JP2003079247A - 共生微生物を利用した屋上緑化工法 - Google Patents

共生微生物を利用した屋上緑化工法

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JP2003079247A JP2001276234A JP2001276234A JP2003079247A JP 2003079247 A JP2003079247 A JP 2003079247A JP 2001276234 A JP2001276234 A JP 2001276234A JP 2001276234 A JP2001276234 A JP 2001276234A JP 2003079247 A JP2003079247 A JP 2003079247A
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rooftop
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soil
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Itsune Okuya
巌根 奥谷
Tetsuya Ueda
哲也 上田
Masaki Onishi
正記 大西
Makoto Nomura
眞 野村
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Kansai Electric Power Co Inc
Osaka Gas Co Ltd
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Kansai Electric Power Co Inc
Osaka Gas Co Ltd
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    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
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    • Y02BCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO BUILDINGS, e.g. HOUSING, HOUSE APPLIANCES OR RELATED END-USER APPLICATIONS
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    • Y02B80/32Roof garden systems

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  • Cultivation Of Plants (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】ビルなどの屋上緑化において、乾燥や高温など
のストレスに対する植物の耐性を高めることにより植物
の定着性の向上や長寿命化をはかり、その結果、屋上緑
化のメンテナンス性が高く、さらに化学肥料、農薬の流
亡など周辺環境への負荷を軽減する共生微生物を利用し
た簡便で周辺環境に調和した屋上緑化工法を提供する。 【解決手段】 VA菌根菌、外生菌根菌及び窒素固定菌の
少なくとも1種の共生微生物を含む緑化基盤を屋上に設
け、該緑化基盤に前記微生物と共生し得る植物体を播種
乃至定植することを特徴とする屋上緑化工法;及びVA菌
根菌、外生菌根菌及び窒素固定菌の少なくとも1種の共
生微生物をあらかじめ共生させた植物体を、屋上に設け
た緑化基盤に定植させることを特徴とする屋上緑化工
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は屋上緑化工法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、都市を中心にビルなどの屋上緑化
が普及している。その理由として、屋上緑化の持つビル
空調に対する省エネルギー効果やビル屋上面の保護効果
