JP2004208545A - 法面緑化工法 - Google Patents

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繁夫 久保
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Abstract

【課題】高い被植率を得ることができ、水質、土壌等の環境の汚染が抑制された法面緑化用土壌改良剤及びそれを用いた法面緑化工法を提供すること。
【解決手段】有機質肥料及び菌根菌、必要に応じてリン溶解菌及びカリウム溶解菌からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む法面緑化用土壌改良剤及びこれを用いた法面緑化工法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機質肥料及び菌根菌を含む法面緑化用土壌改良剤に関する。また、本発明は、該土壌改良剤、植物の種子及び土壌又は人工土壌を法面に施用する法面緑化工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の法面緑化は、化学肥料、土壌改良材、種子などを含有した容器を緑化場所に設置したり、化学肥料、土壌改良材、種子などを緑化場所に圧縮空気により吹付ける工法を用いたりしている(例えば、特許文献1〜3参照)。また、苗木を法面に移植する植栽工もある。
【0003】
これらの工法には大量の化学肥料(無機質肥料)が用いられており、傾斜のある法面においては降雨等により化学肥料が流亡しやすく、その結果、河川などの水源地における水の富栄養化、地下水の汚染、土壌の汚染等の問題が生じる。また、吹付け工法では、圧縮空気で吹付ける際に、化学肥料の跳ね返りや化学肥料が転がり落ちることにより、特に水や土壌をより汚染しやすいという問題点がある。
【0004】
例えば、特許文献4には、化学肥料と共に有機質肥料の一つであるバーク堆肥を利用する緑化工法について記載されているが、炭素/窒素比(C/N比)に関する記載は無い。また、特許文献5には、法面緑化工法においてVA菌根菌を利用する旨記載されているが、有機質肥料に関する記載は無い。
【0005】
ここで、農業においては、使用する有機質肥料のC/N比が20未満の場合、窒素が過剰となり、植物が徒長や窒素障害等を起こすことにより収量が低下する。また、C/N比が40を超える有機質肥料を用いた場合は、土壌中に存在する微生物が有機質肥料を分解する際に窒素を取りこむため、植物は窒素不足に陥り、収量が減少するという問題点がある。
【0006】
従って、農業では、一般に有機質肥料のC/N比は20〜40が適切であると考えられている(例えば、非特許文献1参照。)。しかし、C/N比40以下の有機質肥料は窒素成分が流亡しやすく、周辺の水質汚染が問題である。
【0007】
また、C/N比20以上の有機質肥料を用い、肥料成分の流出が少なく、且つ短期間で高い植被率を得る法面緑化工法はこれまでに報告されていない。
【0008】
更に、農業分野でのリン溶解菌の利用に関する報告は見られるものの(例えば、非特許文献1、特許文献6等参照。)、現実の農業ではリン溶解菌の実用化には至っていない。その原因として、リン溶解菌増殖用の炭素源の不足や、土壌中の他の微生物がリンを取り込み、植物が利用できないこと等が挙げられる。
【0009】
リン溶解菌を利用して、リン鉱石からリン肥料を製造する方法及び装置に関しては報告されているが(特許文献7)、緑化分野におけるリン溶解菌の使用に関する報告はない。
【0010】
カリウム溶解菌に関しては、コーンへの利用に関する報告はあるが(例えば、非特許文献4参照。)、その緑化分野における使用に関する報告はない。
【0011】
【特許文献1】
特開2002−194742公報
【0012】
【特許文献2】
特願1999−28257公報
【0013】
【特許文献3】
特願1997−62515公報
【0014】
