支援手段を備
えることである。
【0051】例えば、予期せぬ突然の進入物等に、操作
対象の物体が衝突しそうになった場合、操作者が操作中
の物体を急停止させようとしたり、操作中の物体の進行
方向を急転換させようとしたりすることがある。この様
な緊急事態は、例えば上記の様な判定条件により検出す
ることが可能である。したがって、上記の緊急回避支援
手段によれば、操作者の緊急回避操作を有効に支援する
ことが可能となる。
【0052】また、第20の手段は、上記の第1乃至第
19の何れか1つの手段において、物体の速度v又は運
動量p、或いは更に操作力Hに基づいて、物体が所定位
置近傍に略停止しつつ在るか否か、又は、操作者が物体
を所定位置近傍に略停止させようとしているか否かを判
定する収束状態判定手段を設けることである。この様な
収束状態判定手段を用いれば、操作者が所定の位置に物
体を停止させようとしているのかどうかが判定できるの
で、例えば、物体を所定の位置に停止させる際に、図8
にも例示される様な、停止位置(S=S2 )近傍に望ま
しい値又は望ましい形の、φ(r),ρ(r),α
(r)等の関数を動的に選択、再定義、算出、或いは最
適化することが可能となる。即ち、この様な収束状態判
定手段は、例えば、以下の第1或いは第2軟着支援手段
等を導入する際等に大きな効果を発揮する。
【0053】例えば、本発明の第21の手段は、上記の
第20の手段において、上記の収束状態判定手段の肯定
的判定結果に従って、所定位置近傍のポテンシャルφ
(r)に極小点又は局所的低ポテンシャル領域を設ける
か、或いは、所定位置近傍の抵抗係数ρ(r)を増大さ
せる第1軟着支援手段を設けることである。この様な手
段により、物体を所望の位置に比較的正確かつ容易に位
置付けすることが可能となる。
【0054】また、第22の手段は、上記の第20又は
第21の手段において、所定位置近傍に物体を略停止さ
せるのに必要十分であると推定される仮想的な抗力Rを
算定する仮想抗力演算手段と、収束状態判定手段の肯定
的判定結果に従って、この抗力Rと操作力Hに基づい
て、アシスト力A、又は、アシスト力Aの操作力Hに対
するアシスト比αを決定する第2軟着支援手段とを設け
ることである。物体の停止位置が予定されている場合に
は、その位置座標や操作対象の物体のその時点での運動
量p等から上記の抗力Rを求めることができる。したが
って、例えば、操作者が物体をその位置に停止させよう
としていると推定される際に、上記の第2軟着支援手段
を用いれば、物体を所望の位置に比較的正確かつ容易に
位置付けすることが可能となる。
【0055】また、第23の手段は、上記の第1乃至第
22の何れか1つの手段において、各位置r毎に定義さ
れている所定方向ν(r)へのベクトル射影操作G1、
又は所定方向ν(r)までのベクトル回転操作G2を用
いて、操作力Hの入力値を補正する操作力補正手段を設
けることである。
【0056】例えば、前記の式(2)の行列Gが上記の
ベクトル射影操作G1、或いはベクトル回転操作G2に
相当する。この様な手段は、アシスト力を与えるべき方
向が各位置r毎に予定されている場合に有効である。例
えば、物体の運搬経路が計画されている場合には、その
経路の接線方向を方向ν(r)として定義しておいても
良い。また、特段、方向νを規定する必要がない場合に
は、Gを単位行列として処理すれば良い。また、作業範
囲内において特定の部分領域に限って方向ν(r)を定
義しておいても良い。この様な手段により、物体が進行
方向に略垂直な方向に振動したりふらついたりすること
が防止できると共に、物体を予定された経路に沿って安
定的に運搬することができる。
【0057】また、第24の手段は、上記の第1乃至第
23の何れか1つの手段において、操作力Hの検出値又
は関連値が有するノイズ等の特定周波数成分を除去する
減衰手段を設けることである。この様な手段により、環
境に応じた特定周波数のノイズを除去することができる
ので、物体が振動したりふらついたりすることを防止で
きると共に、物体を安定的に操作することができる。
【0058】また、第25の手段は、上記の第1乃至第
24の何れか1つの手段において、余力調整パラメータ
μ(0<μ≦1:定数)を用いて、操作力Hの1つ又は
2つの所定方向jの成分Hj を減衰又は略相殺する力
「−μHj 」をアシスト力Aの構成要素として生成する
余力消去手段を設けることである。
【0059】例えば、前記の式(2)は、次式(7)の
様に変更しても良い。
【数7】 A=(αG−μC)H+b(r) …(7) 即ち、アシスト力Aの新たな構成要素の1つとして、
「−μCH」なる力を更に追加しても良い。ただし、こ
こで、演算子Cは操作力Hの1つ又は2つの所定方向j
の成分Hj を取り出す操作を実行する3行×3列の行列
である。
【0060】例えば、簡単のため、α=5,μ=1と
し、GとCを各々所定の3行×3列の対角行列とし、G
の対角成分を左上から順に1,0,0とし、Cの対角成
分を左上から順に0,1,1とした場合を考える。この
場合、式(1)、式(7)より、次式(8)を得る。た
だし、ここで、Iは3行×3列の単位行列である。
【数8】 ma=F=(I+αG−μC)H+b(r)−mρ0 v−mg1 …(8) 即ち、式(8)に従えば、操作力Hの第1成分(x成
分)は操作力Hの6倍の大きさで物体に作用させること
ができるが、操作力Hの第2成分と第3成分(y成分と
z成分)は消去(相殺)されて、操作力Hのこの方向の
力成分(余力)は物体には作用しなくなる。
【0061】この様な手段は、例えば、物体をx軸方向
に沿って真っ直ぐに安定的に運搬したい場合等に有効で
ある。より一般には、上記の余力消去手段によれば、操
作力Hの内の望ましくない力成分(余力)を方向選択的
かつ定量的に消去(減衰)することが可能となる。
【0062】また、第26の手段は、上記の第25の手
段において、仮想的なポテンシャルの勾配∇φ(r)に
基づいて、所定方向jをある1方向に決定する余力方向
推定手段を設けることである。例えば、進入禁止領域が
ポテンシャルφ(r)を高くすることにより、定義され