などビルシステムに対する有効性に加え、都市のヒート
アイランド現象の緩和や温室効果ガスであるCO2の固定
化など周辺環境への浄化効果が広く認められていること
が挙げられる。
【0003】従来、屋上緑化においても一般の緑化と同
様に黒土、赤玉土、鹿沼土、山土、まさ土などの天然土
壌もしくはピートモス、バーク、パーライト、ゼオライ
ト、バーミキュライト、焼成けい藻土、ベントナイトな
どの土壌改良材、およびそれらの混合物からなる緑化基
盤が用いられている。しかし、屋上緑化ではビル荷重制
限の為緑化基盤として利用できる土壌重量が制限され
る。そこで、屋上緑化用の軽量緑化基盤が開発されてい
る。具体的には、植栽基盤材(特開2001−136830号公
報)、植物育成用の人工土壌体用ユニットおよび人工土
壌体(特開2001−28944号公報)、植生用培地に適した
成型体およびその製造法(特開2000−106749号公報)な
どが挙げられる。しかし、これら先行文献に開示された
軽量緑化基盤は人工基盤であるために植物の養分を含ん
でおらず、化学肥料の添加が不可欠である。
【0004】一方、屋上緑化においては、直射日光、強
風並びに周辺ビル、道路などからの輻射による高温、そ
れに伴う乾燥など、植物に対するストレスが多く存在す
る。さらに前項で述べたように屋上緑化ではビル荷重制
限の為緑化基盤として利用できる土壌重量が制限され
る。そのため、屋上緑化の緑化基盤の厚みが制限され、
薄層緑化基盤による緑化施工が必要となる。このような
薄層緑化基盤に植栽を行った場合、定植した植物の根張
りが悪くなり、植物の養分吸収率や水分吸収率が低下す
る。そのため前述の高温や乾燥などのストレスに対する
耐性が低下し、植物の定着率が低く、さらに、定着して
も寿命が短いなどメンテナンス性に大きな課題があっ
た。従来は、上記のような欠点を解消するために化学肥
料や農薬が多用されていた。
【0005】しかし、化学肥料を使用すると追肥が必要
であり、メンテナンス性に劣っていた。また、屋上緑化
からの排水に化学肥料や農薬成分が大量に含まれること
は周辺への水質汚染など周辺環境汚染にもつながる可能
性がある。従って、メンテナンス性の向上や周辺環境へ
の負荷低減の両面から化学肥料や農薬の使用量の削減が
求められていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記したよ
うな欠点のない屋上緑化工法を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、下記の
各項に係る発明を提供するものである。項1 VA菌根
菌、外生菌根菌及び窒素固定菌の少なくとも1種の共生
微生物を含む緑化基盤を屋上に設け、該緑化基盤に前記
微生物と共生し得る植物体を播種乃至定植することを特
徴とする屋上緑化工法。項2 VA菌根菌、外生菌根菌及
び窒素固定菌の少なくとも1種の共生微生物をあらかじ
め共生させた植物体を、屋上に設けた緑化基盤に定植さ
せることを特徴とする屋上緑化工法。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明につき詳細に説明す
る。
【0009】本発明は、共生微生物、具体的にはVA菌根
菌、外生菌根菌、窒素固定菌のうち1種もしくは2種以上
を混合した緑化基盤を用いる、或いはこれら共生微生物
を予め感染させた植物体を用いる屋上緑化工法を提供す
るものである。
【0010】VA菌根菌としては、ジャイガスポーラ
属、スクテロスポーラ属、グロマス属、アカウロスポー
ラ属、スクレロシスチス属またはエントロスポーラ属に
属する菌などが例示され、ジャイガスポーラ属、アカウ
ロスポーラ属、グロマス属に属する菌が好ましい。より
具体的にはジャイガスポーラ・マルガリータ、ジャイガ
スポーラ・アルビダ、グロマス・ファシキュラツム、グ
ロマス・エツニケイタム、グロマス・モッセ、グロマス
・クララム、グロマス・オカルツム、グロマス・イント
ラタディセス、グロマス・アグリゲイタムなどが例示さ
れる。
【0011】外生菌根菌としては、キシメジ科、イグチ
科、テングタケ科、フウセンタケ科、ヒダハタケ科、ベ
ニタケ科、オニイグチ科、アンズタケ科、イボタケ科、
