JP2003079390A - ステロールの製造方法 - Google Patents

ステロールの製造方法

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JP2003079390A
JP2003079390A JP2001278420A JP2001278420A JP2003079390A JP 2003079390 A JP2003079390 A JP 2003079390A JP 2001278420 A JP2001278420 A JP 2001278420A JP 2001278420 A JP2001278420 A JP 2001278420A JP 2003079390 A JP2003079390 A JP 2003079390A
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sterol
fatty acid
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enzyme
acid ester
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JP2001278420A
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Yoichi Watanabe
洋一 渡辺
Yuko Yamaguchi
優子 山口
Yoshiaki Takagi
良彰 高木
Yuji Shimada
裕司 島田
Hisahiro Nagao
寿浩 永尾
Akio Sugihara
耿雄 杉原
Yoshio Tominaga
嘉男 富永
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Nisshin Oillio Ltd
Osaka City
Original Assignee
Nisshin Oillio Ltd
Osaka City
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来有効に利用されていなかったステロール
脂肪酸エステルを温和な条件にて遊離ステロールに変換
し回収する方法の提供。 【解決手段】 ステロール脂肪酸エステルを酵素により
遊離型ステロールに変換することを含むステロールの製
造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビタミンあるいは
ホルモンの原料として、又は血漿中コレステロール低下
作用を有する機能性素材などとして有用なステロールの
製造方法に関する。より詳しくは、本発明は、天然物及
び/又は化学的合成物由来のステロール脂肪酸エステ
ル、特に油糧種子からの食用油精製工程で副生する脱臭
留出物中に含有するステロール脂肪酸エステルを酵素に
より遊離型ステロールに変換することを特徴とする新規
なステロールの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ステロールはすべての動植物細胞の構成
成分の一つであり、ほとんどの生物に存在し、生体内に
おいて遊離アルコールの形態、あるいは脂肪酸エステ
ル、硫酸エステルなどの形態で、植物においてはフェル
ラ酸エステルや配糖体の形態で存在する。一般に、生体
膜中に存在しているときは遊離型の場合が多いが、動植
物組織中では脂肪酸エステルの形態をとることが多い。
その結合脂肪酸は、ヒト血清ではリノール酸、アラキド
ン酸が多く、肝臓などではオレイン酸が主成分である。
また、植物組織ではパルミチン酸、オレイン酸、リノー
ル酸、リノレン酸が一般的である。また、脊椎動物にみ
られる胆汁酸や各種のステロイドホルモンはコレステロ
ールの誘導体である。植物に存在する主なステロール
は、β-シトステロール、スチグマステロール、カンペ
ステロール、ブラシカステロールなどであり、しばしば
フィトステロールという総称で呼ばれている。これらス
テロールは動植物の油脂中に約0.1〜0.5質量%、海産動
物油には1〜1.5質量%程度含まれている。
【0003】一般的に、植物ステロールの製造には、食
用油の製造工程すなわち脱臭工程で副生する脱臭留出物
あるいはその濃縮物などが出発原料として用いられてい
る。従来からのステロールの製造方法としては、これら
ステロール含有成分を鹸化分解し有機溶剤で不鹸化物を
抽出した後に冷却して結晶ステロールを析出させて回収
する方法、又は鹸化後に酸分解し遊離脂肪酸を蒸留除去
した後に冷却して結晶ステロールを析出させて回収する
方法等がある。しかし、これらの既知方法は操作が煩雑
で工業的製造は困難であり且つ製造費用も高価なものと
なる。また、アルカリ条件下における高温での鹸化反応
により、得られるステロール製品の色、におい等の品質
面においても問題がある。
【0004】下田らは(特公昭40-17599)工業的に可能
な製造工程として、ステロール含有成分を鹸化分解せず