ている場合を考える。この様な場合、進入禁止領域の周
辺において、上記の所定方向jとして勾配∇φ(r)の
方向を選択することにより、進入禁止領域への物体の進
入又は接近をより確実に防止することが可能又は容易と
なる。
【0063】また、上記の余力方向推定手段によれば、
ポテンシャルφ(r)の等高線や等高面に概ね沿った形
で物体を移動させることが可能又は容易となる。したが
って、この様な手法によっても、物体の運動領域を所望
の範囲に規定することができる。また、例えば、この余
力方向推定手段及び上記の余力消去手段と、前述の排斥
手段や案内手段とを組み合わせても良い。
【0064】更に具体的な1例を例示すると、例えば、
ドーナツリング状の低ポテンシャル領域を形成し、その
内部(低ポテンシャル領域内)に物体を配置する。物体
がドーナツリング状の低ポテンシャル領域に納まる様
に、物体の周りに高ポテンシャル領域を形成しても良
い。そして、ドーナツリングの内部の管中央を通る論理
的な円形状の軸から遠ざかるに従って、ポテンシャルが
高くなる様に設定する。この様なポテンシャルを形成し
た上で、上記の余力方向推定手段及び余力消去手段と、
前述の排斥手段や或いは案内手段とを組み合わせて用い
れば、上記の円形状の軸を円周とする円板の中心を通
り、この円板に対して垂直な回転軸(即ち、ドーナツリ
ングの重心を通る直線状の論理的な回転軸)の周りを物
体が安定して回転又は回動する様な運動を案内すること
が可能、容易、又は確実となる。即ち、上記の各手段を
適当に組み合わせることにより、物体の運動を予定され
た所望の軌道や運動に導く(案内する)ことが可能、容
易、又は確実となる。
【0065】また、第27の手段は、上記の第1乃至第
26の何れか1つの手段において、操作対象の物体が移
動可能な範囲の少なくとも一部領域において、その物体
の速度v又は運動量pの各方向成分毎に境界値(上限値
又は下限値)を設定するか、或いは、物体の速度v又は
運動量pの絶対値に対して境界値(上限値又は下限値)
を設定する境界値設定手段を備えることである。この様
な手段は、物体の速度制限を行う上で不可欠であり、物
体の速度制限を行う際に大きな効果を発揮する。物体の
速度制限を行う方法としては、例えば、次の様な手段が
有る。
【0066】即ち、第28の手段は、上記の第27の手
段において、速度v又は運動量pが境界値近傍に達した
際に、速度v又は運動量pを上記の境界値近傍又は境界
値以内に拘束するのに必要十分であると推定される仮想
的な外力Λを算定する仮想外力演算手段を備え、更に、
操作力H、及び外力Λに基づいて、アシスト力A、又
は、アシスト力Aの操作力Hに対するアシスト比αを決
定する速度/運動量制限手段を設けることである。
【0067】上記の外力Λは、例えば、前記の式(1)
に基づいて、次の様に表すことができる。
【数9】 ma=Λ=H+A−mρ0 v−mg1 …(9) 例えば、操作対象の物体を等速度運動させたい場合に
は、Λ=0とすれば良い。例えばこの様に、適当と推定
される仮想的な外力Λの値を算定することができれば、
次式(10)により、適当と推定されるアシスト力Aを
算出することができる。
【数10】 A=Λ−H+mρ0 v+mg1 …(10)
【0068】例えばこの様に、上記の速度/運動量制限
手段によれば、物体の速度制限が自動的に守られるた
め、パワーアシスト装置の作業環境の安全性を自動的か
つ確実に確保することが可能又は容易となる。以上の本
発明の手段により、前記の課題を効果的、或いは合理的
に解決することができる。
【0069】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的な実施例に
基づいて説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例
に限定されるものではない。 (第1実施例)図3、図4、図5は、本発明の各実施例
に係わるパワーアシスト装置100を例示した斜視図で
ある。操作者は、操作部150の先端に設けられたハン
ド152で物体10を把持して、本パワーアシスト装置
100により物体10を配置台20上から配置台21上
に移動しようとしている。
【0070】本パワーアシスト装置100は、グランド
面に固定された計4本の略鉛直方向のハリ111で支え
られており、各ハリ111は計4本の水平方向のレール
112により互いに連結されている。移動輪181(x
軸用)と移動輪182(y軸用)は各レール112上を
回転しながら移動する(転がる)ことができる。2つの
移動輪181(x軸用)はx軸121により連結されて
いるので、x軸121と2つの移動輪181(x軸用)
とは同じ回転速度で同一方向に回転しながら移動する。
この時移動輪181(x軸用)は、レール112上を転
がる。y軸122と2つの移動輪182(y軸用)に付
いても同様である。
【0071】x軸121はx軸軸受け141で受けら
れ、y軸軸受け142はy軸軸受け142で受けられて
いる。これらの軸受けはベアリング機構により構成され
ている。これらの軸受けは中央ベース140に固定され
ているので、各軸の移動にともなって、中央ベース14
0はxy平面上を自由に移動することができる。また、
中央ベース140にはその略中央を貫通して鉛直方向に
z軸軸受け用雌ネジ管143が管軸に対して回転自在に
固定されており、ボールネジで構成されたz軸130は
このz軸軸受け用雌ネジ管143で受けられている。ま
た、z軸軸受け用雌ネジ管143はz軸用のモータ16
3により回転するので、これによりz軸130は鉛直方
向に移動することができる。
【0072】操作部150の内部には、操作ハンドル1
51に付与された操作力Hの大きさや方向を検出するた
めの6軸力覚センサ(図略)と、物体10の重さ(質量
m)を測定する重量計(図略)とが内蔵されている。検
出された物体10の重さ(質量m)や操作力Hは、無線
又は有線で所定の計算機(図略)に入力される。x軸用
のモータ161の出力トルクは、x軸駆動ギヤ171、
x軸駆動シャフト172、及び2本のx軸駆動ベルト1