コツブタケ科、ニセショウロ科、イモタケ科に属する菌
が例示され、より具体的には、テングタケ属、クギタケ
属、アミハナイグチ属、イグチ属、ヤマイグチ属、アワ
タケ属、フウセンタケ属、チチタケ属、ベニタケ属、キ
ツネタケ属、キシメジ属、アンズタケ属、イボタケ属、
ショウロ属、コツブタケ属、ニセショウロ属、ツチダン
ゴ属、ハンノキイグチ属などに属する菌が例示される。
より具体的には、コツブダケ(Pisolithus tinctoriu
s)、ショウロ(Rhizopogon sp)などが挙げられる。
【0012】窒素固定菌としては、根粒菌であるリゾビ
ウム属、ブラッディリゾビウム属、アゾリゾビウム属、
アゾスピリラム属;放線菌であるフランキア属に属する
微生物が挙げられる。さらに好ましくは、リゾビウム
メリロッテイ、リゾビウムトリフォリイ、リゾビウム
レグミノサルム、リゾビウム ファゼオリイ、リゾビウ
ム ルピニ、リゾビウム フレデイ、リゾビウム ロッ
テイ、ブラジリゾビウム ジャポニクム、アゾリゾビウ
ム カウリノダンス、アゾスピリラム ブラジレンス、
フランキア アランキア、フランキア ブルンコールス
ティ、フランキア シアノシイ、フランキア エレアグ
ニィ、フランキア ズブチリスなどが挙げられる。
【0013】本発明の緑化工法に用いる植物としては、
上記したような菌が共生し得るような植物を屋上緑化の
目的に応じて適宜選択すればよく、VA菌根菌を用いる場
合はVA菌根菌が共生する植物を、外生菌根菌を用いる場
合は外生菌根菌が共生する植物を、窒素固定菌(根粒菌
や放線菌)を用いる場合は窒素固定菌が共生する植物を
用いればよい。
【0014】VA菌根菌が共生する植物としては、具体的
にはスギ科、ヒノキ科、ツバキ科、アオイ科、アオギリ
科、ヤマモモ科、モクレン科、モクセイ科、サルナシ
科、バラ科、ミカン科、カエデ科、ウルシ科、ブドウ
科、ハンノキ科、フトモモ科、ザクロ科、モクセイ科、
キョウチクトウ科、ミズキ科、センダン科、ベンケイソ
ウ科、ナス科、マメ科、キク科、イネ科などに属する植
物が例示され、より詳しくは、スギ、ヒノキ、ヤマモ
モ、ヒバ、コウヤマキ、アスナロ、クワ、イチジク、パ
ンノキ、モクレン、コブシ、クスノキ、アボガド、キー
ウィ、チャ、ツバキ、サザンカ、ウツギ、シモツケ、ユ
キヤナギ、スズカケ、リンゴ、ナシ、ビワ、ボケ、カリ
ン、ヤマブキ、ウメ、バラ、ハマナス、アーモンド、サ
クラ、ネムノキ、オジギソウ、フジ、ハギ、ミカン、キ
ンカン、カラタチ、モミジ、ウルシ、マンゴー、ナツ
メ、ブドウ、アオイ、フヨウ、ムクゲ、ワタ、カカオ、
ジンチョウゲ、グアバ、ザクロ、アオキ、ヤツデ、マン
リョウ、カキ、キンモクセイ、ギンモクセイ、キョウチ
クトウ、クチナシ、キリ、ノウセンカズラ、ウツギ、セ
ダム、マンネングサ、シバ、キンメイチク、キッコウチ
ク、モウソウチクなどが挙げられる。
【0015】外生菌根菌が共生する植物としては、具体
的にはマツ科、ブナ科、クルミ科、ヤナギ科、カバノキ
科、フタバガキ科、バラ科、シナノキ科、フトモモ科な
どに属する植物が例示され、より詳しくは、モミ、ヒマ
ラヤスギ、カラマツ、アカマツ、クロマツ、ハイマツ、
トドマツ、ゴヨウマツ、ツガ、スダジイ、マテバシイ、
コジイ、アラカシ、シラカシ、ウバメカシ、ブナ、イヌ
ブナ、ミズナラ、コナラ、クヌギ、アベマキ、クリ、ク
ルミ、ヤナギ、ポプラ、ドロノキ、シデ、アカシデ、イ
ヌシデ、シラカンバ、ダケカンバ、ハシバミ、アサダ、
ユーカリなどが挙げられる。
【0016】窒素固定菌が共生する植物としては、具体
的にはマメ科、カバノキ科、ヤマモモ科に属する植物が
例示され、より詳しくは、フジ、アカシア、ニセアカシ
ア、ネムノキ、ヤマハギ、シロバナハギ、ミヤギノハ
ギ、ウツギ、エニシダ、オオバヤシャブシ、ヤシャブ
シ、ヒメヤシャブシ、ハンノキ、ヤマハンノキ、ヤハズ
ハンノキ、カワラハンノキ、ミヤマハンノキ、ヤマモ
モ、ヤチヤナギ、ウツギ、ドクウツギ、グミなどが利用
できる。
【0017】窒素固定菌が共生するこれら植物の中で
も、根粒菌のみが共生し得る植物と、放線菌のみが共生
し得る植物があるので、その場合はそれぞれの植物が共
生する菌を選択する必要がある。
【0018】これらの中でも、バラ科及びフトモモ科の
