JP2003080716A - ノズルプレート及びノズルプレートの製造方法 - Google Patents

ノズルプレート及びノズルプレートの製造方法

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JP2003080716A
JP2003080716A JP2001275847A JP2001275847A JP2003080716A JP 2003080716 A JP2003080716 A JP 2003080716A JP 2001275847 A JP2001275847 A JP 2001275847A JP 2001275847 A JP2001275847 A JP 2001275847A JP 2003080716 A JP2003080716 A JP 2003080716A
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Toshiaki Takahashi
利明 高橋
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明はインクの噴射方向にラウンド形状にそ
の径の小さくなるノズルの形成されたノズルプレート及
び当該ノズルプレートを簡単かつ精度よく製造するノズ
ルプレートの製造方法を提供する。 【解決手段】インクジェットヘッド1は、インクの充填
される複数の液室に対してそれぞれ連通する複数のノズ
ル2が形成され、ノズル2は、その径2rが、インク流
入部2iからインク吐出部2oへと小さくなるととも
に、その断面形状が、滑らかなラウンド形状に形成され
ている。特に、ノズル2は、R形状部の端部−端部間の
厚さDの3/5地点での径nをインク吐出部2oの径N
oで除算した値x(x=n/No)が1.3≦x≦1.7
の範囲で、かつ、インク吐出部2oの径Noとインク流
入部2iの径Niの比が3以上となるR形状に形成され
ている。したがって、低駆動電圧で充分な高粘度インク
吐出を行うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ノズルプレート及
びノズルプレートの製造方法に関し、詳細には、インク
の噴射方向にその径の小さくなるラウンド形状(R形
状)を形成したノズルプレート及び当該ノズルプレート
を簡単かつ精度よく製造するノズルプレートの製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録装置は、現像・定着
等のプロセスを必要とせず、非接触で記録を行うことが
できるために、カラー化が容易であること、記録時の騒
音が極めて小さいこと、高速印字が可能であること、イ
ンクの自由度が高く、安価な普通紙を使用できることな
ど多くの利点を有していることから、プリンタ、複写装
置及びファクシミリ装置等の画像形成装置に普及してい
る。
【0003】このインクジェット方式の中でも、印字記
録の必要なときにのみインク滴を吐出するいわゆるドロ
ップオンデマンド型が記録に不要なインク液滴の回収を
必要としないため現在主流となっている。
【0004】このようなインクジェット記録装置は、一
般に、複数のノズルの形成されたノズルプレートと、各
ノズルが連通するインク液室と、各ノズルに対応して配
設されたアクチュエータとを有し、アクチュエータの変
位や発熱等によってインク液室内のインクを加圧してノ
ズル孔からインク液滴を吐出させて、紙等の記録材へ記
録を行っている。
【0005】ところが、最近のインクジェット記録装置
には、高速・高印字品質が求められており、特に、高印
字品質化の面では、特定の専用紙でなくても、高品質な
画像を得ることのできるインクジェット記録装置が要望
されている。
【0006】高印字品質化については、圧電素子あるい
は電機熱変換素子を利用したインクジェットのどちらの
場合でも、ノズル形状による吐出性能の影響が大きく、
ノズル形状のさらなる改善が求められている。ノズル内
の形状がインクの吐出に与える影響については、エネル
ギー発生手段からインクへのエネルギー伝播の仕方やイ
ンクがノズルを通ってインク滴となる過程に影響して、
結果として、画像品質に大きな影響を及ぼす。したがっ
て、高品質な画像を得るためには、飛翔するインク滴の
形状を一定にコントルールしながら、一方向にのみ吐出
させる必要がある。
【0007】このインク滴の形状を一定にコントルール
しながら、一方向にのみ吐出するためのノズルの構造と
しては、ノズル内部をテーパーとする方法がある。スト
レートノズルの安価な形成手段としては、ノズルに相当
するドライフィルムレジストをパターニングした導電性
基板上に電鋳を実施し、その後、基板及びドライフィル
ムレジストを剥離して形成する方法などがある。そし
て、露光量条件等の変量によって、ノズルの内部にさら
に大きなテーパーを設ける場合、多数個のノズルに対し
て径の精度とテーパー角度の制御との両面において安定
してノズルを形成することが困難である。
【0008】一方、低粘度なインクを普通紙に吐出して
印字した場合、インクのにじみなどの異常画像が見られ
るが、その原因としては、インクの粘度が低く紙の繊維
に沿ってインクが浸透すること等が挙げられ、その現象
については、紙へのインク浸透現象を表したLucas
−Washbaurnの式などからも説明される。
【0009】したがって、表面処理剤等を含む専用紙以
外の普通紙を用いた場合であっても、高品質な画像を出
力するためには、粘度の高いインクの採用が必要とな
る。
【0010】ところが、5mPa・s以上もの高粘度な
インクを吐出するためには、流体抵抗の低いノズル構成
が要求され、例えば、ノズル内部がストレート形状の場
合、または、テーパー角度が5゜以下程度のほぼストレ
ートであるノズル形状の場合には、小さな駆動電圧によ
り高粘度なインクの吐出を行うのは困難である。
【0011】そして、従来、レーザビームの照射により
開口する孔の傾斜角度が異なる複数の異種材料の板状体
を前記傾斜角度が小さいものから順次積層し、その積層