73に伝達され、この出力トルクがx軸用の移動輪18
1とx軸121をy軸方向に移動させる(転がす)。y
軸用のモータ162の出力トルクに付いても同様であ
る。
【0073】図6は、本発明の各実施例に係わるパワー
アシスト装置100の制御部を構成するモータ制御装置
200のハードウェア構成図であり、この装置200
は、上記のアシスト装置100の各軸(x,y,z)毎
に、論理的或いは物理的にそれぞれ用意されている。
【0074】アシストトルクを発生する本図6のブラシ
レス直流モータM(以下、単に「モータM」という)に
は、駆動回路213より電流検出器215を介してU,
V,Wの3相に対する各モータ駆動電流iu,iv,i
wが供給されている。ただし、本モータMの形態(実現
形式)は、3相モータ等に特に限定されるものではな
く、任意の形態のモータを用いて良い。図2、図3に図
示した操作部150の内部には、操作者から付与された
操作力Hの大きさ及びその方向を検出するための力覚セ
ンサ232(図6)が設けられている。この力覚センサ
232には、例えば、一般に市販されている3軸〜6軸
の力覚センサ等を搭載することができる。モータMに
は、モータ回転角を検出する回転角センサ(エンコー
ダ)Eが設けられており、CPU210は、回転角セン
サEが出力するモータMの所定出力信号に基づいてこの
モータMの回転角を算定する。
【0075】モータ制御装置200は、CPU210、
ROM211、RAM212、駆動回路213、入力イ
ンターフェイス(IF)214、電流検出器215等か
ら構成されている。駆動回路213は、図略のバッテリ
ー、PWM変換器、PMOS駆動回路等から構成され、
チョッパ制御により駆動電流を正弦波にしてモータMに
電力を供給する。
【0076】そして、モータ制御装置200は、上記の
操作力H、モータMの回転角及び、モータ駆動電流i
u,ivを入力インターフェイス(IF)214を介し
てCPU210に入力し、これらの入力値から所定のト
ルク計算により、電流指令値を決定する。尚、入力イン
ターフェイス(IF)214は、パソコン(PC)25
0とのインターフェイスも持っており、必要に応じてデ
ータベースの読み込みや更新等を行ったり、或いは各種
のパラメータや指令(コマンド)の入力等を実行するこ
とができる。
【0077】図7は、本発明の各実施例に係わるパワー
アシスト装置100の基本的な制御方式を例示する制御
ブロックダイヤグラムである。例えばこの様な制御方式
により、上記のモータ161、モータ162、或いはモ
ータ163を制御することができる。本発明は、例えば
上記の様なパワーアシスト装置100を合理的に制御す
るために成されたものであり、主に、操作力Hに基づい
てアシスト力Aを算出する図7のアシスト演算部400
を計算機システム上で実現するための各種の演算手段に
関するものである。
【0078】図8、及び図9は、上記のパワーアシスト
装置100の制御に導入される運動方程式(前記の式
(1)〜式(4))中に用いられる各種のスカラー場を
断片的に例示するグラフである。図8の各グラフの横軸
Sは、所定の運搬経路上での出発点(S=S1 )からの
距離を表しており、S=S2 成る点が到着点を表してい
る。従って、例えば図3においては、物体10を配置台
20上から配置台21上に移動しようとしているので、
配置台20上の点を出発点(S=S1 )とし、配置台2
1上の点を到着点(S=S2 )と考えれば良い。また、
途中の運搬経路は適当な任意のものを選択すれば良い。
【0079】図8の各変数φ,ρ,αの下付きの添字R
0は、上記の経路上の値であることを示している。これ
らのグラフ(a),(b),(c)は、予定されている
所定の運搬形態に応た以下の様な領域区分を前提に設定
されている。 Z1 : 加速領域 Z2 : 略等速領域 Z3 : 減速領域 Z4 : 位置付け調整領域(停止作業領域)
【0080】グラフ(a)の到着点にφR0の極小点が設
定してあるのは、この到着点に容易に物体10を置く
(位置付ける)ためである。また、本図8のグラフ
(b)の出発点における抵抗係数ρR0の値(−ρ0
は、運動に対する実際の抵抗力を過不足無く打ち消すた
めの設定であり、実際の抵抗係数(ρ0 )の負値を設定
している。ただし、ここでは簡単のため、空間的な等方
性と均一性を仮定している。また、本図8のグラフ
(c)の加速領域Z1 と減速領域Z3 において、アシス
ト比αR0が比較的大きく設定されているのは、加速動作
や減速動作を行う際に、比較的大きな力が必要となるも
のと推定されるためである。
【0081】図9には、これらのスカラー場φ(r),
ρ(r)の上記の運搬経路の接線方向に対して垂直な方
向の分布を断片的に例示したものである。本図9のグラ
フ(a),(b)の各横軸のSR は、上記の運搬経路か
らの垂直方向の距離を示している。例えば、この様な設
定により、本発明の案内手段や、或いは排斥手段を容易
かつ効果的に構成することができる。以上の様に、例え
ば運搬作業等の予め予定されている作業に対し、各変数
φ,ρ,αの各作業領域における特性に応じた設定を行
うことができる。
【0082】図10は、本第1実施例における基本的な
制御方式を例示するフローチャートである。本フローチ
ャートは、図7のアシスト演算部400を前記の計算機
システム上で実現するためのものである。本フローチャ
ートでは、まず最初にステップ710により、前述の重
量計(図略)から、ハンド152で把持された物体10
の質量mを入力する。
【0083】次に、ステップ720では、図8、図9に
例示される様な、予定されている操作に対して定義され
た、位置rの関数φ(r),ρ(r),α(r,m)を
図略の主記憶装置上又は随時参照可能記憶媒体上に読み
込む。ここで、アシスト比αが質量mの関数になってい
るのは、質量mの値に応じてアシスト比αを単調に増加
させるためである。また、本実施例では、ρ(r)は対
角行列とし、その各対角成分はそれぞれ位置rの関数と
して定義されているものとする。
【0084】ステップ730では、各モータ161,1