植物にはVA菌根菌及び外生菌根菌が、ヤマモモ科及びマ
メ科の植物にはVA菌根菌及び窒素固定菌が、カバノキ科
の植物には外生菌根菌及びフランキア属に属する窒素固
定菌が、共生し得る。従って、これら科に属する植物を
用いる場合には、共生できる2種の菌を用いるのが好ま
しい。
【0019】本発明の緑化工法においては、従来の屋上
緑化工法において、上記したような共生微生物を通常屋
上緑化に利用されているような緑化基盤材に混合したも
のを用いて屋上に緑化基盤を設け、該緑化基盤に含まれ
る菌と共生できる植物体(植物の種子、苗、成長した植
物)を播種したり定植したりすることができる。
【0020】或いは、植物体(苗や成長した植物)に予
め共生微生物を感染させておき、該植物体を屋上に設け
た通常の緑化基盤に定植させることができる。
【0021】従来の一般的な屋上緑化工法としては、例
えば、アスファルトの保護防水層の上に、防根シートを
敷設後、排水層(例えば黒よう石パーライトなど)を設
け、必要に応じてフィルターとして防水シート又は透水
シートを敷設し、その上に緑化基盤を設け、植物の種子
を播種したり苗や成長した植物を定植する方法が挙げら
れる。該方法においては、植物体を播種したり定植した
後、乾燥防止や雑草繁殖防止などのために緑化基盤の表
層をマルチング材で覆うことができる。
【0022】枠組みは、通常、緑化基盤を設ける前に、
予めコンクリートブロック、レンガ、タイルなどで形成
しておけばよい。
【0023】緑化基盤土壌としては、屋上緑化に利用で
きる緑化基盤土壌であればその種類は特に限定されるも
のではないが、具体的には、黒土、赤玉土、鹿沼土、山
土、まさ土などの天然土壌;ピートモス、バーク、パー
ライト、ゼオライト、バーミキュライト、焼成けい藻
土、ベントナイトなどの人工土壌剤が利用できる。これ
らは単独で、或いは2種以上の混合物として利用するこ
とができる。
【0024】さらに、添加剤として、ヤシ穀炭、木炭、
竹炭、もみ殻くん炭、セラミック炭などの炭資材を利用
することもできる。
【0025】また、本発明においては使用済み緑化基盤
(土壌)をリサイクルして緑化基盤(土壌)として用い
ることが可能である。これは含まれる化学肥料が非常に
少なくなった使用済み緑化基盤(土壌)を用いた場合で
も共生微生物による植物の養分吸収向上効果にのため植
物の養分吸収が良好に保たれることによる。このことに
より屋上緑化から排出される廃材の削減が可能になり、
屋上緑化の環境性を高めるだけではなく、屋上緑化の再
建などの際に土壌の入れ替えをする必要がなくなり、そ
の施工が容易になり、経済性の向上にもなる。
【0026】共生微生物を混合した緑化基盤土壌を用い
る場合は、共生微生物が胞子を形成するようなもの、例
えばVA菌根菌であれば、緑化基盤土壌1Lに対して、胞
子が10〜100,000個程度、好ましくは100〜
10,000個程度となるように配合するのが望まし
い。窒素固定菌を用いる場合には、緑化土壌基盤1Lに
対して、菌数が102〜1015個程度、好ましくは104
〜1012個程度となるように配合することができる。共
生微生物が菌糸を形成する場合には、例えば、該微生物
をバーミキュライト、パーライト等の混合物を培地とし
て20〜30日間程度培養し、それを緑化基盤土壌1L
に対して50mL〜500mL程度、好ましくは200
mL〜500mL程度となるように配合することができ
る。
【0027】植物の根に予め微生物を共生(感染)させ
ておく場合は、上記したような、共生微生物を混合した
培土で、例えば、植物が低木である場合、播種後1〜1
2ヶ月程度育苗し、その後、屋上に設けられた通常の緑
化基盤に植え替えることができる。
【0028】緑化基盤の厚みは、従来の屋上緑化におい
ては、芝生や草花などであれば10〜20cm程度であ
り、低木の場合は20〜50cm程度であり、高木の場
合は50〜80cm程度であった。本発明の緑化工法で
は、根張りがよいので、従来の工法と比べて緑化基盤の
厚みを減少させることができる。例えば、芝生や草花な
どの場合は、5〜15cm程度、低木の場合は10〜3
0cm程度、高木の場合は30〜50cm程度であれば
よい。
【0029】緑化する際には化学肥料を用いるのが一般