【特許文献4】
特開平7−166552号公報
【0015】
【特許文献5】
特開平2001−226972号公報
【0016】
【特許文献6】
特開昭63−2530090号公報
【0017】
【特許文献7】
特開平6−128067号公報
【0018】
【非特許文献1】
伊達 昇著,「有機質肥料と微生物資材」,農山漁村文化協会,1988年2月
【0019】
【非特許文献2】
斎藤著,「高機能肥料生産基盤技術の開発」,第2期事業研究成果の概要,平成8年,p.3−5
【0020】
【非特許文献3】
ケイ.センシルクマー(K.Senthilkumar)ら著,「Impact of surface Fire on the dynamics of N2−Fixing and P−solbilizing Microbal populatuons in Natural Grassland Soil, southern India」,TROPICS(トロピックス),1998年,vol.8,p.1−16
【0021】
【非特許文献4】
ソムポーン(Somporn)ら著,「Effect of Bacillus spp. on K solubilization and growth of corn」,Chiangmai University,タイ国
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の主な目的は、高い被植率を得ることができ、水質、土壌等の環境の汚染が低減された法面緑化用土壌改良剤及びそれを用いた法面緑化工法を提供することである。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために研究を重ね、有機質肥料と菌根菌等の微生物とを組合せて用いることにより、実質的に化学肥料を用いなくても高い被植率を得ることができ、しかも水質、土壌等を汚染しにくい法面緑化工法等を開発した。
【0024】
すなわち、本発明は、下記の項1〜10に関する。
【0025】
1.有機質肥料及び菌根菌を含む法面緑化用土壌改良剤。
【0026】
2.有機質肥料及び菌根菌を含む法面緑化用土壌改良キット。
【0027】
3.有機質肥料の炭素/窒素比が20〜300である上記項1記載の法面緑化用土壌改良剤。
【0028】
4.有機質肥料の炭素/窒素比が20〜300である上記項2記載の法面緑化用土壌改良キット。
【0029】
5.有機質肥料の炭素/窒素比が40〜300である上記項1記載の法面緑化用土壌改良剤。
【0030】
6.有機質肥料の炭素/窒素比が40〜300である上記項2記載の法面緑化用土壌改良キット。
【0031】
7.さらに、リン溶解菌及びカリウム溶解菌からなる群から選ばれる少なくとも1種の微生物を含む、上記項1に記載の法面緑化用土壌改良剤。
【0032】
8.さらに、リン溶解菌及びカリウム溶解菌からなる群から選ばれる少なくとも1種の微生物を含む、上記項2に記載の法面緑化用土壌改良キット。
【0033】
9.上記項1に記載の法面緑化用土壌改良剤を、植物の種子と土壌とともに法面に施用することを特徴とする法面緑化工法。
【0034】
10.上記項2に記載の法面緑化用土壌改良キットを、植物の種子と土壌とともに法面に施用することを特徴とする法面緑化工法。
【0035】
【発明の実施の形態】
本明細書において、法面とは、水平面に対する傾斜が約10度以上の斜面のことをいい、例えば、ダムや貯水池等の水源地周辺の側面、河川護岸の側面、高速道路の側面、林道など山間部の道路側面の斜面が挙げられる。
【0036】
本明細書において、植被率とは、法面全体を見渡し、緑化すべき場所のうち植物に覆われている割合のことをいう。
【0037】
本発明の法面緑化用土壌改良剤は、有機質肥料と菌根菌を組み合わせて用いる。例えば、法面緑化用土壌改良剤等のように有機質肥料及び菌根菌を予め混合させておいてから使用してもよいし、法面緑化用土壌改良キット等のように法面に施用する際に又はその直前に混合して使用しても良い。