体の傾斜角度が小さい板状体の側からレーザビームを照
射し、開口された孔の断面形状を、各材料層内のテーパ
ー角度が次第に大きくした開口を形成し、この開口をノ
ズルとするインクジェット記録ヘッドのノズル板の製造
方法が提案されている(特開平11−91114号公報
参照)。
【0012】すなわち、このインクジェット記録ヘッド
のノズル板の製造方法は、レーザービームの照射により
ノズルを開口するに際して、ノズル形成部材を孔開口時
に発生する傾斜角度が異なるプレート材料を組み合わせ
ることで、ノズル断面形状を概略R形状に形成して、イ
ンクに対する流体抵抗を十分に小さくし、インクの吐出
効率を向上させようとしている。
【0013】また、従来、特開平8−132614号公
報、特開平8−276589号公報及び特開平10−5
8679号公報には、電鋳によりノズルを作製する方法
が開示されており、電析膜が電気絶縁性の被膜表面上で
せり出すことを利用して、電析膜のR形状にノズル形状
を形成しようとしている。また、特開平8−13261
4号公報及び特開平8−276589号公報では、電鋳
によるR形状内部を樹脂によりコーティングすること
で、その内部の形状をコントロールすることが開示され
ている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記各
公報記載の技術では、小さなエネルギーで吐出特性の良
好なノズルプレートを製造する上で、なお改良の必要が
あった。
【0015】すなわち、特開平11−91114号公報
記載のインクジェット記録ヘッドのノズル板の製造方法
にあっては、ノズル内部断面に少なくともいくつかの不
連続な箇所が生じ、ノズルの中でのインクのメニスカス
の変動等に悪影響が生じてインク噴射特性が悪化するお
それがあるとともに、異種材料間の界面の強度的な面で
の問題が発生する可能性が高い。
【0016】また、特開平8−132614号公報、特
開平8−276589号公報及び特開平10−5867
9号公報記載の技術では、電鋳を用いてノズル内部にR
形状を作製しようとしても、R形状を吐出性能を向上さ
せるだけ高精度に制御することはできず、安定して同じ
プロフィールのノズル形状を作成することができない。
その結果、ノズル孔間で形状が異なる結果となり、噴射
特性が悪化するおそれがあるという問題があった。
【0017】さらに、特開平8−132614号公報及
び特開平8−276589号公報では、電鋳によるR形
状内部を樹脂によりコーティングすることで、その内部
の形状をコントロールしようとしているが、電鋳による
R形状を精度良くコントロールすることができないた
め、樹脂のコーティングによって内部形状を一定に作製
することは困難である。
【0018】そこで、請求項1記載の発明は、粘度が5
mPa・s以上のインクの充填される複数の液室に対し
てそれぞれ連通する複数のノズルが形成され、液室の一
部に形成されアクチュエータで変形される振動板の復元
力によって発生する液室内の圧力変化で当該液室内のイ
ンクをノズルから吐出させるノズルプレートのノズル
を、その径が、液室内のインクが流入するインク流入側
から当該流入したインクを吐出させるインク吐出側へと
小さくなるとともに、その断面形状が、滑らかなラウン
ド形状に形成されたものとすることにより、ノズルを流
体抵抗が小さく、かつ、連続した面として、インクの粘
度が5mPa・s以上の高粘度インクであっても、比較
的小さな駆動電圧で充分なインク吐出を可能とするとと
もに、インク吐出性能を向上させて、省電力化、高速印
字及び高印字品質の可能なノズルプレートを提供するこ
とを目的としている。
【0019】請求項2記載の発明は、ノズルを、インク
吐出側からインク注入側の方向であって、ラウンド形状
部の端部から端部までの厚さの3/5の位置での径をイ
ンク吐出部の径で除算した値xが、1.3≦x≦1.7
の範囲のラウンド形状とするとともに、インク吐出側の
径とインク注入側の径の比が3以上とすることにより、
インクのメニスカスの保持力を高めて、外乱に対して強
いインク吐出を可能し、また、メニスカスのリフィルを
早くし、より一層高速印字及び高印字品質を安定して実
現可能なノズルプレートを提供することを目的としてい
る。
【0020】請求項3記載の発明は、粘度が5mPa・
s以上のインクの充填される複数の液室に対してそれぞ
れ連通する複数のノズルが形成され、液室の一部に形成
されアクチュエータで変形される振動板の復元力によっ
て発生する液室内の圧力変化で液室内のインクをノズル
から吐出させるノズルプレートを製造するに際して、所
定の基板上のノズルとなる部分に電気絶縁皮膜を形成
し、当該基板表面上に、硫黄元素を分子内に有する有機
添加剤またはベンゼン環骨格を有する有機添加剤、ある
いは、ベンゼン環骨格を有する有機添加剤の含有しため
っき液を用いた電鋳を実施した後、電気絶縁皮膜を除去
して、基板から電析膜を剥離し、当該電析膜を、その径
が液室内のインクが流入するインク流入側から当該流入
したインクを吐出させるインク吐出側へと小さくなるノ
ズルが形成されるとともに、当該ノズルの断面形状が滑
らかなラウンド形状に形成されているノズルプレートと
することにより、駆動力を効果的インクに伝播するイン
ク注入側からメニスカスの安定性及び加速的移動をもた
らすインク吐出側へと滑らかに連続するラウンド形状を
容易に作製するとともに、電析膜の横方向への成長を抑
制して、ノズル吐出孔の寸法安定性を向上させ、かつ、
硫黄成分でニッケル酸化皮膜のインクに対する耐腐食性
が向上して、高濃度・高粘度のインクに対してもインク
吐出精度が良好で、画像品質の良好なノズルプレートを
簡単かつ高精度に製造することのできるノズルプレート
の製造方法を提供することを目的としている。
【0021】請求項4記載の発明は、ノズルプレートの
インク吐出側の表面にニッケル-テフロン(登録商標)
等の所定の撥水皮膜の共析めっきを施すことにより、ノ
ズルプレートのインク吐出部周囲にインクが付着するこ
とを防止し、安定的に高画像品質を得ることのできるノ