的であるが、本発明の緑化工法では使用する化学肥料の
すべてもしくは一部を生活有機廃棄物、具体的には食料
残査などをコンポスト化した堆肥で代用することが可能
である。これは化学肥料に比べ養分の流出速度が遅い堆
肥を用いた場合でも共生微生物による植物の養分吸収向
上効果のため植物の養分吸収が良好に保たれることによ
る。このことにより都市から排出される生活有機廃棄物
の削減が可能になり、都市環境浄化の一助となることが
できる。
【0030】加えて、本発明においては灌水用水として
生活排水もしくはそれを簡易浄化したものを利用するこ
とが可能である。これは生活排水もしくはそれを簡易浄
化した用水を用いた場合でも共生微生物による植物のス
トレス耐性向上効果により植物の生育が良好に保たれる
ことによる。このことによりビルから排出される排水の
削減が可能になり、周辺環境、ひいては都市環境の浄化
の一助となる。
【0031】本発明の屋上緑化工法は、ビル、家屋、体
育館、各種のホールなどの屋上に適用することができ
る。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、屋上緑化において、緑
化基盤の厚みを従来より薄くした場合であっても、植物
の根張りがよく、高温、乾燥などのストレスに対する耐
性が強くなる。従って、植物の定着率が高くなったり、
化学肥料や農薬を追加する回数を減らすことが可能とな
るので、メンテナンス性が向上する。
【0033】VA菌根菌や外生菌根菌は土壌中のミネラ
ル、特にリン酸を吸収して植物に与える。また、窒素固
定菌は大気中の窒素を硝酸態窒素として植物に与える。
従って、これら共生微生物が共生した植物は、葉や枝の
数の増加や葉面積の増加により葉による被覆度が増加す
ることが期待できるので、ヒートアイランド現象の緩和
やビルの省エネルギーの観点から好ましい。また、花の
数が増えたり、花持ちが良くなるなど緑化価値の向上の
観点からも好ましい。さらに、本発明の緑化工法により
施工された屋上緑化においては、化学肥料の代わりにコ
ンポストを利用したり、生活排水を簡易浄化した水を利
用できるので、都市環境浄化の面から好ましい。
【0034】本発明によれば、上記のような環境調和型
の屋上緑化が可能となる。
【0035】
【実施例】以下、実施例及び比較例を示して本発明を具
体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるも
のではない。
【0036】以下の及び(実施例1〜5及び比較例
1〜2)では、いずれも培土に対して市販化学肥料であ
る“プラントフード”(ハイポネックス社製、登録商
標、肥料成分は窒素成分8.5%、リン成分8%、カリ
成分19%を含む)を50g/Lとなるように混合し、
栽培中の追肥処理は実施しなかった。 定着率の向上(予め植物に共生微生物を感染させた
場合) (実施例1)あらかじめ共生微生物としてVA菌根菌を共
生させたネムノキを定植することによる屋上緑化を実施
した。
【0037】VA菌根菌を共生させたネムノキは、VA菌根
菌であるグロマス・クララムの胞子を培土1Lに対して50
0から2000個の割合で混合した培土に播種を行い、3ヶ月
間育苗して得た。なお、グリッドライン法の測定による
定植時のVA菌根菌共生率は平均で20%であった。これら
VA菌根菌を共生させたネムノキの苗を、屋上に設定した
コンクリートブロックにより区画された1m×1m区に,ま
さ土を厚さ10cmになるように詰めた緑化基盤に約10cm間
隔で100本定植し、1カ年栽培を実施してその定着率を測
定した。 植物種:ネムノキ(マメ科) 培土:まさ土 試験区:1m×1mのコンクリートブロックによる区画 栽培期間:1カ年 (比較例1)実施例1に対し、VA菌根菌を共生させていな
いネムノキの苗を、同様に屋上に設定したコンクリート
ブロックにより区画された1m×1m区に,まさ土を厚さ10
cmになるように詰めた緑化基盤に約10cm間隔で100本定
植し、1カ年栽培を実施してその定着率を測定した。
【0038】実施例1及び比較例1の結果を表1に示
す。表1の結果から、共生微生物としてVA菌根菌を共生
した苗を定植させた場合、定植率が90%以上と比較例と