【0038】
有機質肥料としては特に限定するものではなく、例えば、バーク堆肥、米糠堆肥、骨紛、油粕、家畜糞、汚泥堆肥、魚粕、植物残渣、食物残渣、コンポスト、むぎわら堆肥等が例示できる。また、C/N比が20未満又は300を超える有機質肥料の場合、植物に生理障害を引き起こす可能性があるので、本発明におけるC/N比は、好ましくは20〜300程度、より好ましくは40〜300程度、特に好ましくは40〜100程度の範囲にあるものが望ましい。
【0039】
菌根菌としては特に限定されず、VA菌根菌、外性菌根菌等が例示できる。VA菌根菌には、ジャイガスポーラ属、スクテロスポーラ属、グロマス属、アカウロスポーラ属、スクレロシスチス属、エントロイガスポーラ属等に属する微生物が含まれる。外生菌根菌としては、テングタケ属、アミハライグチ属、イグチ属、ヤマイグチ属、アワタケ属、フウセンタケ属、チチタケ属、ベニタケ属、キツネタケ属、キシメジ属、アンズタケ属、イボタケ属、ショウロ属、コツブタケ属、ニセショウロ属、ツチダンゴ属等に属する微生物が含まれる。
【0040】
菌根菌の施用量は、菌根菌の種類等により適宜選択することができる。例えば、混合する土壌等1リットルに対して、菌根菌胞子として約1〜500万個、好ましくは約10〜10万個の割合で混合することができる。
【0041】
上記本発明法面緑化用土壌改良剤は、更に、リン溶解菌及びカリウム溶解菌からなる群から選ばれる少なくとも1種を含んでいても良い。
【0042】
リン溶解菌及びカリウム溶解菌としては、土壌中の不溶性のリン、カリウムを溶解する微生物であれば特に限定するものではなく、例えば、バチルス属、シュードモナス属、エスリニア属、ストレプトマイセス属、ミコバクテリウム属、アスペルギルス属、ペニシリウム属、トルコデルマ属等に属する微生物が挙げられる。
【0043】
リン溶解菌及びカリウム溶解菌の施用量は菌の種類等により適宜選択することができ、例えば、土壌等1リットルに対して、cfuとして約100〜100,000、好ましくは約1000〜10,000の割合で混合することができる。
【0044】
必要に応じて、更に窒素固定菌も加えることもできる。該菌の種類も空気中の窒素を固定する微生物であれば特に限定するものではなく、例えば、リゾビウム属、ブラドリゾビウム属、アゾリゾビウム属、アゾスピィウム属、アゾトバクター属、フランキア属等に属する微生物が挙げられる。
【0045】
窒素固定菌の施用量も窒素固定菌の種類等により適宜選択することができ、例えば、土壌等1リットルに対して、cfuとして約100〜100,000、好ましくは約1000〜10,000の割合で混合することができる。
【0046】
本発明法面緑化用土壌改良剤は更に、必要に応じて土壌改良用資材を含むこともできる。
【0047】
該土壌改良資材としては、土壌の物理性、化学性、生物性を改善する目的で使用するものであれば特に限定するものではなく、木炭、泥炭、腐植酸質資材、木炭、木酢、キチン、キトサン、カニガラ、貝殻等が例示できる。土壌改良材の施用量は土壌改良材の種類等により適宜選択でき、例えば、土壌等1リットルに対して約0.1g〜1000g、好ましくは約1g〜500gの割合で混合することができる。
【0048】
本発明において、土壌としても特に限定されるものではなく、一般に緑化に用いられるあらゆる土壌を用いることができる。具体的には、川砂、山土、まさ土、火山灰土、沖積土などが挙げれらる。
【0049】
また、土壌として人工土壌も使用することができ、その種類についても特に限定されるものではなく、一般に緑化に用いられるあらゆる人工土壌を用いることができる。例えば、腐葉土、けいそう土焼成粒、ゼオライト、バーミキュライト、パーライト、ベントナイト、ポリエチレンイミン系資材、ポリビニルアルコール系資材等が挙げられる。
【0050】
上記土壌及び人工土壌は、単独で使用することも出来るし、2種類以上の混合物を使用することもできる。
【0051】