ズルプレートを簡単かつ高精度に製造することのできる
ノズルプレートの製造方法を提供することを目的として
いる。
【0022】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明のノ
ズルプレートは、粘度が5mPa・s以上のインクの充
填される複数の液室に対してそれぞれ連通する複数のノ
ズルが形成され、前記液室の一部に形成されアクチュエ
ータで変形される振動板の復元力によって発生する前記
液室内の圧力変化で当該液室内のインクを前記ノズルか
ら吐出させるノズルプレートにおいて、前記ノズルは、
その径が、前記液室内のインクが流入するインク流入側
から当該流入したインクを吐出させるインク吐出側へと
小さくなるとともに、その断面形状が、滑らかなラウン
ド形状に形成されていることにより、上記目的を達成し
ている。
【0023】上記構成によれば、粘度が5mPa・s以
上のインクの充填される複数の液室に対してそれぞれ連
通する複数のノズルが形成され、液室の一部に形成され
アクチュエータで変形される振動板の復元力によって発
生する液室内の圧力変化で当該液室内のインクをノズル
から吐出させるノズルプレートのノズルを、その径が、
液室内のインクが流入するインク流入側から当該流入し
たインクを吐出させるインク吐出側へと小さくなるとと
もに、その断面形状が、滑らかなラウンド形状に形成さ
れたものとしているので、ノズルを流体抵抗が小さく、
かつ、連続した面として、インクの粘度が5mPa・s
以上の高粘度インクであっても、比較的小さな駆動電圧
で充分なインク吐出を可能とすることできるとともに、
インク吐出性能を向上させて、省電力化、高速印字及び
高印字品質の駆動を行うことができる。
【0024】この場合、例えば、請求項2に記載するよ
うに、前記ノズルは、前記インク吐出側から前記インク
注入側の方向であって、前記ラウンド形状部の端部から
端部までの厚さの3/5の位置での径nをインク吐出部
の径Noで除算した値をx(=n/No)とすると、当該
x値が、1.3≦x≦1.7の範囲であって、かつ、イ
ンク吐出側の径とインク注入側の径の比が3以上であっ
てもよい。
【0025】上記構成によれば、ノズルを、インク吐出
側からインク注入側の方向であって、ラウンド形状部の
端部から端部までの厚さの3/5の位置での径をインク
吐出部の径で除算した値xが、1.3≦x≦1.7の範
囲のラウンド形状とするとともに、インク吐出側の径と
インク注入側の径の比が3以上としているので、インク
のメニスカスの保持力を高めて、外乱に対して強いイン
ク吐出を可能とすることができ、また、メニスカスのリ
フィルを早くすることができ、より一層高速印字及び高
印字品質を安定して実現することができる。
【0026】請求項3記載の発明のノズルプレートの製
造方法は、粘度が5mPa・s以上のインクの充填され
る複数の液室に対してそれぞれ連通する複数のノズルが
形成され、前記液室の一部に形成されアクチュエータで
変形される振動板の復元力によって発生する前記液室内
の圧力変化で当該液室内のインクを前記ノズルから吐出
させるノズルプレートの製造方法において、所定の基板
上の前記ノズルとなる部分に電気絶縁皮膜を形成し、当
該基板表面上に、硫黄元素を分子内に有する有機添加剤
またはベンゼン環骨格を有する有機添加剤、あるいは、
ベンゼン環骨格を有する有機添加剤の含有しためっき液
を用いた電鋳を実施した後、電気絶縁皮膜を除去して、
前記基板から電析膜を剥離し、当該電析膜を、その径が
前記液室内のインクが流入するインク流入側から当該流
入したインクを吐出させるインク吐出側へと小さくなる
前記ノズルが形成されるとともに、当該ノズルの断面形
状が滑らかなラウンド形状に形成されているノズルプレ
ートとすることにより、上記目的を達成している。
【0027】上記構成によれば、粘度が5mPa・s以
上のインクの充填される複数の液室に対してそれぞれ連
通する複数のノズルが形成され、液室の一部に形成され
アクチュエータで変形される振動板の復元力によって発
生する液室内の圧力変化で液室内のインクをノズルから
吐出させるノズルプレートを製造するに際して、所定の
基板上のノズルとなる部分に電気絶縁皮膜を形成し、当
該基板表面上に、硫黄元素を分子内に有する有機添加剤
またはベンゼン環骨格を有する有機添加剤、あるいは、
ベンゼン環骨格を有する有機添加剤の含有しためっき液
を用いた電鋳を実施した後、電気絶縁皮膜を除去して、
基板から電析膜を剥離し、当該電析膜を、その径が液室
内のインクが流入するインク流入側から当該流入したイ
ンクを吐出させるインク吐出側へと小さくなるノズルが
形成されるとともに、当該ノズルの断面形状が滑らかな
ラウンド形状に形成されているノズルプレートとしてい
るので、駆動力を効果的インクに伝播するインク注入側
からメニスカスの安定性及び加速的移動をもたらすイン
ク吐出側へと滑らかに連続するラウンド形状を容易に作
製することができるとともに、電析膜の横方向への成長
を抑制して、ノズル吐出孔の寸法安定性を向上させこと
ができ、かつ、硫黄成分でニッケル酸化皮膜のインクに
対する耐腐食性が向上して、高濃度・高粘度のインクに
対してもインク吐出精度が良好で、画像品質の良好なノ
ズルプレートを簡単かつ高精度に製造することができ
る。
【0028】この場合、例えば、請求項4に記載するよ
うに、前記ノズルプレートの製造方法は、前記ノズルプ
レートの前記インク吐出側の表面に所定の撥水皮膜の共
析めっきを施してもよい。
【0029】上記構成によれば、ノズルプレートのイン
ク吐出側の表面にニッケル-テフロン等の所定の撥水皮
膜の共析めっきを施しているので、ノズルプレートのイ
ンク吐出部周囲にインクが付着することを防止すること
ができ、安定的に高画像品質を得ることのできるノズル
プレートを簡単かつ高精度に製造することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述
べる実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であるか