に脂溶性有機溶剤に溶解させ、これに含水アルコールを
加えてステロールを析出させ高純度のステロールを得る
方法を開発した。しかしながら、通常、食用油製造工程
すなわち脱臭工程で副生する脱臭留出物あるいはその濃
縮物などのステロール含有成分中に存在するステロール
の形態は遊離型と脂肪酸エステルの混合物であり、その
比率は通常1:1〜1:4であるところ、下田らの方法
によると、ステロール含有成分に含まれる脂肪酸エステ
ルは利用されず、該エステル中に含まれるステロールは
回収されないため大部分のステロールが廃棄されること
になり、非常に効率が悪い。一方、これまでに、酵素反
応によりステロールと脂肪酸エステル及び/又は脂肪酸
からステロール脂肪酸エステルを合成する方法(特開20
01-40388)は報告されているが、その逆反応であるステ
ロール脂肪酸エステルを分解してステロールに変換する
方法は報告されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来有効に
利用されていなかったステロール脂肪酸エステルを温和
な条件にて遊離ステロールに変換し回収する方法を提供
することを目的とする。
【課題を解決するための手段】本発明者らは、適切な酵
素を選択し、適切な反応条件を設定することにより温和
な条件にてステロール脂肪酸エステルを遊離ステロール
に変換できることを見出した。すなわち、本発明は、ス
テロール脂肪酸エステルを酵素により遊離型ステロール
に変換することを特徴とするステロールの製造方法を提
供する。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明に用いられるステロール製
造の原料であるステロール脂肪酸エステルとしては、天
然物及び/又は化学的合成物が挙げられる。天然物由来
のステロール脂肪酸エステルとしては、動物由来、植物
由来及び微生物由来のいずれも使用することができる
が、植物由来のものが好ましい。本発明で用いることの
できる植物由来の天然物としては、大豆、菜種、ヒマワ
リ、コーン、コメ、ゴマ、落花生、小麦、紅花、綿実、
アマニ、ヒマシ、パームからなる群から選ばれる天然物
の油糧種子があげられる。このうち、大豆、菜種の油糧
種子が好ましい。これらの天然物は、単独でも2種以上
を併用することもできる。また、これら油糧種子からの
食用油精製工程で副生する油脂組成物も本発明のステロ
ール製造原料として使用することができる。油脂組成物
としては、脱臭留出物又はその濃縮物を好適に使用する
ことができる。
【0007】本発明で用いられるステロール製造の原料
であるステロール脂肪酸エステルの化学的合成物を構成
するステロールとしては、動物由来のコレステロール及
び、植物由来のβ-シトステロール、スチグマステロー
ル、カンペステロール、ブラシカステロール及び/又は
それらの混合物が用いられる。本発明で用いられるステ
ロール製造の原料である化学的合成物を構成する脂肪酸
としては、炭素数8から22、好ましくは14〜18の
脂肪酸であればよく、飽和又は不飽和、直鎖状又は分岐
状のいずれにかかわらず使用できる。
【0008】かかる脂肪酸の例として、オクタン酸、デ
カン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ス
テアリン酸、ドデカン酸、ベヘン酸、パルミトオレイン
酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、イソオクチ
ル酸、イソノニル酸、イソデシル酸、イソトリデシル
酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸を挙げること
ができる。このうち、オレイン酸、リノール酸、リノレ
ン酸が好ましい。本発明で用いることのできる化学的合
成物のステロール脂肪酸エステルとしては、例えば、オ
レイン酸フィトステリル、リノレン酸コレステリルをあ
げることができる。
【0009】本発明において使用できる酵素としては、
エステラーゼをあげることができる。エステラーゼとし
ては、リパーゼ、ホスホリパーゼ、スルファターゼ、ホ
スファターゼ等があげられる。このうち、特にリパーゼ
が好ましい。本発明の酵素反応に使用できるエステラー
ゼは、ステロール脂肪酸エステルとアルコールを基質と
して認識しエステル交換反応を触媒する酵素であれば、
いずれの起源の酵素であっても良い。本発明で使用でき
るリパーゼの例としては、Pseudomonas 属、Rhizopus
属、Candida 属、Geotrichum 属、Alcaligenes 属、Asp
ergillus 属、Fusarium 属を起源とするものがあげられ
る。具体的には、Pseudomonas aeruginosa、Pseudomona
s cepacia、Pseudomonas stutzeri、Rhizopus delema
r、Candidarugosa、Geotrichum candidum、Pseudomonas