法面に植える植物としては特に限定されず、ブナ科、ヤナギ科、スギ科、ヒノキ科、ツバキ科、アオイ科、アオギリ科、ヤマモモ科、モクレン科、サルナシ科、バラ科、ミカン科、カエデ科、ウルシ科、ブドウ科、ハンノキ科、フトモモ科、ザクロ科、モクセイ科、キョウチクトウ科、ミズキ科、センダン科、ナス科、マメ科、キク科、イネ科等に属する植物が例示され、より具体的には、ウバメガシ、コナラ、ヤナギ、スギ、ヒノキ、ヤマモモ、クルミ、ブナ、クリ、コナラ、カシ、クワ、イチジク、パンノキ、モクレン、コブシ、クスノキ、アボガド、キーウィ、チャ、ツバキ、サザンカ、ウツギ、シモツケ、ユキヤナギ、スズカケ、リンゴ、ナシ、ビワ、ボケ、カリン、ヤマブキ、ウメ、バラ、ハマナス、アーモンド、サクラ、ネムノキ、オジギソウ、フジ、ハギ、ミカン、キンカン、カラタチ、モミジ、ウルシ、マンゴー、ナツメ、ブドウ、アオイ、フヨウ、ムクゲ、ワタ、カカオ、ジンチョウゲ、グアバ、ザクロ、アオキ、ヤツデ、マンリョウ、カキ、キンモクセイ、ギンモクセイ、キョウチクトウ、クチナシ、コーヒーノキ、キリ、ノウセンカズラ、ウツギ、トールフェスク、シバ、ヨモギ等が挙げられる。
【0052】
本発明の法面緑化工法としては、例えば、本発明法面緑化用土壌改良剤、土壌、法面に植える植物の種子等を予め混合したものを詰めこんだ容器を法面に設置したり、その混合したものを法面に吹付けるなどして緑化する工法が好適に用いられる。
【0053】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
【0054】
(1)有機質肥料及び菌根菌の利用に関する検討
まず、有機質肥料及び菌根菌を利用した法面緑化工法について検討した。検討対象とする工法として厚層基材吹付工法を用い、東向き、水平面に対し傾斜30度の法面100mに対し3cmの吹付け施工を行った。
【0055】
施工土壌には、まさ土とパーライトを1:1(V/V)で混合した培土を利用し、当該培土1m当たりにピートモスを50リットル、バミューダーグラスの種子を200g混合したものをベース土壌とした。
【0056】
実施例
実施例1として、当該ベース土壌1m当たりに、有機質肥料としてC/N比41の牛糞堆肥30kg、菌根菌としてジャイガスポーラ属のVA菌根菌の胞子10万個を混合した吹き付け用培土を作成し、対象となる法面100mに対し3cmの吹付け施工を行った。
【0057】
比較例
比較例1として、当該ベース土壌1m当たりに、有機質肥料としてC/N比41の牛糞堆肥30 kgのみを混合した吹き付け用培土を作成し、対象となる法面100mに対し3 cmの吹付け施工を行った。
【0058】
比較例
比較例2として、当該ベース土壌1m当たりに、化学肥料として緩効性化学肥料マグアンプK(ハイポネックス社製)(チッ素6重量%、リン酸40重量%、カリ6重量%含む。)10kgを混合した吹き付け用培土を作成し、対象となる法面100mに対し3cmの吹付け施工を行った。なお、10kgは通常の化学肥料使用量である。
【0059】
実施例1、比較例1及び2において、吹き付け施工の3ヶ月後、6ヶ月後にコドラート法を利用し、植生状況を検定した。その間灌水、追肥の処理は行っていない。その結果を表1に示す。
【0060】
【表1】
Figure 2004208545
【0061】
この結果から、実施例1の有機質肥料と菌根菌を併用した場合の植被率及び最高草丈は、化学肥料を利用した比較例2と同等以上であることが確認された。一方、比較例1の有機質肥料のみを使用した場合、植被率及び最高草丈は、実施例1、比較例2に比べ明らかに劣ることが確認された。
【0062】
また、実施例1においては、比較例1及び比較例2と比べて、法面から排出される水分中の肥料成分濃度が低いことを確認した。
【0063】
以上の結果から、有機質肥料と菌根菌を併用することにより、短期間で高い植生率を得ることができることが明らかになった。また、有機質肥料と菌根菌を利用することにより、有機質肥料単独及び化学肥料単独の場合と比較して、法面から排出される水分中の肥料成分濃度が低いことが明らかになった。