ら、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本
発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定す
る旨の記載がない限り、これらの態様に限られるもので
はない。
【0031】図1〜図3は、本発明のノズルプレート及
びノズルプレートの製造方法の一実施の形態を示す図で
あり、図1は、本発明のノズルプレート及びノズルプレ
ートの製造方法の一実施の形態を適用したノズルプレー
トの正面断面図である。
【0032】図1において、ノズルプレート1は、ニッ
ケル、コバルト、マンガン、銅、鉄、亜鉛等の金属で形
成されており、ノズルプレート1には、図1では、1個
のみしか示していないが、複数のノズル2が形成されて
いる。ノズル2は、その径2rが、インク流入部2iか
らインク吐出部2oに向かって小さくなる円形状に形成
されており、ノズル2は、その内部壁面が、インク流入
側2iからインク吐出側2oに向かって滑らかに連続す
るR形状(ラウンド形状)に形成されている。特に、ノ
ズル2は、図2に示すように、その断面形状が、インク
吐出部2o付近において、円柱形状に近い略円錐台形状
に形成されている。
【0033】そして、ノズル2は、そのR形状におい
て、インク吐出部2oからインク流入部2iの方向であ
ってR形状部の端部−端部間の厚さDの3/5地点での
径nを、インク吐出部2oの径Noで除算した値をx
(x=n/No)とすると、値xが1.3≦x≦1.7の
範囲であって、かつ、インク吐出部2oの径Noとイン
ク流入部2iの径Niの比(Ni/No)が3以上(N
i/No≧3)となるR形状に形成されており、特に、
図2に示すように、インク吐出部2oの径Noとインク
流入部2iの径Niの比(Ni/No)が大きい方がイ
ンク吐出性能が向上する。
【0034】そして、このノズルプレート1におけるノ
ズル2は、以下の製造工程により製造される。すなわ
ち、まず、図3に示すように、基板10として、少なく
とも表面に導電性を有する部材、例えば、ステンレス
(SUS)を用い、基板10は、後述するNi電析によ
り生じる応力に対して変形することのない十分な厚みを
有している。
【0035】この基板10上に、図3に示すように、ド
ライフィルムレジスト(DFR)等の電気絶縁皮膜11
をパターン形成し、その表面上にNi電鋳等の電鋳を実
施した後、電気絶縁皮膜11を除去する。さらに、基板
10から電析膜12を剥離して、電析膜12をノズル2
の形成されたノズルプレート1とする。そして、ノズル
プレート1の材質としては、上述のように、ニッケル、
コバルト、マンガン、銅、鉄、亜鉛等の金属を用いるこ
とができる。
【0036】なお、上記ノズルプレート1の製造方法で
は、電鋳を行う方法を示したが、プレス等の方法でノズ
ル2を形成したノズルプレート1を製造してもよい。
【0037】そして、上記ノズルプレート1の製造方法
において、ノズル2の内部にR形状をしたノズル2を少
なくとも電鋳をその工程の一部として用いて製造する場
合、S(硫黄)元素を分子内に有する有機添加剤、ある
いは、ベンゼン環骨格を有する有機添加剤を含むめっき
液を用いる。この硫黄元素を分子内に有する有機添加剤
あるいはベンゼン環骨格を有する有機添加剤としては、
スルフォン酸系、スルフォンアミド系、スルフォンイミ
ド系、クマリンやサッカリンの類及びその塩類等を用い
ることができる。これらの硫黄元素を分子内に有する有
機物、あるいは、ベンゼン環骨格を有する有機添加剤を
めっき液中に添加すると、有機添加剤の電析面への吸着
が生じ、膜厚方向への結晶成長の抑制と、電流密度分布
の緩和と高電流密度部の集中析出の抑制が行われる。さ
らに、ノズル2の外周の接線方向に歪んでいるめっき応
力により、ノズル2の中心方向への歪みもR形状に影響
する。したがって、例えば、図3のように、ノズルプレ
ート1を電鋳により作製する場合に、電気絶縁皮膜11
上へせり出すことによりノズル吐出部2o側を形成する
部分の電析が抑制され、結果として、インク注入部2i
側からインク吐出部2o側へとR形状の傾斜がきつく、
略円柱状に近い略円錐台形状が形成される。また、ノズ
ルプレート1を上記条件により電鋳で作製する場合、電
気絶縁皮膜11上への電析のせり出しが抑制されること
によって、電気絶縁皮膜11の径に対する電析のせり出
す量が減り、せり出し時に生じ易い異形が発生しにくく
なって、ノズル2の形状が安定化し、高品質の画像形成
が可能となる。
【0038】次に、本実施の形態の作用を説明する。本
実施の形態のノズルプレート1は、ニッケル、コバル
ト、マンガン、銅、鉄、亜鉛等の金属で形成されてお
り、ノズルプレート1には、その径2rが、インク流入
部2iからインク吐出部2oに向かって小さくなる円形
状のノズル2が形成されており、ノズル2は、その内部
壁面がインク流入部2i側からインク吐出部2o側に向
かって滑らかに連続するR形状に形成されている。特
に、ノズル2は、図2に示すように、その断面形状が、
インク吐出部2o付近において、円柱形状に近い略円錐
台形状に形成されている。
【0039】さらに、ノズル2は、そのR形状におい
て、インク注入部2iからインク吐出部2o側にかけて
のR形状を示す値として、インク吐出部2oの径Noと
ノズル2の内部側の径との比を用いて評価し、R形状部
の端部−端部間の厚さDの3/5地点での径nを、イン
ク吐出部2oの径Noで除算した値をx(x=n/No)
とすると、後述するように、値xが1.3≦x≦1.7
の範囲であって、かつ、インク吐出部2oの径Noとイ
ンク流入部2iの径Niの比(Ni/No)が3以上
(Ni/No≧3)である場合に、インク吐出部2oで
のインク滴の体積Mjとインク滴の吐出速度Vjが安定
し、安定かつ高品質な画像、さらには、高速印字記録が
可能となるため、図2に示すように、インク吐出部2o
の径NoをR形状部の端部−端部間の厚さDの3/5地
点での径nで除算した値xが、1.3≦x≦1.7の範
囲であって、かつ、インク吐出部2oの径Noとインク