glumae、Aspergillus niger、Fusarium heterosporum
のリパーゼが利用できるが、特にこれらに限定されな
い。このうち、Pseudomonas stutzeri、Pseudomonas gl
umae、Pseudomonas cepacia、Pseudomonas aeruginosa
を起源とするリパーゼが好ましく、Pseudomonas aerugi
nosa、Pseudomonas stutzeri を起源とするリパーゼが
より好ましい。
【0010】これらの酵素は遊離の形で使用してもよい
し、セライト、イオン交換樹脂、セラミック、多孔性の
担体、膜などに固定化して使用してもよい。酵素使用量
は、用いる反応基質の組成にもよるが、反応物1gに対
して0.1〜10000単位、好ましくは1〜2000
単位(1単位(1U)はオリーブ油を基質として1分間
に1マイクロモルの遊離脂肪酸を生成する酵素量であ
る)に適宜設定するとよい。
【0011】本発明において、酵素反応系中の水分含量
は、好ましくは0.01〜90質量%、より好ましくは
2〜75質量%、さらに好ましくは10〜50質量%に
適宜設定するとよい。なお、本発明のステロール製造反
応系中の水分含量は、酵素溶液を調製するのに使用する
水の量と、別途該反応系に添加する水の量との合計の量
を意味する。
【0012】本発明において、酵素反応系中に加えるこ
とのできる脂肪族アルコールは、炭素数1から18、好
ましくは1〜10のアルコールであればよく、飽和又は
不飽和、直鎖状又は分岐状のいずれにかかわらず使用で
きる。かかるアルコールの例として、メタノール、エタ
ノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、オ
クタノール、デカノール、ドデカノール、ラウリルアル
コール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコー
ル、ステアリルアルコール、パルミトオレイルアルコー
ル、オレイルアルコール、イソプロパノール、イソブタ
ノール、イソオクタノール、イソノナノール、イソデカ
ノール、イソトリデカノール、イソパルミチルアルコー
ル、イソステアリルアルコールを挙げることができる
が、好ましくはメタノール、エタノールが使用できる。
これらの脂肪族アルコールは単独又は2種以上を併用す
ることもできるが、単独で使用するのが好ましい。本発
明の製造方法において脂肪族アルコール、特にメタノー
ル、エタノールを使用することにより、ステロール脂肪
酸エステルのアルコリシス反応を促進し、遊離型ステロ
ールへの変換率を高めるので、好ましい。
【0013】本発明において、酵素反応系中に加えるア
ルコール量は、反応基質に含まれる全脂肪酸(遊離型脂
肪酸及びエステル型脂肪酸)のモル数に対して好ましく
は0.1〜100倍量、より好ましくは0.5〜5倍
量、さらに好ましくは2〜5倍量に適宜設定するとよ
い。本発明の製造方法における反応系に脂肪族アルコー
ルを添加する場合、該脂肪族アルコールは、反応開始前
に使用する全量を反応系に加えてもよく、また、反応中
に逐次的に添加してもよい。本発明における酵素反応の
温度は、好ましくは0〜80℃、より好ましくは10〜
40℃、さらに好ましくは20〜30℃である。本発明
における反応時間は、使用するステロール脂肪酸エステ
ルの種類によって異なるが、通常、好ましくは1〜15
0時間、より好ましくは5〜72時間、さらに好ましく
は12〜48時間の間に適宜設定するとよい。本発明に
おける酵素反応は、常圧下で行うのが好ましい。また、
本発明の反応形態は静置、攪拌、振とうなどどの方式を
採用してもよい。
【0014】酵素反応によりステロール脂肪酸エステル
を遊離ステロールへ変換した後、ヘキサン、アセトン、
メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、イソプ
ロピルアルコール等の有機溶剤を用いて析出分離する再
結晶法、シリカゲル、イオン交換樹脂等を用いるカラム
法、単蒸留、精密蒸留、薄膜蒸留、分子蒸留の蒸留法等
の常法によりステロールを精製することができる。この
うち、有機溶剤を用いる再結晶を使用するのが好まし
い。ここで、有機溶媒は、単独でも2種以上を併用する
こともできるが、特に、ヘキサン、アセトン、メタノー
ルを使用すると高い回収率が得られるので好ましい。ま
た、遊離型ステロールの回収は、酵素反応組成物の全質
量に対して好ましくは3倍量以上、より好ましくは3倍
〜5倍の量の有機溶剤を加え、その後、好ましくは−2
0〜5℃の温度で、好ましくは1〜24時間冷却するこ
とにより行うことができ、ステロールを結晶として回収
することが可能である。本発明によれば、高収率でステ
ロールを得ることができる。
【0015】次に、本発明の実施態様の一例として、大
豆油精製工程で得られる脱臭留出物中に含まれるステロ
ール脂肪酸エステルをステロールに変換する方法を示
す。該脱臭留出物を、本発明で用いることのできる適当