【0064】
(2)有機質肥料の C/N 比の検討
次に、有機質肥料のC/N比について検討した。検討対象とする工法として厚層基材吹付工法を用い、南東向き、水平面に対し傾斜45度の法面100mに対し3cmの吹付け施工を行った。施工土壌には、まさ土、バーク、パーライトを1:1:1(V/V)で混合した培土を利用し、当該培土1m当たりにピートモスを50リットル、トールフェスクの種子を200g混合したものをベース土壌とした。
【0065】
実施例
実施例2として、当該ベース土壌1m当たりに、有機質肥料としてC/N比100のバーク堆肥30kg、菌根菌としてアカウロスポーラ属のVA菌根菌の胞子5万個を混合した吹き付け用培土を作成し、対象となる法面100mに対し3cmの吹付け施工を行った。
【0066】
実施例
実施例3として、当該ベース土壌1m当たりに、有機質肥料としてC/N比300のおがくず入り堆肥30kg、菌根菌としてアカウロスポーラ属のVA菌根菌の胞子5万個を混合した吹き付け用培土を作成し、対象となる法面100mに対し3cmの吹付け施工を行った。
【0067】
比較例
比較例3として、当該ベース土壌1m当たりに、有機質肥料としてC/N比320のおがくず入り堆肥30kg、菌根菌としてアカウロスポーラ属のVA菌根菌の胞子5万個を混合した吹き付け用培土を作成し、対象となる法面100mに対し3cmの吹付け施工を行った。
【0068】
比較例
比較例4として、当該ベース土壌1m当たりに、化学肥料としてIB化成S−1号(三菱化成工業製)(チッ素10重量%、リン酸10重量%、カリ10重量%含む。)10 kgを混合した吹き付け用培土を作成し、対象となる法面100mに対し3cmの吹付け施工を行った。なお、10kgは通常の化学肥料使用量である。
【0069】
実施例2、3、比較例3及び4において、吹き付け施工の3ヶ月後、6ヶ月後にコドラート法を利用し、植生状況を検定した。その間灌水、追肥の処理は行っていない。結果を表2に示す。
【0070】
【表2】
Figure 2004208545
【0071】
これらの結果から、実施例2の、有機質肥料としてC/N比100のバーク堆肥を利用した場合の植被率及び最高草丈は、化学肥料を利用した比較例4と同等以上であることが確認された。
【0072】
また、実施例3の、有機質肥料としてC/N比300のおがくず入り堆肥を利用した場合の植被率及び最高草丈は、化学肥料を利用した比較例4と同等であることが確認された。
【0073】
一方、比較例3の有機質肥料として、C/N比320のおがくず入り堆肥を利用した場合の植被率及び最高草丈は、実施例2、3及び比較例4に比し非常に劣ることが確認された。
【0074】
以上の結果から、有機質肥料としてはC/N比が低いものを使用することが望ましく、その指標としてはC/N比が300以下であることが明らかになった。
【0075】
(3)リンおよびカリウム溶解菌の検討
更に、リン溶解菌及びカリウム溶解菌の利用に関する検討を実施した。検討対象とする工法は苗移植よる植栽施工とし、北東向き、水平面に対し傾斜50度の法面に対し、コナラ苗木(樹高約15cm)の移植施工を行った。
【0076】
実施例
実施例4として、コナラ苗移植の際に、開けた植え穴(直径20cm、深さ30cm)に、有機質肥料としてC/N比60のバーク堆肥1kg、菌根菌としてスクレロデルマ属の外生菌根菌胞子3万個、リン溶解菌及びカリ溶解菌としてバチルス属菌(Bacillus megateriumvar)を 500万cfuずつ投入し、その後、コナラ苗木を定植した。
【0077】
実施例
実施例5として、実施例4と同様の植え穴に有機質肥料として、C/N比60のバーク堆肥1kg、菌根菌としてスクレロデルマ属の外生菌根菌胞子3万個を500万cfuずつ投入し、その後にコナラ苗木を定植した。
【0078】
比較例