流入部2iの径Niの比(Ni/No)が3以上となる
R形状に形成されている。
【0040】したがって、本実施の形態のノズルプレー
ト1は、インク吐出部側からインク注入部側にかけてそ
の内部がストレートになっているノズルプレートに比較
して、流体抵抗が少なく、さらに、駆動素子に対するイ
ンク接触面積を大きくすることができ、駆動力の弱い静
電気力による振動板の変位エネルギーをノズルプレート
1のインク注入部2iのインクへ充分に伝播することが
できる。さらに、ノズル2のR形状が滑らかにインク吐
出部2o側からインク注入部2i側へと連続してすぼま
っているため、その断面形状に不連続な点が存在せず、
粘度が5mPa・s以上の高粘度インクであっても、安
定したインクの吐出を行うことができる。
【0041】すなわち、ノズルプレート1のノズル2の
形状がインク滴の特性に大きな影響を及ぼすことは従来
から分かっており、例えば、インク吐出部2oの径No
がインク滴の体積Mjとインク滴の吐出速度Vjに大き
な影響を与え、ノズル2内部の形状はインク滴の吐出方
向や吐出安定性に大きな影響を及ぼす。
【0042】このノズル2の内部形状がインク滴の吐出
に大きな影響を及ぼすのは、ノズル2の内部で形成され
るインクのメニスカスの状態変化によるところが大き
く、特に、インクのリフィル(インクのメニスカスを初
期位置まで再び満たすこと)は、画像品質及び記録速度
に影響する。インクのメニスカスは、ノズル2の最小径
部に形成され、ノズル2からインクが吐出された後は、
インクのメニスカス位置は、大きくインク注入部2i側
に引き込まれた状態へと変化するが、このインクがノズ
ル2の内部に引き込まれたると、次のインク滴を吐出す
るまでに初期のメニスカス位置に戻ることが要求され
る。インクメニスカスが充分戻りきらないうちに、次の
インク滴を吐出するための駆動信号が入力されると、イ
ンク滴の体積Mjが小さくなり、インク滴の吐出速度V
jが速くなる。そして、上述のように、インク滴の体積
Mj及びインク滴の吐出速度Vjは、ドロップオンデマ
ンド型のインクジェットヘッドにおいて、出力画像に大
きな影響を与え、これらのインク滴の体積Mj及びイン
ク滴の吐出速度Vjが不安定であると、出力画像の品質
が低下する。また、インクのメニスカスをより速いタイ
ミングで初期位置に戻すことにより、インク滴の吐出の
駆動周波数を高くすることができ、記録速度を高速化す
ることができる。
【0043】ここで、インクのメニスカスの初期位置へ
の復帰速度を制御する方法には、次のような方法があ
る。まず、最初の方法は、ノズル内の毛管力の大きさで
あって、ノズルの内部の径を小さくすることで、毛管力
が大きくなり、メニスカスの復帰速度を速くすることが
できる。ところが、ノズルの内部の径を小さくして毛管
力をコントロールしようとすると、インク滴の体積Mj
が小さくなるという不具合が生じる。
【0044】そして、インク滴の体積Mjを小さくする
ことなく毛管力を向上させるには、ノズルの内部形状
を、本実施の形態のノズルプレート1のノズル2のよう
に、インク吐出部2o側に向かって連続的に絞り込んだ
形状とすることが好ましい。ノズル2の形状のインクジ
ェットヘッドの性能に及ぼす影響としては、上記のよう
なインクのリフィル能力の変化と、インクのリフィル能
力の変化による画像品質及び記録速度の変化の他に、種
々の外乱に対する強さがある。例えば、ノズルプレート
1には、印字の際に往復運動することによって生じる振
動、隣接するノズル2の駆動による残留振動等の種々の
外乱が起こる可能性があり、このような外乱が生じた場
合に、インクのメニスカスに影響し、出力画像に乱れが
生じ易くなる。ノズルをこのような外乱に強いノズルと
するためには、インクのメニスカスが変動しない状況に
することが好ましく、そのためには、ノズルの内部形状
をメニスカス形成部とほぼ同一の略円柱状とすること
で、対応することができる。
【0045】すなわち、高品質画像と高速印字記録、さ
らには、外乱に強く常に安定した画像形成を行うために
は、本実施の形態のノズルプレート1のノズル2のよう
に、その断面形状が、R形状、特に、図2に示したよう
に、インク吐出部2oの付近において円柱形状に近い略
円錐台形状であることが望ましい。
【0046】そして、実験の結果、ノズル2のR形状に
おいて、インク注入部2i側からインク吐出部2o側へ
かけてのR形状を示す値として、上述のように、インク
吐出部2oの径Noとノズル2の内部側の径との比を用
いて評価し、インク吐出部2oからインク流入部2iの
方向であってR形状部の端部−端部間の厚さDの3/5
地点での径nを、インク吐出部2oの径Noで除算した
値をx(x=n/No)とすると、値xが1.3≦x≦
1.7の範囲であって、かつ、インク吐出部2oの径N
oとインク流入部2iの径Niの比(Ni/No)が3
以上(Ni/No≧3)である場合に、インク吐出部2
oでのインク滴の体積Mjとインク滴の吐出速度Vjが
安定し、粘度が5mPa・s以上の高粘度インクであっ
ても、安定かつ高品質な画像、さらには、高速印字記録
が可能となる。例えば、図1のノズル2のR形状と図2
のノズル2のR形状を比較した場合、図2のノズル2の
R形状の方が、安定したインク滴の体積Mj及びインク
滴の吐出速度Vjを得ることができ、粘度が5mPa・
s以上の高粘度インクであっても、高品質画像と高速印
字記録、さらには、外乱に強く常に安定した画像形成を
行うことができる。
【0047】なお、本実施の形態のノズルプレート1に
おいて、ノズルプレート1のインク吐出部2o側の表面
に、ニッケル―テフロン(登録商標)等の撥水皮膜の共
析めっきを施してもよい。
【0048】このようにすると、ノズルプレート1のイ
ンク吐出部2oの周囲にインクが付着することを防止す
ることができ、安定的に高画像品質を得ることができ
る。
【0049】
【実施例】〈比較例1〉比較例1として、ストレート形
状のノズルを有するノズルプレートを作成して、圧電素
子型駆動アクチュエータに接合してインクジェットヘッ