62,163をそれぞれ直接制御する各サーボ制御装置
(図略)が管理するx軸、y軸、z軸の各モータ16
1,162,163の各エンコーダからの入力信号に基
づいて、物体10の位置rを算出する。また、前述の図
略の力覚センサからの入力信号に基づいて、操作ハンド
ル151に働いている操作力Hを算出する。
【0085】ステップ740では、物体の速度vを求め
る。この速度vは上記の位置rを時間微分して求めても
良いし、各エンコーダからの入力信号に基づいて、直接
求めても良い。ステップ750では、周知の定義(次式
(11))に基づいて、上記のポテンシャルφ(r)の
勾配∇φ(r)の値(ベクトル)を求める。
【数11】 ∇φ≡(∂φ/∂x,∂φ/∂y,∂φ/∂z) …(11) ただし、実際には、ポテンシャルφ(r)はxyz空間
上に離散化されて定義されているので、これらの偏微分
演算処理は、周知の数値解析技法に基づく差分演算処理
で代替する。
【0086】ステップ760では、前記の式(2)、式
(3)に基づいて得られる次式(12)に従って算出す
る。
【数12】 A=α(r,m)H−M(∇φ(r)+ρ(r)v) …(12) ただし、ここで、Mは前述の対角行列で、機械系の一部
分の質量をも含めた操作対象の物体の各方向毎の有効質
量(mx ,my ,mz )で定義されている。この様な有
効質量は、パワーアシスト装置100の機械系の具体的
構成と、上記の物体の質量mに基づいて決定することが
できる。例えばmx の値は、操作対象の目的の物体(質
量m)と同時にx軸方向に同一速度で並進する機械系の
部分の合計質量Mx に基づいて、次式(13)の様に定
義しても良い。
【数13】 mx =Mx +m …(13)
【0087】ステップ770では、上記の式(12)に
従って求めたアシスト力Aの各軸成分Ax ,Ay ,Az
をそれぞれ対応するサーボ制御装置の速度演算部又はト
ルク演算部(図7)に出力する。ステップ730〜ステ
ップ770の各処理は、これらを一連のサイクルとし
て、所定周期で繰り返し実行する。
【0088】以上の様な手段により、操作者は従来より
も高い作業効率を確保することが可能となる。また、こ
れらの設定により、アシスト力Aが必要以上に、或いは
操作者の予想以上に、大きくなってしまう様な事態を回
避することも可能となる。
【0089】(第2実施例)本第2実施例では、上記の
第1実施例に基づいて、前述の第2軟着支援手段を実現
する方法について例示する。この第2軟着支援手段は、
操作対象の物体を運搬する際に到着点が予め計画されて
いる場合等に有用なものである。
【0090】図11は、本実施例における収束状態判定
手段を説明するグラフである。例えばこの様に、ある一
定期間における操作対象の物体の速度vの動向(変動)
に基づいて、速度vが0となるであろう将来の時刻tG
(グラフの横軸の切片)を推定することができる。この
時の速度をv=(vx ,vy ,vz )、その絶対値を|
v|、現在時刻をtとすると、速度vが0となるまでの
物体のその後の移動距離SG は、次式(14)の様に推
定できる。
【数14】 SG =(tG −t)|v|/2 …(14)
【0091】したがって、この時物体が停止すると推定
される位置の位置ベクトルrG は、例えば、次式(1
5)の様に書くことができる。
【数15】 rG =r+SG (r−r′)/|r−r′| …(15) ただし、ここで、r=(x,y,z)は現在時刻tにお
ける物体の位置ベクトル、r′は適当な近い過去におけ
る物体の位置ベクトルである。
【0092】この時、物体を停止(到着)させる予定
の、計画された所定の位置の位置ベクトルをr2 =(x
2 ,y2 ,z2 )とすると、物体が停止するであろう、
或いは、操作者が物体を停止させようとしていると判断
するための条件は、次式(16)〜(18)で表すこと
ができる。
【数16】 |r−r2 |<D …(16)
【数17】 |rG −r2 |<d<D …(17)
【数18】 |H−H′|<ε …(18) ただし、ここで、H′は適当な近い過去における操作力
であり、D,d,εはそれぞれ適当な定数である。以
下、この式(16)〜式(18)を「停止条件」と呼
ぶ。即ち、この「停止条件」は式(16)〜式(18)
が全て成り立った場合に成立する。
【0093】図12は、本第2実施例における第2軟着
支援手段を実現するフローチャートである。本フローチ
ャートは、図10のフローチャート(第1実施例)に基
づいて構成されたものであり、ステップ910〜ステッ
プ940は、図10のステップ710〜ステップ740
と同様の処理を実行する。次に、ステップ950では、
上記の「停止条件」をチェックし、成り立てばステップ
970へ、そうでなければステップ960に処理を移
す。ステップ960の「通常制御」では、図10のステ
ップ750、760と同様の処理を実行する。
【0094】一方、ステップ970では、位置r2 近傍
に物体を略停止させるのに必要十分であると推定される
仮想的な抗力R=(Rx ,Ry ,Rz )を次式(19)
〜(21)に従って算出する。
【数19】 Rx =mx x =−mx x 2 /2(x2 −x) …(19)
【数20】 Ry =my y =−my y 2 /2(y2 −y) …(20)
【数21】 Rz =mz z =−mz z 2 /2(z2 −z) …(21)
【0095】ステップ980では、前述の式(1)にF
=Rを代入することにより得られる次式(22)に従っ
て、アシスト力Aを求める。
【数22】 A=R−H+M(ρ0 v+g1 ) …(22)
【0096】また、ステップ990では、図10のステ
ップ790と同様の処理を実行する。 以上の様な手段
(第2軟着支援手段)により、操作者は、操作対象の物
体(運搬物)を所望の到着点まで、安定的かつ正確に運
搬することが容易となる。
【0097】(第3実施例)本第3実施例では、上記の
第1実施例に基づいて、前述の速度制限手段を実現する
方法について例示する。この速度制限手段は、操作対象
の物体を運搬する際に物体の速度上限を保証したい場合
等に有用なものである。