比較例5として、実施例4と同様の植え穴にIB化成S−1号(三菱化成工業製)(チッ素10重量%、リン酸10重量%、カリ10重量%含む。)を0.5kg、土壌改良材として木炭を0.25kgずつ投入し、その後にコナラ苗木を定植した。なお、0.5kgは通常の化学肥料使用量である。
【0079】
いずれの区も試験を実施した法面は50 mで、コナラの植栽密度は、法面面積1mに対して5本とした。即ち各区250本のコナラ苗木を移植施工を行った。
【0080】
移植施工の6ヶ月後、12ヶ月後にコドラート法を利用し、植生状況を検定した。なお、その間灌水、追肥の処理は行っていない。結果を表4に示す。
【0081】
【表3】
Figure 2004208545
【0082】
これらの結果から、実施例4の有機質肥料、外性菌根菌、リン及びカリウム溶解菌を併用した場合、実施例5の有機質肥料と菌根菌を利用した場合ともに、その植生は、化学肥料を利用した比較例5と同等以上であることが確認された。特に、その植生を比較すると、有機質肥料に、外性菌根菌、リン溶解菌及びカリウム溶解菌を併用した実施例4の方が明らかに優れていることが確認された。
【0083】
以上の結果から、従来の化学肥料を利用した法面緑化工法以上の植生を得るためには、有機質肥料及び菌根菌を含む本発明法面緑化用土壌改良剤を用いることが非常に有効であり、更に、リン溶解菌及び/又はカリウム溶解菌を併用することにより、効果がさらに上昇することが明らかになった。
【0084】
【発明の効果】
法面緑化に際して、実質的に化学肥料を用いない場合、有機質肥料は遅効性であるため、有機質肥料だけでは短期間での緑化は困難であった。しかし、本発明によれば、有機質肥料と菌根菌とを組み合わせて用いることにより、短期間での緑化が可能となった。更に、必要に応じて窒素固定菌、リン溶解菌及びカリウム溶解菌からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を加えることにより、その効果を上昇させることが可能となった。
【0085】
例えば、3ヶ月、6ヶ月及び1年後の植被率の向上、生長促進、定着率向上が確認された。また、肥料成分の流亡が少なくなり、水質を汚染する可能性が低くなった。
【0086】
その原因として、有機質肥料と菌根菌との施用により植物の肥料吸収力が高まった結果、植物の生長が早まり、肥料成分の流出が減少したことが考えられる。また、窒素固定菌、リン溶解菌、カリウム溶解菌等を組合わせることにより、初期段階で土壌への供給量が増加したリン、カリウムを菌根菌が効率良く吸収し、植物に与えることにより、有機肥料だけでは困難であった短期間での緑化が可能となった。例えば、3ヶ月、6ヶ月及び12ヶ月後の植被率向上、生長促進、定着率向上が確認された。

Claims (10)

  1. 有機質肥料及び菌根菌を含む法面緑化用土壌改良剤。
  2. 有機質肥料及び菌根菌を含む法面緑化用土壌改良キット。
  3. 有機質肥料の炭素/窒素比が20〜300である請求項1記載の法面緑化用土壌改良剤。
  4. 有機質肥料の炭素/窒素比が20〜300である請求項2記載の法面緑化用土壌改良キット。
  5. 有機質肥料の炭素/窒素比が40〜300である請求項1記載の法面緑化用土壌改良剤。
  6. 有機質肥料の炭素/窒素比が40〜300である請求項2記載の法面緑化用土壌改良キット。
  7. さらに、リン溶解菌及びカリウム溶解菌からなる群から選ばれる少なくとも1種の微生物を含む、請求項1に記載の法面緑化用土壌改良剤。
  8. さらに、リン溶解菌及びカリウム溶解菌からなる群から選ばれる少なくとも1種の微生物を含む、請求項2に記載の法面緑化用土壌改良キット。
  9. 請求項1に記載の法面緑化用土壌改良剤を、植物の種子と土壌とともに法面に施用することを特徴とする法面緑化工法。
  10. 請求項2に記載の法面緑化用土壌改良キットを、植物の種子と土壌とともに法面に施用することを特徴とする法面緑化工法。
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