ドとした。
【0050】このノズルプレートは、膜厚が、50μm
であり、ノズルは、その径が、20μmで、ストレート
形状に形成されて、600dpiとなるように配列され
ている。ノズルプレートは、ノズルに相当するドライフ
ィルムレジストをパターニングしたSUS基板上にニッ
ケルを電鋳し、その後、基板及びドライフィルムレジス
トを剥離して、ストレート形状のノズルの形成されてい
るノズルプレートを形成した。また、ノズルのストレー
ト形状は、ドライフィルムパターニングの条件により、
約5゜のテーパを設けている。
【0051】このノズルプレートを取り付けたインクジ
ェットヘッドを使用して駆動し、評価するに際して、イ
ンク滴の体積Mjを24plとし、インクの吐出速度V
jが7m/sとなるように設定して、1パルスで行った
ところ、駆動に要した電圧は、図4に示すように、26
Vであり、このノズルプレートを用いたインク滴を吐出
させたところ、1プレート内の径精度が、±1.5μm
(図4参照)であった。なお、図4において、x値は、
インク吐出側よりインク注入側の方向にノズルのR部の
端部−端部間の厚さの3/5の位置での径nを、インク
吐出部の径Noで除した値(=n/No)である。
【0052】また、16KHzの駆動周波数に対する対
応については、インクの吐出速度Vjが所定の変動値
(±1m/s)の近辺で変動し、やや不安定であった。
【0053】〈比較例2〉比較例2として、比較例1と
同様のノズルプレートを用い、評価に使用するインク粘
度を8smPa・sとして、同様の評価を行った。
【0054】その際の駆動に要した駆動電圧は、図4に
示すように、34Vであったが、インクの吐出は、非常
に不安定であり、駆動周波数に対応できるレベルではな
かった。また、1プレート内の径精度は、±1.5μm
であった。
【0055】〈実施例1〉実施例1として、ラウンド形
状のノズルを有するノズルプレートを作成して、圧電素
子型駆動アクチュエータに接合してインクジェットヘッ
ドとした。
【0056】このノズルプレートは、ドライフィルムレ
ジストを膜厚1.1μmにパターニングしたSUS基板
上へニッケル電鋳を行い、その後、SUS基板とレジス
トを剥離して形成した。そして、このノズルプレートに
は、600dpiでノズルが形成されている。
【0057】この際、ノズルの形状は、ドライフィルム
レジストのパターンにならうものではなく、電析膜がド
ライフィルム表面上でせり出し成長することで、ラウン
ド形状とした。電析の膜厚は、比較例1と同様に、50
μm程度とした。この際、ノズル径が、30μmとなる
ように、膜厚を調整した。使用しためっき液は、以下の
もので、めっき液:スルファミン酸ニッケルめっき、表
面張力:41dyne/cm、pH:4.0(ホウ酸お
よびスルファミン酸により調整)である。
【0058】このとき、ノズルのR部の端部−端部間の
厚さの3/5の地点での径nを、インク吐出部の径No
で除した値xは、2.0(x=2.0)(図4参照)で
あって、インク吐出側の径とインク注入側の径の比は、
4.5であった。
【0059】このノズルプレートを静電型駆動のインク
ジェットヘッドに取り付けて比較例2と同様に、インク
粘度を8mPa・sとして、評価したところ、駆動に要
した電圧は、図4に示すように、22Vであり、比較例
2のストレートノズルの場合に比較して、8Vも低下さ
せることができ、16KHzの駆動周波数に対しても良
好な結果が得られた。
【0060】また、1プレート内の径精度は、±0.6
μmと向上し、さらに、ノズルプレートの高粘度インク
に対する耐腐食試験でも良好な結果を得ることができ
た。
【0061】〈実施例2〉実施例2として、ラウンド形
状のノズルを有するノズルプレートを作成して、圧電素
子型駆動アクチュエータに接合してインクジェットヘッ
ドとした。
【0062】このノズルプレートは、実施例1と同様
に、600dpiのノズルが形成されている。
【0063】このノズルプレートは、実施例1と同様の
作製方法で作成したが、めっき液に硫黄元素を分子内に
有する有機添加剤(ナフタレン−1,3,6−トリスル
フォン酸トリナトリウム)を加え、濃度を0.9g/l
に調製して、ラウンド形状のノズルを有するノズルプレ
ートを作製した。
【0064】この際、ノズルのR部の端部−端部間の厚
さの3/5の地点での径nを、インク吐出部の径Noに
より除した値xは、1.7(x=1.7)(図4参照)
であって、インク吐出側の径とインク注入側の径の比
は、5.0であった。
【0065】このノズルプレートを圧電素子型駆動のイ
ンクジェットヘッドに取り付けて比較例2と同様に評価
するに際して、インク粘度を5smPa・sとなるよう
に設定したところ、駆動に要した電圧は、図4に示すよ
うに、実施例1と同様に、Vj7m/sを得るための駆
動に要した電圧は、22Vであり、16kHzの駆動周
波数対応についても良好な結果が得られた。
【0066】また、1プレート内の径精度は、±0.6
μm(図4参照)とさらに向上し、さらに、ノズルプレ
ートの高粘度インクに対する耐腐食試験でも良好な結果
を得ることができた。
【0067】〈実施例3〉実施例3として、実施例2と
同様のラウンド形状のノズルを有するノズルプレートを
作成して、圧電素子型駆動アクチュエータに接合してイ
ンクジェットヘッドとした。
【0068】このノズルプレートは、実施例1と同様
に、600dpiのノズルが形成されている。
【0069】このノズルプレートは、実施例1と同様の
作製方法で作成したが、めっき液に硫黄元素を分子内に
有する有機添加剤を3.0g/lに調製して、ラウンド
形状のノズルを有するノズルプレートを作製した。
【0070】この際、ノズルのR部の端部−端部間の厚
さの3/5の地点での径nを、インク吐出部の径Noに
より除した値xは、1.5(x=1.5)(図4参照)
でって、インク吐出側の径とインク流入側の径の比は、
4.0であった。
【0071】このノズルプレートを圧電素子型駆動のイ
ンクジェットヘッドに取り付けて実施例1と同様に評価
するに際して、インク粘度を5mPa・sとして、イン