なエステラーゼ(例えばPseudomonas属由来のLipase)
を用いて、適当量の脂肪族アルコール(例えばメタノー
ル)と水との存在下、20〜40℃の範囲の温度で1〜
3日間、プロペラ攪拌器又はマグネチックスターラ等を
用いて攪拌する。そこに適当な有機溶剤(例えばヘキサ
ン)を加えて懸濁し、−20〜5℃の範囲の温度で1〜
24時間静置する。その後、水層を除去し、遠心分離に
より沈殿を回収する。この操作を適当な回数繰り返した
後、得られた沈殿を減圧下で乾燥する。このようにして
遊離ステロールを高収率で得ることができる。尚、本発
明の製造方法において、遊離脂肪酸、トコフェロール、
中性脂質、炭化水素等を適宜除去するのが好ましい。特
に、酵素反応前に遊離脂肪酸と中性脂質を除去しておく
とステロール脂肪酸エステルのステロールへの変換反応
は効率よく進行する。このように、本発明の製造方法に
よれば、脱臭留出物中の遊離状態のステロールを回収で
きるとともに、酵素を用いて該脱臭留出物中のステロー
ル脂肪酸エステルをステロールに変換し、分離できるの
で、さらに高い回収率でステロールを得ることができ
る。
【0016】
【発明の効果】本発明に従い、大豆油精製工程の脱臭留
出物を酵素処理してステロールの製造を行うと、酵素変
換を伴わない場合に比べ明らかにステロールの製造収率
が向上した。従って、本発明により、従来法と比較して
製造の収率が向上し且つ工業的に可能なステロール製造
方法を提供することができる。また、本発明の酵素変換
反応を工業的に利用し、ステロールを製造することによ
り、これまで廃棄していた脂肪酸エステルの有効利用が
可能になり製造の収率を大幅に向上させることができ
る。
【0017】
【実施例】実施例1 ステロール脂肪酸エステルのメタ
ノリシス反応に適した酵素の検索 50 mlのサンプル瓶の中で、オレイン酸フィトステリル
4.5 g(6.6mmol)、メタノール0.262 g、酵素0.1 ml、
および水0.4 mlを混合し(反応系全質量:5.26g)、30℃
でマグネットスターラを用いて撹拌しながら3日間反応
させた。なお、使用した酵素の名称と活性は表1の通り
である。1日後および3日後にそれぞれ、ガスクロマト
グラフィーでステロールとステロール脂肪酸エステルの
含量を調べた。ガスクロマトグラフィーの分析条件は以
下の通りである。この分析条件は、以下の全ての実施例
においても同様である。結果を表2に示す。
【0018】<分析条件> ガスクロマトグラフィー:島津 GC-18A カラム:DB-1ht (0.25 mm × 5 m) 検出器:FID (370℃) 注入口温度:370℃ 昇温条件:120℃, 0.5 min 120 - 280 ℃, 15℃/min 280 - 370 ℃, 10℃/min 370℃, 1 min
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】なお、表2において、Sterol とSterolest
erとの和が100%にならないが、これは、脂肪酸メチ
ル等の脂肪酸エステルを含むためである。
【0022】実施例2 ステロール脂肪酸エステルのア
ルコリシス反応に及ぼすアルコールの種類の影響 50 mlのサンプル瓶の中で、オレイン酸フィトステリル
4.5 g(6.6mmol)、酵素 Lipase LPLを反応混液1gに
対して20 U(反応系全体で100 U)、水0.5 ml(酵素溶
液由来の水と、別に加える水を合わせて0.5 ml)、およ
びアルコールをステロール脂肪酸エステルに対して1.2
倍モル当量混合し、30℃でマグネットスターラを用いて
撹拌しながら3日間反応させた。1および3日後にそれ
ぞれ、ガスクロマトグラフィーでステロールとステロー
ル脂肪酸エステルの含量を調べた。また、使用したアル
コールは、メタノール、エタノール、プロパノール、ブ
タノール、ヘキサノール、オクタノール、デカノール、
ドデカノール、およびオレイルアルコールである。結果
を表3に示す。
【0023】
【表3】
【0024】実施例3 ステロール脂肪酸エステルのメ
タノリシス反応に及ぼすメタノール量の影響 50 mlのサンプル瓶の中で、オレイン酸フィトステリル
4.5 g(6.6mmol)、酵素 Lipase LPLを反応混液1gに
対して20 U(反応系全体で100 U)、水0.5 ml(酵素溶
液由来の水と、別に加える水を合わせて0.5 ml)、およ
びメタノールをステロール脂肪酸エステルに対して0か
ら3倍モル当量混合し、30℃でマグネットスターラを用
いて撹拌しながら3日間反応させた。1および3日後に
それぞれ、ガスクロマトグラフィーでステロールとステ
ロール脂肪酸エステルの含量を調べた。結果を表4に示
す。
【0025】
【表4】
【0026】実施例4 化学的合成物であるオレイン酸
フィトステリルからのステロールの製造 50 mlのサンプル瓶5本の中で、それぞれ、オレイン酸
フィトステリル 4.5 g(6.6mmol)、酵素Lipase LPL 0.