比べ向上することが明らかになった。このことは、VA菌
根菌を予め植物に共生させたことにより植物の根張りが
良くなり、植物のストレス耐性が向上して、定着率が向
上したものと考えられる。
【0039】
【表1】
【0040】 定着率向上(緑化基盤に共生微生物を
予め混合しておいた場合) (実施例2)緑化基盤に共生微生物としてVA菌根菌、外
生菌根菌及び根粒菌をあらかじめ混合することによる屋
上緑化を実施した。
【0041】屋上緑化は、屋上に設定したコンクリート
ブロックにより区画された1m×1m区で行い、黒土とバー
ミキュライトを1:1(vol:vol、以下同様)の割合で
混同したものを厚さ10cmになるように詰め、緑化基盤と
した。当該緑化基盤にVA菌根菌、外生菌根菌及び根粒菌
をあらかじめ混合した。即ち、VA菌根菌資材としてグロ
マス・アグリゲイタムの胞子を資材1gに対して200から1
000個の割合で含むVA菌根菌資材を、根粒菌資材として
ヤマハギの根粒から分離培養し、選抜したリゾビウム属
の根粒菌株を製剤1g当たりの菌数として1010〜1011
含んだ製剤をそれぞれ培土1L当たりに10gずつの割合で
完全混合し、さらに外生菌根菌資材としてハンノキ及び
ユーカリから分離培養し、選抜したハンノキイグチ属、
ニセショウロ属の外生菌根菌株を、バーミキュライトと
パーライトを1:1混合した培地で30日間程度培養し
たものを培土1L当たりに250mLの割合で完全混合し
た。この緑化基盤上にハンノキ(カバノキ科)、ユーカ
リ(フトモモ科)及びヤマハギ(マメ科)3樹種の苗を
各25本ずつ約10cm間隔で合計75本定植し、1カ年栽培を
実施してその定着率を測定した。 植物種:ハンノキ(カバノキ科)、ユーカリ(フトモモ
科)、ヤマハギ(マメ科) 培土:黒土とバーミキュライトを1:1の割合で混合 試験区:1m×1mのコンクリートブロックによる区画 栽培期間:1カ年 (実施例3)緑化基盤に共生微生物としてVA菌根菌をあ
らかじめ混合することによる屋上緑化を実施した。
【0042】屋上緑化は、屋上に設定したコンクリート
ブロックにより区画された1m×1m区で行い、黒土とバー
ミキュライトを1:1の割合で混同したものを厚さ10cm
になるように詰め、緑化基盤とした。当該緑化基盤にVA
菌根菌をあらかじめ混合した。即ち、VA菌根菌資材とし
てグロマス・アグリゲイタムの胞子を資材1gに対して20
0から1000個の割合で含むVA菌根菌資材を培土1L当たり
に10gの割合で完全混合した。この緑化基盤上にハンノ
キ(カバノキ科)、ユーカリ(フトモモ科)及びヤマハ
ギ(マメ科)の3樹種の苗を各25本ずつ約10cm間隔で合
計75本定植し、1カ年栽培を実施してその定着率を測定
した。 植物種:ハンノキ(カバノキ科)、ユーカリ(フトモモ
科)、ヤマハギ(マメ科) 培土:黒土とバーミキュライトを1:1の割合で混合 試験区:1m×1mのコンクリートブロックによる区画 栽培期間:1カ年 (実施例4)緑化基盤に共生微生物として外生菌根菌を
あらかじめ混合することによる屋上緑化を実施した。
【0043】屋上緑化は、屋上に設定したコンクリート
ブロックにより区画された1m×1m区で行い、黒土とバー
ミキュライトを1:1の割合で混同したものを厚さ10cm
になるように詰め、緑化基盤とした。当該緑化基盤に外
生菌根菌をあらかじめ混合した。即ち、外生菌根菌資材
としてハンノキ及びユーカリから分離培養し、選抜した
ハンノキイグチ属、ニセショウロ属の外生菌根菌株をバ
ーミキュライトとパーライトを1:1混合した培地で30日
間程度培養したものを培土1L当たりに250mLの割合で完
全混合した。この緑化基盤上にハンノキ(カバノキ
科)、ユーカリ(フトモモ科)及びヤマハギ(マメ科)
の3樹種の苗を各25本ずつ約10cm間隔で合計75本定植
し、1カ年栽培を実施してその定着率を測定した。 植物種 :ハンノキ(カバノキ科)、ユーカリ(フトモ
モ科)、ヤマハギ(マメ科) 培土:黒土とバーミキュライトを1:1の割合で混合 試験区:1m×1mのコンクリートブロックによる区画 栽培期間:1カ年 (実施例5)緑化基盤に共生微生物として根粒菌をあら
かじめ混合することによる屋上緑化を実施した。
【0044】屋上緑化は、屋上に設定したコンクリート