ク吐出速度Vjが7m/sとなるように設定したとこ
ろ、駆動に要した電圧は、図4に示すように、実施例1
と同程度の24Vであり、16kHzの駆動周波数対応
についても良好な結果が得られた。
【0072】また、1プレート内の径精度は、±0.4
μm(図4参照)と良好であり、さらに、ノズルプレー
トの高粘度インクに対する耐腐食試験でも良好な結果を
得ることができた。
【0073】〈実施例4〉実施例4として、実施例2の
ラウンド形状のノズルを有するノズルプレートを作成し
て、圧電素子型駆動アクチュエータに接合してインクジ
ェットヘッドとした。
【0074】このノズルプレートは、実施例2と同様の
作製方法で作成したが、めっき液に硫黄元素を分子内に
有する有機添加剤を7.0g/lに調製して、ラウンド
形状のノズルを有するノズルプレートを作製した。
【0075】この際、ノズルのR部の端部−端部間の厚
さの3/5の地点での径nを、インク吐出部の径Noに
より除した値xは、1.3(x=1.3)(図4参照)
であって、インク吐出側の径とインク注入側の径の比
は、3.8であった。
【0076】このノズルプレートを圧電素子型駆動のイ
ンクジェットヘッドに取り付けて実施例1と同様に評価
するに際して、インク粘度を5mPa・sとして、イン
ク吐出速度Vjが7m/sとなるように設定したとこ
ろ、駆動に要した電圧は、図4に示すように、実施例1
よりもやや大きい26Vであり、16kHzの駆動周波
数対応についても良好な結果が得られた。
【0077】また、1プレート内の径精度は、±0.4
μm(図4参照)と良好であり、さらに、ノズルプレー
トの高粘度インクに対する耐腐食試験でも良好な結果を
得ることができた。
【0078】〈実施例5〉実施例5として、実施例2の
ラウンド形状のノズルを有するノズルプレートを作成し
て、圧電素子型駆動アクチュエータに接合してインクジ
ェットヘッドとした。
【0079】このノズルプレートは、実施例2と同様の
作製方法で作成したが、めっき液に硫黄元素を分子内に
有する有機添加剤を7.0g/lに調製して、ラウンド
形状のノズルを有するノズルプレートを作製した。
【0080】なお、ドライフィルムレジストのパターニ
ング径を、φ90μm、膜厚を、1.1μmとし、ノズ
ルの膜厚を30μm程度、ノズル径が30μmとなるよ
うに作製した。
【0081】この際、ノズルのR部の端部−端部間の厚
さの3/5の地点での径nを、インク吐出部の径Noに
より除した値xは、1.3(x=1.3)(図4参照)
であって、インク吐出側の径とインク注入側の径の比
は、3.0であった。
【0082】このノズルプレートを圧電素子型駆動のイ
ンクジェットヘッドに取り付けて実施例1と同様に評価
するに際して、インク粘度を5mPa・sとして、イン
ク吐出速度Vjが7m/sとなるように設定したとこ
ろ、駆動に要した電圧は、図4に示すように、実施例1
よりもやや大きい25Vであり、1プレート内の径精度
は、±0.4μm(図4参照)と良好であった。
【0083】また、駆動周波数特性については、Vjが
±1m/s以内の変動となる領域の駆動周波数が、18
kHzであった。
【0084】そして、上記実施例1から実施例5のノズ
ル表面には、Ni−PTFEの共析めっき膜によりめっ
きコーティングが施してあり、インクの付着残さがな
く、安定したインク吐出が可能であった。
【0085】〈実施例6〉実施例6として、実施例2の
ラウンド形状のノズルを有するノズルプレートを作成し
て、圧電素子型駆動アクチュエータに接合してインクジ
ェットヘッドとした。
【0086】このノズルプレートは、実施例2と同様の
作製方法で作成したが、ドライフィルムレジストのパタ
ーニング径が、φ120μm、膜厚が、1.1μmと
し、電析膜圧が、50μmとなるように作製した。
【0087】この際、めっき液に添加する硫黄元素を分
子内に有する有機添加剤の濃度を変量し、ノズルのイン
ク吐出側の径とインク注入側の径を測定したところ、硫
黄元素を分子内に有する有機添加剤の濃度に対して、イ
ンク注入側の径/インク吐出側の径の比率は、図5に示
すように変化した。
【0088】図5から分かるように、硫黄元素を分子内
に有する有機添加剤の濃度が高くなるほどインク注入側
の径/インク吐出側の径の比率は小さくなり、せり出し
量が小さくなることを確認することができた。そして、
インク注入側の径/インク吐出側の径の比率が小さくな
るに従ってノズルの寸法が安定した。
【0089】以上、本発明者によってなされた発明を好
適な実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は
上記のものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱
しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもな
い。
【0090】
【発明の効果】請求項1記載の発明のノズルプレートに
よれば、粘度が5mPa・s以上のインクの充填される
複数の液室に対してそれぞれ連通する複数のノズルが形
成され、液室の一部に形成されアクチュエータで変形さ
れる振動板の復元力によって発生する液室内の圧力変化
で当該液室内のインクをノズルから吐出させるノズルプ
レートのノズルを、その径が、液室内のインクが流入す
るインク流入側から当該流入したインクを吐出させるイ
ンク吐出側へと小さくなるとともに、その断面形状が、
滑らかなラウンド形状に形成されたものとしているの
で、ノズルを流体抵抗が小さく、かつ、連続した面とし
て、インクの粘度が5mPa・s以上の高粘度インクで
あっても、比較的小さな駆動電圧で充分なインク吐出を
可能とすることできるとともに、インク吐出性能を向上
させて、省電力化、高速印字及び高印字品質の駆動を行
うことができる。
【0091】請求項2記載の発明のノズルプレートによ
れば、ノズルを、インク吐出側からインク注入側の方向
であって、ラウンド形状部の端部から端部までの厚さの
3/5の位置での径をインク吐出部の径で除算した値x