02 ml(反応系1gあたり20 U)、水0.48 ml、およびメ
タノール0.426 gを混合し(反応系全質量:5.43g)、30℃
でマグネチックスターラを用いて撹拌しながら3日間反
応させた。5本の反応液を1つにまとめ、26.4gの反応
組成物を得た。該反応組成物に125 mlのヘキサンを加え
て懸濁し、−20℃で1時間保持した。遠心分離(4000rp
m, 10分)により沈殿と上清をそれぞれ回収した。さら
に、沈殿を100 mlのヘキサンで2回洗浄し、同条件下で
遠心分離して沈殿と上清を回収した。全ての上清を合わ
せてから、エバポレーターでヘキサンを除去したのち、
減圧下で一晩脱気した。沈殿画分も、減圧下で一晩脱気
した。沈殿画分と上清画分の収量を表5に、ガスクロマ
トグラフィーによるステロール及びステロール脂肪酸エ
ステルの含量の分析結果を表6に示す。なお、酵素処理
前の原料に含まれる遊離ステロール及びステロール脂肪
酸エステルに対する精製後のステロールの回収率は8
5.6%であった。
【0027】
【表5】
【0028】
【表6】
【0029】実施例5 化学的合成物であるα-リノレ
ン酸コレステリルからのステロールの製造 50 mlのサンプル瓶3本の中で、それぞれ、α−リノレ
ン酸コレステロール4.0g(6.1mmol)、酵素Lipase TL
1.0 ml(反応系1gあたり154 U)、およびメタノール
0.426 gを混合し(反応系全質量:5.43g)、30℃でマグネ
チックスターラを用いて撹拌しながら3日間反応させ
た。3本の反応液を1つにまとめ、15.4gの反応組成物
を得た。該反応組成物に75 mlのヘキサンを加えて懸濁
し、4℃で1時間保持した。遠心分離(4000rpm, 10分)
により沈殿と上清をそれぞれ回収した。さらに、沈殿を
50 mlのヘキサンで2回洗浄(4℃)し、同条件下で遠心分
離して沈殿と上清を回収した。全ての上清を合わせてか
ら、エバポレーターでヘキサンを除去したのち、減圧下
で一晩脱気した。沈殿画分も、減圧下で一晩脱気した。
ガスクロマトグラフィーでステロール、ステロール脂肪
酸エステルの含量を調べた。沈殿画分と上清画分の収量
を表7に、ガスクロマトグラフィーによるステロール及
びステロール脂肪酸エステルの含量の分析結果を表8に
示す。なお、酵素処理前の原料に含まれる遊離ステロー
ル及びステロール脂肪酸エステルに対する精製後のステ
ロールの回収率は、82.8%であった。
【0030】
【表7】
【0031】
【表8】
【0032】実施例6 大豆油脱臭留出物からのステロ
ールの製造 50 mlのサンプル瓶3本の中で、それぞれ、脱臭留出物
(Lot.10111)4.0 g(4.65molを脂肪酸として含む)、
酵素Lipase TL 1.0 ml(反応系1gあたり154 U)、お
よびメタノール0.352 gを混合し(反応系全質量:5.35
g)、30℃でマグネチックスターラを用いて撹拌しながら
2日間反応させた。3本の反応液を1つにまとめ、15.5
gの反応組成物を得た。該反応組成物に75 mlのヘキサン
を加えて懸濁し、−20℃で1時間保持した。最下層に存
在していた水層を除去した後、遠心分離(4000rpm, 10
分)により沈殿と上清をそれぞれ回収した。さらに、沈
殿を50mlのヘキサンで2回洗浄し、同条件下で遠心分離
して沈殿と上清を回収した。全ての上清を合わせてか
ら、エバポレーターでヘキサンを除去したのち、減圧下
で一晩脱気した。沈殿画分も、減圧下で一晩脱気した。
ガスクロマトグラフィーでステロール、ステロール脂肪
酸エステルの含量を調べた。沈殿画分と上清画分の収量
を表9に、ガスクロマトグラフィーによるステロール及
びステロール脂肪酸エステルの含量の分析結果を表10
に示す。なお、酵素処理前の原料に含まれる遊離ステロ
ール及びステロール脂肪酸エステルに対する精製後のス
テロールの回収率は64.7%であった。
【0033】
【表9】
【0034】
【表10】
【0035】比較例 酵素変換処理を行わない大豆油脱
臭留出物からのステロールの製造 大豆油脱臭留出物(Lot.10111)12gに75 mlのヘキサ
ンを加えて懸濁し、−20℃で1時間保持した。遠心分離
(4000rpm, 10分)により沈殿と上清をそれぞれ回収し
た。さらに、沈殿を50 mlのヘキサンで2回洗浄し(−20
℃)、同条件下で遠心分離して沈殿と上清を回収した。