【0098】図13は、本第3実施例における制御方式
(速度制限手段)を例示するフローチャートである。本
速度制限手段は、図13のステップ220、ステップ2
40、ステップ260の3つステップから構成されてお
り、図10のステップ760とステップ770の間にこ
の3ステップを挿入することにより、実現されるもので
ある。ただし、本実施例では、簡単のため該当領域内で
x軸方向についてのみ速度上限が設けられている場合に
ついて例示する。
【0099】ステップ220では、速度ベクトルvのx
成分の絶対値|vx |が所定の上限値vmax を越えてい
るか否かを判定し、越えていたらステップ240へ、そ
うでなければステップ770へ処理を移す。ステップ2
40では、前述の式(1)に基づいて、加速方向と速度
方向とが同じ方向か否かを次式(23)により判定す
る。
【数23】 vx x >0 …(23) ただし、Fのx成分Fx の値または符号は、式(1)の
左辺を計算して求めても良いし、右辺を計算して求めて
も良い。その結果、式(23)が成り立てばステップ2
60へ、そうでなければステップ770へ処理を移す。
【0100】ステップ240では、式(1)にax =0
を代入する等の式変形により得られる次式(24)にし
たがって、アシスト力Aのx成分Ax を再度計算し直
す。式(1)にax =0を代入するのは、正にx軸方向
の速度(加速)を制限するためである。
【数24】 Ax =mx κρ0xx −Hx (0≦κ≦1) …(24) ただし、ここで、ρ0xは対角行列ρ0 のx成分(第1行
第1列の成分)であり、κは速度制限に関する拘束の度
合い示すパラメータである。即ち、κの値は小さい時
程、速度制限処理が厳格に作用する。したがって、例え
ば、ステップ260が毎周期連続的に実行される場合に
は、その連続的な繰り返しの回数に応じて、κの値を単
調に減少させる等の手法が有効である。この様な操作に
より、(A x +Hx )が0に単調に接近するため、速度
制限が確実に達成される。或いは、κはx軸方向の制御
の応答性に応じて決定しても良い。即ち、モータの応答
性が悪い場合には、κの初期値を最初からある程度小さ
めの値に設定しておく。これにより、速度制限の制御遅
延をある程度補償することができる。
【0101】(第4実施例)本第4実施例では、上記の
第1実施例に基づいて、前述の微細運動支援手段を実現
する方法について例示する。図14は、本第4実施例に
おける制御方式(微細運動支援手段)を例示するフロー
チャートである。本図14において、図10と同様の処
理を実行するステップについては、それぞれ図10の対
応する各ステップと同じ番号(700番代)が付されて
いる。
【0102】ステップ321では、図10のステップ7
20と同等の処理を実行する。ステップ322では、組
み付け作業等の微細運動が予定されている領域内におけ
る、微細作業向けの場の関数φ2 (r),ρ2 (r),
α2 (r,m)を所定の記憶領域に読み込む。ただし、
特に、α2 (r,m)にて表現されるアシスト比につい
ては、前記の式(6)以下で言及した運動縮小比が0<
(1+α)≦1を満たす様に、或いは、この運動縮小比
が(1+α)≒1を満たす様に定義されているものとす
る。
【0103】ステップ340では、操作対象の物体の位
置rが微細運動範囲内に有るか否かを判定する。ステッ
プ360では、物体の速度の絶対値|v|が所定の上限
値v0 未満で有るか否かを判定する。この上限値v
0 は、微細作業を実行することが可能か否か、或いは、
望ましいか否かを示す境界値である。ステップ380で
は、アシスト力Aの算出に使用する場の関数として、微
細作業向けの場の関数φ2 (r),ρ2 (r),α
2 (r,m)を選択する。ステップ390では、アシス
ト力Aの算出に使用する場の関数として、一般の通常制
御用の場の関数φ1 (r),ρ1 (r),α1 (r,
m)を選択する。
【0104】これらの制御により、微細運動範囲内にお
いて微細作業を実施しようとしている場合には、自動的
に最適な場の関数が選択され、所望の運動縮小比が自動
的に実現される。したがって、例えばこの様な手段によ
れば、操作者は高精度の組み付け作業を効率よく容易に
実施できる。
【0105】(第5実施例)本第5実施例では、上記の
第1実施例に基づいて、前述の緊急回避支援手段を実現
する方法について例示する。図15は、本第5実施例に
おける制御方式(緊急回避支援手段)を例示するフロー
チャートである。本図15において、図10と同様の処
理を実行するステップについては、それぞれ図10の対
応する各ステップと同じ番号(700番代)が付されて
いる。
【0106】ステップ520では、物体の速度v(ベク
トル)と前述の対角行列Mを用いて、運動量ベクトルp
を求める。ステップ530では、運動量pの大きさを判
定する。ステップ540では、操作力Hの大きさを判定
する。ステップ550では、操作力と運動量の内積p・
Hの大きさを判定する。この内積値が所定の境界値δ
(δ≒0)以下の場合には、操作者は物体を急停止させ
ようとしているか、或いは、物体の進行方向を急転換さ
せようとしているものと判断できる。即ち、この様な場
合には、操作者は緊急回避操作を実行しているものと推
定される。
【0107】上記の各判定条件がそれぞれ全て成り立っ
た場合には、以下のステップ560とステップ570に
より、緊急回避操作用の再設定を実行する。即ち、ステ
ップ560では、仮想的な抵抗係数ρ(r)の値を通常
の3/2倍の値に再設定する。また、ステップ570で
は、アシスト比α(r,m)の値を通常の3/2倍の値
に再設定する。
【0108】これらの各再設定に基づく最適化処理によ
り、操作者が正に実行している緊急回避操作を効果的に
支援することが可能となる。したがって、この様な緊急
回避支援手段により、作業環境における安全性がより確
実に確保できる。
【0109】(その他の変形例)図16、図17は、本
発明のその他の変形例の1例であるパワーアシスト装置
800が有する操作意思検出/推定手段(操作意思推定