が、1.3≦x≦1.7の範囲のラウンド形状とすると
ともに、インク吐出側の径とインク注入側の径の比が3
以上としているので、インクのメニスカスの保持力を高
めて、外乱に対して強いインク吐出を可能とすることが
でき、また、メニスカスのリフィルを早くすることがで
き、より一層高速印字及び高印字品質を安定して実現す
ることができる。
【0092】請求項3記載の発明のノズルプレートの製
造方法によれば、粘度が5mPa・s以上のインクの充
填される複数の液室に対してそれぞれ連通する複数のノ
ズルが形成され、液室の一部に形成されアクチュエータ
で変形される振動板の復元力によって発生する液室内の
圧力変化で液室内のインクをノズルから吐出させるノズ
ルプレートを製造するに際して、所定の基板上のノズル
となる部分に電気絶縁皮膜を形成し、当該基板表面上
に、硫黄元素を分子内に有する有機添加剤またはベンゼ
ン環骨格を有する有機添加剤、あるいは、ベンゼン環骨
格を有する有機添加剤の含有しためっき液を用いた電鋳
を実施した後、電気絶縁皮膜を除去して、基板から電析
膜を剥離し、当該電析膜を、その径が液室内のインクが
流入するインク流入側から当該流入したインクを吐出さ
せるインク吐出側へと小さくなるノズルが形成されると
ともに、当該ノズルの断面形状が滑らかなラウンド形状
に形成されているノズルプレートとしているので、駆動
力を効果的インクに伝播するインク注入側からメニスカ
スの安定性及び加速的移動をもたらすインク吐出側へと
滑らかに連続するラウンド形状を容易に作製することが
できるとともに、電析膜の横方向への成長を抑制して、
ノズル吐出孔の寸法安定性を向上させことができ、か
つ、硫黄成分でニッケル酸化皮膜のインクに対する耐腐
食性が向上して、高濃度・高粘度のインクに対してもイ
ンク吐出精度が良好で、画像品質の良好なノズルプレー
トを簡単かつ高精度に製造することができる。
【0093】請求項4記載の発明のノズルプレートの製
造方法によれば、ノズルプレートのインク吐出側の表面
にニッケル-テフロン等の所定の撥水皮膜の共析めっき
を施しているので、ノズルプレートのインク吐出部周囲
にインクが付着することを防止することができ、安定的
に高画像品質を得ることのできるノズルプレートを簡単
かつ高精度に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のノズルプレート及びノズルプレートの
製造方法の一実施の形態を適用したノズルプレートのノ
ズル部の正面拡大断面図。
【図2】図1のノズルプレートのノズルが円柱形状に近
い略円錐台形状の場合の正面拡大断面図。
【図3】図1のノズルプレートの製造過程を示す基板上
に電気絶縁皮膜を形成して電析でノズルプレートを製造
している状態を示す正面断面図。
【図4】比較例と実施例1から実施例5のノズル形状、
インク粘度、x値、径の比、駆動電力、駆動周波数及び
径精度を比較して示す図。
【図5】めっき液に添加する硫黄元素を分子内に有する
有機添加剤の濃度とノズルの注入側径/吐出側径の比率
の関係を示す図。
【符号の説明】
1 ノズルプレート 2 ノズル 2i インク流入部 2o インク吐出部 2r ノズル径 10 基板 11 電気絶縁皮膜 12 電析膜

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】粘度が5mPa・s以上のインクの充填さ
    れる複数の液室に対してそれぞれ連通する複数のノズル
    が形成され、前記液室の一部に形成されアクチュエータ
    で変形される振動板の復元力によって発生する前記液室
    内の圧力変化で当該液室内のインクを前記ノズルから吐
    出させるノズルプレートにおいて、前記ノズルは、その
    径が、前記液室内のインクが流入するインク流入側から
    当該流入したインクを吐出させるインク吐出側へと小さ
    くなるとともに、その断面形状が、滑らかなラウンド形
    状に形成されていることを特徴とするノズルプレート。
  2. 【請求項2】前記ノズルは、前記インク吐出側から前記
    インク注入側の方向であって、前記ラウンド形状部の端
    部から端部までの厚さの3/5の位置での径nをインク
    吐出部の径Noで除算した値をx(=n/No)とする
    と、当該x値が、1.3≦x≦1.7の範囲であって、
    かつ、インク吐出側の径とインク注入側の径の比が3以
    上であることを特徴とする請求項1記載のノズルプレー
    ト。
  3. 【請求項3】粘度が5mPa・s以上のインクの充填さ
    れる複数の液室に対してそれぞれ連通する複数のノズル
    が形成され、前記液室の一部に形成されアクチュエータ
    で変形される振動板の復元力によって発生する前記液室
    内の圧力変化で当該液室内のインクを前記ノズルから吐
    出させるノズルプレートの製造方法において、所定の基
    板上の前記ノズルとなる部分に電気絶縁皮膜を形成し、
    当該基板表面上に、硫黄元素を分子内に有する有機添加
    剤またはベンゼン環骨格を有する有機添加剤、あるい
    は、ベンゼン環骨格を有する有機添加剤の含有しためっ
    き液を用いた電鋳を実施した後、電気絶縁皮膜を除去し
    て、前記基板から電析膜を剥離し、当該電析膜を、その
    径が前記液室内のインクが流入するインク流入側から当
    該流入したインクを吐出させるインク吐出側へと小さく
    なる前記ノズルが形成されるとともに、当該ノズルの断
    面形状が滑らかなラウンド形状に形成されているノズル
    プレートとすることを特徴とするノズルプレートの製造
    方法。
  4. 【請求項4】前記ノズルプレートの製造方法は、前記ノ
    ズルプレートの前記インク吐出側の表面に所定の撥水皮
    膜の共析めっきを施すことを特徴とする請求項3記載の
    ノズルプレートの製造方法。
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