全ての上清を合わせてから、エバポレーターでヘキサン
を除去したのち、減圧下で一晩脱気した。沈殿画分も、
減圧下で一晩脱気した。ガスクロマトグラフィーでステ
ロール、ステロール脂肪酸エステルの含量を調べた。沈
殿画分と上清画分の収量を表11に、ガスクロマトグラ
フィーによるステロール及びステロール脂肪酸エステル
の含量の分析結果を表12に示す。なお、酵素処理前の
原料に含まれる遊離ステロール及びステロール脂肪酸エ
ステルに対する精製後のステロールの回収率は13.0
%であった。
【0036】
【表11】
【0037】
【表12】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高木 良彰 神奈川県中郡大磯町高麗2−21−3−322 (72)発明者 島田 裕司 大阪府大阪市東住吉区北田辺4丁目6番13 号 (72)発明者 永尾 寿浩 大阪府大阪市生野区生野西4丁目18番6号 (72)発明者 杉原 耿雄 兵庫県伊丹市千僧6丁目87番 (72)発明者 富永 嘉男 大阪府大阪市西淀川区歌島2丁目7番2号 Fターム(参考) 4B064 AH07 CA21 CB02 CD04 DA16

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ステロール脂肪酸エステルを酵素により
    遊離型ステロールに変換することを特徴とするステロー
    ルの製造方法。
  2. 【請求項2】 上記ステロール脂肪酸エステルが、天然
    物由来及び/又は化学的合成物由来であることを特徴と
    する請求項1記載のステロールの製造方法。
  3. 【請求項3】 天然物由来ステロール脂肪酸エステル
    が、大豆、菜種、ヒマワリ、コーン、コメ、ゴマ、落花
    生、小麦、紅花、綿実、アマニ、ヒマシ、パームからな
    る群から選ばれる天然物の油糧種子に由来することを特
    徴とする請求項2記載のステロールの製造方法。
  4. 【請求項4】 油糧種子由来ステロール脂肪酸エステル
    が、それら油糧種子からの食用油精製工程で副生する脱
    臭留出物又はその濃縮物に由来することを特徴とする請
    求項3記載のステロールの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記酵素がエステラーゼであることを特
    徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のステロール
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 酵素による遊離型ステロールへの変換反
    応において、反応系内に存在する物質の全重量に対して
    0.01〜90質量%の水を使用することを特徴とする請求項
    1〜5のいずれか1項記載のステロールの製造方法。
  7. 【請求項7】 反応系中に脂肪族アルコールを、遊離型
    脂肪酸及びエステル型脂肪酸に対して0.1倍のモル当量
    以上加えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1
    項記載のステロールの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記脂肪族アルコールが、メタノール又
    はエタノールであることを特徴とする請求項7記載のス
    テロールの製造方法。
  9. 【請求項9】 酵素反応組成物の全質量に対して3倍量
    以上の有機溶剤を加え溶解させた後にステロールを析出
    させることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記
    載のステロールの製造方法。
  10. 【請求項10】 前記有機溶剤が、ヘキサン、アセト
    ン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコー
    ル、メチルエチルケトンから選ばれる1種又は2種以上
    の混合溶剤であることを特徴とする請求項9記載のステ
    ロールの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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