ブロックにより区画された1m×1m区で行い、黒土とバー
ミキュライトを1:1の割合で混同したものを厚さ10cm
になるように詰め、緑化基盤とした。当該緑化基盤に根
粒菌をあらかじめ混合した。即ち、根粒菌資材としてヤ
マハギの根粒から分離培養し、選抜したリゾビウム属の
根粒菌株を製剤1g当たりの菌数として1010〜1011個含
んだ製剤を培土1L当たりに10gの割合で完全混合した。
この緑化基盤上にハンノキ(カバノキ科)、ユーカリ
(フトモモ科)及びヤマハギ(マメ科)の3樹種の苗を
各25本ずつ約10cm間隔で合計75本定植し、1カ年栽培を
実施してその定着率を測定した。 植物種:ハンノキ(カバノキ科)、ユーカリ(フトモモ
科)、ヤマハギ(マメ科) 培土:黒土とバーミキュライトを1:1の割合で混合 試験区:1m×1mのコンクリートブロックによる区画 栽培期間:1カ年 (比較例2)実施例2に対しVA菌根菌、外生菌根菌、根粒
菌などの共生微生物資材を混合しない緑化基盤を用い
て、実施例2と同様の屋上緑化を,屋上に設定したコン
クリートブロックにより区画された1m×1m区で実施し、
1カ年栽培を実施してその定着率を測定した。
【0045】その結果を表2に示す。3種類の樹木のいず
れについても共生微生物資材を混合した緑化基盤を用い
た場合、共生が可能である植物に関しては、定植率が80
%以上と比較例と比べ向上することが明らかになった。
更に3種の共生微生物を併用することによりさらに定植
率が90%以上に向上した。このことは、共生微生物の施
用により植物の根張りが良くなり、植物のストレス耐性
が向上したことにより定着率が向上したものと考えられ
る。さらに、3種の共生微生物間のシナジー効果による
ものと考えられる。
【0046】
【表2】
【0047】 化学肥料の削減 (実施例6)緑化基盤に共生微生物としてVA菌根菌と外
生菌根菌をあらかじめ混合し、更に緑化基盤中の化学肥
料量を半減させた屋上緑化を実施した。
【0048】屋上緑化は、屋上に設定したコンクリート
ブロックにより区画された1m×1m区で行い、ピートモス
とバーミキュライトを1:1の割合で混同したものを厚
さ10cmになるように詰め、緑化基盤とした。当該緑化基
盤にVA菌根菌資材としてグロマス・エツニケイタムの胞
子を資材1gに対して100から500個の割合で含むVA菌根菌
資材を培土1L当たりに10gの割合で完全混合し、同時に
外生菌根菌資材としてユーカリから分離培養し、選抜し
た、ニセショウロ属の外生菌根菌株をバーミキュライト
とパーライトを1:1混合した培地で30日間培養したもの
を培土1L当たりに250mLの割合で完全混合した。さら
に、市販化学肥料であるプラントフード(ハイポネック
ス社製、登録商標)を通常肥料量である50g/Lを基
準として1/2に当たる25g/Lの割合で完全混合した。
なお、栽培中の追肥処理は実施しなかった。この緑化基
盤上にユーカリ(フトモモ科)100本を約10cm間隔で定
植し、1カ年栽培を実施してその定着率を測定した。 植物種:ユーカリ(フトモモ科) 培土:ピートモスとバーミキュライトを1:1の割合で
混同したもの 試験区:1m×1mのコンクリートブロックによる区画 栽培期間:1カ年 (実施例7)緑化基盤に共生微生物としてVA菌根菌をあ
らかじめ混合し、更に緑化基盤中の化学肥料量を半減さ
せた屋上緑化を実施した。
【0049】屋上緑化は、屋上に設定したコンクリート
ブロックにより区画された1m×1m区で行い、ピートモス
とバーミキュライトを1:1の割合で混同したものを厚
さ10cmになるように詰め、緑化基盤とした。当該緑化基
盤にVA菌根菌資材としてグロマス・エツニケイタムの胞
子を資材1gに対して100から500個の割合で含むVA菌根菌
資材を培土1L当たりに10gの割合で完全混合した。さら
に、市販化学肥料であるプラントフード(ハイポネック
ス社製、登録商標)を通常肥料量である50g/Lを基
準として1/2に当たる25g/Lの割合で完全混合した。
なお、栽培中の追肥処理は実施しなかった。この緑化基
盤上にユーカリ(フトモモ科)100本を約10cm間隔で定
植し、1カ年栽培を実施してその定着率を測定した。 植物種:ユーカリ(フトモモ科) 培土:ピートモスとバーミキュライトを1:1の割合で