部810)の使用形態や論理構成を例示する制御ブロッ
クダイヤグラムである。図17(a)は、図16のパワ
ーアシスト装置800の操作意思推定部810を音声認
識システムを用いて実現する例を示している。図17
(b)は、操作者の視線の動きを認知するシステムを用
いて、操作意思推定部810を実現する例を示してい
る。また、図17(c)は、操作者の動き等を筋電計を
用いて認知するシステムを使って、操作意思推定部81
0を実現する例を示している。
【0110】例えば、図17(c)の例では、次の様な
手段を用いている。 (1)腕が出力する操作力を推定する手段 (a)運動単位(1つの運動神経繊維とその繊維をつた
わるパルスにより収縮する筋繊維の集合)の発射周波数
は、筋肉の張力に対応するので、これに基づいて操作力
を推定する。 (b)左右の筋電位の差分に基づいて、操作方向を推定
する。 (2)姿勢を推定する手段 背筋や腰部に取り付けられた電極からの入力信号に基づ
いて、操作者の前傾姿勢等を推定する。その推定された
姿勢に基づいてアシスト比αを決定することができる。 (3)疲労度を推定する手段 長時間走行による筋疲労によって筋繊維伝導速度が低下
するので、足部筋電計の電極からの入力信号に基づいて
疲労度を推定する。これに基づいてアシスト比αを決定
することができる。
【0111】また、CCDカメラ等を用いて、操作者の
顔の表情を認識し、その状態に基づいて、アシスト比α
等を決定する方法等も考えられる。即ち、本発明に使用
する「操作意思を検出或いは推定する手段」は、力覚セ
ンサ等に狭く限定されるものではない。本発明の操作意
思検出/推定手段は、公知の力覚センサ以外の手段で
も、人の各部の動きや姿勢、位置等から、パワーアシス
ト装置に対する人の操作意思を検知できる手段であれば
何でも良い。この様な手段を用いても、上記の各実施例
と略同様に本発明の作用・効果を得ることができる。
【0112】尚、以上の各実施例等では、主に3次元直
交座標系における実現方式を中心に例示してきたが、本
発明は、極座標系や、円筒座標系等の任意の3次元座標
系において適用可能である。これらの座標系は、該当す
るパワーアシスト装置の機械系の構造に最も適したもの
を選択することが望ましく、また、これらの場合には、
必要に応じて、周知の座標変換などの演算手法を効果的
に用いることができる。また、3軸系の駆動制御系に限
らず、例えば図1、図2にも例示した様に、本発明は任
意の軸数(例:6軸系)、或いは、任意の運動形態の機
械系に対して、適用することができる。
【0113】また、本発明は、2次元、或いは1次元の
動作のみが可能な機械系に対するパワーアシスト装置と
しても適用可能である。1次元の動作(操作)を補助す
るパワーアシスト装置の可用範囲としては、例えば、レ
ール上を移動可能な書棚等が極典型的な適用対象例とし
て考えられる。このような装置においても、例えば、収
納書籍の全重量に応じてアシスト比を制御する等の本発
明の手段により、本発明の作用・効果を十分に得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1適用例を例示する模式的な斜視図。
【図2】図1の適用例におけるポテンシャルφの設定要
領を例示するグラフ。
【図3】本発明の各実施例に係わるパワーアシスト装置
100を例示する斜視図。
【図4】本発明の各実施例に係わるパワーアシスト装置
100を例示する斜視図。
【図5】本発明の各実施例に係わるパワーアシスト装置
100を例示する斜視図。
【図6】本発明の各実施例に係わるパワーアシスト装置
100の制御部を構成するモータ制御装置200のハー
ドウェア構成図。
【図7】本発明の各実施例に係わるパワーアシスト装置
100の制御方式を例示する制御ブロックダイヤグラ
ム。
【図8】パワーアシスト装置100の制御に導入される
運動方程式中に用いられる各種のスカラー場を断片的に
例示するグラフ。
【図9】パワーアシスト装置100の制御に導入される
運動方程式中に用いられる各種のスカラー場を断片的に
例示するグラフ。
【図10】本発明の第1実施例における基本的な制御方
式を例示するフローチャート。
【図11】本発明の第2実施例における制御方式(収束
状態判定手段)を説明するグラフ。
【図12】本発明の第2実施例における制御方式(第2
軟着支援手段)を実現するフローチャート。
【図13】本発明の第3実施例における制御方式(速度
制限手段)を例示するフローチャート。
【図14】本発明の第4実施例における制御方式(微細
運動支援手段、フィールド可変手段)を例示するフロー
チャート。
【図15】本発明の第5実施例における制御方式(緊急
回避支援手段、フィールド可変手段)を例示するフロー
チャート。
【図16】本発明のその他の変形例における操作意思推
定部810の使用形態を例示する制御ブロックダイヤグ
ラム。
【図17】本発明のその他の変形例における操作意思推
定部810の論理構成を例示する制御ブロックダイヤグ
ラム。
【符号の説明】
m … 操作対象の物体の質量(スカラー) M … 機械系の一部分の質量をも含めた操作対象の
物体の各方向毎の有効質量(行列) H … 操作者の操作力(ベクトル) A … パワーアシスト装置が出力するアシスト力
(ベクトル) r … 物体の位置(ベクトル) v … 物体の速度(ベクトル) a … 物体の加速度(ベクトル) p … 物体の運動量(mv、又はMv) F … 物体に作用する全力(ベクトル) R … 物体に作用させるべき仮想的な抗力(ベクト
ル) Λ … 物体に作用させるべき仮想的な外力(ベクト
ル) φ(r) … 仮想的なポテンシャル(スカラー) ρ(r) … 仮想的な抵抗係数(スカラー) Ρ(r) … 各方向毎の仮想的な抵抗係数(行列) ρ0x … x座標方向の物理的な実際の抵抗係数の平均
値(スカラー) α … アシスト比(スカラー) G1 … 所定方向へのベクトル射影操作(行列) G2 … 所定方向へのベクトル回転操作(行列) C … 所定方向へのベクトル射影操作(行列) ∇ … ナブラ(スカラーポテンシャルの勾配を導出