混同したもの 試験区:1m×1mのコンクリートブロックによる区画 栽培期間:1カ年 (実施例8)緑化基盤に共生微生物として外生菌根菌を
あらかじめ混合し、更に緑化基盤中の化学肥料量を半減
させた屋上緑化を実施した。
【0050】屋上緑化は、屋上に設定したコンクリート
ブロックにより区画された1m×1m区で行い、ピートモス
とバーミキュライトを1:1の割合で混同したものを厚
さ10cmになるように詰め、緑化基盤とした。当該緑化基
盤に外生菌根菌資材として外生菌根菌資材としてユーカ
リから分離培養し、選抜した、ニセショウロ属の外生菌
根菌株をバーミキュライトとパーライトを1:1混合した
培地で30日間培養したものを培土1L当たりに250mLの割
合で完全混合した。さらに市販化学肥料であるプラント
フード(ハイポネックス社製、登録商標)を通常肥料量
である50g/Lを基準として1/2に当たる25g/Lの
割合で完全混合した。なお、栽培中の追肥処理は実施し
なかった。この緑化基盤上にユーカリ(フトモモ科)10
0本を約10cm間隔で定植し、1カ年栽培を実施してその定
着率を測定した。 植物種:ユーカリ(フトモモ科) 培土:ピートモスとバーミキュライトを1:1の割合で
混同したもの 試験区:1m×1mのコンクリートブロックによる区画 栽培期間:1カ年 (比較例3)実施例6〜8に対し共生微生物を混合せず、
さらに市販化学肥料であるプラントフード(ハイポネッ
クス社製、登録商標)を通常肥料量である50g/Lを
基準として1/2に当たる25g/Lの割合で完全混合した
緑化基盤を用い、実施例6と同様の屋上緑化を屋上に設
定したコンクリートブロックにより区画された1m×1m区
で実施し、1カ年栽培を実施してその定着率を測定し
た。なお、栽培中の追肥処理は実施しなかった。
【0051】(比較例4)実施例6〜8に対し共生微生物
を混合せず、さらに市販化学肥料であるプラントフード
(ハイポネックス社製、登録商標)を通常肥料量である
50g/Lの割合で完全混合した緑化基盤を用い、実施
例6と同様の屋上緑化を屋上に設定したコンクリートブ
ロックにより区画された1m×1m区で実施し、1カ年栽培
を実施してその定着率を測定した。なお、栽培中の追肥
処理は実施しなかった。
【0052】結果を表3に示す。共生微生物資材を混合
した緑化基盤を用いた場合、化学肥料を1/2に軽減した
場合でも、定植率が80%以上と共生微生物資材を混合し
ない比較例3と比べ向上することが明らかになった。更
にその定着率は通常の量の化学肥料を施用した比較例4
の場合よりも向上した。
【0053】
【表3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A01G 1/00 A01G 1/00 303C (72)発明者 上田 哲也 大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内 (72)発明者 大西 正記 大阪府大阪市北区中之島3丁目3番22号 関西電力株式会社内 (72)発明者 野村 眞 大阪府大阪市北区中之島3丁目3番22号 関西電力株式会社内 Fターム(参考) 2B022 AB04 BA02 BA03 BA04 BA16 BA18 BB01

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 VA菌根菌、外生菌根菌及び窒素固定菌の
    少なくとも1種の共生微生物を含む緑化基盤を屋上に設
    け、該緑化基盤に前記微生物と共生し得る植物体を播種
    乃至定植することを特徴とする屋上緑化工法。
  2. 【請求項2】 VA菌根菌、外生菌根菌及び窒素固定菌の
    少なくとも1種の共生微生物をあらかじめ共生させた植
    物体を、屋上に設けた緑化基盤に定植させることを特徴
    とする屋上緑化工法。
JP2001276234A 2001-09-12 2001-09-12 共生微生物を利用した屋上緑化工法 Pending JP2003079247A (ja)

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