する微分演算子) 10 … 物体 100,800… パワーアシスト装置 111 … ハリ 112 … レール 121 … x軸 122 … y軸 130 … z軸(ボールネジ) 140 … 中央ベース 141 … x軸軸受け 142 … y軸軸受け 143 … z軸軸受け用雌ネジ管 150 … 操作部 151 … 操作ハンドル 152 … ハンド 161 … モータ(x軸用) 162 … モータ(y軸用) 163 … モータ(z軸用) 171 … x軸駆動ギヤ 172 … x軸駆動シャフト 173 … x軸駆動ベルト 181 … 移動輪(x軸用) 182 … 移動輪(y軸用)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 本田 朋寛 愛知県刈谷市朝日町1丁目1番地 豊田工 機株式会社内 (72)発明者 松田 祐子 愛知県刈谷市朝日町1丁目1番地 豊田工 機株式会社内

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】移動又は姿勢変更すべき操作対象の物体を
    操作する操作者の例えば操作力H等に代表される操作意
    思を検出又は推定する操作意思検出/推定手段を有し、
    前記操作意思に基づいて決定・出力されるアシスト力A
    により前記操作力Hを補助するパワーアシスト装置にお
    いて、 更に、前記物体が位置する領域区分、前記物体の位置
    r、所定のスカラー場、又は所定のベクトル場に基づい
    て、前記アシスト力Aを決定するアシスト力演算手段を
    有することを特徴とするパワーアシスト装置。
  2. 【請求項2】前記スカラー場は、 仮想的なポテンシャルφ(r)を用いて定義されている
    ことを特徴とする請求項1に記載のパワーアシスト装
    置。
  3. 【請求項3】前記スカラー場は、 仮想的な抵抗係数ρ(r)を用いて定義されていること
    を特徴とする請求項1又は請求項2に記載のパワーアシ
    スト装置。
  4. 【請求項4】前記ベクトル場は、 仮想的な外力b(r)、又は、 仮想的なポテンシャルの勾配∇φ(r)を用いて定義さ
    れていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れ
    か1項に記載のパワーアシスト装置。
  5. 【請求項5】前記ポテンシャルφ(r)又は前記抵抗係
    数ρ(r)等の所定のスカラー場、或いは、前記外力b
    (r)又は前記勾配∇φ等の所定のベクトル場を動的に
    変更又は再定義するフィールド可変手段を有することを
    特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の
    パワーアシスト装置。
  6. 【請求項6】前記ポテンシャルφ(r)の標準値又はデ
    フォルト値を、重力調整パラメータγ(0<γ≦1:定
    数)、鉛直方向座標z、及び重力加速度gを用いて表し
    たことを特徴とする請求項2乃至請求項5の何れか1項
    に記載のパワーアシスト装置。
  7. 【請求項7】前記抵抗係数ρ(r)として、或いは、前
    記抵抗係数ρ(r)の代りに、 各対角成分が各座標方向の仮想的な抵抗係数を表す、3
    行×3列の対角行列Ρ(r)を用いたことを特徴とする
    請求項3乃至請求項6の何れか1項に記載のパワーアシ
    スト装置。
  8. 【請求項8】前記対角行列Ρ(r)の各対角成分の標準
    値又はデフォルト値を、抵抗調整パラメータσ(0<σ
    ≦1:定数)、及び各座標方向kの物理的な実際の抵抗
    係数の平均値ρ0kを用いて表したことを特徴とする請求
    項7に記載のパワーアシスト装置。
  9. 【請求項9】前記物体の質量mとして、或いは、前記質
    量mの代りに、 各対角成分が各座標方向毎の実効的な有効質量を表す、
    3行×3列の対角行列Mを用いたことを特徴とする請求
    項1乃至請求項8の何れか1項に記載のパワーアシスト
    装置。
  10. 【請求項10】前記スカラー場、又は前記ベクトル場に
    基づいて、 前記物体に作用する斥力、引力、又は摩擦力等の仮想的
    な外力B(r)を生成し、前記アシスト力Aの1構成要
    素として前記外力B(r)を加算することにより、所定
    の進入禁止領域への前記物体の進入又は接近を防止する
    排斥手段を有することを特徴とする請求項1乃至請求項
    9の何れか1項に記載のパワーアシスト装置。
  11. 【請求項11】前記スカラー場、又は前記ベクトル場に
    基づいて、 前記物体に作用する引力、斥力、又は摩擦力等の仮想的
    な外力B(r)を生成し、前記アシスト力Aの1構成要
    素として前記外力B(r)を加算することにより、所定
    の軌道上又は運動領域内での前記物体の運動を促す案内
    手段を有することを特徴とする請求項1乃至請求項10
    の何れか1項に記載のパワーアシスト装置。
  12. 【請求項12】各作業領域において計画又は予見され
    る、加速動作、略等速動作、減速動作、又は微細動作等
    の各作業内容の特性に応じて、前記抵抗係数ρ(r)を
    設定する抵抗係数適合手段を有することを特徴とする請
    求項1乃至請求項11の何れか1項に記載のパワーアシ
    スト装置。
  13. 【請求項13】前記アシスト力Aの前記操作力Hに対す
    るアシスト比αの、絶対値又は各方向毎の成分を、所望
    の値に設定又は変更するアシスト比調整手段を有するこ
    とを特徴とする請求項1乃至請求項12の何れか1項に
    記載のパワーアシスト装置。
  14. 【請求項14】前記アシスト力演算手段は、 前記物体の質量m、速度v、運動量p、又は前記位置r
    に基づいて、前記アシスト力A、又は、前記アシスト力
    Aの前記操作力Hに対するアシスト比αを決定すること
    を特徴とする請求項1乃至請求項13の何れか1項に記
    載のパワーアシスト装置。
  15. 【請求項15】各作業領域Zi において計画又は予見さ
    れる、加速動作、略等速動作、減速動作、又は微細動作
    等の各作業内容の特性に応じて、前記アシスト比αを、
    前記位置rの関数α(r)又は前記作業領域Zi の関数
    α(i)として設定するアシスト比適合手段を有するこ
    とを特徴とする請求項13又は請求項14に記載のパワ
    ーアシスト装置。
  16. 【請求項16】所定の作業領域内での前記アシスト比α
    (r)を負値又は略0にすることにより、前記所定の作
    業領域内での微細動作を容易にする微細運動支援手段を
    有することを特徴とする請求項15に記載のパワーアシ
    スト装置。
  17. 【請求項17】前記アシスト力演算手段は、前記物体の
    加速時に、 前記アシスト力A、又は、 前記アシスト力Aの前記操作力Hに対するアシスト比α
    を、前記質量mに対して、略比例させるか又は略単調に
    増加させることを特徴とする請求項14乃至請求項16
    の何れか1項に記載のパワーアシスト装置。
  18. 【請求項18】前記アシスト力演算手段は、前記物体の
    減速時に、 前記アシスト力A、又は、 前記アシスト力Aの前記操作力Hに対するアシスト比α
    を、前記運動量pの絶対値、前記速度vの絶対値、又は
    前記質量mに対して、略比例させるか又は略単調に増加
    させることを特徴とする請求項14乃至請求項17の何
    れか1項に記載のパワーアシスト装置。
  19. 【請求項19】前記物体の運動量pの絶対値が所定値p
    1 以上であり、前記操作力Hの絶対値が所定値H1 以上
    であり、かつ、これらの内積p・Hの値が略0又は0以
    下のとき、 仮想的な抵抗係数ρ(r)、又はアシスト比αの値を所
    定値よりも大きく設定するか、或いは、 前記運動量pとは反対向きの力を前記アシスト力Aの1
    構成要素として更に新たに追加する緊急回避支援手段を
    有することを特徴とする請求項1乃至請求項18の何れ
    か1項に記載のパワーアシスト装置。
  20. 【請求項20】前記物体の速度v又は運動量p、或いは
    更に前記操作力Hに基づいて、 前記物体が所定位置近傍に略停止しつつ在るか否か、又
    は、 前記操作者が前記物体を所定位置近傍に略停止させよう
    としているか否かを判定する収束状態判定手段を有する
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項19の何れか1項
    に記載のパワーアシスト装置。
  21. 【請求項21】前記収束状態判定手段の肯定的判定結果
    に従って、 前記所定位置近傍の前記ポテンシャルφ(r)に極小点
    又は局所的低ポテンシャル領域を設けるか、或いは、前
    記所定位置近傍の前記抵抗係数ρ(r)を増大させる第
    1軟着支援手段を有することを特徴とする請求項20に
    記載のパワーアシスト装置。
  22. 【請求項22】前記所定位置近傍に前記物体を略停止さ
    せるのに必要十分であると推定される仮想的な抗力Rを
    算定する仮想抗力演算手段と、 前記収束状態判定手段の肯定的判定結果に従って、前記
    抗力Rと前記操作力Hに基づいて、前記アシスト力A、
    又は、前記アシスト力Aの前記操作力Hに対するアシス
    ト比αを決定する第2軟着支援手段とを有することを特
    徴とする請求項20又は請求項21に記載のパワーアシ
    スト装置。
  23. 【請求項23】各位置r毎に定義されている所定方向ν
    (r)へのベクトル射影操作G1、又は前記所定方向ν
    (r)までのベクトル回転操作G2を用いて、前記操作
    力Hの入力値を補正する操作力補正手段を有することを
    特徴とする請求項1乃至請求項22の何れか1項に記載
    のパワーアシスト装置。
  24. 【請求項24】前記操作力Hの検出値又は関連値が有す
    るノイズ等の特定周波数成分を除去する減衰手段を有す
    ることを特徴とする請求項1乃至請求項23の何れか1
    項に記載のパワーアシスト装置。
  25. 【請求項25】余力調整パラメータμ(0<μ≦1:定
    数)を用いて、前記操作力Hの1つ又は2つの所定方向
    jの成分Hj を減衰又は略相殺する力「−μHj 」を前
    記アシスト力Aの構成要素として生成する余力消去手段
    を有することを特徴とする請求項1乃至請求項24の何
    れか1項に記載のパワーアシスト装置。
  26. 【請求項26】仮想的なポテンシャルの勾配∇φ(r)
    に基づいて、前記所定方向jをある1方向に決定する余
    力方向推定手段を有することを特徴とする請求項25に
    記載のパワーアシスト装置。
  27. 【請求項27】前記物体が移動可能な範囲の少なくとも
    一部領域において、 前記物体の速度v又は運動量pの各方向成分毎に境界値
    (上限値又は下限値)を設定するか、或いは、 前記物体の速度v又は運動量pの絶対値に対して境界値
    (上限値又は下限値)を設定する境界値設定手段を有す
    ることを特徴とする請求項1乃至請求項26の何れか1
    項に記載のパワーアシスト装置。
  28. 【請求項28】前記速度v又は前記運動量pが前記境界
    値近傍に達した際に、前記速度v又は前記運動量pを前
    記境界値近傍又は前記境界値以内に拘束するのに必要十
    分であると推定される仮想的な外力Λを算定する仮想外
    力演算手段と、 前記操作力H、及び前記外力Λに基づいて、前記アシス
    ト力A、又は、前記アシスト力Aの前記操作力Hに対す
    るアシスト比αを決定する速度/運動量制限手段とを有
    することを特徴とする請求項27に記載のパワーアシス
    ト装置。
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